フリーライダーとは|意味と具体例、対策。ただ乗りを「した側」と「された側」の両方をやった私の、にげ方

フリーライダーとは|意味と具体例、対策。ただ乗りを「した側」と「された側」の両方をやった私の、にげ方 経済・経営の用語

フリーライダーは、「費用や手間を出さずに、みんなで作った利益だけを、受け取る人」のことです。日本語では、「ただ乗り」と言います。会社の中の「働かないのに、給料はもらう人」をさす言葉として、広まりました。もとは、経済学の言葉です。

先に、書いておきます。私は、ただ乗りを、する側でも、される側でもありました。ネットで物を売っていたころ、私は、ほかの売り手が見つけた「売れる商品」を、調べて、まねして、出品していました。そして、私が見つけた商品も、同じように、まねされました。この記事は、どちらの立場も知っている人間が、ただ乗りのしくみと、にげ方を、書く記事です。

この記事では、意味としくみを先に書いて、そのあとで、計算機、職場の例、私の例、対策を書きます。

1. フリーライダーとは

経済学では、公共財の話として、出てきます。公共財は、次の2つの性質を持つものです。

性質 意味
排除できない お金を払わない人だけを、使えなくすることが、できない。 灯台の光。街の治安。きれいな空気。
取り合いにならない 1人が使っても、ほかの人の使える量が、へらない。 灯台の光は、船が1そうふえても、暗くならない。

この2つがそろうと、「自分が払わなくても、だれかが払えば、自分も使える」となります。1人1人にとっては、払わないのが、いちばん得です。全員がそう考えると、だれも払わず、灯台は、建ちません。これが、フリーライダー問題です。

アメリカの経済学者マンサー・オルソンは、1965年の本で、「人数が多い集団ほど、この問題は重くなる」と、指摘しました。人数が多いと、1人がさぼっても、結果は、ほとんど変わりません。だれがさぼったかも、分かりません。

似た言葉との、ちがいです。

  • 共有地の悲劇:みんなで使う資源を、取りすぎる問題。くわしくは、共有地の悲劇とはに書きました。
  • フリーライダー:みんなで作るものに、出さない問題。
  • 社会的手抜き:集団になると、無意識に、力をぬいてしまう現象。わざとでは、ありません。くわしくは、リンゲルマン効果とはに書きました。

1-1. 計算機:ただ乗りは、なぜ、得なのか

経済学の実験で使われる、「公共財ゲーム」です。全員が、同じ金額を、持っています。共同の箱に入れたお金は、何倍かにふえて、入れた人にも、入れなかった人にも、同じだけ、分けられます。

入れた人の、さいごの手取り:

入れなかった人(ただ乗り)の、さいごの手取り:

全員が入れた場合 / だれも入れなかった場合の、1人の手取り:

はじめの数字では、入れた3人は1,500円、入れなかった1人は2,500円です。ただ乗りした人が、いちばん、得をします。でも、全員が入れれば、全員が2,000円。だれも入れなければ、全員が1,000円のままです。1人1人にとって得な行動と、全員にとって得な行動が、ずれている。これが、問題の芯です。

実際の実験では、はじめは、多くの人が、半分ぐらいを入れます。回をかさねると、入れる金額は、へっていきます。ただ乗りする人を見て、入れていた人が、ばからしくなるからです。一方で、「入れない人に、自分のお金を使ってでも、罰をあたえられる」というルールを足すと、入れる金額が、高いまま、つづいた、という有名な実験も、あります。

2. 身近な例

  • 職場:チームの成果に、乗るだけの人。会議で、発言しない。共有の資料を、使うだけで、直さない。
  • グループの課題:何もしなかった人も、同じ点を、もらう。
  • 労働組合:組合が勝ちとった賃上げは、組合費を払っていない人にも、およぶ。
  • マンションの管理、町内会:役員を、だれも、やりたがらない。
  • ネットの知識:百科事典や、質問サイトや、無料のソフトウェア。書く人は、ごく少数。読む人が、大多数。
  • 店での下見:店で実物を見て、説明を聞いて、ネットの安い店で、買う。店の接客に、ただ乗りしている。

3. 私の例:する側と、される側

3-1. 私は、ただ乗りを、していた

以前、私は、海外の通販サイトから仕入れられる商品を、国内のオークションで、在庫を持たずに売っていました(いまは、規約に反するので、やっていません)。売れる商品の見つけ方は、単純でした。オークションの落札の記録を調べられるサイトで、同じ売り方をしているアカウントの、直近の落札を、ぬき出します。それが、自分にも仕入れられるかを、確かめます。売れていたら、同じものを、出します。私は、これを、「順張り出品」と、呼んでいました。

何が売れるかを見つける手間は、ほかの売り手が、払っています。私は、その結果だけを、使いました。ただ乗りです。落札の記録は、公開されていて、だれも、排除できません。1章の、公共財の性質、そのままです。

3-2. そして、ただ乗りされた

当然、逆も、起きます。私が見つけた商品も、同じ方法で、ほかの人に、見つけられます。まねされると、同じ商品の出品がふえて、値段が、下がります。売れなくなります。利益が出なくなった売り手が、いなくなります。すると、また、値段のゆがみが、もどってきます。私は、これを、くり返す流れとして、見ていました。

リサーチの道具を使っても、同じです。同じ道具を使う人は、全員、同じ統計を、見ています。見つけた瞬間に、全員が、同じ商品に、集まります。

3-3. ただ乗りされない場所を、作った

私が取った手は、3つです。どれも、1章の「排除できない」を、「排除できる」に変える、という形を、しています。

  1. 記録に出ない商品を、あつかう:順張りで売れた商品の、関連の商品や、上位の型を、自分の仮説で探して、まだ売れていなくても、出品しました。私は、これを、「逆張り出品」と、呼んでいました。売れていない商品は、落札の記録に、出ません。記録に出ないので、まねする人の目に、入りません。回転は順張りで取り、利益は、逆張りで、取りました。
  2. 売れた商品を、自分の店に、移す:何度も売れる商品は、自分で作ったネットショップに、移しました。オークションの中では、となりに同じ商品がならんで、値段で、くらべられます。自分の店では、くらべられません。
  3. 人を集める場所を、自分で作る:ブランド名ではなく、商品の種類をあらわす言葉で記事を書いて、検索から、人を集めました。記事と、検索の順位は、落札の記録とちがって、かんたんには、まねできません。この話は、Shopifyで売れないのは店のせいではないに書きました。

当時のくわしい話は、無在庫転売は稼げない?の記事に書きました。

3-4. 教える仕事の、ただ乗り問題

もう1つ、同じ形の問題が、あります。物を売りながら、その売り方を人に教えると、自分の強みを、ばらすことになります。出しおしみをすれば、教わった人が、かせげません。ぜんぶ出せば、自分の利益が、守れません。私は、これがいやで、物を売る側を、やめました。知識は、1回出すと、排除できません。教える仕事をするなら、「教えても、自分がこまらない立場」に、先に、移っておく必要が、ありました。この話は、「儲け話は人に言わない」は半分正しいに書きました。

4. 対策

4-1. しくみの側

方法 中身
排除できるように、する 出した人だけが、使えるようにする。 会員制。有料の部分を作る。自分の店に移す。
出した人にだけ、別の得を、つける オルソンが「選択的誘因」と呼んだ方法。 組合員だけの保険や割引。貢献した人の名前を、出す。
人数を、小さくする 少人数なら、だれが出していないかが、見える。 大きなチームを、3〜5人に、分ける。
貢献を、見えるようにする だれが、何をやったかを、記録する。 担当を、名前つきで、決める。変更の記録を、残す。
出さない人に、費用を、もどす 使った分だけ、払わせる。 税金。受益者負担。

4-2. 職場で、ただ乗りされている人

  • 担当と、しめきりを、名前つきで、決める:「みんなで、やる」は、「だれも、やらない」に、なります。
  • 自分の貢献を、記録に、残す:成果を横取りされるのは、記録がないからです。メールや、共有の資料に、あとを、残します。
  • 上司には、人ではなく、しくみの話として、伝える:「あの人が、さぼっている」ではなく、「担当が決まっていない仕事が、ここにあります」。
  • 決めつける前に、確かめる:わざと、さぼっているとは、かぎりません。何をすればいいかが、分かっていない。集団の中で、無意識に、力がぬけている。そういう場合も、多いです。

5. 注意点

  • ただ乗りは、ぜんぶ、悪では、ない:公開されている情報を使うのは、市場のふつうの働きです。私の順張りも、公開されている記録を、見ていただけです。まねがあるから、値段のゆがみは、消えます。問題になるのは、だれも出さなくなって、みんなで使うものが、作られなくなるときです。
  • 「あいつは、フリーライダーだ」と、人に、はる言葉では、ない:この言葉の使いどころは、「このしくみは、ただ乗りが、得になっていないか」を、点検するときです。得になっているなら、人をせめても、次の人が、同じことを、します。しくみが人の行動をゆがめる話は、モラルハザードとはにも書きました。

6. まとめ

  • フリーライダーは、費用や手間を出さずに、みんなで作った利益だけを、受け取る人のことです。
  • もとは、経済学の公共財の問題です。「排除できない」「取り合いにならない」ものは、だれも、お金を出さなくなります。
  • 1人1人にとって得な行動と、全員にとって得な行動が、ずれています。
  • 私は、ほかの売り手の落札の記録をまねる形で、ただ乗りをし、同じ形で、ただ乗りされました。
  • にげ方は、「排除できない」を、「排除できる」に、変えることでした。記録に出ない商品、自分の店、自分の記事です。
  • 人をせめる言葉ではなく、しくみを点検する言葉として、使います。

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