レッドオーシャンとは、競争相手が多く、値下げ合戦で、利益がけずられていく市場のことです。血で、海が赤くそまる。そこから、名前がつきました。反対に、競争相手がいない、新しい市場を、ブルーオーシャンと、呼びます。
先に、書いておきます。私は、中古品をネットで売る仕事を、長く、やってきました。売れる商品を見つけては、まねされ、値段が下がり、売り手がへって、また、もうかるようになる。このくり返しの中に、いました。「だれもいない海」を見つけたと思って、モニターを10台仕入れて、全部、損をしたことも、あります。この記事は、赤い海の中にいた側から、書きます。
この記事では、意味としくみを先に書いて、そのあとで、計算機、私の例、ぬけ出し方、青い海の見つけ方を、書きます。
1. レッドオーシャンとは
1-1. 意味と、由来
この言葉は、2005年に、W・チャン・キムと、レネ・モボルニュ(フランスのビジネススクール、INSEADの教授)が書いた本、『ブルー・オーシャン戦略』で、広まりました。
| レッドオーシャン | ブルーオーシャン | |
|---|---|---|
| 市場 | すでに、ある | まだ、ない。自分で、作る |
| 競争相手 | 多い | いない。または、くらべられない |
| たたかい方 | 同じものを、より安く、より速く | くらべる軸そのものを、変える |
| 利益 | けずられていく | 大きい。ただし、まねされるまで |
| 需要 | あることが、分かっている | あるかどうか、分からない |
大事なのは、いちばん下の行です。赤い海には、魚がいることが、分かっています。だから、みんなが、集まります。青い海は、だれもいません。魚も、いないかもしれません。
1-2. なぜ、海は、赤くなるのか
- もうかっていることが、見えるから:売れた記録、ランキング、もうかった人の発信。見えれば、人は、集まります。
- 入るのが、かんたんだから:資格も、大きなお金も、いらない市場ほど、早く、赤くなります。
- ちがいが、作れないから:同じ商品を、同じ場所で売れば、ちがいは、値段だけに、なります。
- やめるのが、むずかしいから:在庫や設備をかかえた売り手は、赤字でも、すぐには、出ていきません。安売りをして、出ていきます。
2. 計算機:売り手がふえると、自分の利益は、どうなるか
市場の大きさが変わらないまま、売り手だけがふえると、1人あたりの売れる数は、へります。値下げ合戦で、1個あたりの利益も、へります。2つが、同時に、ききます。
市場全体で、1か月に売れる数 個
いまの、売り手の数(自分をふくむ) 人
売り手が自分1人だったときの、1個の利益 円
売り手が1人ふえるごとに、1個の利益が下がる割合 %
自分の、1か月の固定費 円
いまの、自分の1か月の利益:
売り手が2倍になったとき:
利益が0以下になる、売り手の数:
はじめの数字は、仮の数字です。売り手が5人のとき、自分の利益は、月に約5万6千円。10人になると、約1,700円の赤字です。売り手が2倍になっただけで、利益は、半分ではなく、0を下回ります。売れる数と、1個の利益が、かけ算で、へるからです。この計算機は、値下がりの割合を一定と置いた、かんたんな形です。
3. 私の例:赤い海の、中で
3-1. 海が赤くなり、また、もどるのを、見ていた
以前、私は、国内のオークションで、在庫を持たずに、物を売っていました(いまは、規約に反するので、やっていません)。売れる商品は、落札の記録を調べられるサイトで、同じ売り方をしている人の落札を見れば、分かります。私は、それを、まねしました。私が見つけた商品も、同じ方法で、まねされました。
まねされると、同じ商品の出品がふえて、値段が下がり、売れなくなります。利益が出なくなった売り手が、いなくなります。すると、値段が、もどってきます。1章の「もうかっていることが、見える」「入るのが、かんたん」が、そろった市場では、海は、この速さで、赤くなります(しくみは、フリーライダーの記事に、書きました)。
3-2. 記録に出ない商品を、あつかう
そこで、私は、売れた商品の、関連の商品や、上位の型を、自分の仮説でさがして、まだ売れた記録がなくても、出品しました。売れていない商品は、落札の記録に、出ません。だから、まねする人の目に、入りません。回転は、まねで取る。利益は、こちらで、取る。そういう、分け方でした。
これは、本に出てくるような、大きな青い海では、ありません。赤い海の中の、小さな、青い水たまりです。個人の売り手がねらえるのは、たいてい、この大きさです。
3-3. 海の大きさが、赤さを、決める
ブランド品を仕入れていたころ、私は、業者向けのオンラインの市場に、かたっぱしから、入りました。最後に残ったのは、毎週5,000個から1万個が出る市場でした。ほかは、1,000個にも、とどきません。出品が少ないと、買い手が、少ない品に集中して、競りが上がりすぎます。利益が、取れません。店をたくさん回らないと仕入れができない、店舗のせどりと、同じです。
同じ数の競争相手がいても、海が大きければ、うすまります。「競争相手が多いか」だけでなく、「魚の数にたいして、多いか」を、見てください。2章の計算機の、いちばん上の数字です。
3-4. だれもいない海には、魚も、いなかった
失敗の話です。ある市場で、全部の商品の落札の記録を見て、値段の差を、調べました。差が大きかったのは、業務用のモニターの、10台のロットだけでした。1台2,000円前後で落札されていて、5,000円以上で売れた記録が、見えました。私は、2万円まで出すつもりで入札して、3,400円で、落札できました。大もうけだと、思いました。
出品してすぐ、需要がないことが、分かりました。アクセスも、「いいね」も、つきません。1円で出しても、落札されませんでした。液晶は、粗大ごみで、すてられません。車で、リサイクル店に持ちこんで、買い取りは、全部で、1,000円にも、なりませんでした。参加費、手数料、送料をふくめて、全部、損です。
競争相手がいなかったのは、青い海だったからでは、ありません。魚が、いなかったからです。1章の表の、いちばん下の行を、私は、お金を払って、おぼえました。
3-5. 道具で作った青さは、長く、つづかない
昔、いくつものフリマアプリを横断して、新しい出品を通知してくれるアプリが、ありました。使っている人は、ほかの人より早く、安い出品を、買えました。けれど、フリマの運営が、規制をして、アプリは対応できなくなり、消えました。外の道具で作った優位は、場所を持っている会社のひと声で、なくなります。これも、青い海の、寿命の話です。
3-6. 海を、出た
いま、私は、物を売る側には、いません。在庫を持つ仕事は、1個売って残る利益(限界利益)が、浅い。売り手としてたたかい続けるより、「自分でやればもうかる枠」を、人にわたす側に回ったほうが、理にかなうと、判断しました。理由は、ほかにも、いくつもあります(比較優位の記事に、書きました)。
4. ぬけ出し方
4-1. 本の方法:くらべる軸を、変える
『ブルー・オーシャン戦略』の中心は、「競争相手に勝つ」のを、やめることです。業界が当たり前にきそっている要素を、4つの問いで、見直します。
| 問い | 中身 |
|---|---|
| 取りのぞく | 業界が当たり前に出しているもので、なくていいものは、何か |
| へらす | 業界の標準より、思いきり、へらしていいものは、何か |
| ふやす | 業界の標準より、思いきり、ふやすべきものは、何か |
| つけ加える | 業界が、まだ出していないもので、出すべきものは、何か |
「取りのぞく」と「へらす」で、費用を下げる。「ふやす」と「つけ加える」で、買い手にとっての値打ちを、上げる。両方を同時にやるので、安売りにも、高級化にも、なりません。
4-2. 個人の売り手の、現実的な方法
- 記録に出ないところへ、ずれる:3章の2つ目です。売れた記録が見える商品は、かならず、赤くなります。
- 手間や、腕がいるところへ、ずれる:こわれた品を直して売るのは、直せる人しか、入れません。入るのがむずかしい海は、赤くなるのが、おそい。
- 大きい海を、えらぶ:3章の3つ目です。小さい海で1番になるより、大きい海のすみにいるほうが、楽なことが、あります。
- 場所を、変える:家賃と人件費が安い地方なら、都会では赤字になる仕事が、赤字に、なりません。同じ海でも、自分の固定費が下がれば、2章の計算機の答えは、変わります。
- 魚がいるかを、小さく、たしかめる:3章の4つ目の、教訓です。10台ではなく、1台から。
- 青さの寿命を、先に、見つもる:まねされるまで、何か月か。規制されたら、終わりか。その期間で元が取れる分だけ、お金を、入れます。
4-3. 赤い海に、残るという選択
赤い海は、悪い場所とは、かぎりません。需要があることは、たしかです。費用がいちばん低い人、仕入れがいちばん強い人は、赤い海で、勝ち続けます。大きくなるほど有利になるしくみ(規模の経済)がはたらく市場なら、なおさらです。「赤いから、出る」では、なく、「この赤さで、自分は、最後まで残る側か」で、決めてください。
5. ブルーオーシャンの見つけ方
先に、結論を書きます。青い海は、どこかに落ちているものを、さがすのでは、ありません。魚がいる赤い海の、となりに、ずれて、作るものです。そして、見つけたあとに、魚がいるかを、1点で、たしかめるところまでが、見つけ方です。3章のモニターで、私は、前半だけをやって、後半を、とばしました。
5-1. 本の方法:となりを見る、6つの道
『ブルー・オーシャン戦略』は、新しい市場を、ゼロから思いつくのではなく、いまある市場の「となり」を見る道を、6つ、あげています。
| 道 | 自分に、問うこと |
|---|---|
| 1. ほかの業界を、見る | 同じ目的のために、お客さんが、まったく別の商品やサービスを使っていないか |
| 2. 同じ業界の、ほかの層を、見る | 高いものと、安いもののあいだに、だれも売っていない層はないか |
| 3. 買う人の、ちがう役を、見る | 使う人、お金を払う人、えらぶ人。業界が見ていない役はないか |
| 4. 前と後を、見る | 買う前と、買ったあとに、お客さんがこまっていることはないか |
| 5. 機能と、気持ちを、入れかえる | 機能で競う業界に気持ちを、気持ちで競う業界に機能を、持ちこめないか |
| 6. 時間の流れを、見る | これから、ほぼ確実に起きる変化はないか |
私がいちばん長く続けた、こわれたゲーム機を直して売る商売は、2つ目の道でした。動かない「ジャンク」と、動く中古の、あいだの層です。ジャンクを買う人は、直せる人しか、いません。だから、赤くなるのが、おそかった(ニッチ市場の成功例の記事に、書きました)。
5-2. 市場の外にいる人を、3つに、分ける
同じ本は、「いまのお客さん」ではなく、「まだお客さんでない人」を見るように、言っています。3つの層に、分けます。
| 層 | どんな人か |
|---|---|
| 第1層 | しかたなく使っているが、よいものがあれば、すぐに、はなれる人 |
| 第2層 | 知っていて、あえて、使わないと決めた人 |
| 第3層 | その市場とは、遠いと思っていて、考えたことも、ない人 |
この人たちが、なぜ使わないのか。そこに、「取りのぞく・へらす・ふやす・つけ加える」(4-1)の、どれかを当てると、となりの海が、見えてきます。
5-3. 個人の売り手が、あしたからやる手順
本の方法は、会社の新しい事業のための、道具です。個人の売り手が、手元の資金でやるなら、私は、3章の2つ目の方法を、順番にします。
- 売れた記録がある商品を、1つ、決める。赤い海です。魚がいる、証拠です。
- その関連の商品、上位の型を、自分の仮説で、さがす。売れた記録が、まだ、ないものです。
- 1点だけ、出す。10台では、ありません。
- アクセスと「いいね」を、見る。3章のモニターは、ここで、0でした。0なら、そこで、やめます。
- 反応があれば、数をふやす。ただし、まねされるまでの期間で、元が取れる分だけ(4-2の、いちばん下)。
5-4. 青い海か、魚のいない海か
競争相手がいない海を見つけたら、次の表で、どちらかを、分けてください。
| 見るところ | 青い海 | 魚のいない海 |
|---|---|---|
| 競争相手がいない、理由 | 気づかれていない。入るのに、腕や手間がいる | 買う人が、いない |
| となりの赤い海 | ある。似たものが、売れている | ない |
| 1点、出したときの反応 | アクセスや「いいね」が、つく | 何も、つかない |
| 売れなかったときの、にげ道 | 相場で、手放せる | ない。液晶は、粗大ごみにも、出せなかった |
5-5. 「ブルーオーシャンの副業一覧」を見たら
一覧に、のった時点で、その海は、もうけが見える、状態です。1-2の、1つ目の条件です。読んだ人が、同じ日に、集まります。一覧は、「いまから青い海」ではなく、「これから赤くなる海」の、リストとして、読んでください。「ライバルが少ない」と聞いて入った私の話は、参入障壁の記事に、書きました。
6. まとめ
- レッドオーシャンとは、競争相手が多く、利益がけずられていく市場です。2005年の本『ブルー・オーシャン戦略』で、広まりました。
- 海は、もうけが見える、入りやすい、ちがいが作れない、やめにくい、の4つで、赤くなります。
- 売り手が2倍になると、売れる数と、1個の利益が、かけ算でへります。利益は、半分では、すみません。
- 私は、まねされる海の中で、記録に出ない商品へ、ずれました。だれもいない海でモニターを10台買って、全部、損もしました。
- 競争相手がいない理由は、2つあります。だれも気づいていないか、魚がいないかです。小さく、たしかめてください。
- 青い海は、赤い海の、となりに、ずれて作ります。売れた記録のある商品から、記録のない関連の商品へ。1点で、魚がいるかを、たしかめます。
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