運転資金とは、商売を、毎日つづけるために、手元に置いておくお金のことです。仕入れてから、売れて、お金がもどるまでのあいだ、お金は、在庫の形で、寝ています。そのあいだも、家賃や、給料は、出ていきます。この「あいだ」をうめるお金が、運転資金です。
この記事では、まず、意味と、計算式を、説明します。次に、計算機で、自分の商売に、いくら必要かを、出します。最後に、私が、月に600万円を仕入れていたころの数字で、「倉庫を借りて、広げる」をやめた計算を、書きます。
1. 運転資金とは
1-1. 意味
商売では、お金は、先に出ていきます。仕入れの代金を、はらう。商品が、売れる。売れたお金が、入ってくる。この順番です。お金が出てから、もどるまでに、日数が、あります。この日数のあいだ、商売を止めないために、いるお金が、運転資金です。
利益が出ていても、運転資金が足りなければ、支払いが、できません。これが、黒字倒産の、入り口です。
1-2. 計算式
決算書の言葉で書くと、式は、こうです。
運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 − 仕入債務
- 売上債権:売ったけれど、まだ、入金されていないお金
- 棚卸資産:在庫
- 仕入債務:仕入れたけれど、まだ、はらっていないお金
日数で書くと、もっと、わかりやすくなります。
寝るお金 = 月の仕入れ額 ×(売れるまでの日数 + 入金までの日数 − 支払いを待ってもらえる日数)÷ 30
売れるまでが、長い。入金が、おそい。支払いが、早い。この3つが、運転資金を、ふやします。
1-3. 設備資金との、ちがい
設備資金は、機械や、店の内装など、1回買えば、長く使うものに、使うお金です。運転資金は、仕入れ、家賃、給料など、毎月、くり返し出ていくものに、使うお金です。設備資金は、1回で終わります。運転資金は、商売をつづけるかぎり、ずっと、いります。売上がふえると、仕入れもふえるので、運転資金も、ふえます。
2. 計算機:自分の商売に、いくら、いるか
数字を入れると、「在庫と入金待ちで、寝るお金」と、「固定費のそなえ」と、その合計が、出ます。
在庫と入金待ちで、寝るお金:
固定費のそなえ:
合計(運転資金のめやす):
はじめに入っている数字は、月600万円、7日、固定費50万円、3か月分です。答えは、寝るお金が140万円、固定費のそなえが150万円、合計290万円です。月600万円と、7日と、50万円は、3章に書く、私の数字です。入金までの日数の0日と、「3か月分」は、例として入れた数字です。私の実際の数字では、ありません。自分の数字に、入れかえてください。
日数を、7から180に、変えてみてください。寝るお金は、140万円から、3,600万円に、なります。仕入れ額は、同じです。変わったのは、日数だけです。
3. 私の例:運転資金は、「売れるまでの日数」で、決まる
3-1. 100円の本が、30分で売れた
私が、仕入れて売る仕事をはじめたのは、大学3年のころです。就職活動の帰りに入った古本屋で、数日前に、ネットで買ったばかりの本が、100円で、売られていました。買って、出品したら、30分で、売れました。
いま、式に当てはめると、この商売は、運転資金が、ほとんど、いりません。仕入れは、1冊100円から。売れるまでの日数は、短い。私は、アルバイトをせずに、この仕事で、学費や、教科書代や、定期代を、はらいました。学生の私が、はじめられたのは、寝るお金が、小さい形だったからだと、いまは、考えています。
3-2. 月600万円を、7日で回すと、寝るお金は、140万円
中古のブランド品を売っていたころ、仕入れに使うお金は、月に、600万円以上でした。仕入れてから、1週間以内に売り切ることを、目標にしていて、実際に、大半は、1週間で、売り切っていました(キャッシュフローの記事にも、書きました)。
計算機に入れると、寝るお金は、140万円です。これは、式から出した数字です。当時の口座の残高を、書いているわけでは、ありません。言いたいことは、1つです。月に600万円を仕入れる商売でも、7日で回せば、600万円を、持っている必要は、ありません。
3-3. 倉庫を借りると、「固定費のそなえ」が、ふくらむ
当時、作業場所は、自宅でした。在庫が、家を、うめていきました。広げるには、倉庫か、事務所が、いります。見積もると、月に、30万円から50万円以上、かかります。人件費は、すでに、月に45万円から50万円、出ていました。
計算機の、固定費を、50から100に、変えてみてください。3か月分のそなえは、150万円から、300万円に、なります。合計は、290万円から、440万円です。仕入れは、1円も、ふえていません。
当時の利益は、人件費を引く前で、月に80万円から200万円と、大きく、ゆれていました(営業利益の記事に、くわしく書きました)。売上がゆれる商売で、毎月かならず出ていくお金を、ふやす。私は、この負担が重いと見て、広げるのを、やめました。固定費を、いくら売れば回収できるかは、損益分岐点の計算で、出せます。
3-4. 工場に作らせると、半年、お金が、寝る
私は、中国の工場に、自分の商品を、作らせたことも、あります。機能を足す型は、納品までに、半年以上、かかりました。そのあいだ、サンプルや、テストに、お金が出ていって、入ってくるお金は、ありません。
例の数字で、くらべます。月に100万円ずつ、仕入れるとします。売れるまで7日なら、寝るお金は、23万円です。180日なら、600万円です。同じ100万円の仕入れで、いるお金が、約26倍、ちがいます。私が、「工場に作らせる方法は、はじめての人が、手を出す商売ではない」と考えるのは、この差が、あるからです。
4. 運転資金を、小さくする方法
式の、3つの日数を、動かします。
- 売れるまでの日数を、ちぢめる。回転のおそい商品を、へらします。売れる日数が、商品ごとにばらけるように、ちがう商品を、広く持つ方法も、あります(横積みと縦積みの記事に、書きました)。
- 入金までの日数を、ちぢめる。売り場ごとに、入金の速さは、ちがいます。売り場をえらぶときに、手数料だけでなく、入金の日数も、見ます。
- 支払いを、待ってもらう。仕入れ先との取引が長くなると、月末にまとめてはらう形に、できることが、あります。ただし、支払いがおくれると、信用を、なくします。
- 固定費を、ふやさない。倉庫、事務所、人。いちどふやすと、売れない月にも、出ていきます。
お金を借りて、運転資金をうめる方法も、あります。借り方は、この記事では、あつかいません。
5. まとめ
- 運転資金は、お金が出てから、もどるまでのあいだを、うめるお金。
- 式は、売上債権 + 棚卸資産 − 仕入債務。日数で見ると、「売れるまで + 入金まで − 支払いの待ち」。
- 月600万円の仕入れでも、7日で回せば、寝るお金は、140万円。180日なら、3,600万円。
- 固定費をふやすと、仕入れがふえなくても、いるお金は、ふえる。

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