横積みと縦積みの違い|せどりで「商品は横、工程は縦」に積む理由【20年の実測】

せどり

せどりで言う「横積み」は異なる利益商品を増やしていくこと、「縦積み」は同じ利益商品を複数個持つことです。定義はこれで終わりですが、この記事はそこから先を書きます。私は20年、ブランド品のリペア転売・スマホのバッテリー交換・レトロゲーム機の修理という3業態と、横流しのせどりを回してきて、結果的に横積みを選ぶことが多かった人間です。ただし「横積みが得意だから横積みがいい」では主張になりません。なぜ自分のモデルでは横積みが合理的だったのか、縦積みで勝った場面と負けた場面はどこが違ったのか、資本と時間がどれだけあればどちらに寄せるべきかを、実測から分解します。

まず定義だけ知りたい人向けに、30秒で読める表を置きます。

横積み 縦積み
定義 異なる利益商品を1個ずつ増やす 同じ利益商品を複数個持つ
得られるもの 需要予測の外れと現金化のタイミングが分散する リサーチ・撮影・出品文を使い回せて1個あたりの作業が減る
引き受けるリスク 商品数に比例して作業が増える 外れが個数倍で来る。同じ商品を持つ人と相場を取り合う
向く場面 着金日数が読めない商品、中古・一点物、修理品 売れた実績があり、追加仕入れが安く、低単価で、自分以外が同時に持たない商品
私がやってきた形 在庫はこちら(週50〜150点のバッグ、型番ばらばらのゲーム機) 工程はこちら(染め直し・持ち手交換・ピックアップ清掃の反復)

ここから先は、この表の各行がなぜそうなるかを実測で埋めていきます。

先に結論

問い 答え
横積みと縦積みの本当の違い 商品の種類数ではなく、資本・着金日数・作業工数の3つを「どの粒度で配分するか」の違い
縦積みが勝つ条件 需要が読めている、追加仕入れが安く速い、単価が低い、そして「自分以外が同時に持っていない」の4つが揃うとき
縦積みが負ける形 需要予測の外れ(私のトレファク・モニター10台全損)と、自分を含む全員が同時に出品して相場が崩れる形(値札攻略+最安値追従で赤字)の2種類
横積みの弱点 安全ではない。作業工数が商品数に比例して増え、私はこれでブランド転売のスケールに失敗した
修理転売の答え 商品は横に、工程は縦に積む。在庫で着金日数を分散し、作業で固定工数を逓減させる
資本力・可処分時間 縦積みのリスクは単価×個数×外れ確率。資本が浅いなら低単価の中古で縦積み、新品トレンドの縦積みは資金と電話の時間がある人だけ

定義だけでは仕入れの判断ができない理由

A・B・C・Dを1個ずつ持つのが横積み、Aを10個持つのが縦積みです。ここまでは誰が書いても同じです。

ただ、この定義は「何種類持っているか」で切っているので、実務の判断には使えません。同じ「Aを10個」でも、1個3,000円の中古ゲーム機を10個持つのと、1個3万円の新品家電を10個持つのでは、賭けている金額が10倍違います。同じ「10種類」でも、全部が1ヶ月売れないニッチ商品なら、種類を分散したのにキャッシュフローは悪化します。種類数は結果であって、本体は配分です。

本当の違いは3つの配分

横積みと縦積みが分けているのは、次の3つです。

配分の対象 縦積み 横積み
資本 1つの需要予測に資金を集中する 複数の需要予測に資金を分ける
着金日数 全在庫が同じタイミングで売れる(または売れない) 売れる時期がずれる
作業工数 リサーチ・撮影・出品文を1回作れば使い回せる 商品ごとに固定工数が発生する

一般的なせどり記事は1つ目の「資本の分散」だけで横積みを説明し、だから横積みは安全だと結論します。実務で効いてくるのは2つ目と3つ目です。

着金日数については、私が回していた修理3業態の実測を並べると分かりやすいです。数字は利益率と回転率の記事で使った同じ値です。

業態 仕入値 仕入から着金まで 週あたり数量 資金効率(純利益÷仕入÷着金日数)
ブランド品リペア 1〜3万円 18日 50〜150個 2.96%/日
スマホ バッテリー交換 8,000円 10日 10〜30個 10.03%/日
レトロゲーム機 修理 1,000円 7日 10〜20個 37.9%/日

修理品は仕入れて終わりではなく、故障確認、部品調達、修理、動作確認、撮影、出品を経てから売れるので、横流しより着金が遅れます。この状態で1つの商品に資金を寄せると、利益率より「売れるまでの日数」が経営を圧迫します。着金が18日の商品を同じ日に10個仕入れれば、18日後に10個分の現金が一度に戻るか、戻らないかのどちらかです。7日・10日・18日の商品を混ぜて持つと、現金が戻る日がばらけます。私が横積みを選んできた最初の理由はこれで、商品を分散したかったのではなく、現金が戻る日を分散したかったのです。

これを数字にします。前提は「同じ資金を、ブランド品リペア1本に寄せた場合と、3業態に等分した場合」で、着金日数は上の実測値をそのまま使います。利益はここでは無視し、仕入れに使った現金がいつ戻るかだけを見ます。

経過日数 ブランド品リペアに全額(縦寄せ) 3業態に等分(横積み)
7日目 0% 33%(ゲーム機分が戻る)
10日目 0% 67%(スマホ分が戻る)
18日目 100% 100%
資金拘束日数の加重平均 18日 11.7日

戻る現金の総額は同じですが、横積み側は7日目に3分の1が戻るので、その現金で次の仕入れができます。18日を1周期とすると、縦寄せは1周期に1回しか資金を回せず、横積みは7日で戻った分を2回転以上させられます。上の表の資金効率は純利益を着金日数で割っているので、この回転差がそのまま入っています。横積みは「安全のため」ではなく「同じ資金を1周期に何回使えるか」を増やすためにやっていました。

縦積みが勝った場面:他店在庫の取り寄せ

縦積みが機能した実例を先に書きます。ホームセンターで利益商品を見つけたとき、売り場の担当者に他店舗の在庫を調べてもらい、残っていたので取り寄せました。同じことは家電量販店でもドン・キホーテでもできます。1店舗で1個見つけた商品を、自分の足で他店を回らずに複数個にする方法です。

これが成立した条件を分解すると、縦積みの条件が見えます。

  • 需要が読めていた。1個目を仕入れる時点で、売れる価格と日数の見当がついていた
  • 追加仕入れが安く速かった。取り寄せは担当者に頼むだけで、移動コストも探索コストもほぼゼロ
  • 自分以外が同時に持つ商品ではなかった。全国一斉の値下げ品ではなく、その店・その地域の歪みだった

縦積みは「同じ商品を複数買う行為」ではなく、「需要の確信を得たあとで、追加1個あたりの仕入れコストが下がる商品に資本を寄せる行為」です。逆に言えば、この3つのどれかが欠けた縦積みは、資本を集中しただけで何も得ていません。

縦積みが負ける2つの形

形1:需要予測の外れ

私がトレファクオークションで業務用モニター10台を落札した件がこれです。落札履歴では1台2,000円前後で落ち、5,000円以上で売れた履歴が見えたので、10台ロットに理論値2万円で入札しました。3,400円で落札できて爆益だと思いましたが、出品するとアクセスもいいねも付かず、1円スタートでも落札されませんでした。液晶は粗大ごみで捨てられないので、ハードオフに車で持ち込んで全部で1,000円にもなりませんでした。

ここで重要なのは、10台が「ロット」だったことです。私は縦積みを選んだのではなく、縦積みを強制されました。1台なら数千円の損で済んだ需要予測の外れが、10台分まとめて来ました。縦積みの損失は、外れ確率が同じでも個数倍で来ます。

形2:自分を含む全員が同時に出品して相場が崩れる

需要予測が当たっていても負ける形があります。トイザらスやコストコの値札攻略のように、全国統一で値下げされている商品は、皆が同じタイミングで仕入れて同じタイミングで出品します。需要は確かにある。ただし供給が一斉に増えるので、価格が下がります。

私は価格改定ソフトで最安値に追従させて売っていたので、この形で赤字になることが多かったです。最安値追従は、自分と同じ商品を持つ出品者が1人下げると自分も下げる仕組みなので、全員が同じ商品を縦積みしている状況では、全員で原価に向かって走ることになります。選択肢は、寝かせて供給が減るのを待つか、原価割れの前に逃げ切るかの2つです。

この形は縦積み固有です。横積みでは、自分の10商品のうち1つが相場崩れに巻き込まれても、残り9つは無関係です。縦積みでは、10個全部が同じ相場に乗っています。需要予測の精度をいくら上げても、この供給側のリスクは消えません。「自分以外が同時に持っていないこと」が縦積みの条件に入る理由がこれです。

成功例と失敗例を同じ列で並べる

取り寄せで勝った縦積みと、モニター10台で負けた縦積みを、同じ項目で並べます。

他店在庫の取り寄せ(成功) モニター10台ロット(失敗)
需要 1個目の時点で売価と日数の見当がついていた 落札履歴の価格差だけで判断し、買い手が誰かを言語化していなかった
個数の決め方 1個売ってから、他店在庫の分だけ足した ロットだったので、売る前に10台が確定した
追加仕入れのコスト 担当者に頼むだけ 参加費2,000円と送料が乗った
同時に持つ人 その店・その地域の歪みで、他にいなかった 需要自体がなかったので相場以前の問題
結果 数量を増やせた 1円でも落札されず全損。買取で1,000円未満

2つを並べると、縦積みの危険は「同じ商品を複数買うこと」にはありません。「まだ確信していない需要に、複数回に分けてではなく一度に賭けること」にあります。成功例は1個売ってから足していて、失敗例は売る前に10台が確定していました。個数が同じ10でも、確信の前に決まった10と、確信の後に足した10は別物です。

横積みは安全ではない:工数が商品数に比例する

ここまで読むと横積みが正解に見えますが、横積みには縦積みにないコストがあります。1商品ごとに、リサーチ・検品・撮影・出品文・価格調整の固定工数が発生することです。縦積みなら1回作った出品文と写真を使い回せますが、横積みは商品数ぶん全部やります。

私はブランド転売を本業サイズで回していたとき、週50〜150点をほぼ全部違うバッグで仕入れて売っていました。在庫は完全な横積みです。撮影して出品する反復が自分と合わず、人を雇って解決しようとしましたが、人件費と家賃で逆ザヤになり、スケールできずに離れました。詳しくはブランド仕入れルートの記事に書いています。稼げなかったのではなく、横積みの工数が個数に比例して増え、それを吸収する体制を作れなかったのです。

横積みは資本のリスクを分散する代わりに、作業のリスクを引き受けています。縦積みは作業を圧縮する代わりに、資本と相場のリスクを引き受けています。どちらかが安全ということはなく、何を引き受けるかが違うだけです。

修理転売の答え:商品は横に、工程は縦に積む

私が修理3業態でやっていたことを、いま振り返ると1つの形に収まります。

業態 横に積んだもの(在庫) 縦に積んだもの(工程)
ブランド品リペア 週50〜150点、ほぼ全部別のバッグ CHANELとルイ・ヴィトンの染め直し・持ち手交換という作業
スマホ バッテリー交換 機種はばらばら 「膨張バッテリー個体を狙う」という仕入れ条件と、開封が楽になる工程
レトロゲーム機 PS2・スーファミなど型番はばらばら 光学ドライブのピックアップをクリーニングする20分の作業

在庫を横に積んで着金日数を分散し、工程を縦に積んで1個あたりの作業時間を下げる。ゲーム機の作業が20分で済むのは、同じ工程を何百回も繰り返した結果であって、同じ商品を何百個持った結果ではありません。修理転売では、横積みの弱点(工数が個数に比例する)を、工程の縦積みで打ち消せます。

横流しの転売にはこの分離がありません。工程がないので、工数を下げる手段が「同じ商品を複数扱う」しか残らず、商品の縦積みに向かいます。そして同じ商品を持つ人が増えるので、形2の相場崩れが起きて単価が下がります。私が電脳せどりの記事で「代替されるものは下がる」と書いた構造を、横積み・縦積みの言葉で言い直すとこうなります。

トレンドせどりは縦積みの極端形

手法別に見ると、トレンドせどりが縦積みの端に来ます。短期間で売れる商材を時間勝負で集めるので、利益は薄いが高速で売れるものを大量に持つ形になります。資本があるなら新品がメインになり、100個単位で動くので相応の資金が必要です。

時間効率で言えばトレンドせどりは優秀です。ただし外したときにマイナスのレバレッジがかかります。100個が同じ方向に動くので、当たれば薄利×100、外れれば損切り×100で、コツコツ積んでドカンと失う形になりやすい。リスクリワードの比率はあまり良くありません。

もう1つ、トレンドせどりは常に最新の情報と歪みを追い続けるので、一人では限界が来てサロンが必要になります。ただサロンの情報は何百人が同時に見ているので、結局はその何百人と競合します。稼げるのは、時間を使って店に電話し、取り置きしてもらい、それを短期間で集められる人だけです。会社員にそれができるかというと、平日日中に電話をかけ続ける時間がある人は多くないはずです。サロンの実測はリサーチ方法の記事に書いています。

季節せどりは第三の軸:横でも縦でもなく「時間」に積む

横積みと縦積みは、いま手元にある資本を「違う商品に散らすか、同じ商品に集めるか」という空間の配分です。これとは別に、時間の配分があります。いまは需要が弱くて割安に放置されているものを買い、需要が集中する月まで持つ型で、年末商戦・福袋・新生活・クリスマスのような「季節せどり」はすべてこれです。私はクリスマスのオムニバスCDを1年中500円で拾い、12月に2,000〜3,000円で売っていて、「1年満期の定期貯金」と呼んでいました。

この軸を横縦と分けて考える理由は、リスクの形が違うからです。縦積みの損失は「需要の外れ」と「相場崩れ」で、どちらも売る時点で分かります。時間に積む型の損失は「満期が来る前に商品カテゴリごと無価値になる」で、CDの型は配信で終わりました。答えが出るまでの時間が長いほど、市場が変わる余地が大きい。だから時間に積む在庫は、着金日数の列で見れば最も遅い列に入り、資本の列で見れば「普段の回転仕入れを1回も止めない範囲」でしか持てません。私の実測では年30枚が上限で、規模が作れない型でした。満期型の期待年利と普段の仕入れの年利を並べる計算機と、満期ごとの実測はおもちゃせどりの記事の「1年満期の定期貯金」の章に、家電の福袋・新生活は家電せどりの記事に置きました。

手法別の適性

手法 自然に向かう形 理由
トレンドせどり 縦積み 時間勝負で同じ商品を集める。外れがレバレッジで来る
店舗せどり 両方 複数店舗を回ると同じ商品が見つかり縦積みになる。店の特性でデータベースを作って異なる店を回れば横積みになる。他店在庫の取り寄せは縦積みの近道
電脳せどり 選べる パソコンの前で何を何個仕入れるか完全にコントロールできる
輸入 選べる 同上。ただし着金までが長いので縦積みの資金拘束が重い
輸出 選べる 同上
修理転売 商品は横、工程は縦 着金が遅い分を在庫で分散し、工数を工程の反復で下げる

資本力別の適性

縦積みのリスクは「単価×個数×外れ確率」で決まります。この式で見ると、資本の大小そのものより、単価がどこにあるかが効きます。

中古で即売れの商品を開発して縦積みしても、単価が3,000円なら10個で3万円です。外れて全損しても、私のゲーム機の実測(仕入1,000円・着金7日)と同じレンジで、次の仕入れで取り返せる金額です。新品トレンドで同じことを100個単位でやると、単価が1万円なら100万円が同じ需要予測に乗ります。外れたときの損失は同じ「縦積み」でも桁が違います。

資本の状態 取れる形 実測との対応
資本が浅く、1個ずつしか買えない 自然に横積みになる。縦積みを選ぶ余地がない ゲーム機修理の必要運転資金は中央値で1.5万円。この規模では1個ずつ買うしかなく、それが結果的に着金の分散になる
低単価の中古で複数個買える 即売れ商品を見つけたら縦積みしてよい。外れても1回の仕入れで取り返せる 仕入1,000〜3,000円の中古を10個で1〜3万円。全損しても次の週の利益で戻る
新品を100個単位で動かせる トレンドせどりの縦積みが選択肢に入る。ただし相場崩れと外れのレバレッジを引き受ける 私はブランド品で月600万円以上を回していたが、それでも同一モデルの縦積みではなく週50〜150点の横積みで1週間売り切りを狙った

資金別にどのジャンルへ配分するかは資金別の逆算表の記事で書いています。この記事はその配分を決めたあとで、同じジャンルの中で「何を何個」持つかの話です。

可処分時間別の適性

時間が少ない人ほど縦積みに惹かれます。リサーチ1回で複数個仕入れられるので、1個あたりの探索時間が下がるからです。これ自体は正しい計算ですが、縦積みは着金日数が読めていることが前提です。読めていない商品を時間がないからという理由で縦積みすると、外れたときの損切りにも時間がかかります。10個の出品を個別に値下げして売り切るのは、1個の10倍の手間です。

逆に、トレンドせどりの縦積みは時間を大量に食います。店に電話をかけ、取り置きを頼み、短期間で回収して回る。時間がない人が縦積みを選んで向かう先がトレンドせどりだとすると、そこで必要なのは時間です。

使える時間 合理的な形 条件
少ない(週に数時間) 着金が読めている低単価商品だけ縦積み。他は横積み 外れたときの損切り作業まで時間に入れる
中程度 横積みで探索し、売れた商品だけ縦積みに移す 1個目の販売データが出るまで縦積みしない
多い(専業) どちらも取れる。工程を縦積みできるなら修理が候補に入る 電話・取り置き・移動をこなせるならトレンドも選択肢

自分の商品で判断する:点数ではなくボトルネックで決める

ここまでの条件を、自分の商品に当てるための表にします。先に注意点を書くと、この表はYESの数で決めてはいけません。縦積みの4条件は掛け算でつながっていて、1つがNOなら残りが全部YESでも縦積みは成立しません。売れることが分かっていても、全国のセラーが同時に同じ商品を仕入れているなら縦積みは危険で、逆に一点物でも1個1,000円で確実に回収できるなら小さな縦積みは成立します。見るのは合計点ではなく、どこが詰まっているかです。

条件 問い NOのとき
需要が読めている その商品を自分で売った実績があり、売れるまでの日数が分かっているか 縦積み不可。まず1個売る
追加仕入れが安く速い 2個目以降が1個目より安いか、少なくとも同じ手間で手に入るか 縦積みの利点(工数の逓減)が消える。横積みと同じコストを払っている
単価が低い 全部外れたときの損失を、次の1回の仕入れで取り返せるか 個数を減らす。下の計算機の上限個数まで
自分以外が同時に持たない その歪みは全国一斉か、その店・その地域だけか 縦積み不可。需要が当たっても相場で負ける

4つ全部がYESなら縦積みに移してよく、個数の上限は次の計算機で出します。1つでもNOなら横積みのまま置いて、NOが解消するまで待ちます。横積みは最終形ではなく、この4条件がYESになる商品を探すための探索です。

損切りは横縦で変わらない

横積みだと損切り単位が小さくて楽、と書きたくなりますが、私の実感では損切りの速さは性格であって、縦でも横でも関係ありません。同じ商品を200個持っていて駄目だと思ったら損切りします。そして次の100個で利益を出し、その次の50個の商品でプラスにして、負を受け入れながらトータルでプラスにします。

資金があれば、このうねりを繰り返す収益曲線でもプラスになります。資金がないと、200個の損切りの次に100個を買う資金がないので、うねりの途中で止まります。縦積みで大きく外したあとに続けられるかどうかは、損切りの上手さではなく、次の玉を買える資金が残っているかで決まります。ここが資本力と縦積みの本当の関係です。

縦積みと横積みを数字で比べる

同じ資金を「1商品にN個」と「N商品に1個ずつ」で配ったとき、期待利益は同じです。違うのは、外れたときにどれだけ失うかと、作業に何分かかるかです。ここから式が3つ出ます。

1つ目は縦積みの上限個数です。損切りの章で「次の玉を買う資金が残っているか」と書きましたが、これは許容損失額を先に決めれば式になります。上限個数=許容損失額÷(仕入値×(1−損切り時の回収率))。全部外れても許容額で止まる個数です。

2つ目は横積みの保険料です。期待利益が同じなら、横積みで買っているのは赤字確率の低下だけで、その代金は追加の固定工数です。保険料=(商品数−1)×1商品あたり固定工数×自分の時給。横積みが「安全ではない」と書いた理由は、この保険料がゼロではないからです。

3つ目は赤字で終わる確率で、縦積みは外れ確率そのもの、横積みは二項分布で商品数が増えるほど下がります。下の計算機はこの3つを同時に出します。初期値は私のゲーム機修理の実測(仕入1,000円・利益率53%・1個20分)と、当時アルバイトに払っていた時給2,000円を入れています。1商品あたりの固定工数だけは記録がないので30分を仮置きしています。自分の商品と自分の時給に置き換えてください。

  

  

 

 

初期値で計算すると、期待利益は両方同じで、赤字で終わる確率は縦積みが外れ確率そのもの、横積みは商品数が増えるほど小さくなります。代わりに横積みは固定工数が商品数ぶん増え、それが保険料として円で出ます。縦積みの上限個数は、許容損失額を1個あたりの損失で割った数で、いまの個数がそれを超えていれば個数を落とすか横に分けるかのどちらかです。この保険料を、修理なら工程の縦積みで吸収でき、横流しなら吸収する手段がありません。どちらを選ぶかは、保険料を自分の時間で払えるか、赤字で終わる確率を自分の資本で払えるかの比較です。

初期値のまま計算すると、保険料が期待利益の9割に達し、縦積みの上限個数は20個で、資金3万円で買える30個は上限を超えます。この2つの数字が、資本力別の章で書いたことをそのまま言い換えています。保険料は固定工数×時給なので資金の大小に関係なく一定で、期待利益は資金に比例します。つまり資金が浅いほど横積みの保険料は相対的に重く、同じ条件で資金を30万円にすると保険料は期待利益の1割を切ります。資金が浅い人は横積みの保険料を払えないので縦積みに寄るしかなく、ただし縦積みの上限個数は許容損失額÷1個あたり損失で決まるので、単価が上がると上限が数個まで落ちます。初期値で仕入値だけを1万円にすると上限は2個です。資金が浅い人が低単価の中古で縦積みするのが合理的で、高単価では1個ずつしか持てず結果的に横積みになる、という順番はここから出ています。

まとめ

横積みと縦積みはどちらが優れているかの話ではなく、資本・着金日数・工数の3つをどの粒度で配分するかの話です。縦積みは需要が読め、追加仕入れが安く、単価が低く、自分以外が同時に持っていないときに勝ちます。この4つのどれかが欠けると、需要予測の外れか相場崩れのどちらかで、損失が個数倍で来ます。横積みは資本のリスクを分散する代わりに工数を引き受けるので、安全ではありません。

私が修理転売で横積みを選んできた理由は、着金が遅い商品の現金化タイミングを分散したかったからで、その工数の弱点は工程を縦に積むことで打ち消してきました。横流しにはこの分離がないので商品の縦積みに向かい、同じ商品を持つ人が増えて単価が下がります。資本が浅いなら低単価の中古で縦積みし、時間がないなら着金が読めている商品だけ縦積みし、それ以外は横に積んで、売れた商品だけを縦に移す。順番はこれだけです。

数字で持ち帰るなら3つです。縦積みの上限個数は許容損失額÷(仕入値×(1−損切り回収率))、横積みの保険料は(商品数−1)×固定工数×自分の時給、そして判定は点数ではなくボトルネックで、4条件のどれか1つがNOなら縦積みしない。この3つを自分の商品に当てれば、横か縦かは自分で決められます。

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