この記事の「トレファクオークション」は、リサイクルショップのトレジャー・ファクトリーが運営する古物商向けの業者間オークション(トレファクライブネットオークション)のことです。家具・家電・雑貨を扱う「オークション(道具)」と、月1回の「ブランドオークション」の2つがあり、料金体系が別なので分けて書きます。
私は2019〜2022年ごろ、ブランド品の転売を本業サイズで回していて、オンラインの古物市場にはひと通り入会して検証しました。3年で仕入先として残ったのはエコリング・オークネット・スターバイヤーの3つで、残らなかった市場の大半は記憶にすら残っていません。その中でトレファクだけは覚えています。理論値2万円と置いた業務用モニター10台を3,400円で落札し、1円でも売れずに全損したからです。この記事はその側から書いています。現在はプレイヤーではなくエコリングオークションを紹介する側にいます。トレファクとの紹介関係はありません。
先に結論
| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 入会条件 | 古物商許可があれば参加できる。公式は「参加条件は古物商であることだけ」「登録から最短1日」としている |
| 費用 | 初回参加料30,000円(税抜・1回だけ)、年間更新料10,000円(税抜)。道具オークションは1開催ごとに参加費2,000円、落札・出品ともに10%。ブランドオークションは参加費なし、落札5%(20万円未満)。送料は着払い(2026年9月閲覧時点) |
| 儲かるか | 参加費そのものは軽い。赤字を作るのは、往復20%の手数料・大型商材の着払い送料・売れ残りの処分コスト、そして「相場より安く落ちた理由」を疑わない判断。私は理論値2万円のモニター10台を3,400円で落として1円でも売れず、全損した |
| ブランド品の仕入れ先として | 月1回開催で点数が限られる。ブランド目的なら週単位で数千点以上出る市場を先に。トレファクで買う理由があるのは家具・家電・工具など大型の道具側 |
| 向いている人 | 関東(戸田)か関西(茨木)の会場まで引き取りに行ける距離にいて、大型商材の販路と、売れ残りの処分ルートを先に持っている人 |
トレファクオークションの入会条件と料金(2026年9月時点)
入会条件
公式サイトでは「参加条件は古物商であることだけ」で、登録完了から最短1日で参加できるとしています。法人である必要はなく、個人の古物商でも申込対象です。登録数は1,200社以上(2022年12月現在・公式)、成約率85%と公表されています。
料金表
| オークション(道具:家具・家電・雑貨) | ブランドオークション | |
|---|---|---|
| 初回参加料 | 30,000円(税抜)。どちらかに初めて参加したときに1回だけ、精算書に自動反映 | |
| 年間更新料 | 10,000円(税抜)。入会から1年経過後の初回参加時に請求 | |
| 参加費 | 1開催につき2,000円 | なし |
| 落札手数料 | 落札額の10%(税別) | 20万円未満5%、20万円以上1%(税別) |
| 出品手数料 | 成約額の10%(税別) | 3,000円未満10%〜20万円以上1%の段階制、不落札500円/品 |
| 開催 | 毎週水曜9時 | 毎月第一月曜10時 |
| 返品 | 原則返却可。申し出は開催翌々日まで、返品費用は出品者負担 | 返品システムなし |
| 受け取り | 会場引取(関東:埼玉県戸田市/関西:大阪府茨木市)は4営業日以内が原則。配送は着払いで、ヤマト・佐川・西濃の指定、開催週の木曜までに予約 | |
初回参加料と年間更新料は公式サイト、参加費・手数料率・返品条件は買取メディア(2026年6月更新)の調べに基づいています。改定される前提で、申込前に公式の最新料金を確認してください。
この表で先に気づいてほしいのは、道具オークションは「落札側10%+出品側10%」で、市場を往復すると20%が手数料で消える構造だということです。業者相場で落札して業者相場で売ると必ず赤字になります。利益が出るのは、業者間の相場と、自分の販路(メルカリ・ヤフオク・店頭)で個人に売る値段の差だけです。
業務用モニター10台で何が起きたか
私が落札したのは業務用モニター10台のロットでした。数字を順番に書きます。
まず、落札相場を見ました。同じような業務用モニターの落札相場は1台2,000円前後で、それが5,000円以上で売れた履歴が見えました。10台あるので、1台2,000円で理論値2万円と置いて入札しました。結果は3,400円で落札。10台で3,400円、1台あたり340円です。売れた履歴が5,000円以上なら、1台売るだけでロット全体の仕入れ値を回収できる計算になります。このときの私は爆益だと思っていました。
出品した瞬間に間違いが分かりました。アクセスもいいねもつかない。値段を下げても動かず、最後は1円で出しても落札されませんでした。1台340円で仕入れたものが、1円でも売れない。需要がなかったのです。
次に処分で詰まりました。液晶モニターは自治体の粗大ごみで出せません。当時はタワーマンションの15階に住んでいて、10台の液晶を部屋に置いておくわけにもいかず、車で近場のハードオフまで運びました。買取額は10台全部で1,000円にもなりませんでした。全損切りです。
金額だけ見れば、落札3,400円+落札手数料340円+参加費+送料で、回収が1,000円未満。損失は数千円で、当時の本業の規模からすれば誤差です。それでもこの一件だけが「トレファクは赤字の市場」として記憶に残り、私の記憶では「参加費で手数料負けした」に圧縮されていました。分解すると、負けた場所は参加費ではありません。
負けた場所は「安く落ちたこと」だった
理論値2万円のロットが3,400円で落ちた。ここが答えです。業者間オークションで、5,000円以上で売れた履歴のある商品が、相場の6分の1で誰にも競られずに落ちたなら、それは掘り出し物ではなく、他の参加者全員が「これは売れない」と知っていたということです。業者間の市場では、参加者はみな相場を知っています。安く落ちる理由は、自分だけが気づいた歪みか、自分だけが気づいていないリスクかのどちらかで、後者のほうが圧倒的に多い。
私は「売れた履歴」を見て入札しましたが、その履歴がどの販路で、どの時期に、どの型番でついた値段かを見ていません。業者間で5,000円がついた履歴があっても、それは同じ業者が別の業者に売った値段かもしれず、個人が買う値段ではない。実際、ヤフオクとメルカリの両方に出して、どちらでも動きませんでした。個人販路に持ち込んだ瞬間に需要がゼロになる商材は、業務用機器にはたくさんあります。
参加費が入札の仕方を歪める
もう一つ、この一件の手前にある構造を書きます。私はモニターだけに入札したのではなく、その回に出ていた商品を落札履歴と照らして片っ端に価格差をリサーチし、差が取れそうなものには入札していました。結果、他はすべて競り負け、落ちたのはモニターのロットだけでした。歪みが大きく見えたのは、この1件だけだったからです。
ここに参加費2,000円が効いてきます。参加費は開催ごとの固定額で、その回に何点落とせるかは入札の時点では分かりません。10点落ちれば1点200円ですが、1点しか落ちなければその1点に2,000円が乗り、落札10%と送料を足すと、普通の価格差では赤字になります。だから道具オークションでは「1点しか落ちなくても参加費を吸収できる価格差」がある商品にしか入札できません。そして、それだけの価格差が業者間の市場に転がっている商品は、他の参加者全員が避けている商品です。参加費が、入札を「安すぎる理由がある商品」に向けて絞り込む構造になっています。
これを避けるには、毎回まとまった点数を確実に落とせるだけの商品知識と販路を持って参加するしかありません。私はブランド品ではそれができていましたが、道具側ではできておらず、1点ずつ勝てる入札を組む効率の悪さを見て、やる価値がないと判断しました。私の記憶にある「参加費で手数料負けした」は、参加費の金額そのものではなく、この構造のことだったのだと、いま書きながら整理しています。
赤字を5つの費用に分解する
| 費用 | 性質 | 10台のケースでの効き方 |
|---|---|---|
| 初回参加料・年間更新料 | 固定費。点数で割れる | 初回3万円を10台で割ると1台3,000円。翌年以降は1万円になり、点数が増えれば消える |
| 参加費(1開催2,000円) | 開催ごとの固定費。同じ回で落とした点数で割れるが、何点落ちるかは入札時に分からない | 10台なら1台200円で金額は軽い。ただし「1点しか落ちなくても吸収できる価格差」の商品にしか入札できなくなり、入札先が「安すぎる理由のある商品」に偏る。当時も2,000円/回だった |
| 落札手数料10% | 変動費。落札額に比例 | 3,400円の10%で340円。今回はほぼ効いていない。単価が上がる商材では往復20%が効く |
| 送料(着払い) | 変動費。大きさと重さに比例 | 私は配送で受け取り、送料も払った。モニターは梱包が大きく、10台3,400円のロットでは送料が落札額に匹敵する。会場引取なら消えるが、車と時間が要る |
| 処分コスト | 売れ残り分だけ発生する負の残存価値 | 液晶は粗大ごみで出せない。10台を車で運ぶ時間と、買取が10台で1,000円未満。売れ残った分は「仕入れ値+手数料+送料」がそのまま全損 |
参加費と落札手数料は今回の赤字にほとんど寄与していません。赤字を作ったのは、需要がない商材を10台まとめて買ったことによる売れ残り率100%と、液晶の処分コストです。そしてその手前に、「安く落ちた理由」を疑わなかった判断があります。ブランド市場3つが記憶に残り、トレファクだけが赤字の市場として記憶に残っているのは、ブランド品にはない「売れ残りの残存価値がマイナスになる商材」を、ブランド品と同じ感覚で買ったからです。
道具オークションの損益式
費用を式にすると、1点あたりの利益はこうなります。
1点の利益 = 販売価格 × (1 − 販路手数料率) − 落札額 × 1.1 − 送料 − 参加費 ÷ その回の落札点数 − 固定費(月換算)÷ 月の落札点数 − 処分コスト × 売れ残り率
落札額 × 1.1 は落札手数料10%を含めた仕入れ原価(消費税は別)。販路手数料率はメルカリなら10%、ヤフオクなら出品者の区分によって変わります。処分コストは、売れ残った場合にその1点で失う金額(仕入れ原価+送料+処分費)に、売れ残る確率を掛けたものです。この最後の項がブランド品ではほぼゼロで、液晶モニターでは大きい。ここが道具オークションの本体です。
点数と単価を入れて計算してみてください。税抜・目安です。
初期値(落札5,000円・販売9,000円・送料2,000円・売れ残り30%)で計算すると、売れた1点の利益は300円ほどしか残らず、売れ残り確率を織り込んだ期待利益はマイナスになります。売れ残り確率をゼロにすればプラスに戻ります。私のモニターは、落札340円・販売価格5,000円と入れれば売れた場合の利益は大きく出ますが、売れ残り確率を100%にすると全額が損失になります。つまり道具オークションで利益が出るかどうかは、落札の上手さより「売れ残らない商材を選べているか」と「送料をゼロにできる距離にいるか」で決まります。そして「安く落ちた」は、売れ残り確率が高いことの最初のサインです。
ブランドオークション側はどうか
トレファクにはブランドオークションもあります。参加費なし、落札5%(20万円未満)で、道具側より条件は軽いのですが、返品システムがなく、開催は月1回です。私がブランド品の仕入れ先として残した市場は、いずれも週単位で数千点から2万点が出る市場でした。出品点数が少ない市場は参加者が同じ商品に集中するので相場が上がり、単体の取引で利益が出ても固定費で逆ザヤになります。月1回開催の市場を、ブランド品の主戦場にするのは順番が違います。
ブランド品が目的なら、先にエコリングのように点数が多く年会費制で月あたりの固定費が安い市場に入り、点数が足りなくなってからオークネットを足す、というのが私が実際にたどった順番です。トレファクのブランドオークションはその後で見ればいい市場です。
誰がトレファクオークションを使うべきか
| 状態 | 判断 |
|---|---|
| 戸田か茨木の会場まで車で引き取りに行けない | 大型商材は着払い送料で利益が消える。小型商材に絞るか、使わない |
| 大型の家具・家電・工具の販路(店頭・地域・ジモティー・ヤフオクの引取限定など)がない | 売れ残りの全損が期待値を食う。販路を先に作る |
| 売れ残った場合の処分ルート(買取店・産廃・リサイクル料金)を知らない | 液晶や家電は捨てるのに金と手間がかかる。処分費を式に入れられない状態で買わない |
| 上の3つが揃っていて、業者相場と個人販路の差が取れる商材を知っている | 使う価値がある。参加費2,000円は1回で10点落とせば1点200円で、費用としては軽い |
| 毎回何点落ちるか読めない | 参加費を1点で吸収できる価格差の商品にしか入札できず、それは売れない商品に偏る。まとまった点数を毎回落とせる商品知識ができるまで待つ |
| ブランド品が目的 | 先に週単位で数千点以上出る市場へ。トレファクのブランド市は月1回・返品なし |
私自身は3つのどれも揃えずに、ブランド品と同じ感覚でモニターを10台買いました。赤字の原因は市場ではなく、道具側の費用構造を式にしないまま入札したことです。
まとめ
トレファクオークションは、古物商許可があれば最短1日で参加でき、初回参加料30,000円・年間更新料10,000円・道具側は参加費2,000円/回と落札10%、ブランド側は参加費なしで落札5%(2026年9月閲覧時点・税抜)です。参加費は10点落とせば1点200円で、金額としては赤字の主因になりません。ただし何点落ちるか分からない状態で払う固定費なので、「1点しか落ちなくても吸収できる価格差」の商品にしか入札できなくなり、入札先が安すぎる理由のある商品に偏ります。赤字を作るのは、往復20%の手数料構造、大型商材の着払い送料、売れ残った液晶のように残存価値がマイナスになる商材の処分、そしてこの入札の偏りです。
私は5,000円以上で売れた履歴を見て理論値2万円と置いた業務用モニター10台を3,400円で落札し、1円でも売れず、10台を車でハードオフまで運んで1,000円未満で全損切りしました。相場の6分の1で誰にも競られずに落ちた時点で、他の参加者全員が「売れない」と知っていた商品だった、というのが後から分かった答えです。式にすると、売れ残り確率をゼロに近づけられる商材と、送料をゼロにできる距離があるかどうかで、この市場は儲かる市場にも赤字の市場にもなります。オンラインの古物市場を横断で比べたい人はこちらの一覧記事を見てください。

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