エコリングオークションは儲からない?撤退理由と利益を出すプロの具体的手法

エコリング儲からない 古物市場

※本記事には紹介(アフィリエイト)リンクが含まれます。紹介経由でご入会いただいた場合、筆者に紹介報酬が発生します。金額は本文中で開示しています。

「エコリングオークションは儲からない」

この言葉を検索した時点で、あなたは正しい順序で動いています。入る前に、コストを確認しようとしているからです。

ただ、その判断材料が間違っている可能性があります。

ネット上の解説記事の多くが、エコオクの落札手数料を「落札額の10%」と書いています。これは誤りです。正確には、エコリングオークションには手数料体系のまったく違う2つの市場があり、10%はもう一方の市場の数字です。

本記事では、公式料金表と、私が実際に支払った請求書の数字だけを使って、コスト構造を最後まで検算します。そのうえで、入会金と年会費を回収できるのかどうかの分岐点を計算します。

読み終えたとき、あなたは「入るべきか、やめるべきか」を、感覚ではなく数字で判断できる状態になっています。私は、やめた方がいい人にはやめることを勧めます。理由は最後まで読めば分かります。

この記事を書いている人間の立場

先に、私自身の立場を明らかにしておきます。

私は現在、エコリングオークションで仕入れをしていません。 会員資格は維持していますが、競りにはほぼ参加していません。年会費だけを払い続けている状態です。

理由は3つあります。

1つ目は面積です。在庫を持つビジネスには、保管する場所が要ります。東京でこれをやると家賃と人件費が固定費として乗り、規模を追うほど収支が悪化しました。

2つ目は頭打ちです。私の場合、限界利益は月200万円前後で止まりました。そこから上に伸ばすには人を雇い、場所を広げる必要があり、それは1つ目の問題に戻ります。

3つ目は絞り込みです。最終的に私が扱っていたのは、ルイ・ヴィトンとシャネルだけでした。それ以外のブランドは追うのをやめました。その2つだけで利益が出ていたからです。

つまり、私にとってエコオクという市場には使い切れない枠が残っていました。この記事と、そこから案内している紹介窓口は、その枠を渡しているものです。

紹介報酬についても書いておきます。以前は1件あたり10,000円でしたが、現在は5,000円に下がりました。理由はおそらく、入会しても実際に競りや出品まで到達する人が想定より少ないからだと思います。

そして正直に言えば、私は「紹介した人の多くは稼げないだろう」と思いながら紹介してきました。

だからこの記事には、精神論を書きません。書くのは、入会金を払って回収できるのかどうか、その分岐点の計算だけです。

1. 結論:儲からないのではなく、コスト構造を誤解したまま参入している

「エコオクはオワコン」「全く儲からない」という評価は、半分は正確で、半分は前提が間違っています。

前提の間違いから先に潰します。

1-1. 「手数料10%」は、別の市場の数字です

エコリングオークションには、2つの市場があります。

市場 主な取扱 手数料体系
ブランド市(エコオク) 時計・バッグ・ジュエリー等 金額帯ごとの固定額
道具市(エコトレ) 家電・食器・ホビー・ゲーム等 売買金額の10%

「10%」は道具市の料率です。ブランド市に当てはめている記事は、別の市場の数字を引用しています。

そしてブランド品を仕入れる目的で参加を検討している人が見るべきは、ブランド市の方です。ここを取り違えたまま「手数料が高いから無理だ」と結論を出している人が、相当数います。

1-2. では、実際の手数料率はいくらか

私が実際に支払った請求書(2021年11月/第205回オークション)で、8点を落札しています。

落札額の合計は310,000円。それに対する落札手数料の合計は9,000円でした。

実効手数料率、2.90%。

「落札額の10%」という前提で撤退を判断していた人は、実際の3倍以上のコストを見積もっていたことになります。詳細は第2章で1点ずつ検算します。

1-3. それでもプロが使い続ける理由

手数料が想定より安いことが分かっても、それだけで儲かるわけではありません。プロがこの市場を使い続ける理由は、別のところにあります。

物量です。

エコリングは一般顧客からの買取量が国内でもトップクラスで、毎回大量の商品が出品されます。物量が多いということは、全てのバイヤーが全ての商品を精査できないということです。

ここに2つの歪みが生まれます。

  • 「山(まとめ売り)」:アクセサリー、ジャンクバッグなどが段ボール単位で出品されます。検品と個別出品の手間がかかるため、人件費を抱える大手ほど敬遠します。後述しますが、手数料の構造上も山は圧倒的に有利です。
  • 見落とされる商品:型番の記載がない商品、画像が不鮮明な商品は、競合が入札しないまま安値で落ちることがあります。誰でも検索できる商品には、誰でも入札するからです。

綺麗なヴィトンを競り合っても、利益は出ません。全員が相場を知っているからです。

2. コスト構造を、請求書と公式料金表で検算する

ここからは数字だけを扱います。

2-1. ブランド市の落札手数料は固定額制

公式料金表(2026年8月時点、税抜表示)は以下の通りです。

落札額 落札手数料(税抜) 実効料率(各帯の上限額で計算)
〜10,000円 500円 5.00%
10,001〜49,999円 1,000円 2.00%
50,000〜99,999円 2,000円 2.00%
100,000〜499,999円 4,000円 0.80%
500,000〜999,999円 8,000円 0.80%
1,000,000円〜 10,000円 1.00%(100万円時)

定率ではないため、単価が上がるほど手数料率は下がります。

なお出品手数料(売る側)は3区分のみで、50,000円以上は一律2,000円です。高額帯では、買う側の方が手数料が重いという非対称があります。出品も視野に入れる場合は、この差を織り込んでください。

2-2. 実際の請求書で1点ずつ検算する

以下は、私が実際に受け取った請求書に記載されていた全8点です。

商品 落札額 当時の落札手数料 実効料率
エルメス ケリー カーフ32 ハンドバッグ 132,000円 2,000円 1.52%
シャネル ラムスキン チェーンショルダー 56,000円 2,000円 3.57%
シャネル ショルダーバッグ 52,000円 2,000円 3.85%
シャネル マトラッセ チェーンショルダー 43,000円 1,000円 2.33%
セリーヌ ショルダーバッグ 10,000円 500円 5.00%
タトラス ファー付きダウン 10,000円 500円 5.00%
プラダ ダウンジャケット 6,000円 500円 8.33%
ドルチェ&ガッバーナ ラムジャケット 1,000円 500円 50.00%
合計 310,000円 9,000円 2.90%

同じ回、同じルールで、実効料率が1.52%から50.00%まで33倍の開きがあります。

この一覧が、この記事で最も重要な表です。「手数料が高いか安いか」は、市場ではなくあなたが何を落札するかで決まるということが、ここに全部出ています。

2-3. ただし、高額帯の手数料は当時から上がっています

ここは正直に書きます。この請求書の数字を、そのまま現在に適用しないでください。

2021年当時、50,000円以上はすべて一律2,000円でした。現在は上に3段階が追加されています。同じ8点を現行料率で計算し直すと、こうなります。

商品 落札額 2021年当時 現行料率
エルメス ケリー カーフ32 132,000円 2,000円 4,000円
(他7点) 178,000円 7,000円 7,000円
合計 310,000円 9,000円 11,000円
実効料率 2.90% 3.55%

10万円を超える商品を扱う場合、当時より手数料は倍になっています。それでも定率10%とは3倍近い開きがありますが、「昔の記事に書いてある数字」は使えないということです。

これは他の記事にも当てはまります。公開日と更新日を確認せずに数字を信じないでください。この記事の料金表は2026年8月時点で公式サイトを確認したものです。

2-4. 【重要】手数料には「崖」がある

固定額制の最大の落とし穴が、ここです。私が知る限り、この構造を書いている記事は他にありません。

入札は1,000円単位で行われます。そして手数料は金額帯の境界で段階的に跳ね上がります。つまり、あと1,000円上乗せしただけで、手数料が数千円増える地点が存在します。

この額で止めれば 手数料 1,000円上乗せすると 手数料 実質的な差額
10,000円 500円 11,000円 1,000円 1,500円
49,000円 1,000円 50,000円 2,000円 2,000円
99,000円 2,000円 100,000円 4,000円 3,000円
499,000円 4,000円 500,000円 8,000円 5,000円
999,000円 8,000円 1,000,000円 10,000円 3,000円

499,000円で落札するのと、500,000円で落札するのとでは、実質5,000円の差が出ます。1,000円多く払っただけで、支払総額は5,000円増える。

そして問題は、キリのいい数字が、人間にとって最も入札しやすい金額だということです。

10万円ちょうど。50万円ちょうど。100万円ちょうど。これらは心理的に区切りが良く、指値として真っ先に思い浮かぶ金額であり、同時に構造的に最も損をする入札額です。

指値を入れるときは、境界の手前で止めてください。99,000円、499,000円、999,000円。これだけで、年間の手数料は目に見えて変わります。

手数料を「10%」だと思い込んでいる限り、この崖は永久に見えません。

2-5. 損益分岐倍率は、単価ごとに違う

固定額制であることの帰結を、今度は販売側から見ます。

多くの記事が「落札額の1.3〜1.4倍で売ってようやくトントン」と一律に書いていますが、これも誤りです。実際には単価によって、必要な倍率は倍以上変動します。

以下は、メルカリで販売した場合(販売手数料10%・送料800円と仮定)の損益分岐点です。

落札額 落札手数料 仕入原価 必要売値 損益分岐倍率
1,000円 500円 1,500円 2,556円 2.56倍
6,000円 500円 6,500円 8,111円 1.35倍
10,000円 500円 10,500円 12,556円 1.26倍
43,000円 1,000円 44,000円 49,778円 1.16倍
99,000円 2,000円 101,000円 113,111円 1.14倍
132,000円 4,000円 136,000円 152,000円 1.15倍

※送料は商品サイズにより変動します。ここでは全点800円で統一した試算です。

13万円のバッグは、1.15倍で売れれば黒字です。
1,000円の小物は、2.56倍で売らないと赤字です。

2-6. 本当に赤字を生むのは「低単価の単品」

私の請求書には、明確な失敗が1点写っています。

ドルチェ&ガッバーナ ラムジャケット、落札額1,000円・手数料500円。実効50%。

落札した瞬間に、実効手数料50%が確定しています。そこに消費税、送料、販売手数料10%、梱包資材費が乗り、さらに検品・撮影・出品・梱包の作業時間がかかります。2.56倍で売って、ようやくトントンです。

「安いから」という理由で拾った低単価の単品は、固定額制の下では構造的に赤字になります。

そして、これはそのまま「山(まとめ売り)」が有利である理由でもあります。

山は、何点入っていようと1ロット=1点として扱われます。20,000円で20点入りの山を落札すれば、落札手数料は1,000円。1点あたり50円です。同じ20点を単品で拾えば、手数料だけで10,000円かかります。

避けるべきは「安いもの」ではなく、「安い単品」です。

「山を狙え」というアドバイスは各所で語られていますが、その根拠が手数料の構造にあることは、ほとんど説明されていません。

2-7. 消費税の扱いは、事業者区分によって変わる

請求書には、落札額310,000円に対して消費税31,000円が計上されています。

多くの解説記事は、この10%を丸ごと原価として計算しています。しかし消費税の実質的な負担がどうなるかは、事業者区分や登録状況によって異なります。仕入時に支払った消費税を控除できる立場かどうかで、実質的な仕入原価は変わります。

同じ商品を同じ金額で落札しても、条件によって手取りが変わるということです。「儲かる」と言う人と「儲からない」と言う人が並存する理由の一つが、ここにあります。同じ市場の話をしていないのです。

具体的な取り扱いは必ず税理士にご確認ください。本記事は税務上の助言ではありません。

2-8. 送料は月単位のまとめ請求

「1点だけ落札すると送料で利益が消える」という指摘をよく見ますが、請求書の注記はこうです。

※送料は、後日請求(月単位)でのご請求となります。

落札のたびに個別請求されるのではなく、月単位でまとめて後日請求される仕組みです。したがって「1点仕入れ=1箱分の送料が即座に確定」という単純な構造ではありません。

ただし、月間の落札点数が少なければ1点あたりの物流コストが重くなる、という原則は変わりません。月次で按分して計算してください。

2-9. キャンセルは実質的に不可能だと考えること

見落とされがちですが、これが最大のリスクです。

公式規定では、落札会員の都合でキャンセルする場合、落札商材価格の10%+オークション手数料+税のペナルティが発生します(出品側都合の場合は20%)。しかもキャンセルが可能なのは、オークション開催当日中に申し出た場合のみです。

10万円の商品を落札してから「やっぱり要らない」と判断した場合、1万円超が消えます。届いてから中止することはできません。

画像で判断して入札する以上、後戻りはできない。入札ボタンを押した時点で、あなたはその商品を買っています。

3. 入会金を払って回収できるのか、計算する

ここが、この記事で最も重要な章です。

エコオクは、参加するだけで固定費がかかります。その固定費を回収できないなら、入らない方がいい。これは煽りではなく、算数です。

3-1. 初期費用は、入会する月によって11,000円変わる

公式料金表(2026年8月時点、いずれも税抜表示)は以下の通りです。

項目 金額(税抜)
入会金 30,000円
年会費(毎年8月更新) 20,000円
 └ 2月〜7月入会の場合、初年度のみ 10,000円

税込に直すと、初年度の総額はこうなります。

入会時期 入会金 年会費 初年度合計(税込)
8月〜1月 33,000円 22,000円 55,000円
2月〜7月 33,000円 11,000円 44,000円

2月から7月の間に入会するだけで、11,000円変わります。

年会費の更新は毎年8月です。つまり8月に入会すると、初年度分をまるまる払ったうえで、翌8月にまた更新が来ます。急ぐ理由がないなら、2月まで待つ方が合理的です。

2年目以降は年会費22,000円(税込)のみ。支払いは銀行振込で、クレジットカードは使えません。落札代金も同様に、オークション終了後に発行される請求書に対する期日内の振込です。カードで仕入資金を繰り延べる資金繰りは使えません。

なお参加には古物商許可証が必須です。未取得の場合、申請手数料19,000円が別途かかります。

3-2. 固定費の回収に必要な取引数

初年度の固定費を、1点あたりの純利益で割ります。

1点あたり純利益 8〜1月入会
(55,000円)
2〜7月入会
(44,000円)
2年目以降
(22,000円)
1,000円 55点 44点 22点
3,000円 19点 15点 8点
5,000円 11点 9点 5点
10,000円 6点 5点 3点
30,000円 2点 2点 1点

これは固定費の回収だけの数字です。ここに仕入資金、送料、梱包資材、そして最も見落とされる作業時間が乗ります。

この表を見て「30,000円の利益を2点出せばいいなら余裕だ」と思った方は、もう一つ掛けてください。落札率です。

入札しても、落札できるとは限りません。相場を割った金額で指値を入れるなら、落札率は当然下がります。仮に落札率が10%なら、19点落札するには190件の入札が必要です。そしてその190件それぞれについて、商品を見て、相場を調べ、上限を決める作業が発生します。

3-3. 「利益額」ではなく「利益 ÷ 拘束日数」で見る

ここまでの計算には、1つ足りない変数があります。時間です。

拘束日数とは、リサーチから入金までの全日数です。商品を見る、相場を調べる、入札する、落札する、届く、検品する、清掃する、撮影する、出品する、売れるのを待つ、梱包する、発送する、入金される。ここまでを1サイクルとして数えます。

利益3,000円の商品が3日で回れば、日次1,000円です。
同じ利益3,000円でも90日滞留すれば、日次33円です。

この2つは、同じ商品ではありません。金額が同じでも、資金効率は30倍違います。

そして、同じ資金を年間で何回転させられるかが、最終的な利益額を決めます。50,000円で仕入れて55,000円で売る取引は、利益5,000円ですが、その間50,000円が拘束されます。1ヶ月かかれば、その月は次の仕入れができません。

「儲からない」と言われる本当の理由は、手数料でも相場でもありません。測っていないからです。

利益額だけを見て、拘束日数を数えていない。だから、時給が最低賃金を割っていることに気づけない。気づかないまま在庫が積み上がり、資金が止まり、ある日「儲からない」と検索する。

入る前に、自分が何日で1サイクルを回せるのかを見積もってください。それができないなら、入るのは早いです。

3-4. 入らない方がいい人

正直に書きます。以下に当てはまる方には、入会をおすすめしません。

  • 月に数点しか扱う予定がない方。年会費22,000円を、1点あたりの利益で割ってください。
  • 低単価の単品だけを狙うつもりの方。2-6で示した通り、手数料の構造上、赤字になります。
  • 拘束日数を記録する習慣がない方。儲かっているかどうかを、そもそも判定できません。
  • 資金をカードで繰り延べる前提の方。支払いは銀行振込のみです。
  • 古物商許可を取る予定がない方。そもそも参加できません。

私は紹介する立場ですが、上に当てはまる方に入会していただいても、おそらく年会費を回収できません。それは私にとっても意味がありません。

4. 撤退者に共通する3つの失敗

ここからは、実際に撤退していく人に共通するパターンを、構造として説明します。

4-1. ハイブランドの単品狙いによる資金拘束

初心者が最も吸い寄せられるのが、誰でも知っているド定番商品です。

問題は、定番品は全バイヤーが相場を知っていることです。入札競争が激化し、利益が出るギリギリの価格でしか落札できません。

そして「高単価・薄利」は、資金の少ない個人にとって最も危険な組み合わせです。50,000円で仕入れて55,000円で売る場合、利益は5,000円ですが、その間50,000円の現金が拘束されます。売れるのに1ヶ月かかれば、次の仕入れ資金が枯渇します。

これは資金力のある業者が「数で稼ぐ」ための戦略であり、個人が真似をするとキャッシュフローが先に死にます。3-3で書いた通り、見るべきは利益額ではなく日次の利益です。

4-2. 画像判断の限界

エコオクはオンライン完結型です。ここに構造的な落とし穴があります。画像に写らない欠陥が存在することです。

  • におい:タバコ、香水、カビ。画像では一切伝わりません。届いた瞬間に商品価値が決まります。
  • 内側の加水分解:ポケット内部のベタつき。画像では影にしか見えませんが、実物は指が張り付くことがあります。
  • 革の硬化・乾燥:手触りは画像判定が不可能です。

2-9で書いた通り、届いてからのキャンセルはできません。したがって、入札時の姿勢は一つしかありません。

画像で見えない部分は、最悪の状態であると仮定して入札額を決めること。

初心者は「たぶん拭けば落ちる」「たぶんBランク相当だろう」という希望的観測で入札します。プロは見えない部分を減点してから入札します。この差が、そのまま損益の差になります。

4-3. 相場ツールのタイムラグと「最高値バイアス」

「過去に3万円で売れているから、2万円で仕入れれば勝てる」という思考も危険です。

理由は2つあります。

1つ目はタイムラグです。中古相場は動きます。季節、トレンド、同業者が一斉に放出したタイミングなどで、数週間のうちに相場が変動します。過去の落札データは、あくまで過去です。

2つ目は最高値バイアスです。検索結果の中で最も高く売れた履歴を基準にしてしまう。しかしそれは「状態が極上で、付属品が完備されていた」1例かもしれません。

基準にすべきは直近の中央値、あるいは下限値です。そこで利益が出る価格でしか入札しない。これが原則です。

5. 利益を出すための具体的なルート

構造的な敗因が分かったところで、勝ち筋の話をします。

5-1. 「山(まとめ売り)」のバラし販売

2-6で計算した通り、山は手数料の構造上、圧倒的に有利です。1ロットが1点として扱われるため、点数が多いほど1点あたりの手数料は下がります。

「バッグ20点山」を20,000円で落札できれば、1点あたりの仕入れ値は1,000円、落札手数料は全体で1,000円です。中にゴミ同然のものが含まれていても、数点が中堅ブランドで5,000円〜10,000円で売れれば、それだけで元が取れます。

大手業者は人件費がかかるため、山の解体・検品・個別出品という手間を嫌います。個人の強みは、大手が見送る手間を引き受けられることにあります。

ただし山には、後述する拘束日数の問題があります。20点を検品・撮影・出品する時間は、20点分かかります。利益÷拘束日数で必ず計算してください。

5-2. バッグ以外のジャンルに視点をずらす

「エコリング=ブランドバッグ」というイメージが強いため、バッグカテゴリは常に競合が多い領域です。視点をずらすだけで、競合は減ります。

  • アパレル:採寸、アイロン、撮影の難易度が高いため、バッグ中心のバイヤーは参入を嫌います。
  • 時計(クォーツ・国産):高級時計ではなく、電池切れ・動作未確認で安く出ているものを狙い、電池交換して稼働品として売る。これだけで価値が変わります。
  • 宝飾品:デザインが古くても、素材(金・プラチナ)としての価値は変わりません。

5-3. リペアを前提にした仕入れ

私自身の本業は修理と買取です。この視点から言えることが一つあります。

中古品の相場は「状態」で決まるのではなく、「復元コスト」で決まります。

同じ商品の落札履歴を並べたとき、価格が大きくばらついていることがあります。多くの人はこれを「ノイズ」だと考えますが、違います。ジャンク相場と稼働品相場という、二つの市場が同じ画面に並んでいるだけです。

この二層の差額が、修理技術の対価です。素人が嫌う角スレ、メッキのくすみ、型崩れといった状態は、極端に安く取引されます。それを良品の水準まで戻せるなら、その差額はそのまま利益になります。

ただし、ここで必ず計算に入れるべきものがあります。作業時間です。

材料費が数百円でも、作業に2時間かかるなら、それは2時間分の拘束です。利益 ÷ 拘束日数の式に、修理時間を必ず含めてください。「安く仕入れて自分で直せば儲かる」という発想が破綻するのは、この時間を数えていないときです。

 

5-4. 入札ルール:掛け目は単価によって変わる

「相場の7掛けで入札しろ」というルールをよく見ますが、これも一律には成立しません。手数料が固定額だからです。

以下は、想定売価に対して利益率20%を確保するための入札上限です(メルカリ販売手数料10%・送料800円で試算)。

想定売価 入札上限 そのときの手数料 掛け目
5,000円 2,000円 500円 40%
10,000円 5,000円 500円 50%
20,000円 12,000円 1,000円 60%
30,000円 19,000円 1,000円 63%
50,000円 33,000円 1,000円 66%
80,000円 53,000円 2,000円 66%
120,000円 81,000円 2,000円 68%
200,000円 135,000円 4,000円 68%
300,000円 205,000円 4,000円 68%

掛け目は40%から68%まで変動します。「7掛け」が使えるのは高単価帯だけで、5,000円で売る商品は4掛けまで下げないと利益率20%は残りません。

低単価品を「7掛けだから大丈夫」と入札している人は、その時点で計算が合っていません。

加えて、2-4で示した崖を避けてください。上限が100,000円と出たなら、99,000円で止める。1,000円譲るだけで、手数料が2,000円下がります。

そしてもう一つ。リアルタイムの競りに張り付かないこと。事前入札(指値)機能があります。冷静な時間に相場を調べ、上限を入力したら、当日は画面を見ない。競り上がる画面を見ると、人間は「勝ちたい」と思ってしまいます。

落ちたら仕入れ、落ちなければ縁がなかった。この割り切りができる人だけが、利益を残せます。

6. 他の古物市場と比べてどうか

「エコリングで勝てない」と感じる場合、実力の問題ではなく、市場の特性と自分の戦略が合っていないだけの可能性があります。

国内には他にも有力な古物市場があります。それぞれ性格が違うので、自分が戦うべき場所を選んでください。

比較項目 エコリング(エコオク) JBA SBA アプレ
主な商材 バッグ、アパレル、道具類、山 バッグ、宝飾 ハイブランド全般 貴金属、時計
出品情報の精度 粗い 高い 高い 高い
落札相場 比較的安い 標準〜高め 高め 標準
ロットの傾向 山が多い 単品中心 単品中心 単品〜小ロット
向いている人 手間を引き受けられる人 確実性を重視する人 資金力がある人 在庫リスクを抑えたい人

※各市場の手数料・入会条件は改定されます。比較検討の際は、必ず各社の公式情報を直接ご確認ください。

ここで重要なのは、エコリングの「情報の粗さ」は、見方によっては武器になるということです。

出品票が丁寧で型番が正確に記載されている市場では、誰でも相場を検索できます。つまり全員が同じ情報を持っているので、価格は適正になり、そこに歪みは生まれません。

逆に型番が書かれていない商品は、初心者が検索できません。画像から商品を特定できる知識がある人だけが、安く買えます。情報の非対称性が利益の源泉になるのは、この構造があるからです。

したがって、エコリングは「安全に確実に仕入れたい人」向けの市場ではありません。自分で商品を特定できる人向けの市場です。

7. まとめ:市場の問題ではなく、計算の問題です

ここまでの内容を整理します。

  • 「手数料10%」は道具市の数字であり、ブランド市は金額帯ごとの固定額制。私の請求書の実効料率は2.90%(現行料率換算で3.55%)でした。
  • 固定額制なので、実効料率は単価によって1.52%から50%まで変動します。
  • 金額帯の境界に手数料の崖があります。10万円ちょうど、50万円ちょうどは、構造的に最も損をする入札額です。
  • 損益分岐倍率も一律ではなく、1.15倍から2.56倍まで変動します。避けるべきは「安いもの」ではなく「安い単品」です。
  • 初年度の固定費は44,000円または55,000円(入会月による)。回収できないなら、入らない方がいい。
  • そして最も重要なのは、利益額ではなく「利益 ÷ 拘束日数」で測ることです。

「儲からない」という言葉は、多くの場合、測っていないことの言い換えです。

手数料を10%だと思い込み、崖の存在を知らず、掛け目を一律7掛けで計算し、拘束日数を数えていない。その状態で数ヶ月やって、口座の残高を見て「儲からない」と結論を出す。

市場は変わりません。変えられるのは、計算の方だけです。

この記事の数字を使って、あなた自身の条件で計算してみてください。回収できないという結論が出たなら、それは正しい判断です。入らない方がいい。

回収できるという結論が出たなら、次に必要なのは、入会コストを最小化することです。入会する月を選ぶだけで11,000円変わります。

よくある質問

エコリングオークションの手数料は本当に10%ではないのですか?

ブランド市(エコオク)の落札手数料は、金額帯ごとの固定額です。10,000円までが500円、10,001〜49,999円が1,000円、50,000〜99,999円が2,000円、以降も段階的に上がります(いずれも税抜)。「売買金額の10%」は道具市(エコトレ)の料率です。両者を混同している解説記事が多く見られます。最新の金額は公式の利用料金ページでご確認ください。

入会金が無料になる方法はありますか?

入会金そのものが無料になる制度は、公式には設けられていません。一方で、初年度の年会費は入会月によって変わります。2月〜7月に入会した場合、初年度の年会費は半額の10,000円(税抜)です。この差だけで税込11,000円変わります。また時期によってキャンペーンが実施されることがあります。

古物商許可がなくても参加できますか?

できません。エコリングオークションの入会条件には、日本国内の古物商許可証を保有していることが含まれます。未取得の場合、申請手数料19,000円が別途必要になります。

落札した商品をキャンセルできますか?

オークション開催当日中に申し出た場合に限り可能ですが、落札会員都合の場合、落札商材価格の10%+オークション手数料+税のペナルティが発生します。商品が届いてから状態を確認して返品する、ということはできません。画像判断の精度が、そのまま損益に直結します。

クレジットカードで支払えますか?

できません。入会金・年会費・落札代金のいずれも銀行振込です。オークション終了後に請求書が発行され、期日内に振り込む必要があります。カードで仕入資金を繰り延べる資金繰りは使えないため、参入前に運転資金を確保しておく必要があります。

初心者でも利益は出せますか?

手数料の構造を理解し、拘束日数を測る習慣があれば可能です。逆に、低単価の単品を「安いから」という理由で拾い続けると、手数料の構造上ほぼ確実に赤字になります。まず初年度の固定費(44,000円または55,000円)を、想定する1点あたりの利益で割ってみてください。その点数を落札できる見込みがないなら、入会は見送るべきです。

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真面目に働いても給料が上がらないのは、
あなたの能力ではなく
買い手が一社しかいないからです。
売り手が多数いて、買い手が一者しかいない市場では、
価格は買い手の内部規則で決まります。
転職しても、買い手が別の一社に変わるだけ。
構造は変わりません。
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