損益分岐点とは|計算式と具体例。月利80万〜200万円でも残らなかった私の数字で説明します

損益分岐点とは|計算式と具体例。月利80万〜200万円でも残らなかった私の数字で説明します 経済・経営の用語

損益分岐点は、利益がちょうどゼロになる売上のことです。これより売れば黒字、これより少なければ赤字。その境目です。

損益分岐点の売上 = 固定費 ÷ 限界利益率
損益分岐点の点数 = 固定費 ÷ 1点あたりの限界利益

式は、これだけです。むずかしいのは、計算ではありません。自分の損益分岐点が、毎月の売上の「ゆれ幅」の、どこにあるかを知ることです。

私は、ブランド品を直して売る仕事で、月に80万円から200万円の利益を出していました。それでも、ならすと逆ザヤでした。あとで計算して分かったのは、損益分岐点が、そのゆれ幅の、ちょうど中にあったことです。この記事では、その数字を、そのまま使います。計算機も置きました。

1. 損益分岐点とは

費用を、2つに分けます。売った数に比例して増える変動費(仕入れ値、販売手数料、送料、部品代)と、1つも売れなくても毎月出ていく固定費(人件費、家賃、ツールの月額料金)です。

売上から変動費を引いた残りが、限界利益です。くわしくは、限界利益とはに書きました。限界利益を積み上げていって、固定費と同じ額になったところが、損益分岐点です。

言葉 何が分かるか
損益分岐点売上高 固定費 ÷ 限界利益率 いくら売れば、赤字が消えるか
損益分岐点販売量 固定費 ÷ 1点あたりの限界利益 何点売れば、赤字が消えるか
目標利益を入れた売上 (固定費 + 目標利益)÷ 限界利益率 自分の取り分まで残すには、いくら売るか
安全余裕率 (いまの売上 − 損益分岐点売上高)÷ いまの売上 売上が何%落ちても、赤字にならないか

ひとりで仕事をしている人が、まず見落とすのは、3行目です。固定費を埋めただけでは、自分の生活費は、1円も出ていません。自分の取り分を、固定費と同じように、先に式に入れます。

2. 実際の数字で、計算します

例は、1万円で売る、ブランド品の財布です。ファスナーの引手を交換して売ります。

項目 金額
売値 10,000円
仕入れ値 4,000円
販売手数料(売値の10%) 1,000円
部品代 200円
送料(送り先で変わるので、仮に置いた数字) 500円
変動費の合計 5,700円
1点あたりの限界利益 4,300円(限界利益率43%)

当時の人件費は、社員とアルバイトを合わせて、月に45万円から50万円でした。まん中の47万5,000円を、固定費として計算します。

  • 損益分岐点の点数:47万5,000円 ÷ 4,300円 = 月に111点
  • 損益分岐点の売上:47万5,000円 ÷ 0.43 = 約110万円
  • 自分の給与100万円まで残すには:(47万5,000円 + 100万円)÷ 4,300円 = 月に344点

111点と、344点。3倍以上、ちがいます。「赤字にならない線」と、「自分が生活できる線」は、別のものです。

3. 計算機

損益分岐点の計算機(はじめの数字は、1万円で売る財布と、私の当時の人件費の例です。自分の数字に書きかえてください)

1点の売値(円)

1点の変動費(仕入れ値・手数料・送料・部品代の合計。円)

毎月の固定費(円)

これから足そうとしている固定費(倉庫、人、ツールなど。円)

自分の取り分として、毎月残したい金額(円)

いまの月の販売点数(点)


「いまの月の販売点数」のはじめの数字は、私の当時の少ないほうの週(週に50点)を、月に直した217点です。実際には、1万円の財布だけでなく、数万円から数十万円のバッグも混ざっていました。だから、下の結果は、私の当時の成績そのものではありません。計算のしかたを見るための例です。

4. 私の損益分岐点は、利益のゆれ幅の中にあった

当時の私の利益は、人件費を引く前で、月に80万円から200万円でした。月によって、大きく変わります。ここでは、この数字を、限界利益の合計として扱います。

必要だった金額を、下から積み上げます。

積み上げ 毎月、必要な限界利益 80万〜200万円のゆれ幅の中で
人件費だけ 47万5,000円 いちばん悪い月でも、こえる
+ 自分の給与100万円 147万5,000円 ゆれ幅の、まん中あたり。こえる月と、こえない月がある
+ 倉庫か事務所(見積もりで月30万〜50万円以上) 177万5,000円〜197万5,000円 ゆれ幅の、ほぼ上のはし。いちばん良い月で、やっと届く

2行目が、私のいた場所です。損益分岐点が、ゆれ幅のまん中にある。これは、毎月、コインを投げているのと同じです。良い月は残る。悪い月は足りない。ならすと、残りません。そして、今月がどちらになるかは、月の終わりまで分かりません。毎月の数字に追われることが、強いストレスになりました。

3行目が、大きくするのをあきらめた理由です。在庫が自宅を占領していたので、先に進むには、倉庫か事務所が要りました。それを足すと、損益分岐点は、過去にいちばん良かった月の利益と、ほぼ同じになります。つまり、毎月、自己ベストを出し続けて、やっとゼロです。この割り算をして、借りるのをやめました。大きくするほど1点あたりの費用が上がっていくしくみは、規模の経済の記事に書きました。

当時の私に足りなかったのは、売る力ではありません。固定費を決める前に、この表を書くことでした。経緯は、パーキンソンの法則の記事に書いています。

5. 小さな固定費でも、損益分岐点は動く

固定費は、人件費や家賃のような、大きなものだけではありません。

5-1. 参加費が2,000円の、古物市場

業者向けのオークション(古物市場)の中には、参加するたびに、参加費がかかるところがあります。私が参加した市場は、1回2,000円でした。

2,000円は、小さく見えます。でも、これは、その回の固定費です。1点の限界利益が1,000円の物なら、2点落札して、やっとゼロ。1点しか落とせなければ、赤字です。すると、「1点だけでも参加費を取り返せる、大きな価格差のある物」にしか、入札できなくなります。そういう物は、めったに出ません。全部の落札履歴を調べて、価格差が大きかったのは、業務用モニターのロットだけでした。それを3,400円で落札して、結果は、全損でした。くわしくは、トレファクオークションは儲かるのかに書きました。

出品の数が少なくて、参加費がかかる市場は、1回ごとの損益分岐点が高くなります。私が最後まで使ったのが、出品の数が多くて、会費が年に1回払いの市場だったのは、このためです。市場の選び方は、オンライン古物市場は2社で足りるにあります。

5-2. 何もしなくても出ていく、月1万円

Amazonで売る場合、価格の推移を見るツールや、価格を自動で変えるツールを使います。合わせると、何もしなくても、月に1万円近くが出ていきます。

1点の限界利益が500円の商品なら、ツール代だけで、月に20点です。副業で、月に30点しか売らない人にとっては、売上の3分の2が、ツール代の穴埋めに消えます。ツールが要るかどうかは、Amazonの価格改定ツールは要るのかで計算しています。

6. 損益分岐点を下げる方法は、3つしかない

式を見れば、分かります。

  • 固定費を下げる。いちばん確実で、いちばん速く効きます
  • 1点あたりの限界利益を上げる。高く売るか、安く仕入れるか、手数料の安い場所で売るか
  • 同じ固定費のまま、売る点数を増やす。これは、損益分岐点を下げているのではなく、こえに行っているだけです。自分の時間が上限になります

私がやったのは、1つ目です。ただし、けずったのではなく、固定費がほとんどかからない仕事に、移りました。

いまの私の仕事(書いて、教える)で、毎月かならず出ていくのは、サーバー代が年に13,200円、メールの配信スタンドが月に3,300円。合わせて、月に4,400円です。損益分岐点は、ほぼゼロです。1つも売れない月があっても、失うのは4,400円です。中身は、エックスサーバーとWordPressを選ぶ理由と、マイスピーはビギナープランで足りるかに書きました。

月に47万5,000円の固定費をかかえて、毎月コインを投げていたころと、くらべます。売上の大きさは、ここでは関係がありません。悪い月が来たときに、いくら失うか。損益分岐点は、それを先に教えてくれる数字です。

7. 損益分岐点は、「やる価値がある線」ではない

最後に、注意を1つ。損益分岐点をこえていても、その仕事に、やる価値があるとは限りません。

月に111点を売るには、1点に1時間かかるなら、111時間が要ります。その111時間で、利益はゼロです。344点なら、344時間。1か月は、約730時間しかありません。損益分岐点の式には、自分の時間が入っていません。点数が出たら、かならず、時間に直してください。計算のしかたは、限界利益の記事の4章に書きました。

8. まとめ

  • 損益分岐点は、利益がゼロになる売上。固定費 ÷ 限界利益率で出る。点数なら、固定費 ÷ 1点あたりの限界利益
  • ひとりで仕事をしている人は、自分の取り分を、固定費と同じように式に入れる。私の例では、赤字にならない線が月111点、自分の給与まで残す線が月344点だった
  • 私の損益分岐点(人件費+自分の給与で、月147万5,000円)は、利益のゆれ幅(月80万〜200万円)のまん中にあった。だから、ならすと残らなかった
  • 倉庫を足すと、損益分岐点は、いちばん良かった月の利益とほぼ同じになった。それで、大きくするのをやめた
  • 1回2,000円の参加費や、月1万円のツール代のような小さな固定費でも、1点の限界利益が小さければ、損益分岐点は大きく動く
  • 下げる方法は、固定費を下げるか、1点の限界利益を上げるか。私は、固定費が月4,400円の仕事に移った
  • 損益分岐点をこえていても、やる価値があるとは限らない。点数が出たら、時間に直す

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