サイロ化とは|意味と原因、対策。セクショナリズムとのちがいと、わざとサイロを作っている私の、使い分け

サイロ化とは|意味と原因、対策。セクショナリズムとのちがいと、わざとサイロを作っている私の、使い分け 経済・経営の用語

サイロ化とは、組織の中の部署や、システムが、それぞれ孤立して、情報がつながらなくなっている状態のことです。サイロは、牧場にある、穀物やえさを入れておく、背の高いタンクです。1本1本が、かべで仕切られていて、中身は、まざりません。その形から、名前がつきました。

先に、書いておきます。私は、会社員として、大きな組織で働いたことが、ありません。だから、「となりの部署が、情報を出してくれない」という痛みは、体では、知りません。私が知っているのは、1人で仕事をしていても、サイロは起きる、ということ。そして、わざと作ったほうがいいサイロもある、ということです。この記事は、その立場から、書きます。

この記事では、意味と原因を先に書いて、そのあとで、計算機、私の例、対策を書きます。

1. サイロ化とは

1-1. 2つの種類

種類 何が起きているか
組織のサイロ化 部署どうしが、情報を出し合わない。自分の部署の数字だけを、見ている 営業が受けた苦情が、開発に、とどかない
データ(システム)のサイロ化 部署ごとに、別のソフトや表を使っていて、データが、つながらない 同じお客の名前が、営業の表と、経理のソフトに、別々に入っている

2つは、たいてい、いっしょに起きます。部署が別々に動くので、ソフトも別々に入れる。ソフトが別々なので、ますます、部署が別々に動く。このくり返しです。

1-2. セクショナリズムとの、ちがい

言葉 さしているもの
サイロ化 情報がつながっていない、という「状態」
セクショナリズム 自分の部署のつごうを、全体より先にする、という「考え方」。なわばり意識
たて割り 上から下への線だけで動く、という「組織の形」。役所について、よく使われる

セクショナリズムは、人の気持ちの話です。サイロ化は、結果の話です。だれも、なわばり意識を持っていなくても、しくみがつながっていなければ、サイロ化は、起きます。ここを分けておくと、対策を、まちがえません。

2. なぜ、サイロ化するのか

2-1. 部署ごとの数字で、評価されるから

営業は、売上で、評価されます。製造は、原価で、評価されます。すると、営業は、むりな納期でも、注文を取ります。製造は、原価を守るために、それを、ことわります。どちらも、自分の数字に対しては、正しく、動いています。数字が目標になると、その数字の外にあるものは、見られなくなります。これは、グッドハートの法則と、同じ形です。

2-2. 情報を出しても、出した側は、得をしないから

となりの部署に情報をわたす手間は、自分の部署が、払います。得をするのは、となりの部署です。全員が「もらうだけ」に回ると、だれも、出さなくなります。これは、フリーライダーの記事で書いた、公共財と、同じしくみです。悪い人がいるのではなく、出すと損をする形に、なっているのです。

2-3. 人がふえると、線が、急にふえるから

全員が全員と話すには、人数が n のとき、n×(n−1)÷2 本の線が、いります。6部署なら、15本。12部署なら、66本です。部署が2倍になると、線は、4倍以上になります。全部をつなぐのは、むりです。だから、組織は、どこかで、かべを作ります。サイロは、さぼりの結果ではなく、大きくなった組織の、自然な形です。

2-4. システムは、組織の形を、うつすから

「システムを作る組織は、その組織の連絡の形を、そのままうつした設計を、作ってしまう」。これは、1968年に、メルヴィン・コンウェイが書いた考えで、コンウェイの法則と、呼ばれています。部署が3つに分かれていれば、ソフトも、3つに分かれます。データのサイロ化は、組織のサイロ化の、かげです。ソフトだけを1つにまとめても、組織が別々のままなら、また、分かれます。

3. 計算機:サイロの、見えない費用

サイロ化の費用は、請求書に、出てきません。出てくるのは、「同じデータを、べつの場所に、もう1回入れる時間」です。それを、お金に、直します。

同じデータを入れている場所の数 か所

1件を、1か所に入れる時間

1か月の件数

入れている人の時給

部署(またはチーム)の数

二重入力の時間(1か月):

二重入力の費用(1か月 / 1年):

全部署をつなぐのに、いる線の数:

はじめの数字だと、1か月に33.3時間、約6万7千円、1年で80万円です。1か所目の入力は、必要な仕事です。2か所目からが、サイロの費用です。ここには、入力のまちがいを直す時間や、古いデータで判断した損は、入っていません。実際は、これより、大きくなります。

4. 私の例:1人でも、サイロは起きる

4-1. 売り場ごとに、出品が、別々だった

私は、ネットで物を売ってきました。同じ商品を、いくつもの売り場に出せば、売れる速さは、上がります。けれど、売り場は、それぞれ、別の会社のものです。出品のデータは、つながっていません。同じ商品を、売り場の数だけ、くり返し、出品することになります。リスクの面でも、規約の面でも、複数の売り場で売るのは、大変でした。

転機は、出品をコピーできるツール(フリマアシスト)でした。1回作った出品を、べつの売り場に、かんたんに写せるようになって、複数の売り場が、はじめて、現実的になりました。やったことは、3章の計算機の「2か所目からの入力」を、ほぼ0にした、ということです。社員が1人もいなくても、データのサイロは、起きます。そして、つなぐ道具が1つあるだけで、消えます。

4-2. いまは、AIどうしを、つないでいる

いまの私は、AIを、1つだけでは、使いません。1つのAIだと弱い推論も、いくつかのAIを使って、よいところだけを取れば、強くなります。時間がかかって、めんどうだった作業を、AIどうしをつないで、流れるようにしました。メールの講座や教材は、以前は、数か月から、年の単位で、かかっていました。いまは、1か月ほどです。

これも、サイロの話です。AIは、それぞれ、別の会社の、別の画面の中に、います。何もしなければ、1つのAIが出した答えは、その画面の中に、とじこめられます。つなぐ、というのは、その答えを、べつのAIの入力に、わたすことです。道具や人をふやしても、あいだがつながっていなければ、1つ1つの力の、足し算にしかなりません。

4-3. わざと作っている、サイロ

逆の話も、あります。私は、メールの講座の設計と、このブログの記事の作業を、AIの、別々のチャットで、やっています。まぜません。記事の作業をしているチャットで、メールを書かせると、「それっぽいもの」には、なります。けれど、納得できる品質になるかは、うたがわしい。メールには、メールの、長い文脈が、あるからです。

これは、わざと作った、サイロです。かべがあるから、中の文脈が、にごりません。サイロの語源になったタンクも、中身をまぜないために、かべが、あります。かべそのものは、悪では、ありません。問題は、「つなぐべきところに、かべがある」ことと、「かべがあることを、だれも、おぼえていない」ことです。

4-4. 同時にやらない、という、もう1つのかべ

かべは、人の頭の中にも、いります。いくつもの仕事を、同時に、頭の中でまぜると、切りかえのたびに、時間を、失います。これは、マルチタスクの記事に、書きました。仕事と仕事のあいだには、かべを立てる。仕事の結果と結果のあいだには、道を通す。私の使い分けは、これだけです。

5. 対策:こわすかべと、のこすかべを、分ける

5-1. まず、分ける

こわすべき、かべ のこしてよい、かべ
見分け方 同じデータを、2か所以上で、手で入れている。となりの部署の決定を、あとから、知る 専門の深い作業。責任の範囲を、はっきりさせたい仕事。外に出せない情報
かべの向こうに、わたすもの データそのもの 結果と、約束だけ

5-2. こわすときの、順番

  • 二重入力を、数える:3章の計算機に、入れます。費用が出ると、「めんどうだ」が、「年に80万円」に変わります。話が、通りやすくなります。
  • データの「おおもと」を、1つに決める:お客の名前は、この表が正しい、と決めます。ほかは、そこから、写すだけにします。ソフトを1つにまとめるより、先に、やります。
  • 部署をまたぐ数字を、1つ、評価に入れる:自分の部署の数字だけで評価されているかぎり、人は、かべの内がわを、見ます。2章の1つ目の原因に、直接、きく手です。
  • 出す側が、損をしないようにする:情報をわたした手間を、わたした側の成果として、数えます。2章の2つ目の原因に、きく手です。
  • 人を、行き来させる:異動、かねて所属すること、部署をまたぐ小さなチーム。線を全部つなぐのは、むりでも、人が1人動けば、線は、1本、通ります。

5-3. やっては、いけないこと

「全員が、全部を、知っている」を、めざすことです。2章で書いたとおり、線の数は、人数の2乗に近い速さで、ふえます。会議と、共有のメールが、ふえるだけです。仕事は、あたえられた時間いっぱいまで、ふくらみます(パーキンソンの法則)。つなぐのは、必要な線だけです。

6. まとめ

  • サイロ化とは、部署やシステムが孤立して、情報がつながらない状態です。セクショナリズムは、なわばり意識という「考え方」で、サイロ化は「状態」です。
  • 原因は、部署ごとの数字での評価、情報を出す側が損をする形、人数の2乗に近い速さでふえる線、そして、組織の形をうつすシステム(コンウェイの法則)です。
  • 費用は、「2か所目からの入力」の時間として、数えられます。
  • 私は、売り場ごとに別々だった出品を、コピーの道具でつなぎ、いまは、AIどうしを、つないでいます。一方で、メールの講座と、記事の作業は、わざと、別のチャットに、分けています。
  • かべは、全部こわすものでは、ありません。データをわたすべきところのかべを、こわします。文脈をまぜたくないところのかべは、のこします。

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