マイクロマネジメントとは|意味と特徴、やめ方。「した側」の私は、だれも育てられず、事業を逆ザヤにした

マイクロマネジメントとは|意味と特徴、やめ方。「した側」の私は、だれも育てられず、事業を逆ザヤにした 経済・経営の用語

マイクロマネジメントは、上司が、部下の仕事の、細かい手順や進み具合にまで、口と手を出しつづける管理のしかたです。「何をやるか」だけでなく、「どうやるか」まで、にぎります。任せたはずの仕事を、けっきょく、自分で直します。

この言葉の記事は、ふつう、「された側」の立場で、書かれます。この記事は、「した側」が、書いています。私は、人をやとって、撮影と出品を任せようとしました。そして、相手に、自分と同じ仕上がりを、求めました。できないと、いら立ちました。だれも、育てられませんでした。人件費のほうが大きくなって、その事業は、逆ザヤになりました。

この記事では、意味と特徴を先に書いて、そのあとで、なぜ起きるのか、何がこわれるのか、した側の私の例、やめ方、された側の対処を書きます。

1. マイクロマネジメントとは

マイクロは、「とても小さい」という意味です。管理の目が、細かすぎる状態を、指します。反対の言葉は、マクロマネジメントです。目的と、しめきりと、守るべき線だけを決めて、やり方は、任せます。

マイクロマネジメント ふつうの管理
決めるもの 目的、しめきり、手順、言い回し、順番 目的、しめきり、守るべき線
報告 こまかく、ひんぱんに、求める 決めた節目で、受ける
できあがり 上司が、自分の好みに、直す 基準に合っていれば、通す
まちがい 起きる前に、口を出す 小さいものは、やらせて、あとで、ふり返る
部下が学ぶこと 「言われたとおりに、やる」 「自分で考えて、決める」

1-1. チェックリスト:自分は、やっていないか

人に仕事を任せる立場の人は、当てはまるものに、しるしを、つけてください。

当てはまった数:

読み方:

これは、ふり返りのための、かんたんな道具です。診断では、ありません。6つ目と7つ目は、上司の行動ではなく、結果のほうです。部下からの確認が多いのは、部下の能力ではなく、「自分で決めると、直される」と、学んだ結果かもしれません。

2. なぜ、起きるのか

  • 不安:結果の責任は、上司にあります。見えないと、不安になります。見に行くと、口を出したくなります。
  • 他人に向く、完璧主義:自分の基準に届かないものを、「まちがい」と感じます。本人には、「品質を、守っている」と感じられます。
  • プレイヤーとして、優秀だった:自分のやり方で、成果を出してきた人ほど、ちがうやり方を、まちがいだと感じます。現場で優秀だった人が、管理職でつまずく形は、ピーターの法則の記事に書きました。
  • 基準が、頭の中にしか、ない:求める仕上がりを、外に出していない。ですので、できあがってから、直すしか、なくなります。
  • 自分にとって、かんたんすぎる:自分には、かんたんなので、「なぜ、できないのか」が、分かりません。この見積もりちがいは、ダニング=クルーガー効果とはに書きました。

3. 何が、こわれるのか

こわれるもの しくみ
部下の、やる気 人が、自分から動くには、「自分で決めている」という感覚が、必要です。手順までにぎられると、これが、なくなります。くわしくは、自己決定理論とはに書きました。
部下の、考える力 何をやっても、直される。すると、人は、「考えても、むだだ」と学びます。言われたことだけを、やるようになります。このしくみは、学習性無力感とはに書きました。
上司の、時間 ぜんぶを見るので、上司が、つまる場所になります。仕事の量は、上司の時間で、頭打ちになります。
できる人から、やめます。残るのは、指示を待つ人です。上司は、「やっぱり、自分が見ないと、だめだ」と、確信を、深めます。

いちばんやっかいなのは、さいごの行です。マイクロマネジメントは、自分が正しかった証拠を、自分で、作り出します。細かく管理する。部下が、考えなくなる。考えない部下を見て、もっと、細かく管理する。上司の目には、ずっと、「部下が、たよりない」としか、見えません。

なお、程度がひどく、人格の否定や、私生活への立ち入りをともなう場合は、職場のパワーハラスメントに、当たることがあります。

4. した側の、私の例

4-1. 何が、起きたか

ブランド品の転売を、本業の大きさで回していたころの話です。1点を売るのに、撮影に20分、出品に15分、梱包に10分、かかります。これが、週に、50〜150点です。1人では、回りません。人を、やといました。アルバイトの時給は、相場よりはっきり高い、2,000円でした。

私は、撮影と、出品を、任せようとしました。そして、相手に、自分と同じ仕上がりを、求めました。できないと、いら立ちました。育てることが、できませんでした。人件費は、月に45〜50万円。利益から、人件費と、自分の給与を引くと、多くの月で、逆ザヤでした。

4-2. あとで分かった、2つの原因

  1. 基準を、外に出していなかった:私の頭の中には、「完璧な写真」「完璧な説明文」が、ありました。それを、見本や、手順書にして、わたしては、いませんでした。わたしていないものを、相手に、求めていました。できあがってから、直すしか、ありません。2章の4つ目、そのものです。この話は、知識の呪いとはに書きました。
  2. 相手には、その仕上がりにする理由が、なかった:仕上がりが良くなっても、相手の給料は、変わりません。私にとっては、自分の商品です。相手にとっては、時給の仕事です。時給を高くしても、この差は、うまりませんでした。高い時給を出しているのに、という気持ちは、私の側の、いら立ちを、大きくしただけでした。この話は、仕事ができないのに偉そうな人が許される職場の構造に書きました。

4-3. 私は、この性格を、直せなかった

正直に、書きます。私は、相手にも高い水準を求める性格を、直せていません。直す代わりに、その性格が、害にならない場所へ、移りました。いまの仕事は、個人への指導です。相手は、自分のお金と時間を使って、自分の商売を伸ばそうとしている人です。私が高い基準を求めると、相手の収入が、直接、上がります。ですので、相手も、本気で、こたえてくれます。

同じ性格が、やとった人には、害になりました。教える相手には、価値になりました。ちがいは、「高い基準が、相手の得にも、なっているか」でした。この話は、完璧主義とはに、くわしく書きました。

5. やめ方(している側)

  1. 任せる前に、基準を、わたす:見本、手順書、良い例と悪い例、動画。私は、人に教えるたびに、「なぜ、思いどおりに、ならなかったか」を考えて、説明のほうを直し、動画と、手順書と、ひな型に、してきました。わたしていない基準は、求めません。
  2. 「何を」と「どこまで」を決めて、「どうやって」は、任せる:目的、しめきり、守るべき線(予算、法令、取引先との約束)だけを、決めます。
  3. 見る節目を、先に、決める:「3割できたところで、1回、見せて」。節目のあいだは、聞きません。不安は、節目の設計で、へらします。
  4. 直すのは、基準に届いていない所だけ:好みのちがいは、直しません。まよったら、「これを直さないと、だれが、どう、困るか」を、言葉にします。言えないなら、好みです。
  5. 相手によって、変える:はじめての人、まちがえると取り返しがつかない仕事には、細かい指示が、必要です。それは、マイクロマネジメントでは、ありません。問題は、できるようになった人に、同じ細かさを、つづけることです。
  6. それでも、自分で直してしまうなら:その仕事は、人に任せる仕事では、ないのかもしれません。私は、そう判断して、人をやとう形そのものを、やめました。

6. 対処(されている側)

  • 先に、報告する:上司の不安が、原因のことが、多いです。聞かれる前に、短い進み具合を、決まった時間に、送ります。聞かれる回数が、へります。
  • はじめに、基準を、聞く:「できあがりの見本は、ありますか」「ゆずれない点は、どこですか」。あとで直されるより、先に、聞きます。
  • 小さい範囲で、任せてもらう:「この部分だけ、自分の判断で、やらせてください。結果は、金曜に、報告します」。信頼は、小さい実績で、つみます。
  • 自分のせいだと、決めつけない:何をやっても直される環境に、長くいると、だれでも、自信を、なくします。それは、環境の性質です。
  • 度をこしているときは、1人で、かかえない:人格の否定や、長時間の拘束をともなうなら、社内の窓口や、外部の相談機関を、使ってください。心身の不調がつづくときは、医療機関に、相談してください。

7. まとめ

  • マイクロマネジメントは、「何を」だけでなく、「どうやって」まで、上司がにぎる管理です。
  • 原因は、不安、他人に向く完璧主義、基準が頭の中にしかないこと、などです。
  • 部下は、考えなくなります。それを見た上司は、もっと、細かく管理します。自分が正しかった証拠を、自分で、作ります。
  • 私は、やとった人に、自分と同じ仕上がりを求めて、だれも育てられず、事業は、逆ザヤになりました。
  • 原因は、基準を外に出していなかったことと、相手にその仕上がりにする理由が、なかったことでした。
  • やめ方の中心は、任せる前に、基準を、見える形で、わたすことです。

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