参入障壁とは、新しい会社や、人が、ある市場に入ってくるのを、さまたげるもののことです。免許、大きな資金、習得に時間のかかる技術などです。障壁が高い市場では、すでにいる会社の利益が、守られます。障壁が低い市場では、もうかるとわかった瞬間に、人が入ってきて、利益は、うすくなります。
この記事では、まず、意味と、種類を、説明します。次に、道具で、自分の商売の障壁を、数えます。最後に、「ライバルが少ない」と聞いて始めたことが、そうではなかった、私の例を、書きます。
1. 参入障壁とは
1-1. 意味
経済学者のベインは、1950年代に、「すでにいる会社が、新しい会社を呼びこまずに、値段を、高く保てる度合い」として、参入障壁を、考えました。障壁が高いほど、値段を高く保てます。
1-2. 種類
経営学者のポーターは、障壁のもとを、次のように、分けました。
| 障壁 | 中身 |
|---|---|
| 規模の経済 | たくさん作る会社ほど、1個が安い。小さく始める会社は、費用で、負ける(規模の経済の記事) |
| 製品のちがい | ブランドや、信用が、できあがっている。新しい会社は、それをくずすのに、お金と時間が、かかる |
| 必要な資金 | はじめるのに、大きなお金が、いる |
| 乗りかえの費用 | 客が、いまの会社から乗りかえるのに、手間やお金がかかる(スイッチングコストの記事) |
| 売る場所の確保 | たなや、売り場が、すでに、うまっている |
| 規模と関係のない、費用の差 | 特許、よい立地、長い経験で身についた技術(学習曲線の記事) |
| 国の決まり | 免許、許可、認可 |
1-3. 低い障壁は、自分にとっても、低い
ここが、いちばん、見落とされます。「だれでも、かんたんに、始められる」は、始める人にとっては、よい知らせです。けれど、自分がかんたんに入れたなら、次の人も、かんたんに、入れます。入るときの低さは、入ったあとの、守りのなさです。
2. 道具:自分の商売の、障壁を、数える
いまやっている、または、始めようとしている商売について、当てはまるものに、チェックを入れてください。考えを整理するための道具です。
障壁の数:
見立て:
0、1から2、3以上、という分け方は、私が、この道具のために、決めたものです。研究で決まった数では、ありません。
3. 私の例:障壁が低かったもの、高かったもの
3-1. 低かった:「自分の商品だから、ライバルが少ない」は、ちがった
私は、中国の工場に、自分の商品を、作らせたことが、あります。「自分だけの商品だから、競争相手が少なくて、かせぎやすい」。そう言われる方法です。
実際は、ちがいました。売り場に出すと、返品されたり、競争相手に、まねをされたりしました。ふつうに仕入れて売るのと、大きくは、変わりませんでした。ロゴを変えただけの商品は、同じ工場に、同じようにたのめば、だれでも、作れます。2章の道具でいえば、「まとまった資金」の1つだけです。
3-2. 低かった:外の道具で得た優位は、売り場の規制で、消える
いくつものフリマを、まとめて見張って、通知を出すアプリが、ありました。使う人には、優位性が、ありました。公式が規制して、アプリは、対応できなくなり、消えました。自動で買う道具も、同じ道を、たどります。道具は、だれでも、入れられます。障壁では、ありません。そして、その優位を、いつまでゆるすかは、売り場が、決めます。
3-3. 低かった:同じ内容を、大勢に、教えるスクール
ブランド品を直す技術を教えるスクールは、どこも、教える内容が、横ならびです。染め直し、色の補修、ふちの補修。それを、スクールとして、大勢に教えれば、同じことができる人が、市場に、あふれます。プログラミングのスクールと、同じ結末です。実際に、そうなっていると、私は、見ています。教わった技術そのものは、障壁に、なりません。同じものを、全員が、持っているからです(合成の誤謬の記事に、書きました)。
3-4. 高かった:数をさわらないと、身につかないもの
ブランド品の、本物と偽物の見分けは、知識では、ありませんでした。さわった数です。私は、週に50個から100個を、さわっていました。それだけさわると、違和感で、わかるように、なります。本を読んでも、動画を見ても、これは、手に入りません。
3-5. 高かった:部品は、だれでも買える。直す腕は、買えない
私は、いまも、修理に使う部品は、中国から、仕入れています。これは、つづいています。個人が、「部品は、中国から買える」と知っても、直す技術がなければ、使えないからです。情報が広まっても、消えない優位です。私は、これは、これからもつづくと、見ています。
3-6. 高かった:多くの人が、いやがること
古物の市場での仕入れは、古物商の許可が、いります。オンラインの市場で、人気のブランドを確実に落とすには、パソコンの前に、はりついて、競りに参加しなければ、なりません。会場に通う形の市場は、何度も通って、顔がきくようになれば、買いつけが、できるようになります。けれど、パイプいすに、何時間も、すわることに、なります。私は、年を取ったらつづけられないと判断して、やめました。つづけている人も、多くいます。
ここからは、私の整理です。私がやめた理由は、そのまま、ほかの人が入ってこない理由でも、あります。「しんどい」は、障壁です。人に教えていたとき、遠くまで移動する仕入れを、いやがられたことが、あります。いやがる人が多い作業ほど、それをやる人の利益は、守られます。
4. 参入障壁を、自分の側に、作る
- 入りやすさで、えらばない。「かんたん」「すぐ」「だれでも」は、1-3のとおり、守りのなさの、裏がえしです。
- 情報ではなく、回数で身につくものを、持つ。目利き、修理の腕、取引先との信用。どれも、知っただけでは、手に入りません。
- 道具の優位は、期限つきだと、考える。売り場の規約が変われば、終わります。売り場が少ない市場では、なおさらです(寡占の記事に、書きました)。
- 障壁を、重ねる。許可だけ、資金だけ、では、こえる人が、出てきます。許可と、技術と、しんどさが重なると、こえる人は、大きく、へります。
- 障壁が低く、人があふれた市場のことは、レッドオーシャンの記事に、書きました。
5. まとめ
- 参入障壁は、新しい会社や人が、市場に入ってくるのを、さまたげるもの。免許、資金、技術、信用など。
- 入るときの低さは、入ったあとの、守りのなさ。
- 私の場合、工場に作らせた自分の商品、外の道具、横ならびのスクールの技術は、障壁に、ならなかった。
- 障壁になったのは、数をさわって身につく目利き、直す腕、多くの人がいやがる作業。
- 情報で手に入るものは、障壁にならない。回数で身につくものを、重ねる。

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