粗利率(あらりりつ)とは、売上のうち、粗利(売上から、仕入れの原価を引いたもの)が、何%あるかをあらわす数字です。正式には、売上総利益率と、言います。原価率は、その反対で、売上のうち、原価が何%かをあらわします。2つを足すと、かならず100%に、なります。
この記事では、まず、式と、ほかの利益との、ちがいを、説明します。次に、計算機で、「値下げをすると、何個多く売れば、元の粗利にもどるか」を、出します。最後に、中古のブランド品を売っていた私の数字で、「率が高い商品」と「1個の粗利が大きい商品」の、どちらが得だったかを、計算します。
1. 粗利率とは
1-1. 式
粗利 = 売上 − 売上原価
粗利率 = 粗利 ÷ 売上 × 100
原価率 = 売上原価 ÷ 売上 × 100 = 100 − 粗利率
1万円で売った商品の、仕入れ値が7,000円なら、粗利は3,000円、粗利率は30%、原価率は70%です。
1-2. ほかの利益との、ちがい
| 名前 | 売上から、何を引いたか |
|---|---|
| 粗利(売上総利益) | 仕入れの原価だけ |
| 営業利益 | 原価に加えて、人件費、家賃、広告費、手数料など、商売を回す費用 |
| 経常利益 | 営業利益に、利息などを足し引きしたもの |
| 純利益 | さらに、税金などを引いた、最後に残るもの |
粗利は、いちばん上の段の、利益です。粗利が出ていても、そこから人件費や家賃を引くと、赤字になることは、よくあります(営業利益の記事に、私の数字を、書きました)。
1-3. 利益率との、ちがい
「利益率」は、どの利益を使うかで、意味が変わります。粗利率のことを言う人も、営業利益率のことを言う人も、います。数字を聞いたら、「何を引いたあとの率か」を、先に、たしかめます。仕入れて売る商売で、売り場の手数料や送料を「原価」に入れるかどうかも、人によって、ちがいます。この記事では、手数料と送料は、原価に入れずに、計算します。
1-4. 粗利率の、ふつうの高さ
粗利率は、業種によって、大きく、ちがいます。仕入れた物をそのまま売る卸や小売は低く、作る手間や、知識を売る商売ほど、高くなります。同じ業種の中で、くらべないと、意味が、ありません。
2. 計算機:値下げすると、何個多く売れば、もとにもどるか
粗利:
粗利率 / 原価率:
値下げしたあとの、1個の粗利:
もとの粗利にもどるのに、必要な販売数:
はじめに入っている数字は、1万円、7,000円、10%です。例の数字です。答えは、粗利3,000円、粗利率30%、原価率70%、値下げしたあとの粗利2,000円、必要な販売数は今の1.5倍です。
10%の値下げで、売る数を、1.5倍にしなければ、なりません。値下げの幅を、20%にしてみてください。粗利は1,000円になり、必要な数は、3倍です。30%では、粗利が0になり、どれだけ売っても、もどりません。
粗利率が低い商売ほど、少しの値下げで、大きく、くずれます。値下げの幅が、粗利率に近づくほど、必要な数は、急にふえます。値下げで客がどれだけふえるかは、価格弾力性の記事に、書きました。
3. 私の例:率が高い商品と、1個の粗利が大きい商品
3-1. ブランドごとの、仕入れ値と売値
中古のブランド品を売っていたころの、私の相場の感覚です。
| ブランド | 仕入れ値 | 売値 | 粗利率(計算) | 1個の粗利(計算) |
|---|---|---|---|---|
| ボッテガ | 3,000〜5,000円 | 1万円前後 | 50〜70% | 5,000〜7,000円 |
| プラダ | 5,000円前後 | 1万円前後 | 50%前後 | 5,000円前後 |
| ヴィトン | 1万〜5万円 | 2万〜8万円 | 37.5〜50% | 1万〜3万円 |
| シャネル | 5万〜30万円 | 10万〜50万円 | 40〜50% | 5万〜20万円 |
粗利率と、1個の粗利は、仕入れ値と売値の、下どうし、上どうしで、私が計算した数字です。売り場の手数料と送料は、入っていません。
3-2. 1個にかかる手間は、ほぼ同じ
1個を売るのにかかる手間は、ブランドで、大きくは、変わりませんでした。撮影に20分、出品に15分、梱包に10分です。合わせて、45分です。
ここからは、表の数字を使った、計算です。45分で得られる粗利は、ボッテガなら5,000〜7,000円、シャネルなら5万〜20万円です。粗利率は、ボッテガのほうが、高いことが、あります。けれど、同じ45分で残る金額は、7倍から40倍、ちがいます。
もちろん、シャネルは、仕入れに、何倍ものお金が、いります。1個が売れるまで、そのお金は、寝ています(運転資金の記事に、書きました)。どちらが得かは、「手間」と「資金」の、どちらが、先に足りなくなるかで、決まります。
3-3. 直すと、粗利率は、上がる
財布の、引手の交換の例です。仕入れ値は3,000円、部品代は500円、売値は8,500円でした。交換は、10分ほどです。原価を3,500円とすると、粗利は5,000円、粗利率は、約59%です。同じ財布を、直さずに売れば、売値は、下がります。
直す工程は、多くの人が、さわりたがりません。だから、その分の粗利が、残ります。直す手間を、どの商品で、どこまでかけるかの目安は、利益率と回転率の記事に、3つの業態の実測で、まとめています。
4. 粗利率を、見るときの注意
- 率だけで、商品をえらばない。3-2のとおり、1個の粗利の額と、1個にかかる手間を、いっしょに見ます。
- 何を原価に入れたかを、そろえる。手数料、送料、部品代。入れ方がちがう数字どうしを、くらべても、意味がありません。
- 値下げの前に、2章の計算機を、使う。粗利率30%の商品を10%下げるなら、1.5倍売れる見こみが、いります。
- 粗利率は、回る速さとかけ算で、見る。率が高くても、売れるまで半年かかれば、お金は、ふえません(キャッシュフローの記事)。
- 粗利から、固定費をまかなえるかを、見る。1個の粗利で、家賃や人件費を割ると、月に何個売ればよいかが、出ます(損益分岐点の記事、限界利益の記事)。
5. まとめ
- 粗利率は、売上のうち、粗利が何%か。原価率は、原価が何%か。足すと100%。
- 粗利は、原価だけを引いた、いちばん上の段の利益。人件費や家賃は、まだ引いていない。
- 粗利率30%の商品を10%値下げすると、もとの粗利にもどすには、1.5倍売る必要がある。30%下げると、どれだけ売っても、もどらない。
- 私の数字では、ボッテガとシャネルは、粗利率は近いが、同じ45分で残る粗利は、7倍から40倍ちがった。
- 率だけでなく、額、手間、資金、回る速さを、いっしょに見る。

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