外部性とは、ある人や会社の行動が、お金のやりとりなしに、まわりの人に、得や損を与えることです。まわりに損を与えるのが「負の外部性」、得を与えるのが「正の外部性」です。工場の煙や、夜中の騒音は、負の外部性。家の前の花壇が、通る人を楽しませるのは、正の外部性です。
この記事では、まず、外部性の意味と、なぜ困るのかを、説明します。次に、計算機で、「自分の得と、まわりの損を足すと、どうなるか」を、出します。最後に、携帯の乗りかえや、フリマの道具で、外部性が「規制」として返ってきた例と、捨てられた新聞紙で梱包材がまかなえた、正の外部性の例を、書きます。
1. 外部性とは
1-1. 意味
ふつうの取引では、得をする人が、お金を払います。外部性は、その取引の「外」にいる人に、得や損が、こぼれることです。こぼれた損は、だれも払いません。こぼれた得にも、だれもお金を払いません。
1-2. 正と、負
| 負の外部性 | 正の外部性 | |
|---|---|---|
| まわりに | 損を与える | 得を与える |
| 例 | 工場の煙、騒音、道路の渋滞、たばこの煙 | 予防接種、駅前の再開発、きれいな庭、だれかが書いた無料の解説 |
| 放っておくと | やりすぎる(損を自分で払わないので) | やらなさすぎる(得をお金でもらえないので) |
| よくある対策 | 税、規制、禁止 | 補助金、表彰、義務化 |
1-3. なぜ、困るのか
人は、自分の得と損だけを見て、どこまでやるかを決めます。負の外部性があると、まわりの損は、計算に入りません。だから、全体で見ると損なのに、本人には得、ということが起きます。煙を出すほど、工場はもうかる。けれど、まわりの人の暮らしは、悪くなる。
この差を埋めるために、国や、場を運営する会社は、税や規制で、こぼれた損を、本人に払わせようとします。だれでも使える場所が、使われすぎてやせていく話は、共有地の悲劇の記事、払わずに得だけを受け取る人の話は、フリーライダーの記事に書きました。
2. 計算機:自分の得と、まわりの損を、足す
1回あたりの、自分の利益と、まわりにこぼれる損を入れると、全体での差し引きが、出ます。まわりの損を、あとから税や規制で払わされたら、1回あたり、いくら残るかも、出します。
自分の利益の合計:
まわりの損の合計:
全体での差し引き:
損を払わされたら、1回に残る額:
はじめの数字は、例です。1回3,000円もうかる行動が、まわりに1回4,000円の損をこぼすとします。100回やると、自分は30万円の利益、まわりは40万円の損。全体では、10万円の損です。本人から見れば得なので、止める理由がありません。
そこで、まわりの損を払わされる仕組みが入ると、1回あたり、1,000円の赤字になります。これが、税や規制が入ったあとの姿です。まわりの損を、1回2,000円にしてみてください。全体でも得になり、払わされても、1回1,000円が残ります。外部性があるかどうかより、その大きさが、続けられるかを決めます。
3. 私の例
3-1. 携帯の乗りかえ:こぼれた損は、規制で返ってくる
私は、2015年から2017年まで、携帯の乗りかえでキャッシュバックを受け取る、いわゆるケーコジを、人に任せて回していました。規制で収益が悪くなったのを境に、一度、撤退しています。2023年からは、自分で仕組みを理解して、また回していますが、規制が重なり、旨味は浅くなっています(ケーコジの記事)。
ここからは、私の見立てです。短期で乗りかえをくり返す人や、端末の転売が目的の人がふえるほど、携帯会社や、国が、問題にします。そして規制が入ると、その規制は、全員のキャッシュバックを下げます。1人1人の得が、まわり全員への損として、こぼれ、あとから、規制という形で、全員に返ってくる。2章の計算機で言えば、まわりの損が、1回あたりの利益を、上回ったところで、払わされた形です。
反対に、光回線の乗りかえは、1回の利益が浅く、1年で手元に残るのは5万円もいかない、と私は見ています。浅いから、転売が目的の人が入ってこない。問題にもされない。だから、キャッシュバックの競争が続いている、と見ています(光回線の乗りかえの記事)。
3-2. フリマの通知の道具:場を運営する側が止める
以前、フリマのアプリをまたいで、新しい出品を通知してくれる道具が、ありました。早く知れる人が有利になるので、使う価値がありました。けれど、アプリの運営側が規制したことで、道具の側が対応できなくなり、消えていきました。
外の道具で得た有利さは、場を運営する側の規制で、消えます。道具を使う人が得をするぶん、場の運営や、ほかの利用者に、負担がこぼれていたのだと、私は見ています。自動で買う道具も、同じ形です(フリマ通知の記事、自動購入ツールの記事)。
3-3. 捨てられた新聞紙で、梱包材が足りた
正の外部性の例です。私が住んだ北柏と月島のマンションでは、管理室に「ダンボールがほしい」「新聞紙がほしい」と言えば、住民が捨てた物を、好きなだけ、もらえました。物を売る商売の梱包材は、それで、足りていました。
住民は、捨てただけです。私から、お金はもらっていません。それでも、私の商売の費用は、その分、へっていました。正の外部性は、気づいた人が、ただで受け取れます。どの建物で、どう受け取れるかは、古新聞の記事に、書きました。
4. 外部性を、判断に入れる手順
- 自分が得をしているとき、その費用を、だれが払っているかを見る。だれも払っていないなら、それは、まわりにこぼれています。
- こぼれた損が、どんな形で返ってくるかを、予想する。規制、手数料の値上げ、禁止、アカウントの停止。場を運営する側は、いずれ、払わせに来ます。
- 1回あたりの利益が、深すぎないかを見る。深い得には人が集まり、こぼれる損も大きくなります。浅い得は、問題にされにくく、長く続きます。
- 正の外部性を、探す。だれかが捨てる物、だれかが無料で出している知識。気づいた人が、ただで受け取れます。
5. まとめ
- 外部性は、ある行動が、お金のやりとりなしに、まわりの人に得や損を与えること。損が負の外部性、得が正の外部性。
- 負の外部性は、本人が損を払わないので、やりすぎになる。税や規制は、こぼれた損を、本人に払わせる仕組み。
- 1回3,000円の利益で、まわりに4,000円の損がこぼれるなら、全体では損。払わされれば、1回1,000円の赤字。
- 携帯の乗りかえは、規制で旨味が下がった。浅い得の光回線は、問題にされず続いている。フリマの通知の道具は、運営側の規制で消えた。
- 住民が捨てた新聞紙とダンボールで、梱包材がまかなえた。正の外部性は、気づいた人が受け取れる。

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