寡占(かせん)とは、少ない数の会社が、1つの市場の大部分を、占めている状態のことです。売り手が1社だけなら、独占です。2社なら、複占(ふくせん)です。数社なら、寡占です。
この記事では、まず、意味と、独占とのちがいを、説明します。次に、計算機で、市場がどのくらい集中しているかを、数字で出します。最後に、私が、オンラインの古物市場に、片っ端から入会して、物量で、2つにしぼられた例を、書きます。
1. 寡占とは
1-1. 意味と、独占とのちがい
| 形 | 売り手の数 | 値段を、だれが決めるか |
|---|---|---|
| 完全競争 | とても多い | 市場。1社では、動かせない |
| 寡占 | 数社 | たがいの出方を見ながら、各社が決める |
| 複占 | 2社 | 相手の1社を見ながら、決める |
| 独占 | 1社 | その1社が、決める |
寡占の特徴は、「相手の出方を見る」ことです。1社が値下げをすれば、ほかの会社も、値下げで、返してきます。だから、だれも、先に値下げを、したがりません。
1-2. 寡占で、起こりやすいこと
- 値段が、下がりにくい。値下げ競争は、全社の利益をへらすので、さけられます。
- 値段いがいで、競争する。広告、デザイン、ポイント、サービスなどです。
- 大きな1社が値段を動かすと、ほかも、ついていく。この1社を、プライスリーダーと、よびます。
- 新しい会社が、入りにくい。大きな設備、免許、すでに集まっている利用者などが、かべに、なります(規模の経済が、かべの1つです)。
会社どうしが、話し合って、値段をそろえることは、カルテルと、よばれます。法律で、禁止されています。話し合わずに、結果として、値段がそろうことは、寡占では、めずらしくありません。
1-3. 集中のぐあいを、数字で見る:HHI
市場がどのくらい集中しているかは、HHI(ハーフィンダール・ハーシュマン指数)で、はかれます。
HHI = 各社のシェア(%)を、2乗して、足したもの
1社が100%なら、100×100で、10,000です。100社が1%ずつなら、100です。数字が大きいほど、集中しています。アメリカの、2023年の合併ガイドラインでは、1,800をこえる市場を、「高度に集中している」と、あつかいます。
2. 計算機:市場の集中度(HHI)
上位の会社のシェアを、%で、入れてください。
HHI:
上位3社の合計:
同じ大きさの会社に直すと、何社ぶんか:
はじめに入っている数字は、40、30、20、5、5です。例の数字です。答えは、HHIが2,950、上位3社の合計が90%、同じ大きさの会社に直すと、3.4社ぶんです。5社いても、実際は、3社と少しで、分けあっている市場だ、という意味です。
6位より下の会社は、入れなくても、かまいません。シェアが小さい会社は、2乗すると、ほとんど、数字に、ひびかないからです。1%の会社は、1しか、足されません。
3. 私の例:仕入れ先も、売り場も、少ない数に、集まっていた
3-1. 古物市場に、片っ端から入会したら、物量で、2つに、しぼられた
中古のブランド品を売っていたころ、私は、オンラインの古物市場に、片っ端から、入会しました。仕入れの量を、ふやす必要が、あったからです。
結果は、はっきりしていました。いちばん大きい市場には、毎週、5,000個から1万個の商品が、出ます。ほかの多くは、1,000個にも、とどきません。出品の数が多かったのは、2つだけでした。
出品の数が少ない市場では、少ない商品に、買い手が集まります。競争がはげしくて、利益が、取れません。そのうえ、参加費が、かかります。1個の取引で利益が出ても、参加費を引くと、赤字に、なりました。店で仕入れるときに、店をたくさん回らないと、商品が取れないのと、同じです。
ここからは、私の見立てです。物が多い市場に、買い手が集まる。買い手が多い市場に、売り手が物を出す。この回転で、市場は、少ない数に、集まっていきます。だれかが決めたのではなく、参加者が、それぞれ得なほうをえらんだ結果、寡占の形に、なります。
3-2. 売り場が少ないと、規約の変更に、したがうしかない
売る側も、同じでした。私が売っていた場所は、おもに、オークションのサイトと、フリマのアプリの、2つです。個人が、中古品を売れる大きな場所は、多くありません。
売り場が少ないと、売り手は、規約を、えらべません。私が見てきた例を、3つ、書きます。
- いくつものフリマを、まとめて見張って、通知を出すアプリが、ありました。アプリをまたいで通知が出せるので、使う人には、優位性が、ありました。公式が規制して、アプリは、対応できなくなり、消えました。
- オークションで、落札者の都合で取引を消しても、相手に、自動で悪い評価が、つかなくなりました。私の体感では、はらわない落札者が、ふえました。
- 私は、以前、在庫を持たずに売る方法を、やっていました。売り場の規約に反するので、利用の制限を、受けました。いまは、やっていません。
どれも、売り手の私には、交渉の余地が、ありませんでした。いやなら、出ていくしかありません。けれど、出ていく先が、少ない。これが、寡占の市場で、小さな売り手が、立っている場所です(乗りかえのしにくさは、スイッチングコストの記事に、書きました)。
3-3. 私の売り場は、1つでは、なかった
私は、売る場所を、ヤフオクと、メルカリで、半分ずつに、していました。いまは、すぐに売りたい商品は、Yahoo!フリマにも、出します。商品によっては、メルカリより、早く売れます。こわれたプリンターは、ラクマでも、すぐ売れました。
1つの売り場の、規約が変わっても、売上が、0にならない。寡占の市場で、小さな売り手にできる、そなえは、これだと、私は、考えています。大きな相手と、同じ土俵で戦わない考え方は、ランチェスター戦略の記事に、書きました。
4. 寡占の市場で、小さな側が、考えること
- 仕入れ先や、売り場のHHIを、出してみる。自分の売上が、どの売り場から来ているかを、%で入れます。1つが80%なら、HHIは、6,400をこえます。その1つの規約に、商売の全部が、かかっています。
- 値段では、戦わない。寡占の大手は、値下げに、値下げで、返せます。小さな側は、値段いがいの理由を、作ります(値段を動かしたときの売れ方は、価格弾力性の記事に、書きました)。
- 大手が、やらない場所を、さがす。競争のはげしい場所を、さける考え方は、レッドオーシャンの記事に、書きました。
5. まとめ
- 寡占は、少ない数の会社が、市場の大部分を、占めている状態。1社なら独占、2社なら複占。
- 値段は下がりにくく、値段いがいの競争に、なりやすい。
- 集中のぐあいは、HHI(シェアの2乗の合計)で、はかれる。40・30・20・5・5なら、2,950。
- 私が入会した古物市場は、物量で、2つに、しぼられた。売り場も少なく、規約の変更には、したがうしかなかった。
- 小さな売り手のそなえは、売り場を、1つにしないこと。

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