無在庫転売について調べていて、正反対の説明に出くわしたことはないでしょうか。「違法ではない」「いや逮捕される」「メルカリは禁止」「BUYMAは公認」。どれも断定的に書かれていて、しかも出典がない。
この記事は、その混乱を一度で終わらせるために書きました。各プラットフォームの規約と日本の法令の条文を、原文のまま並べます。解説を読むのではなく、条文を読んでください。
先に一番大事な結論を書きます。
無在庫転売を禁じる日本の法律は、存在しません。禁じているのは各社の規約です。そして規約は法律ではないので、違反しても逮捕されません。代わりにアカウントが消えます。ほとんどの場合、事前の警告も、判断理由の説明も、異議申し立ての窓口もないままに。
この記事は3種類の人を想定しています。これから始めようとしている人。すでにアカウントが止まった人。買った商品が届かなくて困っている人。それぞれに必要な条文と窓口を、後半に分けて置きました。
1. 「無在庫転売を禁じる法律」は存在しません
1-1. e-Gov で全法令を検索した結果
まず事実確認から。日本の法令データベース(e-Gov法令検索)の全文検索APIで、日本の全法令を対象に検索した結果です。
| 検索語 | ヒットした法令数 |
|---|---|
| 無在庫 | 0件 |
| ドロップシッピング | 0件 |
| (対照)通信販売 | 173件 |
| (対照)転売 | 125件 |
| (対照)在庫 | 168件 |
「無在庫」「ドロップシッピング」という語を含む日本の法令は、1つもありません。
もちろん、これは「何をやっても合法」という意味ではありません。個々の行為が既存の一般規定(特定商取引法、景品表示法、刑法など)に触れることはあります。それは4章で条文を挙げます。ただし「無在庫販売という販売形態それ自体を禁じる規定」は日本の法令中に存在しない、というのが検索の結果です。
1-2. 禁じているのは規約。しかも中身は正反対
実際に無在庫販売を止めているのは、プラットフォームの規約です。そしてここが混乱の元なのですが、規約の中身は各社でまったく違います。同じヤフオク!の中ですら、個人出品者とストア出店者で逆になっています。
| プラットフォーム | 規約上の扱い | 線の引き方 |
|---|---|---|
| メルカリ | 全面禁止 | 「手元にない商品の出品」そのものを禁止 |
| ヤフオク!(個人) | 全面禁止 | 「商品の現物が手元にない状態で出品すること」を禁止(券面のみ例外) |
| ヤフオク!(ストア) | 条件付きで可 | 支払方法を「引渡時または引渡後」に限定するなど6条件 |
| Yahoo!ショッピング | 形態を名指しで禁止 | 他の通販サイト・フリマアプリで注文して客に配送させることを禁止 |
| eBay | 仕入元による | 卸売業者からの直送は可。他の小売業者・マーケットプレイスからは不可 |
| Amazon | 表示による | 記録上の販売者が出品者のみと明確なら可 |
| 楽天市場 | 審査制 | メーカー直送・海外直送は産直審査を受ければ可。未審査は違反点数35点 |
| BUYMA | 許容と明記 | ただし「出品時点では在庫があり買付ができること」が前提。買付先からの直送は原則禁止 |
| 自社EC(Shopify / BASE / STORES) | 規約に定めなし | 代わりに決済代行が禁止している場合がある(3章) |
「無在庫転売は禁止」も「無在庫転売はOK」も、どちらもプラットフォームを特定しない限り意味を持ちません。
2. プラットフォーム別・規約の原文
2-1. メルカリ ── 「手元にある商品のみ出品可能」
もっともはっきりしています。メルカリガイド「手元にない商品の出品やECサイト等から直送すること」の全文です。
メルカリでは、出品者の手元にない商品の出品を禁止しています。
商品の実物が手元にないことで、商品に関する質問に答えられない、配送できない、遅延するなどのトラブルを避けるためです。
また、ECサイト等のメルカリではないサービス(海外のものを含む)から、購入者宛てに直接商品を発送することや、配送代行サービスの利用も禁止しています。
事務局が禁止行為・出品物に該当すると合理的な理由に基づき判断した場合は、取引キャンセル・商品削除・利用制限などの措置を取る場合があります。どのようなものが違反になりますか?
・出品時に手元にない商品を販売すること
・発売前・公開前の商品を予約、取り寄せで販売すること
・ECサイト等のメルカリではないサービス(海外のものを含む)から直接購入者の住所に配送させること
・その他、事務局が不適切と判断したもの
出品者ガイドライン(2025年6月17日制定/同年12月15日改定)にも同じ趣旨が置かれています。
手元にある商品のみ出品可能です。ECサイトからの直送(直接購入者の住所に配送させること)、手元にない商品の出品は禁止しています。
そして措置について。「アカウントの利用制限」ページの記述です。
利用制限の期間は、違反の内容に応じて総合的に判断され、大きく3段階に分けることができます。
・期間が定められるもの(最大24時間程度のもの、日数が定められるもの)
・制限解除への判断が伴うもの(本人確認や、詳細のヒアリングを実施 ※確認の実施後、解除すべきと判断した場合に限り、制限は解除されます)
・無期限(アカウントの利用停止)
内容によっては、1度目の違反であっても無期限の利用制限となります。違反内容の重大さやメルカリでのルールを遵守していただけないと判断した場合、アカウントに無期限の利用制限がかかり、今後メルカリでのお取引が行えなくなります。(中略)無期限の利用制限となるため、解除される事はございません。
「1度目の違反であっても無期限」があり、「解除される事はございません」と明記されています。ここに交渉の余地はない、というのがメルカリ自身の説明です。
2-2. ヤフオク! ── 同じサービスなのに、個人とストアで逆
ここが面白いところです。ヤフオク!は、個人出品者とストア出店者で規約が別体系になっており、無在庫の扱いが逆転します。
個人出品者向け(Yahoo!オークションガイドライン細則、2026年1月26日改定)
8. 商品の現物が手元にない状態で出品すること
現物が手元にないとは
・メーカーなどから直送されるもの、落札後に発注するもの、取り寄せが必要なもの、商品入荷後に落札者に発送するものなど、在庫がない状態での出品と当社が判断するもの
・商品代金が未払いのもの、入札前に在庫確認を求めるもの、落札後に在庫切れだった場合の条件があるなど、商品の現物が手元にないことを示唆するものも含みます9. 落札者の入金を商品調達に充当することを前提に出品すること
例外は「券面」だけです。メーカーや正規販売店が発行した引換券で、提示すれば確実に引き換えられ、代金を支払い済みであるもの。それ以外は全面禁止。
ストア出店者向け(Yahoo!オークションストア運用ガイドライン、2026年4月1日改定)
4 出品時に在庫のない商品を出品する(落札後、落札者からの注文を受けるごとに個別に生産する受注生産品の出品を含みます)場合には、以下の事項を順守するものとします。
(1) 受注生産品以外の商品で、落札後 14 日以内に納品する場合は、以下のいずれかの支払い方法によること。
ア 商品の引き渡し時または引き渡し後の支払いとすること。
イ アの方法を含む、複数の支払い方法を設定すること。
(2) 受注生産品以外の商品で、落札後 14 日を超えてから納品する場合は、支払い方法を商品の引き渡し時または引き渡し後の支払いのいずれかに設定すること。
(5) 納期や決済方法を商品説明に明記すること。
(6) 落札者の入金を商品調達に充当することを前提とした出品はおこなわないこと。
ストアは、在庫のない出品が条件付きで認められています。ただし条件の中心は「支払いを引渡時または引渡後にすること」。つまり先に金を受け取ってから仕入れる形を封じているわけです。
なお、ストア側にも別途こういう条項があります。
ア 出品代行、委託出品その他名称にかかわらず、他人の所有する商品を出品する場合には、民法で定める他人物売買による売主として出品する場合についてのみ、出品できるものとし、以下の条件を順守してください。
(ⅱ)出店者様の手元に商品を確保して出品すること。※在庫のない状態での出品は禁止します。
2-3. Yahoo!ショッピング ── 「Amazon直送型」を名指しで禁止
Yahoo!ショッピングのストア運用ガイドライン(2026年8月20日改定)は、特定の手口を名指ししています。
(3)その他の禁止行為
以下の行為は禁止します。
ア Yahoo!ショッピングの注文情報をもとに、出店者様が Amazon.co.jp 等の通販サイトやフリマアプリにて注文を行い、お客様へ商品を配送すること
イ Amazon.co.jp 等の通販サイトの商標、ロゴ、名称等が確認できる箱その他の包装・梱包材を用いて、お客様へ商品を発送すること
ウ お客様の入金を商品調達に充当することを前提として出品すること
エ 出品物の違法な利用方法を示唆または助長する商品説明を行うこと
オ 出店者様の都合による注文のキャンセルであるにもかかわらず、当社の提供するシステムにおけるキャンセルの理由として「注文者都合」を選択すること
あわせて、運営理念の項にこうあります。
6 商品の在庫が確保されていないにもかかわらず商品掲載をおこなう見せかけ販売や、その商品の人気が高いように見せるようなランキング不正操作などの客引き行為をおこなうことは禁止します。
ここは正確に読む必要があります。一般商品について「受注後に仕入れること」を包括的に禁止する条文はありません。禁止されているのは、(ア) 他の通販サイト・フリマアプリ経由で客に届けること、(ウ) 客の入金を仕入れ原資にすること、そして「在庫が確保されていない見せかけ販売」です。行為ベースの禁止という構成になっています。
なお「在庫が手元にあること」を明文で義務づけているのは金券カテゴリだけです(第2章 特別ルール/第4 金券に関するルール「1 在庫が手元にある状態で販売してください。」)。
指標については、名称だけが公表されていて数値は非公開です。
ア 出店者様に関し、当社が定めるストアパフォーマンスにおける配送ステータス連携率が当社所定の期間において当社所定の基準を満たすこと
イ (同)お届け日順守率が…当社所定の基準を満たすこと
ウ (同)ストア都合キャンセル率が…当社所定の基準を満たすこと
閾値はすべて「当社所定の基準」とされ、公開されていません。何%で措置が入るのかは、外からは分かりません。
2-4. eBay ── 卸売業者からならOK、他の小売業者からはNG
eBayの「Dropshipping」ポリシーの原文です。
Dropshipping, also known as product sourcing, is when you buy stock from a supplier and work with them to send items directly to your buyers without ever handling them yourself.
Dropshipping, where you fulfill orders directly from a wholesale supplier, is allowed on eBay. Remember that if you use dropshipping, you’re still responsible for the safe delivery of the item within the time frame stated in your listing and for the buyer’s overall satisfaction with their purchase.
However, listing an item on eBay and then purchasing the item from another retailer or marketplace that ships directly to your customer is not allowed on eBay.
イーベイ・ジャパンの日本語版も同内容です。
eBayでは、卸売業者からの直接配送によって注文を履行するDrop Shippingが認められています。Drop Shippingを利用する場合でも、セラーには出品に表示した期間内に商品が安全に配送されるようにする責任があり、購入に関するバイヤーの全般的な満足についてもセラーが責任を負う点にご注意ください。
一方、商品をeBayに出品した後、ほかの小売業者やマーケットプレイスから商品を購入して直接バイヤーへ配送してもらう方法は、eBayでは認められていません。
線は「卸売業者か、小売業者か」で引かれています。Amazonや他のECサイトで注文して客に直送させる形は、この一文で明確に禁止です。
措置について、日本語版のほうが具体的に列挙しています。
eBayのポリシーに違反するアクティビティがあった場合、管理者によって出品が打ち切られるか取り消される、すべての出品が検索結果に表示されなくなるか表示順位が下がる、セラーレベルが引き下げられる、購入や販売が制限される、バイヤー保護やセラー保護が受けられなくなる、アカウントが停止されるなど、さまざまな措置が講じられる可能性があります。
何らかの措置の対象となった出品やアカウントに関しては、お支払いいただいた料金や請求済みの料金は一切返金されず、その他の方法でアカウントに入金処理がされることもありません。
そして、この記事で一番示唆的だと思った箇所を挙げておきます。イーベイ・ジャパンの「アカウント制限・停止の対応方法」(ページ更新日:2026年6月10日)に載っている、停止解除申請の提出書類です。
提出書類(すべて必要):
①顔写真付き本人確認書類
②住所確認書類
③出品商品の在庫証明書類
在庫を持たずに出品して止まったアカウントを解除するのに、在庫証明が要る。この一行が、eBayが何を見ているかを端的に示しています。
2-5. Amazon ── 「記録上の販売者」が誰か
Amazonの「ドロップシッピングポリシー」です。本体ページはセラーセントラル内でログインが必要なため取得できませんでした。以下は、Amazonの運営アカウントがセラーフォーラムで公開した告知からの引用です(現行版と一致しているかは未検証)。
ドロップシッピング、すなわち第三者が出品者に代わって購入者に注文を出荷することは、出品者が記録上の販売者であることが購入者に明確でない限り、認められません。
以下にようなドロップシッピングの方法は、固く禁じられています。
・商品に同梱または付随する納品書や請求書、外部パッケージ、その他の情報に、出品者以外の販売者名や連絡先情報を記載して、注文を出荷すること。
・別のオンライン小売業者から商品を購入し、その小売業者から購入者に直接出荷すること(出品者が記録上の販売者として識別できない場合)。または出品者以外の者(他のオンライン小売業者を含む)が納品書や請求書、外部パッケージに記載されている場合。ドロップシッピングを利用して注文を出荷する場合、以下の要件を必ず満たす必要があります。
・商品に同梱または付随する納品書、請求書、外部パッケージ、その他の情報すべてについて、(他の誰でもない)出品者のみが商品の記録上の販売者として特定できるものとする契約を仕入れ先と結んでいること。
・注文を出荷する前に、第三者のドロップシッピング業者を特定する納品書、請求書、外部パッケージおよびその他の情報をすべて取り除くこと。
・購入者からの商品の返品受付・実施の責任を負うこと。
・出品規約および該当するAmazonのポリシーのすべての条項を遵守すること。
米国版の告知には、日本語版にない一文があります。
Purchasing products from a third party, including Amazon or another seller in Amazon’s stores, and having that third party ship directly to customers, if the shipment does not identify you as the seller of record or if anyone other than you (including the third party) appears on packing slips, invoices, or external packaging, it is strictly prohibited without exception.
(第三者──Amazon自身やAmazonストア内の他の出品者を含む──から商品を購入し、その第三者に顧客へ直送させることは、出荷が出品者を記録上の販売者として識別しない場合、または納品書・請求書・外部パッケージに出品者以外(第三者を含む)が表示される場合、例外なく固く禁止される)
措置について。
ドロップシッピングポリシーへの違反は、出品者のアカウント健全性や、出品者出荷を利用した今後の注文を出荷する権限にマイナスの影響を及ぼします。
Amazonが要求している「仕入れ先と契約を結んでいること」は、実務上かなり重い条件です。ネットショップで注文して直送させる形では、この契約が存在しません。
2-6. 楽天市場 ── 直送は審査制。違反点数100点で契約解除
楽天市場の公開ガイドライン一式には、「無在庫」「ドロップシッピング」「手元にない」という語は出てきません。代わりに、直送を審査制にしています。
Ⅰ-(9)-23 メーカー直送品/未審査での取扱い/※メーカー、産地、などから出店者が在庫を抱えず直接お客様の元へ発送する商材が対象です。/35(点)
Ⅰ-(9)-24 海外直送品/未審査での取扱い/※日本国外から、出店者を通さず直接お客様の元へ発送する商材が対象です。/35(点)
Ⅱ-(9)-12 個人輸入代行(当社が特に認めた場合を除く)
・産直審査を受けずに、海外から直接お客様の元へ商品を届けること
・産直審査を受けずに、メーカーから直接お客様の元へ商品を届けること
※以下の行為は禁止行為には該当しません。
・海外から商品を仕入れ一旦店舗内にて在庫を確保した後、お客様に届けること
違反点数制度の効果はこうです。
本制度は、楽天市場出店者の規約・ガイドライン違反に対して、その内容に応じて一定の点数を付け、その合計点数に基づき、表示制限、機能利用制限、営業停止、違約金徴収等の措置を講じる制度です。
4)違反点数記録期間…1年間(1 月 1 日から 12 日 31 日まで)※毎年 1 月 1 日に累積点数をリセット
5)期間内に累計違反点数が 100 点に到達した場合、原則その時点で契約解除措置を実施
35点の違反を3回で105点。1年に3回で契約解除の水準です。また、検索順位にも効きます。
楽天市場では、「違反点数制度」を導入しており、これにより商品の検索順位が影響を受ける場合があります。具体的には、違反点数が一定の基準を超えると該当商品の検索順位が下がり、改善が見られない場合には検索結果から除外される可能性があります。
2-7. BUYMA ── 「許容している」と自ら書いている、唯一のプラットフォーム
「BUYMAだけは無在庫が公認されている」という説明をよく見かけます。これは、BUYMA自身がそう書いているという意味では正確です。ただし同じ文の続きを読む必要があります。
BUYMAでは無在庫販売を許容しております関係上、買付予定先で商品が入れ違いに完売してしまうことが発生し得るということは認識しております。
一方で、BUYMAにご出品いただく商品につきましては、「出品時点では在庫があり買付ができること」が前提となっております。
そのため、無在庫販売が許容されているということは、即ち出品者都合によるキャンセルを行っても問題ないという訳ではございません。
そしてここが重要です。買付先からの直送は、規約で原則禁止されています。
BUYMA会員規約 第13条(出品会員の禁止行為)第1項(11):
(11) 本サービスで取引が成立した後、出品会員の責任で商品を検品せずに、当該商品を購入会員に発送する行為(出品会員が商品を購入した店舗から購入会員に商品を直接発送することを含みますが、当社が個別に許可した出品会員における当該配送はこの限りではありません。)
ガイドの説明はさらに具体的です。
店舗やウェブサイトから買付け後、検品を行わずに直接購入者へ商品を送ることは、原則禁止しております。
BUYMAでは問題のない商品をお届けするところまでを出品者の責任としてお願いしているので、品質ガイドラインの基準に満たない商品は交換(返品)対象となります。
検品漏れによるトラブルが発生しないよう、一旦ご自身で商品の受け取りと検品を行った上で購入者に商品を発送してください。
注意:共に買付けを行うパートナーがいる場合、そのパートナーが検品を行っても問題ありません。ただし、トラブルが発生した場合は、出品者の責任となります。また、買付け先の店舗のスタッフはパートナーとして認めていません。
「BUYMAは無在庫OKだから海外ショップから客へ直送してよい」は、規約上、明確に誤りです。BUYMAが許容しているのは「受注後に買い付けること」であって、「自分を経由せずに届けること」ではありません。
歯止めも用意されています。
| 仕組み | 内容(原文の要点) |
|---|---|
| 発送期限 | 注文日から18日。経過すると発送通知ボタンが非表示になり、一両日中に強制キャンセル。期限経過後の延長申請は不可 |
| 延長 | 購入者の同意が必要。拒否されれば認められない |
| キャンセル率(出品者都合) | 「商品を買付けできなかった」を理由とするキャンセル+発送期限切れキャンセル ÷ 対象取引総数。直近30日で算出 |
| キャンセル理由の操作 | 不適切な理由選択は事務局が予告なく変更。繰り返すと評価ペナルティ・利用制限 |
| 強制退会事由 | 会員規約7条2項(11)「本サービスにおいて取引をキャンセルする回数が多い又は頻度が高いと当社が判断した場合」 |
| 事務手続費用 | 禁止行為により当社が賠償等を行う場合、賠償・補償に加えて30,000円/取引毎を支払わなければならない(会員規約13条3項) |
出品画面の在庫設定も、この構造をそのまま反映しています。
買付け可
・注文完了後に買付を行う商品に対して使用してください。
・出品時に買付を行うことが可能な商品に対して使用し、買付できないことが判明した場合は速やかに【在庫なし】へ変更してください。手元に在庫あり
・取引キャンセルにならず確実にご用意ができる商品に使用してください。
・在庫数の入力が必須です。
・万が一、商品の用意ができずに取引キャンセルとなった場合、ペナルティの対象となります。
2-8. 3つの規約に共通する、たった一文
ここまで9つの規約を並べてきて、まったく同じ趣旨の一文が3つの規約に入っていることに気づきます。
| 規約 | 条文 |
|---|---|
| Yahoo!ショッピング ストア運用ガイドライン |
「お客様の入金を商品調達に充当することを前提として出品すること」を禁止 |
| ヤフオク! ガイドライン細則(個人) |
「落札者の入金を商品調達に充当することを前提に出品すること」を禁止 |
| ヤフオク! ストア運用ガイドライン |
「落札者の入金を商品調達に充当することを前提とした出品はおこなわないこと」 |
3つとも同じことを言っています。問題視されているのは「在庫がないこと」そのものではなく、「客の金で仕入れること」です。
無在庫転売が「元手ゼロで始められる」と紹介されるとき、その元手ゼロを成立させているのは購入者の前払い金です。規約はそこを名指ししています。そしてヤフオク!ストアが在庫なし出品を許容する条件が「支払いを引渡時または引渡後にすること」だったことも、同じ論点の裏返しです。前払いでなければ、客の金で仕入れることにならない。
この一文は、規約が改定されても残る可能性が高い部分です。在庫の有無は状態の話ですが、他人の金を運転資金にすることは構造の話だからです。
3. 自社ECなら規約はない。代わりに決済が止まる
3-1. Shopify・BASE・STORESに無在庫禁止条項はありません
「プラットフォームがダメなら自分のショップを作ればいい」という発想は、規約の面では正しい。実際に条文を確認しました。
- Shopify:Acceptable Use Policy と Terms of Service のいずれにも
drop ship/dropshipの語は出てきません - BASE:禁止行為リストに在庫・手元・直送に関する項目はありません。むしろ「海外から仕入れた商品は販売できますか」というヘルプが、受注後仕入れを前提に書かれています
- STORES:利用規約に在庫・手元に関する禁止条項はありません
BASEのヘルプは、受注後仕入れを想定した注意事項をこう書いています。
海外から商品を仕入れて販売するさいには、以下の点にご注意ください。
・購入者への商品到着に日数がかかる場合には、「特定商取引法に基づく表記」の「役務または商品の引渡時期」や、商品説明欄などにお届け日数の目安を必ず明記してください。
・荷物の紛失等がないよう、なるべく追跡可能な配送方法を利用してください。
・必ず検品をおこない、不良品や異なる商品が届かないようにしてください。
・購入された商品が仕入れできなかった場合は、速やかに購入者へ返金してください。
3-2. PayPal ── 「売り手が商品の管理または所有をする前の商品の販売」を禁止
ところが、決済側に移ると話が変わります。PayPalの利用規定ポリシー(Acceptable Use Policy、最終更新2022年11月2日)の禁止行為に、こうあります。
次に記載する取引への関与 (a) 適用法に違反し第三者の個人情報を提示すること (b) ねずみ講または出資金詐欺、マトリックスプログラム、その他の一攫千金を謳うもの、またはマルチ商法への加担 (c) 年金または宝くじの契約の購入、予約販売システム、オフショア金融またはクレジットカードにより資金を調達した負債の借り換えに関連すること (d) 売り手が商品の管理または所有をする前の商品の販売 (e) マーチャントの代理としての決済機関による支払いの回収 …
英語原文:
…(c) are associated with purchases of annuities or lottery contracts, lay-away systems, off-shore banking or transactions to finance or refinance debts funded by a credit card, (d) are for the sale of certain items before the seller has control or possession of the item, …
そして効果。
本利用規定ポリシーに違反した場合は、PayPalユーザー規約の違反となります。
無在庫販売そのものを名指しした、もっとも明確な条文です。プラットフォームの規約を回避しても、決済がここに引っかかります。
3-3. Stripe ── 日本で「無在庫転売の指南業」を禁止業種に指定
Stripeは違う角度から線を引いています。Prohibited and Restricted Businesses(最終更新2026年5月13日)の「日本」の項に、次の2つが列挙されています。
Advisory services related to drop shipping and the resale of goods
Consultation or advisory services providing guidance, information or tools on how to profit through trading or investments in financial products or cryptocurrency or running a resale or dropshipping business
(ドロップシッピングおよび物品の転売に関するアドバイザリーサービス/金融商品もしくは暗号資産の取引・投資、または転売・ドロップシッピング事業の運営によって利益を得る方法について、指導・情報・ツールを提供するコンサルティングまたはアドバイザリーサービス)
読み分けが要ります。これは「無在庫販売をする人」ではなく「無在庫販売のやり方を教える人」を禁止しています。Stripeの禁止事項に、在庫・未発送・事前販売に関する条項はありません。
そしてこの条項は日本にだけ置かれています(該当セクションの見出しは “Jurisdiction-specific prohibited businesses — Countries that have specific prohibitions”)。日本で何が起きているかを、Stripeが把握しているということです。この論点は8章でもう一度扱います。
なお、同じ「日本」の項には、もう1つ無視できない行が入っています。
Businesses without a “Commercial Disclosure” page on their website as required by the Specified Commercial Transactions Act (SCT)
(特定商取引法が要求する「特定商取引法に基づく表記」のページを自社サイトに持たない事業者)
特商法の表示義務を果たしていない日本の事業者は、Stripeでは禁止業種です。4-4で見る「個人でも表示義務がある」という話は、法令の建前ではなく、決済が通るかどうかという実務に直結しています。
4. 日本の法令はどこに触れるか
1章で書いたとおり、無在庫販売そのものを禁じる法令はありません。ただし、通信販売として行う以上、以下の条文の適用は受けます。すべてe-Gov法令検索の現行有効版から引用しています(罰則は2025年6月1日施行の改正刑法による拘禁刑ベース)。
4-1. 特定商取引法11条3号 ── 引渡時期は「期間又は期限」で書かなければならない
ここが無在庫販売の急所です。
(通信販売についての広告)
第十一条 販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、主務省令で定めるところにより、当該広告に、当該商品若しくは当該権利又は当該役務に関する次の事項を表示しなければならない。…
一 商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価…
二 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法
三 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
そして施行規則が、書き方まで指定しています。
第二十四条 …
二 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期は期間又は期限をもつて表示すること。
消費者庁の「通信販売広告Q&A」は、この点をさらに具体的に説明しています。
Q10 「在庫のあるもの即日発送、予約は入荷次第」という記載があった場合には、引渡時期についての表示があると考えてよいでしょうか。
A10 商品の引渡時期は、期間又は期限として表示することとされており、「入荷次第」という文言では時期を示したことにはなりません。これは、消費者が申し込んだ後、いつ商品を受領するか分からないと、消費者が不安定な状態に置かれることとなるためです。「○日以内」、「○月○日まで」という具体的な表示が必要です。Q11 「入金確認後発送します」という表示は、支払時期、商品の引渡時期を表示しているといえますか。
A11 …商品の引渡時期については、期間又は期限として表示することが必要であり、「入金確認後発送します」と表示しているのみでは、引渡時期を明示しているとはいえません。
さらに、施行規則25条2項ただし書が、表示の省略まで封じています。
ただし、…売買契約又は役務提供契約の申込みを受けた後遅滞なく当該申込みに係る商品を送付しない場合…にあつては法第十一条第三号に掲げる事項…についてはこの限りでない。
整理するとこうです。受注後に仕入れる形態は、定義上「申込みを受けた後遅滞なく商品を送付しない場合」に当たります。したがって引渡時期の表示は省略できず、しかも「期間又は期限」で書かなければならない。仕入れが確定していない段階で、いつ届くかを期限で約束することになります。
4-2. 景品表示法 ── おとり広告告示の第1号
もう一つ、直接効いてくる可能性があるのが景表法5条3号の指定告示です。
「おとり広告に関する表示」(平成5年4月28日公正取引委員会告示第17号)の全文から、第1号を引きます。
一般消費者に商品を販売し、又は役務を提供することを業とする者が、自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を除く。)に顧客を誘引する手段として行う次の各号の一に掲げる表示
一 取引の申出に係る商品又は役務について、取引を行うための準備がなされていない場合その他実際には取引に応じることができない場合のその商品又は役務についての表示
この告示の運用基準(平成5年4月28日事務局長通達第6号/平成28年4月1日消費者庁長官決定)が、趣旨と例示を示しています。
「おとり広告に関する表示」…は、広告、ビラ等における取引の申出に係る商品又は役務…が実際には申出どおり購入することができないものであるにもかかわらず、一般消費者がこれを購入できると誤認するおそれがある表示を、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがある不当な表示として規制するものである。
事業者は、広告、ビラ等において広く消費者に対し取引の申出をした広告商品等については、消費者の需要に自らの申出どおり対応することが必要であり、また、何らかの事情により取引に応じることについて制約がある場合には、広告、ビラ等においてその旨を明瞭に表示することが必要である。
1-(1) 告示第1号の「取引を行うための準備がなされていない場合」について
広告商品等について「取引を行うための準備がなされていない場合」に当たる場合を例示すると以下のとおりである。このような場合において、それが当該事業者の責に帰すべき事由以外によるものと認められ、かつ、広告商品等の取引を申し込んだ顧客に対して、広告、ビラ等において申し出た取引条件で取引する旨を告知するとともに希望する顧客に対しては遅滞なく取引に応じているときには、不当表示には当たらないものとして取り扱う。
① 当該店舗において通常は店頭展示販売されている商品について、広告商品が店頭に陳列されていない場合
② 引渡しに期間を要する商品について、広告商品については当該店舗における通常の引渡期間よりも長期を要する場合
③ 広告、ビラ等に販売数量が表示されている場合であって、その全部又は一部について取引に応じることができない場合
…1-(2) 告示第1号の「取引に応じることができない場合」について
① 広告商品等が売却済である場合
② 広告商品等が処分を委託されていない他人の所有物である場合
条文と運用基準はここまでです。これが個別のケースに当たるかどうかは、事実関係次第です。私は判断しません。ただ、無在庫販売で「売り切れていた商品を出品したままにしていた」「仕入先の在庫が消えてキャンセルした」という状況が、告示第1号の文言と運用基準の例示にどう対応するかは、原文を読めば見当がつくはずです。
なお、おとり広告告示(=5条3号)に該当する表示は、課徴金の対象外です。景表法8条1項が括弧書きで「同条第三号に該当する表示に係るものを除く」としています。課徴金(売上額の3%)がかかるのは優良誤認(5条1号)と有利誤認(5条2号)だけです。
※告示の本文は根拠条文を「第四条第三号」と書いていますが、これは平成26年改正前の条番号で、現行法では第5条第3号に相当します。告示自体が改正されていないため、文言は旧番号のままです。
4-3. 特商法の処分と罰則は、こういう構造になっています
ここは誤解が多いので、条文の配置をそのまま示します。
| 段階 | 条文 | 内容 |
|---|---|---|
| ①違反 | 法11条(広告表示義務)、法12条(誇大広告等の禁止) | 11条違反それ自体を直接処罰する規定は置かれていません |
| ②指示 | 法14条 | 1項1号に「通信販売に係る売買契約…に基づく債務…の履行を拒否し、又は不当に遅延させること」。3項で公表義務 |
| ③業務停止命令 | 法15条 | 2年以内の期間を限り、通信販売業務の全部または一部を停止。4項で公表義務 |
| ④業務禁止命令 | 法15条の2 | 役員・使用人等に対し、停止期間と同一期間の新規開始禁止 |
| ⑤罰則 | 法70条3号 | 15条・15条の2の命令に違反したとき:3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科可) |
| 法71条2号 | 14条の指示に違反したとき:6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(併科可) | |
| 法72条1号 | 12条(誇大広告)違反:100万円以下の罰金 | |
| ⑥両罰 | 法74条1号 | 法人に対し3億円以下の罰金刑 |
広告表示義務(11条)に違反しただけでは、直ちに罰則はかかりません。指示や業務停止命令の要件になり、その命令・指示に違反した段階で罰則がかかる構造です。逆に言えば、行政処分は公表されます(14条3項、15条4項)。
4-4. 「個人だから」「副業だから」の免除はありません
消費者庁の特定商取引法ガイドの記述です。
※1「販売業者又は役務提供事業者」とは、販売又は役務の提供を業として営む者を意味します。業として営むとは、営利の意思を持って、反復継続して取引を行うことをいいます。なお、営利の意思の有無については、その者の意思にかかわらず、客観的に判断されることとなります。上記要件に該当すれば、個人でも特定商取引法上の「販売業者又は役務提供事業者」となります。
さらに、消費者庁は具体的な目安を公表しています。「インターネット・オークションにおける『販売業者』に係るガイドライン」です。
特定商取引法において、販売業者とは、販売を業として営む者の意味であり、「業として営む」とは、営利の意思を持って反復継続して取引を行うことをいう。営利の意思は客観的に判断される。例えば、転売目的で商品の仕入れ等を行う場合は営利の意思があると判断される。
(1)すべてのカテゴリー・商品について
…例えば、以下の場合には、特別の事情がある場合を除き、営利の意思を持って反復継続して取引を行う者として販売業者に該当すると考えられる。但し、これらを下回っていれば販売業者でないとは限らない。…一般に、特に、メーカー、型番等が全く同一の新品の商品を複数出品している場合は、販売業者に該当する可能性が高いことに留意すべきである。
①過去1ヶ月に 200 点以上又は一時点において 100 点以上の商品を新規出品している場合
②落札額の合計が過去1ヶ月に 100 万円以上である場合
③落札額の合計が過去1年間に 1,000 万円以上である場合
この3つの数値は、消費者庁が公表している目安として、記事に書ける数少ない具体的な数字です。「転売目的で仕入れる場合は営利の意思があると判断される」と明記されている点も重要です。
該当すれば、特定商取引法に基づく表記の義務が発生します。事業者の氏名(または名称)、住所、電話番号を含みます(法11条6号・施行規則23条1号)。これは「個人でも本名と住所と電話番号を掲載する」という意味です。
4-5. 古物営業法 ── 新品でも「古物」になる場合があります
ここも誤解が多い箇所です。警察庁の解釈運用基準(令和6年8月14日 丙生企発第272号)を引きます。
(2) 法第2条第1項中「使用のために取引されたもの」とは、自己が使用し、又は他人に使用させる目的で購入等されたものをいう。したがって、小売店等から一度でも一般消費者の手に渡った物品は、それが未だ使用されていない物品であっても「古物」に該当する。例えば、消費者が贈答目的で購入した商品券や食器セットは、「使用のために取引されたもの」に該当する。
そして「営業」の定義。
また、その行為が、その者が主として行う本業、本職である場合だけでなく、臨時的に行う副業、内職等というべき場合においても、それは法にいう営業と認められる。
無許可営業の罰則は、古物営業法31条1号で3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。
ただし注意点があります。「新品を仕入れて転売する場合に許可が必要か」を一問一答で扱った警察庁の記述は見つかりませんでした。通達が示しているのは上記(2)の判定基準(一般消費者の手に一度でも渡ったか)だけです。メーカーや卸から直接仕入れた新品は、通常この基準に当たりません。個別の判断は所轄の警察署にご確認ください。
4-6. 民法 ── 届けられなかったとき
買った側が使う条文です。
(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。…(催告によらない解除)
第五百四十二条 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
…
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
4-7. 刑法246条について
「無在庫転売は詐欺になるのか」という質問をよく見かけるので、条文だけ置きます。
(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
「最初から履行する意思がない場合」を詐欺の要件として明示した公的資料は、確認できませんでした。法務省の犯罪白書は条文どおりの構成要件を記述するにとどまります。警察庁の統計に「売付け=売付けを口実として金品をだまし取るもの」という手口分類がありますが、これは無在庫販売を指したものではありません。
ネット上には「無在庫転売は詐欺罪」「逮捕される」という断定を多く見かけますが、その根拠になる公的資料を、私は見つけられませんでした。ないものを、あるようには書きません。
5. 止まったあと、戻れるのか
ここからは、すでにアカウントが止まった人向けです。異議申し立ての制度があるかどうかは、プラットフォームによって大きく違います。(止まる前後に何が起きるかの実例は、転売ヤーの爆死事例を出典付きで検証した記事にまとめてあります。)
| プラットフォーム | 制度 | 確認できた内容 |
|---|---|---|
| 楽天市場 | あり(明確) | 「楽天市場への苦情・紛争の申し立て」。特定デジタルプラットフォーム透明化法に基づく開示ページに、定義・該当/非該当の具体例・対応目安(1ヶ月以内)まで明記 |
| eBay | あり(手順あり) | Suspension は MC999、Restriction は MC011 のメールに英語で返信。本人確認書類・住所確認書類・出品商品の在庫証明書類を提出。「※メールに『Permanent Suspension(永久停止)』と記載がある場合でも、解除できる可能性があります」 |
| メルカリ | 限定的 | 問い合わせ導線はあるが、無期限の利用制限については「解除される事はございません」と明記 |
| Yahoo!ショッピング | 通知規定のみ | 利用約款48条1項に「当社は、出店者に対し、措置の内容および理由を通知します」。異議申立制度そのものの名称は確認できず |
| ヤフオク!(個人) | 確認できず | ガイドラインに「利用者に通知することなく、直ちに該当する商品等の出品の拒絶、編集、移動、削除等を当社自身の判断により実施する権利を保有する」との規定のみ |
| Amazon | 確認できず | セラーセントラル内(要ログイン)のため原文を取得できず |
| BUYMA | 確認できず | カスタマーサポート窓口のみ |
| Shopify | 方針記述のみ | AUPに「we will give you notice, grant you opportunities to self-remediate conflicts, default to enforcement at the product level, and take account-level action as a last resort」 |
参考までに、楽天の苦情・紛争窓口は「該当しない例」まで公開しています。
【苦情紛争の具体例】該当:・事実と異なる事由を根拠に出店契約を解除されたとのご主張
非該当:・抽象的な規約及びガイドライン等の存在、解釈又は効力、システムについてのご主張/・単なる主観的な意見、事実の存否等のご主張/・規約及びガイドラインの制定により店舗運営に損害を及ぼしているとのご主張/・他の店舗様の苦情・紛争に関するご主張
「規約そのものが不当だ」という主張は、申し立ての対象外だと明記されています。争えるのは「事実認定が違う」という点だけです。
6. 通報したい人へ
「ebay 無在庫転売 通報」「ヤフーショッピング 無在庫転売 通報」という検索が一定数あります。各社の窓口をまとめます。
| プラットフォーム | 窓口の正式名称 |
|---|---|
| eBay | Report an issue with a seller(出品自体は「report the item」を使うよう案内あり) |
| Amazon | 「【Amazon】出品者とのトラブル対応方法」からカスタマーサービスへ。注文番号・出品者ページのURL・違反行為の詳細を必ず記入と明記 |
| Yahoo!ショッピング | 「違反商品の申告」(ヘルプ H000005855) |
| ヤフオク! | ヘルプ H000005359。別途「いたずら入札トラブル申告制度」ページに違反利用者の申告ボタン |
| メルカリ | 「禁止されている出品物・行為を通報する」。商品ページ右上の3点リーダー →「通報」→「この商品を事務局に報告する」 |
| Shopify | Report an issue(AUPに「If you believe a Shopify user is violating this Acceptable Use Policy, you can submit a report.」) |
| 楽天市場・BUYMA | 第三者向けの違反通報フォームは確認できませんでした |
通報するときに知っておいたほうがよいことが2つあります。
ひとつ。結果は通知されません。ヤフオク!の申告制度にはこう書かれています。
※措置結果等はお知らせしておりませんので、あらかじめご了承ください。
ふたつ。即座に削除されるとは限りません。メルカリの説明です。
通報された内容は事務局にて確認し、必要に応じて削除や利用制限等の対応を行います。重大な違反を除き、まずはルールをお伝えし改善を促す形で対応をしています。
7. 買った商品が届かない人へ
ここは実務です。順番に書きます。
7-1. まず、その事業者の「特定商取引法に基づく表記」を確認する
4-4で見たとおり、通信販売を業として行う者は、氏名または名称・住所・電話番号を表示する義務があります(法11条6号・施行規則23条1号)。この表記がない、あるいは電話番号がつながらない場合、それ自体が違反です。
国民生活センターは、事業者情報が虚偽である可能性について繰り返し注意喚起を出しています。
| 公表日 | タイトル |
|---|---|
| 2026年6月17日 | 悪質通販サイトにご注意ください-フリマサイトの画像や文言を流用したサイトも!- |
| 2025年5月21日 | ネット通販で商品が届かない!事業者所在地や連絡先が虚偽の可能性も!-「悪質通販サイト情報」掲載項目を追加しました- |
| 2024年12月11日 | 商品が届かない…!返金してもらえない…!悪質通販サイトを巡るトラブルにご注意 |
| 2024年6月26日 | そのサイト、大丈夫?ネット通販で商品を購入する前に確認を!-「悪質通販サイト情報」を公表します- |
7-2. 消費者ホットライン 188
消費者庁の説明です。
困ったときは、一人で悩まずに、「消費者ホットライン」188にご相談ください。
地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口をご案内します。
※ 郵便番号等を入力いただくことで、お近くの市区町村や都道府県の消費生活センター等の消費生活相談窓口をご案内いたします。
188自体は相談を受ける窓口ではなく、郵便番号による振り分けで各地の消費生活センターへ接続するダイヤルです。消費者庁につながるものではありません。
つながらない場合のバックアップも用意されています。
バックアップ相談(国民生活センター)
消費者ホットラインが話中でつながらない場合、国民生活センターの「バックアップ相談」もご利用いただけます。
電話番号:03-3446-0999 受付時間:平日の10時~16時
7-3. 相手が海外事業者なら ── 越境消費者センター(CCJ)
国民生活センターが運営する、海外ショッピングのトラブル専門窓口です。
国民生活センター越境消費者センター(Cross-border Consumer center Japan:CCJ)では、海外ショッピング(インターネット・店頭取引を含む)に関するトラブル相談を受け付けています。日本の消費者と日本の事業者との間で生じたトラブルについては、居住地域の消費生活センター等でご相談を受け付けています。消費者ホットライン188(※局番なし)へご相談ください。
相談はオンライン受付のみで、電話は受け付けていません。システム移行等で受付を一時停止していることがあるので、利用前に公式サイトで受付状況を確認してください。
7-4. 警察
警察庁のサイバー事案相談窓口の「よくある相談事例」には、まさにこの状況が挙げられています。
・インターネットショッピングで商品を注文し、代金を指定口座に振り込んだが、商品が届かず、問い合わせメールへの返信も来ない。
・インターネットオークションに出品されていたバッグを落札し、代金を振り込んだが、いつまでたっても商品が送られてこない。
爆破予告、殺人予告、自殺予告等の人命に関わる事案は最寄りの警察署に通報(緊急を要するものは110番)してください。また、被害届を行う場合は、最寄りの警察署等に連絡をお願いします。
相談専用電話は#9110(最寄りの警察本部の相談窓口につながる全国共通番号)です。
8. 「無在庫転売のノウハウ」を売る側について
最後に、この調査でいちばん印象に残ったことを書きます。
1章で書いたとおり、日本の法令に「無在庫」という語はありません。では行政の公表資料に「無在庫」という語が出てくるのはどこかを探したところ、見つかったのは1件だけでした。
消費者庁「無在庫での転売ビジネスのノウハウを提供するなどとうたい、多額の金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起」(令和3年4月28日)です。
消費者庁が調査を行ったところ、(事業者名)が、消費者の利益を不当に害するおそれがある行為(虚偽・誇大な広告・表示及び不実告知)をしていたことを確認したため、消費者安全法(平成 21 年法律第 50 号)第 38 条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼びかけます。
これは無在庫販売そのものへの処分ではありません。無在庫転売のノウハウを売る事業者への注意喚起です。
関連して、国民生活センターも「『転売ビジネス』で稼ぐつもりが…簡単には儲からない!」(令和3年2月10日)を公表しています。
そして3-3で見たとおり、Stripeは日本においてのみ「転売・ドロップシッピング事業の運営によって利益を得る方法について、指導・情報・ツールを提供するコンサルティングまたはアドバイザリーサービス」を禁止業種に指定しています。
並べるとこうなります。
| 無在庫販売を「する」側 | やり方を「教える」側 | |
|---|---|---|
| 日本の法令に直接の規定 | なし | なし |
| 行政の公表資料での言及 | 確認できず | あり(消費者庁 令和3年4月28日、消費者安全法38条1項) |
| プラットフォーム規約 | 各社が禁止・制限(2章) | ― |
| 決済代行の禁止事項 | PayPalが禁止(3-2) | Stripeが日本で禁止業種に指定(3-3) |
行政と決済会社が名指ししているのは、無在庫転売そのものより「無在庫転売の教え方を売る商売」のほうです。これは条文と公表資料を並べた結果であって、私の意見ではありません。ただ、無在庫転売について調べている人にとっては、知っておく価値のある事実だと思います。
9. まとめ
9-1. 条文から言えること
- 無在庫販売を禁じる日本の法令は存在しません。e-Gov全法令検索で「無在庫」「ドロップシッピング」ともに0件です
- 禁じているのは各社の規約で、その中身は正反対に近いほど違います。メルカリとヤフオク個人は全面禁止、ヤフオクストアは条件付きで可、eBayは仕入元で線を引き、Amazonは表示で線を引き、楽天は審査制、BUYMAは許容と明記。プラットフォームを特定しない議論は成立しません
- Yahoo系3規約に共通する一文は「客の入金を商品調達に充当することを前提とした出品」の禁止です。問題視されているのは在庫の有無ではなく、他人の金を運転資金にする構造です
- 自社ECに無在庫禁止の規約はありませんが、PayPalが「売り手が商品の管理または所有をする前の商品の販売」を禁止しています
- 通信販売として行う以上、引渡時期を「期間又は期限」で表示する義務があります。「入荷次第」は表示になりません(消費者庁Q&A)。しかも受注後に仕入れる形態では、この表示を省略できません(施行規則25条2項ただし書)
- 「個人だから」「副業だから」の免除はありません。消費者庁の目安は、月200点/一時点100点、月100万円、年1000万円
- 止まったあと戻れるかは、プラットフォーム次第です。明確な異議申立制度を持つのは楽天だけで、メルカリは「解除される事はございません」と明記しています
9-2. この記事で確認できなかったこと
| 項目 | 理由 |
|---|---|
| Amazonドロップシッピングポリシー本体の原文と改定日 | セラーセントラルがログイン必須。本文はAmazon運営アカウントのフォーラム告知から引用。現行版との一致は未検証 |
| Yahoo!ショッピングの各種パフォーマンス指標の閾値 | ガイドライン上すべて「当社所定の基準」とされ非公開 |
| 楽天市場・BUYMAの第三者向け違反通報フォーム | 公開ページ上で確認できず |
| 刑法246条について「最初から履行する意思がない場合」を要件と明示した公的資料 | 法務省の犯罪白書は条文どおりの記述にとどまる |
| 消費者庁の処分事例で「商品を発送しない」「在庫がないのに販売した」を理由とするもの | 特商法ガイドの執行事例DB全526件を機械集計。通信販売65件中、法14条1項1号(債務の履行拒否・不当遅延)の適用は0件。ただし同DBは概ね直近5年分のみ |
| 国民生活センターの注意喚起で無在庫販売に言及したもの | 商品未着の注意喚起は複数あるが、いずれも「無在庫」「ドロップシッピング」の語を含まない |
| 「新品を仕入れて転売する場合の古物商許可の要否」を扱った警察庁の一問一答 | 通達は「一般消費者の手に一度でも渡ったか」という判定基準を示すのみ |
| au PAYマーケットの出店者向け規約 | 公開版を確認できず |
9-3. この記事の情報を、自分で最新版に確認する方法
規約は改定されます。この記事が引用した版の日付を、下の表にまとめました。正式名称で検索すれば、改定されていても現行版にたどり着けます。実際に判断する前に、必ず原文を確認してください。
| 規約・資料の正式名称 | この記事が引用した版 |
|---|---|
| eBay「Dropshipping」(日本語版:【Drop Shipping】ドロップシッピングの注意点とeBayポリシー) | 改定日の表示なし。関連ページ「アカウント制限・停止の対応方法」はページ更新日2026年6月10日 |
| Amazon「ドロップシッピングポリシー」 | 版・改定日を確認できず |
| Yahoo!ショッピング ストア運用ガイドライン | 2026年8月20日改定 |
| ショッピングストア利用約款 | 2026年7月1日改定施行 |
| Yahoo!オークションガイドライン | 2026年7月7日改定 |
| Yahoo!オークションガイドライン細則 | 2026年1月26日改定 |
| Yahoo!オークションストア運用ガイドライン | 2026年4月1日改定 |
| メルカリ 出品者ガイドライン | 2025年6月17日制定/2025年7月1日適用/2025年9月9日改定/2025年12月15日改定 |
| メルカリガイド 各記事(手元にない商品の出品/禁止されている行為) | 改定日の表示なし |
| BUYMA会員規約 | 2005年2月21日制定/2023年4月21日改定 |
| 楽天市場 違反点数制度に関するガイドライン | 2016年9月1日制定/2019年3月28日最終改定 |
| PayPal 利用規定ポリシー(Acceptable Use Policy) | 最終更新 2022年11月2日(英語版 Last updated on October 29, 2022) |
| Stripe Prohibited and Restricted Businesses | Last updated: 2026-05-13 |
| Shopify Acceptable Use Policy / Terms of Service | 改定日の表示を確認できず |
| 特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号) | 2026年8月12日施行版 |
| 特定商取引に関する法律施行規則 | 2026年5月21日施行版 |
| 不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号) | 2026年5月21日施行版 |
| おとり広告に関する表示(公正取引委員会告示第17号) | 平成5年4月28日全部変更(以後改正なし) |
| 「おとり広告に関する表示」等の運用基準 | 平成5年4月28日/平成28年4月1日 消費者庁長官決定 |
| 刑法(明治四十年法律第四十五号) | 2026年5月21日施行版 |
| 古物営業法(昭和二十四年法律第百八号) | 2025年6月1日施行版 |
| 民法(明治二十九年法律第八十九号) | 2026年6月24日施行版 |
| 古物営業法等の解釈運用基準(警察庁 丙生企発第272号) | 令和6年8月14日 |
| インターネット・オークションにおける「販売業者」に係るガイドライン(消費者庁) | 令和4年6月1日 |
9-4. 関連する記事
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【免責】
本記事は、各事業者および公的機関が公表している規約・法令・資料に基づく情報の整理です。筆者は弁護士ではなく、個別の事案についての法的助言を行うものではありません。ある行為が違法か適法か、規約違反に当たるか否かの判断は、具体的な事実関係によって変わります。実際の判断にあたっては、弁護士、所轄の警察署、消費生活センター等にご相談ください。
引用した規約・法令は、いずれも本記事の作成時点で公表されていた版です。規約は予告なく改定され、法令も改正されます。9-3の表に引用した版の日付を明記しましたので、必ず原文の最新版をご確認ください。
本記事は特定の販売手法を推奨するものでも、特定の事業者を非難するものでもありません。条文と公表資料を並べ、確認できなかったことは確認できなかったと書く方針で作成しています。
【主な出典】
eBay「Dropshipping and product sourcing」/イーベイ・ジャパン「【Drop Shipping】ドロップシッピングの注意点とeBayポリシー」「アカウント制限・停止の対応方法」/Amazon「ドロップシッピングポリシー」(セラーフォーラム公式告知)「【Amazon】出品者とのトラブル対応方法」/LINEヤフー「Yahoo!ショッピング ストア運用ガイドライン」「ショッピングストア利用約款」「Yahoo!オークションガイドライン」「Yahoo!オークションガイドライン細則」「Yahoo!オークションストア運用ガイドライン」「オークションストア利用約款」/メルカリ「メルカリガイド」「出品者ガイドライン」「アカウントの利用制限」「禁止されている出品物・行為を通報する」/エニグモ「BUYMA会員規約」「BUYMAガイド」/楽天「楽天市場出店規約」「違反点数制度に関するガイドライン」「安心・安全なショッピング環境をつくるためのガイドライン」「楽天市場以外での取引行為および取引誘導に関するガイドライン」「プラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する取り組みについて」/Shopify「Acceptable Use Policy」「Terms of Service」/BASE「利用規約」「BASEの利用において禁止行為はありますか」「海外から仕入れた商品は販売できますか」「ショップ運営に関するガイドライン」/STORES「利用規約」/Qoo10「販売者利用規約」/PayPal「利用規定ポリシー/Acceptable Use Policy」/Stripe「Prohibited and Restricted Businesses」/e-Gov法令検索「特定商取引に関する法律」「特定商取引に関する法律施行規則」「不当景品類及び不当表示防止法」「刑法」「古物営業法」「民法」/消費者庁「特定商取引法ガイド」「通信販売広告Q&A」「インターネット・オークションにおける『販売業者』に係るガイドライン」「おとり広告に関する表示」「『おとり広告に関する表示』等の運用基準」「無在庫での転売ビジネスのノウハウを提供するなどとうたい、多額の金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起」(令和3年4月28日)「消費者ホットライン」/国民生活センター「越境消費者センター(CCJ)」「悪質通販サイトにご注意ください」ほか報道発表資料/警察庁「古物営業法等の解釈運用基準について(通達)」(令和6年8月14日 丙生企発第272号)「サイバー事案に関する相談窓口」「『偽サイト』『詐欺サイト』に注意!」/法務省「令和2年版 犯罪白書」
最終更新:2026年8月26日

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