「友達と起業はやめとけ」を、友人の会社に10万円とパソコンを置いて抜けた側から書く

起業

この記事は「友達と起業 やめとけ」「友達と起業」で検索した人に向けて書いています。私は学生のときに中学時代の友人と起業し、途中で抜けました。友人の会社に置いてきた現金とパソコンは戻らず、その友人とは以後会っていません。別の友人には仕事を回して、作業ゼロのまま縁が切れました。友人に何かを先に出して、回収できた回数は一度もありません。この記事は、その側から「やめとけ」の中身を書いたものです。

結論を先に書きます。友達と起業して最初に失敗するのは事業ではなく友人関係です。理由は、友人との起業が「金と労働を先払いする契約」なのに、友人だからという理由で回収の手段を作らないからです。事業が当たれば問題は隠れ、当たらなければ先に出した側が損をして、損をした時点で友人ではなくなります。やめておくべきかどうかは、この記事の後半にある3つの問いに自分の数字を入れれば決まります。

一人でやれば成立していた。同じ時期に古本せどりで月30万円

先に、私が友人と組む必要のなかった人間だったことを書いておきます。大学の卒業が近い時期、私は古本せどりで月収30万円まで行っていました。学生の一人作業で、在庫は自室、稼働は授業の合間と夜、という前提での数字です。学生としては十分で、生活費も遊ぶ金も足りていました。

つまり私には、一人で回る仕事がすでにありました。それでも友人と起業した。この事実が、この記事で一番重要な前提です。「一人でやれば成立するものを、なぜ友人と組んだのか」が問いになるからです。理由は事業計画の良さではありませんでした。

なぜ組んだのか。自信を失った矢先の電話だった

せどりと並行して、私はベンチャー企業でインターンをしていました。いまは上場している会社です。そこで私はまるで仕事ができませんでした。周りの人間が優秀すぎて、自分は向いていない、辞めたい、と毎日思っていました。せどりで稼げているのに、会社という場所では戦力にならない。その落差で自信を失っていた時期です。

その矢先に、中学時代の友人から電話が来ました。起業したいから話を聞いてほしい、と。友人の家まで行って計画を聞くと、当時伸びていたフリーペーパーの漫画版と男性ファッション版を作りたいという話でした。友人は理系大学の二部に通っていて、私も卒業前。そこに友人の大学の同級生が一人加わって、三人で始めることになりました。仕事場は六本木の有料図書館でした。

ここで正直に書いておくと、私が乗った理由は「計画が良かったから」ではなく「居場所が欲しかったから」です。会社で戦力になれない自分に、友人が声をかけてくれた。その状況で計画の期待値を計算する余裕は、当時の私にはありませんでした。友達と起業する人の多くが、計画ではなく状況で決めています。私がそうでした。

何が起きたか。手応えがないまま体調を崩し、抜けた

始めてみると、手応えが全くありませんでした。フリーペーパーは印刷物なので、広告が取れなければ刷る金がなく、刷らなければ広告主に見せるものがない。三人とも営業の経験はなく、学生で、六本木の図書館で企画書を作る日が続きました。そのうち私は耳鳴りがするようになり、日に日におかしくなっていきました。「これを続けて成功するのか」という疑問が消えなくなり、途中で抜けました。

抜ける時点で、私はせどりで稼いだ金の中から友人の会社に10万円前後を入れていて、10万円ほどで買ったパソコンを貸していました。金額は当時の記憶で、帳簿は残っていません。この現金もパソコンも、戻ってきていません。返してくれと言える関係でもなく、言わないまま連絡が途絶えました。以後、一度も会っていません。

もし一緒に起業していなければ、いまでも友人だったと思います。中学時代にその友人の家に遊びに行ったとき、私は自分の住んでいた街と比べてその街がとても洗練されて見え、いつか住みたいと思っていました。それくらいの友人でした。30年後に実際にその街に引っ越して、それが幻想だったと知る話は「田舎生まれは人生終了か|ハンデの正体は生まれではなく引っ越し回数だった」に書きました。

起業でなくても同じことが起きる。仕事を回した友人の場合

起業という形を取らなくても、友人に仕事を持ち込めば同じことが起きます。これは別の友人で確認しました。

せどりで稼げるようになってから、私は人を使って規模を広げようとしていました。海外ブランドの仕入れ販売を新しく開拓するつもりで、作業を手伝ってくれる人を探していた時期です。そこに、SNS経由で短大時代の友人から連絡が来て、再会しました。家電量販店で営業をしていて、並行してネットワークビジネスもやっている、稼ぎたい、という話でした。

稼ぎたいというので、頼みたい仕事をまとめて依頼しました。友人のパソコンが遅かったので、メモリを買って渡しました。結果は、作業ゼロです。何度か催促しましたが、一件も動かないまま、メモリ代だけ私の損で縁を切りました。それ以来一度も会っていません。

この件で分かったのは、起業か仕事かは関係がないということです。「友人に何かを先に出す」という行為が同じだからです。私は起業のときは現金とパソコン、仕事のときはメモリを先に出しました。どちらも戻らず、どちらも友人関係が終わりました。

共通する構造。友人との起業は「先払い契約」で、回収手段だけがない

二件を並べると、構造は一つです。友人との起業は、金と労働を先払いする契約です。誰かが先に金を入れ、誰かが先に時間を使う。普通の契約なら、先に出した側は株式や契約書や請求権で回収できます。友人との起業では、それを作りません。作らない理由は「友人だから」です。契約書を出した瞬間に、相手を信用していないことになる。だから作らない。

事業が当たれば、この問題は表に出ません。全員が回収できるからです。当たらなければ、先に出した側が損をして、損をした側は相手に請求できず、請求しないまま関係が終わります。私は二件とも先に出した側でした。相手に悪意があったとは思っていません。友人が私の現金を持ち逃げしたわけではなく、事業が止まった時点で返す原資がなかっただけです。メモリを渡した友人も、詐欺のつもりではなく、やる気が続かなかっただけでしょう。悪意がなくても、回収手段がなければ結果は同じです。

「友達と起業はやめとけ」と言われる本当の理由はここにあります。友人だから裏切られる、ではありません。友人だから回収の仕組みを作らず、作らないから損をした側が黙って抜けるしかなく、抜けた時点で友人ではなくなる。事業の失敗率の問題ではなく、失敗したときの後始末の設計がない、という問題です。

これは儲け話を誰に言うかという話とも同じ構造です。相手が回収できる関係かどうかで、言うか言わないかが決まります。その話は「「儲け話は人に言わない」は半分正しい|言うか言わないかは「天井」で決まる」に書きました。

誘われたときの3つの問いと、友人関係の値段

友人から起業に誘われて、やるかどうか迷っている人は、次の3つに自分の数字を入れてください。私が当時これを計算していれば、乗らなかったはずです。

一つ目、「一人でやったら成立するか」。私は成立していました。せどりで月収30万円があった。成立しているなら、友人と組む理由は事業ではなく別のところにあります。私の場合は居場所でした。その理由に、現金とパソコンと友人一人を払う価値があるか。

二つ目、「先に出す金と時間を、失ってもいい額か」。出す前に、戻らない前提で額を決めてください。戻らない前提で出せない額なら、出してはいけません。私は10万円と10万円のパソコンを「戻る前提」で出しました。戻らない前提なら、出していません。

三つ目、「抜けるときに、友人関係ごと捨てられるか」。友人との起業は、抜けた時点で友人関係も終わります。事業と友人を別に残す方法は、私には見つかりませんでした。事業だけやめて友人だけ残す、はできない。この前提で乗るかどうかです。

三つの問いを金額にすると、こうなります。先に出す現金と、先に使う時間に自分の時給を掛けたもの、その合計が、あなたがその友人関係につける値段です。戻らない前提で、その額でその友人を買うか。計算機に入れてみてください。

友人関係の値段(戻らない前提の先払い額)

先に出す現金・物の合計

先に使う時間(週) 時間

続けるつもりの期間

自分の時給(いま稼げる、または稼げるはずの額)

出た金額が、戻らない前提であなたがその友人関係に払う値段です。この額で買うか買わないかは、自分で決めてください。私は20万円相当と半年で買って、戻りませんでした。

それでも組むなら、順序を逆にする。労働が先、金が後

友人と組んで唯一うまくいった交換が、私には一つだけあります。大学時代にかわいがってもらった社会人の先輩との交換です。先輩は仕事が忙しく、金はあるが時間がない。私は時間はあるが金がない。先輩の部屋に転がっていた使わなくなったパソコンのパーツをもらって、全部ヤフオクで売りました。売上は数万円から、多いときは10万円を超え、先輩は半分を私にくれました。それ以降、先輩はボーナスが出るたびにパソコンを買い替えて、使わなくなった部品や不用品を売る仕事を私に回してくれるようになりました。

この交換が成立した理由は、先に動いたのが金ではなく労働だったからです。私が先に出品して、売れて、金が後から来た。先輩は一円も先に出していないし、私も一円も先に出していません。だから失敗しても、誰も損をしない。起業のときの私と、仕事を回したときの私は、どちらも金を先に出していました。順序が逆だったのです。

だから、それでも友人と何かをやるなら、金を先に動かさないこと。労働を先に動かして、金は成果が出てから分ける。この順序なら、うまくいかなくても失うのは時間だけで、友人関係は残ります。この先輩との関係がその後どうなったか、金銭差のある友人と付き合うことの話は「貧乏な友達に気を使う・金欠の友達がうざい・お金を貸すべきか|先輩の無心から距離を取った側の結論」に書きました。

あわせて読む

一人で成立していたせどりの中身は「本せどりは稼げない?FBAだと110円の本もAmazon637円以上でないと赤字になる」に書きました。友人や人脈を確認しに行く場所として同窓会を考えている人には「賢い人は同窓会に行かない?一度確かめに行った側の結論」があります。起業に限らず、人生を金・場所・職・人の4層に分けて撤退を判断する計算は「人生を諦める前に、諦める単位を小さくする|20年で7回撤退した計算」に、飽きて手を引くことを検証の終了と捉える話は「飽き性は天才なのか|20年でせどりの全手法を検証して分かった判定式」にあります。

 

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