飽き性は天才なのか|20年でせどりの全手法を検証して分かった「飽きる=検証が終わった」の判定式

飽き性は天才なのか|20年でせどりの全手法を検証して分かった「飽きる=検証が終わった」の判定式 生き方・キャリア

飽き性は天才なのか。この問いを検索する人は、たぶん自分が飽き性で、それを欠点と言われ続けてきた人です。

先に答えを書きます。飽き性そのものは、天才の証拠でも欠点でもありません。天才と器用貧乏を分けるのは性格ではなく、飽きて離れたとき、手元に何が残っているかです。

私は飽き性の傾向が少なからずあります。せどり・転売については、存在するほぼすべての手法とプラットフォームを検証し、稼げるのに続けるのが苦痛になって、プレイヤーを卒業しました。この記事は、脳科学や偉人の話ではなく、その20年の撤退の実測から「飽き性の天才」と「飽き性の器用貧乏」の分かれ目を判定式にしたものです。

結論:飽きるとは「検証が終わった」という合図。ただし条件がある

私が検証した手法を並べます。古本せどり、ブランドバッグ(CHANEL・ルイ・ヴィトン)の転売と修理、レトロゲーム機の修理転売、スマートフォン、インクジェットプリンタの修理、中国輸入OEM(ロゴ変更型と機能追加型の両方)、AliExpressを使った無在庫転売(ヤフオク・Yahoo!ショッピング・メルカリ・STORES・BASE・WooCommerce)、アメリカからの転送輸入、BUYMA、オンライン古物市場への全入会。販路はAmazon・メルカリ・ヤフオク・自社ECをひと通り使いました。

全部やって分かったのは、飽きるタイミングは「稼げなくなったとき」ではないということです。稼げるのに、続けるのが苦痛になったときに飽きます。検証が終わり、残っているのが反復だけになった瞬間です。

ここに条件が一つ付きます。検証が「終わった」と言えるのは、その手法の天井と限界を数字で言えるようになったときだけです。天井を見る前に離れたなら、それは飽きたのではなく、詰まっただけです。飽き性の天才と器用貧乏の最初の分かれ目はここにあります。

飽き性が天才と呼ばれる構造:横に動くと、比較表が手元に残る

一つのことを続けている人には、分からないことがあります。それは「他と比べてどうか」です。

中国輸入OEMは、店舗で買って売る店舗せどりや、ヤフオクで仕入れてメルカリで売る電脳せどりに、キャッシュフローで負けました。無在庫転売は短期でガツンと稼げた代わりに、規約で止まりました。アメリカ転送は単品では利益が残らず、まとめ買いでしか成立しませんでした。こういう序列は、両方やった人間にしか言えません。一つを極めた人は、その一つの深さは語れても、隣との比較は語れない。

飽き性の天才性はここにあります。一つ一つの深さではなく、横に動いた回数だけ比較表の行が増えることです。私がいま「せどりを始めるならどこから入るべきか」に数字で答えられるのは、飽きて横に動き続けたからで、一つを続けていたら答えられませんでした。

飽き性が器用貧乏で終わる構造:撤退のたびに、何も残っていない

ただし横に動くだけなら誰でもできます。器用貧乏との分かれ目は、撤退のたびに次の2つを確認できるかどうかです。

撤退時の確認 天才側 器用貧乏側
現金化できたか 在庫を売り切って現金に戻して離れた 在庫か借金を抱えたまま離れた
次に持ち越せる資産が残ったか 技術・比較データ・顧客・仕入先のどれかが残った 何も残らず、次もゼロから

私の撤退を当てはめます。数えると撤退は7回あります。

ブランド転売からの撤退は、人件費と家賃で逆ザヤになったのが理由でしたが、離れたときに残ったのは、古物市場の仕入先の比較表、週50〜100個触って身についた真贋の感覚、修理の技術でした。現金化もできました。無在庫転売は規約違反で止められて撤退しましたが、自社ECをSEOで売る技術が残り、AliExpressはいまも修理部品の仕入先として使っています。

一方で綺麗でない撤退もあります。トレファクオークションで業務用モニターを10台落札したときは、需要がなく1円でも売れず、液晶なので粗大ごみにも出せず、ハードオフに持ち込んで全部で1,000円にもなりませんでした。これは現金化に失敗した撤退です。残ったのは「参加費のある市場は1個だけ勝てても手数料で負ける」という比較表の1行だけでした。それでも1行は残った。

器用貧乏の人は、飽きたのではなく詰まったところで辞めるので、この2つがどちらも残りません。天井を見る前に離れると、現金化もできず、次に持ち越すものもない。そして次の手法でも同じ場所で詰まる。飽き性が悪いのではなく、離れる場所が早すぎるのです。

飽き性の速さは、損切りの速さと同じ資質

もう一つ、飽き性の人が持っている資質があります。私は出品して24時間でいいねが付かなければ切りますし、仕入れから1週間で売り切れなければ赤字でも現金に戻します。独学の人は「3か月売れなかったら切る」と数字で決めることが多いですが、私は数日で反応の強弱が分かるので、それより早く切ります。これは飽き性と同じ回路です。執着しないから早く切れる。一つを極める型の人は、この損切りが遅くなりがちです。

私が飽き性の限界に当たった場所:自動化できず、人を雇えば逆ザヤ

飽き性のまま反復を逃れる方法は2つしかありません。自動化するか、人にやらせるかです。私は両方で失敗しました。

自動化は、完全自動を目指して挫折しました。理論としては正しいのですが、仕入れの裁量判断はツールに置き換えられず、ツールを使う人同士が競合して優位性が消えます。人にやらせるほうは、私の性格の問題です。相手にも自分と同じ完璧を求めてしまい、社員やアルバイトを育てられなかった。ブランド転売の粗利は月80万〜200万円と変動が大きく、人件費45万〜50万円を引くと、200万円出る月しか自分の給与が残りませんでした。

その結果、正直に書くと、在庫を持つビジネスが好きではなくなり、物販そのものも今は好きではありません。それでも私の商売が成立しているのは、飽きた後に残った比較表と判定基準を、これから始める人に売っているからです。なぜ自分でやらずに売るのかは、「儲け話は人に言わない」は半分正しいで天井の数字を出して書いています。この記事はその前半、飽きて卒業するまでの話です。

飽きと体力の変化が重なって中年の危機を感じたときに、住む場所やライフプラン、仕事のコンセプトまで作り替えた話は、ミッドライフクライシスの記事に書きました。

飽き性と継続は対立しない:横の継続

「飽き性は継続できない」と言われますが、継続には2種類あります。一つを続ける縦の継続と、検証を続ける横の継続です。私は縦の継続が苦手で、横の継続は20年続いています。飽き性の天才と呼ばれる人は、たぶん全員この横の継続者です。

センスで短期に結果を出す人と、継続で勝つ人の違いはセンスがいい人は頭がいいのかで書きました。そこでは、センスがない人間の武器は「何がだめなのかを一つずつ確認して修正する内省の力」だと書いています。飽き性の人にとっては、その内省の単位が「手法一つ」なだけです。手法ごとに撤退の記録を残していけば、それは内省の積み上げであって、飽きっぽさではありません。いまはAIを壁打ち相手にすれば、この記録と比較は以前より速く回せます。

実装:飽き性のまま結果を出す3つのルール

ルール1:離れる判定は感情ではなく数値で決める

「飽きた」と「詰まった」は感情では区別できません。区別できるのは数字です。その手法の天井(一人で回したときの月利の上限)と、天井の理由(人・在庫・時間のどれで詰まるか)を言えるなら、飽きて離れていい。言えないなら、まだ検証が終わっていません。

ルール2:撤退のたびに比較表に1行足す

何を、いくら使って、どのくらいの期間やり、天井はいくらで、何が残ったか。この1行を残さない撤退は、器用貧乏の撤退です。モニター10台の全損でさえ1行は残せます。

ルール3:持ち越す資産は「技術」に寄せる

安く買って高く売るだけの横流しは、誰でもできるので単価が下がり続けます。代替されるものは下がる。私が20年で唯一、下がらなかったのは修理の技術でした。飽き性の人が横に動くとき、次の手法に持ち越せるのは技術と比較データだけで、在庫と販路は持ち越せません。

飽き性の判定計算機

これまで手を出した手法の数と、そのうち撤退時に現金化できた数、次の手法に何かを持ち越せた数を入れてください。

まとめ

飽き性は天才か。飽き性そのものは何も証明しません。証明するのは、飽きて離れたときに現金と次に持ち越す資産が残っているかどうかです。残っていれば、その人は横に動くたびに比較表が増える横の継続者で、一つを極めた人には出せない答えを出せるようになります。残っていなければ、飽きたのではなく詰まっただけで、次も同じ場所で詰まります。

私はせどりのあらゆる手法を検証し尽くして、稼げるのに続けるのが苦痛になり、自動化にも雇用にも失敗して、物販が好きではなくなりました。それでも20年分の比較表が残ったので、いまはそれを売って生きています。飽き性の人に言えるのは、離れること自体を責めるな、離れるときに手ぶらで離れるな、の2つだけです。

撤退7回を金・場所・職・人の4層に分けて書いたものは人生を諦めるという選択に、個々の撤退の実測は中国輸入OEMが稼げなかった理由、無在庫転売の実測、オンライン古物市場の比較にあります。

 

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