ESBIクワドラントに、もう1つ段階を足しました|E+Sという、いちばん現実的な場所

キャッシュフロークワドラントESBI 副業・起業・ネットショップ

この記事は、ESBIクワドラントの解説記事ではありません。

解説なら、すでに山ほどあります。ここでやるのは、その図にもう1つ段階を足して、順路として引き直すことです。20年かけて出てきた形が、これです。

① ② ③ ④
E
会社員
E+S
会社を辞めずに
副業を始める
B
仕組みを持つ
または売る
I
事業を買う
事業を売る

元の図と違うのは3か所です。ここだけ読んで帰っても構いません。

  • ②は原著にありません。キヨサキ氏の図は「左(EとS)を出て右(BとI)へ行け」と言います。私の設計では、Eを捨てません。むしろ、Eを持ったままSを始めるほうが、独立してから始めるより速く積み上がります。理由は数字で3-1に書きました
  • ③に行く道は2本あります。人を雇う道と、作った仕組みそのものを売る道です。図に描かれているのは前者だけですが、資本が要らないのは後者です
  • ④は金融商品ではありません。事業を買う、事業を売る、という道です。そしてこちらは、①②③でやってきたことが、そのまま値段になります

私は修理と買取を20年やってきました。会社員から出て、副業から始めて、人を雇って赤字を出して、いまは仕組みを売る側にいます。上の4段階は、その20年を後から整理したものです。うまくいった話だけでなく、失敗した案件の数字も4章に出します。

この記事は検索エンジンのために書いていません。途中から読んでも構いません。

知りたいこと 読む章
ESBIって何?(定義だけ) 1章
自分がいまどこにいるか判定したい 2章(質問は1つだけです)
この記事の本題:4段階の設計 3章
実際にやった人の話が読みたい 4章
各段階で何が壊れるのか 5章
投資(I)はどう始めるのか 6章。この記事は個別の金融商品を勧めません
ESBIを教えてくれる人に誘われている 7章。先にここを読んでください

1. ESBIクワドラントとは

ESBIクワドラント(キャッシュフロー・クワドラント)は、ロバート・キヨサキ氏の著作で示された枠組みです。人を職業で分けるのではなく、お金がどこから来ているかで4つに分けます。

呼び名 収入の出どころ その人が重く見るもの
E 従業員(Employee) 自分の時間 安定、保障
S 自営業者(Self-employed) 自分の技能と時間 自立、自分のやり方
B ビジネスオーナー(Business owner) 他人の時間とシステム 仕組み、任せること
I 投資家(Investor) 他人のお金と資産 利回り、資産の成長

左側(EとS)と右側(BとI)を分けているのは、収入の額ではありません。収入が、自分が動いたかどうかに紐づいているかどうかです。

Eは働いた分だけもらいます。Sも同じです。年収が上がっても、この構造は変わりません。むしろSは、うまくいくほど作業が増えます。Sの正体は「自分自身がシステム」であることで、だから休むと止まります。

Bは仕組みが動きます。Iは資産が動きます。だから本人が止まっても、収入がすぐには止まりません。

ここまでは、どの解説記事にも書いてあります。次の章から違います。

2. 4つの箱には、致命的な弱点があります

この枠組みの弱点は、箱が4つしかないことです。実際には、こういう人がいます。

  • 会社を作って社長を名乗っているが、自分が現場に出ないと売上がゼロになる人(名目はB、実質はS)
  • 正社員だが、自分がいなくても回る仕組みを作って任されている人(名目はE、動き方はBに近い)
  • 「投資家」を名乗っているが、値上がりを当てにしているだけで、資産がキャッシュを生んでいない人(名目はI、実態は投機)

箱では、この差が見えません。必要なのは、連続して測れる目盛りです。この記事では、当サイトが全部の記事で使っている指標を使います。

利益 ÷ 拘束日数

拘束日数とは、その利益を得るために自分の時間が縛られた日数です。仕入れに行った日、作業した日、売れるまで資金が寝ていた日。売上でも、粗利でもありません。1日あたりいくら残ったかです。

2-1. 判定は、質問1つで済みます

自分がどの箱にいるかを考える必要はありません。次の1問に答えてください。

今日から30日間、いっさい働かなかったとして、来月の収入はいくらになりますか。

30日休んだときの来月の収入 現在地
0円になる 収入の全部が、自分の時間に紐づいています(E/S)
大きく減るが、0にはならない 一部が仕組みか資産から来ています(BやIが混ざり始めています)
ほとんど変わらない 収入の大部分が、自分の時間から切り離されています
有給を使えば減らない 制度で守られているだけで、構造はEのままです。有給の残日数が答えです

最後の行が大事です。「休んでも給料が出る」ことと「働かなくても収入が入る」ことは違います。前者は制度であって、資産ではありません。

そして、キヨサキ氏の定義の中で、私がいちばん正しいと思っているのはここです。富は金額ではなく、日数で測る。いま仕事をやめたとして、いまの生活を何日続けられるか。その日数が、そのまま自由の量です。

金額は増えても、日数が増えていないことがあります。収入が上がると同時に生活水準を上げた場合です。この指標は、それを見逃しません。

3.【本題】4つの箱を、4つの段階に組み直します

キヨサキ氏の図は、4つの箱が並んでいます。左から右へ「移れ」と言います。

20年やって、私はこの図を少し書き換えました。4つの箱ではなく、順番に積み上がる4つの段階です。そして各段階が、次の段階の原資になります。

段階 状態 やること 収入の性質 難易度
① E 会社員として働く。多くの人の現在地 自分の時間に完全に紐づく —
② E+S 会社員を続けたまま、修理やせどりを副業で始める Eの収入は据え置き。Sの利益が上に乗る 低〜中
③ B 雇用かシステムで仕組み化する。または、作った仕組みそのものを売る 自分が抜けても動く 高い
④ I 他社を買って顧客リストとブランドを得る。または事業を売って売却益を得る 資産の売買から生まれる 高い

先に、いちばん言いたいことを書きます。②のE+Sだけでも、人生はかなり変わります。③と④に行ければ申し分ありませんが、そこに到達しなければ意味がない、という設計ではありません。

3-1. 段階② E+S ── ここが、キヨサキ氏の図といちばん違うところです

原著の図は「左を出て右へ行け」と言います。私の設計では、Eを捨てません。EとSを同時に持ちます。

理由は3つあります。

理由1:Sの弱点は「下限が消えること」で、それをEが埋めます

独立してSになると、収入の上限が外れます。同時に、下限も外れます。休んだ日はゼロです。売れなかった月はゼロです。

Eを続けたままSを始めると、この下限が残ります。Sがゼロの月でも、生活は止まりません。これは精神論ではなく、判断の質の話です。今月の家賃がかかっている状態で仕入れると、人は焦って高く買います。

理由2:生活費をEが賄うので、Sの利益は「丸ごと」次の原資になります

ここが数理的にいちばん効きます。

収入 生活費 次の段階に回せる金額
Sだけ(独立済み) 事業の利益 P P から出す P − 生活費
E+S 給与 M + 事業の利益 P M から出す P の全額

同じ利益Pを出していても、再投資に回せる金額がまったく違います。独立した人は、Pが生活費を下回った月に貯金を取り崩します。E+Sの人は、Pがいくら小さくても、その全額を仕入れ・外注・仕組みに回せます。

当サイトで繰り返し書いていることが、ここでも出てきます。資本のない後発が持っている原資は、時間です。E+Sは、その時間を最大限に金に変える配置です。「独立してから頑張る」より、「勤めながら積み上げる」ほうが、複利は速い。

理由3:制度が、この配置を認める方向に動きました

厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を平成30年1月に策定し、令和2年9月と令和4年7月に改定しています。あわせてモデル就業規則から「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が削除され、副業・兼業に関する規定が新設されました。

モデル就業規則はあくまでひな形で、あなたの会社の就業規則そのものではありません。必ず自社の規定を確認してください。公務員は原則として扱いが異なります。また、副業の所得が一定額を超えると確定申告が必要になります。金額の要件と住民税の扱いは、国税庁とお住まいの自治体で確認してください。

3-2. E+Sを、いつ終わらせるか

よく言われるのは「副業の収入が本業を超えたら独立」です。この基準は、間違っています。

金額で比べると、勤務時間と副業時間の差が無視されます。正しくはこうです。

Sの「利益 ÷ 拘束日数」が、Eの日当を超えたとき。

月5万円の副業でも、それが月2日で出ているなら1日2万5千円です。給与の日当がそれ以下なら、その時点で、時間を移す価値があります。逆に、月30万円の副業でも、それが休日を全部潰して出ているなら、独立しても働き方は改善しません。

そして、独立しないという判断も普通にあります。Eの日当が高い人にとって、E+Sを長く続けることは合理的です。この記事は、独立を勧める記事ではありません。

3-3. 段階③ B ── 道が2本あります

Bは「自分が抜けても止まらない状態」です。ここへ行く道が2本あります。

道A:仕組みを持つ 道B:仕組みを売る
やること 人を雇う、外注する、システムを導入する 自分が作った手順・判断基準を、商品にして売る
先に出ていくもの 人件費、外注費、システム利用料 作る時間
必要な資本 要る ほぼ要らない
失敗したときの傷 深い(固定費が残る) 浅い(売れなかっただけ)
難易度 高い 中〜高

キヨサキ氏の図に描かれているのは道Aだけです。私自身が実際に立っているのは、道Bです。

道Aは、正直に言って難しいです。私は一度、これで赤字を出しています(4章に書きます)。人を増やすと、その人の日当は売上より先に確定します。利益はあとから来るか、来ないかのどちらかです。

道Bは、E+Sの段階でやったことがそのまま材料になります。仕入れの判断基準、値付けの手順、失敗した案件の記録。これは、やった人にしか書けません。そして作るのに資本が要りません。

ただし、道Bには落とし穴があります

仕組みを売っても、売るたびに自分が出ていくなら、それはBではなくSです。個別に教える、毎回対応する、その人のために作り直す。これは単価の高いSであって、休めば止まります。

道BがBになる条件は1つです。

自分が3か月まったく手を動かさなくても、それが売れ続けるか。

売れないなら、まだ商品になっていません。人格が商品になっているだけです。2章の質問を、ここにもう一度当ててください。30日休んだら、いくら残りますか。

3-4. 段階④ I ── 金融商品ではなく、事業を買う/売る

一般的なESBIの解説では、Iは株式・不動産・投資信託の話になります。私の設計では違います。ここでのIは、次の2つです。

  • 他社を買う。設備ではなく、顧客リストとブランドと取引実績を手に入れる
  • 事業を売る。③まで育てたものを売って、売却益を得る

なぜ金融商品ではなく、こちらを置いたのか。理由は1つです。

金融商品のIは、誰でも買えます。事業のIは、その業界が分かる人にしか値段が付けられません。

インデックスファンドを買うのに、業界知識は要りません。だから優位も生まれません。一方、中古品を扱う小さな会社を買うとき、在庫が本当に値の付くものなのか、顧客リストが生きているのか、それを判断できるのは、その現場を20年見てきた人だけです。

つまりこの設計では、①②③の経路そのものが、④の参入障壁になっています。順番に積み上げてきた人だけが、④で他人より正確に値付けできる。これが、4つの箱を飛び移るのではなく、4つの段階として並べた理由です。

これは机上の話ではありません

国が、この経路のための仕組みを持っています。中小企業基盤整備機構が発表した令和7年度の事業承継・引継ぎ支援センターの実績から、数字を引きます(2026年5月29日発表)。

項目 令和7年度の実績
新規相談者数 24,000者超(過去最多)
第三者承継(M&A)の成約件数 2,265件(過去最多)
第三者承継の新規相談者数 16,322者
親族内承継の支援完了件数 1,903件
後継者人材バンクの成約件数 114件(過去最多)
後継者人材バンクの累計登録者数 11,547者

最後の2行に注目してください。後継者人材バンクは、後継者がいない事業と、事業を引き継ぎたい個人をつなぐ仕組みです。累計で1万人以上が登録していて、令和7年度に114件が成約しています。

成約114件という数字は、登録者数から見れば小さい。ここは正直に書きます。登録すれば買えるという話ではありません。ただ、「事業を買う」という選択肢が、個人にとって窓口のある現実の選択肢であることは、この数字が示しています。

3-5. 4つの段階が、1本につながっている理由

この設計の要点は、各段階が次の段階の原資になっていることです。

段階 次の段階に渡すもの
E → E+S 生活費の下限と、社会的信用。そしてSの利益を全額再投資できる状態
E+S → B 手順と判断基準。道Aなら外注に渡す作業、道Bなら商品そのもの
B → I 資金と、値付けができる目。買う側になったとき、これが差になります

逆に言えば、飛ばすと落ちます。E+Sを経ずにいきなりBを作ろうとすると、外注する作業を言語化できません。BやSを経ずにいきなり事業を買うと、その事業の何が価値なのかを判断できません。

キヨサキ氏の図は「どこにいるか」の地図です。この4段階は「次にどこへ行くか」の順路です。地図には順路が描かれていないので、自分で引きました。

4. 私は、この4段階のどこにいたのか

ここからは自分の話です。数字は実際のものですが、その時々の相場と条件のもとでの数字であって、いま同じことをして同じ結果になるとは限りません。

4-1. E+Sの時期 ── 自由になったのではなく、自分がシステムになった

私は修理と買取を20年やってきました。古物商許可を持っています。

独立して最初に分かったのは、Sは自由ではないということでした。会社員のときは、休んでも給料が出ました。独立したら、休んだ日はゼロです。上限が外れた代わりに、下限も外れました。3-1で「Eを捨てない」と書いたのは、この経験があるからです。

具体的に書きます。ある時期、法人からパソコンをまとめて買い取っていました。3DCGの制作に使っていたハイエンドのマシンです。1台あたり5,000円前後で買い取り、1台ずつヤフオクに出品しました。3万円から8万円くらいのレンジで、ばらけて売れていきました。

数字だけ見れば良い商売です。ただしこれは完全にSです。1台ずつ動作を確認し、1台ずつ写真を撮り、1台ずつ説明文を書き、1台ずつ梱包して送る。台数が増えるほど、自分の作業が増えます。

Sの本質は、単価の高さではありません。自分が止まると全部止まる、という構造のほうです。

4-2. 道A(人を雇う)をやった日 ── 4人と1トントラックで、赤字になりました

「他人の時間を使えばいい」と考えたことがあります。3-3で書いた道Aです。

閉店したレンタルビデオショップから、漫画とVHSを一括で買い取る案件がありました。量が多いので、4人で1トントラックを借りて、買い取りに行きました。

  • VHSは、ほぼ全てをお金を払って事業ゴミとして廃棄しました
  • 漫画は古紙回収業者に、山でキログラムあたりいくらという形で売却しました
  • この案件は赤字です

ここから学んだことが、3-3の表の「先に出ていくもの」の行です。

Bへの移行は「他人の時間を使う」ことですが、その代金は先に出ていきます。人件費も、トラック代も、廃棄費用も、売れる前に確定します。

ESBIの図には、この時間差が描かれていません。図の上では、Bは「人を雇ってシステムを持つ人」です。実際には、雇った瞬間に、その人の日当は自分の負債になります。

もう1つ。一括買取の案件は、値の付かないものを処分する費用を、値の付くもので賄えるかどうかの勝負です。VHSの山は、私が処分費を払って引き取った在庫でした。あの日、私は「他人の時間」と「他人のゴミ」を同時に買っていたわけです。この構造は買取ビジネスは儲からないのかで詳しく書いています。

4-3. そして、道B(仕組みを売る)に回りました

いま私が立っているのは道Bです。20年ぶんの仕入れの判断基準、値付けの手順、失敗した案件の記録を、読める形にして出しています。

この道を選んだ理由は、3-3の表のとおりです。資本が要らず、失敗しても固定費が残らないからです。そして材料は、E+Sの時期に自分がやったことしかありません。だから、この段階は飛ばせません。

4-4. 金融商品のIも、やってはみました

中古品の値上がりを狙う、いわゆる「寝かせ」もやりました。

ゼノギアスの設定資料集の再販版を、1冊5,500円で買いました。届いた封筒を開封せずに、そのまま4年ほど保管しました。売れたのは14,500円です。プラスではあります。ただし4年です。利益 ÷ 拘束日数で見ると、普通にせどりをしていたほうが上でした。

同じことをゲームのサントラでもやりました。10枚買って、上がったのは1枚だけです。残りは損切りしたので、トータルではマイナスでした。そして出た結論がこれです。

それだけの余力があるなら、自分の場合は積立でインデックスを買っていたほうが合っていました。

中古品の「寝かせ」は、保管の質を自分で証明できません。紫外線、湿気、温度変化。私は封筒を開けずに保管しましたが、それが適切だったかどうかは、いまも分かりません。再現できない条件で出た結果は、事業計画には組み込めません。この話はおもちゃ投資の記事で、脱落するポイントごとに分解しています。

これは「寝かせは駄目だ」という話ではありません。私にとっての金融商品的なIは、想像していたほど格好のいいものではなかった、という報告です。だから3-4では、Iを事業の買収と売却のほうに置きました。

5. 各段階で、最初に壊れるもの

5-1. E+Sで壊れるのは、時間と体力です

E+Sの数理的な優位は3-1に書いたとおりですが、タダではありません。原資は、夜と休日と、家族と過ごす時間です。

だから、E+Sを始めるときに決めておくべきことが1つあります。週に何時間まで使うか、先に上限を決めることです。上限を決めずに始めると、売れた月に時間を増やし、売れない月にも時間を増やし、そのまま壊れます。

そして、就業規則の確認を先に済ませてください。3-1に書いたとおり、モデル就業規則は改定されましたが、それはひな形の話です。

5-2. Bで壊れるのは、計算です

4-2で赤字になった理由を、式にします。外注や雇用が成立する条件は、これだけです。

外注費 < 自分の1日あたりの利益 × 減らせた日数

右辺に、自分の1日あたりの利益が入っています。つまり、自分の時間単価を知らない人は、外注してよいかどうかを計算できません。「忙しいから人を入れる」は、判断ではなく感想です。

そして、右辺の「減らせた日数」には隠れた引き算があります。

見落としやすいコスト 中身
教える時間 最初の数回は、自分でやるより時間がかかります
確認する時間 納品物を見る時間は、外注しても消えません
やり直しの時間 基準を言語化していない作業ほど発生します
移動と待ちの時間 人を集める案件では、全員ぶんが同時に発生します

4人で1トントラックの案件が赤字になったのは、この最後の行です。4人ぶんの移動時間が、同時に確定していました。

だから道Aの順番は、人を増やすことではありません。先に、自分の作業を言語化して切り出すことです。切り出せない作業は、外注しても自分の時間が減りません。進め方は月1万円から始める外注化にまとめています。

5-3. Iで壊れるのは、値付けです

事業を買うとき、いちばん危ないのは在庫と顧客リストの評価です。3-4で「その業界が分かる人にしか値段が付けられない」と書いたのは、裏返せば分からない人が買うと、値の付かないものを資産として買わされるということです。

私がVHSの山を処分費付きで引き取ったのと、構造は同じです。規模が大きくなるほど、この失敗の桁も大きくなります。

この段階では、必ず専門家を入れてください。財務・法務・税務の判断は、この記事の範囲外です。

6. I(投資家)について、この記事が書かないこと

先に、この記事の以前の版について訂正します。

旧版には「まずはこれをやれ!月々5,000円からの新NISA活用術」「ワンルームマンション投資」「エンジェル投資」という見出しがありました。取り下げます。

理由は2つです。

1つ目。私は投資助言・代理業の登録をしていません。金融商品取引業を行うには登録が必要だと金融庁が明記しています。この記事は無償の一般論ですが、いずれにせよ、私が個別の金融商品について「これを買え」と書く筋合いはありません。

2つ目。何を買うべきかは、その人の収入、支出、生活防衛資金、家族構成、そして拘束日数で変わります。「まずはこれをやれ」と書いた時点で、その人の事情を無視しています。

そのうえで、記事として書けることはあります。順番です。

順番 やること なぜ先か
1 毎月の支出を実額で出す これが分からないと、余力も必要額も出ません
2 いま仕事を止めたら、何日生きられるかを計算する 2章の「富=日数」の定義そのものです
3 その日数が短いなら、投資より先に日数を伸ばす 日数が短い状態で始めると、値下がりしたときに売らざるを得なくなります
4 自分の1日あたりの利益を出す 投資に回す余力と、事業に再投資する場合とを比べるために要ります
5 ここから先は、自分で調べるか、有資格者に相談する この記事の担当範囲は、ここまでです

3行目を補足します。私がゲームのサントラを損切りしたのは、相場が下がったからではなく、資金を寝かせ続けられなかったからです。余力の設計を間違えると、判断ではなく事情で降りることになります。

7. 日本で「ESBI」を検索するときの注意

ここは、この枠組みを扱う記事があまり書かない部分です。事実だけを書きます。

7-1. 事実:著者自身が、ネットワークビジネスを勧める本を出しています

リッチダッドの日本公式サイトに、次の書籍が掲載されています。

『金持ち父さんのビジネススクールセカンドエディション』
「人助けがすきなあなたに贈る〜私がネットワークビジネスを勧める理由」(マイクロマガジン社)

内容紹介にも「ロバート・キヨサキがネットワークビジネスの8つの「隠された価値」について語ります」とあります。これは批判ではなく、確認できる事実です。

ESBIの枠組みでは、Bは「他人の時間とシステムを使う側」です。ネットワークビジネス(法律上は連鎖販売取引)は、その説明と相性がよい。だから日本でも、ESBIの図は勧誘の場面で使われることがあります。

7-2. 一次情報:マルチ取引の相談件数

国民生活センターが、PIO-NETに登録された相談件数を公表しています(2026年7月31日更新)。

年度 2023 2024 2025 2026
マルチ取引の相談件数 5,158 4,132 4,003 325(2026年5月31日現在。前年同期414)

同センターが挙げている最近の相談事例には、次のようなものがあります。

  • 「友人に勧められオンラインゲームのアフィリエイトの副業を申し込み借金して支払ったが、マルチ取引のようだ」
  • 「マッチングアプリで知り合った女性にセミナーへ連れていかれた。このセミナーを人に紹介するとお金がもらえるという」

件数は減少傾向にありますが、年に4,000件前後の相談が続いています。そして「副業」「セミナー」という入口が、事例のなかに出てきます。

7-3. だから、確認することは3つです

誤解のないように書きます。ESBIという枠組み自体は有用です。この記事も、それを前提に組み直しています。問題は枠組みではなく、その枠組みを誰が、何のためにあなたに見せているかです。

確認すること なぜ
その人の収入は、私が参加することで増えるのか 増えるなら、その説明は中立ではありません。中立でないこと自体は悪ではありませんが、割り引いて聞く必要があります
「権利収入」という言葉が出てきたか この語は、日本ではほぼ特定の文脈でしか使われません。ESBIの原著の用語でもありません。誘われたときに確かめることは権利収入とはに書いています
初期費用、在庫、紹介の3点があるか この3つが揃うと、連鎖販売取引の定義に近づきます

連鎖販売取引に該当する場合、事業者には概要書面と契約書面の交付義務があります。消費者庁の説明によれば、法律で決められた書面を受け取った日(商品の引渡しのほうが後の場合はその日)から数えて20日以内であれば、書面または電磁的記録によりクーリング・オフができます。

そして、この章の結論を1行で書きます。

Bは「人を紹介すること」ではありません。3-3で書いたとおり、「自分が抜けても止まらない仕組みを持つ、または売ること」です。

紹介で増えた収入は、紹介をやめると止まります。それは定義上、Bではなく形を変えたSです。2章の質問——30日休んだら来月いくらか——を、そこにも当ててみてください。

8. 明日からの1手

今日やることは3つです。紙とペンだけで終わります。

  1. 「30日休んだら、来月の収入はいくらか」を書く。これが現在地です
  2. 直近3か月の「利益 ÷ 拘束日数」を出す。売上ではなく、手元に残った金額を、拘束された日数で割ります
  3. 下の表から、次の1手を1つだけ決める。
いまの段階 次にやること やってはいけないこと
① E 自社の就業規則を確認し、修理でもせどりでも、1件だけ完結させて利益と拘束日数を実測する 実測しないまま辞めること
② E+S 週の投入時間に上限を決める。Sの利益は生活費に入れず、全額を次の仕入れと仕組みに回す 金額だけを見て独立を決めること(比べるのは日当です)
③ B(道A:仕組みを持つ) 渡せる作業を1つだけ言語化して、月1万円規模で試す 時間単価を知らないまま人を雇うこと
③ B(道B:仕組みを売る) 自分の判断基準を1つ、他人が読める形にする。3か月手を止めても売れるかで判定する 個別対応を増やすこと(それはSです)
④ I 事業承継・引継ぎ支援センターと後継者人材バンクの窓口を調べる 在庫と顧客リストを自分で評価できないまま買うこと

どこから始めればいいか分からない場合は、初心者の館に5つの道を並べてあります。中古品を扱う方向なら、中古せどりの勝ち方が構造から入る記事です。利益率と回転率の実測値はこちらにあります。

9. まとめ

  • ESBIは4つの箱ですが、私は4つの段階に組み直しました。E → E+S → B → I。各段階が、次の段階の原資になります
  • いちばん大きい違いは②です。Eを捨てません。Eが生活費を賄うので、Sの利益を丸ごと再投資に回せます。独立してからより、勤めながらのほうが複利は速い
  • 独立の判断は、金額ではなく日当で決めます。「副業収入が本業を超えたら」ではなく、「Sの利益÷拘束日数が、Eの日当を超えたら」です
  • Bへの道は2本あります。人を雇う道(資本が要る・失敗の傷が深い)と、作った仕組みを売る道(資本がほぼ要らない)。図に描かれているのは前者だけです
  • 仕組みを売っても、売るたびに自分が出ていくならSです。判定は「3か月手を止めても売れるか」
  • Iは金融商品ではなく、事業の買収と売却に置きました。金融商品は誰でも買えるので優位が生まれません。事業は、分かる人にしか値段が付けられない。①②③の経路そのものが、④の参入障壁になります
  • ②だけでも人生は変わります。③④に到達しなければ意味がない、という設計ではありません
  • この記事は個別の金融商品を勧めません。旧版の「まずはこれをやれ!月々5,000円からの新NISA活用術」は取り下げました
  • ESBIは勧誘資料として使われることがあります。著者自身がネットワークビジネスを勧める本を出しています。枠組みが悪いのではなく、誰が何のために見せているかを確認してください

キヨサキ氏の図は、いまどこにいるかを示す地図です。地図には、順路が描かれていません。だから自分の20年で引きました。この4段階が、あなたの業種でもそのまま使えるかは分かりません。ただ、使える形に直せるだけの材料は、全部この記事に出したつもりです。

原著をこれから読む場合、シリーズのどれから手を付けるかで理解の順番が変わります。読む順番は金持ち父さんシリーズのおすすめの順番にまとめています。

この記事で参照した情報源

種別 参照元
ESBIの枠組み ロバート・キヨサキ『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』ほか同シリーズ。本記事は概念の要約であり、原文の引用ではありません
副業・兼業の制度 厚生労働省「副業・兼業」(ガイドラインは平成30年1月策定、令和2年9月・令和4年7月改定。モデル就業規則の改定を含む)
事業承継・M&Aの実績 独立行政法人中小企業基盤整備機構「令和7年度 事業承継・引継ぎ支援センターの実績について」(2026年5月29日発表)
ネットワークビジネス関連の書籍 リッチダッド日本公式サイト『金持ち父さんのビジネススクールセカンドエディション』紹介ページ(マイクロマガジン社)
マルチ取引の相談件数 国民生活センター「マルチ取引(各種相談の件数や傾向)」(2026年7月31日更新)
連鎖販売取引・クーリング・オフ 消費者庁「連鎖販売取引」
金融商品取引業の登録 金融庁「無登録業者との取引は要注意!!」
筆者の実績値 すべて筆者自身の取引記録に基づきます。当時の相場と条件のもとでの数字であり、同じ結果を保証するものではありません

本記事は投資助言ではありません。筆者は投資助言・代理業の登録をしておらず、個別の金融商品の売買を推奨するものではありません。副業・兼業の可否はお勤め先の就業規則により、税務・法務・財務の個別の判断については、税理士・弁護士・公認会計士等の有資格者にご相談ください。

最終更新:2026年8月29日

 

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動かない録画機器を1,000円以下で仕入れ、
中古ドライブ(部品代2,000円)に交換。
ついでに容量を増やして15,000円で販売。
── 20年の現場から、実例の一部
この無料講座で扱う内容
  • 壊れた商品のどこに価格差が眠るのか
    「歪みの4類型」
  • 手数料・送料・作業時間まで含めた
    「1件の利益計算式」
  • 絶対に手を出してはいけない
    「除外リスト7項目」
  • 6日目には、元手ゼロで
    今週できる実践ワーク(約70分)
※手を動かさずに稼ぐ方法をお探しの方には向きません。
そのことも講座内で明記しています。
20年
現場での実践
全14通・2週間。
1通3〜5分で、通勤中にも読み切れる分量です。
まずは14通の無料講座で、
「第二の買い手」という考え方を確認してください。
登録30秒・無料・いつでも解除できます


「第二の買い手」を作る14通を無料で読む →

※後半に有料商品のご案内があります。
第1通の冒頭で明記します。

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