この記事は、Shopifyで店を作って、月額を払いながら売れていない人に向けて書いています。
先に立場を書きます。私はShopifyを使ったことがありません。私が実際に自分の店を作って回したのは、BASE、STORES、WooCommerce(WordPress)の3つです。Shopifyの機能や管理画面については書けないので、書くのは「自社ECで店を作ったのに売れない」という状態がなぜ起きるかと、私の3つの店で実際に何が起きたかです。この2つは、Shopifyでも同じ構造だと考えています。
結論を先に3行で書きます。
- 売れない原因は、商品でもデザインでも決済でもなく、店に人が来ていないことです。店を作る場所と、人を集める場所は、別です
- 人を集めるのは商品名ではなく需要語の記事です。私は「オマージュウォッチ」という語で記事を上げ、その記事の中で時計を売りました。商品名で戦えばAmazonと当たりますが、需要語で探している人は商品名を知りません
- 自社ECの1店舗の上限は、私の実測で月8個でした。売上を伸ばす手段は店を磨くことではなく、需要語の記事クラスタを増やすことです
先に止血する:月額を「月何個売れば回収できるか」に直す
Shopifyの料金は公開されています。2026年9月時点の日本向けの料金ページでは、Basicが月払いで4,850円、Growが13,500円、Advancedが58,500円。国内発行カードの決済手数料はBasicで3.55%です。3日間の無料体験のあと3か月は月150円で使えるとも書かれています。つまり4か月目から、売れていなくても月4,850円が出ていきます。
この月額を「月何個売れば回収できるか」に直してください。単価6,500円、仕入れを引いた利益率35%、決済手数料3.55%なら、1個あたり手元に残るのは約2,044円で、Basicの月額を回収するのに月3個必要です。3個を超えて初めて、店は黒字になります。
私のWooCommerceの実測は月8個でした(後述)。この数字を上限の目安として置くと、Basicは月3個で回収できて残り5個分が利益になりますが、Growの13,500円は同じ単価で月7個必要で、8個売れても手元に残るのは1個分です。プランを上げる前に、この計算をしてください。同じ計算をYahoo!ショッピングの有料化(月額1万円+2.5%)に当てはめて自分の店を解約した話はYahoo!ショッピング有料化で解約したに書きました。月額が固定で売る頻度が低い店ほど重い、という構造はShopifyでも同じです。
計算機:自分の単価で回収個数を出す
月額(円): / 平均単価(円): / 仕入れを引いた利益率(%): / 決済手数料(%):
初期値は私の実測の中央付近です。何を入れるかで答えは変わるので、必ず自分の単価を入れてください。
売れない本当の理由:店には人が来ない
Shopifyで売れない人が最初に疑うのは、商品、写真、デザイン、価格、決済です。どれも違います。店に人が来ていないだけです。
店のページは、その店の名前で検索する人にしか見つかりません。開いたばかりの店の名前を検索する人は、あなた以外にいません。つまり店のページには、検索需要が最初からゼロです。Amazonや楽天に出せば、モールの検索に乗るので人は来ます。自社ECには、その検索がありません。これはShopifyの欠陥ではなく、自社ECの定義です。
だから「店を磨く」は、来ていない人に向けて磨いていることになります。商品を増やしても、写真を撮り直しても、テーマを買い替えても、分母がゼロなら掛け算の答えはゼロです。売れない店の持ち主がやるべきことは、店の中にはありません。
私の3つの店で、実際に何が起きたか
順番に書きます。時期は、いまより自社ECで無在庫や小規模な物販をやっている人が少なかった頃で、検索エンジンのアルゴリズムも当時のものです。
STORES:上がったのは私ではなく、STORESのドメインだった
STORESでは、ヤフオクで売れていたレゴ互換品、腕時計、調理機器を出しました。当時は同じことをやる人が少なく、STORESのドメインが強かったので、出した商品ページがすぐ検索で上がりました。
ここで勘違いしなかったのが、あとで効きました。上がったのは私の店ではなく、STORESの中の1ページです。同じことをやる人が増えれば、同じドメインの中に同じ商品ページが並び、どれが上がるかは私に決められません。集客をSTORESに借りている状態です。
BASE:売れたが、集客は自分のものにならなかった
BASEでは、自分で電池交換したスーパーファミコンのカセットを売りました。売れました。ただ、ここでも人が来る理由はBASEの側にあって、私が積み上げたものは店の中に残りませんでした。
WooCommerce:新規ドメインで、記事から売れた
WooCommerceは完全に新規のドメインで始めました。店のページを作っただけでは、当然、誰も来ません。私がやったのは、店ではなく記事を書くことでした。
「オマージュウォッチ」という需要語で記事を書き、その記事の中で時計を紹介しました。当時のアルゴリズムで、記事を入れてから検索順位が上がるまで短くとも2〜3週間かかっています。売れた数は週2〜3個、月8個程度。単価は3,000〜10,000円、仕入れを引いた利益率は30〜40%に設定していました。
月8個は多くありません。ただし、この8個はSTORESのドメインを借りて売れた8個ではなく、自分のドメインの記事から売れた8個です。記事は消えません。順位は積み上がります。STORESで売れた数は、STORESが方針を変えた日に終わります。
商品名では戦わない。需要語で人を集める
ここが、Shopifyで売れていない人に持ち帰ってほしい一点です。
商品名やブランド名で検索上位を取ろうとすると、AmazonやAliExpressや楽天と正面から当たります。勝てません。私は最初から、商品名では戦いませんでした。
「オマージュウォッチ」で検索する人は、特定の商品名を知りません。「有名な時計に似たデザインで、安いものが欲しい」という需要だけを持っています。この需要に記事で答え、記事の中で商品を置けば、商品名で競争せずに売れます。競合は他の店ではなく、他の記事です。そして店を持っている人の多くは記事を書かないので、競合は少ない。
この語はいまも需要があります。Ubersuggestの2026年9月時点の値では月210回検索されていて、SEO難易度は59です。当時の私はほぼ競合なしで上がりましたが、いま同じ語で上げるのは当時より難しい。だから語そのものを真似るのではなく、「自分の商品を探している人が、商品名を知らないときに何と検索するか」を、自分の商材で探してください。それが需要語です。
選び方の手順は、この記事には書きません。ここで書いているのは、店を磨いても売れない理由と、私がどこで売れたかの実測までです。
Shopifyのブログ機能で、同じことができるか
Shopifyにはブログ機能があり、公式ヘルプは「検索エンジンの最適化(SEO)を改善」しトラフィックと販売増加に貢献すると書いています。私はShopifyのブログを使ったことがないので、WordPressと比べてどちらが上がるかは言えません。
言えるのは判断の軸だけです。記事という資産が、どこに積まれるか。独自ドメインで運用していて、記事もそのドメインの下にあるなら、Shopifyのブログでも資産は自分のものです。myshopify.comのサブドメインのまま運用しているなら、記事はShopifyのドメインに積まれていて、STORESで私が経験したのと同じ「集客を借りている状態」です。まず、自分の店がどちらかを確認してください。
私が上げたのはWordPressで、このサイト自体も同じ設計です。Shopeeの記事は元は反応ゼロでしたが、書き直して公開した直後に上がり、1週間経たずに読者から連絡が来ました。記事で上げて、その中で売る。私に再現できているのはこの形だけなので、記事はWordPressに置き、店はShopifyに置き、記事から店へ送る、という分け方を私は選びます。Shopifyのブログで同じ結果が出るなら、それでよいと思います。出るかどうかを確かめる方法は一つで、記事を書いて数週間待つことです。
Instagramを勧められる理由と、私が記事を選ぶ理由
Shopifyで売れないと検索すると、ほぼ全員がInstagramを勧めます。理由は分かります。店のページに検索需要がないなら、外から人を連れてくるしかなく、SNSは最初の数人を連れてくるのが早い。
私が記事を選ぶ理由は、止めたときに何が残るかです。私はアメブロで、ランキングを上げるサービスとペタの自動化ツールを使ったことがあります。成約には一度も繋がりませんでした。SNSもアメブロも、更新を止めた瞬間に流入が止まります。一方でこのサイトの記事は、年1回の更新レベルで事業が成立しています。記事は書いた日から資産で、SNSは更新している間だけの流入です。
SNSが無駄だとは言いません。両方やれる人は両方やればいい。ただ、時間が限られている人が1つ選ぶなら、止めても残るほうを先に作るべきだと私は考えています。
売上を伸ばすなら、店ではなく記事クラスタを増やす
私の1店舗の実測は月8個でした。この上限は作業量では突破できません。1つの需要語で人を集めている限り、その需要語の検索数が上限になるからです。
突破するのは、需要語を増やすことです。腕時計で1本、調理機器で1本、というように、別の需要語で別の記事クラスタを作れば、店は1つのままで入口が2つになります。月5万円を目標に置くなら、私の単価と利益率では記事クラスタが2〜4本必要です。この計算は無在庫転売の本体記事に計算機付きで置いたので、自分の数字で出してください。
言い換えると、Shopifyで売れない人の次の一手は、店の改善でもプランの変更でもなく、「自分の商材を探している人が、商品名を知らずに検索する語」を1つ見つけて、その語で記事を1本書くことです。上がるまで数週間かかります。その間、店には何もしなくていい。
続けるか、やめるかの判定
答えが事実で出る質問だけ並べます。
- 店の名前以外の語で、店に人が来ていますか。Google Search Consoleで確認できます。来ていなければ、売れない原因は店の中にありません
- 自分の商材を探している人が、商品名を知らずに検索する語を、1つ言えますか。言えなければ、記事はまだ書けません。ここが先です
- いまの月額を回収するのに、月何個必要ですか。上の計算機の答えが8個を超えているなら、プランか単価のどちらかが合っていません
3つとも答えられて、それでも売れていないなら、あとは記事が上がるまでの時間の問題です。答えられない質問があるなら、月額を止めて、答えが出てから戻ってきても遅くありません。Shopifyは、店を作る場所としては優れています。人を集める場所ではないだけです。そもそも自分がEC関連記事:ECサイト運営に向いてる人は3つの数字で決まる / るのかを、性格ではなく耐えられる月数で判定したい方はECサイト運営に向いてる人は3つの数字で決まるを先に読んでください。
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