管理職を降りたいとき|降格願いの出し方と例文、給料はいくら下がるか(人事院2026年調査・計算機つき)

管理職を降りたい。給料はどれだけ下がる?降格願い・例文も解説(会議と評価と部下管理に追われる課長) 生き方・キャリア

「管理職 降りたい」「降格願い」「降格願い 例文」「管理職 辞めたい」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。

管理職を降りてよいかは、降りたあとの年収で人生設計が破綻しないかで決まる、というのが私の考えです。人事院が2026年4月の給与を調べた調査では、技術系の課長と係長の月の給与(残業代を含む)の平均の差は約9.6万円(14.8%)、研究部(課)長と研究室(係)長では約12.8万円(17.5%)でした。係長には残業代がつくので、差は役職の手当の額ほどには開かないことがあります。課長の2割弱が「残業代を足した非管理職より給与が低い」と答えた調査もあります。降格願いは出せますが、会社に受け入れる義務はありません。労働条件は本人と会社の合意で変わるもので(労働契約法8条)、降りたあとの給料の決まり方は賃金規程に書いてあります。何がいくら下がるかは、書面で確かめてから同意するのが安全です。例文は、同じ経験をした先輩や同期の話を集めて、AIに文案を作らせるのが私のおすすめです(理由の文の例も置きました)。

知りたいこと 答え 章
管理職になりたくない人は多いか 役職のない社員の61.1%が「管理職に昇進したいとは思わない」。理由は「責任が重くなる」71.3%、「業務量が増え、長時間労働になる」65.8%(厚生労働省の白書) 2章
降りると給料はいくら下がるか 人事院の平均で、技術系の課長→係長は月約9.6万円(−14.8%)、研究部(課)長→研究室(係)長は月約12.8万円(−17.5%)。どれも残業代を含む。同じ人の変化ではない 3章
降格願いは出せるか、会社は断れるか 出せる。会社に受け入れる義務はない。労働条件の変更は合意で決まる(労働契約法8条) 4章
「降格の減給は1割まで」は本当か それは懲戒(制裁)としての減給の上限(労働基準法91条)で、本人が願い出た降格の給料の決まり方とは別。賃金規程による 4章
降りたら残業代は出るか 管理監督者でなくなれば、原則として労働時間の規制がかかり、法定労働時間を超えた分に割増賃金がつく。月60時間を超える分は5割増し。管理監督者でも深夜の割増と年次有給休暇はある 3・4章
例文は 書く項目と、AIに文案を作らせる手順を載せた 5章
断られたら 評価されているということでもある。自分の市場価値を確かめ、他社で役職につかずに同じ以上の収入が得られるかを調べる(私の考え) 6章

1. 先に、立場を書きます

私は会社員として管理職になったことはありません。大学を出たあと就職せず、中古品の売買で独立して20年近くになります。ただ、人を雇って管理する役をやめた経験はあります。

2019年から2022年ごろ、ブランド品の売買を本業の規模で回していたときは、社員1人(当時は親族)に月35万円、アルバイトに月10〜15万円を払っていました。月の利益は人件費を払う前で80〜200万円前後でしたが、人件費45〜50万円を払い、自分の給与100万円を乗せると、足りない月がありました。そこで人を雇って管理するのをやめ、教える側(講座とコンサル)に移りました。

この記事のために、私は次のように答えました。

管理する役を降りた一番の理由 「時間と自由」
降りたあと、収入と自由な時間はどう変わったか 「収入も時間も増」
降りる前に、人生設計が破綻しないことを何で確かめたか 「次の収入の柱を先に作った,どう考えても無形商材販売のほうが効率いいしスケールも簡単。当時AIがなかったがそれでもそう思えた」
管理職を降りることをどう見るか 「人生設計がそれで破綻しないなら降りて良い」
市場価値について 「マーケットバリュー(市場価値)は常に動いている。役職につかないという選択をして生存が出来ると思うなら役職を蹴ってもいいし、役職がキャリアにおいて生存に直結する経験を付与するなら降りるのは難しい」
「管理職を降りたい」という相談を受けたことはあるか 「ない」

私の「降りた」は、自分で会社を持っている人間の話で、会社員が上司と人事に願い出て役職を外れる話とは違います。会社員の降格の手続きと給料は、2章からの公的な資料で書きます。

2. 管理職になりたくない人は6割、課長の悩みは部下の育成

厚生労働省の「平成30年版 労働経済の分析」は、労働政策研究・研修機構の2018年の調査を集計し直して、役職のない社員と係長・主任クラスの社員に、管理職への昇進を望むかを聞いた結果を載せています。

項目 割合
管理職に昇進したいとは思わない 61.1%
(理由)責任が重くなる 71.3%
(理由)業務量が増え、長時間労働になる 65.8%
(理由)現在の職務内容で働き続けたい 57.7%
(理由)部下を管理・指導できる自信がない 57.7%
(理由)賃金が上がるが、職責に見合った金額が払われない 34.1%

出典:厚生労働省「平成30年版 労働経済の分析」第2-(3)-27図(理由は複数回答)

これは、まだ管理職でない人の答えです。今の管理職のうち降りたいと思っている人の割合を示す公的な統計は、見つけられませんでした。

管理職になった人の悩みも、同じ白書にあります。上場企業の課長に聞いた調査(産業能率大学、2017年)では、管理職としての悩みの1位が「部下がなかなか育たない」39.9%、次が「部下の人事評価が難しい」31.9%でした。職場の変化では「業務量が増加している」が58.9%です。

給与の面では、産業能率大学の2023年の調査(従業員300人以上の上場企業の課長809人)で、「課長の給与は残業代を加算した非管理職より高い」と答えた課長は37.6%にとどまり、2割弱は「非管理職より低い」と答えています。

3. 降りると給料はいくら下がるか

人事院の「令和8年職種別民間給与実態調査」(2026年4月の給与)で、職階ごとの月の給与の平均を並べます。「きまって支給する給与」は、基本給と諸手当に、残業代などの時間外手当を含んだ月の額です。賞与は含みません。

職階 平均年齢 月の給与 うち時間外手当 課長(部課長)との差
技術系 課長 49.5歳 64.8万円 1.5万円 −
技術系 係長 45.5歳 55.2万円 8.5万円 −9.6万円(−14.8%)
技術系 係員 36.8歳 42.2万円 6.2万円 −22.6万円
研究部(課)長 50.5歳 73.4万円 2.0万円 −
研究室(係)長 47.0歳 60.5万円 3.3万円 −12.8万円(−17.5%)
主任研究員 44.7歳 55.2万円 4.9万円 −18.2万円(−24.8%)
研究員 37.3歳 44.2万円 5.4万円 −

出典:人事院「令和8年職種別民間給与実態調査の概要」第3表(企業規模計)。研究職の行は、同じ表の、公務員との比較に使わない職種の値

これは別の人どうしの平均の比較で、同じ人が課長から係長に降りたときの変化ではありません。年齢も4〜5歳違います。それでも、二つのことが分かります。

一つは、係長には残業代がつくことです。技術系の係長の時間外手当は月8.5万円で、課長(1.5万円)より7万円多くなっています。管理職を降りて、労働基準法41条の「管理監督者」にあたらなくなれば、原則として労働時間の規制がかかり、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた分には割増賃金がつきます。月60時間を超える法定時間外労働は5割増しです(労働基準法37条)。ただし、所定労働時間と法定労働時間の間の時間や、固定残業代(みなし残業)の扱いは、会社によって違います。

もう一つは、研究職では差が大きめなことです。研究室(係)長の時間外手当は月3.3万円で、技術系の係長より少なくなっています。残業代で差が埋まる幅は、職場によって違います。

降りたあとに残業が増えれば給料の差は縮みますが、そのぶん時間は空きません。また、残業には上限があります。36協定の原則の上限は月45時間・年360時間で、これを超えられるのは特別条項がある場合だけです。

4. 降格願いは出せるか(法律の要点)

4-1. 出せる。ただし会社に受け入れる義務はない

降格を願い出ることは自由です。ただ、どの役職につけるかは、会社が決める人事の範囲で、会社に願いを受け入れる義務はありません。労働条件(役職とそれに伴う給料)は、労働者と会社が合意すれば変えられます(労働契約法8条)。会社が就業規則を変えて全員の条件を不利に変えるときの決まりは別にあり(同9条・10条)、合意なしにはできないのが原則です。なお、役職(ポスト)を外すこと、等級を下げること、賃金を下げることは、それぞれ別に扱われることがあります。

4-2. 何がいくら下がるかは、書面で確かめてから同意する

降りたあとの給料は、賃金規程の決め方で決まります。管理職手当がなくなるだけの会社もあれば、等級が下がって基本給や賞与も下がる会社もあります。

賃金や退職金を下げる変更への同意について、最高裁は、労働者が同意の書面に署名していても、それだけで同意があったとは見ず、その同意が「自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか」という観点からも判断するとしています(山梨県民信用組合事件、2016年2月19日)。不利益の内容と程度、同意に至った経緯、事前の説明が見られます。

この判例は、署名した同意が有効かどうかが争われた事件で、会社に書面を出す義務を決めたものではありません。それでも、願い出る側から見れば、何がいくら下がるのかを先に書面で出してもらってから同意しておくのが、あとで「そんな説明は受けていない」とならないための実務上の手です。確かめるのは、次の5つです。

確かめること どこに書いてあるか(多い例)
管理職手当(役職手当)の額 賃金規程
等級・基本給が下がるか、いくら下がるか 賃金規程、等級規程
賞与の計算が変わるか 賃金規程、賞与規程
残業代がつくか(管理監督者でなくなるか) 就業規則、賃金規程
退職金のポイントや、役職定年との関係 退職金規程、役職規程

4-3. 「降格の減給は1割まで」は懲戒の話

「降格降給は1割まで」という話を見かけますが、労働基準法91条が決めているのは、就業規則で「減給の制裁」(懲戒)を定める場合の上限です(1回の額が平均賃金の1日分の半額まで、総額が1回の支払いの賃金総額の10分の1まで)。本人が願い出た降格に伴う通常の給料の変更には、この上限がそのまま当てはまるわけではなく、賃金規程の決め方によります。この上限で守られるとは考えないでください。ただし、実態として制裁(懲戒)のために降格・減給がされた場合は話が別で、どちらにあたるかは中身で判断されます。

4-4. 「名ばかり管理職」だった場合

管理職でも、労働基準法の「管理監督者」にあたらなければ、残業代は出ます。厚生労働省のパンフレットは、役職名ではなく、職務内容、責任と権限、勤務態様、賃金などの待遇の実態で判断するとしています。管理監督者でも、深夜(22時〜翌5時)の割増賃金と年次有給休暇はあります。

賃金の請求権の時効は、当分の間3年です(労働基準法115条、附則143条)。今の管理職の扱いに疑問があるなら、降格願いを出す前に、労働基準監督署などに相談しておくと、選べる手が増えます。

5. 降格願いの出し方と例文

5-0. 降りる前に、ほかの手と比べる

降りたい理由が、研究に手が回らない、会議と評価で1日が終わる、体がもたない、家族の事情、のどれかなら、役職を降りる以外の手で足りることもあります。

手 変わること 弱いところ
仕事の分担を変える 評価・予算・会議の一部を、ほかの管理職や補佐に回してもらう 役職と責任は残る。頼める相手がいないと続かない
部下の人数を減らす・組織を分ける 管理の量が減る 組織の改編の時期を待つことになる
専門職制度(スペシャリスト職)に移る 部下を持たずに、等級や給料を一定に保てることがある 制度がない会社も多い。等級の上限が低いことがある
異動 職場と仕事の中身が変わる 役職と負担が変わらないこともある
役職を降りる 部下・評価・予算の責任から外れる 給料が下がることが多い。戻るのは難しいことがある

お金の計算(8章)は、どの手を選ぶにしても前提になる確認です。それだけで決めるものではありません。

5-1. 出す前に確かめる3つ

確かめること どうやって
規定 4-2の5項目。分からないところは人事部に、自分の場合の額を聞く
家計 降りたあとの年収で、生活費・ローン・教育費が回るか(8章の計算機)。年ごとの流れは役職定年を社内規定から逆算する記事の計算機に、降りる年齢と下がり方を入れれば出る
市場価値 他社で、役職につかずに、今と同じかそれ以上の収入が得られるか(6章)

5-2. 進み方と、書く項目

降格願いは、希望を伝えるものです。決めるのは会社です。多くの場合、次の順に進みます。

①相談 直属の上司(必要なら人事部)に、口頭で希望と理由を伝える。日付と内容は自分で記録する
②書面の提出 降格願(役職辞退願)を出す
③条件の提示 会社から、降りたあとの役職・等級・給与・時期を示してもらう(書面で)
④本人の確認と同意 4-2の5項目を確かめてから同意する
⑤正式な決定と引き継ぎ 辞令が出て、後任への引き継ぎをする

会社に決まった書式があれば、それを使います。なければ、次の項目を1枚にまとめます。

表題 降格願(または役職辞退願)
日付・宛先 提出日、人事権を持つ人(社長・人事部長など、規定で決まっている宛先)
所属・氏名 今の所属と役職、氏名
希望 どの役職から、どの役職(または役職なし)に、いつから
理由 1〜3文。事実だけを書く
降りたあとに担う仕事 専門の業務、後任への引き継ぎ、若手の技術指導など、会社にとっての使い道
確認したいこと 降格後の給与(手当・等級・賞与)の条件を書面で示してほしいこと

5-3. 例文は、先輩と同期の話をAIに学ばせて作る

私は、例文をそのまま写すより、こうするのがいいと考えています。

「先輩や同期で同じ経験をした人に話を聞き、それをAIに機械学習させて文案を作らせる」

同じ会社で降格を願い出た人、役職を辞退した人がいれば、何を理由に書いたか、誰に先に話したか、何が下がったか、受け入れられたかを聞きます。実際には、AIを学習させるというより、聞いた話を参考の情報として渡して文案を作らせる形になります。その会社の言い回しや進め方に合わせやすくなります(それで受け入れられやすくなるとまでは言えません)。社内の情報をAIに入れるときは、会社のAI利用の規程に従ってください。AIに渡す文面の例です(名前や会社名、人が特定できる事情は入れないでください)。

AIに渡す文面の例 私は従業員○人の会社の研究所で課長をしています。○年○月から、役職のない研究員(または係長)に戻りたいと考えています。理由は、○○です。同じ会社で役職を降りた先輩から、次の話を聞きました:(理由の書き方、先に相談した相手、下がったもの、結果)。①この会社で受け入れられやすい降格願の文案を、A4で1枚にまとめてください。②降りたあとに私が担える仕事の提案を3つ入れてください。③降格後の給与の条件を書面で示してほしいという一文を入れてください。④上司に口頭で先に伝えるときの話し方の案も出してください。

先輩や同期に聞けない場合のために、骨組みの例と、理由の文の例も置いておきます。○の部分を自分の事実で埋めてください。

骨組みの例 降格願
○年○月○日
○○株式会社 ○○殿
○○部 ○○課長 ○○○○
私は、○年○月○日をもって、○○課長の職を退き、○○として勤務することを希望いたします。
理由は、○○のためです。
役職を退いたあとは、○○の業務に専念し、○○の引き継ぎと○○の指導に当たります。
なお、降格後の給与等の条件について、書面でお示しいただきますようお願いいたします。
理由 文の例
専門の仕事に戻りたい ○年間の管理業務を通じて、○○の研究開発の第一線から離れていることに課題を感じております。今後は○○の研究に専念し、専門性を生かして成果に貢献したいと考えております。
業務の負荷・健康 業務量の増加により、現在の職責を十分に果たしながら健康を保つことが難しい状況です。責任を持って務められる職務で貢献したいと考えております。
家庭の事情 家族の介護(または育児)のため、当面、勤務時間の見通しを立てやすい職務に就くことを希望いたします。

書いた理由は、あとで評価や配置の話のときにも参照されることがあります。事実と違うことは書かないでください。

6. 断られたら

会社には受け入れる義務がないので、断られることはあります。私はこう考えています。

「会社がそれを求めているということは人事的には評価されていると思われるのでそこまで悪い話ではない。自分の現在のMVを確認して他社で役職に就かずにあるいはつかされる路線に乗らずに同等またはそれ以上の収入が得られるか調べる」

MVは、市場価値(マーケットバリュー)のことです。ただし、断られる理由は評価だけとは限りません。後任がいない、組織の改編を待っている、という事情もあります。その場合は、時期を区切って続ける(○年○月まで、と期限を決める)、仕事の分担を見直してもらう(5-0)、人事部に直接相談する、といった社内の手もあります。

そして、市場価値は年齢とともに動きます。厚生労働省の雇用動向調査(2025年)で、転職した人の賃金の変わり方を年齢別に見ると、こうです。

転職したときの年齢 賃金が増えた 変わらない 減った うち1割以上減った
40〜44歳 44.9% 24.6% 27.4% 17.6%
45〜49歳 41.1% 28.0% 30.1% 16.1%
50〜54歳 29.4% 26.7% 42.0% 28.3%
55〜59歳 25.5% 33.0% 38.9% 30.6%

出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要」表6(転職入職者の賃金変動状況)

これは転職した人全体の数字で、管理職から役職なしへの転職に絞ったものでも、転職できなかった人を含むものでもありません。

40代の後半までは、増えた人が減った人より多く、50代に入ると逆になります。私の考えでは、ここで分かれ目になるのは、役職が自分の生存に何を残すかです。

「役職につかないという選択をして生存が出来ると思うなら役職を蹴ってもいいし、役職がキャリアにおいて生存に直結する経験を付与するなら降りるのは難しい」

管理職の経験そのものが、他社での値段を上げることもあります。逆に、社内の調整だけに時間を使っていて、専門の手が鈍っているなら、役職は他社での値段を上げていないかもしれません。どちらに当たるかは、実際に他社の求人や転職エージェントで、役職なしの条件の値段を確かめるまで分かりません。8章の計算機には、その値段を入れる欄を置きました。

7. 私が「管理する役」を降りたときのこと

私が管理をやめると決めたとき、確かめたのは一つでした。

「次の収入の柱を先に作った,どう考えても無形商材販売のほうが効率いいしスケールも簡単。当時AIがなかったがそれでもそう思えた」

結果は「収入も時間も増」でした。ただ、これは私の場合です。私は会社を持っていて、降りたあとの収入の柱(講座とコンサル)を自分で先に作れました。会社員が管理職を降りる場合、次の収入の柱は、多くの場合、同じ会社の給料です。だから順番は、私の場合と同じで「降りたあとの収入で回るか」を先に確かめることです。

もう一つ、降りる理由が「時間と自由」なら、降りたあとに本当に時間が空くかも確かめてください。3章のとおり、係長には残業がつきます。役職を外れても、残業が増えれば、空く時間は少なくなります。

8. 降りたら年収と時間はどう変わるか(計算機)

今の月給と、降りたあとの月給・残業・賞与を入れると、年収(額面)、1時間あたりの給料、空く時間、降りたあとの家計の収支を出します。他社で役職なしの年収を入れると、それとも比べます。

管理職を降りたら年収と時間はどう変わるか

最初の月給と残業代は、人事院「令和8年職種別民間給与実態調査」の技術系の課長と係長の平均です。労働時間・賞与・支出は例です。自分の給与明細と、社内の規定(管理職手当の額、降りたあとの等級)の数字に置きかえてから「計算する」を押してください。

管理職のまま

降りたあと

家計

8-1. 例で計算すると

最初の数字(人事院の技術系の課長と係長の平均の月給、係長の残業は月24時間、賞与は月給の4か月分、課長の労働時間は月200時間)では、こうなります。係長の残業24時間は、係長の時間外手当(月8.5万円)を、月給と所定労働時間から出した残業代の単価で割って出した目安です。所定労働時間164.5時間は、厚生労働省の就労条件総合調査(2025年)の1日の所定労働時間(7時間49分)と年間休日(112.4日)から出しました。

条件 降りたあとの年収の差 1時間あたりの給料 空く時間
最初の数字(技術系の課長→係長の平均) −183.2万円(−17.8%) 4,295円→3,747円 年138時間
研究部(課)長→研究室(係)長の平均(残業は月8時間) −209.5万円(−18.0%) 4,860円→4,623円 年330時間
研究部(課)長→主任研究員の平均(残業は月13時間) −302.0万円(−25.9%) 4,860円→4,058円 年270時間
管理職手当5万円がなくなるだけで、残業が月24時間つく場合 +29.6万円(+2.9%) 4,295円→4,688円 年138時間
同じく、残業が月10時間の場合 −44.8万円(−4.3%) 4,295円→4,709円 年306時間

この記事の仮定(賞与は月給の4か月分、残業は統計からの目安)で平均どうしを比べると、年収の差は2割前後になります。降格した人が実際に何割下がったかを追った統計ではありません。最初の数字のまま定年まで13年続けば、差の累計は額面で−2,381.8万円です(昇給も賞与の評価も入れない単純な掛け算)。一方で、等級は変わらず管理職手当がなくなるだけの会社なら、残業代で年収がほとんど変わらないこともあります。課長の2割弱が「残業代を足した非管理職より給与が低い」と答えた調査(2章)と、同じことです。どちらに近いかは、賃金規程を読まないと分かりません。

家計の欄は、降りたあとの手取りで、下がらない支出(生活費・ローン・教育費)が回るかを見ます。最初の数字(下がらない支出が年650万円、配偶者などの手取り年150万円)なら年+135.7万円で回ります。下がらない支出が年800万円なら年−14.3万円で、定年までの13年で186.1万円足りず、貯蓄600万円で埋められる計算です。年1,000万円なら年−214.3万円で、貯蓄は3年目に足りなくなります。どれも、今の支出がずっと変わらないとした単純計算です。年ごとの流れ(子どもの進学や、ローンの完済、役職定年、定年)まで見るときは、役職定年を社内規定から逆算する記事の計算機の「役職定年の年齢」に降りる年齢を、「役職定年のあとの年収」に降りたあとの年収の割合を入れてください。

9. よくある質問

自分から降格願いは出せますか?

出せます。ただ、会社に受け入れる義務はありません。役職とそれに伴う労働条件は、労働者と会社の合意で変わります(労働契約法8条)。

降格願いの例文はありますか?

5章に、書く項目と骨組みの例、AIに文案を作らせる文面の例を置きました。私は、同じ会社で降りた先輩や同期の話を集めてAIに文案を作らせるのがよいと考えています。

管理職を降りると給料はいくら下がりますか?

会社の賃金規程によります。人事院の2026年の調査の平均では、技術系の課長と係長の月の給与(残業代を含む)の差は約9.6万円(14.8%)、研究部(課)長と研究室(係)長では約12.8万円(17.5%)でした。別の人どうしの平均なので、目安です。

降格すると残業代はもらえますか?

管理監督者でなくなれば、原則として労働時間の規制がかかり、法定労働時間を超えた分に割増賃金がつきます。月60時間を超える分は5割増しです。所定と法定の間の時間や固定残業代の扱いは会社によって違い、残業には36協定の上限があります。

降格の減給は1割までと聞きました

1割(10分の1)の上限は、懲戒としての「減給の制裁」の上限です(労働基準法91条)。本人が願い出た降格の給料は、賃金規程の決め方によります。

降格に同意する前に気をつけることは?

何がいくら下がるか(管理職手当、等級・基本給、賞与、退職金)を書面で出してもらってから同意してください。最高裁は、賃金を下げる同意について、自由な意思に基づくといえるかを、不利益の内容や事前の説明も含めて判断するとしています。

降格願いを断られたらどうすればいいですか?

私は、評価されているということでもあるので悪い話ではないと考えています。ただ、後任がいないなどの事情のこともあるので、期限を決めて続ける、分担を見直してもらうといった社内の手も確かめます。そのうえで、他社で役職につかずに同じかそれ以上の収入が得られるかを確かめます。50代では、転職して賃金が減った人のほうが増えた人より多くなります(雇用動向調査)。

管理職を辞めたいのは甘えですか?

役職のない社員の61.1%は、そもそも管理職になりたいと思っていません(厚生労働省の白書)。なりたくない理由は、責任と長時間労働です。気持ちの問題として片づけるより、降りたあとの年収で人生設計が回るかを計算するほうが先です。

役職定年とはどう違いますか?

役職定年は、会社が決めた年齢で全員が役職を外れる制度です。降格願いは、本人が時期を選んで願い出るものです。役職定年がある会社なら、降りなくても何年後かには外れます。その年齢と下がり方は役職定年の記事にまとめています。

10. まとめ

  • 役職のない社員の61.1%は管理職になりたくない。理由は責任(71.3%)と長時間労働(65.8%)
  • 人事院の平均で、技術系の課長→係長は月約9.6万円(−14.8%)、研究部(課)長→研究室(係)長は月約12.8万円(−17.5%)。残業代を含んだ差で、別の人どうしの比較
  • 降りて管理監督者でなくなれば、法定時間外に割増賃金がつく。管理職手当がなくなるだけの会社なら、年収がほとんど変わらないこともある。ただし空く時間は減る
  • 降格願いは出せるが、会社に受け入れる義務はない。何がいくら下がるかを書面で確かめてから同意する
  • 「減給は1割まで」は懲戒の話で、本人が願い出た降格には当てはまらない
  • 例文は、先輩や同期の話をAIに学ばせて作るのが私のおすすめ
  • 断られたら、評価されているということでもある(後任がいないなどの事情のこともある)。市場価値を確かめ、他社で役職につかずに同じ以上の収入が得られるかを調べる。50代では、転職で賃金が減る人のほうが多い
  • 降りてよいかは、降りたあとの年収で人生設計が破綻しないかで決まる(私の考え)

11. 参考資料

12. あわせて読む

13. この記事について

書いた人 中古品の売買を20年近く続けている古物商。会社員として管理職になったことはない。人を雇って管理する役は、2022年ごろにやめた
一次情報 本人が人を雇っていたころの人件費と、管理をやめた理由・その後(1章・7章の表)。「管理職を降りたい」という相談を受けたことはない
確かめた日 2026年10月11日(人事院の職種別民間給与実態調査、厚生労働省の労働経済の分析・雇用動向調査・就労条件総合調査・管理監督者のパンフレット・賃金の引下げの判例、労働契約法・労働基準法、産業能率大学の課長調査)
計算機 月給・残業・賞与から年収を出す単純な計算。賞与は月給の何か月分、手取りは割合で概算。税・社会保険料の細かい計算は入れていない
校閲 公開前にChatGPTに反論の形で校閲させ、確かめられた指摘(残業代がつく条件、労働契約法と判例の読み方、統計からの試算の限界、91条の範囲、手続きの流れ、断られる理由、理由の文の例、定年までの累計)を直した

 

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「自分の判断にお金を払う相手」
を一つ持つこと。
月3万円で構いません。
それだけで、組織との距離の取り方が変わります。
動かない録画機器を1,000円以下で仕入れ、
中古ドライブ(部品代2,000円)に交換。
ついでに容量を増やして15,000円で販売。
── 20年の現場から、実例の一部
この無料講座で扱う内容
  • 壊れた商品のどこに価格差が眠るのか
    「歪みの4類型」
  • 手数料・送料・作業時間まで含めた
    「1件の利益計算式」
  • 絶対に手を出してはいけない
    「除外リスト7項目」
  • 6日目には、元手ゼロで
    今週できる実践ワーク(約70分)
※手を動かさずに稼ぐ方法をお探しの方には向きません。
そのことも講座内で明記しています。
20年
現場での実践
全14通・2週間。
1通3〜5分で、通勤中にも読み切れる分量です。
まずは14通の無料講座で、
「第二の買い手」という考え方を確認してください。
登録30秒・無料・いつでも解除できます


「第二の買い手」を作る14通を無料で読む →

※後半に有料商品のご案内があります。
第1通の冒頭で明記します。

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