「課長になれる確率」「部長になれる確率」「課長 年齢」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。
課長・部長に「なれる確率」を直接数えた公的な統計はありません。代わりに見られるのは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査から出せる「ある年齢の人のうち、いま課長級・部長級にいる人の割合(在任割合)」です。令和7年の調査で計算すると、50〜54歳で課長級・部長級にいる人は、全体(企業規模10人以上の会社の、雇用期間の定めのない一般労働者。男女・学歴を問わない)で19.6%、従業員1,000人以上の会社の大学卒の男性で40.4%(部長級14.7%、課長級25.7%)でした。製造業の大企業の大学院卒の男性では51.5%です(研究職だけの数字ではありません)。2006年と比べると、大企業の大卒・院卒の男性で50代前半に課長級・部長級にいる割合は41.9%から40.6%とほぼ同じですが、部長級は20.9%から14.7%に減り、40代前半は31.5%から25.7%に下がりました。いま課長級にいる人の平均年齢は49.5歳、部長級は53.1歳です。2025年6月の月給の12か月分と2024年の賞与を足した年収の概算は、課長級872万円、部長級1,020万円、役職のない人498万円でした。勝ち組かどうかについての私の考えは、「何かしらの犠牲を払っていると推察するので、それが本人や家族との幸福にリンクしていれば成立する」です。自分の年齢・学歴・会社の規模で割合を出す計算機を10章に置きました。
この記事の統計は、民間の会社で雇用期間の定めがなく、フルタイムで働く人(一般労働者)のものです。公務員の昇進は扱っていません。
| 知りたいこと | 答え | 章 |
|---|---|---|
| 課長・部長になれる確率は | 確率の統計はない。50〜54歳でいま課長級・部長級にいる人は、全体で19.6%、大企業の大卒男性で40.4%、うち部長級は14.7% | 3章 |
| 何歳で増えるか | 大企業の大卒・院卒の男性では、35〜39歳で10.2%、40〜44歳で25.7%、45〜49歳で35.5%、50〜54歳で40.6% | 4章 |
| 昔より難しくなったか | 50代前半の割合は2006年とほぼ同じ。部長級と、40代で課長級・部長級にいる人の割合は減った | 5章 |
| 課長・部長の平均年齢は | 課長級49.5歳、部長級53.1歳(いまその役職にいる人の平均) | 6章 |
| 年収は | 概算で課長級872万円、部長級1,020万円。大企業では課長級1,118万円、部長級1,390万円 | 7章 |
| 勝ち組か | 私の考えは「犠牲が本人や家族の幸福にリンクしていれば成立する」。昇進を望まない人の理由は、責任と長時間労働が上位 | 8章 |
1. 先に、立場を書きます
私は会社に勤めたことがなく、課長や部長を目指したことも、部下を昇進させたこともありません。ですから、この記事の数字は、厚生労働省の統計を自分で計算し直したものと、白書で書きます。
このテーマを書くのは、研究職・技術職の人の悩みを調べるなかで、知恵袋の「一部上場の電機メーカーで、課長・部長になれる確率(なれる人÷同期の人数)は」という質問が138,359回読まれていたからです(2026年10月15日時点)。前の記事では、研究員の肩書きの違い、人事異動を拒否できるか、窓際族・社内ニート・追い出し部屋を書きました。
この記事のために、私は次のように答えました。
| 問い | 私の答え |
|---|---|
| 大企業で課長・部長になることは勝ち組か | 「何かしらの犠牲を払っていると推察するので、それが本人や家族との幸福にリンクしていれば成立する」 |
| その犠牲として想定するもの | 家族(転勤・単身赴任・家庭の時間)、時間(長時間労働・休日)、心身(責任・部下・評価の負担) |
| 研究職の人の出世について | 研究職の人は出世すると判子を押すだけになり、金はいいが仕事がつまらないという悩みを抱えている |
| 読み終えた人に持ち帰ってほしいこと | 「現代社会では出世を前提としたライフプランを練っている人はあまりいないと思う。どうすればいいのかを会社員の人でも自発的に考えるようになってきている」 |
| 記事で、読者に何かをすすめるか | すすめない(考えるきっかけだけ) |
ですから、この記事では「こうすべき」は書きません。数字と、私の考えを並べるだけにします。犠牲の1つに挙げた転勤・単身赴任を断れるかは、転勤の拒否の記事に書きました。
2. 「なれる確率」の代わりに、統計から何が出せるか
2-1. 統計の「課長級」「部長級」
賃金構造基本統計調査は、役職を「部長級」「課長級」「係長級」「職長級」「その他の役職」に分け、役職のない人を「非役職者」としています。調査票の記入要領の定義は次のとおりです。
| 区分 | 定義(要約) |
|---|---|
| 部長級 | 通常「部長」「局長」と呼ばれ、その組織が2課以上からなるか、構成員が20人以上(部長を含む)の組織の長。呼び名や人数に関係なく、職務の内容と責任の程度が同じ人も含む |
| 課長級 | 通常「課長」と呼ばれ、その組織が2係以上からなるか、構成員が10人以上(課長を含む)の組織の長。職務の内容と責任の程度が同じ人も含む。「課長代理」などは含まない |
| 係長級 | 構成員の人数にかかわらず、通常「係長」と呼ばれている人など |
| その他の役職 | 部長代理、部次長、課長代理、課長補佐、調査役などのスタッフ、支社長、支店長、工場長、営業所長など、上の区分に当たらない役職 |
この記事の「課長級・部長級」は、部長級と課長級だけを足したものです。課長代理や次長、支店長・工場長などは「その他の役職」に入っていて、数えていません。「その他の役職」には、管理の責任を持つ人や専門職も入っています。ですから、課長級・部長級でない人が、役職がない人や昇進していない人だとは限りません。研究所の肩書き(主任研究員・主幹など)がどの区分になるかは職務の中身しだいで、研究員の肩書きの記事に書きました。係長・主任・課長代理などの順番と、それぞれの平均年齢・月給は役職の順番の記事に書きました。
2-2. この記事の割合の出し方
令和7年の調査の役職別の表には、年齢層ごとに、部長級・課長級・係長級・役職者の合計・非役職者の人数(推計)が載っています。そこで、役職者の合計(部長級・課長級・係長級・職長級・その他の役職)と非役職者を足したものを分母にして、部長級と課長級の人数の割合を出しました。性別、学歴、会社の規模(企業全体の従業員数)ごとにも出せます。表の「-」(該当なし)は0として計算しました。人数は調査の結果から全国の人数に引き直した推計で、実際に回答した人数ではありません。
2-3. 「いまいる割合」と「なれる確率」は同じではない
出した割合は、2025年にその年齢層にいる人のうち、いま課長級・部長級にいる人の割合です。同期の何人がなれるかとは、次の点でずれます。
- 年齢層ごとに、生まれ年の違う別の人を数えています。同じ人を追いかけた数字ではないので、いま45歳の人が5年後に、いまの50〜54歳と同じ割合になるとは限りません。
- 辞めた人や、別の会社に移った人は、元の会社の数字に入っていません。反対に、中途で入ってきた人は入っています。入社したときの同期の何人が課長になったか、という数字にはなりません。
- 一度なってから、役職定年や降格で外れた人は、いまの割合に入りません。55歳を過ぎると割合が下がるのは、このためもあります。
- 課長代理・次長などの「その他の役職」は入っていません。
この記事では、計算した数字を「なれる確率」とは呼ばず、「いまいる割合(在任割合)」と書きます。確率の統計がない中で、どのくらいの人が課長級・部長級にいるかの目安として使ってください。昇格試験の合格率の、公開されている例(東京都の主任級職選考で、受験した人の51.9%が合格)は、昇格試験に落ちたときの記事に書きました。
3. 課長・部長になれる確率の代わりに:50代前半でいる割合は、全体で2割、大企業の大卒男性で4割
50〜54歳で、いま部長級・課長級にいる人の割合です(令和7年)。
| 条件(50〜54歳) | 部長級 | 課長級 | 合わせて | その他の役職 | 推計人数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 全体(企業規模10人以上、男女・学歴を問わない) | 7.0% | 12.6% | 19.6% | 10.3% | 3,769,840人 |
| 1,000人以上、男女・学歴を問わない | 6.3% | 14.0% | 20.3% | 10.9% | 1,271,050人 |
| 1,000人以上、男性、学歴を問わない | 8.6% | 17.5% | 26.1% | 13.2% | 867,850人 |
| 1,000人以上、男性、大学卒 | 14.7% | 25.7% | 40.4% | 13.4% | 327,260人 |
| 1,000人以上、男性、大学院卒 | 15.1% | 27.1% | 42.2% | 13.3% | 68,970人 |
| 1,000人以上、女性、大学卒 | 3.0% | 16.3% | 19.3% | 8.1% | 86,010人 |
| 100〜999人、男性、大学卒 | 17.7% | 23.5% | 41.2% | 14.1% | 291,560人 |
| 10〜99人、男性、大学卒 | 18.5% | 21.8% | 40.3% | 9.3% | 169,750人 |
| 製造業、1,000人以上、男性、大学卒 | 18.4% | 24.4% | 42.8% | 8.4% | 48,990人 |
| 製造業、1,000人以上、男性、大学院卒 | 19.5% | 32.0% | 51.5% | 9.7% | 23,830人 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」役職第1表(雇用期間の定めのない一般労働者)から計算。「合わせて」は部長級と課長級の合計。推計人数は分母(役職者の合計+非役職者)
読み取れることは4つです。
- 男女・学歴を問わない全体では、50代前半で課長級・部長級にいるのは約5人に1人です。
- 大企業の大学卒の男性に絞ると、約5人に2人になります。部長級は約7人に1人です。残りの約6割には、次長・課長代理・工場長などの「その他の役職」(13.4%)や係長級も入っています。
- 大学卒の男性では、会社の規模が違っても在任割合は40〜41%で近く、小さい会社ほど部長級の割合が高くなります。ただ、会社の規模で部や課の作り方が違うので、なりやすさや役職の重さが同じだとは言えません。
- 製造業の大企業の大学院卒の男性は、約2人に1人です。製造業には営業・人事・製造管理などの仕事も入っていて、この表は職種別ではないので、研究職・技術職の在任割合ではありません。
知恵袋の質問は「なれる人÷同期の人数」でしたが、2-3のとおり、この統計から入社時の同期の何人がなったかは出せません。言えるのは、いま大企業で働く50〜54歳の大卒の男性100人あたり、課長級・部長級は約40人、部長級は約15人、ということです。
4. 年齢ごとの割合:40代前半から増え、50代前半でいちばん高い
従業員1,000人以上の会社の、大学卒・大学院卒の男性の年齢層ごとの割合です(令和7年)。
| 年齢 | 部長級 | 課長級 | 合わせて | 係長級 | その他の役職 | 非役職者 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 25〜29歳 | 0.0% | 0.5% | 0.5% | 1.3% | 4.4% | 93.8% |
| 30〜34歳 | 0.4% | 1.7% | 2.1% | 8.3% | 8.9% | 80.7% |
| 35〜39歳 | 0.9% | 9.3% | 10.2% | 15.5% | 11.4% | 62.9% |
| 40〜44歳 | 3.1% | 22.6% | 25.7% | 13.1% | 12.0% | 49.2% |
| 45〜49歳 | 9.4% | 26.1% | 35.5% | 10.4% | 13.4% | 40.7% |
| 50〜54歳 | 14.7% | 25.9% | 40.6% | 7.5% | 13.5% | 38.4% |
| 55〜59歳 | 15.1% | 22.2% | 37.3% | 7.1% | 13.6% | 42.0% |
| 60〜64歳 | 12.3% | 9.8% | 22.1% | 2.2% | 19.3% | 56.4% |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」役職第1表から計算(大学卒と大学院卒の合計)
課長級は30代後半から出てきて、課長級・部長級を合わせると40代前半で約4人に1人、50代前半で約5人に2人になります。部長級は40代後半から増え、50代で約7人に1人です。55歳以上で課長級の割合が下がる理由は、この統計からは分けられません。役職定年の制度がある会社もあるので、その影響も考えられます。
全体(従業員10人以上、男女・学歴を問わない)では、課長級・部長級は35〜39歳で6.1%、40〜44歳で12.4%、45〜49歳で17.0%、50〜54歳で19.6%、55〜59歳で19.8%です。
「45歳を過ぎると出世は難しい」と言われることがありますが、年齢層ごとの割合は45〜49歳から50〜54歳でも上がっています。ただ、2-3のとおり別の人を比べた数字なので、45歳で課長でない人が50代でなれる確率は、この表からは出せません。
5. 20年前と比べて:50代前半の割合は同じ、部長級と40代の割合が減った
厚生労働省は、2020年の調査から推計の方法を変え、2006年から2019年の分も同じ方法で集計し直した表を公表しています。それを使って、従業員1,000人以上の会社の、大学卒・大学院卒の男性を比べました。2020年には、学歴の「大学・大学院」が「大学」と「大学院」に分かれ、役職を調べる範囲が企業規模100人以上から10人以上に広がりました。そこで、比べるのは1,000人以上の会社に限り、2025年は大学と大学院を足しています。推計の方法はそろっていますが、調査の中身が完全に同じではない点は残ります。
| 年齢 | 2006年 部長級 | 2006年 合わせて | 2015年 部長級 | 2015年 合わせて | 2025年 部長級 | 2025年 合わせて |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 40〜44歳 | 3.7% | 31.5% | 3.2% | 24.7% | 3.1% | 25.7% |
| 45〜49歳 | 13.5% | 43.5% | 7.2% | 34.6% | 9.4% | 35.5% |
| 50〜54歳 | 20.9% | 41.9% | 17.2% | 40.7% | 14.7% | 40.6% |
| 55〜59歳 | 21.7% | 40.1% | 16.3% | 33.8% | 15.1% | 37.3% |
出典:厚生労働省「平成18年・平成27年賃金構造基本統計調査【令和2年調査と同じ推計方法による集計】」「令和7年賃金構造基本統計調査」の役職別第1表から計算。「合わせて」は部長級と課長級の合計
50代前半で課長級・部長級にいる割合は、この20年で約4割のまま変わっていません。変わったのは2つです。50〜54歳の部長級は20.9%から14.7%に減りました。40代で課長級・部長級にいる割合は下がり、2006年の45〜49歳の43.5%に、2025年は50代前半でも届いていません。昇進が遅くなったことと合う動きですが、この統計は同じ人を追っていないので、昇進の時期そのものは分かりません。
「昔は同期の半分以上が課長になれた」と言われることがあります。2006年の大企業の大卒・院卒の男性で、課長級・部長級にいる割合がいちばん高い45〜49歳は43.5%でした。ただ、在任割合からは、同期のうち一度でも課長になった人の割合は分からないので、この説が正しいかどうかは確かめられません。2006年より前は、同じ方法の集計がありません。
6. 課長・部長の平均年齢と勤続年数
いま、その役職にいる人の平均です(令和7年、従業員10人以上の会社、男女・学歴を問わない)。
| 役職 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 所定内給与(月) |
|---|---|---|---|
| 部長級 | 53.1歳 | 22.6年 | 63.6万円 |
| 課長級 | 49.5歳 | 20.9年 | 52.9万円 |
| 係長級 | 45.4歳 | 17.5年 | 39.9万円 |
| 非役職者 | 41.8歳 | 10.8年 | 31.1万円 |
出典:厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」第8表。所定内給与は残業代などを除いた毎月の給与
従業員1,000人以上の会社の大学卒の男性では、課長級の平均は48.9歳・勤続22.7年、部長級は53.0歳・26.0年でした。
平均年齢は、いまその役職にいる人の年齢の平均です。課長に「なる」年齢の平均ではありません。課長になるまでの年数を数えた公的な統計も、見つけられませんでした。課長級・部長級のうち自分より年下の人の割合は、年下上司の記事の計算機で出せます。
7. 役職別の年収
令和7年の賃金構造基本統計調査は、2025年6月分の給与と、2024年1年間の賞与を調べています。そこで、6月分のきまって支給する給与(残業代や通勤手当などを含む)の12か月分に、2024年の賞与を足して、年収の概算を出しました。実際に1年間に受け取った額の平均ではありません。賞与だけの平均(年代・会社の規模・業種別)はボーナスの平均の記事にまとめました。課長・部長に上がって残業代が出なくなる場合の、手当との比べ方は管理職の残業代の記事に書きました。
| 役職 | 全体(従業員10人以上) | 1,000人以上 | 1,000人以上・男性・大学卒 |
|---|---|---|---|
| 部長級 | 1,020万円 | 1,390万円 | 1,426万円 |
| 課長級 | 872万円 | 1,118万円 | 1,178万円 |
| 係長級 | 686万円 | 813万円 | 853万円 |
| 非役職者 | 498万円 | 587万円 | 708万円 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」役職第1表から計算(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)。「全体」と「1,000人以上」は男女・学歴を問わない数字
役職ごとに平均年齢が違うので、この表の差には年齢の差も入っています。同じ45〜49歳でそろえると、1,000人以上の会社の大学卒の男性で、部長級1,511万円、課長級1,172万円、非役職者798万円でした。課長級と非役職者の差は年374万円です。これは別の人たちの平均の差で、勤続年数や業種、会社の給与水準の違いも入っています。昇進したらこの額だけ増える、という数字ではありません。
役職を問わない40代の年収の平均・中央値と、同年代で上位何%かは、40代の年収の平均の記事に書きました。
8. 課長・部長は勝ち組か:私の考えと、統計
8-1. 私の考え
「何かしらの犠牲を払っていると推察するので、それが本人や家族との幸福にリンクしていれば成立する」
私が想定している犠牲は、家族(転勤・単身赴任・家庭の時間)、時間(長時間労働・休日)、心身(責任・部下・評価の負担)の3つです。研究職の人については、出世すると判子を押すだけになり、金はいいが仕事がつまらないという悩みを抱えている、と私は見ています。
8-2. 統計で見る、お金の差と、昇進を望む・望まない理由
お金は7章のとおりで、大企業の大卒の男性の45〜49歳では、課長級と非役職者の平均の差が年374万円でした。
昇進で払う犠牲を直接数えた統計は、見つけられませんでした。近いものとして、昇進を望む人と望まない人に理由を聞いた調査があります。実際に昇進した人の負担を測ったものではなく、まだ昇進していない人が予想する負担と期待です。厚生労働省の「平成30年版 労働経済の分析」は、労働政策研究・研修機構の2018年の正社員調査を集計し直し、役職に就いていない社員と係長・主任相当の社員に、管理職への昇進を望むかと、その理由を聞いた結果を載せています。
| 管理職への昇進を望まない理由(上位と、家族に関わるもの) | 割合 |
|---|---|
| 責任が重くなる | 71.3% |
| 業務量が増え、長時間労働になる | 65.8% |
| 現在の職務内容で働き続けたい | 57.7% |
| 部下を管理・指導できる自信がない | 57.7% |
| 賃金が上がるが、職責に見合った金額が払われない | 34.1% |
| 仕事と育児の両立が困難になる | 29.6% |
| 仕事と介護の両立が困難になる | 12.4% |
出典:厚生労働省「平成30年版 労働経済の分析」第2-(3)-27図(複数回答)
昇進を望む人の理由は、「賃金が上がる」87.2%、「やりがいのある仕事ができる」73.6%、「仕事の裁量度が高まる」68.0%が上位でした。
望まない理由の上位は、私の想定した犠牲のうち「心身(責任・部下)」と「時間(長時間労働)」に重なります。「家族」に当たる育児・介護との両立は、それより下でした。転勤や単身赴任を理由として聞いた項目は、この調査にはありません。
「現在の職務内容で働き続けたい」が57.7%あることは、研究職の人の「判子を押すだけになる」という悩みと同じ向きです。ただ、この調査は研究職だけの数字ではありません。研究の企画や若手の指導も管理職の仕事で、昇進した研究者の全員が判子を押すだけになると示す統計もありません。私の見方は、そう悩む人を見てきたという意味です。
9. 出世を前提にしない人は多い:私の考えと、統計
私の考えは、「現代社会では出世を前提としたライフプランを練っている人はあまりいないと思う。どうすればいいのかを会社員の人でも自発的に考えるようになってきている」です。
同じ白書の調査(2018年、役職に就いていない正社員と係長・主任相当の正社員)では、61.1%が「管理職に昇進したいとは思わない」と答え、「管理職以上(役員含む)に昇進したい」は38.9%でした。望まない人が多数です。ただ、2018年の、まだ管理職でない人の答えで、いまの会社員全体の考えではありません。ライフプランまで聞いた調査でもないので、私の考えの後半(自発的に考えるようになってきている)を確かめる数字は見つけられませんでした。
3章の数字と並べると、大企業の大卒の男性でも、50代前半で課長級・部長級にいない人が約6割います。その中には次長・課長代理・工場長などの役職の人もいるので、全員が昇進していないわけではありません。それでも、課長・部長を前提にした計画は、多くの人にとって当てはまらないことが数字から分かります。そのうえでどうするかは、この記事ではすすめません。管理職を降りたい人の話は管理職を降りたいときの記事に、役職を外れた人の話は役職定年の記事と窓際族の記事に書きました。出世したくない人の理由と、出世した場合としない場合の年収の差、上がらないまま定年までお金が回るかは、出世したくない人の記事で計算しました。
10. 計算機:自分の条件で、課長級・部長級にいる人の割合
年齢・性別・最終学歴・会社の従業員数・産業(全産業か製造業)を選ぶと、2025年にあなたと同じ年齢層・条件で働く人のうち、いま部長級・課長級にいる人の割合と、100人に何人かを出します。参考に、同じ条件のほかの年齢層(生まれ年の違う別の人たち)の割合も並べます。令和7年賃金構造基本統計調査の役職第1表から計算した数字で、2-3のとおり、あなたがこの先なれる確率ではありません。推計の人数が3,000人に満たない条件(女性・大学院卒・小さい会社など)は、数字が大きく振れるので割合を出しません。部長級と課長級の割合は、それぞれ小数第1位で丸めてから足しているので、合計が本文の表と0.1%ずれることがあります。
自分の条件で、課長級・部長級にいる人の割合を見る
選んだ内容と入力した数字は、このページの中で計算に使うだけで、どこにも送られません。
10-1. 例で計算すると
45歳、男性、大学・大学院卒、従業員1,000人以上、全産業の場合です。
| 年齢層 | 部長級 | 課長級 | 合わせて(100人あたり) |
|---|---|---|---|
| 45〜49歳(今) | 9.4% | 26.1% | 35.5%(約36人) |
| 50〜54歳 | 14.7% | 25.9% | 40.6%(約41人) |
| 55〜59歳 | 15.1% | 22.2% | 37.3%(約37人) |
| 60〜64歳 | 12.3% | 9.8% | 22.1%(約22人) |
同じ条件で産業を製造業、学歴を大学院卒にすると、50〜54歳は51.5%(約52人)になります。
11. よくある質問
大企業で課長は勝ち組ですか?
私の考えは、「何かしらの犠牲を払っていると推察するので、それが本人や家族との幸福にリンクしていれば成立する」です。お金の面では、大企業の大卒の男性の45〜49歳で、課長級の年収の概算は1,172万円、役職のない人は798万円でした(別の人たちの平均の差です)。2018年の調査で昇進を望まない人が挙げた理由の上位は、責任が重くなること(71.3%)と長時間労働(65.8%)です。
課長は誰でもなれますか?
全員がなれるわけではありません。大企業の大卒の男性でも、50〜54歳でいま課長級・部長級にいるのは40.4%です(次長・課長代理などの「その他の役職」は別に13.4%)。全体では19.6%です。
課長になるのは何年目ですか?
課長になるまでの年数を数えた公的な統計は、見つけられませんでした。いま課長級にいる人の平均勤続年数は20.9年(全体)、大企業の大卒の男性で22.7年です。大企業の大卒・院卒の男性では、課長級・部長級は35〜39歳で10.2%、40〜44歳で25.7%でした。
課長の最年少は何歳ですか?35歳で課長になれる人は?
最年少の年齢は会社の制度しだいで、統計では分かりません。大企業の大卒・院卒の男性では、25〜29歳でも課長級が0.5%、30〜34歳で1.7%いました。35〜39歳で課長級・部長級にいるのは10.2%(全体では6.1%)です。
部長になるのは何歳くらいですか?40歳で部長になれる人は?
いま部長級にいる人の平均年齢は53.1歳です。大企業の大卒・院卒の男性では、40〜44歳の部長級は3.1%、45〜49歳で9.4%、50〜54歳で14.7%でした。
課長・部長はどのレベルの役職ですか?
統計の定義では、課長級は2係以上からなるか構成員10人以上の組織の長、部長級は2課以上からなるか構成員20人以上の組織の長です。呼び名が違っても、職務の内容と責任の程度が同じなら含まれます。会社ごとの呼び名は、それぞれの会社が決めます。
40代で平社員(役職なし)の割合は?
統計の「非役職者」(部長級・課長級・係長級・職長級・その他の役職のどれにも当たらない人)の割合は、大企業の大卒・院卒の男性で40〜44歳49.2%、45〜49歳40.7%、全体では40〜44歳66.8%、45〜49歳63.0%でした。会社が「主任」などと呼んでいても、統計ではどこに入るかは職務の中身で決まるので、会社の「平社員」とそのまま同じではありません。
万年係長は何割くらいですか?
「万年」かどうかを数えた統計はありません。大企業の大卒・院卒の男性で、50〜54歳の係長級は7.5%でした。全体では7.6%です。
12. まとめ
- 課長・部長に「なれる確率」の公的統計はない。代わりに見られるのは、50〜54歳でいま課長級・部長級にいる人の割合(在任割合)で、全体19.6%、大企業の大卒男性40.4%(部長級14.7%)、製造業の大企業の大学院卒男性51.5%。同じ人を追った数字ではない。
- 大企業の大卒・院卒の男性では、課長級は30代後半から出て、40代前半で約4人に1人、50代前半で約5人に2人。
- 2006年と比べて、50代前半の割合はほぼ同じ。50代前半の部長級は20.9%から14.7%に減り、40代で課長級・部長級にいる割合は下がった。
- いまいる人の平均年齢は、課長級49.5歳、部長級53.1歳。年収の概算は課長級872万円、部長級1,020万円、役職のない人498万円。
- 私の考えは、勝ち組かどうかは「犠牲が本人や家族の幸福にリンクしていれば成立する」。昇進を望まない人の理由の上位は、責任(71.3%)と長時間労働(65.8%)。
- 2018年の調査で、役職に就いていない正社員などの61.1%は、管理職への昇進を望んでいなかった。どうするかは、この記事ではすすめない。
13. 出典
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」役職第1表 役職、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計、鉱業・建設業・製造業、e-Stat)
- 厚生労働省「平成18年賃金構造基本統計調査【令和2年調査と同じ推計方法による集計】」役職別第1表(産業計、e-Stat)、「平成27年賃金構造基本統計調査【令和2年調査と同じ推計方法による集計】」役職別第1表(産業計、e-Stat)
- 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」第8表、主な用語の定義
- 厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 調査票記入要領」役職一覧と解説、「令和2年に賃金構造基本統計調査が変わりました!」
- 厚生労働省「平成30年版 労働経済の分析 第2-(3)-27図 役職に就いていない職員等における管理職への昇進希望等について」(バックデータ)
- Yahoo!知恵袋「大企業で課長、部長になれる確率(なれる人÷同期の人数)」(閲覧数は2026年10月15日時点)

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