「失業保険 延長」「受給期間 延長」「延長申請 いつまで」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。
「失業保険の延長」と呼ばれるものには、法律上は別の2つの仕組みがあります。1つは受給期間の延長で、失業保険(雇用保険の基本手当)を受けられる期間(離職日の翌日から原則1年)を、病気・けが、妊娠・出産・育児(3歳未満の子)、親族の看護・介護などで引き続き30日以上働けない日数だけ後ろへ延ばす手続きです。足せるのは最大3年で、受給期間は合わせて最長4年までです。受け取る時期を後ろにずらすだけで、給付日数は増えません。申請は働けない状態が30日続いた後に早めにするのが原則で、期限は延長後の受給期間の最後の日までです(2017年4月1日から)。ただし申請が遅いと、給付日数の全部を受けられないことがあります。必要書類は受給期間延長等申請書、離職票-2(受給手続の後なら受給資格者証)、延長の理由を証明する書類で、住所地のハローワークに本人の来所・郵送・代理人(委任状)で出します。60歳以上の定年などで離職してしばらく休む人の延長(最大1年、離職日の翌日から2か月以内に申請)と、離職後に事業を始めた人の特例(事業を始めた日の翌日から2か月以内に申請)もあります。もう1つは給付日数そのものが延びる延長給付で、ハローワークの受講指示で公共職業訓練を受ける人の訓練延長給付(訓練が終わるまで)や、会社都合(法律上は特定受給資格者)・雇止めの人で心身の状況や災害に当たる人の個別延長給付(原則60日)などがあり、当たるかどうかはハローワークが決めます。2026年10月31日に離職し、病気で200日働けない例なら、延長後の受給期間の最後の日は2028年5月18日です(計算)。延長できるかと延長後の最後の日・申請の期限と必要書類・給付日数が延びる制度・延長したときとすぐ受けたときの比較を出す計算機を11章に置きました。
| 知りたいこと | 答え | 章 |
|---|---|---|
| 失業保険を受けられる期間 | 受給期間は離職日の翌日から1年(所定給付日数330日の人は1年と30日、360日の人は1年と60日)。過ぎると日数が残っていても受けられない | 2章 |
| 「延長」の種類 | 受給期間の延長(受け取る時期を延ばす)と、延長給付(給付日数が延びる)は別の制度 | 2-3 |
| 延長できる条件 | 受給期間の中で、病気・けが、妊娠・出産・育児(3歳未満)、親族の看護・介護、配偶者の海外勤務への同行などで、引き続き30日以上働けない | 3章 |
| 延長できる長さ | 働けない日数を足す。足せるのは最大3年、受給期間は合わせて最長4年 | 3-2 |
| 延長申請はいつまで | 30日を過ぎてから早めに。期限は延長後の受給期間の最後の日まで(2017年4月1日から)。遅いと全部の日数を受けられないことがある | 4章 |
| 必要書類と手続き | 受給期間延長等申請書、離職票-2か受給資格者証、理由を証明する書類。住所地のハローワークへ本人・郵送・代理人で | 4-3・4-4 |
| 定年で休みたい | 60歳以上の定年などで離職した人は最大1年。離職日の翌日から2か月以内に申請 | 5章 |
| 事業を始めた | 事業の期間を受給期間に数えない特例。事業を始めた日の翌日から2か月以内に申請 | 6章 |
| 受給中に病気になった | 15日以上働けなければ雇用保険の傷病手当。30日以上の見込みなら、代わりに受給期間の延長も選べる | 7章 |
| 給付日数が延びる制度 | 訓練延長給付(職業訓練)、個別延長給付、地域延長給付(暫定措置)、広域延長給付、全国延長給付。当たるかはハローワークが決める | 8章 |
| 延長したときとすぐ受けたとき | 受け切れれば日数は同じ。違いは、受給期間の中で受け切れるかと、給付制限の扱いなど | 9章 |
| 自分の場合 | 延長できるかと最後の日・申請の期限と書類・延びる制度・比較を計算 | 11章 |
1. 先に、この記事の数字について
この記事の決まりと数字は、雇用保険法・雇用保険法施行規則・雇用保険法施行令の条文(e-Gov法令検索、2026年10月24日時点の現行版)と、厚生労働省(Q&A・業務取扱要領・リーフレット・雇用保険事業年報)、ハローワークインターネットサービス、東京・大阪・兵庫・北海道・神奈川・茨城・秋田の労働局とハローワークの資料から取っています。日付は、離職日の翌日から数える民法の期間の数え方で計算しています。働けない日数は、始まりの日と終わりの日を両方数えています。延長後の最後の日を日付で計算した公式の例と、働けない日数の数え方を書いた公式の資料は見つからなかったので、この記事の日付は目安です。延長できるか、何日延びるか、離職の区分(会社都合・自己都合など)を最後に決めるのは住所地のハローワークです。
2. 受給期間は1年:過ぎると残っていても受けられない
2-1. 受給期間とは
失業保険(雇用保険の基本手当。「失業保険」は日常の呼び名です)は、決められた期間の中でしか受けられません。この期間を受給期間といい、離職日の翌日から1年です(雇用保険法20条1項1号)。次の人は少し長くなります(同項2号・3号、ハローワーク)。
- 所定給付日数が330日の人(45歳以上60歳未満で、会社都合などの特定受給資格者、算定基礎期間(被保険者だった期間)が20年以上):1年と30日
- 所定給付日数が360日の人(障害者などの就職困難者で、45歳以上65歳未満、算定基礎期間が1年以上):1年と60日
2026年10月31日に離職した人なら、受給期間は2026年11月1日から2027年10月31日までです。330日の人は2027年11月30日まで、360日の人は2027年12月30日までです(計算)。
2-2. 受給期間を過ぎたら
受給期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても、その後は受けられません(厚生労働省のQ&A Q11は「受給し終わっていなくても、その日以後、支給を受けることはできません」としています)。求職の申込みをしてから、待期の7日と、正当な理由のない自己都合なら給付制限の1か月があり、そのあと所定給付日数の分の失業の認定を受けるので、受給期間の終わりが近くなってから申し込むと、受け切れないことがあります。
2-3. 「失業保険の延長」は2種類
「失業保険の延長」という言葉は、次のどちらの意味でも使われます。法律では別の制度です。
| 制度 | 根拠 | 延びるもの | 主な対象 | 章 |
|---|---|---|---|---|
| 受給期間の延長(病気・けが・妊娠・出産・育児・介護など) | 雇用保険法20条1項 | 受けられる期間(給付日数は増えない) | 受給期間の中で引き続き30日以上働けない人 | 3・4章 |
| 定年退職者等の受給期間の延長 | 雇用保険法20条2項 | 受けられる期間(最大1年) | 60歳以上の定年などで離職し、しばらく求職の申込みをしない人 | 5章 |
| 事業を開始した人などの特例 | 雇用保険法20条の2 | 事業の期間を受給期間に数えない | 離職後に事業を始めた人など | 6章 |
| 延長給付(訓練延長給付・個別延長給付・地域延長給付・広域延長給付・全国延長給付) | 雇用保険法24条・24条の2・25条・27条・附則5条 | 給付日数 | それぞれの条件に当たり、ハローワークが認めた人 | 8章 |
3. 受給期間の延長:条件と長さ
3-1. 延長できる理由
受給期間の中で、妊娠・出産・育児などの理由で引き続き30日以上働けない人が申し出ると、その日数を受給期間に足せます(雇用保険法20条1項)。省令は理由として「疾病又は負傷」と、ハローワークの所長がやむを得ないと認めるものを挙げています(雇用保険法施行規則30条)。ハローワークと労働局は、次の理由を挙げています。
| 理由 | 出どころ |
|---|---|
| 病気・けが(健康保険の傷病手当金や労災保険の休業補償給付を受けている場合も含む) | 兵庫労働局、東京労働局 |
| 妊娠・出産・育児(3歳未満の子に限る)。不妊治療を含む | 東京労働局、北海道労働局、兵庫労働局、厚生労働省Q&A Q13 |
| 親族の看護・介護 | 北海道労働局、東京労働局、兵庫労働局 |
| 配偶者の海外勤務への同行 | 北海道労働局、東京労働局 |
| 青年海外協力隊など公的機関による海外技術指導の派遣(派遣前の研修を含む) | 北海道労働局、東京労働局 |
介護や海外への同行が、省令のどの号に当たるかを書いた業務取扱要領の本文は確かめられませんでした。自分の理由が当たるかは、住所地のハローワークに確かめてください。休職から退職した人のお金の流れは休職中の給料の記事、家族の介護で辞めた人の手当は介護休業給付金の記事に書いています。
3-2. 延長できる長さと、延長後の最後の日
延長後の受給期間は、本来の受給期間に働けない日数を足したものです(大阪労働局は「1年+働くことができない期間」と説明しています)。足せるのは最大3年で(厚生労働省のQ&A Q12)、足した結果が4年を超えるときは4年です(雇用保険法20条1項)。所定給付日数が330日の人は「3年-30日」、360日の人は「3年-60日」まで足せるので、受給期間の合計はどちらも4年が上限です(ハローワーク)。2026年10月31日に離職し、11月1日から働けない場合の延長後の最後の日は、次のとおりです(計算)。
| 働けない期間(2026年11月1日から) | 日数 | 延長後の受給期間の最後の日(所定給付日数90〜300日) | 同(330日) | 同(360日) |
|---|---|---|---|---|
| 〜2026年11月30日(月) | 30日 | 2027年11月30日(火) | 2027年12月30日(木) | 2028年1月29日(土) |
| 〜2027年1月29日(金) | 90日 | 2028年1月29日(土) | 2028年2月28日(月) | 2028年3月29日(水) |
| 〜2027年3月31日(水) | 151日 | 2028年3月30日(木) | 2028年4月29日(土) | 2028年5月29日(月) |
| 〜2027年5月19日(水) | 200日 | 2028年5月18日(木) | 2028年6月17日(土) | 2028年7月17日(月) |
| 〜2027年10月31日(日) | 365日 | 2028年10月30日(月) | 2028年11月29日(水) | 2028年12月29日(金) |
| 〜2028年10月30日(月) | 730日 | 2029年10月30日(火) | 2029年11月29日(木) | 2029年12月29日(土) |
| 〜2029年10月30日(火) | 1095日 | 2030年10月30日(水) | 2030年10月31日(木) | 2030年10月31日(木) |
| 〜2030年2月27日(水) | 1215日 | 2030年10月31日(木) | 2030年10月31日(木) | 2030年10月31日(木) |
3-3. 育児の場合
育児で延長できるのは3歳未満の子の育児です(東京労働局・北海道労働局)。兵庫労働局は、育児だけで延長する人(出産の後に退職した人)の延長は、子が3歳になる誕生日の前々日までと書いています。不妊治療の後、妊娠・出産・育児と続けば、連続して最大4年(受給期間1年に延長3年)まで延長できます(厚生労働省のQ&A Q13)。
たとえば2026年10月31日に妊娠中で離職し、2027年3月1日に出産して育児で働けない状態が続くと、育児の延長は子が3歳になる誕生日(2030年3月1日)の前々日の2030年2月27日までです。出生前の2026年11月1日〜2027年2月28日は妊娠・出産、出生後は育児として扱う目安です。11月1日からの働けない日数は1,215日で3年を超えるので、受給期間は上限の2030年10月31日までになります(計算)。妊娠中のどの時点から働けないとみなすかの細かい基準は、公式資料で確かめられませんでした。
3-4. 延長しても給付日数は増えない
受給期間の延長は、受け取る時期を後ろにずらす手続きです。兵庫労働局は「給付日数を増やす手続きではありません」と書いています。延長している間は基本手当を受けられず(大阪労働局)、働けるようになってから受給手続をして受けます。給付日数が延びるのは、8章の延長給付に当たる場合です。
3-5. 延長できない場合
- 離職日に65歳以上の人:基本手当ではなく高年齢求職者給付金(一時金)になり、受給期間の延長の制度は使えません(厚生労働省のQ&A Q14)。額と手続きは65歳以上の失業保険の記事に書いています
- 本来の受給期間(1年)が終わった後に働けなくなった人:延長は受給期間の中で働けなくなった場合が対象です(雇用保険法20条1項の「当該期間内に」)
- 働けない期間が30日に届かない人:引き続き30日以上が条件です
- 受給手続の後の病気で、雇用保険の傷病手当を受ける人:その病気は延長の理由から除かれます(雇用保険法施行規則30条1号。7章)
- 新型コロナウイルスの感染などを理由にした延長の特例:2023年5月8日以後に働けない期間が始まった人は対象外です(茨城労働局のリーフレット)
4. 延長の申請:いつまで・必要書類・手続き
4-1. 延長申請はいつまでか
申請は、働けない状態が30日を過ぎてから、早めにするのが原則です(東京労働局・兵庫労働局・大阪労働局、ハローワークのよくある質問)。期限は延長後の受給期間の最後の日までで、離職日の翌日から4年が上限です(雇用保険法施行規則31条3項)。この期限は2017年4月1日から変わったもので、厚生労働省のリーフレット「申請期限の変更について」は、変更後は延長後の受給期間の最後の日まで申請できるとし、できるだけ早く申請するよう求めています。天災などやむを得ない理由で申し出られなかったときは、その理由がやんだ日の翌日から7日以内に申し出ます(同条3項ただし書・4項)。
2026年10月31日に離職し、2026年11月1日から2027年5月19日まで病気で働けない例なら、申請は2026年12月1日ごろからでき、期限は延長後の最後の日の2028年5月18日です(計算)。定年の延長(5章)と事業を始めた人の特例(6章)は、2か月以内という別の期限です。
4-2. 申請が遅れたら・期限を過ぎたら
本来の受給期間の1年を過ぎていても、延長後の受給期間の最後の日の前なら申請できます(厚生労働省のQ&A Q15)。ただし同じQ&Aは、申請が遅いと所定給付日数の全てを受給できない可能性があるとしていて、兵庫労働局も満額を受けられるとは限らないと注意しています。延長の解除と求職の申込みをした後も、待期7日・給付制限・所定給付日数の分の日が、延長後の受給期間の中に入る必要があるからです。厚生労働省のリーフレットも、申請が遅れて残りの受給期間が短くなる例を図で示しています。
上の例(所定給付日数90日・給付制限1か月)では、すべての日が支給の対象になると仮定した理論上の最後の申込日は2028年1月12日です(計算)。実際の認定日(原則4週間に1回)や手続きの都合は入っていないので、余裕をもって手続きしてください。延長後の受給期間の最後の日を過ぎると延長の申請はできず、受給期間を過ぎた分は受けられません。
4-3. 必要書類
| 場合 | 書類 | 出どころ |
|---|---|---|
| 全員 | 受給期間延長等申請書(様式第16号。郵送で送ってもらうこともできる) | 雇用保険法施行規則31条1項、東京労働局 |
| 受給手続の前 | 離職票-2(離職票-1は延長の申請では要らない) | 厚生労働省Q&A Q16 |
| 受給手続の後 | 雇用保険受給資格者証(または受給資格通知) | 厚生労働省Q&A Q16 |
| 病気・けが | 医師の証明書など。ハローワークによって傷病証明書などの様式がある | 雇用保険法施行規則31条1項、兵庫労働局 |
| 妊娠・出産・育児 | 母子健康手帳 | 兵庫労働局 |
| 不妊治療 | 診療明細書・領収書など | ハローワーク港北 |
| 親族の看護・介護 | 介護状況証明書と、親族関係が分かる住民票か戸籍謄本 | 兵庫労働局 |
| 配偶者の海外勤務への同行など | 書類の一覧を書いた公式資料は見つからなかった。ハローワークに確かめる | ― |
| 本人の確認 | 写真付きの身元確認書類1種類(ない場合は2種類)を求めるハローワークもある | 兵庫労働局 |
傷病証明書や介護状況証明書の様式はハローワークごとに違うことがあり(兵庫労働局は「ハローワーク尼崎様式」)、全国共通の様式があるかは確かめられませんでした。申請の前に、住所地のハローワークに様式を確かめると確実です。
4-4. 申請先と方法
申請先は住所地を管轄するハローワークです。本人が行くほか、郵送や代理人(委任状が必要)でも申請できます(厚生労働省のQ&A Q16、ハローワークのよくある質問)。扱いはハローワークで少しずつ違い、大阪労働局は代理人による申請を病気・けがや妊娠・出産などの場合に限るとし、ハローワーク港北は郵送のときに本人確認書類の写し・離職票-2の原本・申請書・確認書類・返信用封筒(特定記録郵便の料金分の切手)を送るよう案内しています。e-Gov電子申請にも「受給期間・教育訓練給付適用対象期間・高年齢雇用継続給付延長申請」の手続のページがありますが、使える条件はe-Govで確かめてください。ハローワークが延長を認めると、受給期間延長等通知書が交付されます(雇用保険法施行規則31条6項)。
4-5. 働けるようになったら:延長の解除
働けるようになったら、速やかに住所地のハローワークへ行きます(厚生労働省のQ&A Q17)。受給手続をしないまま延長した人は、離職票-1・離職票-2、身元確認と個人番号確認の書類、写真2枚かマイナンバーカード、本人名義の預金通帳かキャッシュカード、受給期間延長通知書、延長の理由がやんだことが分かる書類を持って行き、受給手続(求職の申込み)をします。受給中に延長した人は、受給資格者証(または受給資格通知)、受給期間延長通知書、理由がやんだことが分かる書類です。離職後の手続きの順番は退職後にやることの記事にまとめています。
5. 定年退職者等の延長
60歳以上の定年、または60歳以上の定年の後の再雇用などの期限が来て離職した人が、しばらく求職の申込みをしないことを希望するときは、1年を限度に受給期間を延長できます(雇用保険法20条2項、雇用保険法施行規則31条の2)。
- 申請の期限:離職日の翌日から2か月以内(雇用保険法施行規則31条の3、厚生労働省のQ&A Q14)。兵庫労働局は、2か月を過ぎると原則として承認されないとしています。東京労働局は、在職中は申請できないとしています
- 書類:受給期間延長等申請書と離職票(2枚以上あれば全部)。ハローワーク港北は、離職票-2の離職理由が定年退職であることを確かめるよう案内しています
- 方法:東京労働局・兵庫労働局は原則として本人の来所、ハローワーク港北は郵送の手順も案内していて、ハローワークで違います
- 途中で求職を始めるとき:延長の期間中に求職の申込みをすると、その前日までの期間を受給期間に足す扱いです(雇用保険法20条2項)
たとえば2027年3月31日に定年で離職すると、申請の期限は2027年5月31日です。1年の延長を申し出れば、受給期間は2027年4月1日から2029年3月31日までになります。途中の2027年9月1日に求職の申込みをすると、本来の最後の日の2028年3月31日に4月1日から8月31日までの153日を足して、2028年8月31日までになります(条文を当てはめた計算)。定年の延長と病気などの延長を両方受けた場合の合計の上限は、公式資料で確かめられませんでした。定年や継続雇用の期間満了による離職は、正当な理由のない自己都合の離職とは離職理由の区分が違うので、11章の計算機では給付制限なしで計算しています(区分を最後に決めるのはハローワーク)。
60〜64歳で特別支給の老齢厚生年金などを受ける人は、ハローワークで求職の申込みをした月の翌月から、受給期間が過ぎた月(または所定給付日数を受け終わった月)まで、年金が全額止まります(日本年金機構)。延長して求職の申込みを遅らせたときの年金の扱いを直接書いた公式資料は見つからなかったので、年金事務所で確かめてください。離職日に65歳以上の人は、この延長も使えません(厚生労働省のQ&A Q14)。
定年後に再雇用を続けるか、定年で辞めて失業保険を受けるか(求職していることが条件)の額面の比較は定年後の再雇用の記事の計算機で出せます。
6. 事業を始めた人の特例
2022年7月1日から、離職後に事業を始めた人などが申し出ると、事業をしていた期間を受給期間に数えない特例ができました(雇用保険法20条の2、厚生労働省のQ&A Q18)。数えない日数は、受給期間と合わせて4年までです。
- 条件:事業の期間が30日以上、事業を始めた日から30日を経過する日が受給期間の最後の日以前、就業手当・再就職手当を受けていない、自立できないと認められる事業でない、離職日の翌日以後に始めた(離職日以前に始めて離職日の翌日以後に専念する場合を含む)など(厚生労働省のリーフレット)
- 申請の期限:事業を始めた日の翌日から2か月以内(雇用保険法施行規則31条の6、厚生労働省のQ&A Q19)。就業手当・再就職手当を申請して支給されなかった場合は、その申請日を特例の申請日にできます(リーフレット)
- 書類:受給期間延長等申請書、離職票-2(受給資格の決定の前)か受給資格者証(決定の後)、事業を始めたことが分かる書類(登記事項証明書・開業届の写し・事業の許可証など。準備に専念している場合は金銭消費貸借契約書や事務所の賃貸借契約書の写しなど)
- 方法:本人の来所か郵送。代理人は委任状が要ります。事業をやめたり休んだりしたときは届け出ます(雇用保険法施行規則31条の6)
事業をしている間は基本手当を受けられません。再就職手当を受けた事業は、この特例の対象外です(雇用保険法施行規則31条の4)。再就職手当の条件は再就職手当の記事に書いています。
7. 受給手続の後に病気になったら:雇用保険の傷病手当と延長
求職の申込みをした後に病気やけがで働けなくなったとき、15日未満なら、治った後の認定日に証明書を出して失業の認定を受けられます(雇用保険法15条4項、ハローワークのよくある質問)。15日以上なら、基本手当の代わりに同じ日額の雇用保険の傷病手当を受けます(雇用保険法37条、厚生労働省のQ&A Q28)。傷病手当は所定給付日数の残りの中で出て、出た日数は基本手当を受けたものとみなされます。待期や給付制限の期間の日は出ません(Q28)。申請は、病気やけがが治った直後の認定日までです(Q28)。
病気やけがの期間が30日以上になると思われるときは、傷病手当ではなく受給期間の延長を申請することもできます(Q28)。同じ病気で傷病手当を受けると、その病気は受給期間の延長の理由から除かれます(雇用保険法施行規則30条1号)。傷病手当は残りの日数を使って受け、延長は受ける時期を後ろにずらすという違いがありますが、どちらを選ぶべきかを書いた公式資料は見つかりませんでした。
雇用保険の傷病手当は、健康保険の傷病手当金とは別の制度で、健康保険の傷病手当金を受けられる日は出ません(雇用保険法37条)。健康保険の傷病手当金は傷病手当金の記事に書いています。
8. 給付日数が延びる制度(延長給付)
8-1. 一覧
次の延長給付は、所定給付日数を超えて基本手当を受けられる制度です。どれも、当たるかどうかはハローワーク(制度によっては国の指定)で決まります。
| 制度 | 根拠 | 延びる日数 | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 訓練延長給付 | 雇用保険法24条 | 訓練が終わるまで(訓練を待つ間の90日まで・訓練の後の30日までの延長もある) | ハローワークの受講指示で公共職業訓練など(2年以内)を受ける人 |
| 個別延長給付 | 雇用保険法24条の2 | 60日(所定給付日数330日の人と、35歳以上45歳未満で270日の人は30日)。激甚災害で国が指定した地域に住む人は120日(同90日) | 会社都合(特定受給資格者)と雇止めの特定理由離職者で、心身の状況か災害に当たり、ハローワークの所長が認めた人 |
| 地域延長給付(暫定措置) | 雇用保険法附則5条 | 60日(同30日) | 2027年3月31日までに離職した会社都合(特定受給資格者)などの人で、国が指定した地域に住み、ハローワークの所長が認めた人(個別延長給付を受けられる人を除く) |
| 広域延長給付 | 雇用保険法25条、施行令6条 | 90日 | 国が地域を指定したときに、広域職業紹介を受けるのが適当と認められた人 |
| 全国延長給付 | 雇用保険法27条、施行令7条 | 90日 | 失業の状況が全国的に著しく悪くなり、国が期間を指定したとき |
8-2. 訓練延長給付(職業訓練で延長)
ハローワークの受講指示で、期間が2年以内の公共職業訓練などを受けると、訓練を受け終わる日まで基本手当が延びます(雇用保険法24条、業務取扱要領)。訓練の前は、受講を始める日の前日までの引き続く90日間、訓練の後は、支給残日数が30日未満などの条件で30日から支給残日数を引いた日数が延びることがあります(業務取扱要領)。受給期間も、訓練を受け終わる日まで延びます(同条3項)。
対象は受講指示による受講で、北海道労働局の資料は、受講推薦では訓練延長給付に「該当しません」としています。教育訓練給付の講座を自分で受けるのも受講指示ではないので、対象にならないと考えられます(1文で書いた公式資料は見つかりませんでした)。所定給付日数のどこまでに始まる訓練なら受講指示を受けられるかは、ハローワークで確かめてください。職業訓練の手当と日数は職業訓練の記事に書いています。
8-3. 個別延長給付
会社都合(特定受給資格者)と、雇止めの特定理由離職者が対象で、障害者などの就職困難者は除きます(雇用保険法24条の2)。業務取扱要領は、対象の特定理由離職者を雇止め(契約期間が満了し更新されなかった)の人に限っているので、体調・介護などの正当な理由のある自己都合で辞めた人は対象外です。そのうえで、次のどれかに当たり、ハローワークの所長が再就職のための職業指導が必要と認めた人が受けられます。
- 心身の状況:難治性疾患のある人、発達障害者、障害者(雇用保険法施行規則38条の4、業務取扱要領)。60日(所定給付日数330日の人と、35歳以上45歳未満で270日の人は30日)
- 激甚災害の被害で離職し、国が指定した地域に住む人:120日(同90日)
- それ以外の、省令で定める災害の被害で離職した人:60日(同30日)
- 就職困難者で、激甚災害の被害で離職し国が指定した地域に住む人:60日(同条2項)
所長が認めるときの基準(指導基準)には、まじめに求職活動をしても支給の終わりまでに就職の見込みがないことなどがあります(雇用保険法施行規則38条の3、業務取扱要領)。受給期間も延びる日数の分だけ延びます(同条4項)。会社都合かどうかの区分は会社都合と自己都合の違いの記事に書いています。
8-4. 地域延長給付と雇止めの特例(暫定措置)
地域延長給付は、離職日が2027年3月31日以前の、会社都合(特定受給資格者)などの人で、雇用の機会が足りないとして国が指定した地域に住み、ハローワークの所長が職業指導が必要と認めた人の給付日数を60日(330日の人と、35歳以上45歳未満で270日の人は30日)延ばす暫定措置です(雇用保険法附則5条)。個別延長給付を受けられる人は除きます。対象の特定理由離職者について、平成29年のリーフレットは「正当な理由のある自己都合離職を除く」と書いていますが、いまの省令の文言は確かめられませんでした。対象地域の名前を書いた公式の一覧も見つからなかったので、住んでいる地域が対象かはハローワークに確かめてください。
雇止めの特例は、雇止めで離職した特定理由離職者の所定給付日数を、特定受給資格者と同じ日数(90〜330日)にする暫定措置で、これも離職日が2027年3月31日までの人が対象です(雇用保険法附則4条)。いまの条文では、どちらも2027年3月31日までの離職が対象です。
8-5. 広域延長給付・全国延長給付
広域延長給付は、その地域の初回受給者の率が全国の率の2倍以上になったなどの基準で国が地域を指定したときに、広域職業紹介を受けるのが適当とハローワークの所長が認めた人の給付日数を90日延ばします(雇用保険法25条、施行令6条)。全国延長給付は、受給率が連続する4か月の各月で4%を超えるなどの基準で、失業の状況が全国的に著しく悪くなったときに国が期間を指定して90日延ばします(雇用保険法27条、施行令7条)。どちらも国の指定がなければ受けられず、広域延長給付の初回受給者は令和5〜7年度とも0人でした(10章)。
8-6. 延長給付が重なるときと再就職手当
2つ以上の延長給付に当たるときの順番と調整は、雇用保険法28条などで決まっていて、ハローワークが行います。延長給付(地域延長給付など)を受けている途中で病気などで働けなくなった場合の扱いは、ハローワークに確かめてください。再就職手当のリーフレットは、延長給付の支給残日数は再就職手当の支給残日数とはみなさないとしています。このため、所定給付日数を受け終わって延長給付に入った後に就職しても、再就職手当の条件(支給残日数が所定給付日数の3分の1以上)に当たらないことになります(リーフレットの当てはめ)。
9. 延長したときと、すぐ受けたときの比較
9-1. 受け切れれば日数は同じ
受給期間の延長で給付日数は増えないので(兵庫労働局)、受給期間の中で受け切れるなら、受ける日数は延長してもしなくても同じです。日額は離職前6か月の賃金で計算するので、延長しても計算の元の賃金は変わらないと考えられます。ただし、延長した人の日額を直接書いた公式資料と、毎年8月の日額の上限・下限の改定が延長して遅く受ける人にどう当たるかは、確かめられませんでした。日額と総額は失業保険はいくらもらえるかの記事で計算できます。
9-2. 待期と給付制限
受給手続(受給資格の決定)の日から通算7日は待期で、基本手当は出ません(雇用保険法21条)。正当な理由のない自己都合の離職は、離職日が2025年4月1日以後なら原則1か月の給付制限があり、5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合で辞めて受給資格の決定を受けていると3か月です(厚生労働省のQ&A Q20)。延長してから受給手続をしても、待期と給付制限は受給手続のときから数える形になります(延長した人の待期を直接書いた公式資料は見つかりませんでした)。
体調や家族の介護などが離職の理由としてハローワークに認められれば、特定理由離職者として給付制限はかかりません。また業務取扱要領は、妊娠・出産・育児などで離職し、離職の翌日から引き続き30日以上働けずに受給期間を延長した人を特定理由離職者とし、延長が90日未満なら給付制限の対象になるとしています。延長が90日以上なら、給付制限はかからない扱いです。区分を最後に決めるのはハローワークです。
9-3. 受給期間の中で受け切れないとき
延長しないまま働けない期間が長く続くと、働けるようになったときには受給期間の残りが少なく、受け切れないことがあります。2026年10月31日に離職し、病気で2027年5月19日まで働けず、5月20日に求職の申込みをした例(所定給付日数90日・給付制限1か月)では、延長しなくても90日分を受け終わる理論上の日は2027年9月24日で、受給期間の最後の日まで37日の余裕です(計算。支給の対象となる日を毎日認定されたと仮定した日で、実際の認定日・振込日とは違います)。延長していれば受給期間は2028年5月18日までなので、余裕は237日になります。病気が離職の理由で特定理由離職者に当たれば給付制限がないので、理論上の終わる日は2027年8月24日です。3-3の育児の例のように働けない期間が1年を超えると、延長しなければ受給期間が先に終わり、受けられません。所定給付日数が多い人ほど、受け切るのに長い期間が要ります。
9-4. 延長している間に就職したら
再就職手当は、受給手続の後の待期7日が終わってからの就職、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上、1年を超えて勤めることが確実、離職前の事業主に再び雇われたのでないこと、などが条件です(厚生労働省のQ&A、再就職手当のリーフレット)。受給手続をしないまま延長している間に就職した場合は、受給資格の決定と待期がないので、この条件に当たらないと考えられます(条件からの当てはめで、延長中の就職を直接書いた公式資料は見つかりませんでした)。延長を解除して受給手続をした後でも、受給資格の決定(求職の申込み)の前から採用が内定していた会社に入った場合は対象外です(リーフレット)。
10. 数字で見る延長給付
| 区分(初回受給者数) | 令和5年度 | 令和6年度 | 令和7年度(速報) |
|---|---|---|---|
| 基本手当(所定給付日数の分) | 1,171,773人 | 1,149,933人 | 1,291,029人 |
| 訓練延長給付 | 87,316人 | 83,689人 | 82,750人 |
| 個別延長給付 | 76人 | 804人 | 68人 |
| 地域延長給付 | 66人 | 48人 | 17人 |
| 広域延長給付 | 0人 | 0人 | 0人 |
| 傷病手当(雇用保険) | 7,243人 | 7,399人 | 7,668人 |
出典は厚生労働省「雇用保険事業年報」令和7年度(速報)です。個別延長給付は令和6年度に804人に増えていますが、理由は年報に書かれていません。全国延長給付の行は年報にありません。受給期間の延長を申請した人の数を示す公式の統計は見つかりませんでした。
11. 計算機:延長できるか・最後の日・申請の期限と書類・延びる制度・比較
離職日、年齢、所定給付日数、離職の区分、延長の理由と、それが離職の理由でもあるか、働けない期間(休養・事業の期間)、受給手続を済ませたかなどを入れると、次を出します。
- 延長できるかと、延長後の受給期間の最後の日(足せるのは最大3年・合計4年、定年は最大1年、育児は子が3歳になる誕生日の前々日まで)
- 申請できる時期と期限(定年・事業は2か月以内で、期限の日が休日なら翌開庁日)、必要書類
- 訓練延長給付・個別延長給付・地域延長給付・広域延長給付・全国延長給付に当たる可能性(当たるかはハローワークが決める)
- すぐ受けた場合・延長しないで後から受けた場合・延長した場合の、待期・給付制限・受け終わる理論上の日と、受給期間の中で受け切れるか(病気・介護が離職の理由でもあるときは、給付制限あり・なしの両方。定年等の離職は給付制限なしで計算)
受給期間を延長できるかと延長後の最後の日、申請の期限と必要書類、給付日数が延びる制度、延長したときとすぐ受けたときの比較
入れた数字は、このページの中で計算に使うだけで、どこにも送られません。初めから入っている数字は入力の例です。自分の数字に置き換えてください。結果は条文と公式の案内を当てはめた目安で、延長できるか・区分・日数を最後に決めるのは住所地のハローワークです。
1. 離職と失業保険
2. 延長の理由と期間
3. 給付日数が延びる制度の判定
初めから入っている例は、2026年10月31日に離職した35歳・所定給付日数90日・正当な理由のない自己都合の人が、2026年11月1日から2027年5月19日まで病気で働けない場合です。本来の受給期間は2027年10月31日まで、働けない日数は200日で、延長後の受給期間の最後の日は2028年5月18日です。申請は2026年12月1日ごろからでき、期限は2028年5月18日です。5月20日に求職の申込みをすると、待期が5月26日に終わり、入れた区分のまま(給付制限1か月)なら6月27日から支給の対象になり、90日分を受け終わる理論上の日は2027年9月24日です。延長しなければ受給期間の最後の日まで37日の余裕、延長すれば237日の余裕です。病気が離職の理由でもあるので、特定理由離職者に当たる可能性があり、当たれば給付制限がなく、5月27日から支給の対象で、理論上の終わる日は2027年8月24日です(区分を決めるのはハローワーク)。どちらも、支給の対象となる日を毎日認定されたと仮定した日で、実際の認定日・振込日とは違います。訓練延長給付・個別延長給付・地域延長給付は、入れた条件では対象外の見込みです。
12. よくある質問
失業保険の延長申請はいつまでですか?
病気・妊娠・介護などの延長は、働けない状態が30日を過ぎてから早めに申請するのが原則で、期限は延長後の受給期間の最後の日までです(2017年4月1日から。雇用保険法施行規則31条3項)。ただし遅いと全部の日数を受けられないことがあります。定年の延長は離職日の翌日から2か月以内、事業を始めた人の特例は事業を始めた日の翌日から2か月以内です(4章・5章・6章)。
延長の申請を過ぎたらどうなりますか?
延長後の受給期間の最後の日を過ぎると、延長は申請できません。本来の受給期間の1年を過ぎていても、延長後の最後の日の前なら申請できます。受給期間を過ぎると、日数が残っていても受けられません(4-2)。
延長の必要書類は何ですか?
受給期間延長等申請書、離職票-2(受給手続の後なら受給資格者証)、延長の理由を証明する書類(病気なら医師の証明書、妊娠・出産・育児なら母子健康手帳、介護なら介護状況証明書と住民票か戸籍謄本など)です。様式はハローワークで違うことがあります(4-3)。
延長すると給付日数は増えますか?
増えません。受給期間の延長は受け取る時期を後ろにずらす手続きで、兵庫労働局も「給付日数を増やす手続きではありません」と書いています。給付日数が延びるのは、訓練延長給付や個別延長給付などの延長給付に当たる場合です(3-4・8章)。
延長の手続きは郵送や代理人でもできますか?
病気・妊娠・介護などの延長は、本人の来所のほか、郵送や代理人(委任状)でもできます(厚生労働省のQ&A Q16)。大阪労働局は代理人を病気・けがや妊娠・出産などの場合に限るとしています。定年の延長は原則として本人の来所とするハローワークがあります(4-4・5章)。
職業訓練を受けると失業保険は延長されますか?
ハローワークの受講指示で公共職業訓練などを受ければ、訓練延長給付で訓練が終わるまで基本手当が延びます。受講推薦での受講は対象外です(北海道労働局)。受講指示を受けられるかはハローワークが決めます(8-2)。
個別延長給付の対象は誰ですか?
会社都合(特定受給資格者)と雇止めの特定理由離職者で、難治性疾患・発達障害・障害がある人や、災害の被害で離職した人のうち、ハローワークの所長が職業指導が必要と認めた人です。延びるのは原則60日です。正当な理由のある自己都合で辞めた人は対象外です(8-3)。
妊娠・出産で辞めた場合はどう延長しますか?
離職の翌日から働けない状態が30日を過ぎたら、母子健康手帳などを付けて延長を申請します。育児で延長できるのは子が3歳になる誕生日の前々日まで(兵庫労働局)で、受給期間は最長4年です。離職の翌日から引き続き働けずに延長し、延長が90日以上なら、特定理由離職者として給付制限がかからない扱いです(業務取扱要領。区分を決めるのはハローワーク。3-3・9-2)。
定年退職後すぐに失業保険を受けないといけませんか?
60歳以上の定年などで離職し、しばらく休みたい人は、離職日の翌日から2か月以内に申請すれば、受給期間を1年まで延ばせます。途中で求職を始めることもできます(5章)。
延長している間に就職したら再就職手当はもらえますか?
再就職手当は、受給手続の後の待期が終わってからの就職、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上、1年を超えて勤めることが確実、離職前の事業主に再び雇われたのでないこと、などが条件です。受給手続をしないまま延長している間に就職した場合は、待期の条件に当たらないと考えられます(延長中の就職を直接書いた公式資料は見つかりませんでした。9-4)。
13. まとめ
- 失業保険(基本手当)の受給期間は離職日の翌日から1年。過ぎると日数が残っていても受けられない
- 「失業保険の延長」には、受給期間の延長(受け取る時期を延ばす)と、延長給付(給付日数が延びる)の2種類があり、法律上は別の制度
- 受給期間の延長は、受給期間の中で病気・けが、妊娠・出産・育児(3歳未満)、介護などで引き続き30日以上働けないときに、働けない日数を足す。足せるのは最大3年、合計で最長4年。給付日数は増えない
- 申請は30日を過ぎてから早めに。期限は延長後の受給期間の最後の日まで(2017年4月1日から)だが、遅いと全部の日数を受けられないことがある
- 書類は受給期間延長等申請書、離職票-2か受給資格者証、理由を証明する書類。住所地のハローワークへ本人・郵送・代理人で
- 定年の延長(最大1年)と事業を始めた人の特例は、どちらも2か月以内に申請
- 給付日数が延びるのは、訓練延長給付(受講指示の職業訓練)、個別延長給付(会社都合・雇止めで心身の状況や災害に当たる人)、地域延長給付(2027年3月31日までの離職の暫定措置)、広域延長給付・全国延長給付(国の指定)。当たるかはハローワークが決める
14. 出典
- 雇用保険法(e-Gov法令検索)第15条・第20条・第20条の2・第21条・第22条・第23条・第24条・第24条の2・第25条・第27条・第28条・第33条・第37条・附則第4条・附則第5条https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116
- 雇用保険法施行規則(e-Gov法令検索)第30条・第31条・第31条の2〜第31条の6・第38条の3・第38条の4https://laws.e-gov.go.jp/law/350M50002000003
- 雇用保険法施行令(e-Gov法令検索)第6条・第7条https://laws.e-gov.go.jp/law/350CO0000000025
- 行政機関の休日に関する法律(e-Gov法令検索)第2条https://laws.e-gov.go.jp/law/363AC0000000091
- 厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」Q11〜Q20・Q28https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html
- ハローワークインターネットサービス よくあるご質問(雇用保険の給付)https://www.hellowork.mhlw.go.jp/help/question05.html
- 東京労働局「求職者給付に関するQ&A」Q6https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/kakushu_jouhou/koyouhoken/koyouhoken/QA/kyuusyokusyakyuufu_QA.html
- 兵庫労働局(ハローワーク尼崎)「受給期間の延長申請について」https://jsite.mhlw.go.jp/hyogo-roudoukyoku/roudoukyoku/_105009/_111627_00165.html
- 大阪労働局「受給期間の延長」https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/koyou_hoken/hourei_seido/situgyo/minasama/entyo.html
- 北海道労働局(ハローワーク札幌)「受給期間を延長することができる場合は」https://jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-hellowork/list/sapporo/kyusyokusya/hokenzyukyu/ippan/3-1.html
- 北海道労働局 ハローワークの職業訓練の案内(受講指示・受講推薦・支援指示)https://jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-hellowork/content/contents/001265371.pdf
- 神奈川労働局 ハローワーク港北の案内(不妊治療による受給期間の延長)https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-hellowork/content/contents/002162426.pdf
- 神奈川労働局 ハローワーク港北の案内(定年等による受給期間の延長)https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-hellowork/content/contents/002170177.pdf
- 茨城労働局のリーフレット(新型コロナウイルス感染症を理由とする受給期間の延長)https://jsite.mhlw.go.jp/ibaraki-roudoukyoku/content/contents/001528027.pdf
- 厚生労働省リーフレット「申請期限の変更について」(受給期間延長。平成29年4月1日から)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000163256.pdf
- 厚生労働省リーフレット(事業を開始した方などの受給期間の特例)https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000952085.pdf
- e-Gov電子申請「受給期間・教育訓練給付適用対象期間・高年齢雇用継続給付延長申請」https://shinsei.e-gov.go.jp/recept/procedure/lists/procedureInformation?gtaTetCd=4950008680053
- 厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」第4(特定理由離職者 50305-2)https://www.mhlw.go.jp/content/001689748.pdf
- 厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」(訓練延長給付 52352・個別延長給付 52371〜)https://www.mhlw.go.jp/content/001689753.pdf
- 厚生労働省(秋田労働局)リーフレット 地域延長給付(平成29年4月)https://jsite.mhlw.go.jp/akita-roudoukyoku/var/rev0/0112/8898/201751172910.pdf
- ハローワーク 再就職手当のリーフレットhttps://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/saishuushokuteate.pdf
- 日本年金機構「年金と雇用保険の失業給付との調整」https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/koyou-chosei/20140421-03.html
- 厚生労働省「雇用保険事業年報」令和7年度(速報)https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken02/pdf/25.pdf
15. あわせて読む
- 定年後の再雇用の給料はいくら?手取り・ボーナス・退職金、下がるのは違法か(同一労働同一賃金の判例)、在職老齢年金と同日得喪(計算機つき)(定年後の再雇用の給料・手取り・年金)
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