定年後の再雇用の給料はいくら?手取り・ボーナス・退職金、下がるのは違法か(同一労働同一賃金の判例)、在職老齢年金と同日得喪(計算機つき)

定年後の再雇用:高年齢雇用継続給付は最大10%、在職老齢年金は65万円を超えた分の半分、給料・手取りと年金を計算 生き方・キャリア

「定年後 再雇用」「再雇用 給料」「嘱託 給料」「再雇用 ボーナス」「再雇用 退職金」「在職老齢年金」「同日得喪」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。

定年を65歳未満にしている会社は、65歳までの雇用確保措置(定年の引上げ・継続雇用制度・定年の廃止のどれか)が義務で、継続雇用制度は希望者全員が対象です(対象者を労使協定の基準で絞れた経過措置は2025年3月31日で終わりました)。ただし法律が求めているのは雇用の場で、再雇用後の賃金や労働時間は会社と本人の話し合いで決まり、会社が合理的な裁量の範囲の条件を示して本人が断っても、高年齢者雇用安定法の違反にはならないと厚生労働省は説明しています。給料の水準は、令和7年賃金構造基本統計調査(一般労働者・6月分の所定内給与)で、55〜59歳の正社員・正職員が月42.4万円、60〜64歳の正社員・正職員以外が月28.0万円でした(同じ人を追った数字ではありません)。給料が下がること自体は違法ではありませんが、正社員との待遇の差は、パートタイム・有期雇用労働法8条で待遇ごとに不合理であってはならず、同一労働同一賃金ガイドラインも2026年10月1日から待遇ごとに性質と目的で見る形に改正されています。最高裁は、長澤運輸事件で精勤手当を払わないことなどを不合理とし、名古屋自動車学校事件では「基本給が定年時の60%を下回る部分は不合理」とした高裁の判断を破棄して差し戻しました(60%という基準は示していません)。手取りでは、60歳以上で退職後すぐに再雇用されたときに、事業主が資格喪失届と資格取得届を同時に出して再雇用した月から新しい標準報酬月額にする「同日得喪」の取扱いがあり、住民税は前の年の所得で決まります。60〜64歳で賃金が60歳到達時の75%未満になると高年齢雇用継続給付(令和7年4月1日以降に60歳になった人などは最大10%、非課税)が出て、65歳以上は老齢厚生年金の月額と総報酬月額相当額の合計が65万円(令和8年度)を超えた分の半分が止まります(在職老齢年金)。手取り・年金・待遇差の争点・再雇用/退職/転職の比較を出す計算機を9章に置きました。

知りたいこと 答え 章
定年後の再雇用は義務か 65歳までは希望者全員(継続雇用制度の場合)。2025年3月31日で経過措置は終了。70歳までは努力義務 2章
給料は誰が決めるか 会社と本人の話し合い。会社が合理的な裁量の範囲の条件を示して本人が断っても法違反ではない(厚生労働省Q&A) 2章
再雇用の給料はいくら 60〜64歳の正社員・正職員以外は月28.0万円、正社員・正職員は36.6万円(所定内給与。55〜59歳の正社員は42.4万円) 3章
給料が下がるのは違法か 下がること自体は違法ではない。正社員との差は待遇ごとに不合理であってはならない(パート有期法8条)。判例は項目ごとに判断 4章
ボーナス・退職金 出すことを義務づけた法律はない。長澤運輸事件では賞与を出さないことは不合理でないとされた。退職金は定年時に払う規程の例がある 5章
手取り 同日得喪で再雇用した月から保険料が下がる取扱い。住民税は前の年の所得で決まる 6章
高年齢雇用継続給付 60〜64歳で賃金が75%未満に下がると、最大で賃金の10%(令和7年4月1日以降に60歳になった人など)。非課税 6章
在職老齢年金 年金の月額と総報酬月額相当額の合計が65万円(令和8年度)を超えた分の半分が止まる。老齢基礎年金は止まらない 7章
辞める・他社に移る 定年で辞めて求職すると基本手当(60〜64歳の日額上限7,830円、90〜150日)。求職しなければ出ない。他社なら再就職手当か高年齢再就職給付金のどちらか 8章
自分の場合 手取り、年金の停止、待遇差の争点、再雇用・退職・転職の比較を計算 9章

1. 先に、この記事の数字について

この記事の決まりは、高年齢者雇用安定法・パートタイム・有期雇用労働法・労働契約法・労働基準法・雇用保険法・健康保険法・厚生年金保険法・所得税法などの条文(e-Gov法令検索、2026年10月24日時点の現行版)と、厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク・日本年金機構・協会けんぽ・国税庁・総務省の公式の資料から取りました。判例は、裁判所の裁判例のページにある最高裁判決の全文で確かめたものだけを書いています。統計は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)・高年齢者雇用状況等報告(令和7年)・雇用動向調査(令和7年)・就労条件総合調査(令和5年)と、労働政策研究・研修機構の企業調査(2019年調査)です。調査ごとに対象と「賃金」の範囲が違うので、別の調査の数字を足したり割ったりはしていません。出典の数字から自分で計算した値には(計算)、条文や公式の説明を組み合わせて読んだところには(当てはめ)と書きました。金額の基準は2026年10月時点のもので、年度ごとに変わるものには適用の期間を書いています。

2. 定年後の再雇用の仕組み:会社の義務と、給料の決まり方

2-1. 65歳までは希望者全員(高年齢者雇用安定法9条)

定年は60歳を下回ることができません(高年齢者雇用安定法8条)。定年を65歳未満にしている会社は、65歳までの安定した雇用を確保するため、「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」「定年の定めの廃止」のどれかを講じなければなりません(9条1項)。継続雇用制度は「現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度」で、定年後にいったん退職して有期契約で雇い直す「再雇用」はこの形です。グループ会社(特殊関係事業主)で引き続き雇う制度も含まれます(9条2項)。

以前は、継続雇用の対象者を労使協定の基準で絞れる経過措置がありましたが、「2025年3月31日をもって終了」しました(厚生労働省・都道府県労働局のリーフレット)。2025年4月以降、継続雇用制度は原則として希望者全員が対象です。

令和7年「高年齢者雇用状況等報告」(常時雇用する労働者21人以上の企業237,739社、2025年6月1日時点)では、65歳までの雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%で、その内訳は継続雇用制度の導入65.1%、定年の引上げ31.0%、定年制の廃止3.9%でした。定年を60歳とする企業は62.2%です。これは企業の割合で、人の割合ではありません。

2-2. 給料と働く時間は、話し合いで決まる

厚生労働省の「高年齢者雇用安定法Q&A」は、継続雇用後の労働条件について、「フルタイム、パートタイムなどの労働時間、賃金、待遇などに関して、事業主と労働者の間で十分に話し合い決めることが重要です」としています(Q1-4)。賃金と労働時間の条件が合わずに本人が継続雇用を断った場合も、法律は「事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではなく」、会社が「合理的な裁量の範囲での条件を提示した場合には」、結果的に本人が継続雇用されることを拒否しても法違反ではないとしています(Q1-7)。どこからが「合理的な裁量の範囲」を超えるかを示した公式の基準は見つかりませんでした。

厚生労働省の「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針」は、継続雇用後の賃金を「継続雇用されている高年齢者の就業の実態、生活の安定等を考慮し、適切なものとなるよう努めること」としています。努力の規定で、金額や割合は決めていません。

一方で、定年後に有期契約で継続雇用された人にもパートタイム・有期雇用労働法が適用されます(Q1-4)。給料が下がること自体は禁止されていませんが、正社員との待遇の差が不合理なら違法になりうる、という2本立てです(4章)。

2-3. 1年ごとの契約更新と、継続雇用されない場合

1年ごとに契約を更新する形について、厚生労働省は「(1) 65歳を下回る上限年齢が設定されていないこと」「(2) 65歳までは、原則として契約が更新されること」が必要としています(Q1-4)。更新しないことが認められるのは、心身の故障で業務に堪えられない、勤務状況が著しく不良など、就業規則の解雇事由・退職事由(年齢に係るものを除く)に当たる場合で、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が求められます(Q1-1・Q1-4)。

厚生労働省は、高年齢者雇用安定法9条は個別の労働者の65歳までの雇用義務を課すものではなく、私法上の効力を発生させるものではないと考えられる、としています(Q1-3)。継続雇用されなかったり更新されなかったりした場合に争うときは、就業規則の解雇事由・退職事由や、有期契約の雇止めの決まり(労働契約法19条)が論点になります(当てはめ)。定年退職日の翌日から雇う制度になっていないことだけで直ちに違反とまではいえないが、空白はできるだけ短いことが望ましい、ともしています(Q1-5)。

2-4. 70歳までは努力義務

65歳以上70歳未満の定年の会社と、70歳未満までの継続雇用制度の会社は、70歳までの就業確保措置(定年の引上げ、65歳以上継続雇用制度、定年の廃止、業務委託契約などの創業支援等措置)を講じるよう「努めなければならない」とされています(10条の2)。義務ではなく努力義務です。令和7年の報告では、70歳までの就業確保措置を実施済みの企業は34.8%でした。

2-5. 定年後の有期契約と無期転換の特例

同じ会社で有期契約の通算期間が5年を超えると、本人の申込みで無期契約になります(労働契約法18条)。ただし、会社が「第二種計画」の認定を都道府県労働局長から受けている場合は、定年後に引き続いて雇用されている期間は通算契約期間に入れません(有期雇用特別措置法8条2項)。認定を受けた会社は、契約の締結・更新のときに特例が適用されていることを明示する必要があります(厚生労働省のリーフレット)。グループ外の別の会社で雇われる場合は特例の対象外です。認定がない会社の定年後の有期契約は通常どおり数えると読めますが、そう書いた公式の文は確かめられませんでした(当てはめ)。

3. 再雇用の給料はいくらか(統計)

3-1. 60〜64歳の正社員以外は月28.0万円(令和7年賃金構造基本統計調査)

令和7年賃金構造基本統計調査の第6-1表「雇用形態、性、年齢階級別賃金」から、55〜69歳の行を抜き出しました。一般労働者(短時間労働者を除く)の令和7年6月分の所定内給与(残業代と賞与を含まない、税込)で、単位は千円です。

年齢 正社員・正職員(男女計) 正社員・正職員以外(男女計) 正社員以外(男) 正社員以外(女) 正社員(男) 正社員(女)
55〜59歳 424.2 232.5 262.0 217.6 460.7 339.1
60〜64歳 366.2 279.9 310.9 227.6 390.5 310.3
65〜69歳 327.7 249.4 269.1 210.1 341.7 287.5

55〜59歳の正社員・正職員(男女計)を100とすると、60〜64歳の正社員・正職員以外は66.0、65〜69歳の正社員・正職員以外は58.8です(計算)。男性だけでは67.5と58.4でした(計算)。

この数字を読むときの注意です。

  • 違う人どうしの断面です。同じ人が60歳でどれだけ下がったかを追った数字ではありません。
  • 「正社員・正職員以外」は、定年後の再雇用者だけでなく、契約社員・嘱託などすべてを含みます。
  • 短時間で再雇用された人は一般労働者に入らないので、この表には入りません。
  • この表には70歳以上の行がありません。

3-2. 定年前と同じ仕事が多い(労働政策研究・研修機構の企業調査)

労働政策研究・研修機構の「高年齢者の雇用に関する調査(企業調査)」(2019年5〜6月調査、従業員50人以上の企業、有効回答5,891社)では、定年前後の仕事の変化について、「定年前とまったく同じ仕事」が44.2%、「同じ仕事であるが、責任の重さが軽くなる」が38.4%でした。この2つを合わせると82.6%、「同じ仕事であるが、責任の重さが重くなる」0.4%も含めると83.0%です(計算)。同じ調査の60代前半のフルタイムの継続雇用者の平均的な年収は、企業が答えた値の平均で374.7万円ですが、この年収には「給与に加えて企業年金と公的給付が含まれている」と注記されています。会社の給料だけの額ではなく、3-1の賃金構造基本統計調査(6月分の所定内給与)とは直接比べられません。同じ調査の、61歳時点の年間賃金を60歳直前と比べた指数は定年は何歳かの記事にまとめています。

3-3. 参考:国家公務員は「7割」

国家公務員は定年が段階的に65歳まで引き上げられていて、当分の間、61歳に達する年度以後の俸給月額(基本給)は「俸給月額の7割水準」になります(人事院・内閣官房内閣人事局)。民間企業の基準ではなく、手当や期末・勤勉手当がどうなるかはこの資料からは分かりません。役職を外れる年齢と給料の下がり方は役職定年の記事に書いています。

4. 給料の下がり方は違法か:同一労働同一賃金

4-1. パートタイム・有期雇用労働法8条

会社は、有期雇用の労働者の「基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて」、正社員(通常の労働者)の待遇との間で、職務の内容(業務の内容と責任の程度)、職務の内容と配置の変更の範囲、その他の事情のうち、その待遇の性質と目的に照らして適切と認められるものを考慮して、「不合理と認められる相違を設けてはならない」とされています(8条)。比べるのは同じ会社の正社員で、総額ではなく待遇ごとです。

職務の内容と、雇用関係が終わるまでの全期間の配置の変更の範囲が正社員と同じと見込まれる人には、差別的取扱いの禁止(9条)もあります。定年後の再雇用は契約期間が限られるので、争いは主に8条になると読めますが、公式の文で確かめたものではありません(当てはめ)。

4-2. 同一労働同一賃金ガイドライン(2026年10月1日から改正版)

同一労働同一賃金ガイドライン(平成30年厚生労働省告示第430号)は、令和8年4月28日に改正され、2026年10月1日から適用されています。定年後に継続雇用された有期雇用労働者について、改正後のガイドラインは次のように書いています。

  • 「定年に達した後に継続雇用された有期雇用労働者についても、」「短時間・有期雇用労働法の適用を受けるものである。」
  • 職務の内容、配置の変更の範囲その他の事情に違いがある場合は、「その相違に応じた待遇の相違は許容される。」
  • 定年後に継続雇用された者であることは、8条の「その他の事情」として考慮される事情に当たりうる。
  • 「当該有期雇用労働者が定年に達した後に継続雇用された者であることのみをもって、」「直ちに通常の労働者と当該有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理ではないと認められるものではない。」

改正前は「賃金の相違」と書かれていたところが「待遇の相違」になり、待遇ごとに性質と目的に照らして判断することが加わりました(改正案の資料との比較。最終版の新旧対照表は確かめていません)。厚生労働省の高年齢者雇用安定法Q&A(令和7年3月改訂)は改正前の言い方のままです。

4-3. 長澤運輸事件(最高裁 平成30年6月1日)

定年後に有期契約で再雇用されたトラック運転手が、正社員との賃金の差を争った事件です。職務の内容と配置の変更の範囲は正社員と違いがなく、嘱託乗務員の年収は定年前の79%程度になると想定されていました。最高裁は、定年退職後に再雇用された者であることは「その他の事情」として考慮される事情に当たるとし、「賃金の総額を比較することのみによるのではなく,当該賃金項目の趣旨を個別に考慮すべき」として、項目ごとに次のように判断しました(当時の労働契約法20条。今のパートタイム・有期雇用労働法8条にあたる規定)。

賃金項目 判断 主な理由(要旨)
能率給・職務給(嘱託は歩合給) 不合理でない 基本賃金と歩合給の合計と、正社員の基本給・能率給・職務給の合計との差は約2〜12%にとどまり、団体交渉で基本賃金が増額されていた
精勤手当 不合理 休日以外は1日も欠かさずに出勤することを奨励する趣旨で、職務の内容が同じなら皆勤を奨励する必要性に違いはない
住宅手当・家族手当 不合理でない 生活費を補助する趣旨。正社員には幅広い世代がいる一方、嘱託乗務員は老齢厚生年金などを受ける
役付手当 不合理でない 役付者であることへの手当
時間外手当(超勤手当) 不合理 正社員の超勤手当の計算の基礎には精勤手当が入るのに、嘱託の時間外手当には入らない(額は東京高裁に差し戻し)
賞与 不合理でない 定年時に退職金を受け、老齢厚生年金と、報酬比例部分の支給開始までの調整給も予定されていて、年収にも配慮されていた

最高裁は「79%なら適法」と言ったわけではありません。判断は項目ごとで、精勤手当は会社に支払いが命じられ、時間外手当は損害額の審理のため差し戻されました。

4-4. 名古屋自動車学校事件(最高裁 令和5年7月20日)

定年後に嘱託職員として再雇用された教習指導員の事件です。判決によると、基本給は定年退職時に月額18万1,640円と16万7,250円だった2人が、再雇用後の1年間は8万1,738円と8万1,700円、その後は7万4,677円と7万2,700円でした(定年時の45.0%・48.8%から41.1%・43.5%。計算)。原審の名古屋高裁は、主任の役職を退いたこと以外は職務の内容と配置の変更の範囲に違いがなかったとして、「基本給が被上告人らの定年退職時の基本給の額の60%を下回る部分」などを不合理としました。

最高裁は、基本給や賞与の相違も不合理に当たる場合はありうるとしたうえで、原審は正職員の基本給の性質や支給の目的を十分に踏まえず、労使交渉の具体的な経緯も適切に考慮しないまま不合理としたとして、基本給と賞与に係る部分を破棄し、名古屋高裁に差し戻しました。正職員の基本給は勤続給としての性質だけでなく職能給としての性質もあるとみる余地があり、嘱託職員の基本給は正職員の基本給と異なる性質や目的を持つとみるべきとしています。最高裁は「60%を下回ると違法」とも「60%なら適法」とも言っていません。差し戻した後の判決は、裁判所のページでは確かめられませんでした。

4-5. 待遇の差の説明を求める

会社は、有期雇用の労働者から求めがあったときは、正社員との「待遇の相違の内容及び理由」などを説明しなければならず、説明を求めたことを理由に解雇その他の不利益な取扱いをしてはいけません(パートタイム・有期雇用労働法14条2項・3項)。2026年10月1日からは、雇い入れのときの労働条件の明示に、待遇の相違の内容・理由などの説明を求めることができることを加えることになりました(山形労働局の資料。違反は10万円以下の過料)。再雇用の契約がこの明示の対象になることを名指しした公式の文は確かめていませんが、有期契約の雇い入れなので対象と読めます(当てはめ)。

4-6. 相談先

待遇や契約更新のことで会社と話が合わないときは、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。不当な解雇や雇止めのことは解雇・雇い止めの記事にまとめています。

5. ボーナス・退職金・有給

5-1. 賞与:出すことを義務づけた法律はない

再雇用後の賞与を出すことを義務づけた法律の規定は見つかりませんでした。労働基準法89条は、臨時の賃金(賞与など)の定めをする場合はそれを就業規則に書く、という形です。賞与を正社員に出していて再雇用者に出さない、または少ない場合は、4章の8条の問題になります。長澤運輸事件では、定年時の退職金や老齢厚生年金・調整給などを理由に、賞与を出さないことは不合理でないとされました。名古屋自動車学校事件では、嘱託職員一時金は正職員の賞与に代わるものと位置づけられていたとして、性質と目的を検討するよう差し戻されました。改正後のガイドラインは、賞与に「労務の対価の後払い、功労報償、生活費の補助、労働者の労働意欲の向上」など様々な性質と目的が含まれうるとしています。賞与の平均はボーナスの平均の記事にあります。

5-2. 退職金:定年のときに払う規程の例

退職金も、制度を設けることを義務づけた法律はありません(労働基準法89条は、定めをする場合に就業規則に書く事項としています)。厚生労働省のモデル就業規則(旧版の第8章)は、「継続雇用制度の対象者については、定年時に退職金を支給することとし、」「その後の再雇用については退職金を支給しない。」という規定例を載せています。最新版(令和7年12月版)の本文がこの規定のままかは確かめられませんでした。実際の扱いは会社の退職金規程で決まります。令和5年就労条件総合調査では、定年退職者1人平均の退職給付額は大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で1,896万円でした(勤続20年以上かつ45歳以上の退職者)。

税金では、定年に達した後も引き続き勤める人に、定年前の勤続期間の分として払われる退職金は退職所得になります(国税庁 No.2725)。再雇用期間の分の退職金を後で受け取る場合、同じ会社から前に退職金を受け取っていれば、前の退職金の計算の基礎になった期間は、後の退職金の勤続年数に入れずに計算するのが原則です(所得税法施行令69条1項1号ハ)。再雇用期間が5年以下なら、後の退職金は「短期退職手当等」として計算の仕方が変わります(所得税法30条)。前の年以前4年内に退職金を受けている場合の調整(施行令70条)もあり、細かい扱いは会社と税務署に確かめるところです。退職金の平均と手取りは退職金の平均の記事にあります。

5-3. 有給:定年前からの勤続年数で数える

定年後に引き続き再雇用された場合の有給の日数は、「実質的には労働関係が継続していると認められることから、再雇用前からの通算した継続勤務年数により決定されます」(厚生労働省の「スタートアップ労働条件」、昭和63年3月14日基発第150号)。退職と再雇用の間に相当の期間があって労働関係が続いていないと認められる場合は別です(静岡労働局)。再雇用後に週の所定労働日数が4日以下になると比例付与になりますが、週の所定労働時間が30時間以上なら比例付与の対象外です(労働基準法39条3項・施行規則24条の3。当てはめ)。日数の計算は有給の記事にまとめています。

6. 手取り:社会保険・税・高年齢雇用継続給付

6-1. 同日得喪:再雇用した月から保険料を下げる取扱い

日本年金機構は、「60歳以上の方を退職後継続し再雇用する際には、使用関係が一旦中断したものとみなし、事業主から被保険者資格喪失届および被保険者資格取得届を提出していただく取り扱いが可能です」としています。届出をすると、再雇用された月から再雇用後の給与に応じた標準報酬月額になります。2013年4月から、年金を受け取る権利のある人に限らず60歳以上の人が対象で、パートやアルバイトで厚生年金などに入っている人も対象です(日本年金機構のよくある質問)。「継続」は1日も空くことなく同じ会社に再雇用されることです。添付書類は、就業規則や退職辞令の写し(退職日が分かるもの)と雇用契約書の写し(継続して再雇用されたことが分かるもの)の両方か、「退職日」と「再雇用された日」を書いた事業主の証明書です。

届出をするのは事業主です。この取扱いをしない場合は、随時改定で標準報酬月額が変わります。随時改定は、昇給・降給などで固定的賃金が変わり、変わった月から3か月の報酬の平均で出した等級が従前と2等級以上違い、3か月とも報酬の支払基礎日数が17日以上(特定適用事業所の短時間労働者は11日以上)であることが要件で、満たすと4か月目から改定されます(日本年金機構)。要件を満たす場合、それまでの3か月は定年前の標準報酬月額で保険料が引かれる形になります(当てはめ)。

6-2. 保険料率(令和8年度)

保険料 料率(本人は原則この半分) 適用
健康保険(協会けんぽ) 東京都9.85%、大阪府10.13%、愛知県9.93%。いちばん高い佐賀県10.55%、いちばん低い新潟県9.21% 令和8年3月分から
介護保険(40〜64歳) 1.62% 65歳以上は市区町村に払う
子ども・子育て支援金 0.23% 令和8年4月分から
厚生年金 18.3%(標準報酬月額の上限65万円) 70歳になるまで加入
雇用保険(一般の事業の労働者負担) 5/1,000 令和8年4月1日〜令和9年3月31日

64歳以上の雇用保険料の免除は令和2年3月31日で終わっていて、60歳以上も雇用保険料を払います(三重労働局)。健康保険組合に入っている会社は、料率が組合ごとに違います。

6-3. 所得税と住民税:住民税は前の年の所得で決まる

毎月の所得税は、給与から社会保険料を引いた額をもとに源泉徴収税額表で決まります。令和8年分の月額の計算(電算機計算の特例)は、令和7年度の税制改正の控除額を月割りした形で、令和8年度の改正(給与所得控除の最低74万円・基礎控除104万円など)は令和8年12月1日に施行され、年末調整で精算されます(国税庁。当てはめを含む)。

住民税の所得割は、前の年の1月1日から12月31日までの所得で計算され、税率は10%です(総務省)。会社員は6月から翌年5月までの12回に分けて給与から引かれます。たとえば2026年に定年・再雇用になった人の、2026年6月から2027年5月の住民税は2025年の所得(定年前)で決まり、2027年6月からは2026年の所得(定年前と再雇用後の合計)で決まります(当てはめ)。再雇用で給料が下がった最初の1年は、住民税の割合が大きく感じやすいところです。退職したときの住民税の払い方は退職後の住民税の記事にまとめています。

6-4. 高年齢雇用継続給付:下がった賃金の一部を雇用保険が補う

雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の人が、60歳到達時の賃金の75%未満に下がった状態で働き続けると、高年齢雇用継続基本給付金が出ます(ハローワーク)。60歳到達時の賃金月額は、原則として60歳になる前6か月の賃金(賞与を除く)を180で割った額の30日分で、上限522,000円・下限96,090円です(令和9年7月31日までの額)。

その月の賃金が60歳到達時の賃金月額の 支給額(令和7年4月1日以降に60歳になった人)
64%以下 その月の賃金の10%
64%超75%未満 -64/110×その月の賃金+48/110×賃金月額(10%から0%に向かって下がる)
75%以上 出ない

本人の非行による懲戒や、病気・けがによる欠勤、事業所の休業、妊娠・出産・育児・介護などによる欠勤などで賃金が減った月は、減った分も支払われたものとみなした「みなし賃金」で低下率を判断し、実際に支払われた賃金に支給率を掛けます(ハローワーク)。ハローワークの早見表では、低下率70.00%で支給率4.16%、65.00%で8.95%、66.50%で7.44%です。低下率と支給率は小数点以下第3位を四捨五入し、支給額は1円未満を切り捨てます。その月の賃金が397,369円以上なら出ず、算定した額が2,562円以下でも出ません(令和9年7月31日までの額)。たとえば賃金月額30万円の人の賃金が18万円になった月は、低下率60%なので18,000円です。60歳に達した日(その日の時点で被保険者であった期間が5年以上ない人は、5年以上となった日)が令和7年3月31日以前の人は、61%以下で15%の従来の率です(ハローワーク)。

支給期間は60歳に達した月から65歳に達する月までで、各月の初日から末日まで被保険者であることが必要です。申請は原則として2か月に1度で、事業主を経由して手続きをするようハローワークの資料は求めています。この給付は所得税などの課税の対象になりません(厚生労働省Q&A)。制度の基本は定年は何歳かの記事にも書いています。

6-5. 短時間で再雇用される場合の社会保険

週の所定労働時間と月の所定労働日数が正社員の4分の3以上なら、会社の規模や収入に関係なく健康保険・厚生年金に入ります。4分の3未満でも、週20時間以上、2か月を超えて雇う見込み、学生でない、厚生年金の被保険者51人以上の企業等で働く、を満たせば加入します。月8.8万円の賃金要件は2026年10月1日に撤廃されました(日本年金機構)。社会保険に入るかどうかで手取りがどう変わるかは社会保険の加入条件の記事で計算できます。

7. 年金:在職老齢年金と、60〜64歳の年金

7-1. 在職老齢年金:65万円を超えた分の半分が止まる

厚生年金に入って働きながら老齢厚生年金を受けると、基本月額と総報酬月額相当額の合計が支給停止調整額を超えたときに、年金の一部が止まります。令和8年度の支給停止調整額は65万円で、令和8年3月以前の51万円から引き上げられました(日本年金機構)。毎年度、賃金の変動に応じて改定されるので、65歳になるのが先の人は、受け取る年度の基準で計算が変わります。

  • 基本月額:加給年金額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額
  • 総報酬月額相当額:その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12
  • 合計が65万円以下なら全額支給。超えると、受け取る月額は「基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-65万円)÷2」
  • 老齢基礎年金と経過的加算額は止まりません

たとえば年金の基本月額10万円で、総報酬月額相当額が50万円なら合計60万円で止まらず、60万円なら合計70万円で2.5万円止まります(計算)。

7-2. 70歳以上と、在職定時改定

厚生年金に入るのは70歳になるまでですが、70歳以降も厚生年金の適用事業所で働いていると、同じように在職による支給停止が行われます(日本年金機構)。65歳以上70歳未満で厚生年金に入って働いている人は、毎年9月1日を基準に、10月分から年金額が見直されます(在職定時改定)。退職して1か月を経過したときも、退職した翌月分から見直されます。

7-3. 60〜64歳の年金:特別支給の老齢厚生年金と、高年齢雇用継続給付との調整

65歳になる前に出る特別支給の老齢厚生年金は、男性は昭和36年4月1日以前、女性は昭和41年4月1日以前に生まれた人が対象です(厚生年金の加入1年以上などの条件があります。日本年金機構)。2026年に60歳になる男性(昭和41年生まれ)は対象外で、女性は昭和41年4月1日以前に生まれた人だけが対象です(当てはめ)。受け始める年齢は生年月日で違うので、ねんきん定期便などで確かめます。

特別支給の老齢厚生年金を受けながら厚生年金に入って働く人も、在職老齢年金の仕組みは65歳以上と同じです。さらに高年齢雇用継続給付を受けると、最高で標準報酬月額の4%が止まります(令和7年3月31日以前に60歳になった人は最大6%。日本年金機構)。標準報酬月額が60歳到達時の賃金月額の64%以上のときの率は、確かめられませんでした。

8. 再雇用を続ける・定年で辞める・他社に移る

8-1. 定年で辞めたときの失業保険

基本手当は、ハローワークで求職の申込みをして、就職したいという積極的な意思といつでも就職できる能力があり、積極的に求職活動をしているのに就職できない「失業の状態」であることが要件です(厚生労働省「離職されたみなさまへ」)。定年で辞めて働くつもりがない場合や、家事に専念する場合は受けられません。定年で辞めると、離職証明書は「定年による離職」の区分で、自己都合の区分とは別です。給付制限は「正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合」と重大な理由による解雇のときにかかる決まりなので(雇用保険法33条1項)、定年退職は待期7日の後に給付制限なしで受けられると読めます(当てはめ。そう1文で書いた現行の公式の文は確かめられませんでした)。本人が継続雇用を希望せずに定年で辞めた場合も、離職証明書は定年の区分で、継続雇用の希望の有無に○をつける形です。

60〜64歳の基本手当は、賃金日額(離職前6か月の賃金÷180)の45〜80%で、日額の上限は7,830円です(令和8年8月1日から)。所定給付日数は、定年や自己都合などの場合、雇用保険の加入期間(算定基礎期間)10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です。たとえば月給36万円で加入38年なら、日額5,448円×150日=817,200円です(計算)。

60歳以上の定年などで辞めた人は、離職日の翌日から2か月以内に申し出ると、就職を希望しない期間(1年が限度)だけ受給期間を延ばせます(ハローワーク)。延ばしても日額や日数は増えません。特別支給の老齢厚生年金を受ける人が基本手当の手続き(求職の申込み)をすると、その翌月から年金が全額止まります(日本年金機構)。基本手当の計算は失業保険の計算の記事、受給期間の延長は失業保険の延長の記事にまとめています。

8-2. 継続雇用されなかった・更新されなかったときの区分

厚生労働省の業務取扱要領(令和8年4月版)から読める区分です。判定するのはハローワークです。

場面 区分の目安
定年で辞めた(継続雇用を希望しなかった) 一般の離職者。給付制限なしと読める(当てはめ)
継続雇用を希望したが、就業規則の解雇事由・退職事由(年齢以外)に当たるとして継続されなかった 事情に応じて「解雇」(特定受給資格者)か、重大な理由による解雇に当てはめる
再雇用の上限(例:65歳)に達して辞めた 特定受給資格者に当たらない
1年契約が2回更新された後、本人が希望したのに3回目が更新されなかった(通算3年以上) 特定受給資格者
本人が更新を希望しなかった 上の基準に当たらない(期間満了)

定年退職に伴って賃金が下がり同じ会社に再雇用される場合は、賃金の低下による特定受給資格者には当たりません(業務取扱要領)。

8-3. 他社に移る:再就職手当と高年齢再就職給付金はどちらか一方

基本手当を受けている途中に、待期の後で安定した職業に就き、1年を超えて勤務することが確実で、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あるなどの要件を満たすと再就職手当が出ます(残日数の60%か70%。60〜64歳の計算に使う日額の上限は5,454円、令和9年7月31日までの額)。離職前の会社に再び雇われた場合は対象外なので、定年した会社への再雇用では出ません。

60歳以上で、算定基礎期間が5年以上あり、基本手当を受けたことがあって、支給残日数が100日以上ある人が、安定した職業に就くことにより被保険者となり、賃金が75%未満に下がると、高年齢再就職給付金が出ます(残日数200日以上で2年、100日以上200日未満で1年、65歳に達する月まで)。同じ就職について、再就職手当を受けると高年齢再就職給付金は出ず、その逆も同じです(雇用保険法61条の2第4項)。基本手当を受けずに1年以内に他社で雇用保険に入った場合は、前の期間を通算して高年齢雇用継続基本給付金の対象になりえます(当てはめ)。再就職手当の計算は再就職手当の記事にあります。

8-4. 60代で転職した人の賃金

令和7年雇用動向調査で、前の勤め先で雇われていて転職した人の賃金の変化は次のとおりでした(%)。

年齢 増加 変わらない 減少 うち1割以上の減少
全年齢 40.8 25.5 31.0 21.9
60〜64歳 21.1 24.2 54.3 47.6
65歳以上 22.2 33.4 42.3 34.2

比べた賃金が月給か年収かなどは調査に書かれていません。年齢別の転職の数字は転職の失敗の記事にもあります。

8-5. 65歳以降に辞めたら:高年齢求職者給付金

65歳以上で辞めると、基本手当ではなく一時金の高年齢求職者給付金になります。これも求職の申込みをして、失業の認定の日に失業の状態であることが要件です(認定の後に就職しても返す必要はありません)。被保険者であった期間が1年未満なら30日分、1年以上なら50日分で、日額の上限は7,450円です(令和8年8月1日から)。受給期限は離職日の翌日から1年で延長はできず、年金と同時に受けられます。法律では誕生日の前日に年をとるので、65歳の誕生日の前々日までに辞めると64歳の離職として基本手当になります(当てはめ)。くわしくは65歳以上の失業保険の記事にあります。

8-6. 辞めた後の健康保険

会社を辞めた後は、任意継続(資格を失う前日まで2か月以上加入、20日以内に申し出、最長2年。協会けんぽの令和8年度の標準報酬月額の上限は32万円)、国民健康保険、家族の健康保険の被扶養者のどれかです。60歳以上の人が家族の被扶養者になる収入の基準は年180万円未満の見込みで、失業給付や公的年金も収入に入ります(日本年金機構)。定年退職は、国民健康保険の非自発的失業者の軽減の対象外です(当てはめ)。比べ方は退職後の健康保険の記事にまとめています。

9. 計算機:手取り・在職老齢年金・待遇差・再雇用/退職/転職の比較

生年月日、60歳到達時の賃金月額、再雇用後の月給と賞与、健康保険の料率、同日得喪の有無(しない場合は定年前の標準報酬月額)、前の年の年収と社会保険料、雇用保険の加入期間、年金の見込み額、待遇の差、働く最後の年齢、辞めた後に求職するか、他社に移った場合の月給を入れると、次を出します。

  • 再雇用後の毎月の手取り(健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金・厚生年金・雇用保険・所得税・住民税)と高年齢雇用継続給付。同日得喪をしない場合の最初の3か月
  • 65歳以降の在職老齢年金で止まる額。特別支給の老齢厚生年金の対象かどうか
  • 正社員との待遇の差で、条文と2つの最高裁判決が争点にした点
  • 再雇用を続ける・定年で辞める(求職するか、しないか)・他社に移るの額面の単純な合計。将来の収入の予測や手取りの比較ではなく、条件を固定した試算です

再雇用後の手取り・在職老齢年金・待遇差のチェック・再雇用/退職/転職の比較

入れた数字は、このページの中で計算に使うだけで、どこにも送られません。初めから入っている数字は入力の例です。自分の数字に置き換えてください。

1. 給料と手取り

2. 年金

3. 定年前(正社員)との待遇の差

4. 再雇用を続ける・定年で辞める・他社に移るの比較

初めから入っている例は、1966年5月10日生まれの男性(今日を2026年10月24日として60歳)で、60歳到達時の賃金月額40万円、再雇用後の月給26万円(65.00%)・賞与年20万円、東京の協会けんぽ、同日得喪あり、前の年の年収600万円・社会保険料90万円、雇用保険の加入38年の場合です。毎月の保険料は健康保険(介護保険を含む)14,911円・子ども・子育て支援金299円・厚生年金23,790円・雇用保険1,300円、所得税5,040円、住民税は年305,500円の12分の1で月25,458円とすると、手取りは月189,202円です。高年齢雇用継続給付は低下率65.00%で支給率8.95%、月23,270円なので、合わせて月212,472円になります(計算)。65歳から同じ月給・賞与で働いた場合、老齢厚生年金の基本月額91,667円と総報酬月額相当額276,667円の合計は368,333円で65万円以下なので、年金は止まりません。70歳までの額面の単純な合計は、再雇用を続けて65歳で辞めて求職すると25,991,480円、定年で辞めて求職したが就職しなかった(基本手当150日分を受けた)場合は10,400,000円、月24万円で他社に移って65歳まで働くと24,038,200円でした。定年で辞めて求職しない場合は、基本手当がないので9,500,000円です。どれも、65歳以降の年金の停止を令和8年度の65万円で計算し、税・保険料・物価を入れずに条件を固定した額面の試算で、将来の収入の予測ではありません。

10. よくある質問

定年後の再雇用で、給料はどれくらい下がりますか?

会社ごとに違い、公的な決まりはありません。令和7年賃金構造基本統計調査では、一般労働者の所定内給与(月)は、55〜59歳の正社員・正職員が42.4万円、60〜64歳の正社員・正職員以外が28.0万円でした。同じ人を追った数字ではありません(3章)。

定年後の再雇用は義務ですか?断ることはできますか?

定年が65歳未満の会社は、65歳までの雇用確保措置が義務で、継続雇用制度は希望者全員が対象です。本人が希望しなければ定年で辞められます。会社が合理的な裁量の範囲の条件を示して本人が断った場合は、法違反にはならないと厚生労働省は説明しています(2章)。

再雇用で給料が6割になったら違法ですか?

割合だけで違法かどうかを決めた法律の基準や最高裁の判断はありません。名古屋自動車学校事件で60%を基準にしたのは高裁で、最高裁は基本給の性質と目的、労使交渉の経緯を検討していないとして破棄し、差し戻しました。正社員との差は待遇ごとに、職務の内容や配置の変更の範囲などに照らして判断されます(4章)。

再雇用だとボーナスは出ませんか?

出すことを義務づけた法律はなく、会社の規程によります。長澤運輸事件では、定年時の退職金や老齢厚生年金などを理由に、嘱託乗務員に賞与を出さないことは不合理でないとされました。名古屋自動車学校事件では、賞与に代わる一時金の性質と目的を検討するよう差し戻されました(5章)。

同日得喪とは何ですか?

60歳以上の人が退職後すぐに同じ会社に再雇用されたときに、事業主が資格喪失届と資格取得届を同時に出し、再雇用した月から再雇用後の給料に応じた標準報酬月額にする取扱いです。しない場合は、随時改定の要件(2等級以上の差、3か月とも支払基礎日数17日以上など)を満たせば4か月目から改定されるので、それまでの3か月は定年前の標準報酬月額の保険料が続く形になります(6章)。

再雇用で働くと、年金は止まりますか?

65歳以上は、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円(令和8年度の額で、毎年度改定)を超えた分の半分が止まります。老齢基礎年金は止まりません。60〜64歳で特別支給の老齢厚生年金を受ける人は、高年齢雇用継続給付を受けるとさらに最高で標準報酬月額の4%が止まります(7章)。

11. まとめ

  • 定年が65歳未満の会社は、65歳までの雇用確保措置が義務。継続雇用制度は希望者全員(経過措置は2025年3月31日で終了)。70歳までは努力義務
  • 再雇用後の賃金・時間は話し合いで決まる。法律が義務づけるのは雇用の場で、希望どおりの条件ではない
  • 60〜64歳の正社員・正職員以外の所定内給与は月28.0万円(55〜59歳の正社員は42.4万円)。断面の数字
  • 正社員との差は待遇ごとに不合理であってはならない。ガイドラインは2026年10月1日から待遇ごとに性質と目的で見る形。判例は項目ごとで、60%の基準は示されていない
  • 賞与・退職金を出す義務はない。有給は定年前からの勤続年数で数える
  • 手取りは同日得喪と住民税(前の年の所得)で変わる。60〜64歳は高年齢雇用継続給付(最大10%、非課税)
  • 65歳以上は合計65万円(令和8年度。毎年度改定)を超えた分の半分の年金が止まる
  • 定年で辞めて求職すると基本手当(日額上限7,830円、90〜150日)。求職しなければ出ない。他社に移るなら再就職手当か高年齢再就職給付金のどちらか

12. 出典

13. あわせて読む

 

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