博士課程の就職は厳しい?就職率・就職先・民間就職の割合と就活の時期、博士を採用する企業(計算機つき)

博士課程の就職は厳しい?令和7年3月の博士課程の卒業者16,278人のうち就職者70.0%、無期雇用48.4%、進学も就職もしていない22.0%、分母に入る満期退学者3,299人。過去3年に博士を採用した企業24.8%(応募があれば採用77.7%)。政府の就活日程ルール(3/1・6/1・10/1)は博士後期は対象外 生き方・キャリア

「博士課程 就職」「博士 就職」「博士課程 就活」「博士課程 就職できない」「博士 転職」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。

文部科学省の学校基本調査では、令和7年3月の博士課程の卒業者16,278人のうち「就職者」は11,388人で、70.0%でした。ただし、この卒業者には学位を取らずに満期退学した3,299人(20.3%)が入っています。また「就職者」に入る有期雇用は、契約が1年以上かつフルタイム相当の人だけです。期間の定めのない無期雇用は卒業者の48.4%で、進学も就職もしていない「左記以外の者」は22.0%でした。分野の差が大きく、就職者の割合は保健82.3%、理学69.9%、工学69.8%、人文科学43.9%です。

就職先を職業で見ると、研究者23.9%、医師・歯科医師23.3%、大学教員20.4%、技術者14.0%でした。産業で見ると、教育・学習支援業30.7%、医療・福祉28.3%、製造業14.3%、学術研究・専門・技術サービス業11.9%、情報通信業3.9%です。「民間企業に何%」は、この統計からは正確に出せません。文部科学省の資料の要約は「約38%が民間企業・公的機関等」で、公的機関を含む値です。

企業の側では、NISTEP(文部科学省 科学技術・学術政策研究所)の2025年度調査で、回答した1,742社の77.7%が「求める人材からの応募があれば博士課程修了者を採用する」と答えました(うち42.2%は博士を募集していない企業)。過去3年に博士の新卒採用活動を行った企業は37.2%、過去3年に博士課程修了者を採用した企業は24.8%(計算)です。この2つは別の設問で分母も違い(1,586社/1,627社)、採用活動から採用に至った割合ではありません。政府の就職・採用活動の日程ルール(広報3月1日・選考6月1日・内定10月1日)は、博士後期課程の学生には当てはまりません。企業の公式採用ページで確かめた7社の博士の初任給は、月32.9万〜40.7万円でした。

私は博士課程に進んでおらず、大学では研究室にも所属していません。この記事は、文部科学省などの公的な統計・資料と、企業の公式採用ページだけで書き、7章にだけ私の考えを書きます。

知りたいこと 答え 章
博士課程の就職は厳しい? 卒業者の70.0%が就職者(満期退学者を含む分母)。無期雇用は48.4%。保健82.3%から人文科学43.9%まで、分野で大きく違う 2章
就職できない人は何割? 就職者に入らない人は30.0%。中身は「左記以外の者」22.0%、就職者に入らない有期雇用6.3%など。就職準備中は卒業者の6.9% 2章
どんな仕事に就く? 研究者23.9%、医師・歯科医師23.3%、大学教員20.4%、技術者14.0%。理学・農学は研究者が5割近く、人文・社会は大学教員が約4割 3章
民間就職の割合は? 学校基本調査の産業の表からは正確に出せない。文部科学省の要約は「約38%が民間企業・公的機関等」。追跡調査では2018年度の修了者の1.5年後に民間企業27.2% 3章
博士を採用する企業は? 応募があれば採用77.7%(うち42.2%は博士を募集していない企業)。過去3年に採用活動37.2%、採用24.8%(別の設問で分母も違い(1,586社/1,627社)、採用活動から採用に至った割合ではありません)。資本金100億円以上では採用65.1% 4章
就活はいつから? 政府の日程ルールは博士後期に当てはまらず、会社ごと。修士と同じ枠・博士の別枠・通年選考がある。学振PDの申請期限は令和9年度採用分で2026年6月3日 5章
年収は? 企業7社の博士の初任給は月32.9万〜40.7万円、修士より月1.99万〜5.86万円高い。学振PDは、雇用制度のない受入機関では研究奨励金月36.2万円(雇用される場合は機関の給与で、基本給の月額はこれが下限)。研究者の年収の目安は802.0万円(42.5歳) 6章
自分の場合 分野別の進路、就活の日程、年齢をそろえた年収、業種・資本金別の採用の状況を計算機で 8章

1. 先に、この記事の数字と、書いている人について

私は博士課程に進んでおらず、博士の就職活動をした経験もありません。大学では研究室に所属しませんでした。この記事の数字と制度は、次の公的な資料と、企業の公式採用ページから取りました。就職情報サイト・個人のブログ・Q&Aサイトの数字は使っていません。国の資料の中に引用されている民間の就職情報会社の調査の数字も、使っていません。

  • 文部科学省「学校基本調査」令和7年度(令和7年3月の卒業者):博士課程の状況別・産業別・職業別の表、ポストドクター等の数、年齢別の卒業者数(e-Stat の表)
  • NISTEP「民間企業の研究活動に関する調査」2025年度調査(2024年度の実績、e-Stat の表)
  • NISTEP「博士人材追跡調査」(2018年度・2012年度の修了者)、「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査」(2021年度実績)、「科学技術指標2025」
  • 内閣官房・文部科学省・厚生労働省・経済産業省「2027(令和9)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請」、文部科学省・経済産業省「博士人材の民間企業における活躍促進に向けたガイドブック」、文部科学省「ジョブ型研究インターンシップ」の実施方針
  • 日本学術振興会(JSPS):特別研究員の選考日程・申請資格・手引、海外特別研究員の募集要項
  • 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和7年)、文部科学省の国立大学法人の給与水準の取りまとめ(令和7年度)
  • 企業の公式採用ページ(初任給と選考の枠だけ):島津製作所・NEC・富士フイルムビジネスイノベーション・第一三共・アステラス製薬・三菱ケミカル・東レ
  • 日本経済団体連合会の報告書(会員企業へのアンケート)、第7期科学技術・イノベーション基本計画

「計算」は出典の数字を足し算・割り算した値、「当てはめ」は公式の説明を組み合わせた読み取りで、どちらもそう書いた公式の文はありません。数字は2026年10月の時点で公表されている最新のものです。令和8年3月の卒業者の進路(学校基本調査)は、まだ公表されていません。

2. 博士課程の就職率70.0%は、何を数えた数字か

学校基本調査は、前の年度の卒業者が5月1日の時点でどうしているかを数えます。令和7年3月の博士課程の卒業者は16,278人で、そのうち「就職者」は11,388人、70.0%でした。前年(令和6年3月)も、卒業者15,673人のうち就職者10,967人で70.0%です(計算)。この70.0%を読むときは、分母と分子に何が入っているかを先に確かめておく必要があります。

2-1. 卒業者16,278人には、満期退学者3,299人が入る

学校基本調査の博士課程の「卒業者」には、所定の年限以上在学して単位を修得し、博士の学位を取らずに退学した満期退学者が入ります(表の注)。令和7年3月の満期退学者は3,299人で、卒業者の20.3%でした。満期退学者だけの進路を分けた表はないので、学位を取った人だけの就職率は、公表されている値からは出せません(当てはめ)。

満期退学と単位取得退学の違い、学位を取れる期限は、博士課程は「人生終了」かを確かめた記事で書いています。

2-2. 就職者に入る有期雇用と、入らない有期雇用

「就職者」は、自営業主等257人、無期雇用7,873人、進学しながら就職した39人、有期雇用のうち契約期間が1年以上かつフルタイム相当の3,219人を足した数です(足すと11,388人、計算)。有期雇用の人は4,238人いて、そのうち1,019人(契約が1年未満か、フルタイム相当でない人)は就職者に入りません(計算)。期間の定めのない無期雇用だけで見ると、卒業者の48.4%です。

大学や研究機関で任期付きで研究する人などの「ポストドクター等」は1,898人(卒業者の11.7%)でした。この人数は、有期雇用1,554人・臨時労働者23人・左記以外の者321人の中に重ねて数えられています。フェローシップなどで雇用されていない人が「左記以外の者」に入っているとみられます(当てはめ)。ポスドクの人数・任期・給料と次の職は、ポスドクの末路を統計で確かめた記事で扱います。

2-3. 就職者に入らない4,890人の中身

卒業者のうち就職者に入らないのは4,890人(30.0%、計算)です。中身は次のとおりでした(計算)。

区分 人数 卒業者に対する割合(計算)
左記以外の者(進学も就職もしていない) 3,582人 22.0%
有期雇用のうち、就職者に入らない人 1,019人 6.3%
進学者のうち、就職していない人 106人 0.7%
臨時労働者(契約が1か月未満) 76人 0.5%
専修学校・外国の学校等に入学 73人 0.4%
不詳・死亡 22人 0.1%
臨床研修医 12人 0.1%
計 4,890人 30.0%

「左記以外の者」3,582人の内訳(表95)は、就職準備中1,124人(31.4%)、進学準備中32人、その他2,426人(67.7%)でした。就職準備中の人は、卒業者の6.9%です(計算)。「その他」の中身を分けた表はありません。

なので、「博士の3割は就職できない」と読むのは正確ではありません。3割の中には、1年未満の契約で働いている人、進学した人、中身の分からない「その他」が入っています(当てはめ)。一方で、無期雇用は卒業者の半分に届いていません。どちらも同じ統計から読める数字です。

2-4. 分野で大きく違う:保健82.3%、人文科学43.9%

分野ごとに見ると、次のとおりです(%は各分野の卒業者が分母、計算)。

分野 卒業者 就職者 無期雇用 ポストドクター等 左記以外の者 満期退学者
人文科学 872 383(43.9%) 196(22.5%) 107(12.3%) 337(38.6%) 405(46.4%)
社会科学 874 462(52.9%) 310(35.5%) 49(5.6%) 345(39.5%) 302(34.6%)
理学 1,225 856(69.9%) 519(42.4%) 316(25.8%) 251(20.5%) 221(18.0%)
工学 3,646 2,546(69.8%) 1,815(49.8%) 591(16.2%) 874(24.0%) 562(15.4%)
農学 812 522(64.3%) 358(44.1%) 108(13.3%) 213(26.2%) 138(17.0%)
保健 5,831 4,797(82.3%) 3,493(59.9%) 281(4.8%) 600(10.3%) 968(16.6%)
家政 40 34(85.0%) 25(62.5%) 1(2.5%) 6(15.0%) 8(20.0%)
教育 431 281(65.2%) 202(46.9%) 26(6.0%) 127(29.5%) 169(39.2%)
芸術 171 81(47.4%) 21(12.3%) 1(0.6%) 65(38.0%) 28(16.4%)
その他 2,376 1,426(60.0%) 934(39.3%) 418(17.6%) 764(32.2%) 498(21.0%)
全体 16,278 11,388(70.0%) 7,873(48.4%) 1,898(11.7%) 3,582(22.0%) 3,299(20.3%)
保健を除く(計算) 10,447 6,591(63.1%) 4,380(41.9%) 1,617(15.5%) 2,982(28.5%) 2,331(22.3%)

保健(医学・歯学・薬学など)は卒業者の35.8%(計算)を占め、就職者の54.6%が医師・歯科医師です。保健を除くと、就職者の割合は63.1%になります(計算)。人文科学は満期退学者が46.4%、左記以外の者が38.6%、社会科学はそれぞれ34.6%・39.5%でした。理学はポストドクター等が25.8%と、ほかの分野より高くなっています。家政は卒業者が40人と少ないので、1人で割合が2.5ポイント動きます。

3. 博士の就職先:職業と産業

学校基本調査には、就職者の「職業」(表89)と「産業」(表88)の表があります。職業は本人の仕事の種類、産業は勤め先の業種の分類で、別の物差しです。

3-1. 職業:研究者23.9%、医師・歯科医師23.3%、大学教員20.4%

就職者11,388人の職業は、研究者2,722人(23.9%)、医師・歯科医師2,648人(23.3%)、大学教員2,325人(20.4%)、技術者(6区分の計)1,597人(14.0%)でした(%は計算)。技術者のうち、製造技術者(開発)は807人、情報処理・通信技術者は325人です。事務は247人(2.2%)、管理的職業は172人(1.5%)、販売は44人(0.4%)でした。

分野ごとの違いは大きく、理学は研究者47.8%・技術者26.5%・大学教員10.9%、工学は研究者37.5%・技術者33.6%・大学教員14.9%、農学は研究者46.7%でした。人文科学は大学教員38.4%、社会科学は大学教員39.8%、保健は医師・歯科医師54.6%です(各分野の就職者が分母、計算)。

これは職業の分類で、勤め先が企業か大学かの分類ではありません。「研究者」には、企業の研究者のほか、大学や公的な研究機関の研究員も入ります(当てはめ)。参考に、修士課程の就職者60,674人では、研究者が6.4%、製造技術者(開発)が24.2%、情報処理・通信技術者が15.7%でした(計算)。

3-2. 産業:教育30.7%、医療・福祉28.3%、製造業14.3%

勤め先の産業で見ると、次のとおりです(%は就職者が分母、計算)。

産業(表88の区分) 全体 理学 工学
教育,学習支援業 3,495人(30.7%) 234人(27.3%) 683人(26.8%)
医療,福祉 3,222人(28.3%) 5人(0.6%) 31人(1.2%)
製造業 1,628人(14.3%) 213人(24.9%) 798人(31.3%)
学術研究,専門・技術サービス業 1,356人(11.9%) 183人(21.4%) 425人(16.7%)
うち学術・開発研究機関 1,001人(8.8%) 149人(17.4%) 313人(12.3%)
情報通信業 446人(3.9%) 99人(11.6%) 211人(8.3%)
公務 316人(2.8%) 22人(2.6%) 67人(2.6%)
それ以外の産業と「上記以外」(計算) 925人(8.1%) 100人(11.7%) 331人(13.0%)
就職者の計 11,388人 856人 2,546人

製造業1,628人の内訳は、化学工業・石油・石炭製品製造業534人(製造業の32.8%)、電子部品・デバイス・電子回路製造業250人、電気・情報通信機械器具製造業203人、はん用・生産用・業務用機械器具製造業194人などでした。教育,学習支援業3,495人のうち、学校教育が3,403人です。

この表から「民間企業へ何人」は正確には出せません。「学術・開発研究機関」には国立研究開発法人などの研究所と企業の研究所が同じ区分で入り、教育や医療には国公立と私立の両方が入るからです(当てはめ)。この記事では、産業の表の数字を「民間就職の割合」とは呼ばずに、業種ごとの人数として書きます。

3-3. 「民間就職の割合」として公表されている数字

民間企業への就職に近い数字として国の資料に出ているのは、次の2つです。対象・時点・分母が違い、同じ物差しではありません。

  • 中央教育審議会 大学院部会の資料(令和8年5月11日時点。令和7年度学校基本調査などをもとに文部科学省が作成した図)の要約:「博士課程修了者の進路は、約38%が民間企業・公的機関等、約15%が大学等教員、約12%がポスドク等。」民間企業と公的機関を合わせた値です。
  • NISTEP「博士人材追跡調査」(第4次報告書)の2018年度の修了者(満期退学者を含む)の修了1.5年後:雇用先は大学等51.7%、民間企業27.2%、公的研究機関8.4%でした(回答者3,894人、回答率24.9%。内閣府の会議に出されたNISTEPの資料)。NISTEPのページの要約は「全体では約半数が大学、約4分の1が民間企業」です。

同じ追跡調査の2012年度の修了者では、民間企業の割合は修了1.5年後26.2%、3.5年後25.2%、6.5年後26.8%で、正社員・正職員の割合は56.9%、64.5%、75.8%と上がっていました。2021年度の修了者を調べた第5次報告書(2026年5月公表)の数字は、この記事では確かめられていません。

4. 博士を採用する企業、採用しない企業

NISTEPの「民間企業の研究活動に関する調査」2025年度調査(2024年度の実績、令和8年6月24日公表)には、企業が博士課程修了者をどう採用しているかの設問があります。%は回答した企業の割合で、博士の何%が採用されるかではありません。調査の対象の範囲(資本金の下限など)と回答率は、この記事では確かめていません。

4-1. 応募があれば採用77.7%、採用しないため募集していない22.3%

2024年度の採用活動について、有効回答1,742社の答えは次のとおりでした。

答え(選択肢の要旨) 社数 割合
博士課程修了者を募集しており、求める人材からの応募があれば採用 619社 35.5%
募集していないが、求める人材からの応募があれば採用 735社 42.2%
採用しないため、募集していない 388社 22.3%

公表の要点は「8 割弱の企業において、求める人材からの応募があれば博士課程修了者を採用する姿勢が確認されました。」でした(35.5%+42.2%=77.7%、計算)。ただし、42.2%は博士を募集していない企業です。

4-2. 採用活動をした37.2%と、実際に採用した24.8%

「採用する姿勢」と、実際の採用は別の設問です。過去3年に博士の新卒採用活動を行った企業(問2-5)は、有効回答1,586社のうち590社で37.2%でした。過去3年に博士課程修了者を研究開発者として採用した企業(問2-4)は、有効回答1,627社のうち「採用せず」と答えなかった403社で、24.8%です(計算)。37.2%は「採用活動を行った企業」で、「採用した企業」ではありません。2つは別の設問で分母も違い(1,586社/1,627社)、採用活動から採用に至った割合ではありません。

区分 博士の新卒採用活動を行った(問2-5) 博士課程修了者を採用した(問2-4、計算) 博士課程の学生向けインターンシップを実施(問2-6)
全体 590/1,586社(37.2%) 403/1,627社(24.8%) 214/1,355社(15.8%)
製造業の計 474/1,269社(37.4%) 300/1,297社(23.1%) 176/1,110社(15.9%)
非製造業の計 75/215社(34.9%) 70/227社(30.8%) 28/170社(16.5%)
資本金1億円以上10億円未満 206/774社(26.6%) 115/807社(14.3%) 51/628社(8.1%)
資本金10億円以上100億円未満 174/530社(32.8%) 105/539社(19.5%) 55/451社(12.2%)
資本金100億円以上 210/282社(74.5%) 183/281社(65.1%) 108/276社(39.1%)
医薬品製造業 37/52社(71.2%) 32/52社(61.5%) 17/45社(37.8%)

製造業の計(業種番号4〜28)と非製造業の計(29〜40)には、建設業・農林水産業・鉱業(業種番号1〜3)と「1〜40以外の業種」が入らないため、足しても全体と一致しません(問2-5では1,269社+215社=1,484社、全体は1,586社、計算)。

この調査に回答した企業では、資本金の区分が大きいほど、博士を採用した企業の割合が高くなっていました。業種などの違いをそろえた比較ではなく、博士一人ひとりが採用される確率でもありません。博士課程の学生向けインターンシップを実施した企業は全体で15.8%で、修士向け(45.6%)・学部向け(58.9%)より少ない値です。業種ごとの値は、8章の計算機4で見られます。

4-3. 博士を募集していない理由:1位は「応募がほとんどないと見込まれる」

博士を募集していない企業が答えた理由(問2-7付問1、複数回答)は、次のとおりでした。

理由(選択肢の要旨) 新卒採用(705社) 中途採用(703社)
博士課程修了者からの応募がほとんどないと見込まれる 52.1% 42.0%
博士号取得の有無よりも、スキルや経験を重視している 38.0% 56.8%
大学院卒であれば、博士課程修了者でなくてもよい 29.5% 23.5%
その他 9.1% 6.8%

新卒では「応募がほとんどないと見込まれる」が最も多く、中途では「スキルや経験を重視」が最も多くなっていました。資本金100億円以上の企業(新卒、71社)では、「大学院卒であれば博士でなくてもよい」が42.3%で最も多い理由です。

4-4. 採用しない企業の理由:「見合った処遇ができない」35.6%

「採用しないため、募集していない」企業が答えた理由(問2-7付問2、有効回答365社、複数回答)は、多い順に次のとおりでした。

  • 博士課程修了者に見合った処遇ができない:35.6%
  • 特定分野の専門的知識を持っていても、自社ではすぐには活用できない:35.1%
  • 企業の研究開発の規模が小さい、もしくは縮小する:24.1%
  • 企業内外での教育・訓練で社内の研究者の能力を高める方が、博士課程修了者を採用するより効果的:19.5%
  • 社内の成果をビジネスに結び付けるうえで、即戦力にはならない:11.8%
  • 過去に博士課程修了者を募集したが、応募がほとんどなかった:7.7%
  • 実用的な問題解決や研究開発よりも、学術研究を志向している:7.1%
  • その他:12.6%

4-5. 企業が重視すること、採用した後の印象

過去3年に博士の新卒採用活動を行った590社が重視したこと(複数回答)は、「研究開発者としての資質や潜在能力が高い」53.9%、「取り組むべき新たな課題を自ら見出し、新しい社会的価値を生み出すことが期待できる」49.7%、「自社にとって重要な分野を専門としている」48.1%、「研究開発の即戦力として期待できる」37.5%、「自社に導入したい特定の専門知識を持っている」29.0%の順でした。

過去3年に博士課程修了者を採用した403社の、採用した後の印象は、期待を上回った8.7%、ほぼ期待通り70.7%、期待を下回る3.2%、わからない17.4%です(採用した企業が分母、計算)。修士を採用した企業(996社)では、期待を上回った7.3%、期待を下回る3.6%でした(計算)。

4-6. 企業の中の博士は、まだ少ない

NISTEPの「科学技術指標2025」では、企業の研究者に占める博士号保持者の割合は2024年で4.6%で、2010年代からほぼ横ばいです。産業別で最も高いのは医薬品製造業の18.5%でした。第7期科学技術・イノベーション基本計画は、産業界による理工系の博士号取得者の採用者数が2020年度の1,176人から2022年度の1,363人に増えたものの、2025年度の目標2,150人には届かない見込みだと書いています。

日本経済団体連合会の会員企業などへのアンケート(2026年1〜2月、102社)では、2025年度に新卒・経験者を含めて博士人材を採用した企業は66.7%でした。今後2〜3年で採用を「増やしていく」企業は、新卒16%、経験者15%にとどまります。会員企業の回答で、全国の企業の代表値ではありません。

5. 博士の就活はいつから:政府の日程ルールは当てはまらない

5-1. 3月1日・6月1日・10月1日のルールの対象外

政府の「2027(令和9)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請」(令和8年3月24日)は、広報活動を卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、採用選考活動を卒業・修了年度の6月1日以降、正式な内定を卒業・修了年度の10月1日以降とする日程ルールを原則としています。この要請の脚注には、次のように書かれています。

「日本国内の大学、大学院修士課程、短期大学、高等専門学校の卒業・修了予定者が対象であり、大学院博士課程(後期)に在籍している院生は、この限りではない。」

文部科学省・経済産業省のガイドブックも、「博士人材の採用には、「就職・採用活動に関する要請」などのルールがなく、各企業が独自に行うことができます。」と書いています。2028年度以降に卒業・修了する人の日程は、2026年10月の時点で見直しの検討中で、まだ決まっていません。博士後期の学生は元から対象外なので、見直しの結果にかかわらず、博士後期の選考の時期を縛る政府のルールはないと読めます(当てはめ)。

インターンシップの類型でも、汎用的能力・専門活用型インターンシップ(タイプ3)の実施時期の決まり(学部3・4年と修士1・2年の長期休暇)は、「大学の正課および博士課程を除き」と書かれていて、博士課程はこの時期の決まりの外です(当てはめ)。ただし、企業が博士を修士と同じ新卒の枠で募集するときは、その枠の日程で選考が進みます。修士の就活の日程と、修士1年からの逆算は、大学院生の就活はいつから?の記事で書いています。

5-2. 企業の選考の枠は会社ごと

企業の公式採用ページ(2026年10月26日に確認)では、博士の扱いが次のように分かれていました。

企業 博士の扱い(要旨) 選考の時期の書き方
島津製作所 新卒の募集で「※大学院には博士課程後期を含めます」 記載なし
NEC 学部・修士・博士・高専の卒業(修了)見込みの人を同じ新卒の募集で対象にする 記載なし
東レ 2027年3月までに卒業・修了予定の人が対象。博士了の初任給を別に記載 第1回受付締切「3月9日(月)13:00」
第一三共 職種ごとに博士が応募できるかを記載(研究職などは可、MRなどは不可) 記載なし
富士フイルムビジネスイノベーション 技術系コースに博士の別の枠。エントリーシートでなく、履歴書・論文・学会発表のリストなどを郵送 マイページで案内
アステラス製薬 「2027年度 博士通年選考 新卒入社」の区分がある 通年
NEC(経団連の報告書の事例) 「NEC R&D Doctor’s Pass」:修士課程で博士課程に進む予定の人と博士後期課程1年の人に、博士号を取る予定の年のNEC研究所への入社の早期内定 博士課程に進む前後

同じ「新卒」でも、修士と同じ枠で3月からの日程に乗る会社と、博士だけ通年や別の枠で選ぶ会社があります。博士向けに通年・別の枠で選考している会社の割合と、博士の学生がいつ内定を得ているかの全国の統計は、この記事では見つかりませんでした。志望する会社の募集要項で、どの枠かを確かめる必要があります。

5-3. ジョブ型研究インターンシップ

文部科学省の「ジョブ型研究インターンシップ」は、当面は博士課程の学生を対象にした、長期・有給の研究インターンシップです(修士課程は引き続き検討)。実施方針(令和8年3月27日一部改正)では、期間は1か月または2か月以上が基本、給与はおおむね新卒で入社した社員と同じ程度が目安で、大学の正規の単位科目として行います。終わった後に企業が評価書を作り、その評価を採用選考に使えます。

募集は、企業がその年度の選考スケジュールの中で随時出すので、決まった季節はありません。参加には、所属大学が推進協議会に参画している必要があります。学振の特別研究員は、採用期間中の参加が通算6か月以内が原則です。

5-4. 学振PD・海外特別研究員の締切

大学や研究機関で研究を続ける人の主な締切は、令和9(2027)年度採用分では次のとおりでした。

制度 申請(提出)期限 結果 始まる日
学振 特別研究員 PD・DC1・DC2 2026年6月3日(水)17:00(所属機関の締切は機関ごと) 第一次 10月上旬頃、第二次 2027年1月上旬頃 2027年4月1日
海外特別研究員 2026年5月11日(月)17:00(日本時間) 10月上旬頃まで(補欠の最終通知は2027年2月下旬頃まで) 派遣開始 2027年4月1日〜2028年2月末日

学振PDの申請資格は、採用年度の4月1日の時点で博士の学位を取って5年未満(申請のときは取得見込みでもよい)です。受入研究機関は、JSPSの申請資格のページで「受入研究機関については、博士の学位を取得する予定又は博士の学位を取得した研究機関(以下「出身研究機関」という。)以外の研究機関を選定すること」とされています。学位を取る(取った)大学などとは別の研究機関を、受入先に選ぶ必要があります。海外特別研究員には、在学中に申請できる「採用予約」があり、令和9年度採用分では2027年4月2日から2028年4月1日までに学位を取る見込みの人が対象でした。

3月に修了してすぐの4月からPDを始めるには、修了する年度の6月上旬にPDに申請し、10月上旬に第一次の結果を受け取る流れです(当てはめ)。この時期は、修士と同じ新卒の枠の内定の時期(10月1日以降)と重なります(当てはめ)。令和10年度採用分以降のJSPSの日程は、2026年10月の時点で公表されていません。

5-5. 大学教員・研究機関の公募

JST の JREC-IN Portal に載った求人公募は、令和7年度に25,503件でした(令和6年度25,811件、令和5年度26,422件)。大学のほか、研究開発法人・民間企業・海外の機関の公募も含みます。公募は年間を通じて出ており、月別の掲載件数の公表は見つかりませんでした。締切と着任の時期は公募ごとに違います。大学教員の公募の流れと結果の時期は、大学教員公募の面接と結果の時期の記事で書いています。

6. 民間とアカデミアの年収

6-1. 企業の博士の初任給:7社の公表値

企業の公式採用ページに載っていた初任給(月額、賞与を含まない)は、次のとおりでした。年度の書き方は各社のままです。

企業(業種) 博士 修士 差(計算) 年度の書き方
島津製作所(精密機器) 329,200円 309,300円 19,900円 2026年度実績
NEC(電機) 379,400円 320,800円 58,600円 参考(2026年4月実績)
富士フイルムビジネスイノベーション(電機・事務機器) 347,900円 323,900円 24,000円 記載なし(2027年3月卒業見込みの人の募集要項)
第一三共(医薬品) 401,700円(3年制) 381,100円(6年制の学士と同じ額) 20,600円 2026年4月予定
アステラス製薬(医薬品) 406,600円 364,100円(MR職以外) 42,500円 2025年度実績
三菱ケミカル(化学) 351,000円 300,000円 51,000円 2025年度卒実績(手当を含まない)
東レ(化学・繊維) 349,580円 307,600円 41,980円 2026年度

7社の博士の初任給は月329,200〜406,600円(中央値351,000円)で、修士との差は19,900〜58,600円(中央値41,980円)でした(計算)。NECは「卒業区分に応じた一律の報酬水準を廃止」し、職務と本人のスキルで個別に報酬を決めるとしていて、上の額は参考の値です。大手企業の例で、全国の平均ではありません。差は各社の募集要項の区分どうしの差で、職種や給与の決め方がそろった比較ではありません(第一三共の修士の額は6年制の学士と同じ額、NECは参考の値)。

博士は標準の年限なら修士より3年遅く入社します。修士で就職した場合と生涯で比べるには、在学中の3年分の収入(学振DCなど)と授業料も入れる必要があります(当てはめ)。

6-2. 年齢で並べる:大学院卒・研究者・大学教員

博士課程の卒業者の令和7年5月1日の年齢は、27〜29歳が4,783人(29.4%)、32歳以下が50.7%、40歳以上が18.5%でした(計算)。卒業のときの年齢の幅は広く、入社や着任の年齢も人によって違います。

賃金構造基本統計調査(令和7年)の学歴別の所定内給与(月額、男女計)は、次のとおりです。「大学院」は修士と博士を分けていません。

年齢 大学院 大学 差(計算)
25〜29歳 335.0千円 296.4千円 38.6千円
30〜34歳 406.1千円 340.3千円 65.8千円
35〜39歳 466.6千円 382.2千円 84.4千円
40〜44歳 553.7千円 425.3千円 128.4千円
45〜49歳 617.8千円 458.4千円 159.4千円
年齢計 517.4千円 396.3千円 121.1千円

同じ調査の職種別の年収の目安(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額、計算)は、研究者802.0万円(平均42.5歳)、大学講師・助教712.2万円(41.6歳)、大学准教授876.4万円(49.3歳)、大学教授1,082.6万円(57.5歳)でした。研究者は学歴を問わない職種の区分です。国立大学法人の大学教員の平均年間給与は、令和7年度で990.4万円でした。研究者の年収と、大学院卒の職種との比べ方は、研究職の年収の記事で詳しく書いています。

6-3. ポスドク・学振PD・学振DC

学振の特別研究員PD・RPDの受け取り方は、受入研究機関によって分かれます。受入研究機関が「雇用制度導入機関」(研究環境向上のための若手研究者雇用支援事業、令和5年度から)の場合、新規採用者は原則全員がその機関に雇用されます。JSPSの手引のページは「雇用支援事業は、PD等が雇用かフェローシップ型かを自由に選択することができる制度ではありません。受入研究機関が雇用制度導入機関の場合、新規採用者は原則全員雇用されることになります。」と書いています。雇用されるPDには、JSPSが研究奨励金に相当する額を「若手研究者雇用支援金」として受入研究機関に交付し、雇用主の受入研究機関から給与が支給されます。PDの募集要項(令和9年度採用分)は「なお、月ごとの基本給の設定額は、研究奨励金の月額を下限とすることとしています。」としています。

雇用制度を導入していない機関では、従来のフェローシップ型で、研究奨励金は月362,000円(12か月で434.4万円、計算)です。給与所得として課税され、JSPSとの雇用関係はありません。NISTEPのポスドクの調査(2021年度実績、13,657人)では、月額給与は35〜40万円が16.8%で最も多く、機関からの給与なしが16.9%でした。

博士課程の在学中の学振DCは、JSPSの手引(令和8年度版)で、令和8年度に採用された人が月227,000円、令和7年度以前に採用された人が月200,000円です。採用の最終年次に一定以上の評価を受けた人には、月30,000円の特別手当(最大12か月)があります。DCも給与所得として課税されるので、親の扶養との関係は大学院生の扶養控除の記事で確かめられます。博士課程の学費と、学振・SPRINGの支給は、大学院の学費の記事で扱います。

6-4. 修了した後の所得

NISTEPの博士人材追跡調査では、2012年度の修了者(満期退学者を含む)の所得で最も多い階層は、修了1.5年後が400万〜500万円未満(16.2%)、3.5年後が500万〜600万円未満(15.7%)、6.5年後が600万〜700万円未満(14.4%)でした。2018年度の修了者の1.5年後では、男性は400万〜500万円、女性は300万〜400万円の階層が最も多くなっています。勤め先(企業・大学など)別の所得の分布は、この記事では確かめられていません。

7. 私の考え:博士に進まなかった私から見た、博士の就職

ここからは私の考えです。統計で確かめたものではありません。

私は博士課程に進んでいません。大学では研究室に所属せず、就職活動では内定を一度もらいましたが辞退し、その後に受けた証券会社は最終面接で落ちました。会社には就職していません。博士の就職活動も、研究職として働いたこともないので、博士に進むかどうかや、修了後にどこへ就職するかを、経験から勧めることはできません。

そのうえで、博士の就職について考えていることを書きます。企業や大学で研究を仕事にしている人を、私は尊敬しています。同時に、研究職で出世すると判子を押すだけの仕事になって、「金はいいが仕事がつまらない」と悩む人がいることも知っています。これは私が見聞きした話で、統計で確かめたものではありません。なので、研究職への就職が、博士にとって一概に正解だとは考えていません。

もう一つは、自分の研究テーマと就職先を盲目的に結びつけるのは機会損失だ、という考えです。理系で身につけた仮説を立てて確かめる力や、筋道を立てて考える力は、専門の分野の外でも使えると私は考えています。研究テーマに合う求人だけを探す前に、3章の職業・産業の広がりと、4章の企業の答えも見て、選択肢を比べてみてください。博士への進学も、修了後の就職先も、どちらかを勧めるものではありません。

8. 計算機:分野別の進路/就活の日程の逆算/民間とアカデミアの年収の比較/博士を採用する企業の割合

4つは別々に使えます。

  • 1. 分野別の進路と就職先:専攻の分野を選ぶと、卒業者(満期退学者を含む)を分母にした就職者・無期雇用・有期雇用・ポストドクター等・左記以外の者・満期退学者の人数と割合と、就職者を分母にした職業・産業の多い順を出します
  • 2. 就活の日程の逆算:修了予定の年月と志望(企業・大学教員の公募・ポスドク・学振PD・公的研究機関)を入れると、政府の日程ルールを当てはめた場合の日付、企業の博士の選考の例、ジョブ型研究インターンシップ、学振PD・海外特別研究員の締切、公募の時期を出します。日付は公表された令和9年度採用分・2027年度卒の日程と、それを当てはめた目安です。読めない年月のときは、日付を出しません
  • 3. 民間とアカデミアの年収の比較:年齢を入れると、その年齢の階級の大学院卒の所定内給与と、企業の博士の初任給、研究者・大学教員の年収の目安と平均年齢との差、学振PD・ポスドクの月額、修了後の所得の階層を並べます。平均や公表値で、転職した人の年収ではありません
  • 4. 博士を採用する企業の割合:業種と資本金を選ぶと、その区分の企業のうち、博士の新卒採用活動を行った割合、採用した割合と採用後の印象、博士向けインターンシップの実施率、募集しない理由・採用しない理由、重視することを、それぞれの分母(有効回答の社数)と一緒に出します

結果は、入れた値と、この記事で見た公的な統計・公表値だけによる目安です。自分が就職できるかどうかの判定ではありません。

分野別の進路と就職先/就活の日程の逆算/民間とアカデミアの年収の比較/博士を採用する企業の割合

入れた値は、このページの中で使うだけで、どこにも送られません。初めから入っている値は入力の例です。4つは別々に使えます。

1. 分野別の進路と就職先

2. 就活の日程の逆算

3. 民間とアカデミアの年収の比較

4. 博士を採用する企業の割合

初めから入っている例は、全体の進路、2028年3月に修了して企業を志望する場合、28歳、業種と資本金を区分しない全体です。計算機2は、この例では修了が2027年度になるので、2027年度卒の要請の日程(広報2027年3月1日・選考6月1日・内定10月1日)を、修士と同じ新卒の枠の会社の目安として出します。

9. よくある質問

博士課程の就職は厳しいですか?

令和7年3月の博士課程の卒業者のうち、就職者は70.0%でした。ただし分母には満期退学者(20.3%)が入り、期間の定めのない無期雇用は48.4%です。分野で大きく違い、保健82.3%、理学69.9%、工学69.8%、人文科学43.9%でした。厳しいかどうかは、分野と、有期の研究職を就職に数えるかで変わります。

博士課程に進むと就職できないのですか?

卒業者のうち就職者に入らない人は30.0%ですが、その中には1年未満の契約で働く人や進学した人も入っています。進学も就職もしていない「左記以外の者」は22.0%、そのうち就職準備中の人は卒業者の6.9%でした。「3割が就職できない」とは読めません。

博士はどんな仕事に就いていますか?

就職者の職業は、研究者23.9%、医師・歯科医師23.3%、大学教員20.4%、技術者14.0%でした。理学・農学は研究者が5割近く、工学は研究者と技術者がそれぞれ3割台、人文科学・社会科学は大学教員が約4割です。

博士の民間就職の割合はどれくらいですか?

学校基本調査の産業の表からは、公的な研究所と企業の研究所が同じ区分に入るため、正確には出せません。文部科学省の資料の要約は「約38%が民間企業・公的機関等」(公的機関を含む)です。NISTEPの追跡調査では、2018年度の修了者の1.5年後に民間企業が27.2%でした。

博士を採用している企業はどれくらいありますか?

NISTEPの2025年度調査では、77.7%の企業が「求める人材からの応募があれば採用する」と答えました(うち42.2%は博士を募集していない企業)。過去3年に博士の新卒採用活動を行った企業は37.2%、実際に博士課程修了者を採用した企業は24.8%(計算)です。この2つは別の設問で分母も違い(1,586社/1,627社)、採用活動から採用に至った割合ではありません。採用した企業の割合は、資本金100億円以上の企業では65.1%(計算)でした。

博士の就活はいつから始めればいいですか?

政府の就職・採用活動の日程ルールは、博士後期の学生には当てはまりません。修士と同じ新卒の枠で3月からの日程に乗る会社、博士の別の枠や通年選考の会社、博士課程に進む前後に早期内定を出す会社があり、会社ごとに違います。学振PDの申請期限は、令和9年度採用分で2026年6月3日でした。8章の計算機2で、修了予定から日付を出せます。

博士の年収はいくらですか?

企業の公式採用ページで確かめた7社の博士の初任給は、月329,200〜406,600円でした。学振PDは、雇用制度のない受入機関では研究奨励金月362,000円(受入機関に雇用される場合は機関の給与で、基本給の月額はこれが下限)、研究者の年収の目安は802.0万円(平均42.5歳)、大学准教授は876.4万円(49.3歳)です。2012年度の修了者の所得で最も多い階層は、修了1.5年後の400万〜500万円未満から、6.5年後の600万〜700万円未満に上がっていました。

博士から転職できますか?

転職できるかどうかを数えた統計はありません。NISTEPの調査では、中途採用で博士を募集していない企業(703社)の56.8%が「博士号の有無よりも、スキルや経験を重視している」と答えています。追跡調査の2012年度の修了者では、正社員・正職員の割合が修了1.5年後の56.9%から6.5年後の75.8%に上がっていました。企業の研究職からの転職先と年収は、研究職はやめとけ?の記事で扱っています。

10. まとめ

  • 令和7年3月の博士課程の卒業者16,278人のうち、就職者は11,388人(70.0%)。分母に満期退学者3,299人が入り、就職者に入る有期雇用は1年以上かつフルタイム相当の人だけ
  • 無期雇用は48.4%、ポストドクター等11.7%、左記以外の者22.0%。就職者に入らない30.0%の中身は混ざっていて、就職準備中は卒業者の6.9%
  • 就職者の割合は保健82.3%から人文科学43.9%まで、分野で大きく違う
  • 職業は研究者・医師・大学教員・技術者が中心。産業は教育・医療・製造業・学術研究の順。産業の表から「民間企業に何%」は出せない
  • 企業の77.7%は応募があれば採用と答えた(うち42.2%は博士を募集していない企業)が、過去3年に採用したのは24.8%(別の設問)。資本金100億円以上では65.1%。募集しない理由の1位は「応募がほとんどないと見込まれる」
  • 政府の就活の日程ルールは博士後期に当てはまらず、選考の枠と時期は会社ごと。学振PDは修了する年度の6月上旬に申請する流れ(当てはめ)
  • 企業の博士の初任給は7社で月32.9万〜40.7万円。研究者・大学教員の年収は職種の平均で、自分の場合は計算機で並べられる

11. 出典

12. あわせて読む

 

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