「大学教員公募 面接 脈あり」「面接1人だけ」「面接 結果 遅い」「面接 連絡 いつ」「最終面接 落ちる」「大学教員公募 コネ」「大学教員公募 集まらない」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。
面接の様子から合否を読む方法は、公式の資料にはありません。大学の教員選考規程では、面接のあとに選考委員会の報告、教授会などの投票、学長などの決定が続き、面接の場にいた人だけで決まる手続きにはなっていません。面接に進む人数を規程で決めた例として、大分大学 教育学部門は応募者から「2人又は3人」を選んで面接などで審査し、1人を決めます。2〜3人から1人を選ぶ規程なら、1〜2人は選ばれません(計算)。これは個別の規程に基づく計算で、面接を受けた人全体のうち何割が不採用になるかを示すものではありません。全国で面接に何人呼ばれるかの傾向は分かりません。
結果が出るまでには日数がかかります。東京工業大学(現・東京科学大学)が公表した選考結果11件では、公募の締切から人事委員会の承認まで66〜120日、中央値98日でした(計算)。規程からは、会議の段数や審議期間が、評価とは別に日数を要する要因として読めます。ただし、個別の公募で結果が遅れている理由までは分かりません。この記事で集めた公募要項20件のうち、不採用の人に通知するかどうかを書いた要項は0件で、連絡がないことから合否は読めません。
大学教員の公募の倍率を全国で集計した国の統計は、見つかりませんでした。東京都立大学の111件(2019〜2021年度)を調べた論文では平均応募数が約15件で、理学部は46.00、健康福祉学部は3.69と、分野で10倍以上の差がありました(計算)。
私は大学教員として働いたことも、大学教員の公募に応募したこともありません。この記事は、大学の教員選考規程・公募要項・選考結果の公表、論文の抄録、文部科学省・JST(科学技術振興機構)の統計と法令だけで書きます。「脈ありのサイン」の一覧は、公式の資料がないので作りません。
| 知りたいこと | 答え | 章 |
|---|---|---|
| 面接は脈あり? | 面接の様子と合否の関係を調べた公的なデータはない。面接のあと、委員会・教授会などの投票・学長などの決定が続く | 4章 |
| 面接に呼ばれるのは何人 | 規程の例は2〜3人(大分大学)。2人を面接した公表例もある(愛媛大学の助教2件)。要項20件で面接の人数を書いたものは0件。全国の傾向は分からない | 4章 |
| 面接が自分1人だけ | ほかの候補者が別の日、辞退、書類の段階で1人に絞ったなど、理由は外から区別できない。候補者が1人でも投票で決める規程がある(千葉県立保健医療大学の信任投票) | 4章 |
| 結果が遅い・連絡はいつ | 書類選考の結果は締切から3〜63日後(要項5件)。締切から最終決定まで66〜120日(東京工業大学の11件、中央値98日、計算)。会議の段数・審議期間は日数を要する要因だが、個別の遅れの理由は分からない | 3章 |
| 連絡が来ないのは不採用? | 要項20件で不採用の通知の扱いを書いたものは0件。連絡がないことから合否は読めない | 3章 |
| 最終面接で落ちる | 2〜3人から1人を選ぶ規程(大分大学)なら1〜2人は選ばれない(規程に基づく計算)。該当者なしで再公募になる例もある | 4章 |
| 倍率は? | 全国の統計はない。都立大の111件で平均約15件、理学部46.00・健康福祉学部3.69(2019〜2021年度) | 5章 |
| コネ・出来レース? | 出来レースの割合を示す統計はない。公的な数字は、大学教員の自校出身者31.7%(令和7年度)、都立大の教授職は昇任人事が8割弱など | 6章 |
| 公募が集まらない | 応募の少ない公募は分野で出る(健康福祉学部3.69)。必要な数の候補者を選べなければ再公募と定める規程がある | 5章 |
| 書類・面接・模擬授業 | 要項20件で、履歴書・業績一覧・主要論文の写しは20件、研究計画19件、教育の抱負18件。模擬授業を書いた要項は5件 | 7章 |
1. 先に、この記事の数字と、書いている人について
私は大学教員として働いたことがなく、公募に応募したこともありません。大学で研究室に所属したこともありません。面接の感触や、応募者どうしの噂のような話は書けません。この記事は次の資料だけで書きます。
- 法令:大学設置基準(教員の資格)、学校教育法93条(教授会)、大学の教員等の任期に関する法律(任期法)、労働施策総合推進法と同法施行規則(募集の年齢)、高年齢者雇用安定法、男女雇用機会均等法(e-Gov 法令検索)
- 大学の教員選考規程6校(国立4:京都大学・佐賀大学理工学部・香川大学教育学部・大分大学 教育学部門、公立2:千葉県立保健医療大学・下関市立大学)
- 公募要項20件(2025年6月〜2026年9月に大学のサイトで公開されたもの、国立9・公立2・私立9)。検索で見つかった要項で、全国の公募の標本ではありません
- 選考結果の公表:東京工業大学(2024年10月から東京科学大学)人事課の選考結果11件、愛媛大学の選考経過及び選考結果6件
- 論文:加藤真紀「大学教員公募における競争:東京都の公立大学教員採用選考を事例として」『名古屋高等教育研究』第24巻(2024年、名古屋大学高等教育研究センター)。抄録の数字だけを使います(本文の表は使っていません)
- 統計:JST「JREC-IN Portal」の求人公募情報の掲載件数、文部科学省「学校教員統計調査」令和7年度(中間報告)、学校基本調査 令和7年度
数字の書き方は、出典の値そのもの、出典の数字を足し算・割り算・日数計算しただけの値を「計算」、条文や公式の説明を組み合わせた読み取りを「当てはめ」と書き分けます。要項20件を数えた値は「この記事で集めた要項で数えた値」で、全国の割合ではありません。
2. 公募の流れ:誰が、どの順で決めるのか
2-1. 資格は法令、選び方は大学の規程
大学設置基準は、教授(13条)・准教授(14条)・講師(15条)・助教(16条)になれる者を定めています。教授は「博士の学位(外国において授与されたこれに相当する学位を含む。)を有し、研究上の業績を有する者」などのいずれかに当たり、かつ「大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者」です(13条)。資格の条文に、年齢や在職年数の要件はありません。職名ごとの違いは大学教員の職階(教授・准教授・講師・助教)の記事にまとめています。
大学設置基準は職階ごとの法令上の資格を定めており、実際の応募資格と選考基準は、各公募要項や大学の規程でさらに定められます。たとえば大分大学 教育学部門の規程は、教授は著書・学術論文20編程度・大学卒業後17年程度、准教授は10編程度・7年程度、講師は5編程度・4年程度、助教は1編程度を目安に置き、理系は原則として博士の学位を持つことを求めています(3条)。
「大学教員の採用は公募にしなければならない」と定めた法令・通知は、この記事で調べた範囲では見つかりませんでした。公募を原則にするのは各大学の規程です。佐賀大学理工学部は「教員の選考は,原則として,公募により行い,適任者が得られるように努力する。」(3条2項)、大分大学 教育学部門は「教員の任用は,公募によって行うものとする。」(4条)と定め、どちらも理由があれば公募以外で選べる例外を置いています。
2-2. 選考の段数:委員会→教授会など→学長・理事長
規程を並べると、公募の選考は2〜4段の会議を通ります(6校の規程で数えた範囲)。
| 大学(設置者) | 流れ(規程の要旨) | 議決の決まり |
|---|---|---|
| 京都大学(国立) | 教員選考調査委員会(5名程度)→学系会議が投票で最終候補者を決定→学域会議が手続きの適正を確認→総長が最終決定 | 学系会議の投票(7条2項) |
| 佐賀大学理工学部(国立) | 選考委員会(8人)が面接・模擬授業・講義録等で評価し、暫定候補者を定めて順位を付けて教授会に報告→教授会が「少なくとも1週間の審議期間をおいて」決定(委員会に再調査を求めることもできる)→学長 | 委員会は3分の2以上の出席・3分の2以上の賛成、教授会は順位に従って投票し、出席者の3分の2以上の適票 |
| 香川大学教育学部(国立) | 委員会が書類で絞り、面接・模擬授業等→専門委員会→基盤整備委員会→教授会→学長に上申 | 教授会は無記名投票・投票総数の過半数 |
| 大分大学 教育学部門(国立) | 選定委員会が応募者から2人又は3人を選定→審査委員会が書類・面接・模擬授業又は講演会で審査し、任用適格者1人を決定 | — |
| 千葉県立保健医療大学(公立) | 教員資格審査委員会→教授会の投票→学長→知事に申し出 | 構成員の3分の2以上の出席、有効投票の過半数(白票は有効)。候補者1名なら信任投票 |
| 下関市立大学(公立) | 委員会が応募者全員の審査結果と推薦者を学長に報告→学長が決定→理事会の承認→理事長 | — |
6校の規程のどれにも、選考を何日以内に終えるという期間の定めはありませんでした(取れた範囲)。面接・模擬授業は、規程に書く大学(佐賀・香川・大分・千葉)と書かない大学があります。選考の経過と結果の公表を規程で定めた例は、佐賀大学理工学部の「学部長は,応募者のプライバシーに配慮した上で,教員選考の経過及び結果を公表するものとする。」(13条)でした。
学校教育法93条は、教授会が学長の決定に意見を述べる事項を定めています。文部科学省の平成26年の通知は、その「教育研究に関する重要な事項」に「教員の教育研究業績の審査等」が含まれるとし、最終的に判断するのは学長などだとしています。規程の上でも、教授会の投票のあとに学長・総長・理事長の決定が置かれています。
2-3. 要項の条件は、公募を出す前に委員会が決める
京都大学の規程は、選考の開始を求めるときに「当該教育研究組織の教育方針及び研究計画等を踏まえ、」「当該選考に係る諸条件を検討するものとする。」と定め(3条2項)、大分大学の規程は選定委員会が公募要領を作るとしています(5条2項)。東京工業大学の選考結果11件でも、第1回の選考委員会が公募の開始より前に開かれている例が多くありました。要項の専門分野・担当科目が細かく見えるのは、組織の教育・研究の計画から条件を先に決める手順だから、と読めます(当てはめ)。条件が細かいことだけから、内定者がいると読むことはできません。
3. 結果が遅い・連絡が来ない:何日かかるか
3-1. 締切から最終決定まで:東京工業大学の11件
東京工業大学(現・東京科学大学)の人事課のサイトには、教授・准教授の選考結果が公表されていて、公募期間・候補者数・選考委員会の開催日・教授会等への報告日・人事委員会の承認日が載っています。11件の日付から数えると次のとおりです(計算)。
| 区間 | 日数(11件) |
|---|---|
| 公募の締切→人事委員会の承認 | 66〜120日、中央値98日(約14週)、平均94.6日 |
| 公募の締切→最終の選考委員会 | 30〜103日、中央値49日 |
| 最終の選考委員会→人事委員会の承認 | 6〜60日、中央値36日 |
| 選考委員会の開催回数 | 4〜9回、中央値6回 |
締切から最終決定まで2〜4か月かかり、最終の選考委員会が終わってからも、教授会等への報告と人事委員会の承認で約1か月(中央値36日)かかっています(計算)。1つの国立大学の教授・准教授の例なので、ほかの大学・職名では違うことがあります。選考結果に面接の日は書かれていないので、「面接から結果まで」の日数はこの11件からは出せません。また、人事委員会の承認日は、応募者に結果が知らされる日ではありません。
3-2. 要項に書かれた日程
この記事で集めた公募要項20件のうち、書類選考の結果の時期を書いた要項は5件で、締切から3〜63日後でした(京都大学 人文科学研究所3〜12日〔9月中旬〕、北海学園大学 法学部6〜15日〔6月下旬〕、文教大学21〜31日〔10月下旬頃〕・32日〔8月5日頃〕、早稲田大学63日。計算)。面接の案内が来る時期の目安になります。面接の日を書いた要項は4件でした。締切から面接まで、京都大学 人文科学研究所18日、文教大学39日・63日、早稲田大学76日です(計算)。最終結果の時期まで書いた要項は4件で、締切から45〜54日後(下関市立大学の2件、「10月上旬頃」)、128〜138日後(北海学園大学 法学部、「10月下旬」)、137〜146日後(北海学園大学 教職課程、「9月下旬」)の予定でした(計算)。
2027年4月1日に着任する要項15件では、締切から着任まで122〜363日、中央値220日(約7.2か月)でした(計算)。「○月○日以降できるだけ早い時期」と書く要項も5件あります。
面接の日から結果までの日数を書いた要項は、20件中0件でした。公表例では、愛媛大学の平成27年の1件で、面接(10月27日)から人事委員会(11月4日)まで8日、教授会等(11月19日)まで23日でした(計算、古い1件)。
3-3. 結果の通知:要項の書き方
| 要項の書き方(20件を数えた値) | 件数 |
|---|---|
| 結果通知の時期を書いた | 8件(うち最終結果の時期まで書いたのは4件) |
| 書類審査の通過者にだけ連絡する・通過者には通知すると書いた | 4件 |
| 不採用の人に通知するか・しないかを書いた | 0件 |
| 選考過程・採否の理由を開示しない、問い合わせに答えないと書いた | 2件 |
| 応募書類を返却しない(原則・破棄を含む) | 15件 |
| 通知について記載なし | 10件 |
開示しないと書いた2件の文は、「選考過程および採否の理由については開示しません。」(京都大学 人文科学研究所)と「審査結果に関する問合せには回答できません。」(早稲田大学 社会科学総合学術院)です。
要項の段階では、不採用でも連絡が来るとは約束されていません。逆に、連絡が来ないことを、要項から「不採用」と読むこともできません(当てはめ)。結果の時期が書いてあれば、その時期を過ぎるまでは、遅いとは言えない段階です。
3-4. JREC-IN Portal の Web応募の応募状況
JST の求人機関向けの操作マニュアル(第1.6版、2026年3月31日)では、Web応募の応募状況に「応募受付」「受理済」「不採用(書類)」「不採用(面接)」「採用決定済」などがあり、「状況は応募者にも表示されます。」「応募状況の変更を応募者にE-mailで通知するかどうかを選択します。」と書かれています。機関が状況を変えなければ「応募受付」などのまま残ることも、仕組みの上ではありえます(当てはめ。そうした運用の頻度の統計はありません)。Web応募で出した公募は、応募状況の表示も確かめてください。
3-5. 結果が遅い理由を、規程から読む
規程から言えるのは次のことです(当てはめ)。
- 会議の段数が多い:委員会→教授会・学系会議→人事委員会・理事会など→学長・総長・理事長と、2〜4段を通る(2-2の表)
- 会議の成立に人数が要る:委員・構成員の3分の2以上の出席(佐賀大学理工学部・香川大学教育学部の委員会、千葉県立保健医療大学の教授会)
- 審議期間を置く:佐賀大学理工学部は教授会が「少なくとも1週間の審議期間をおいて」決定する
- 選考委員会を何度も開く:東京工業大学の11件で4〜9回
会議の段数や審議期間は、応募者の評価とは別に日数を要する要因です。ただし、個別の公募で結果が遅れている理由までは分かりません。佐賀大学理工学部の規程のように、教授会が選考委員会に再調査を求めることができる定めもあります(9条2項)。日程の例は8章の計算機1で、締切の日から出せます。
4. 面接は脈あり?面接に呼ばれる人数と、最終面接
4-1. 面接に呼ばれる人数:規程と公表例
| 資料 | 書き方 | 人数 |
|---|---|---|
| 大分大学 教育学部門の規程 5条3項 | 応募者の中から任用候補者を「2人又は3人選定」し、書類審査・面接・模擬授業又は講演会で審査(8条6項) | 2〜3人 |
| 香川大学教育学部の規程 5条2項 | 応募書類を審査し「候補者を絞り込んだ上で」面接・模擬授業等 | 数の定めなし |
| 愛媛大学の選考結果(平成29年、助教2件) | 「書類選考後,2人の候補者についてセミナー及び面接を行った。」 | 2人(応募7人・4人) |
| 公募要項20件 | 面接の人数を書いた要項 | 0件 |
大分大学では応募者から2〜3人を選んだ後に面接等を行い、愛媛大学にも2人を面接した例がありますが、全国で面接に何人呼ばれるかの傾向は分かりません。面接の人数を全国で集計した統計はありません。
4-2. 面接の様子から合否は読めない
面接での質問の中身や雰囲気と、合否の関係を調べた公的なデータは見つかりませんでした。規程では、面接のあとに次の手続きが続きます。
- 選考委員会が候補者に順位を付けて教授会に報告する(佐賀大学理工学部 8条)、任用適格者1人を決める(大分大学 教育学部門 8条5項)
- 教授会などが投票で決める(香川大学教育学部「その可否を無記名投票により決定する。」、佐賀大学理工学部「出席者の3分の2以上の適票を得た者を適格候補者とする。」)
- 学長・総長・理事長が決定する、理事会が承認する(京都大学・下関市立大学など)
面接で話した人が、最後に決める人の全員ではありません。教授会などの投票があとに続く規程では、面接の当日に最終的な結果が出る手続きにはなっていません(当てはめ)。面接の順番と合否の関係を示した公的な資料も見つかりませんでした。面接で研究の話が盛り上がった、採用後の話を聞かれた、といったことから合否を読む方法は、この手続きの上では成り立ちません(当てはめ)。
4-3. 面接が自分1人だけだったとき
面接が自分1人だったとき、外から見て区別できない場合がいくつかあります(当てはめ)。
- ほかの候補者が別の日・別の時間に面接を受けている
- 候補者が辞退した
- 書類の段階で候補者を1人に絞った(面接に進む人数を定めていない規程もあります。香川大学教育学部は「候補者を絞り込んだ上で」と書くだけです)
候補者が1人でも、投票で決まる規程があります。千葉県立保健医療大学は、教授会の投票で候補者1名の場合は信任投票とし、白票を有効投票に含めます(4条)。香川大学教育学部も、候補者の可否を無記名投票で決めます。1人だから採用が決まった、とは読めません。
4-4. 最終面接で落ちる:最終候補から1人を選ぶ規程
大分大学 教育学部門の規程のように、応募者から2〜3人を選んで審査し、任用適格者1人を決める手続きなら、最終候補のうち1〜2人は選ばれません(計算)。これは個別の規程に基づく計算で、面接を受けた人全体のうち何割が不採用になるかを示すものではありません。最終面接で落ちることは、こうした規程の上では起こりうることです。
候補者を必要な数だけ選べないときは、再公募にする規程もあります。大分大学 教育学部門の規程は「選定委員会は,前項に規定する候補者を必要数選定できなかった場合は,再公募等の措置を講ずるものとする。」(5条4項)と定めています。東京工業大学の選考結果11件にも、「再公募」と書かれた1件がありました。長野県が平成27年に新県立大学の教員を公募したときは、第2回の人文科学系(応募150人)・自然科学系(応募51人)がどちらも「該当者なし」でした(古い1例)。応募が多くても、条件に合う人がいなければ決まらないことがあります。
公募が続かない・決まらないとき、博士やポスドクの次の道を比べるなら、研究職はやめとけと言われる理由の記事で企業の研究職などへの転職を、ポスドクの末路の記事でポスドクの次の職の統計をまとめています。
5. 倍率と、公募が集まらない側
5-1. 全国の倍率の統計はない
大学教員の公募の倍率・面接に呼ばれる人数・学内からの昇任の割合を、全国で集計した国の統計は、この記事で調べた範囲(JST・NISTEP〔科学技術・学術政策研究所〕・文部科学省の資料)では見つかりませんでした。以下は個別の大学・論文の公表です。
5-2. 東京都立大学の111件(加藤2024の抄録)
抄録の数字は次のとおりです。
- 「2019年度から2021年度までの111件の公募に対する平均応募数は約15件であり、この中には183件など極端に応募数が多い公募も含まれていた。」
- 「競争倍率は理学部(平均応募数46.00)で高く、健康福祉学部(同3.69)で低いなど分野によって異なる。」
- 「また教授職や准教授職の競争倍率は助教職の約3倍など、職階によっても異なる。」
- 「教授職では昇任人事が8割弱を占めるなど、公募数の少なさによる影響も推察される。」
- 「任期のない公募の競争倍率は高いが、同公募の多くは教授職や准教授職で占められるなど職階による影響が考えられる。」
1つの公立大学・3年度の値で、著者も東京という立地の影響を挙げ、他大学の事例研究が必要だと書いています。全国の平均として使うことはできません。
5-3. ほかの公表例
| 公表元 | 数字 | 注意 |
|---|---|---|
| 東京工業大学の選考結果11件(教授4件・准教授7件、2021〜2024年の承認) | 「候補者数」8〜54名、中央値12名(教授 8・12・12・29名、准教授 8・9・10・20・29・43・54名) | 「候補者数」が応募者数と同じかは書かれていない。倍率とは呼ばない |
| 愛媛大学の選考経過及び選考結果6件(平成27年〜令和6年) | 応募者数 4・7・11・43・52・84人(中央値27人、計算) | 平成27〜29年度の古いものを含む |
| 高エネルギー加速器研究機構(KEK)の令和7年度の教員 | 1年間の応募110人・採用41人、競争倍率2.7(令和6年度は143人・61人、2.3) | 大学ではない研究機関の例。1年間の公募をまとめた倍率 |
東京工業大学の11件で選ばれた人は、学内から1人、他機関から10人でした(選考結果のPDFの記載から数えた値)。
5-4. 求人の数と、大学教員になった人の前職
JST の JREC-IN Portal の求人公募情報の掲載件数は、平成30年度18,907件、令和5年度26,422件(最多)、令和7年度25,503件でした(平成30年度の約1.35倍、計算)。大学以外の研究機関・企業などの求人も含む件数で、大学教員の公募だけの数ではありません。1件の公募に複数の職種を登録すると職種ごとに数える表もあるので、職種別の延べ(令和7年度45,725)を件数と読まないようにしてください。
文部科学省「学校教員統計調査」令和7年度(中間報告)では、令和6年度の1年間に新たに大学教員になった「採用」は12,041人で、採用前の状況は次のとおりです。
| 採用前の状況 | 人数 | 割合(計算) |
|---|---|---|
| 臨床医等 | 3,756人 | 31.2% |
| その他 | 2,764人 | 23.0% |
| 民間企業 | 1,383人 | 11.5% |
| 学部新規卒業者・大学院修了者 | 1,129人 | 9.4% |
| 研究所等の研究員 | 1,115人 | 9.3% |
| 研究所等のポストドクター | 647人 | 5.4% |
| 高校以下・専修・各種学校の教員から | 605人 | 5.0% |
| 官公庁 | 472人 | 3.9% |
| 自営業 | 170人 | 1.4% |
ほかの大学・短大・高専の本務教員から移った「転入」は別に5,200人で、そのうち大学教員から4,903人(国立から1,893人・公立から447人・私立から2,563人)でした。採用と転入をあわせた17,241人のうち、転入は30.2%です(計算)。すでに大学教員の人がほかの大学の公募で移ると「転入」、ポスドク・企業の研究者などが初めて大学教員になると「採用」に数えられます(当てはめ)。採用された人の年齢は30〜34歳が3,033人で最も多く(25.2%、計算)、40歳未満が7,419人(61.6%、計算)でした。
ポスドクから大学教員になったのは647人で、採用の5.4%です。ポスドクの人数・任期・次の職はポスドクの末路の記事に書いています。
5-5. 公募が集まらない側
応募の少ない公募は、分野によって出ます。都立大の111件でも、健康福祉学部の平均応募数は3.69でした。大分大学の規程のように、必要な数の候補者を選べなければ再公募と定める大学もあります。
若手の側では、大学の本務教員のうち40歳未満は21.8%(令和7年10月1日、国立23.5%・公立16.3%・私立21.4%)です。博士課程の入学者は、平成15年度の18,232人から令和4年度に14,382人まで減り、令和7年度は16,212人でした(学校基本調査。平成15年度の値は中央教育審議会 大学院部会の資料)。博士課程を出た人の就職率や、有期雇用で働く人の割合は、博士課程は人生終了?の記事で学校基本調査から出しています。
全国で何割の公募が応募不足なのかを示す統計は、見つかりませんでした。
6. コネ・出来レースと、条件付きの公募
公募が出来レースだった割合を示す統計は、見つかりませんでした。ここでは、コネ・出来レースと結びつけて語られやすいことのうち、公的な数字と法令で確かめられるものだけを並べます。どれも、個別の公募に内定者がいたかどうかを示すものではありません。
6-1. 自校出身者の比率
文部科学省「学校教員統計調査」令和7年度(中間報告)の表31では、大学の本務教員のうち、いま勤めている大学を卒業(修了)した人の比率は31.7%でした(令和7年10月1日)。注は「自校出身者の比率は本務教員総数のうち、現在勤務している学校を卒業(修了)した者の占める割合である。」です。
| 区分 | 自校出身者の比率 |
|---|---|
| 本務教員の計 | 31.7%(うち自校の学部を卒業した人 24.2%) |
| 30〜34歳 | 46.5% |
| 35〜39歳 | 43.1% |
| 40〜44歳 | 39.4% |
| 45〜49歳 | 32.3% |
| 50〜54歳 | 26.7% |
| 55〜59歳 | 24.5% |
| 60〜64歳 | 23.1% |
| 分野別(計) | 人文科学16.1%・社会科学14.7%・理学21.1%・工学28.7%・農学38.8%・保健48.1%・教育17.5%・芸術28.2% |
若い年齢ほど自校出身者の比率が高く、分野では保健・農学で高く、人文科学・社会科学で低い値です。この比率は、公募でない採用・昇任や、大学院を出てそのまま助教になった人も含む在職者の割合で、公募で自校出身者が選ばれた割合ではありません(当てはめ)。東京工業大学の選考結果11件では、選ばれた人は学内から1人、他機関から10人でした(5-3)。
6-2. 昇任人事と公募
都立大の111件の論文の抄録は「教授職では昇任人事が8割弱を占める」と書いています。教授のポストの多くが、公募ではなく学内の昇任で埋まった例です。公募で出てくる教授のポストが少ない、という意味で読むものです(当てはめ)。
中央教育審議会の大学の教員組織についての審議のまとめ(平成17年、古い資料)は、助教から准教授などへの昇進に「公募制とすること等により学内昇進を原則として行わない制度を導入することなども考えられる。」と書き、採用・昇進では「手続の透明性を確保しつつ、」公正で厳格な評価が必要だとしています。国の資料は昇進・採用の透明性を求めていますが、公募を義務にした法令・通知は見つかりませんでした(2-1)。
6-3. 年齢の条件
労働施策総合推進法9条は、募集・採用で「その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。」としています。大学(国立大学法人・公立大学法人・学校法人)も事業主なので、教員の公募でも年齢不問が原則です(当てはめ)。上限年齢を付けられるのは、同法施行規則1条の3第1項の例外のときです。
- 1号:定年の年齢を下回ることを条件にする募集(期間の定めのない労働契約に限る)
- 3号イ:長期間の継続勤務で能力を育てるため若年者などを募集する場合。期間の定めのない労働契約に限り、職業経験を条件にせず、学校を新たに卒業しようとする者として、または同等の処遇で募集する場合に限る
- 3号ロ:特定の年齢層の特定の職種の労働者が相当程度少ない場合の技能の継承(期間の定めのない労働契約に限る)
- 3号ニ:60歳以上の高年齢者の募集、国の施策を活用して特定の年齢層の雇用を促す場合 など
高年齢者雇用安定法20条は、65歳以下の一定の年齢を下回ることを募集の条件とする場合には、理由を示すことを求めています。任期付きの職に年齢の上限を付けることは、期間の定めのない労働契約に限る3号イ・ロの例外には当たりません(当てはめ)。ほかの号に当たるかは個別で、この記事は個別の要項が適法かどうかを判断しません。
この記事で集めた要項20件のうち、年齢の上限を書いた要項は1件で、要項に理由の記載は見当たりませんでした(取れた範囲)。「博士号取得後○年以内」を条件にした要項も1件(京都大学 人文科学研究所のテニュア・トラック准教授「採用時において博士号取得後7年以内の者」)ありました。これは年齢そのものの条件ではなく、9条の対象になるかを判断した公式の文は見つかりませんでした。
6-4. 女性限定・女性優先の公募
男女雇用機会均等法5条は募集・採用で性別にかかわりない機会を求め、8条は、男女の均等の支障となっている事情を改善するための女性労働者についての措置(ポジティブ・アクション)を妨げないと定めています。厚生労働省の指針は、女性が相当程度少ない区分の募集・採用で「採用の基準を満たす者の中から男性より女性を優先して採用すること」などは法違反とならないとしています。
大学の公表では、東京工業大学が2022年に8部局で女性限定の教授・准教授の公募を始め(根拠に「男女雇用機会均等法第8条に基づくポジティブアクション」)、2023年も8部局で公募しました(女性教員の割合は「12.2%」)。筑波大学は2025年に「全学で 20 名分の採用枠」の女性を対象とした公募を始めています(全教員に占める女性の割合は令和7年度20.7%)。要項20件では、13件が女性の応募の歓迎・優先を書き、8件が「評価(業績)が同等なら女性を優先」と明記していました。同等でない場合の扱いを変える文ではありません(要項の文言どおり)。
6-5. 任期・テニュアトラック
大学の教員等の任期に関する法律(任期法)は、任期を付けられる場合を、多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職、助教の職、特定の計画に基づき期間を定めて教育研究を行う職、としています(4条1項。国立大学法人・公立大学法人・学校法人は5条1項)。任期を付けるには、大学が任期の規則を定めて公表します(5条2項・4項)。任期法の任期で雇われた教員は、労働契約法18条の無期転換の「5年」が「10年」に読み替えられ(7条)、任期が始まって1年を過ぎれば本人の意思で退職できます(5条5項)。任期付きの雇用には任期法によらない有期の契約もあるので、要項・大学の任期の規則でどちらかを確かめてください(当てはめ)。任期と10年の扱い、任期の途中で辞めるときのことは大学教員をやめたい・転職したいの記事にまとめています。
文部科学省は、テニュアトラック制を「公正で透明性の高い選抜により採用された若手研究者が、審査を経てより安定的な職を得る前に任期付の雇用形態で自立した研究者として経験を積むことができる仕組み」と説明しています。要項20件では、任期付き・テニュアトラックが9件、任期なしを明記したものが4件、任期の記載がないものが7件で、テニュアトラック・テニュアへの移行を書いた要項は4件でした。
任期・年俸制は年収にも関わります。職名・国公私立別の年収や、任期付き・特任の教員の給与は大学教員の年収の記事に、企業などの研究者の年収との比べ方は研究職の年収の記事に書いています。
7. 書類・面接・模擬授業
7-1. 出す書類(要項20件を数えた値)
| 書類 | 求めた要項 | メモ |
|---|---|---|
| 履歴書 | 20件 | 指定の様式・写真の指定が多い。JREC-IN の様式や researchmap で代えられる要項もある |
| 業績一覧(研究業績目録・教育研究業績書) | 20件 | 所定の様式を指定する要項あり |
| 主要論文・著書の写し | 20件 | 3点・3篇以内10件、約3編2件、5点以内8件 |
| 研究計画・研究の抱負 | 19件 | 文字数の例は400〜2,000字 |
| 教育の抱負・教育計画 | 18件 | 研究と1つの書類で求める10件、別々に求める7件 |
| 論文・業績の要旨 | 11件 | 文字数の例は400〜1,200字 |
| 照会先(意見を伺える方)・推薦 | 7件 | 推薦書そのものを必須にした要項は0件 |
| 学位・学歴の証明 | 7件 | — |
| 競争的資金の獲得状況 | 4件 | — |
| シラバス | 2件 | 担当科目の授業計画(14回分・30回分の例) |
| 電子媒体(CD-R・USB) | 2件 | — |
7-2. 面接・模擬授業・応募方法
- 面接:20件すべてが書いていました。面接を行うと書いた要項13件、「必要に応じて」などと書いた要項7件。オンライン面接の可能性を書いた要項7件
- 模擬授業:明記3件、「お願いすることがあります」2件(計5件)。プレゼンテーションをお願いすることがあると書いた要項1件
- 面接の旅費:自己負担と明記した要項8件
- 応募方法:JREC-IN Portal の Web応募7件、郵送のみ6件、メール・アップロード4件、大学の応募フォーム・システム3件
規程では、佐賀大学理工学部が「面接,模擬授業,講義録等により,教育の能力を具体的に評価し」と定め、大分大学 教育学部門は「書類審査及び面接並びに模擬授業又は講演会」で審査します。千葉県立保健医療大学の規程は「面接審査前、面接審査の際などに、教員候補者に対して、採用条件を書面(電子媒体を含む)で明示すること。」としています。面接に呼ばれたら、任期・給与・着任日などの条件が書面で示されるかも確かめてください。
JREC-IN の Web応募で出す場合、京都大学 人文科学研究所の要項は、ファイルが30MBを超えるときの方法を案内していました。容量の上限は要項・応募先の案内で確かめてください。
8. 計算機:応募から採用までの日程/倍率と面接に呼ばれる人数/公募要項のチェック表/書類・面接・模擬授業の準備
4つは別々に使えます。
- 1. 応募から採用までの日程:公募の締切、面接の日、要項の着任予定日を入れると、要項に書かれた書類選考の結果の時期の例(締切から3〜63日後)と面接の時期の例(18〜76日後)、東京工業大学の11件の最終決定までの日数(66〜120日、中央値98日)を、あなたの日付に当てはめて出します。面接の日を入れると面接から今日までの日数を出しますが、面接の日から結果の日は出しません(面接の日から結果までの日数を書いた要項がないため)。今日が締切から何日かと、11件のうち今日の時点で承認まで進んでいた件数も出します。日付が読めないとき、面接の日が締切より前・着任予定日以降のとき、着任予定日が締切以前のときは日程を出しません
- 2. 倍率と面接に呼ばれる人数:分野・職名・任期・応募者数・いまの段階・面接に呼ばれた人数を選ぶと、都立大の111件の分野・職階の値、東京工業大学・愛媛大学の公表例、大分大学の規程の面接の人数を並べます。応募者数が5人以上なら大分大学の規程の2〜3人を当てはめた割合(計算)を、面接に呼ばれた人数を入れればあなた以外の候補の人数を出します。確率や面接に進めるかの推定は出しません
- 3. 公募要項のチェック表:職名・任期・給与・年齢などの条件・性別の書き方・担当科目・応募方法・旅費を選ぶと、確かめる点と、関係する条文・規程を出します。要項が適法かどうかは判断しません
- 4. 書類・面接・模擬授業の準備:締切・主要論文の本数・研究計画と教育の抱負・照会先・模擬授業・応募方法を選ぶと、要項20件で求められた書類の数と、面接の時期の例を出します
日数・件数は、この記事で見た規程・要項・公表資料の例で、全国の平均ではありません。
応募から採用までの日程/倍率と面接に呼ばれる人数/公募要項のチェック表/書類・面接・模擬授業の準備
入れた値は、このページの中で使うだけで、どこにも送られません。初めから入っている値は入力の例です。4つは別々に使えます。
1. 応募から採用までの日程
2. 倍率と面接に呼ばれる人数
3. 公募要項のチェック表
4. 書類・面接・模擬授業の準備
初めから入っている例は、計算機1が締切から60日たち、14日前に面接を受けた場合(ページを開いた日の端末の日付から入れています)、計算機4が締切まで30日の場合です。計算機1は、東京工業大学の11件のうち締切から60日で承認まで進んでいたものは0件、と出ます。
9. よくある質問
大学教員公募の面接は脈あり?どんなサインがありますか?
面接の質問や雰囲気と合否の関係を調べた公的なデータは見つかりませんでした。規程では、面接のあとに選考委員会の報告、教授会などの投票、学長などの決定が続くので、面接の場の感触から合否は読めません(当てはめ。4章)。
面接に呼ばれるのは何人くらいですか?
規程の例は「2人又は3人」(大分大学 教育学部門)で、2人を面接した公表例もあります(愛媛大学の助教2件)。この記事で集めた要項20件に、面接の人数を書いたものはありませんでした。全国で面接に何人呼ばれるかの傾向は分かりません(4章)。
面接が自分1人だけでした。採用は決まりですか?
決まりとは読めません。ほかの候補者が別の日に面接を受けている、辞退した、書類の段階で1人に絞ったなど、理由は外から区別できません。候補者が1人でも、教授会などの投票で決める規程があります(千葉県立保健医療大学は信任投票、香川大学教育学部は無記名投票。4章)。
書類選考の結果・面接の連絡はいつ来ますか?
書類選考の結果の時期を書いた要項5件では、締切から3〜63日後でした(計算)。面接の日を書いた要項4件では、締切から18〜76日後に面接がありました。書類の通過者にだけ連絡すると書いた要項が4件あります(3章、計算機1)。
面接の結果はいつ来ますか?遅いのは落ちたからですか?
面接から結果までの日数を書いた要項は見つかりませんでした。東京工業大学の11件では、締切から最終決定まで66〜120日(中央値98日)、最終の選考委員会から承認まで6〜60日(中央値36日)でした(計算)。人事委員会の承認日は、応募者に結果が知らされる日ではありません。会議の段数や審議期間は評価とは別に日数を要する要因ですが、個別の公募で結果が遅れている理由までは分からず、遅いことから合否は読めません(3章、計算機1)。
不採用だと連絡は来ないのですか?
要項20件のうち、不採用の人に通知するかどうかを書いたものは0件でした。連絡が来ないことを不採用と読むことも、連絡が来ると期待することも、要項からはできません。JREC-IN の Web応募なら、応募状況の表示も確かめてください(3章)。
最終面接で落ちるのはなぜですか?
大分大学 教育学部門のように2〜3人から1人を選ぶ規程なら、最終候補のうち1〜2人は選ばれません(計算)。個別の規程に基づく計算で、面接を受けた人全体の不採用の割合ではありません。必要な数の候補者を選べず再公募になる例や、該当者なしで終わる例もあります(4章)。
大学教員の公募の倍率はどれくらいですか?
全国の統計は見つかりませんでした。東京都立大学の111件(2019〜2021年度)では平均応募数が約15件で、理学部46.00、健康福祉学部3.69でした。教授職・准教授職の倍率は助教職の約3倍です(5章)。
大学教員の公募はコネ・出来レースですか?
出来レースの割合を示す統計はありません。公的な数字では、大学の本務教員の自校出身者は31.7%(令和7年度)、都立大の教授職は昇任人事が8割弱でした。どちらも個別の公募の結果を示すものではありません。要項の条件が細かいのは、公募を出す前に委員会が教育・研究の計画から条件を決める手順のため、と読めます(6章・2-3)。
年齢制限がある公募は違法ですか?
この記事は個別の要項の適否を判断しません。法令では、募集・採用は年齢不問が原則で(労働施策総合推進法9条)、上限年齢を付けられるのは施行規則1条の3の例外のときです。若年者の例外(3号イ)は、期間の定めのない労働契約などに限られます。65歳以下の一定の年齢を下回ることを募集の条件とする場合には、理由を示す義務があります(高年齢者雇用安定法20条。6-3)。
公募に人が集まらないのはなぜですか?
全国の統計はありませんが、分野で応募数が大きく違う例があります(都立大の健康福祉学部は平均3.69)。大学の本務教員のうち40歳未満は21.8%(令和7年度)で、博士課程の入学者は令和4年度の14,382人を底に、令和7年度は16,212人でした(5-5)。
模擬授業はありますか?
要項20件では、模擬授業を明記した要項が3件、「お願いすることがあります」が2件でした。規程で面接・模擬授業を定める大学もあります(佐賀大学理工学部・香川大学教育学部・大分大学 教育学部門。7章)。
10. まとめ
- 面接の様子から合否を読む公式の方法はない。面接のあとに委員会・教授会などの投票・学長などの決定が続く
- 面接に進む人数の規程の例は2〜3人(大分大学)。2〜3人から1人を選ぶ規程なら1〜2人は選ばれない(規程に基づく計算で、面接者全体の不採用の割合ではない)。全国の面接人数の傾向は分からない
- 面接が自分1人でも、決まったとは読めない。1人でも投票で決める規程がある
- 締切から最終決定まで66〜120日(東京工業大学の11件、中央値98日)。会議の段数・審議期間は日数を要する要因だが、個別の遅れの理由は分からない。不採用の通知の扱いを書いた要項は20件中0件で、連絡がないことから合否は読めない
- 全国の倍率の統計はない。都立大の111件で平均約15件、理学部46.00・健康福祉学部3.69
- 出来レースの割合の統計もない。自校出身者31.7%、都立大の教授職の昇任8割弱は、個別の公募の結果を示す数字ではない
- 年齢の上限・女性限定・任期・テニュアトラックは、法令と大学の規程で確かめられる。日程・人数・確かめる点は8章の計算機で出せる
11. 出典
- e-Gov 法令検索「大学設置基準」https://laws.e-gov.go.jp/law/331M50000080028
- e-Gov 法令検索「学校教育法」https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000026
- 文部科学省「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律及び学校教育法施行規則及び国立大学法人法施行規則の一部を改正する省令について(通知)」26文科高第441号(平成26年8月29日)https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/__icsFiles/afieldfile/2014/09/10/1351814_7.pdf
- e-Gov 法令検索「大学の教員等の任期に関する法律」https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000082
- e-Gov 法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(9条)https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132
- e-Gov 法令検索「同法施行規則」(1条の3)https://laws.e-gov.go.jp/law/341M50002000023
- e-Gov 法令検索「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(20条)https://laws.e-gov.go.jp/law/346AC0000000068
- e-Gov 法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(5条・8条)https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000113
- 厚生労働省 宮城労働局掲載「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針(抜粋)」https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/content/contents/posisisinn.pdf
- ハローワークインターネットサービス「年齢制限該当事由について」https://www.hellowork.mhlw.go.jp/enterprise/age_limit.html
- 京都大学「国立大学法人京都大学教員選考規程」https://www.kyoto-u.ac.jp/uni_int/kitei/reiki_honbun/w002RG00001364.html
- 佐賀大学「佐賀大学理工学部教員選考規程」https://www.saga-u.ac.jp/houmu/kisoku/riko/rikokyoin.htm
- 香川大学「香川大学教育学部教員選考規程」https://www.kagawa-u.ac.jp/somu/kisoku/reiki_honbun/x872RG00000550.html
- 大分大学「国立大学法人大分大学教育学部門における教育学部に係る教員選考規程」https://www.oita-u.ac.jp/kitei/15-gb01/gb53.pdf
- 千葉県「千葉県立保健医療大学教員選考規程」https://www.pref.chiba.lg.jp/hoidai/daigakuannai/johokokai/kitei/documents/04-19kyoinsenko.pdf
- 下関市立大学「下関市立大学教員採用選考規程」https://www.shimonoseki-cu.ac.jp/hojin/kitei_pdf/scu_42330.pdf
- 東京工業大学(現・東京科学大学)人事課「教授選考結果」「准教授選考結果」11件 R30413・R40411・R40412・R40405・R50102・R50413・R50417・R50801・R60426・R60411・R60428
- 愛媛大学「教員選考経過及び選考結果」6件 2016/04・2016/09・2017/06・2017/10・2024/05・2025/01
- 長野県「新県立大学の専任教員等の選考状況について」(平成27年)https://www.pref.nagano.lg.jp/ken-manabi/daigaku/kyoiku/gakko/kenritsu/setsuritsu/documents/10_setsuritsu6kai.pdf
- 高エネルギー加速器研究機構「男女別の採用における競争倍率の公表について」(令和8年6月)https://www.kek.jp/wp-content/uploads/2026/06/R7_hiring_ratio.pdf
- 加藤真紀「大学教員公募における競争:東京都の公立大学教員採用選考を事例として」『名古屋高等教育研究』第24巻 pp.181–202(2024年3月、名古屋大学高等教育研究センター)、名古屋大学学術機関リポジトリ https://nagoya.repo.nii.ac.jp/records/2009753
- JST JREC-IN Portal「令和7年度求人公募情報 機関種別×職種 登録件数一覧」https://jrecin.jst.go.jp/html/app/seek/html/r07/jobinfo2.pdf(令和5年度 r05/jobinfo2.pdf、平成30年度 h30/jobinfo3.pdf)
- JST「JREC-IN Portal 操作マニュアル」(求人機関向け、第1.6版 2026年3月31日)https://jrecin.jst.go.jp/html/app/offer/manuals/jrec-in-portal_recruiting_institutions_manual_ja.pdf
- 文部科学省「令和7年度学校教員統計(学校教員統計調査の結果)中間報告について」https://www.mext.go.jp/content/20260722-mxt_chousa01-000050797_1.pdf
- e-Stat 学校教員統計調査 令和7年度(中間報告)表34「年齢別 異動(採用・転入・離職)教員数」・表35「採用前の状況別 採用教員数(大学等)」・表36「転入前の状況別 転入教員数(大学等)」https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00400003&tstat=000001016172&cycle=0&tclass1=000001245116&tclass2=000001245123&tclass3=000001245125&layout=datalist&tclass4val=0
- e-Stat 学校教員統計調査 令和7年度(中間報告)表31「年齢区分別 専門分野別 本務教員の自校出身者の占める比率(大学)」https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00400003&tstat=000001016172&cycle=0&tclass1=000001245116&tclass2=000001245123&tclass3=000001245124&layout=datalist&tclass4val=0
- e-Stat 学校基本調査 令和7年度 表18「専攻分野別 大学院入学状況」https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00400001&tstat=000001011528&cycle=0&stat_infid=000040392737
- 中央教育審議会 大学分科会 大学院部会(第125回)参考資料3「大学院関連参考資料集 令和8年5月11日時点」https://www.mext.go.jp/content/20260511_mxt_daigakuc01_000049753_7.pdf
- 中央教育審議会 大学分科会「大学の教員組織の在り方について<審議のまとめ>」(平成17年1月24日)https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/houkoku/attach/1342439.htm
- 文部科学省「若手研究者への支援強化」https://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/wakate/index.htm
- 東京工業大学「東京工業大学8部局で女性教員の公募を開始」(2022年7月25日)https://www.titech.ac.jp/news/2022/064494、「東京工業大学の8部局で女性教員を公募(2023年度)」(2023年6月12日)https://www.titech.ac.jp/news/2023/066944
- 筑波大学「筑波大学『女性を対象とした教員公募』を開始」(2025年6月26日)https://www.tsukuba.ac.jp/pressrelease/pdf/20250626150000-1.pdf
- 公募要項(この記事で数えた20件のうち、本文で名前を出したもの):京都大学 人文科学研究所 准教授(テニュア・トラック)PDF、早稲田大学 社会科学総合学術院 PDF、文教大学 経営学部 PDF・教育学部 PDF、下関市立大学 経済学部 行政法・管理科学、北海学園大学 教職課程・法学部、法政大学 社会学部 PDF、九州大学 大学院人間環境学研究院 PDF
12. あわせて読む
- 助教授と准教授の違いは?教授・講師・助教・助手の序列と平均年齢(大学教員の職階・計算機つき)(教授・准教授・講師・助教の資格と違い)
- 准教授の年収はいくら?大学教授・講師・助教の年収を国立・私立・大学別に比較(任期付き・退職金・計算機つき)(職名・国公私立別の年収、任期付き・特任の給与)
- 大学教員をやめたい・転職したい|やめとけと言われる理由の統計、任期と10年ルール、転職先の年収、辞める時期と退職金(計算機つき)(任期・10年ルールと、大学教員を辞めるとき)
- ポスドクの末路はやばい?人数・年齢・給料・任期と次の職の統計(計算機つき)(ポスドクの人数・任期と、次の職に移る割合)
- 博士課程は人生終了?満期退学・単位取得退学とは、修了後の就職率と学位を取れる期限(計算機つき)(博士課程の修了後の就職率と有期雇用)
- 研究職はやめとけ?つらい・向いてないと言われる理由を統計で確かめる。辞めたいときの転職先と年収(計算機つき)(公募が続かないとき、企業の研究職などと比べる)
- 研究職の年収はなぜ低い?平均802万円でも低く感じる理由と、大学院卒・理系の職種との比べ方(2025年統計・計算機つき)(研究者の年収と、大学教員の年収の比べ方)
