「仕事を辞める勇気」について、私は会社を辞めた経験から書くことができません。正社員として働いたことがありません。私がやめたり抜けたりしたのは、内定、友人の会社、アルバイト、せどりと在庫を持つ商売、YouTubeの投稿の5つです。
「逃げてはいけないのか」には、雇われて働く仕事と、お金や時間を出した事業とを分けて答えます。雇われて働く仕事について、厚生労働省の「確かめよう労働条件」は「労働者は、原則として会社を退職することをいつでも申し入れることができます。」と書いています。退職を申し入れること自体を禁じる説明は、今回確認した公式資料では見つかりませんでした。ただし、いつ終わるかは、雇用の期間の定めがあるかどうかで説明が分かれます。
- 期間の定めがない雇用:民法627条1項により、雇用は申入れの日から2週間を経過することで終わります(3-1)
- 期間の定めがある雇用(有期労働契約):契約期間満了とともに労働契約が終わります。契約期間の途中でやめることについて、民法628条は、やむを得ない事由があるときは直ちに契約の解除ができ、その事由が当事者の一方の過失によって生じたときは相手方に損害賠償の責任を負う、としています(3-3)
就業規則に申出の期間が決まっているときや、内定の辞退にも、それぞれ説明があります(3章)。事業をやめたり抜けたりした例は、私の例として、起きたことだけを書きます。
| やめたこと | やめた理由・そのとき起きていたこと | そのあと |
|---|---|---|
| 内定の辞退 | 社会人になる確信が持てなかった。インターンでは、ホームページの更新に3〜4時間かけてもできず、隣では年下の先輩が怒られ続けていた。留年も決まった | もう一度就職活動をして証券会社を受けたが、最終で落ちた。そのあと、「行きたい会社がないなら自分で作るしかない」と考えて、古本の転売でやっていくと決めた |
| 友人の会社から抜けた | 中学の友人が始めたフリーペーパーの会社に加わったが、手応えがなく、耳鳴りがした | 途中で抜けた。入れた10万円とパソコンは戻らなかった |
| アルバイトを辞めた | 居心地が悪かった。辞めようとすると「無責任」「他の人が困る」と責められた | 辞めた |
| せどりと在庫を持つ商売をやめた | せどりの全手法を検証した。在庫を持つビジネスが好きではなくなった | プレイヤーを卒業した |
| YouTubeの投稿をやめた | 編集の手間:手間に見合わず、根性で編集を続けるのは無理だった。登録単価:SEOや広告のほうが安かった | 投稿をやめてから半年以上たったころ、収益化が外れた。売上には、ほぼ影響がなかった |
※法律の条文はe-Gov法令検索、厚生労働省と茨城労働局の説明はそれぞれの公式ページ、統計は厚生労働省の公表資料で、2026年10月30日に確かめたものです。この記事は、条文と公式の説明を引くだけで、個別の事情に当てはめた法律の判断はしません。
1. 私がやめた・抜けた5つのこと
私が書けるのは、この5つで起きたことだけです。やめた理由は、私が答えた範囲で書きます。
1-1. 内定の辞退:社会人になる確信が持てなかった
内定は取れましたが、社会人になる確信が持てませんでした。インターンでは、ホームページの更新に3〜4時間かけてもできませんでした。隣では、年下の先輩が怒られ続けていました。留年も決まり、内定を辞退しました。
内定を辞退したあと、もう一度就職活動をして証券会社を受けましたが、最終で落ちました。そのあと、「行きたい会社がないなら自分で作るしかない」と考えて、古本の転売でやっていくと決めました。就職活動で、ほかの大学の学生のレベルの高さを感じたことや、面接で落ち続けたことは、他人と比べてしまう劣等感|年下に仕入れを習い、後から来た人に抜かれた私が、比べる相手を変えて燃料にした話(計算機つき)に書きました。
1-2. 友人の会社:手応えがなく、耳鳴りがして抜けた
中学の友人が、フリーペーパーの会社を始めました。私も加わりましたが、手応えがなく、耳鳴りがして、途中で抜けました。入れた10万円とパソコンは戻りませんでした。この件は「友達と起業はやめとけ」を、友人の会社に10万円とパソコンを置いて抜けた側から書くに書きました。
人への期待の置き場を、気持ちではなく、契約や料金などの仕組みに変えた話は、人に期待しない方法|期待をなくさず、置き場を決まりへ。友人に先に出して回収ゼロ、人を育てられなかった私の3つ(計算機つき)に書きました。
※この記事では、耳鳴りの原因や、体の不調と仕事の関係は扱いません。不調が続くときや、生活に支障があるときは、医師への相談も検討してください。
1-3. アルバイト:居心地が悪く、辞めようとすると責められた
アルバイトを辞めた理由は、居心地が悪かったことです。そのアルバイト先は、私の言葉で書くと「辞めようとすると無責任、他の人が困ると責められる」ところでした。
アルバイト先で、「自分で考えてやれ」と言われて自分で考えると「それは違う、常識だろう」と言われた経験もあります。この話はダブルバインドとは|意味と例をわかりやすく。「自分で考えろ」を言われた側と、言った側の両方をやった私の話に書きました。この記事では、これを辞めた理由とは結びつけません。辞めた理由として私が挙げるのは、居心地が悪かったことです。
反対に、辞められた側になったこともあります。雇ったアルバイトに準備を求めたその日に、「無理だと思うのでやめます」と言われました。この話は口だけの人の末路|関係が切れるか、別の場所で繰り返すか。口だけだった私と、先に出した側から見た実例(計算機つき)に書きました。
1-4. せどりと在庫を持つ商売:全手法を検証して、プレイヤーを卒業した
せどりは、全手法を検証して、プレイヤーを卒業しました。在庫を持つビジネスも、好きではなくなりました。「飽きる」を「検証が終わった」と見る話は、飽き性は天才なのか|20年でせどりの全手法を検証して分かった「飽きる=検証が終わった」の判定式に書きました。
1-5. YouTube:手間に見合わず、投稿をやめた
YouTubeの投稿をやめたときにあったのは、別々の2つのことです。
- 編集の手間:手間に見合いませんでした。根性で編集を続けるのは無理でした
- 登録単価:メールの登録を集める手段としては、SEOや広告のほうが登録単価が安かった
投稿をやめてから半年以上たったころ、収益化が外れました。売上には、ほぼ影響がありませんでした。これは私のYouTubeで起きたことで、ほかの事業をやめたときにも同じになるとは言えません。収益化が外れたときの流れは、YouTubeの収益化停止|止まる理由と停止後の流れ(7日・21日・90日)、月1万円未満で外れた私の例(計算機つき)に書きました。
2. 「仕事を辞める」と「事業から撤退する」は分けて考える
私の5つは、3つに分かれます。働いている職場を辞めたのはアルバイト、就職する前に断ったのが内定、お金や時間を出した事業から抜けたのが、友人の会社、せどり、YouTubeです。
| 就労中の退職 | 内定の辞退 | 事業からの撤退 | |
|---|---|---|---|
| 私の例 | アルバイト | 内定の辞退 | 友人の会社、せどりと在庫を持つ商売、YouTube |
| この記事で引く公式の説明 | 民法627条(期間の定めがない)、628条(期間の定めがある)、労働基準法5条、厚生労働省と茨城労働局の説明(3-1〜3-4、3-6) | 厚生労働省「確かめよう労働条件」のQ&A(3-5) | 引かない。私の例で起きたことだけを書く(1章、5-3) |
就労中の退職では、いつ申し入れて、いつ終わるかに、法律の条文と厚生労働省の説明があります。説明は、雇用の期間の定めがあるかどうかで分かれています。
事業をやめた・抜けた3つについて、私が書けるのは、やめたときに起きていたことと、やめたあとのことだけです。
3. 辞める側の申入れ:条文と厚生労働省の説明
この章は、条文と公式の説明をそのまま引きます。個別の事情に当てはめた判断はしません。
3-1. 期間の定めがないとき:申入れの日から2週間(民法627条1項)
民法627条1項は、次のとおりです。
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」
厚生労働省の「確かめよう労働条件」は、「あらかじめ契約期間が定められていない場合は、民法の規定では、労働者は退職届を提出するなど退職の申し入れをすれば、2週間経過すれば辞めることができます(民法627①)。」と説明しています。
2週間の数え方について、茨城労働局のよくあるご質問のページは「退職の意思表示をしていれば、退職が伝わった日の翌日から起算して14日が経過すれば法律上退職は成立する」と書いています。このページには、掲載日や更新日の記載が見当たりませんでした。8章の計算機は、この「翌日から起算して14日」の14日目にあたる日付を出します。その日が始まった時点で退職が成立する、という意味ではありません。
627条の2項と3項は、「期間によって報酬を定めた場合」の規定です。現行の2項は「期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。」です(2026年10月30日にe-Gov法令検索で確認)。月給などで働く人に2項と3項がどう当てはまるかは、この記事では判断しません。
3-2. 「辞めさせてもらえない」と言われたとき
「確かめよう労働条件」は、「そこで、退職したいと申し出ても、人手不足などを理由に、すぐに辞めさせてもらえないことがあります。」と書いたうえで、「したがって、退職を申し出た以上、会社から上記のような対応をされたとしても、2週間を経過すれば、労働契約は終了したこと(退職したこと)となります。」と説明しています。この2週間は、3-1と同じく、あらかじめ契約期間が定められていない場合の説明です。
同じサイトの学生アルバイト向けのQ&A(PDF)には、「アルバイトを辞めさせてもらえません。「辞めるなら代わりのアルバイトを連れてこい」と言われます。」という問いがあります。答えは次のとおりです。
- 「アルバイトを含む労働者は、原則として会社を退職することをいつでも申し入れることができます。」
- 「あらかじめ契約期間が定められていないときは、法律では、労働者は退職届を提出するなど退職の申入れをすれば、2週間経てば辞めることができます(民法の規定)。」
- 「ただし、急に辞めてしまうと、アルバイト先が困ることもあるでしょうから、アルバイト先とよく話し合ってください。」
3-3. 期間の定めがあるとき:契約期間の満了と、やむを得ない事由(民法628条)
「確かめよう労働条件」は、「3か月間などあらかじめ契約期間の定めがある場合(有期労働契約)は、契約期間満了とともに労働契約が終了します。」と説明しています。
民法628条は、次のとおりです。
「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。」
何が「やむを得ない事由」に当たるかは、この記事では判断しません。
3-4. 就業規則に申出の期間が決まっているとき
茨城労働局の同じページは、「ただし、就業規則に退職の申出期間についての定めがあり、その期間が社会通念上著しく長期間でない場合(例えば、1ケ月前までの申出を規定している場合など)には、トラブル防止のために、まずは、就業規則の定めにそった申出をした方がよいでしょう。」とも書いています。
3-5. 内定の辞退
「確かめよう労働条件」のQ&A「採用の内定・内々定について、取消や辞退する場合の注意点」は、内定者側からの辞退について、次のように書いています。
- 「一方、内定者側からの内定辞退は、基本的に問題ないものの、それがあまりに信義則に反するような場合は、損害賠償を求められる可能性もあり得るので、誠実と言えるか否かについて考えておかなければなりません。」
- 「しかし、労働者の意思に反して労働契約の履行を義務づけることはできないため、損害賠償責任に止まります。」
3-6. 強制労働の禁止(労働基準法5条)
労働基準法5条は、「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。」です。この条文が個別の場合に当たるかどうかは、この記事では判断しません。
3-7. 迷ったときの公的な窓口
「確かめよう労働条件」は、「どう対応していったらいいのか不安や迷いを感じた時には、早めに、総合労働相談コーナーなど公的な相談窓口を活用されることをお勧めします。」と書いています。
4. 公的統計:辞めた人の理由と、辞めたあとの賃金
私は会社を辞めたことがないので、雇われて働いていた人の数字は、厚生労働省の統計で見ます。どれも「辞める勇気」を測った数字ではありません。
4-1. 前の職場を辞めた理由(雇用動向調査 令和7年、表5)
表5の対象は、「転職入職者のうち前職雇用者で調査時在籍者についてみたものである(自営業からの転職入職者を含まない)。」とされています。転職入職者は「入職前1年間に就業経験のある者をいう。」と定義されています。この「就業経験」について、用語の定義には「ただし、本調査においては「内職」や1か月未満の就業は含めない。」とあります。つまり、前の職場を辞めて別の事業所に入り、調査のときにそこにいた人についての数字です。辞めたまま次の職場に入っていない人は入っていません。
理由の中には「会社都合」や「定年・契約期間の満了」も入っています。自分から辞めた人だけの数字ではありません。
| 前職を辞めた理由(令和7年) | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 仕事の内容に興味を持てなかった | 5.2% | 4.6% |
| 能力・個性・資格を生かせなかった | 5.2% | 3.9% |
| 職場の人間関係が好ましくなかった | 8.9% | 11.5% |
| 会社の将来が不安だった | 6.9% | 4.3% |
| 給料等収入が少なかった | 9.9% | 8.6% |
| 労働時間、休日等の労働条件が悪かった | 8.5% | 12.9% |
| 結婚 | 0.5% | 1.4% |
| 出産・育児 | 0.5% | 1.6% |
| 介護・看護 | 0.8% | 1.0% |
| その他の個人的理由 | 16.8% | 23.8% |
| 定年・契約期間の満了 | 16.1% | 9.8% |
| 会社都合 | 5.3% | 6.2% |
| その他の理由(出向等を含む) | 12.1% | 7.8% |
出典:厚生労働省「雇用動向調査」令和7年 結果の概要「3 転職入職者の状況」表5(2026年8月31日公表)。計には理由不詳を含みます。
厚生労働省の説明は、「令和7(2025)年1年間の転職入職者が前職を辞めた理由をみると、男性は「その他の個人的理由」16.8%、「その他の理由(出向等を含む)」12.1%を除くと「定年・契約期間の満了」16.1%が最も多く、次いで「給料等収入が少なかった」9.9%となっている。女性は「その他の個人的理由」23.8%を除くと「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」12.9%が最も多く、次いで「職場の人間関係が好ましくなかった」11.5%となっている。」です。
表5の理由には、「辞めようとして責められた」「辞めにくかった」のような項目はありません。辞めるときに責められた人の割合に当たる数字は、今回確認した公式資料では見つかりませんでした。私のアルバイトの「居心地が悪かった」が表5のどの理由に当たるかは書きません。私の例を、調査の分類に当てはめることはしません。
4-2. 辞めて次の職場に入った人の賃金(表6)
表6も、表5と同じ対象の数字です。厚生労働省の説明は、「令和7(2025)年1年間の転職入職者の賃金変動状況をみると、前職の賃金と比べ「増加」した割合は 40.8%、「減少」した割合は 31.0%、「変わらない」の割合は 25.5%となっている。さらに、「1割以上の増加」は 28.2%、「1割以上の減少」は 21.9%となっている。」です。
| 年齢(令和7年) | 増加 | 変わらない | 減少 |
|---|---|---|---|
| 計 | 40.8% | 25.5% | 31.0% |
| 25〜29歳 | 49.8% | 25.0% | 23.9% |
| 30〜34歳 | 48.6% | 20.8% | 29.0% |
| 35〜39歳 | 43.5% | 28.1% | 23.9% |
| 40〜44歳 | 44.9% | 24.6% | 27.4% |
| 45〜49歳 | 41.1% | 28.0% | 30.1% |
| 50〜54歳 | 29.4% | 26.7% | 42.0% |
| 55〜59歳 | 25.5% | 33.0% | 38.9% |
出典:厚生労働省「雇用動向調査」令和7年 結果の概要「3 転職入職者の状況」表6。公表資料の数字をそのまま載せています。3つを足しても100にはなりません。表を短くするため、25〜59歳の行だけを載せています。原表には、19歳以下、20〜24歳、60〜64歳、65歳以上の行もあります。
辞めたあと次の職場に入っていない人は、この数字に入っていません。転職して後悔したときの選び方は、転職に失敗・後悔したら?賃金が下がる割合(年齢別の統計)、すぐ辞める場合の失業保険、出戻り・再転職・とどまるの比較、求人と違うとき(計算機つき)に書きました。
4-3. 新卒で入った会社を3年以内に辞めた割合
厚生労働省は、令和5年3月に卒業した人について、「就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が36.9%(前年度と比較して1.0ポイント低下)、新規大学卒就職者が31.2%(同2.6ポイント低下)となりました。」と公表しています(2026年10月23日)。
| 学歴(令和5年3月卒) | 3年以内の離職率 |
|---|---|
| 中学 | 54.5% |
| 高校 | 36.9% |
| 短大等 | 43.1% |
| 大学 | 31.2% |
大学卒の31.2%の内訳は、1年目11.0%、2年目10.9%、3年目9.3%です。大学卒を事業所の規模別に見ると、5人未満58.2%、5〜29人50.6%、30〜99人39.7%、100〜499人31.7%、500〜999人29.0%、1,000人以上24.2%です。
この数字は、「離職理由や離職後の就業の状態に関わらず離職者として算出している」ものです。辞めた理由や、辞めたあとに働いているかどうかは分けていません。
5. 逃げてはいけないのか:条文と、私の5つの例から言えること
雇われて働く仕事と、お金や時間を出した事業とで、分けて書きます。
5-1. 雇われて働く仕事:公式の説明は「いつでも申し入れることができます」
雇われて働く仕事について、厚生労働省の説明は「原則として会社を退職することをいつでも申し入れることができます」です。使用者が、暴行、脅迫、監禁その他、精神または身体の自由を不当に拘束する手段で、労働者の意思に反して労働を強制することは、労働基準法5条で禁じられています。退職を申し入れること自体を禁じる説明は、今回確認した公式資料では見つかりませんでした。
いつ終わるかは、雇用の期間の定めで分かれます。
- 期間の定めがない雇用:申入れの日から2週間を経過することで雇用は終わる(民法627条1項、3-1)
- 期間の定めがある雇用:契約期間の満了で労働契約が終わる。契約期間の途中でやめることについては、やむを得ない事由があるときは直ちに解除でき、その事由が当事者の一方の過失によるときは損害賠償の責任を負う(民法628条、3-3)
ほかにも、公式の説明には次のことが書いてあります。
- 就業規則に申出の期間があり、それが社会通念上著しく長期間でないときは、まず就業規則の定めにそった申出をしたほうがよい(3-4)
- 内定の辞退は基本的に問題ないが、あまりに信義則に反する場合は、損害賠償を求められる可能性もある(3-5)
- 急に辞めるとアルバイト先が困ることもあるので、よく話し合うように(3-2)
5-2. 「無責任」「他の人が困る」と言われたとき
私がアルバイトを辞めようとしたときに言われたのは、「無責任」「他の人が困る」でした。公式Q&Aの問いにある「辞めるなら代わりのアルバイトを連れてこい」とは、同じ言葉ではありません。
公式の説明は、期間の定めがなければ申入れから2週間で辞められることと、急に辞めるとアルバイト先が困ることもあるのでよく話し合うことの、両方を書いています。どちらか一方だけではありません。
5-3. お金や時間を出した事業:やめた・抜けたあとに起きたこと
事業をやめた・抜けた3つでは、そのあと、次のことが起きました。
| やめた・抜けたこと | そのあとに起きたこと |
|---|---|
| 友人の会社 | 入れた10万円とパソコンは戻らなかった |
| せどりと在庫を持つ商売 | プレイヤーを卒業した |
| YouTubeの投稿 | 投稿をやめてから半年以上たったころ、収益化が外れた。売上には、ほぼ影響がなかった |
この3つを、逃げだったかどうかで分けることはしません。やめた理由も、やめたあとに起きたことも、それぞれ違います。
この記事としての提案は、「逃げてはいけないのか」という問いを、次の2つの問いに置き換えることです。
- 雇われて働く仕事なら、「契約の上では、いつ終わるか」(3章と8章の計算機)
- お金や時間を出す事業なら、「続けるのに、どれだけ時間がかかるか」と「同じ目的に、もっと安い手段があるか」を別々に見る(私のYouTubeでは、前者が編集の手間、後者がSEOや広告の登録単価でした)
YouTubeの投稿をやめて、売上にほぼ影響がなかったのは、私の場合です。ほかの事業をやめたときに同じになるとは言えません。
6. 辞めると決める前に確かめること
辞めるかどうかを今日決めなくても、確かめられることがあります。ここに挙げるのは、3章の条文と公式の説明に出てくることだけです。
- 雇用の期間の定めがあるか:期間の定めがないときは民法627条1項(3-1)、あるときは契約期間の満了と民法628条(3-3)の説明になります
- 就業規則に、退職の申出の期間が決まっているか(3-4)
- 退職の意思が会社に伝わる日:茨城労働局の説明は、伝わった日の翌日から起算して14日です(3-1)。8章の計算機で日付を数えられます
- 内定の段階なら、内定の辞退についての説明(3-5)
相談先として、「確かめよう労働条件」は、不安や迷いを感じた時に、早めに総合労働相談コーナーなど公的な相談窓口を活用することを勧めています(3-7)。挙げられているのは、辞めると決めたあとではなく、不安や迷いを感じた時です。
7. 辞める勇気が出ない・言い出せないとき
辞める勇気の出し方を、私は書けません。会社を辞めたことがないからです。この記事で出せるのは、次のことです。
- 期間の定めがない雇用で、退職の意思が会社に伝わった日から数えた14日目の日付:8章の計算機で出せます
- 自分で言い出せないとき:自分で辞められるかの判定と、退職代行の民間・労働組合・弁護士でできることの違いは、退職代行とは?自分で辞められるかの判定、民間・労働組合・弁護士でできることの違い、使ったときの日程とお金、損害賠償と言われたとき(計算機つき)に書きました
- 辞めたあとのお金:辞めた人の理由と、次が決まるまでの期間、辞めたら何か月もつかの計算は、40代で仕事を辞めたいのは甘え?辞めた人の理由と、次が決まるまでの期間、辞めたら何か月もつか(計算機つき)に書きました
- 続ける元気が出ないとき:私がしている運動、AIに下書きをさせること、やる気に頼らず仕組みや時間の枠で動くことは、やる気の出し方|出ない日に私がやる3つ。運動・ジム週3〜4回、AIの下書き、やる気に頼らない(計算機つき)に書きました
元気が出ないからといって、それだけで病気だと決まるわけではありません。ただ、強い不調が続くときや、生活に支障が出ているときは、医師などへの相談も検討してください。
8. 退職の意思が会社に伝わった日から、14日目の日付を数える(計算機)
退職の意思が会社に伝わった日を入れると、期間の定めがない雇用について、伝わった日の翌日を1日目として数えた14日目にあたる日付を出します。退職届を送った日や、伝える予定の日ではありません。就業規則などで申出の期間が決まっているときは、その日数を入れると、伝わった日にその日数を足した日付も出します。期間の定めがあるときは、契約期間の終わる日までの日数と、3章の公式の説明を出します。
出すのは、暦の日数を単純に足した日付だけです。14日目にあたる日が始まった時点で退職が成立する、という意味ではありません。就業規則の決まりの数え方やその効力、辞めるかどうか、退職が成立するかどうかは判定しません。
退職の意思が会社に伝わった日から、14日目の日付を数える
入れた値は、このページの中で使うだけで、どこにも送られません。初めから入っている値は入力の例です。日付は「2026/11/2」「2026-11-02」「2026年11月2日」のように入れます(数字は全角でも使えます)。扱う日付は2000年から2100年までです。日数は「30」「30日」のような整数で、1日から365日まで入れられます。
退職届を送った日や、伝える予定の日ではなく、退職したいという意思が会社に伝わった日を入れます。茨城労働局の説明は「退職が伝わった日の翌日から起算」して14日です。
出すのは、伝わった日に日数を足しただけの日付(暦の日数の単純計算)です。就業規則の「1か月前」のような決まりの数え方や、その決まりが有効かどうかは判定しません。
9. 計算機の出力例
2026年10月30日に計算した例です。日付は計算機の例として置いたもので、私の予定ではありません。公式の説明を引いた行は、3章と同じ文なので省いています。
9-1. 初めから入っている値(伝わった日2026年11月2日、期間の定めがない、就業規則の期間は空)
- 【1 退職の意思が会社に伝わった日】2026年11月2日(月)
- 【2 期間の定めがないとき(民法627条1項)】伝わった日の翌日を1日目として数えた14日目:2026年11月16日(月)
- 【2 期間の定めがないとき(民法627条1項)】14日目にあたる日が始まった時点で退職が成立する、という意味ではありません(茨城労働局の文は「14日が経過すれば」です)。
- 【2 期間の定めがないとき(民法627条1項)】就業規則などで退職の申出の期間が決まっているときは、その日数を入れると、伝わった日から数えた日付も出します。
9-2. 期間の定めが分からず、就業規則の期間が30日の例(伝わった日2026年12月25日)
- 【1 退職の意思が会社に伝わった日】2026年12月25日(金)
- 【1 退職の意思が会社に伝わった日】雇用の期間の定めが「分からない」なので、期間の定めがないときと、あるときの両方の説明を出します。どちらが当てはまるかで、終わり方の説明が変わります。
- 【2 期間の定めがないとき(民法627条1項)】伝わった日の翌日を1日目として数えた14日目:2027年1月8日(金)
- 【2 期間の定めがないとき(民法627条1項)】14日目にあたる日が始まった時点で退職が成立する、という意味ではありません(茨城労働局の文は「14日が経過すれば」です)。
- 【2 期間の定めがないとき(民法627条1項)】就業規則などの申出の期間(30日):伝わった日の30日後は2027年1月24日(日)
- 【2 期間の定めがないとき(民法627条1項)】この日付は、暦の日数を単純に足したものです。就業規則の決まりの数え方(伝わった日を含めるか、「1か月前」をどう数えるかなど)や、その決まりが有効かどうかは判定しません。
9-3. 期間の定めがある例(伝わった日2026年11月2日、契約期間の終わる日2027年3月31日)
- 【1 退職の意思が会社に伝わった日】2026年11月2日(月)
- 【2 期間の定めがあるとき(有期労働契約)】契約期間の終わる日:2027年3月31日(水)。伝わった日の149日後です。
9-4. 入力の誤りの例(伝わった日「2026/2/29」、就業規則の期間「1か月」)
- 【入力の確認】退職の意思が会社に伝わった日の「2026/2/29」は、カレンダーにない日付です。
- 【入力の確認】就業規則などで決まっている退職の申出の期間は、日数を整数1つで入れてください。「30」「30日」「30」のような書き方ができます。小数点、マイナス、途中の空白、カンマ、「1か月」「2週間」のような書き方は使えません。
10. よくある質問
仕事を辞める勇気が出ないときは?
勇気の出し方は、会社を辞めたことがない私には書けません。書けるのは、期間の定めがない雇用なら申入れの日から2週間を経過することで雇用が終わる、という民法627条1項の条文と、その日付を数える8章の計算機です。
仕事を辞めたほうがいいサインは?
辞めたほうがいいかどうかを見分けるサインを、私は持っていません。私の5つの例で、やめた理由やそのとき起きていたことは、冒頭の表のとおりです。強い不調が続くときや、生活に支障が出ているときは、医師などへの相談も検討してください。
辞めたいと言い出せないときは?
厚生労働省の「確かめよう労働条件」は、不安や迷いを感じたときに、早めに総合労働相談コーナーなど公的な相談窓口を活用することを勧めています。辞めると決める前に確かめられることは6章に、自分で辞められるかの判定と、退職代行でできることの違いは、7章で紹介した記事に書きました。
「無責任」「他の人が困る」と言われて、辞めさせてもらえないときは?
「確かめよう労働条件」は、人手不足などを理由にすぐに辞めさせてもらえない場合でも、あらかじめ契約期間が定められていなければ、退職を申し出て2週間を経過すれば労働契約は終了したことになる、と説明しています。学生アルバイト向けのQ&Aには、アルバイト先とよく話し合うようにとも書いてあります(3-2)。
逃げたらだめって本当?逃げてはいけないのはなぜ?
雇われて働く仕事について、厚生労働省の説明は「原則として会社を退職することをいつでも申し入れることができます」です。退職を申し入れること自体を禁じる説明は、今回確認した公式資料では見つかりませんでした。ただし、期間の定めで説明が分かれます。期間の定めがない雇用は、申入れの日から2週間を経過することで終わります(民法627条1項)。期間の定めがある雇用は、契約期間の満了で終わり、途中でやめることについては、やむを得ない事由があるときは直ちに解除でき、その事由が当事者の一方の過失によるときは損害賠償の責任を負う、とされています(民法628条)。就業規則に申出の期間があるときや、内定の辞退にも、それぞれ説明があります(3章)。
逃げていい時と逃げてはいけない時は?
2つを分ける基準を、私は持っていません。この記事としての提案は、雇われて働く仕事なら「契約の上では、いつ終わるか」を、お金や時間を出す事業なら「続けるのに、どれだけ時間がかかるか」と「同じ目的に、もっと安い手段があるか」を、別々に確かめることです(5-3)。
逃げ癖は何が悪い?
「逃げ癖」の定義は、今回確認した公式資料では見つかりませんでした。私は5つのことをやめていますが、やめた理由はそれぞれ違います。それを「逃げ癖」と呼ぶかどうかは、この記事では決めません。
迷った時はやめる?
迷ったときにやめるかどうかの決まりを、この記事は出しません。私の例では、YouTubeは、編集の手間に見合わなかったことと、SEOや広告のほうが登録単価が安かったことがあって投稿をやめ、売上にはほぼ影響がありませんでした。友人の会社は途中で抜け、入れた10万円とパソコンは戻りませんでした。どちらも私の場合で、ほかの人やほかの事業に当てはまるとは言えません。
会社を辞める勇気も、続ける元気もないときは?
元気が出ないからといって、それだけで病気だと決まるわけではありません。強い不調が続くときや、生活に支障が出ているときは、医師などへの相談も検討してください。辞めたあとのお金と、続ける元気が出ないときの話は、7章で紹介した記事に書きました。
退職を申し入れてから、何日で辞められる?
期間の定めがない雇用なら、民法627条1項で、雇用は申入れの日から2週間を経過することで終わります。茨城労働局の説明では、退職が伝わった日の翌日から起算して14日が経過すれば法律上退職は成立する、とされています。期間の定めがある雇用は、契約期間の満了で終わります。契約期間の途中でやめることについては、民法628条のやむを得ない事由の説明があります(3-3)。就業規則に申出の期間があるときは3-4の説明があります。8章の計算機で、伝わった日から数えた14日目にあたる日付を出せます。
内定の辞退は逃げになる?
逃げかどうかは、この記事では決めません。厚生労働省のQ&Aは、内定者側からの内定辞退は基本的に問題ないとしたうえで、あまりに信義則に反するような場合は損害賠償を求められる可能性もあり得る、としています(3-5)。私は、内定を辞退しました。
11. まとめ
- 私は正社員として働いたことがなく、会社を辞めた経験はない。やめた・抜けたのは、内定、友人の会社、アルバイト、せどりと在庫を持つ商売、YouTubeの投稿の5つ
- 雇われて働く仕事について、厚生労働省は「原則として会社を退職することをいつでも申し入れることができます」と説明している。期間の定めがない雇用は、申入れの日から2週間を経過することで終わる(民法627条1項)。期間の定めがある雇用は契約期間の満了で終わり、途中でやめることには民法628条(やむを得ない事由)の説明がある
- 就業規則に申出の期間があるとき、内定の辞退にも、それぞれ別の説明がある。迷ったときの窓口として、総合労働相談コーナーなど公的な相談窓口が挙げられている
- 前の職場を辞めた理由(表5)と賃金の変化(表6、増加40.8%・減少31.0%・変わらない25.5%)は、辞めて次の職場に入った人の数字。表5には会社都合や契約期間の満了も入っている。辞めるときに責められた人の割合は、今回確認した公式資料では見つからなかった
- 事業をやめた・抜けた3つは、逃げかどうかで分けない。この記事としての提案は、雇われて働く仕事なら「契約の上では、いつ終わるか」、事業なら「続けるのに、どれだけ時間がかかるか」と「同じ目的に、もっと安い手段があるか」の問いに置き換えること
12. 出典
- 厚生労働省「雇用動向調査」令和7年 結果の概要(2026年8月31日公表):https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/index.html
- 同「3 転職入職者の状況」(表5・表6):https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/dl/kekka_gaiyo-03.pdf
- 同「用語の定義」:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/dl/yougo.pdf
- 厚生労働省 報道発表「~就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者36.9%、新規大卒就職者31.2%~」(2026年10月23日):https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00011.html
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137940.html
- e-Gov法令検索 民法(627条・628条):https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- e-Gov法令検索 労働基準法(5条):https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」(アルバイトを辞めるときの説明):https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/study/roudousya_parttime.html
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」(学生アルバイトのトラブルQ&A、PDF):https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/pdf/parttime_qa.pdf
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A「採用の内定・内々定について、取消や辞退する場合の注意点」:https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/koyou/q4.html
- 茨城労働局「やめたいのにダメと言われて困ってる」(よくあるご質問):https://jsite.mhlw.go.jp/ibaraki-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/shurouchu/worker_d/qa_wyametai.html
13. あわせて読む
14. この記事について
この記事は、正社員として働いたことがない私が、内定、友人の会社、アルバイト、せどりと在庫を持つ商売、YouTubeの投稿をやめた・抜けた経験と、民法・労働基準法の条文(e-Gov法令検索)、厚生労働省と茨城労働局の説明、厚生労働省の統計(2026年10月30日に確認)をもとに書きました。条文と公式の説明は引用だけにとどめ、個別の事情に当てはめた法律の判断はしていません。体の不調や病気が関わるかどうかは、この記事では扱っていません。
