退職代行とは?自分で辞められるかの判定、民間・労働組合・弁護士でできることの違い、使ったときの日程とお金、損害賠償と言われたとき(計算機つき)

退職代行:自分で辞められるか、民間・労組・弁護士の違い、損害賠償と言われたら 生き方・キャリア

「退職代行」「退職代行 違法」「退職代行 弁護士 労働組合 違い」「退職代行 損害賠償」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。

退職代行は法律の用語ではなく、退職代行の扱いを説明した厚生労働省・労働局の資料は見つかりませんでした。大阪労働局が管内の企業に聞き取りをした調査では、いわゆる「退職代行サービス」を利用した離職が「有った」と答えた企業が48.7%でした(令和7年8〜9月、319社。企業の回答の割合で、全国の労働者の利用率ではありません)。辞める決まりそのものは、退職代行を使っても使わなくても同じです。正社員など期間の定めのない雇用なら、辞める意思が会社に届いた日の翌日から数えて2週間で雇用が終わり、会社の承認は要りません(民法627条1項)。期間の定めのある雇用は、原則としてやむを得ない事由が要りますが(民法628条)、期間が1年を超える契約は初日から1年たてば申し出ていつでも辞められ(労働基準法137条)、明示された労働条件が事実と違えば即時に解除できます(同15条2項)。運営元による違いは、弁護士法72条から考えます。弁護士でない者が報酬を得る目的で、法律事件について代理や和解などの法律事務を扱ったり、その周旋をしたりすることを業とするのは禁止です。東京弁護士会は、業者が本人に代わって残業代などの法律的な問題を会社と話し合うことを非弁行為の事例に挙げ、労働組合の行為も必ず非弁行為にならないとは限らないとしています。民間・労働組合・弁護士を並べて比べた公式の資料はなく、この記事の比べ方は条文からの当てはめです。2026年6月には、退職手続の代理を必要とする人の紹介を弁護士でない者から受けた弁護士法人と代表弁護士に、東京地方裁判所が有罪の判決を出しています。全国の利用率・利用件数や料金の公的な統計は見つかりませんでした。「辞めたら損害賠償」と言われても、違約金や賠償額を前もって決めることは禁止で(労働基準法16条)、損害賠償と給料を一方的に相殺することも許されないとされています(同24条、最高裁判決)。ただし、実際に生じた損害の請求まで禁じられているわけではなく、払う義務があるかを最後に決めるのは裁判所です。届く日・契約・有給の残りから、法律の決まりで辞められる日、運営元ごとにできること、有給・最後の給料・離職票・失業保険の日付、会社に言われたことごとの決まりを出す計算機を10章に置きました。

知りたいこと 答え 章
退職代行とは 法律の用語ではない。扱いを説明した公式の資料は、東京弁護士会の3件と、裁判所の判決(刑事1件・民事1件)。厚生労働省・労働局の説明は見つからない 2章
使われている状況 大阪労働局の企業への聞き取り(319社)で、退職代行サービスを利用した離職が「有った」企業は48.7%。企業の回答の割合で、全国の利用率ではない。全国の利用率・件数の公的な統計は見つからない 8章
自分で辞められるか 期間の定めのない雇用なら、届いた日の翌日から2週間で終わり、会社の承認は要らない(民法627条1項)。期間の定めのある雇用は、やむを得ない事由(民法628条)、1年を超える契約の1年経過後(労働基準法137条)、労働条件の相違(同15条2項) 3章
民間・労働組合・弁護士の違い 弁護士でない者が、報酬を得る目的で、業として、法律事件について交渉などの法律事務を扱うのは禁止(弁護士法72条)。労働組合には団体交渉権があるが、組合の実態や交渉の中身により、東京弁護士会は非弁行為にならないとは限らないとする。表は条文からの当てはめ 4章
料金 公的な統計は見つからない 4章
判決 東京地裁令和8年6月5日:紹介を受けた弁護士法人と代表弁護士が有罪。大阪地裁令和7年1月27日:引継ぎについての会社の主張を退けた(1件の地裁の判断) 5章
日程とお金 有給は退職日を超えて時季を変えられない。最後の給料は請求から7日以内(労働基準法23条)。源泉徴収票は退職の日以後1か月以内。自己都合の給付制限は原則1か月 6章
損害賠償・懲戒と言われたら 違約金・賠償額の予定は禁止(16条)、損害賠償と給料の一方的な相殺も不可(24条)。実際の損害の請求までは禁じていない。懲戒には合理的な理由と相当性が要る(労働契約法15条) 7章
相談の件数 令和7年度の総合労働相談で「自己都合退職」は38,386件 8章
自分の場合 辞められる日・運営元ごとにできること・日程・言われたことの決まりを計算 10章

1. 先に、この記事の数字について

この記事の決まりと日付は、民法・労働基準法・労働契約法・弁護士法・労働組合法・雇用保険法・所得税法などの条文(e-Gov法令検索、2026年10月24日時点の現行版)と、裁判所の判決、厚生労働省・労働局・労働基準監督署・ハローワーク、東京弁護士会、法テラス、国民生活センターなどの公式の資料から取り、計算機にしています。退職代行の扱いを説明した国の資料は見つからなかったため、条文や公式の説明を退職代行の場面に当てはめて書いたところは「当てはめ」と書いています。公式の資料で確かめられなかったことは「未確認」と書き、推測では埋めていません。退職の効力や、損害賠償・懲戒が有効かどうかを最後に決めるのは裁判所、失業保険の離職理由を最後に決めるのはハローワークです。この記事では、特定の退職代行サービスの紹介・比較・おすすめはしていません。

2. 退職代行とは:法律の用語ではない

この記事では、本人に代わって会社に退職の意思を伝えるサービスを「退職代行」と呼びます。法律に「退職代行」の定義はなく、運営しているのが民間の会社か、労働組合か、弁護士かで、できることが変わります(4章)。

退職代行を名指しした公式の資料を探したところ、退職代行の扱いを説明したものとして見つかったのは、東京弁護士会の3件(2024年11月22日・2025年10月22日・2026年7月3日)と、裁判所の判決2件(5章)でした。労働局の資料では、大阪労働局が管内の企業への聞き取りの結果を公表しています(8章)。厚生労働省・都道府県労働局・日本弁護士連合会・国民生活センター・消費者庁・警察の資料では、退職代行の扱いを説明したものは見つかりませんでした(見つからなかったことは、ないことの証明ではありません)。都道府県の労働委員会では、愛媛県労働委員会が「退職代行について」という資料(令和7年3月作成)を出しています。

全国の労働者の利用率・利用件数や、料金の公的な統計は見つかりませんでした。大阪労働局の調査は、大阪の企業の回答の割合です(8章)。検索で出てくるほかの数字は民間の調査で、この記事では使っていません。

3. 自分で辞められるか

3-1. 正社員など:届いた日の翌日から2週間

期間の定めのない雇用は、いつでも辞めると申し入れることができ、申し入れから2週間たつと雇用が終わります(民法627条1項)。会社の承認は要りません(長野労働局)。法テラスも、会社が承認しなくても、申し出た日から起算して14日たてば退職となると説明しています。意思表示は相手に届いた時から効力が生じ(民法97条1項)、期間の初日は数えない(民法140条)ので、11月2日に会社に届いたら、11月3日から数えて14日目の11月16日の終わりで雇用が終わります。退職代行を通して伝えた場合も、会社に届いた日から数えると考えられます(当てはめ。退職代行を名指しした公式の文は見つかっていません)。

2020年4月1日施行の民法の改正で、627条2項・3項(期間によって報酬を決めた場合)は使用者からの申し入れだけが対象になりました。月給制の人も、自分から辞めるときは2週間が基準です。

一方的に辞める意思表示(辞職)は、会社に届いた後は撤回できないとされます(民法540条2項の当てはめ)。会社の承諾を得て辞める合意退職の申込み(退職願)は、会社が承諾するまでは撤回できる、と厚生労働省「スタートアップ労働条件」は説明しています。退職届の書き方と退職日の決め方は退職届の書き方の記事に書いています。

3-2. 就業規則の「1か月前」

就業規則で「退職は1か月前までに申し出る」などと決めている会社もあります。ここは辞め方を2つに分けて考えます。会社の承諾を得て辞める合意退職なら、日程を話し合うときに就業規則の期間が当てはまりえます。一方、期間の定めのない雇用で、会社の承諾がなくても一方的に辞める辞職なら、民法627条1項により申し入れから原則2週間で辞められます。厚生労働省「スタートアップ労働条件」は、この民法の予告期間を就業規則などで延長することはできないとしています。ただ、原則は就業規則の規定によるとし、極端に長いものは公序良俗の見地から無効とされる場合もある、と書く労働局もあり(鹿児島労働局・大阪労働局)、公式の説明はそろっていません。法テラスは、離職票のトラブルを避けるため、就業規則の退職の手続に従うことが望ましいとしています。

3-3. 契約社員など期間の定めがある場合

期間の定めのある雇用は、期間の途中で辞めるには原則としてやむを得ない事由が要ります。やむを得ない事由があれば直ちに解除できますが、その事由が自分の過失によって生じたものなら、会社に対して損害賠償の責任を負います(民法628条)。厚生労働省「確かめよう労働条件」も、契約期間の満了前に退職するには、やむを得ない事由がなければならないとしています。やむを得ない事由の具体例を挙げた公式の資料は見つかりませんでした(未確認)。

例外として、期間が1年を超える契約は、契約の初日から1年を経過した日以後なら、会社に申し出ていつでも退職できます(労働基準法137条)。ただし、一定の事業の完了に必要な期間を定めた契約と、高度の専門的知識などを持つ人として結んだ契約・満60歳以上で結んだ契約(同14条1項各号)は対象外です。137条には「申し出から何日後に退職」という定めはありません。東京都は、期間の定めのある雇用を途中で一方的に辞めた場合の賠償は、実際に会社が失った利益にとどまると説明しています。

3-4. 明示された労働条件が事実と違うとき

契約のときに明示された労働条件が事実と違う場合、労働者は即時に労働契約を解除できます(労働基準法15条2項)。条文は期間の定めの有無で分けていません。就業のために住居を変えた人が、解除の日から14日以内に帰郷する場合は、会社が必要な旅費を負担します(同3項)。労働条件の明示(同1項)と旅費の負担(同3項)に違反した会社には、30万円以下の罰金の定めがあります(同120条1号)。

3-5. 会社が認めない・退職届を受け取らないとき

会社が退職を認めないときについて、公式の資料は次のように書いています。

資料 書いてあること(要旨)
長野労働局 労働条件ハンドブック 期間の定めのない雇用の退職に、会社の承認は特に必要としない
法テラス よくある質問 会社が承認しなくても、申し出た日から起算して14日たてば退職となる
厚生労働省「確かめよう労働条件」(アルバイト先でのトラブル) 会社が応じなくても、2週間たてば辞めることができる
大津労働基準監督署(滋賀労働局) 代わりの人を見つけることを条件に退職を拒むのは妥当でない。人を確保するのは使用者の責任
広島県 労働相談Q&A 退職届の受け取りを拒まれたら、内容証明郵便で送る方法もある(最後の手段としての説明)
東京都「仕事を辞めさせてもらえない」 不当な手段で働くことを強制するのは犯罪。争いが続くなら出社しないという対応もある

暴行・脅迫・監禁など、精神または身体の自由を不当に拘束する手段で、労働者の意思に反して働かせることは禁止されています(労働基準法5条)。退職届の受け取りを拒まれたときに内容証明郵便を使う方法を書いた厚生労働省・労働局の資料は見つかりませんでした(未確認)。引き止められたときの伝え方は退職理由の書き方と伝え方の記事に書いています。

3-6. 伝え方:口頭・書面・郵送・メール

退職の意思表示は口頭で足りますが、書面(退職届)を出す手続きを踏むほうが望ましい、と東京都は説明しています(ポケット労働法2026)。退職届に決まった様式はなく、郵送するなら配達記録の残る方法で、と福岡県は書いています。メール・チャットでの退職の意思表示について書いた公式の資料は見つかりませんでした(未確認)。民法97条1項は、意思表示は通知が相手方に到達した時から効力が生じると定めるだけで、伝え方を限っていません。

4. 民間会社・労働組合・弁護士でできることの違い

4-1. 弁護士法72条:弁護士でない者が扱えないこと

弁護士法72条は、弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で、訴訟事件や行政への不服申立てその他一般の法律事件について、鑑定・代理・仲裁・和解その他の法律事務を扱うこと、またはその周旋をすることを業とすることを禁じています(ほかの法律に別段の定めがある場合を除く)。違反すると2年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金です(77条3号)。弁護士の側も、72条に違反する者から事件の周旋を受けたり、自分の名義を使わせたりしてはなりません(27条。違反は77条1号で同じ罰則)。

72条の「報酬を得る目的」「業とする」「一般の法律事件」の意味を説明した法務省や日本弁護士連合会の公式の文は、この記事では確かめていません(未確認)。

4-2. 労働組合の団体交渉権

勤労者の団結する権利と団体交渉その他の団体行動をする権利は、憲法28条で保障されています。労働組合の代表者や、組合から委任を受けた者は、組合または組合員のために使用者と交渉する権限を持ち(労働組合法6条)、使用者は、雇用する労働者の代表者との団体交渉を正当な理由なく拒んではなりません(同7条2号)。中央労働委員会は、団体交渉の拒否にあたる例として、その企業で働く労働者以外の者が労働組合に加入していることを理由とする拒否を挙げています。

労働組合法の「労働組合」は、労働者が主体となって自主的に、労働条件の維持改善などを主な目的として組織する団体です(同2条)。労働委員会に証拠を出して2条などの要件に合うことを立証しなければ、労働組合法の手続に参与できず、救済も受けられません(同5条1項)。組合の結成に、行政機関の認可や届出は要りません(厚生労働省)。

労働組合法6条の交渉権限が、弁護士法72条ただし書の「他の法律に別段の定め」にあたるかを書いた公式の資料は見つかりませんでした(未確認)。

4-3. 退職代行を名指しした資料:東京弁護士会と愛媛県労働委員会

東京弁護士会は、退職代行について次の3つを出しています。

  • 非弁護士取締委員会「退職代行サービスと弁護士法違反」(2024年11月22日):業者が本人に代わって法律的な問題を会社と話し合った(交渉した)事例と、お金を受け取って法律的な問題の処理を他者(この事例では労働組合)へあっせんした事例を、非弁行為としています。労働組合の行為が必ずしも非弁行為にならないとは限らない、業者に任せると正しい法律的な保護を受けられない場合もある、とも書いています。
  • 「退職代行サービスと弁護士法違反に関する注意喚起」(2025年10月22日):弁護士法違反の疑いで退職代行の運営会社と法律事務所などに強制捜査がなされたことを受けて出したもので、「退職代行サービスには、非弁行為が含まれる場合があります。」としています。契約期間の途中での解約、退職金、有給休暇も法律的な問題で、業者が本人に代わって会社と話し合えば非弁行為となる可能性がある、という趣旨です。
  • 非弁護士取締委員会「退職代行サービスと弁護士法違反 その2」(2026年7月3日):未払いの残業代や未消化の有給の取得は法律的な問題だとし、提携している労働組合に交代することをアピールしている業者もいると書いています。労働組合とは名ばかりで実態のない組合は労働組合ではないので団体交渉はできない、会社が業者からの連絡を拒否すると退職の話は進まず、本人があらためて会社に連絡する必要が出る、という趣旨です。

東京弁護士会は、個別の事案が非弁行為にあたるかの問い合わせには答えていません。3つの資料とも、本人の「辞めたい」という意思を伝えるだけのサービスが適法かどうかは書いていません。

愛媛県労働委員会の「退職代行について」(令和7年3月作成。徳島県・香川県のサイトに掲載)は、「退職したい」と伝言する程度のサービスにとどまるなら、弁護士資格のない業者でも対応できるとしています。一方、未払いの残業代や退職金の請求、退職条件や有給消化(退職日)などの交渉を弁護士でない業者に頼むのは問題があり、会社が業者を対話の相手と認めず、退職の手続が止まってしまうことがある、としています。これは都道府県の労働委員会の資料で、国(法務省・厚生労働省)や日本弁護士連合会の資料で、伝えるだけなら72条に当たらないと書いたものは見つかりませんでした(未確認)。

4-4. 運営元ごとにできること(法律の条文からの当てはめ)

民間会社・労働組合・弁護士を並べて比べた公式の資料は見つかりませんでした。次の表は、4-1〜4-3の条文と資料を当てはめて整理したものです。

運営元 退職の意思を伝える 退職日・有給・未払いの賃金・退職金などの交渉 根拠
民間会社(弁護士でない) 「伝言する程度」なら対応できる、とする資料がある(愛媛県労働委員会)。東京弁護士会は、伝えるだけの場合を論じていない 報酬を得る目的で、業として、法律事件について本人に代わって交渉などの法律事務を扱えば、72条に当たりうる(東京弁護士会は非弁行為の事例に挙げる)。報酬を得て労働組合などへあっせんするのも非弁行為の事例。個別のサービスが当たるかは事実による 弁護士法72条、東京弁護士会、愛媛県労働委員会
労働組合 書いた公式の資料は見つからない(未確認) 団体交渉権がある。交渉できるかは、組合の実態、本人が組合員になっているか、交渉の中身による。東京弁護士会は、非弁行為にならないとは限らず、実態のない組合は団体交渉できないとする 憲法28条、労働組合法6条・7条2号、東京弁護士会。72条ただし書との関係は未確認
弁護士・弁護士法人 できる 代理人として交渉できる(72条の禁止の対象外)。ただし72条に違反する者から周旋を受けるのは禁止 弁護士法72条・27条

どの運営元を使っても、辞める決まり(3章)は変わりません。退職代行を使わずに、自分で会社に伝えることもできます。未払いの残業代の計算は残業代の計算方法の記事に書いています。

4-5. 料金と契約

退職代行の料金を集計した公式の統計は見つかりませんでした(厚生労働省・労働政策研究・研修機構・総務省・国民生活センター・消費者庁)。この記事と計算機では、料金を出していません。退職代行の契約を途中でやめるときの扱い(キャンセル料など)を書いた公式の資料も見つかりませんでした(未確認)。業者との契約のトラブルは、消費者ホットライン188で最寄りの消費生活センターなどを案内してもらえます。

退職後のお金の手続きでは、別の勧誘についての注意喚起もあります。国民生活センターは、失業保険の給付額などを増やせるとうたう申請サポートの相談が増えているとして、社労士などの資格のない事業者は申請書類の作成や提出を代行できないこと、事実ではない内容での申請を勧められても応じないことを呼びかけています(2025年12月3日)。

5. 退職代行に関わる判決(裁判所の公式サイトで確かめられたもの)

5-1. 東京地裁 令和8年6月5日(刑事)

東京地方裁判所刑事第3部は、令和8年6月5日、弁護士法違反と組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反の事件(令和8年(わ)第10808号ほか)で判決を出しました。判決が認めた事実の要旨は、弁護士でなく法定の除外事由もないのに、報酬を得る目的で法律事務の周旋を業としていた者2人から、令和5年6月13日頃から令和7年1月15日頃までの間に、勤務先からの退職手続における代理などの法律事務について弁護士への委任を必要としている85人の紹介を受けた、というものです。主文は、被告人の弁護士法人に罰金150万円、被告人の代表弁護士に懲役1年6月・3年間の執行猶予です。

被告は弁護士法人と弁護士で、紹介した側の判決ではありません。公開されている判決文は当事者を記号にしていて、紹介した側の名前は出ていません。適用した条文を書いた部分も公開版には載っていません。

5-2. 大阪地裁 令和7年1月27日(民事)

退職代行を通じて退職の意思を伝えて辞めた元従業員に対し、会社が、引継ぎを怠ったことなどを理由に損害賠償を求めた事案で、大阪地方裁判所は、退職の意思表示の方法は引継ぎの義務を果たしたかどうかとは関係がないとし、引継ぎについての会社の主張を退けました(令和5年(ワ)第9115号)。事案の中心は在職中の競業などをめぐる争いで(裁判所のサイトの権利種別は「不正競争」)、これは1件の地方裁判所の判断です。事実関係によって結論は変わりうるので、「退職代行を使えば損害賠償は認められない」とまでは言えません。

5-3. 公式の資料がないもの

退職代行を運営する会社やその経営者に対する逮捕・起訴・判決について、警察・検察・裁判所の公式の資料は確認できませんでした(2026年10月24日時点)。裁判所の裁判例検索で見つかったのは、5-1と5-2の2件だけです。東京弁護士会は、2025年10月22日の注意喚起で、弁護士法違反の疑いで退職代行の運営会社と法律事務所などに強制捜査がなされたことに触れ、2026年7月3日の資料では、ある退職代行サービス業者の代表が逮捕されたとの報道があり、ほかに労働組合の関与もあったとのことだと書いています。どちらも会社名は書いていません。これは東京弁護士会が報道や捜査に触れたもので、捜査機関の公式発表は確認できませんでした。報道だけで伝えられている事柄は、この記事では書いていません。

6. 使ったときの日程とお金

6-1. 退職日までの有給

退職日までに残った有給の取得を請求されたら、会社は退職日より後に時季を変えることができないので、請求どおり与えるほかない、と厚生労働省「確かめよう労働条件」は説明しています(沖縄労働局・愛知労働局も同じ趣旨)。大津労働基準監督署の資料は、退職に伴って有給を消化することはむしろ自然なことだ、としています。退職すると、残った有給は消えます。ただし、これは退職日までの請求についての説明で、辞める意思が会社に届いた当日から休む場合、その当日分の請求の扱いを書いた公式の資料は見つかりませんでした(未確認)。当日分を有給にできるかは、会社の対応しだいで変わりえます。

有給が足りない日に出社しなければ、欠勤扱いになる可能性があります。会社が就労を免除するなどの扱いをするか、懲戒にあたるか(7-4)は別の問題です。欠勤の日の給料の扱いは就業規則・給与規程によります。有給の取得を退職代行に伝えてもらうこと自体について書いた公式の資料はありませんが、愛媛県労働委員会は、有給消化(退職日)の交渉を弁護士でない業者に頼むのは問題がある例に挙げています。「請求を伝える」と「交渉」の線引きを書いた公式の資料は見つかりませんでした(未確認)。有給の日数の数え方は有給消化の記事に書いています。

6-2. 最後の給料:請求から7日以内

退職した人が請求したら、会社は7日以内に賃金を払い、積立金などの労働者の権利に属する金品を返さなければなりません(労働基準法23条1項)。厚生労働省の「労働法の基礎講座」は、所定の支払日が来る前でも請求から7日以内に払うこと、退職金は就業規則などであらかじめ決めた支払期日までに払えばよいことを説明しています。争いがあるときは、異議のない部分を7日以内に払います(同2項)。請求した日を1日目に数えるかを書いた公式の資料は見つからず、この記事の日付は、請求日の翌日から数えた目安です(民法140条の当てはめ)。請求しなければ、通常の給料日に払われます(同24条2項の当てはめ)。

6-3. 退職証明書・源泉徴収票・離職票

  • 退職証明書:請求すれば、会社は遅滞なく出します(労働基準法22条1項。何日以内という決まりは見つかりません)。請求できるのは退職から2年です(同115条)。くわしくは退職証明書の記事に書いています。
  • 源泉徴収票:退職の日以後1か月以内に、会社が出します(所得税法226条1項)。
  • 離職票:会社は、被保険者でなくなった事実があった日(退職日の翌日)の翌日から数えて10日以内に、資格喪失届をハローワークに出します(雇用保険法施行規則7条1項)。離職票のもとになる離職証明書は、本人が離職票を希望しないときは添えなくてよいとされていますが、離職の日に59歳以上の人は希望にかかわらず添えます(同7条3項)。離職票が要るなら、希望することを会社に伝えておきます。期限がハローワークの休みの日に当たれば翌開庁日です(行政機関の休日に関する法律2条)。本人に届くまでの全国一律の日数は見つからず、ハローワーク長井(山形)の案内は、離職後おおむね2週間以内に会社から送られるとしています。届かないときの対処は離職票の記事に書いています。

6-4. 貸与物・健康保険証

会社の貸与物の返し方(郵送でよいか)や、会社に残した私物の扱いを書いた厚生労働省・労働局の資料は見つかりませんでした(未確認)。大津労働基準監督署の資料は、賃金の支払日が来ていれば支払いに条件を付けることはできず、謝罪の要求や備品の返却は賃金の支払いとは別の話だとしています。健康保険証・資格確認書が使えるのは退職日までです(協会けんぽ大阪支部)。雇用保険被保険者証は、会社が保管すべきものではないとされています(厚生労働省・ハローワークのリーフレット)。

6-5. 失業保険

正当な理由のない自己都合退職は、離職日が2025年4月1日以降なら給付制限が原則1か月です(ハローワーク)。離職日からさかのぼって5年間に、正当な理由のない自己都合退職で2回以上受給資格の決定を受けていれば3か月です。法律の文言は「一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間」で(雇用保険法33条1項)、給付制限は待期(受給資格の決定の日から通算7日)が終わった後に始まります。受給期間は、原則として離職日の翌日から1年です。待期や給付制限が終わる日は、支給や振込の日ではありません。給付制限がある人は、給付制限が終わった後の認定日から支給され(厚生労働省のQ&A)、認定日はハローワークが決めます。

明示された労働条件が事実と著しく違ったことによる離職や、上司・同僚などからの故意の排斥・著しい冷遇・嫌がらせによる離職は特定受給資格者、体力の不足や心身の障害・疾病などで業務を続けるのが難しくなった離職は特定理由離職者にあたりえ、どちらも給付制限はありません。どれにあたるかは、資料をもとにハローワークが判断します。退職代行を使ったかどうかで離職理由の区分が変わると書いた公式の資料は見つかりませんでした。区分の違いは会社都合退職と自己都合退職の記事、日額と日数は失業保険の計算の記事に書いています。

6-6. 例:11月2日に会社に届いた場合の日程

期間の定めのない雇用で、2026年11月2日(月)に辞める意思が会社に届き、届く日から出社せず、有給が10日残っている場合を、土日・祝日・年末年始が休みの会社として当てはめると、次のようになります(10章の計算機の初めの例と同じ)。

項目 日付・日数(目安) 根拠
雇用が終わる日(民法627条1項に当てはめた目安) 2026年11月16日(月)の終わり 民法627条1項・140条
11月2日〜16日の所定労働日 10日(11月3日は文化の日)。日数の上では有給10日で足りる(届く日の当日分は会社の対応しだい) 当てはめ
最後の給料(11月17日に請求した場合) 11月24日(火)まで 労働基準法23条1項(数え方は当てはめ)
会社が資格喪失届を出す期限 11月27日(金) 雇用保険法施行規則7条1項
源泉徴収票 12月16日(水)ごろまで 所得税法226条1項
待期(12月1日に手続きしたと仮定した場合) 12月1日(火)〜12月7日(月) 受給資格の決定の日から通算7日
給付制限(正当な理由のない自己都合と判断された場合) 12月8日(火)〜2027年1月7日(木)。支給・振込の日ではない 原則1か月(ハローワーク)
受給期間の終わり 2027年11月16日(火) 離職日の翌日から1年
退職証明書を請求できる期間 2028年11月16日(木)ごろまで 労働基準法115条

辞めた後の手続きの順番は退職後にやることの記事にまとめています。

7. 損害賠償・懲戒と言われたとき

7-1. 違約金・賠償額の予定は禁止

「途中で辞めたら違約金」「損害賠償は〇円」と前もって決める約束は禁止されています(労働基準法16条。違反は6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金=119条1号)。鹿児島労働局は、「3年以内に退職したら50万円を払う」という約束を、この禁止にあたる例として挙げています。研修や資格取得の費用の返還は、純然たる貸借契約として定められていれば16条違反にならないとされますが、個別に判断されます(厚生労働省「スタートアップ労働条件」)。

7-2. 実際の損害の請求

16条は、現実に労働者の責任で生じた損害の賠償を請求することまで禁じたものではありません(栃木労働局)。辞めることについての公式の説明は次のとおりです。

  • 期間の定めのない雇用で予告期間(2週間)を守って辞めるなら、辞めることによって法的な責任が生じることはない(東京都)。根拠のない損害賠償や告訴をほのめかすことも、不当な引き止めにあたる、という趣旨も書いています。
  • 欠員の損害の補填を一般の従業員に請求するのは困難で、専門性や会社の投資の有無が判断の目安になる(大津労働基準監督署)。同じ資料は、高度な専門性のある労働者の辞職でプロジェクトが頓挫した事案で、一定の損害賠償責任を認めた裁判例を紹介しています(ケイズインターナショナル事件、東京地裁平成4年9月30日。賠償額は資料に書かれていません)。
  • 期間の定めのある雇用を途中で一方的に辞めた場合の賠償は、実際に会社が失った利益にとどまる(東京都)。

業務中の事故の損害について、最高裁は、会社が従業員に請求できるのは、事業の性格や規模、労働条件、損失の分散への会社の配慮などに照らし、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度に限られるとし、その事件では損害の4分の1を限度としました(茨石事件、最高裁昭和51年7月8日)。これは業務中の事故の事案で、退職したことによる損害の事案ではありません。退職による損害にこの基準が当てはまると書いた公式の資料は見つかりませんでした(未確認)。

払う義務があるかどうかを最後に決めるのは裁判所です。請求されたら、何の損害か、額の根拠は何かを確かめて、9章の相談先で相談できます。

7-3. 給料からの差し引き・減給

賃金は全額を払わなければなりません(労働基準法24条1項)。最高裁は、賃金の債権に損害賠償の債権で相殺することは許されないとしています(関西精機事件、昭和31年11月2日)。例外は、労働者が自由な意思に基づいて相殺に同意したと認めるに足りる合理的な理由が客観的にある場合などです(日新製鋼事件、平成2年11月26日)。大津労働基準監督署の資料は、賃金の支払日が来ていれば、その支払いに条件を付けることはできないとしています。

就業規則に減給の制裁を定めていても、1回の額は平均賃金の1日分の半額まで、総額は1回の賃金支払期の賃金の総額の10分の1までです(労働基準法91条)。たとえば平均賃金が1日1万円、月給30万円の人なら、1回の減給は5,000円まで、1か月の減給の合計は3万円までです(計算)。退職代行を使ったことや急に辞めたことを減給の理由にしてよいかを書いた公式の資料は見つかりませんでした(未確認)。給料が払われないときは、労働基準監督署に申告できます(同104条1項)。

7-4. 懲戒と言われたとき

会社が懲戒するには、就業規則に懲戒の種別と事由を定め、労働者に周知していることが要ります(フジ興産事件、最高裁平成15年10月10日)。客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない懲戒は無効です(労働契約法15条)。

退職すること(辞職)自体や、退職代行を使ったことを理由に懲戒できるかを書いた公式の資料は、できる・できないのどちらも見つかりませんでした(未確認)。無断欠勤は、厚生労働省のモデル就業規則(旧版)で懲戒の事由の例に挙がっています(日数は空欄で、会社が決める)。最高裁には、正当な理由のない無断欠勤に当たるとしてされた諭旨退職の懲戒処分を無効とした判決もあります(平成24年4月27日。精神的な不調があった事案で、事情による判断です)。懲戒解雇と、雇用保険の重責解雇は同じではなく、重責解雇かどうかはハローワークが判断します。

7-5. 退職金を払わないと言われたとき

退職金は法律で払うことが義務づけられたものではありませんが、就業規則などに定めがあれば労働基準法上の賃金として請求できると考えられる、と大阪労働局は説明しています。不支給や減額は就業規則の定めによりますが、厚生労働省「確かめよう労働条件」の裁判例の説明は、不支給・減額は労働者のそれまでの功績を失わせるほどの重大な背信行為がある場合などに限られるとしています。懲戒解雇を有効としつつ、退職金の3割の支給を認めた高裁判決があります(小田急電鉄事件、東京高裁平成15年12月11日)。一方、同業他社に就職した場合に退職金を半額とする定めを、合理性のない措置とはいえないとした最高裁判決もあります(三晃社事件、昭和52年8月9日)。

就業規則の「7日前までに退職願を出す」という規定に違反したとして退職金を払わなかった事案のあっせん事例が、中央労働委員会のサイトにあります。会社は就業規則を周知していなかった点を認め、解決金を払って解決しました。解説は、民法627条の予告期間を短くすることは許されるが延ばすことは許されないとする判例・学説や、退職金の不支給が全額払いの原則に抵触する可能性を挙げています。退職代行を使ったことを理由とする退職金の減額・不支給を扱った公式の資料・判決は見つかりませんでした(未確認)。

8. 退職の相談はどれくらいあるか

厚生労働省が2026年7月7日に公表した「令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況」では、総合労働相談の件数は1,198,010件でした。相談の内容(1件の相談が複数の内容にまたがれば、内容ごとに数えた延べ327,359件)のうち、「自己都合退職」は38,386件で、前年度の41,502件から7.5%減りました。

相談の内容 令和6年度 令和7年度 延べ件数に占める割合(計算)
その他の労働条件 54,481件 59,647件 18.2%
いじめ・嫌がらせ 54,987件 55,614件 17.0%
自己都合退職 41,502件 38,386件 11.7%
その他 32,166件 34,209件 10.4%
労働条件の引き下げ 30,833件 33,368件 10.2%
解雇 32,059件 32,651件 10.0%
退職勧奨 25,604件 26,022件 7.9%
雇止め 15,602件 15,775件 4.8%

「いじめ・嫌がらせ」は14年連続で最多です。「自己都合退職」の相談に、辞めさせてもらえない・引き止められるという相談がどこまで入るかの定義は確かめられませんでした(未確認)。

退職代行の利用については、大阪労働局が「令和7年度 第2回ハローワーク雇用等短期観測の結果」(令和7年10月30日)で、管内の企業への個別の聞き取り(令和7年8月1日〜9月5日、319社)の結果を公表しています。

聞いたこと 企業の回答
いわゆる「退職代行サービス」を利用した離職が「有った」 48.7%
利用した離職者の年齢層を「20代」と回答 73.5%
「退職代行サービス」の印象が「否定的」 42.9%
「退職代行サービス」の印象が「中立」 25.4%

これは大阪労働局の管内で聞き取りに答えた企業の割合で、全国の労働者のうち退職代行を使った人の割合ではありません。全国の利用率・利用件数の公的な統計は見つかりませんでした。

9. 相談先

窓口 内容 連絡先・時間
総合労働相談コーナー 都道府県労働局・労働基準監督署内など全国378か所。退職・解雇などあらゆる労働問題。予約不要・無料。法律違反の疑いがあれば労働基準監督署などに取り次ぐ 各労働局のページで所在地を確かめる
労働条件相談ほっとライン(厚生労働省の委託事業) 労働基準関係法令の電話相談。無料・匿名可。事業場への指導はできない 0120-811-610。月〜金17時〜22時、土日祝9時〜21時(12月29日〜1月3日を除く)
労働基準監督署 最後の給料の不払い、退職証明書を出さないなど、労働基準法の違反の申告(104条。申告を理由とする不利益な扱いは禁止) 管轄の労働基準監督署
法テラス・サポートダイヤル 法制度と相談窓口の案内。個別の法律相談や法的判断はしない。利用料0円(通話料はかかる) 0570-078374。平日9時〜21時、土曜9時〜17時(祝日・年末年始を除く)
法テラスの無料法律相談 収入・資産が基準以下の人が対象。予約が必要。弁護士費用の立替えもある 法テラスのページで確かめる
消費者ホットライン 業者との契約のトラブル。最寄りの消費生活センターなどを案内 188

労働基準法の問題は労働基準監督署、退職の効力などそれ以外の民事的な問題は総合労働相談コーナーで相談できる、と厚生労働省は案内しています。労働局の個別労働紛争解決制度(助言・指導、あっせん)も無料で、あっせんの案に応じるかは自由です。

10. 計算機:辞められる日・運営元ごとにできること・日程とお金・言われたこと

雇用の契約、辞める意思が会社に届く日、就業規則の申出の期間、退職日にしたい日、頼みたいこと、休みの型、最後に出社する日、有給の残り、会社に言われたことを入れると、次を出します。

  • 法律の決まりで辞められる日(民法627条・628条、労働基準法137条・15条2項の当てはめ)と、就業規則に合わせる場合の目安
  • 頼みたいことについて、民間会社・労働組合・弁護士でできること(条文からの当てはめ。料金は出しません)
  • 退職日までの所定労働日と有給、最後の給料・退職証明書・源泉徴収票・離職票・失業保険の日付の目安
  • 損害賠償・違約金・給料の差し引き・懲戒・退職金・貸与物を言われたときの決まりと、公的な相談先

自分で辞められるか、運営元ごとにできること、使ったときの日程とお金、会社に言われたこと

入れた日付や数字は、このページの中で計算に使うだけで、どこにも送られません。初めから入っている値は入力の例です。自分の場合に置き換えてください。

1. 雇用の契約と、辞める意思が届く日

2. 頼みたいこと

3. 退職日までの有給と、辞めた後の手続き

4. 会社に言われたこと

初めから入っている例は、期間の定めのない正社員が、2026年11月2日(月)に辞める意思が会社に届くようにし、届く日から出社せず、有給が10日残っている場合です(就業規則は1か月前、土日・祝日・年末年始が休みの会社)。民法627条1項に当てはめると11月16日(月)の終わりで雇用が終わる目安で、11月2日から16日までの所定労働日は10日(11月3日は文化の日)なので、日数の上では10日の有給で足ります(届く日の当日分を有給にできるかは会社の対応しだい)。就業規則の1か月前に合わせると12月2日(水)です。11月17日に最後の給料を請求すると7日以内の目安は11月24日、会社が資格喪失届を出す期限は11月27日、源泉徴収票は12月16日ごろまでです。12月1日にハローワークで手続きをしたと仮定し、正当な理由のない自己都合退職と判断されると、待期は12月7日まで、給付制限は12月8日から2027年1月7日までが目安です(支給・振込の日ではありません)。

11. よくある質問

退職代行は違法ですか?

何をするかで変わります。弁護士でない者が、報酬を得る目的で、業として、法律事件について本人に代わって交渉などの法律事務を扱うことは禁止です(弁護士法72条)。個別のサービスが当たるかは、その事実によります。東京弁護士会は、業者が本人に代わって残業代などの法律的な問題を会社と話し合うことを非弁行為の事例に挙げています。退職の意思を伝えるだけの場合について、国や日本弁護士連合会の資料は見つからず、愛媛県労働委員会は「伝言する程度」なら弁護士資格のない業者でも対応できるとしています(4章)。

退職代行を使わずに、自分で辞められますか?

辞められます。期間の定めのない雇用なら、会社に辞める意思が届いた日の翌日から2週間で雇用が終わり、会社の承認は要りません(民法627条1項)。期間の定めのある雇用は、やむを得ない事由などが要ります(3章)。

退職代行を使ったら、損害賠償を請求されますか?

違約金や賠償額を前もって決める約束は禁止です(労働基準法16条)。ただし、実際に労働者の責任で生じた損害の請求まで禁じられているわけではありません。期間の定めのない雇用で2週間の予告期間を守って辞めるなら、辞めることで法的な責任は生じない、と東京都は説明しています。退職代行を通じて辞めた人について、引継ぎについての会社の主張を退けた地裁の判決が1件あります(5章・7章)。

退職代行を使ったら、懲戒解雇になりますか?

退職代行を使ったことや辞職そのものを理由に懲戒できるかを書いた公式の資料は見つかりませんでした。懲戒には就業規則の定めと周知が要り、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性を欠く懲戒は無効です(労働契約法15条。7-4)。

退職代行を使っても、有給は使えますか?

退職日までに残った有給を請求されたら、会社は退職日より後に時季を変えることができないので、請求どおり与えるほかない、とされています(厚生労働省「確かめよう労働条件」)。届く日の当日分を有給にできるかは、会社の対応しだいです。弁護士でない業者が有給消化の日程を交渉すると問題がある、とする資料もあります(6-1)。

退職代行を使ったら、離職票や失業保険はどうなりますか?

会社が資格喪失届を出す期限は、退職日の翌々日から10日以内です(雇用保険法施行規則7条1項)。離職票が要るなら、希望することを会社に伝えます(本人が希望しないときは離職証明書を添えなくてよいが、離職の日に59歳以上の人は除く=同7条3項)。退職代行を使ったかどうかで離職理由の区分が変わると書いた公式の資料は見つからず、離職理由はハローワークが判断します(6章)。

退職代行の料金の相場はいくらですか?

料金の公式の統計は見つかりませんでした。この記事では金額を書いていません(4-5)。

退職代行を使った本人が罰せられることはありますか?

弁護士法77条3号が罰則の対象にしているのは、72条に違反した者です。東京地裁の令和8年6月5日の判決で有罪になったのも、紹介を受けた弁護士法人と代表弁護士でした。利用した本人の扱いを書いた公式の資料は見つかりませんでした(未確認)。

12. まとめ

  • 退職代行は法律の用語ではない。扱いを説明した公式の資料は東京弁護士会の3件と判決2件。大阪労働局の企業調査では、利用した離職が「有った」企業が48.7%(全国の利用率ではない)。辞める決まりは使っても使わなくても同じ
  • 期間の定めのない雇用は、届いた日の翌日から2週間で終わり、会社の承認は要らない。期間の定めのある雇用は、やむを得ない事由、1年を超える契約の1年経過後、労働条件の相違のとき
  • 弁護士でない者が、報酬を得る目的で、業として法律事件の交渉などの法律事務を扱うのは禁止(弁護士法72条)。労働組合には団体交渉権があるが、組合の実態や交渉の中身によっては非弁行為にならないとは限らない。運営元の比べ方は条文からの当てはめ
  • 全国の利用率・料金の公的な統計は見つからない
  • 有給は退職日を超えて時季を変えられない。最後の給料は請求から7日以内。離職票・源泉徴収票・失業保険の日付は、退職日から目安を出せる
  • 違約金・賠償額の予定は禁止、損害賠償と給料の一方的な相殺も不可。実際の損害の請求までは禁じていないので、払う義務の有無は裁判所が決める
  • 懲戒には就業規則の定めと合理性・相当性が要る。困ったら総合労働相談コーナーなどの無料の窓口がある

13. 出典

14. あわせて読む

 

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