楽観バイアスとは|意味と計画錯誤をわかりやすく。「理論値2万円」のモニター10台が、1円でも売れなかった話

楽観バイアスとは|意味と計画錯誤をわかりやすく。「理論値2万円」のモニター10台が、1円でも売れなかった話 心理学・バイアス

楽観バイアスとは、自分にはよいことが起こりやすく、悪いことは起こりにくいと、実際より、見つもってしまう心のかたよりのことです。「自分は、事故にあわない」「この仕入れは、きっと売れる」「この作業は、3日で終わる」。どれも、この形です。予定の日数や費用を少なく見つもるかたよりは、とくに、計画錯誤と、よばれます。

この記事では、まず、意味と、計画錯誤との関係を、説明します。次に、計算機で、自分の見こみを、過去の実績で割り引きます。最後に、「理論値2万円」と見こんで仕入れたモニターが、1円でも売れなかった、私の例を、書きます。

1. 楽観バイアスとは

1-1. 意味

心理学者のワインスタインは、1980年に、大学生に、「自分に、よいことや悪いことが起こる見こみは、ほかの学生とくらべて、どのくらいか」を、たずねました。多くの学生が、よいことは「平均より起こりやすい」、悪いことは「平均より起こりにくい」と、答えました。全員が平均より上ということは、ありえません。これが、楽観バイアスです。

1-2. 計画錯誤

心理学者のカーネマンとトヴェルスキーは、1979年に、予定の見つもりが、くり返し、短すぎる方向にずれることを、計画錯誤と、名づけました。過去に何度も予定をこえた経験があっても、「今回は、ちがう」と考えて、また、短く見つもります。

1-3. なぜ、起こるのか

  • うまくいく筋書きだけを、思いうかべる。じゃまが入る筋書きは、具体的に、想像しにくい。
  • 「自分の場合」を、特別あつかいする。ほかの人の失敗は知っていても、自分には当てはめない。
  • 見たいデータを、見る。売れた記録は目に入り、売れなかった記録は、目に入りにくい(確証バイアスの記事)。

1-4. 楽観は、悪いことばかりでは、ない

楽観がなければ、新しいことを、始められません。問題は、楽観そのものではなく、楽観のまま、お金や時間を、張ることです。始める気持ちは楽観で、張る金額は悲観で、決めます。

2. 計算機:見こみを、過去の実績で、割り引く

カーネマンがすすめた方法は、「自分の計画の中身」ではなく、「同じような計画が、過去に、どうなったか」から見つもることです。外から見る見方、とも言います。自分の過去の記録で、それをやります。

見こみどおりの利益:

過去の実績で割り引いた利益:

まったく売れなかったときの損:

利益が0になる、実績の割合:

はじめに入っている数字は、例です。私の実際の数字では、ありません。見こみ5万円、過去の実績60%、費用2万円なら、見こみどおりで3万円、割り引くと1万円、まったく売れなければマイナス2万円です。利益が0になるのは、実績が40%のときです。

過去の実績の割合は、記録がなければ、出せません。仕入れたときの見こみの売値と、実際の売値を、1行ずつ、残しておきます。10件あれば、自分の楽観の大きさが、数字で、見えます。

3. 私の例

3-1. 理論値2万円のモニターが、1円でも、売れなかった

オンラインの古物市場で、業務用のモニターを、10台まとめて、落札したことが、あります。1台の落札の相場は、2,000円前後でした。売り場を調べると、5,000円以上で売れた記録が、見えました。10台なら、もうかる。私は、10台のまとまりに、「理論値2万円」のつもりで、入札しました。3,400円で、落札できました。大もうけだと、思いました。

実際は、需要が、ありませんでした。出品しても、見られず、「いいね」もつきませんでした。1円で出しても、落札されませんでした。液晶なので、粗大ごみとして、すてられません。近くの中古品の店に、車で持ちこみました。買い取りは、全部で、1,000円にも、なりませんでした。市場の参加費と、送料を入れると、全部が損でした(トレファクオークションの記事に、くわしく書きました)。

3-2. どこが、楽観だったか

ここからは、この理論に当てはめた、整理です。

  • 見たのは、売れた記録だけだった。5,000円以上で売れた記録は、見ていました。その品が、何台出品されて、何台が売れ残ったかは、見ていませんでした。
  • 1台の値段を、10台に、かけ算した。1台が売れた値段は、10台が同じ値段で売れる、という意味では、ありません。
  • 安く落とせたことを、よい知らせだと、受け取った。ほかの入札者が少なかったのは、需要がないという、知らせでもありました。
  • 売れなかったときの出口を、考えていなかった。液晶は、すてることすら、手間とお金がかかります。

3-3. 「自分の商品だから、ライバルが少ない」

私は、中国の工場に、自分の商品を、作らせたことも、あります。「自分だけの商品だから、競争相手が少なくて、かせぎやすい」。そう言われる方法です。機能を足す型は、納品までに、半年以上、かかりました。売り場に出すと、返品されたり、まねをされたりして、ふつうに仕入れて売るのと、大きくは、変わりませんでした(中国OEMの記事)。

3-4. バックテストは、いつも、よく見える

私は、為替の自動売買を研究していたころ、市販のシステムを、100個以上、たしかめました。過去のデータで試すと、成績のよいものが、見つかります。けれど、実際に動かすと、残ったものは、ほとんど、ありませんでした。買ったものだけで50万円以上、損失は200万円以上です。過去のデータでの成績は、「うまくいく筋書き」を、いちばん具体的に見せてくれる材料です。だから、いちばん、楽観を生みます(ギャンブラーの誤謬の記事)。

4. 楽観バイアスと、つきあう方法

  • 見こみは、過去の実績で、割り引く。2章の計算機です。記録がないなら、今日から、見こみと実績を、ならべて残します。
  • 売れなかった記録を、さがしに行く。売れた値段ではなく、出品された数と、売れ残った数を、見ます。
  • まとめて買う前に、1個で、たしかめる。10台の見こみは、1台が売れてから、立てます。
  • 出口を、先に決める。売れなかったら、いくらで、どこに出すか。すてる費用は、いくらか。
  • 予定の日数は、過去の自分の実績で、見つもる。作業時間の見つもりも、同じです。
  • 始める前に、「1年後に失敗していた」と仮定して、その理由を書き出す方法もあります。後から「わかっていた」と思うかたよりは、後知恵バイアスの記事に、書きました。

5. まとめ

  • 楽観バイアスは、よいことは起こりやすく、悪いことは起こりにくいと、見つもってしまうかたより。予定を短く見つもるものは、計画錯誤。
  • 見こみは、自分の計画の中身ではなく、過去の実績から、割り引いて立てる。
  • 私は、売れた記録だけを見て、モニター10台を「理論値2万円」で仕入れ、1円でも売れなかった。
  • 売れ残った記録を見る。1個でたしかめる。出口を先に決める。

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