公正世界仮説とは|意味と具体例。100個検証したFXで負け、ただの積立で勝った私が分けている、努力が報われる場所

公正世界仮説とは|意味と具体例。100個検証したFXで負け、ただの積立で勝った私が分けている、努力が報われる場所 心理学・バイアス

公正世界仮説とは、「この世界は、公正にできている。よいことをすれば、よい結果が返ってくる。悪いことをすれば、ばつを受ける」と、信じてしまう、心のくせのことです。「努力は、かならず、報われる」「ばちが、当たる」「自業自得だ」。どれも、この考えから、出てくる言葉です。公正世界信念、公正世界誤謬(ごびゅう)とも、呼ばれます。

先に、書いておきます。私は、FXの自動売買を100個以上検証して、200万円以上、失いました。努力の量は、十分でした。結果は、ついてきませんでした。一方で、オークションで偽物を売っていた相手は、私が知るかぎり、何のばつも受けずに、売り続けていました。世界は、公正では、ありません。ただ、「公正ではない」で終わると、何もできなくなります。この記事は、「努力が結果になる場所」と、「ならない場所」を、分ける話を、書きます。

この記事では、意味と研究を先に書いて、そのあとで、計算機、私の例、つき合い方を書きます。

1. 公正世界仮説とは

1-1. 意味と、研究

この考えを研究したのは、アメリカの心理学者、メルヴィン・ラーナーです。1960年代から研究を始めて、1980年に、『公正世界の信念:根本的な思いちがい』という本に、まとめました。

有名なのは、1966年の実験です。参加した人たちに、べつの人が、学習の課題でまちがえるたびに、電気ショックを受けている様子を、見せます(実際は、演技です)。見ている人たちが、その人を助けられない条件にすると、見ている人たちは、ショックを受けている人のことを、低く、評価するようになりました。「あの人には、そうなる理由が、あるのだろう」と、考えはじめたのです。

何の落ち度もない人が、ひどい目にあっている。それを、そのまま受け入れると、「世界は公正だ」が、こわれます。だから、人は、被害を受けた人のほうに、理由を、さがします。

1-2. なぜ、人は、これを信じるのか

  • 信じないと、先のために、がんばれない:「いま勉強すれば、あとで報われる」と思えなければ、長い努力は、できません。ラーナーも、この信念を、長い目標を追うための土台だと、考えました。
  • 信じないと、こわい:「何もしていなくても、ひどい目にあう」世界は、こわい。「悪いことをした人だけが、ひどい目にあう」と思えば、自分は安全だと、感じられます。
  • 物語が、そうなっている:昔話も、映画も、たいてい、よい人が報われて、悪い人が、ばつを受けます。

1-3. 何が、問題か

向き 起きること
他人に向く 被害を受けた人、病気の人、お金にこまっている人を、「本人にも、原因がある」と、せめる
自分に向く うまくいかないとき、「自分の努力が、足りないからだ」と、自分を、せめ続ける
成功した人に向く 「成功したのだから、正しいことをしたのだ」と、結果から、さかのぼって、信じる

3つ目は、生存者バイアスや、後知恵バイアスと、つながっています。

2. 計算機:実力が上の人は、どのくらい、結果でも勝つか

「努力は報われる」が、どのくらい正しいかは、その場所で、結果のうち、どのくらいが、運で決まるかで、変わります。2人を、でたらめにえらんだとき、実力が上の人が、結果でも上になる確率を、出します。

結果のばらつきのうち、運で決まる割合

くり返す回数(結果を、平均でくらべる)

1回勝負で、実力が上の人が勝つ確率:

くり返した平均で、実力が上の人が勝つ確率:

1回勝負で、実力が下の人が勝つ確率:

運が50%の場所では、1回勝負で、実力が上の人が勝つ確率は、75%です。4回に1回は、実力が下の人が、勝ちます。運を90%にすると、60.2%。ほとんど、コイン投げです。ところが、同じ90%でも、20回くり返して平均を取ると、81.2%まで、上がります。

この計算は、実力と運が、つりがね型にばらついている、と置いた、かんたんな形です。それでも、大事なことが、2つ、分かります。「努力は報われる」は、運の割合が小さい場所では、だいたい、正しい。運の割合が大きい場所では、1回や2回の結果からは、何も、言えない。そして、くり返せる場所なら、運は、うすめられます。

3. 私の例:報われた場所、報われなかった場所

3-1. 100個以上検証して、負けた

私は、2010年から2014年ごろ、FXの自動売買のシステムを、集中的に、検証しました。海外のトレーダーの集まりに入って、情報を交換して、毎日、10個の単位で、過去のデータにあてて、試しました。合計で、100個を、こえます。損失は、200万円以上。いまも、FXは、通算で、マイナスです。

株のほうは、学生のころに積立を始めて、長い目で見て、合計でマイナスになったことが、ありません。こちらは、決まった形で、積み立ててきただけです。半年ほど、AIを使って、個別の株にも投資しました。プラスには、なりました。けれど、指数には、勝てませんでした。

努力の量と、結果が、逆になっています。2章の計算機で言えば、短い期間の値動きは、運の割合が、とても大きい場所です。そこでは、「これだけやったのだから」は、通りません。私が、これから新しく始める人に、FXをすすめていないのは、このためです。

3-2. 直せるようになると、たのまれるようになった

逆の場所も、あります。私は、高校生のころに、自分でパソコンを組みはじめました。何台も、こわしました。こわしながら、組めるようになりました。すると、「作ってくれ」「構成を考えてくれ」と、たのまれるようになりました。中古品の修理も、その先に、ありました。

修理は、運の割合が、小さい場所です。直せる人は、次も、直せます。こわした台数が、そのまま、腕になります。そして、何度でも、くり返せます。「努力は報われる」が、だいたい正しいのは、こういう場所です。

3-3. 偽物を売る人は、売り続けていた

ブランド品を仕入れていたころ、オークションで買った品が、偽物でした。相手に伝えると、「評価を消したら、返品を受け付ける」と、言われました。その相手は、そのあとも、偽物を、売っていました。

いまのオークションでは、落札したのに支払わない人を、落札者の都合で削除しても、私の理解では、相手に、悪い評価が、自動では、入りません。約束をやぶっても、記録に、残りにくい。

「悪いことをすれば、ばつを受ける」は、しくみが、そうなっている場所でしか、成り立ちません。ばつは、自然には、落ちてきません。だれかが、費用を払って、落としています。だから、私は、ばちが当たるのを、待ちません。支払わない相手と、受け取ったあとで難くせをつけてくる相手は、ブラックリストに入れて、自分の売り場から、外します。公正さは、期待するものでは、なく、自分の手のとどく範囲で、作るものです。

3-4. 相場より高い時給を出しても、感謝は、されなかった

人を雇っていたころ、私は、相場より、はっきり高い、時給2,000円を、出していました。感謝は、されませんでした。「もらって、当然」という態度を取られて、「だれが雇ってやっていると思っているんだ」と、思ってしまったことが、あります。私も、昔は、そうだったのですが。

これも、公正世界仮説の形を、しています。「よくしたのだから、よく返ってくるはずだ」という、期待です。高い時給は、私が、よい人に来てもらうために決めた、値段です。相手に感謝の義務が生まれる、という約束は、どこにも、ありませんでした。期待が外れて腹が立つとき、その期待は、たいてい、相手と約束したものでは、ありません。

3-5. 「落ちこぼれ」は、ばつだったのか

私は、大学で、研究室に入りませんでした。就職活動では、面接で、落ち続けました。世の中のものさしでは、「落ちこぼれ」です。公正世界仮説で読めば、「努力が足りなかった、当然の結果」に、なります。

同じころ、私は、古本を仕入れて売ることで、学費も、教科書代も、定期代も、自分で、払っていました。ある場所で報われなかった人が、べつの場所で、報われないとは、かぎりません。「報われないのは、自分のせいだ」と考える前に、「ここは、自分の努力が、結果になる場所か」を、うたがってください。

4. つき合い方

  • 場所の、運の割合を、先に見る:2章の計算機です。運が大きい場所では、1回の結果で、自分も、他人も、さばきません。
  • くり返せる場所を、えらぶ:同じ運の割合でも、回数を重ねられるなら、実力は、結果に出ます。1回きりの大勝負より、小さく、何度も。
  • 他人の不運に、理由を、さがさない:「あの人にも、原因がある」と思ったら、それは、相手の分析ではなく、自分の不安を、しずめているのかもしれません。
  • 自分の不運を、全部、自分のせいに、しない:直せる原因は、直します。運の分まで、せおいこむと、動けなくなります(学習性無力感の記事)。
  • 期待は、約束に、変える:「よくしたのだから、返ってくるはず」を、やめます。返してほしいものがあるなら、先に、条件として、書きます。
  • 信じる部分は、残す:この信念が、長い努力を、ささえているのも、事実です。全部すてて、「どうせ、運だ」に行くのも、同じくらい、まちがっています。運の小さい場所で、くり返す。そこでは、信じて、かまいません。

5. まとめ

  • 公正世界仮説とは、「よいことをすれば報われ、悪いことをすれば、ばつを受ける」と信じる、心のくせです。メルヴィン・ラーナーが、研究しました。
  • この信念は、長い努力をささえます。一方で、被害を受けた人をせめる、自分をせめ続ける、成功した人を正しいと思いこむ、という形で、害になります。
  • 運が50%の場所でも、実力が上の人は、4回に1回、負けます。運が90%なら、ほぼ、コイン投げです。くり返せば、運は、うすまります。
  • 私は、100個以上検証したFXで負け、ただ積み立ててきただけの株で、勝っています。一方、何台もこわしながらおぼえた修理は、そのまま、腕になりました。
  • ばつは、自然には、落ちてきません。公正さは、自分の手のとどく範囲で、作るものです。

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