利用可能性ヒューリスティックとは|意味と具体例。3件続いた不払いで「もうだめだ」と言いはじめる頭との、つき合い方

利用可能性ヒューリスティックとは|意味と具体例。3件続いた不払いで「もうだめだ」と言いはじめる頭との、つき合い方 心理学・バイアス

利用可能性ヒューリスティックとは、「すぐに思い出せること」を、「よく起きること」だと、見つもってしまう、判断のくせです。飛行機の事故のニュースを見たあとは、飛行機が、こわくなる。宝くじの当選者の話を聞くと、当たる気が、してくる。思い出しやすさと、実際の起きやすさは、べつのものです。けれど、頭は、この2つを、区別しません。

先に、書いておきます。私は、最近、オークションで売ったパソコンの部品が、3件続けて、支払われませんでした。数字だけなら、不払いの率は、100%です。こういうとき、頭は、「オークションは、もう、だめだ」と、言いはじめます。3件は、あざやかです。けれど、3件です。この記事は、あざやかな少数の記憶と、どう、つき合うかを、書きます。

この記事では、意味と実験を先に書いて、そのあとで、計算機、私の例、対策を書きます。

1. 利用可能性ヒューリスティックとは

1-1. 意味と、実験

1973年に、エイモス・トヴェルスキーと、ダニエル・カーネマンが、示しました。有名な実験を、2つ、紹介します。

実験 内容 結果
Kの実験 英語で、「Kで始まる単語」と、「3文字目がKの単語」は、どちらが多いか 多くの人が、「Kで始まる」と、答えた。実際は、3文字目がKの単語のほうが、多い。最初の文字からのほうが、思い出しやすいから
名前の実験 有名な女性の名前19人と、あまり有名でない男性の名前20人を、まぜて読み上げる。あとで、「男女、どちらが多かったか」を聞く 多くの人が、「女性のほうが多い」と、答えた。有名な名前のほうが、思い出しやすいから

1978年の、べつの研究では、人に、いろいろな死因の件数を、見つもらせました。竜巻や、殺人のように、ニュースになる死因は、実際より、ずっと多く、見つもられました。ぜんそくや、糖尿病のように、ニュースにならない死因は、少なく、見つもられました。

1-2. 思い出しやすくなる、条件

  • 最近、起きた:先週のことは、3年前のことより、重く、あつかわれます。
  • あざやか:映像がある、感情が動いた、めずらしい。
  • 自分に、起きた:統計の1万件より、自分の1件のほうが、重い。
  • 何度も、見聞きする:ニュースやSNSでくり返されると、1件が、10件に、感じられます。

1-3. 近い言葉との、ちがい

言葉 何で、確率を見つもるか
利用可能性ヒューリスティック 思い出しやすさ
代表性ヒューリスティック 「それらしさ」。典型に、どれだけ、にているか
生存者バイアス 目に入る例が、うまくいった例に、かたよっている

生存者バイアスは、「見えるデータが、かたよっている」話です。利用可能性ヒューリスティックは、「頭の中で、取り出しやすいデータが、かたよっている」話です。2つは、よく、重なります。もうかった人の話は、目にも入りやすく、思い出しやすい。

2. 計算機:その件数で、どこまで、言えるか

「最近、◯件中、◯件が、こうだった」。その数字から、本当の率が、どの範囲にありそうかを、出します(95%の信頼区間。ウィルソンの方法)。

見た件数 件 そのうち、起きた件数

見たままの率:

本当の率が、ありそうな範囲:

範囲のはばを、プラスマイナス10%までせばめるのに、いる件数の目安:

はじめの数字は、私の、3件中3件の、不払いです。見たままの率は、100%。けれど、本当の率がありそうな範囲は、43.8%から、100%です。3件では、「半分以下かもしれない」さえ、否定できません。30件中30件なら、範囲は、88.6%から、100%。ここまで来れば、「ほとんど、不払いだ」と、言えます。

範囲を、プラスマイナス10%までせばめるには、約97件、いります。頭は、3件で、結論を、出したがります。数字は、100件近く、待てと、言っています。

3. 私の例

3-1. 3件続いた、不払い

私は、オークションでは、ほとんど、1円から始める形で、出品しています。最近売ったパソコンの部品は、3件とも、落札されたあと、支払いが、ありませんでした。

3件は、あざやかです。最近で、自分に起きて、3回、くり返されました。1章の条件が、3つ、そろっています。ここで、「オークションは、もう、使えない」と決めるのは、利用可能性ヒューリスティックです。計算機のとおり、3件からは、ほとんど、何も、言えません。

ただし、この3件は、でたらめな3件では、ありません。私の、これまでの取引では、落札した人の大半は、数時間のうちに、支払います。不払いは、1円から始める出品に、とくに、多い。始める値段を上げれば、集まる人の質は、変えられる。私は、そう、見ています。つまり、私は、3件だけで判断しているのでは、なく、もっと長い記録と、合わせて、読んでいます。あざやかな少数を、長い記録の中に、置きなおす。それが、このくせへの、いちばんの対策です。

3-2. 「売れた記録」は、見える。「売れなかった記録」は、見えない

業者向けの市場で、業務用のモニターを、10台、落札したことが、あります。5,000円以上で売れた記録が、見えたからです。出品してみると、アクセスも、「いいね」も、つきません。1円でも、売れませんでした。

売れた記録は、調べれば、出てきます。売れずに終わった出品は、記録に、残りません。取り出せる情報が、「売れた」側に、かたよっていました。私は、取り出せた情報の量を、需要の量だと、読みちがえました(この話は、確証バイアスの記事に、くわしく、書きました)。

3-3. 暴落のニュースで、手ばなした

私は、ビットコインを、持っていました。はじめのブームのあとの暴落で、マイナス30%ぐらいで、手ばなしました。損失は、50万円以上です。

暴落の最中は、下がる話ばかりが、目に入ります。下がる話は、あざやかで、何度も、くり返されます。そのとき、頭の中で取り出しやすいのは、「もっと下がる」という例だけです。売ったことが、正しかったか、まちがっていたかは、ここでは、問いません。言いたいのは、暴落の最中に手に入る判断の材料は、「取り出しやすい情報」に、大きく、かたよる、ということです。私の判断も、その中で、下されました。

3-4. 1回も、うまくいかなかった依頼

逆に、記憶が、役に立っている例も、あります。フリマで、「いまお金がないので、取り置きしてください」とたのまれて、購入までいったことは、1回も、ありません。値下げの交渉も、個人が相手だと、受けても買われなかった経験が、何度も、あります。だから、私は、どちらも、ことわっています。

これは、思い出しやすい失敗に、引っぱられているだけでは、ないか。その可能性は、あります。ちがいは、件数です。3件では、なく、何年分もの、くり返しです。そして、ことわっても、失うものが、小さい。まちがっていたときの損が小さい判断は、記憶にたよって、かまいません。まちがっていたときの損が大きい判断だけ、数えなおします。

4. 対策

  • 「何件中、何件か」を、書く:「最近、多い」を、数字に、直します。2章の計算機に、入れます。
  • 記録を、つける:頭の中の記録は、あざやかなものだけが、残ります。売れた、売れなかった、払われた、払われなかった。全部を、同じ1行で、残します。
  • 「起きなかったこと」を、さがす:売れなかった出品。事故を起こさなかった飛行機。やめなかった人。取り出しにくい側の情報を、わざと、取りに行きます。
  • ニュースを見た直後に、決めない:あざやかさは、時間がたつと、うすれます。大きな判断は、1晩、おきます。
  • 損が小さい判断は、記憶で、いい:全部を数えなおすと、つかれます。3章の4つ目のとおり、数えなおすのは、まちがえたときの損が、大きい判断だけです。

5. まとめ

  • 利用可能性ヒューリスティックとは、思い出しやすいことを、よく起きることだと、見つもるくせです。1973年、トヴェルスキーとカーネマンが、示しました。
  • 最近のこと、あざやかなこと、自分に起きたこと、何度も見聞きしたことが、実際より、重く、あつかわれます。
  • 3件中3件でも、本当の率がありそうな範囲は、43.8%から100%です。3件では、ほとんど、何も、言えません。
  • 私は、3件続いた不払いを、長い取引の記録の中に、置きなおして、読んでいます。一方で、「売れた記録」だけを見てモニターを10台買い、暴落のニュースの中で、ビットコインを、手ばなしました。
  • 対策は、「何件中、何件か」を書くこと。そして、取り出しにくい側の情報を、わざと、取りに行くことです。

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