「給付型奨学金 資産 NISA」「給付型奨学金 併用」「所得制限なし 奨学金」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。
親がNISAで教育費を貯めていても、日本学生支援機構(JASSO)の給付型奨学金の資産基準で外れる家庭は多くありません。資産基準は「本人と生計維持者の資産の合計が5,000万円未満」で、NISAは時価で入り、学資保険(満期・解約前)は入りません。先に効くのは所得の基準です。ただし、扶養する子が3人以上の多子世帯なら、所得制限なしで授業料の減免を受けられます。所得で外れる家庭の受け皿は、所得制限のない民間の給付型奨学金ですが、多くは他の給付型と併用できません。キーエンス財団(月12万円)も併用できませんが、国の授業料減免とは一緒に受けられます。現金の給付を重ねられて所得制限もないものは、公式の要項で確かめた範囲ではDAISO財団・コカ・コーラ教育・環境財団・山田長満奨学会の3つでした。どれも採用は数十人以下なので、当てにはできません。本線は、親が早めに運用しておくことです。
この記事は、教育費を準備する親に向けて書いています。ただ、私にはまだ子どもがいません。教育費の考え方は私の考えで、経験ではありません。私自身の言葉では、こうです。
「エアプだが子どもが生まれて妻が許してくれたらそうする。」
その「そうする」の中身は、これです。
「子どもが生まれた時から学資保険に回すお金をレバナスやトリナスに回す。学費はよほどの偏差値レース適性がない限りZEN大学目線で良くて、今や夜間部を抜け道として使う優位性もない。そしてZEN大学目線だと子どもが複数人いても奨学金目線にならない」
レバナス・トリナスは、ナスダック100指数に連動するレバレッジ型の投資信託の通称です。この記事では、この考えと、私が考えた奨学金の使い方を、JASSO・文部科学省・金融庁と、各財団・大学の公式の要項で確かめました。成り立つところと、成り立たないところを分けて書きます。投資や進学先をすすめる記事ではありません。
| 知りたいこと | 答え | 章 |
|---|---|---|
| うちは何をすればいいか | 子どもの年齢で変わる。高校生なら、国の制度の予約採用(高3の4月下旬から高校を通じて)と、民間の給付型の締切を押さえる | 2章 |
| NISAは給付型奨学金の資産に入るか | 入る。親名義も子名義も、時価で数える。学資保険(満期・解約前)、不動産、イデコ(引き出せない状態)は入らない | 3章 |
| 親がNISAで貯めると外れるか | 資産基準は5,000万円未満。たいていの家庭は、その前に所得の基準で外れる。多子世帯の授業料減免は所得制限なし(資産は3億円未満) | 3章 |
| 所得制限なしの給付型はあるか | ある。キーエンス財団、DAISO財団、コカ・コーラ教育・環境財団、山田長満奨学会など。ただし所得を選考で見るところが多い | 4章 |
| 給付型は併用できるか | 財団による。キーエンス財団・似鳥国際奨学財団などは他の給付型と併用できない。DAISO財団・コカ・コーラ教育・環境財団・山田長満奨学会は併用できる | 4・5章 |
| 全部申し込んで余りを作れるか | 同時に申し込むのは問題ない。余りが出るのは、キーエンス財団で国立・自宅、キーエンス財団と多子世帯の授業料減免、などの場合。ただし採用されればの話 | 5章 |
| ZEN大学なら | 学費は4年で158.6万円。日本財団ZEN大学奨学金(学費免除)を土台に、DAISO財団、JASSOの給付奨学金、特待奨学生を重ねられる。キーエンス財団・コカ・コーラ教育・環境財団は通信制が対象外 | 6章 |
| ZEN大学を出て、やはり学歴が要るなら | 東京大学などの大学院へ。ZEN大学4年+東京大学の修士2年で学費315.4万円(2029年4月以降に修士に入学する場合)で、私立大学4年の559.6万円より安い。キーエンス財団の大学院向け給付(月12万円×2年)もある | 6章 |
| 一番お金がかからないルートは | 私の考えでは、公立中学→高校に行かずに高卒認定→18歳でZEN大学。私立中・私立高・私立大と比べて、学費と学習費の平均で約1,060万円少ない | 6章 |
| 返す奨学金を借りて運用に回すと | 第二種(在学中は無利子、利率は上限年3.0%)を月12万円借りて年率5%で回せれば、返し終えて約415万円残る計算。卒業のころに3割下がると、約97万円の持ち出し | 5章 |
| レバレッジ型で22年回すと | 過去のナスダック100で500万円を22年持つ計算をすると、2倍型は平均7,379万円で1倍より高いが、中央値は3,733万円で1倍(5,550万円)より低い。1倍に勝ったのは19%の期間だけ。3倍型は53%の期間で元本割れ。2010年以降だけなら2倍型は年31.5% | 7章 |
| 親はいくら用意すればいいか | 生まれたときの100万円を年率5%で18年運用すると、税を引いて約212万円(仮定の計算)。いまある額と毎月の積立から、進学先ごとの過不足を出す計算機を置いた | 7・8章 |
1. 先に、立場を書きます
私は中古品の売買を20年近く続けている古物商です。投資は、学生のときに『ウォール街のランダムウォーカー』を読み、サブプライムショックの直後に積立を始めました。年単位では損が出た年もありますが、長く持ってきて、通算でマイナスになったことはありません。
この記事のために、教育費と奨学金について、次のように答えました。
| 教育費の考え方 | 「子どもが生まれた時から学資保険に回すお金をレバナスやトリナスに回す。学費はよほどの偏差値レース適性がない限りZEN大学目線で良くて、今や夜間部を抜け道として使う優位性もない。そしてZEN大学目線だと子どもが複数人いても奨学金目線にならない」 |
| それは実際にしているか | 「エアプだが子どもが生まれて妻が許してくれたらそうする。」 |
| 奨学金の使い方(どこから来た考えか) | 「私が自分で考えた生存戦略」 |
| 奨学金の使い方(中身) | 「キーエンス財団みたいな返済不要年収審査なしのもので併用できるものに全部申し込む → 1個でも学費はカバーできるが複数だと余剰金が生まれる → 下宿も出来るようになりバイトしなくて良くなる。家から通える人はそれを全部投資に回せる。あるいはZEN大学目線の人は学費が根本的に安い上に通学費もかからないので、なおさら破綻しない。」 |
| 親が早くから運用すること | 「そもそも親が子どもが生まれた瞬間に100〜500万を用意して運用を開始してやれば16歳のときには将来お金に困って進学を諦めたり不便な場所に住まなければいけなかったり、お金のためにやりたくもない仕事をする必要はなくなる。」(これも「エアプ」) |
| 私の学歴 | 私立中学(推薦)→日本大学の付属高校(単願推薦)→日本大学の短期大学→東京電機大学(編入)。卒業証書を受け取ったのは25歳の秋で、就職活動では学歴フィルターにも引っかかった(くわしくは6-1章) |
| 夜間部を抜け道にしない理由 | 「いうて学歴の価値が暴落しているから夜間部使って有名大学出ましたムーブが微妙。それならZENでいい。時間にも場所にも縛られない」 |
確かめてみると、私の考えのうち「キーエンス財団みたいな…併用できるものに全部申し込む」は、そのままでは成り立ちませんでした。キーエンス財団は、他の返済不要の給付型と併用できないからです。それでも、併用できる財団を探して組み合わせを計算すると、余りが出る形は見つかりました(5章)。
2. 子どもの年齢別に、いまやること
| 子どもの年齢 | いまやること |
|---|---|
| 高校生 | ①JASSOの「進学資金シミュレーター」で、所得の区分に入るか、多子世帯にあたるかを確かめる(3章) ②国の制度(給付奨学金と授業料等減免)は、高3の4月下旬から、在籍する高校を通じて予約採用に申し込む。多子世帯の授業料減免も、この申込みが要る ③民間の給付型を、締切の早い順に申し込む(4章の表) ④8章の計算機に、いまある額と進学までの年数を入れて、足りない額を出す |
| 小学生・中学生 | 計算機で、いまの額と毎月の積立で足りるかを見る(8章)。2027年1月からは、子ども名義の「こどもNISA」も使える(年60万円まで)。私の考えでは、公立中学から高校に行かずに高卒認定を取り、ZEN大学に進む道が一番お金がかからない(6-5章) |
| 生まれたばかり・これから | 私の考えは、生まれたときにまとまった額を運用に回すこと(7章)。ただし、教育費のように使う時期が決まったお金を、値動きの大きい商品で運用する危うさもある |
3. 親がNISAで貯めていると、給付型奨学金は外れるか
3-1. 資産基準は5,000万円未満。NISAは入り、学資保険は入らない
JASSOの給付型奨学金(高等教育の修学支援新制度)には、所得の基準と資産の基準があります。資産の基準は、2027年度に進学する人の予約採用で「あなたと生計維持者の資産額の合計が基準額5,000万円未満であること」です。生計維持者は、ふつうは父母です。本人の分も入るので、親名義のNISAも、子ども名義のNISAも数えます。
| 資産に入るもの | 資産に入らないもの |
|---|---|
| 現金(退職金を含む。投資用の金・銀など) | 土地・建物などの不動産 |
| 預貯金(普通預金・定期預金) | 満期・解約前の保険の掛け金 |
| 有価証券・投資信託(株式、国債、社債、地方債など)。NISAによる投資額も入り、時価で換算する | 貯蓄型の生命保険や学資保険 |
| 満期や解約で現金にした保険 | 個人年金(申込時点で受け取っていなければ)、イデコ(申込時に自由に引き出せない状態なら) |
数えるのは申し込む日の時点の額です。住宅ローンなどの借金と相殺することはできません。資産の額は申告だけで、通帳のコピーなどの証明書は要りません。ただしJASSOは、採用後に虚偽の申告がわかった場合は「支給した額の140%を返金いただく場合があります」としています。
3-2. 先に効くのは、所得の基準
資産より先に、所得で外れる家庭がほとんどです。JASSOが示す年収の目安は、次のとおりです(2027年度進学予定者の予約採用。給与所得の世帯)。
| 世帯の例 | 第1区分 | 第2区分 | 第3区分 | 第4区分 |
|---|---|---|---|---|
| 3人(本人、親A(給与)、中学生) | 221万円 | 298万円 | 373万円 | 630万円 |
| 4人(本人、親A(給与)、親B(収入なし)、中学生) | 271万円 | 303万円 | 378万円 | 635万円 |
| 4人(本人、親A(給与)、親B(給与)、中学生) | 親A 221万円・親B 127万円 | 親A 245万円・親B 165万円 | 親A 323万円・親B 165万円 | 親A 589万円・親B 165万円 |
| 5人(本人、親A(給与)、親B(パート)、大学生、中学生) | 親A 321万円・親B 110万円 | 親A 395万円・親B 110万円 | 親A 461万円・親B 110万円 | 親A 698万円・親B 110万円 |
数字は目安です。実際は、住民税の情報から出す「支給額算定基準額」で判定するので、年収だけでは決まりません。共働きや子どもの人数で変わるので、自分の家はJASSOの「進学資金シミュレーター」で確かめてください。
もう1つ大事なのは、第4区分で受けられる支援が限られていることです。
| 区分 | 給付奨学金 | 授業料等減免 |
|---|---|---|
| 第4区分(多子世帯) | 第1区分の4分の1 | 第1区分と同じ |
| 第4区分(私立の理工農系) | 0円 | 大学では第1区分の3分の1 |
| 第4区分を超える多子世帯 | 0円 | 受けられる(所得制限なし) |
つまり、子どもが1人か2人の家庭で、所得が第3区分を超えると、資産がいくらであっても、国の給付奨学金はふつう出ません(私立の理工農系に進めば、授業料の一部の減免はあります)。NISAをやめて学資保険に替えても、所得で外れていれば結果は変わりません。
3-3. 多子世帯なら、授業料の減免に所得制限がない
扶養する子が3人以上の多子世帯は、2025年度から、所得制限なしで授業料等減免を受けられます。大学の上限は次のとおりです。
| 入学金 | 授業料(年) | |
|---|---|---|
| 国公立 | 28万円 | 54万円 |
| 私立 | 26万円 | 70万円 |
多子世帯の親が見落としやすい点を、文部科学省とJASSOの説明から並べます。
- 申し込まないと受けられない。給付奨学金と同じく、高校(進学後なら大学)を通じてJASSOに申し込む。予約採用は高3の4月下旬から
- 子どもを3人以上「同時に」扶養している間だけ。扶養する子が2人になったら、多子世帯としての支援は終わる。扶養の人数は、毎年10月に、前年12月31日時点の税法上の扶養で確かめる
- 3人以上を同時に扶養している間は、第1子から、大学などに在学する子は全員が対象
- 減免は上限まで。私立大学の授業料の平均は96.8万円(2025年度入学者)なので、平均的な大学なら年26.8万円ほどと、施設設備費(平均17.3万円)は自己負担として残る
- 進学先が国の制度の対象校であること(文部科学省の「対象機関リスト」で確かめられる)
- 成績の要件がある。高校の評定平均3.5が目安で、下回ってもレポートや面談で学修意欲を確かめる。進学後は、修得単位が標準の6割以下などの場合に支援が打ち切られる
- 資産は、多子世帯で授業料等減免を受けるなら3億円未満。資産が5,000万円以上3億円未満なら、給付奨学金は0円で、授業料等減免だけになる
3-4. 親の運用で、5,000万円に届くか
7章と同じ計算で、生まれたときに500万円を入れて年率7%で18年運用しても、税を引く前の時価で約1,690万円です。家の預貯金や親自身の投資と合わせて5,000万円を超える家庭はありますが、そういう家庭の多くは、その前に所得の基準で外れています。親の運用が給付型奨学金を邪魔する場面は、思っているより少ないはずです。
4. 所得で外れる家庭の受け皿:所得制限のない民間の給付型
国の給付型を受けられない家庭が次に見るのは、所得制限を設けていない、またはゆるい民間の給付型です。大学の新1年生として受けられるものを中心に、公式の要項で確かめました。
| 財団 | 給付 | 期間 | 採用人数 | 所得 | 他の給付型との併用 | 通信制・夜間 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| キーエンス財団 | 月12万円 | 4年(576万円) | 1,500名程度 | 制限なし(世帯の所得は選考基準の一つ) | 不可(海外留学支援の奨学金は可)。国の授業料減免、大学で授業料が実際に減る制度、貸与型は可 | 対象外 |
| DAISO財団 | 月5万円 | 最長4年(240万円) | 55名程度 | 世帯年収の制限なし(経済的な支援を必要とする学生を、より適格とする) | 可(JASSOを含む) | 4年制の通信制大学は可 |
| コカ・コーラ教育・環境財団 | 月2万円 | 最短修業年限(4年制なら96万円) | 20人 | 制限なし(世帯の所得は選考基準の一つ) | 可(JASSOを含む全ての給付型) | 対象外 |
| 山田長満奨学会 | 月12万円 | 12か月・1回限り(144万円) | 15名(ほかに奄美群島出身の医学部生3名) | 制限なし | 可 | 記載なし(首都圏の大学に限る) |
| 似鳥国際奨学財団 | 月5〜8万円 | 1年ごとの継続審査で修業年限まで | 350名程度(継続生を含む) | 世帯収入の目安900万円以下(超えても応募はできる) | 不可(JASSOの給付型を含む)。授業料の減免、貸与型は可 | 対象外 |
| 伊藤謝恩育英財団 | 月7万円+入学一時金40万円 | 最長4年 | 40名 | 家計収入による応募の規制なし | JASSOの給付型は可、他の給付型は不可 | 記載なし(指定大学のみ) |
| 樫山奨学財団 | 月6万円 | 4年 | 20名程度 | 数値の基準なし(経済的理由で修学が困難な人) | 他の民間財団は不可 | 記載なし(指定大学のみ) |
伊藤謝恩育英財団と樫山奨学財団の指定大学は、それぞれ40校ほどです。大学名は各財団のページで確かめてください。
ここで、私の言葉の「年収審査なし」は、正確には「所得の制限がない」です。キーエンス財団は「経済的な支援を必要とする者」を応募資格に入れていて、学業成績、経済的な状況、小論文などで総合的に選考します。DAISO財団も、経済的な支援をより必要とする学生を適格度が高いとしています。所得が高い家庭でも申し込めますが、所得を見ない、という意味ではありません。
申し込む時期は、財団ごとにばらばらです。2027年4月に入学する人の場合で、確かめた範囲を並べます。年度ごとに変わるので、必ずその年の要項を見てください(2028年4月に入学する人は、1年ずらして読んでください)。
| 時期 | 申し込めるもの |
|---|---|
| 高3の4月下旬から | 国の制度(JASSOの給付奨学金・授業料等減免)の予約採用。在籍する高校を通じて |
| 高3の春 | 伊藤謝恩育英財団(2026年は4月1日〜5月15日。高3のときの予約だけで、入学後は申し込めない) |
| 高3の秋 | DAISO財団(2026年8月15日〜10月15日)、コカ・コーラ教育・環境財団(2026年9月1日〜10月31日。高校の推薦が要る) |
| 高3の11月ごろ | 山田長満奨学会(前年は11月1日〜30日。2027年度の要項は2026年10月10日時点で未掲載) |
| 入学する年の1〜4月 | キーエンス財団(入学する年の2月から)、似鳥国際奨学財団(2026年度は1月20日〜4月20日) |
| 大学1年 | 樫山奨学財団(指定大学の1年生。大学を通して) |
5. 「全部申し込んで、余りを作る」は成り立つか
5-1. 同時に申し込むのは問題ない。決まってから選ぶ
キーエンス財団は、併用を認めていない他の給付型とキーエンス財団の両方に申し込むことは「問題ありません」としています。両方に採用されたら、キーエンス財団を受けるには、他の給付型を辞退します。JASSOの給付奨学金なら「支援の停止」を申請します。
多子世帯で、国の授業料等減免と給付奨学金の両方に採用された場合は、授業料等減免だけを残して、給付奨学金の支援の停止を申請します。授業料等減免だけに採用されている場合は、そのまま併用できます。
キーエンス財団の初回の給付(毎年7月25日ごろ)より前に、他から受け取り済みの給付型は、返さなくてよいとしています。ただし、初回の給付の後は、他の給付型は一切受け取れません。大学独自の奨学金については、現金で給付されるものは、授業料より少ない額でも併用できず、大学に納める授業料が実際に減る制度なら併用できる、としています。
つまり、「全部申し込む」までは成り立ちます。成り立たないのは、「全部受け取る」ほうです。併用できるかどうかは、受け取る側の全部の財団の決まりで決まります。1つでも「他の給付型と併用不可」があれば、その組み合わせは使えません。
5-2. 組み合わせを計算した
比べる費用は、JASSOの「令和6年度 学生生活調査」の、大学昼間部の学生生活費(学費と生活費の合計)の年平均を4倍したものです。下の表の差は、どれも「その奨学金にすべて採用され、条件を満たし続けた場合」の試算です。
| 組み合わせ | 4年間でもらえる額 | 条件 | 比べる費用(4年) | 差 |
|---|---|---|---|---|
| キーエンス財団だけ | 576.0万円 | 通学制の4年制大学 | 国立・自宅 481.0万円 | +95.0万円 |
| キーエンス財団だけ | 576.0万円 | 同上 | 国立・下宿 720.3万円 | -144.3万円 |
| キーエンス財団だけ | 576.0万円 | 同上 | 私立・自宅 762.2万円 | -186.2万円 |
| キーエンス財団+国の授業料減免(多子世帯) | 576.0万円+減免 | 扶養する子が3人以上。授業料が上限まで減免された場合(入学金の減免は引いていない) | 国立・下宿 720.3万円-216万円=504.3万円 | +71.7万円 |
| キーエンス財団+国の授業料減免(多子世帯) | 576.0万円+減免 | 同上 | 私立・自宅 762.2万円-280万円=482.2万円 | +93.8万円 |
| DAISO財団+コカ・コーラ教育・環境財団+山田長満奨学会 | 480.0万円 | 3つとも採用された場合。首都圏の通学制。山田長満奨学会は1年目の12か月だけ | 国立・自宅 481.0万円 | -1.0万円 |
| DAISO財団+コカ・コーラ教育・環境財団 | 336.0万円 | 2つとも採用された場合。通学制 | 国立・自宅 481.0万円 | -145.0万円 |
| ZEN大学+DAISO財団 | 240.0万円 | DAISO財団は4年制の通信制大学も対象(4月入学・20歳以下) | ZEN大学の学費 158.6万円(学費だけの比較) | +81.4万円 |
| ZEN大学+DAISO財団+日本財団ZEN大学奨学金 | 240.0万円+学費の免除 | 生計維持者の収入の合計が700万円未満。毎年応募し、4年とも採用された場合 | ZEN大学の学費 0円(学費だけの比較) | +240.0万円 |
ZEN大学の行は学費だけの比較で、教材費、通信環境、生活費は入っていません。この表から言えることは、4つです。
- 「1個でも学費はカバーできる」は成り立つ。キーエンス財団の年144万円は、私立大学の授業料の平均(96.8万円)と施設設備費の平均(17.3万円)の合計を上回る(文部科学省、2025年度入学者)
- 「複数だと余剰金が生まれる」は、キーエンス財団では成り立たない。併用できるのは、国や大学の授業料減免、貸与型、海外留学の支援だけ。現金の給付を複数重ねられる組み合わせ(DAISO財団+コカ・コーラ教育・環境財団+山田長満奨学会)は、3つとも採用されても合計480万円で、キーエンス財団1つの576万円より少ない
- 「下宿も出来るようになりバイトしなくて良くなる」は、キーエンス財団と多子世帯の授業料減免がそろえば、国立の下宿で成り立つ計算になる(+71.7万円)。キーエンス財団だけだと、国立の下宿で年36万円ほど足りない
- 「ZEN大学目線の人は…なおさら破綻しない」は、学費については成り立つ。DAISO財団1つで学費を上回る
5-3. それでも、当てにはできない
組み合わせが見つかっても、これを進学の計画の柱にするのはすすめません。理由は3つです。
1つ目は、枠の小ささです。キーエンス財団は1,500名程度ですが、DAISO財団は55名程度、コカ・コーラ教育・環境財団は20人、山田長満奨学会は15名です。
2つ目は、選考があることです。キーエンス財団は学業成績、経済的な状況、小論文などで選びます。コカ・コーラ教育・環境財団は、サステナビリティへの関心と高校の推薦が要ります。山田長満奨学会は、毎月決まった日に、給付を直接受け取りに行ける人が条件です。
3つ目は、受けた後の義務です。キーエンス財団は、レポート、成績証明書、在学証明書を出すことを求め、成績が改善しない場合は一時停止や資格の喪失を検討するとしています。
余りが出たときの使い道について、確かめた要項に細かい決まりは見つかりませんでした。キーエンス財団は本人名義の口座に振り込み、返済も、卒業後の進路の条件もありません。それでも、給付型奨学金は、経済的な支援が必要な学生の修学を支えるお金で、使い道は財団の決まりと趣旨が先です。私は「家から通える人はそれを全部投資に回せる」と考えましたが、筋が通るのは、奨学金で浮いた親の教育費を、親の側で運用に回す、という形のほうだと思います。
5-4. 返す奨学金(貸与型)を借りて、運用に回す(私の考え)
私は、返済の義務と金利があっても、運用に回せばプラスになると考えています。返す奨学金(貸与型)は、キーエンス財団、DAISO財団、コカ・コーラ教育・環境財団、似鳥国際奨学財団のどれとも併用できます。ここでは、JASSOの第二種奨学金(利子つき)で確かめました。
- 在学中は利子がかからない。利率は貸与が終わった月に決まり、基本月額の利率は年3.0%が上限
- 2026年9月に貸与が終わった人の利率(基本月額)は、利率固定方式で年3.000%、利率見直し方式で年2.400%
- 返還は、貸与が終わった翌月から数えて7か月目から始まる
- 月12万円を4年借りると576万円。年3%なら、返す総額は775.1万円で、月32,297円を20年(JASSOの返還例)
- 予約採用の家計基準の目安は、4人世帯(本人、親A、給与300万円の親B、中学生)で1,250万円。給付型よりずっと広い
月12万円を4年借りて、受け取るたびに全額を運用し、返還も運用した口座から払っていった場合に、返し終えたとき(卒業から約20年半後)に残る額を計算しました。
| 運用の年率 | 相場が順調な場合 | 卒業のころに3割下がった場合 |
|---|---|---|
| 0%(運用しない) | -199.1万円(利子の分) | ― |
| 3% | +63.7万円 | -247.5万円 |
| 5% | +415.2万円 | -96.7万円 |
| 7% | +1,001.1万円 | +209.0万円 |
前提:利率は年3%(上限)の固定、20年で返す。運用の年率は毎年一定で、3割下がった後も同じ年率で増える。NISAで運用して税はかからない。生活費には使わない。運用した口座が尽きたら、その後の返還は給料から払う(マイナスは、その持ち出しの額)。
この表から言えることは、3つです。
- 「運用に回せばプラス」は、運用の年率が借りた利率(いまは3%前後)を上回り続ければ成り立つ。在学中は利子がかからないので、年率3%でもわずかにプラスになる
- ただ、借金は相場と関係なく毎月返す。卒業のころに3割下がると、年率5%でも約97万円の持ち出しになる。下がったところで売って返すことになるから
- 生活費に使う人には当てはまらない。成り立つのは、私の言う「家から通える人」で、生活費を別に賄える場合だけ
使い道の決まりも確かめました。JASSOの貸与奨学金は「経済的理由により修学に困難があると認められる人」が対象で、在学中の適格認定では「修学を継続するために引き続き奨学金の貸与が必要と認められること」を見ます。投資に回すことを禁じる文は見つかりませんでしたが、趣旨は修学です。
もう1つ、正直に書いておきます。私自身は、借金をして投資をしたことは一度もありません。FXも含めて、全部事業で稼いだ手持ちの資金でした。この考えも、エアプです。
5-5. 夜間部は、抜け道にならない
キーエンス財団、コカ・コーラ教育・環境財団、似鳥国際奨学財団は、夜間学部を対象から外しています(3つとも、通信教育課程・通信学部も対象外です)。
私自身は、夜間部に行きそびれた側です。「現役時代は東京理科大の二部、経営工学科の推薦条件を満たしていたが親と担任に反対され進学を逃す」。当時の私なら、理科大の二部を選ぶべきでした(学歴ロンダリングの記事にもそう書きました)。20年前の私にとっては、それが一番安くて早い道だったからです。ただ、理科大の工学部第二部は2016年度から学生の募集を停止していて、いまは同じ学科がありません。あくまで当時の話です。
それでも、いまの高校生に夜間部を抜け道としてすすめないのは、夜間部まで使って取りにいく「大学の名前」の値打ちが下がったと見ているからです。
「いうて学歴の価値が暴落しているから夜間部使って有名大学出ましたムーブが微妙。それならZENでいい。時間にも場所にも縛られない」
6. ZEN大学目線なら、奨学金を前提にしなくてよい
6-1. なぜZEN大学目線なのか:私の学歴の利回り
私がZEN大学目線と言うのは、子どもとして教育費をかけてもらった側の私の利回りが、悪かったからです。経路は学歴ロンダリングの記事にくわしく書きましたが、この記事のために、こう答えています。
| 中学 | 「私立中学に公立小学校の校長推薦と日能研の室長推薦をセットで付けて推薦受験で合格(インチキ合格)」 |
| 高校 | 「日本大学の付属の高校に単願推薦で合格(インチキ合格)」 |
| 短大 | 「エスカレーターで日本大学の短期大学に進学」 |
| 四大 | 「編入学試験で東京電機大学に進学」 |
| 行けなかった道 | 「現役時代は東京理科大の二部、経営工学科の推薦条件を満たしていたが親と担任に反対され進学を逃す」 |
| 卒業まで | 「学歴の遅れは在籍なら2年半だけど卒業証書を取得したのが25歳の秋だったのですごく遅い。大学院を卒業した人よりも年老いていて」 |
| 就職活動 | 「結局就職活動では学歴フィルターに引っかかって説明会にすら参加できない会社がチラホラ」 |
| 親が出してくれたお金 | 「親は短期留学にも望めば何度でもお金を出してくれたが私の教育投資に対する利回りはとても悪い」 |
| いまの見方 | 「20年前でこれ。今はAIの登場でこの時よりもさらに利回りは低い。」 |
「インチキ合格」は私の言い方で、推薦も単願も、学校が用意した正規の入口です。それでも、実力より上の学校に入った結果、どの段でも中では落ちこぼれました。
この利回りを、公的な統計で大きさだけ確かめます(私の家の実額ではなく、平均の額です)。
| 項目 | 平均の額 | 出どころ |
|---|---|---|
| 私立中学の3年間 | 年156.0万円×3=468.1万円 | 文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」(学校の費用と塾などを合わせた学習費総額) |
| 私立高校の3年間 | 年117.9万円×3=353.8万円 | 同上(2026年3月の訂正後の値) |
| 社会に出るのが1年遅れる値段 | 年平均で約700万円 | 労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2025」の生涯賃金(大学卒の男性、22〜59歳の正社員、退職金を含まない、2024年)2億6,280万円を、働く年数の約37.5年で割った値 |
| 私の遅れの値段(22歳の春に出る現役生と、25歳の秋に卒業した私) | 2,000万円を超える(3年分で約2,100万円) | 上の年平均の3年分。いつの1年を失うかで変わるので、単純計算の目安。同じ推計は、大学院卒の入職年齢を24歳と置いている |
私立の中学・高校だけで、平均で約822万円。そこに短大と四大の学費、短期留学の費用、3年あまりの遅れが乗って、手に入ったのは「大卒」という入場券でした。卒業証書を受け取ったのは、大学院を出た人より遅い25歳の秋です。しかも、その入場券でも説明会に入れない会社がありました。私はその肩書を使わずに独立しましたが、教育費の利回りとして見ると、悪かったと言うしかありません。
20年前でこれです。私の見方では、学歴の値打ちはそこからさらに下がり、超一流の大学でもない限り、大学で学ぶことの多くはAIですぐに調べられるようになりました。だから私は、名前の通った大学に通うために、私立・自宅で4年762.2万円(5章)を払う前に、学位だけを158.6万円で取れるZEN大学を基準に置いて、そこから上乗せする理由があるかを考えればいい、と考えています。
私の言葉では、こうです。
「利回りが致命的に低い。学歴に対して利回りを意識している親はまずいないと思う。」
6-2. 一番割を食うのは、高校入学時に偏差値60前後の子
私がZEN大学目線なのは、偏差値が低かったからでもあります。ただ、私の見立てでは、一番損をするのは私のような層ではありません。
「私は偏差値が低かったのでなおさらZEN目線だが一番割りを食うのは高校入学時に偏差値60前後の人達です。この人らは高校受験では勝者だったのかもしれませんが、大学受験は高校偏差値マイナス10が射程なので、真剣にガチっても偏差値50前後の大学が射程圏内です。そしてこのレベルの大学は間違いなくAIに負けていて、そこで教わることも実践的ではない時代遅れの理論です。それなら図書館で本を借りて勉強している方がよほど有意義だし、人脈を作るという意味でもそこに集まる人間の質は高くないので希薄です。」
「高校偏差値マイナス10」は私の経験からの目安で、統計で確かめた数字ではありません。大学ごとの教育の中身を測ったものでもありません。それでも、お金の大きさだけは確かめられます。学費だけで比べると、私立大学の4年間の平均は559.6万円(JASSOの学生生活調査、授業料などと修学費)、ZEN大学は158.6万円で、差は約401万円です。私立の中学・高校から進んだ家なら、その前に平均で約822万円を払っています(6-1章)。
その差を払ってまで通う理由が、その子にあるか。実験・実習が要る、国家資格の養成課程に進む、その大学の特定の先生に学びたい、通学して学ぶほうが合っている。こうした理由があるなら払う価値はあります。理由が「みんな大学に行くから」「名前の通った大学だから」だけなら、私はZEN大学を基準に置きます。
6-3. ZEN大学の学費と、重ねられる奨学金
ZEN大学は、2025年に開学したオンラインの通信制大学です。学費は、年間の授業料が38万円(システム利用料2万円と学籍管理料3万円を含む)で、初年度だけ入学検定料3万円と入学金3万6千円がかかります。4年で158.6万円です。テキスト代などは別です。
文部科学省の調査では、私立大学の初年度の納付金の平均は150.8万円です(2025年度入学者)。ZEN大学の4年分は、私立大学の1年目とほぼ同じです。
ZEN大学で使える奨学金は、日本財団ZEN大学奨学金を土台にして重ねられます。日本財団ZEN大学奨学金は、応募の手引きで「その他団体による奨学金との併用について制限はありません」としています。重ねられないのは、通信制を対象から外している財団のほうです。
| 重ねるもの | 4年間の額 | 条件 |
|---|---|---|
| 日本財団ZEN大学奨学金(土台) | 学費158.6万円が0円 | 生計維持者(学費・生活費を負担する人)の収入の合計が700万円未満。家計と学業の総合審査。単年制で毎年応募。2027年度の支給枠は最大1,050名(新入生向けの応募の手引きでは、2027年4月入学生は最大350名) |
| +DAISO財団 | +240万円(月5万円) | 4年制の通信制大学も対象。4月入学・20歳以下。55名程度 |
| +JASSOの給付奨学金(通信課程) | +最大20.4万円(年51,000円) | 所得の区分に入る場合。授業料等減免は日本財団ZEN大学奨学金が優先し、給付奨学金は通常どおり年1回出る |
| +特待奨学生支援制度(ZEN大学) | +年50万円が原則(例外的に100万円) | 社会的な実績がある人、研究や活動での活躍が期待できる人。2027年度は最大100名。日本財団ZEN大学奨学金と併用できる |
| +JASSOの貸与奨学金(返す) | 通信教育課程の第二種は、2〜12万円を年1回(JASSOの通信教育向けの案内) | ZEN大学は貸与奨学金もあるとしている。ZEN大学での扱いは大学に確かめる |
| キーエンス財団、コカ・コーラ教育・環境財団、似鳥国際奨学財団 | 重ねられない | 通信教育課程は対象外 |
特待奨学生を除いても、日本財団ZEN大学奨学金とDAISO財団の両方に採用されれば、学費が0円になったうえで4年間に240万円が入ります。通学制のキーエンス財団(576万円)より額は小さいですが、学費と通学費がかからない分、「なおさら破綻しない」は、ここで一番はっきり成り立ちます。ただし、どれも審査があり、DAISO財団は55名程度の枠です。
私が「ZEN大学目線だと子どもが複数人いても奨学金目線にならない」と考えるのは、この金額だからです。子どもが3人いても、ZEN大学の学費は3人で475.8万円です。私立大学の学費(授業料などと修学費)の平均は、1人の4年間で559.6万円です(JASSOの学生生活調査、年139.9万円の4倍)。
ただ、これは「特別な理由がなければ」という私の考えです。実験・実習が要る分野や、国家資格の養成課程に進みたい子、通学して学びたい子には当てはまりません。進学先を決めるのは子どもで、私の考えは、お金の面から見た1つの選択肢です。ZEN大学のような通信制で学位を取る考え方は、Fラン大学に行く意味はあるかの記事に、学費の利回りから書きました。
6-4. 学歴が要るなら、ZEN大学から名前の通った大学院へ(私の考え)
ZEN大学で学んでも、やはり学歴がないと希望の進路に乗れない、と本人が判断する場合の次の手も、私は考えています。
「この戦略でZEN大学にまで進学してやはり学歴がないと自分が希望する進路に乗れないと考えるなら、そこから東大などの名前が通った院に進学するという考えもあります。院は2年間なので国立大学ならそれでも負担はそこまで高くなりません。」
ZEN大学は学校教育法上の大学で、卒業すれば学士です。大学院の入試を受ける資格は、通学制の大学を出た人と同じです。学歴ロンダリングの記事に書いた「大学院型」を、最初から計画に入れておく形です。
お金で確かめました。
| 経路 | 学費の合計 | 根拠 |
|---|---|---|
| ZEN大学4年+東京大学の修士課程2年 | 158.6万円+156.8万円=315.4万円 | 東京大学の大学院(修士課程)は入学料28万2,000円、授業料は2029年4月入学者から年64万2,960円(2024年9月24日に東京大学が公表。2028年度までの入学者は年53万5,800円)。同じ公表で、2029年4月入学者から世帯収入600万円以下の日本人学生は授業料が全額免除。いまの子どもがZEN大学を経て修士に進むのは2029年以降なので、改定後の額で計算 |
| 私立大学4年 | 559.6万円 | JASSOの学生生活調査の、私立大学の学費(授業料などと修学費)の平均×4 |
ZEN大学から国立の大学院まで進んでも、私立大学を4年で出るより約244万円安い計算です。年齢も、22歳で学士、24歳で修士と、浪人も留年もなければ現役で院に進んだ人と同じです。大学院の学費の総額(国立・私立)、JASSO奨学金の返済と免除、博士課程の生活費の支援を入れた収支は、大学院の学費はいくら?で計算できます。
大学院にも、使える支援があります。
| 支援 | 中身 |
|---|---|
| キーエンス財団(大学院・修士課程の給付型) | 月12万円を2年、計288万円。100名程度。2027年4月1日時点で24歳以下の新1年生。所得制限なし(世帯の所得は選考基準の一つ)。貸与型・授業料の減免とは併用でき、他の給付型とは併用できない。通信教育課程・夜間課程の大学院は対象外だが、東京大学の大学院のような通学制なら対象。学部でキーエンス財団の給付を受けた人も応募できる。2027年度は2026年10月1日から一次選考の受付 |
| JASSOの授業料後払い制度(修士段階) | 在学中は授業料相当額(国公立は年53万5,800円まで)を奨学金で充て、卒業後に所得に応じて納める。無利子。年収300万円程度までは月2,000円。選考あり |
| JASSOの第一種奨学金(大学院) | 無利子の貸与。在学中に特に優れた業績を挙げると、全額か半額の返還が免除される。2025年度に修士課程で貸与が終わった21,381人のうち、7,039人が免除(全額1,684人、半額5,355人) |
キーエンス財団の大学院向け給付は、東京大学の修士課程の学費156.8万円(2029年4月以降の入学)を約131万円上回ります。ただし、学部が通信制の大学だった人が応募できるかは、公式の資料に書かれていませんでした。ZEN大学から応募するなら、財団に確かめてください。
注意も書いておきます。大学院の入試には、学部の入試とは別に、専門科目や語学の試験と、研究の計画があります。名前を取りにいくにしても、2年で研究をやり切る必要があります。また、生涯賃金の推計(2024年、男性、退職金を含まない)は大学卒2億6,280万円、大学院卒3億2,380万円ですが、これは平均の差で、院に行けば必ずこれだけ増えるという意味ではありません。
もう1つの候補はMBAです。ZEN大学を出て新卒で就職し、その会社で働きながら通信制のMBA大学院に進む、という道です。ただ、私はこの案に乗り気ではありません。私はMBAの値打ちも大きく下がったと見ているからです。MBAの学費や取り方は、高卒から大学院(MBA)への記事に書きました。
6-5. 私が一番合理的だと考えるルート:公立中学→高卒認定→ZEN大学
ここまでを組み合わせて、私が一番損をしない教育投資だと考えている道を書きます。これも私の考えで、実践したものではありません。
「一番いいのは公立中学を卒業して高校には進学せず大検を半年〜1年で取得。浮いた2年はスキル取得やインターン、起業をして実務経験に回す。大学進学が可能になる18歳の春にZEN大学進学。さらに実務レベルを並行して増やす。ZEN大学卒業後それでも学歴コンプがあるなら社会人を続けながらMBAを通信で取得。」
制度の上で成り立つかを、文部科学省とZEN大学の公式の情報で確かめました。
- 高卒認定試験(旧大検)は、受験する年度の終わりまでに満16歳以上になる人が受けられる。2026年度は8月と11月の年2回。中学を3月に卒業した年の8月から受けられる
- 合格しても、18歳になるまでは大学入学資格は得られない。文部科学省は「18歳に達していないときは、18歳に達した日の翌日から認定試験合格者となる」としている
- ZEN大学は、高卒認定試験の合格者も出願できる(満18歳以上)。入試は学力試験ではなく、志望理由と小論文
- DAISO財団の給付型も、高卒認定試験の合格者は応募できる(4年制の通信制大学も対象)
- 高卒認定に合格しても、最終学歴は高校卒業にはならない(文部科学省のQ&A)。ZEN大学を卒業すれば最終学歴は大学卒業になるが、途中でやめると中学卒業のままになる
お金も比べました。中学と高校は文部科学省の「令和5年度 子供の学習費調査」の学習費総額(学校の費用と塾などを合わせた額)、大学は学費だけです。
| ルート | 中学3年 | 高校3年 | 大学4年(学費) | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 私立中→私立高→私立大 | 468.1万円 | 353.8万円 | 559.6万円 | 1,381.5万円 |
| 公立中→公立高→私立大 | 162.7万円 | 179.1万円 | 559.6万円 | 901.4万円 |
| 公立中→高卒認定→ZEN大学(私の考え) | 162.7万円 | 高卒認定の受験料と教材費 | 158.6万円 | 321.3万円+高卒認定の費用 |
前提:中学・高校は1年の平均×3(2023年度の調査。その後の高校の授業料の支援の拡充は入っていない)。私立大学はJASSOの学生生活調査の学費(授業料などと修学費)の平均×4、ZEN大学は授業料と入学検定料・入学金。中学受験の塾代は、公的な平均がないので入れていません。
私立中から私立大に進むルートと比べて約1,060万円、公立中・公立高から私立大に進むルートと比べても約580万円少なくなります。子どもが3人なら、それぞれ約3,181万円と約1,740万円です。私立中学と公立中学の差だけでも、3年で約305万円あります。
私は、高卒認定の勉強も、いまはオンラインの教材で安く済むと見ています。そして、高校に行かずに浮いた16〜18歳の2年を、スキルの習得、インターン、起業などの実務に回す。お金の面では、ここが一番大きいと考えています。
このルートなら、親が用意するお金の中心は、高卒認定とZEN大学の分だけになります。7章の表で言えば、生まれたときに100万円をS&P500のような指数に連動する投資信託に入れて年率5%で回せた場合、16歳の時点で税を引いて194.3万円で、ZEN大学の学費(158.6万円)を上回ります。子どもが3人なら、生まれるたびに100万円ずつ。私が「二人いても三人いても破綻する確率が下がる」と考えるのは、この計算からです(年率は仮定で、下がる年もあります)。
ただし、このルートには、お金で測れないものを手放す面もあります。高校の友人、部活、行事、そして「みんなと同じ道」にいる安心です。それに、高卒認定を取っても、2年を実務に使えるかは本人次第です。お金の計算で一番合理的でも、本人が選ぶ道だという点は、ほかのルートと同じです。
7. 本線は親の運用:生まれたときに100〜500万円(私の考え)
「そもそも親が子どもが生まれた瞬間に100〜500万を用意して運用を開始してやれば16歳のときには将来お金に困って進学を諦めたり不便な場所に住まなければいけなかったり、お金のためにやりたくもない仕事をする必要はなくなる。」
これは私の考えで、まだ実践していません。数字で確かめました。生まれたときに一度だけ入れて、16年後(高校1年ごろ、進路を考え始める時期)と18年後(進学する時期)にいくらになるかです。課税口座で、最後に全部売ったときに利益の20.315%(所得税15%、住民税5%、所得税額の2.1%の復興特別所得税)がかかるとして、税を引いた額を出しました。
| 生まれたときに入れる額 | 年率3% | 年率5% | 年率7% |
|---|---|---|---|
| 100万円 | 16年:148.2万円 18年:156.0万円 |
16年:194.3万円 18年:212.1万円 |
16年:255.6万円 18年:289.6万円 |
| 300万円 | 16年:444.6万円 18年:467.9万円 |
16年:582.8万円 18年:636.3万円 |
16年:766.7万円 18年:868.9万円 |
| 500万円 | 16年:740.9万円 18年:779.9万円 |
16年:971.3万円 18年:1,060.4万円 |
16年:1,277.8万円 18年:1,448.2万円 |
前提:年率は毎年同じと仮定。手数料、物価の変化は入れていません。
5章の費用と並べると、こうなります。
- ZEN大学(学費4年158.6万円)なら、100万円を年率5%で回せば、16歳の時点で学費に足りる(194.3万円)
- 国立・自宅(4年481.0万円)なら、300万円を年率5%で、16歳の時点で足りる(582.8万円)
- 私立・下宿(4年1,075.6万円)なら、500万円を年率7%で、16歳の時点で足りる(1,277.8万円)。年率5%だと、18歳でもわずかに足りない(1,060.4万円)
ただし、進学の直前に相場が下がれば話は変わります。100万円を年率5%で18年回した240.7万円が、進学の直前に3割下がると168.5万円で、税を引いて154.6万円。ZEN大学の学費(158.6万円)にもわずかに届きません。
7-1. いまからなら、毎月の積立で考える
子どもがもう小学生や高校生なら、生まれたときの話は使えません。いまある額と、毎月の積立と、進学までの年数で考えます。たとえば毎月3万円を積み立てた場合です(NISAなど非課税で、年率は毎年一定の仮定)。
| 進学までの年数 | 積み立てた元本 | 年率3% | 年率5% |
|---|---|---|---|
| 6年(小学6年から) | 216万円 | 236.0万円 | 250.4万円 |
| 10年(小学2年から) | 360万円 | 418.3万円 | 463.1万円 |
8章の計算機には、いまある額、毎月の積立、学資保険の満期金のように決まった額で受け取るお金を分けて入れられます。
7-2. 親名義か、子ども名義(こどもNISA)か
親名義のNISAで貯めるなら、払出しの制限はなく、お金は親のものです。学費を必要なときに親が直接払うなら、贈与税はかかりません(国税庁は、教育費の名目でも、預金や株式の購入に充てた場合は贈与税がかかるとしています)。
子ども名義なら、2027年1月から、0〜17歳がNISAのつみたて投資枠を使えるようになります(いわゆる「こどもNISA」)。年間の枠は60万円、非課税で持てる上限は600万円です。12歳以降は、子のための使い道で、子が同意したことを示す書面を付けて、親権者などが申し出れば払い出せます。18歳になると、手続きなしで大人のつみたて投資枠に移ります。子ども名義の口座にお金を入れるのは、子どもへの贈与になります。
生まれたときに100〜500万円を一度に入れる場合、年60万円の枠には全部入りません。残りは課税口座になります。また、未成年のつみたて投資枠で買えるのは、積立・分散投資に適した一定の投資信託だけです。私が考えているレバナスやトリナスのようなレバレッジ型を持つなら、課税口座が前提です。贈与税の扱いと、こどもNISAの払出しのくわしい決まりは、DIE WITH ZEROの記事に書きました。
7-3. レバレッジ型で22年回すと(私の考えと、過去のデータ)
上の表は年率3〜7%の仮定です。私自身が考えているのは、もっと値動きの大きいレバレッジ型です。
「レバナスやトリナス目線だとナスダック35年利回り平均をベースに計算すると元本500万22年運用で1億から2億円を超える可能性がある。そうするとFIREした状態で就職する事になり私はこれからの時代ではそういう子が当たり前に出てくると思う。AIによってこの手のシュミレーションが個人でも簡単に行えるようになり、人間目線だと超えられない恐怖を超えられるようになったからだ。人と違うルートは日本人には尋常を超える恐怖かもしれないが、そこに真の期待値が眠っている。」
この記事のために、その計算を公開データで実際にやりました。ナスダック100の35年の年平均(1991年10月〜2026年10月、配当を含まない価格の伸び)は14.42%です。この年率で500万円を22年回すと約9,683万円で、ほぼ1億円です。1億円に届くのに要る年率は約14.6%、2億円なら約18.3%です。
ただ、レバレッジ型は「年平均の2倍」では増えません。毎日の値動きの2倍・3倍になるので、上げ下げをくり返すと目減りし、大きく下げた年に元本の大半を失うことがあるからです。そこで、1986年からのナスダック100の毎日の値動きを使って、2倍型と3倍型を再現し、500万円を22年持った場合を、始める月を1か月ずつずらして226通り計算しました。
| 500万円を22年 | 1倍(ナスダック100そのもの) | 2倍型 | 3倍型 |
|---|---|---|---|
| 平均(期待値) | 5,570万円 | 7,379万円 | 6,568万円 |
| 中央値 | 5,550万円 | 3,733万円 | 449万円 |
| 一番悪い時期に始めた場合 | 1,497万円 | 502万円 | 26万円 |
| 一番良い時期に始めた場合 | 1億1,356万円 | 4億5,323万円 | 6億9,374万円 |
| 1億円以上になった割合 | 5% | 15% | 13% |
| 2億円以上になった割合 | 0% | 13% | 13% |
| 元本の500万円を割った割合 | 0% | 0% | 53% |
| 1倍の結果を上回った割合 | ― | 19% | 15% |
| 途中の一番大きな下げ | -82.9%(2000年3月→2002年10月) | -99.0%(2000年3月→2009年3月) | -100.0% |
前提:米セントルイス連邦準備銀行の公開データ(FRED)のナスダック100(価格指数、配当を含まない)と、米国の政策金利(FFレート)を使った計算。2倍型は毎日、指数の値動きの2倍から、借りた1倍分の金利と年1%の手数料を引いた。3倍型は3倍から、2倍分の金利と年1%を引いた。実在の商品の成績ではない。ドル建てで、円との為替は入れていない。税は引く前(課税口座なら利益に20.315%)。22年の期間は1986年1月〜2004年10月に始めた226通りで、期間どうしは重なっている。
この表から言えることは、3つです。
- 「1億から2億円を超える可能性」は、過去のデータにもある。2倍型では、226通りのうち15%で1億円を超え、13%で2億円を超えた。平均(期待値)も、2倍型が一番高い
- ただし、その平均は、少数の大当たりの期間が引き上げている。2倍型の中央値は3,733万円で、1倍の5,550万円を下回り、1倍の結果を上回ったのは19%だけ。2000年のITバブルの前に始めた期間は、2倍型がほぼ1倍に負け、2001年以降に始めた期間は大きく勝っている。結果は、始めた時期でほぼ決まる
- 3倍型は、半分以上の期間で元本の500万円を割った。値動きが大きすぎて、目減りが伸びを食った
年20%という数字でも確かめました。500万円を22年で年20%以上で増やせた期間は、1倍では0%、2倍型で10%、3倍型で12%でした。一方で、ナスダック100の3倍型ETF(TQQQ)が運用を始めた2010年2月以降に限って同じ方法で再現すると、年平均は1倍が18.7%、2倍型が31.5%、3倍型が40.7%です。私が「年20%は超えていける」と考える根拠はこの十数年で、それより前には、2000年からの下げで2倍型・3倍型がほぼ0円まで落ちた時期があります。どちらがこの先の姿に近いかは、誰にもわかりません。
私の「真の期待値」は、平均で言えば過去のデータでも成り立ちます。ただ、子ども1人の教育費は、22年を1回しか試せません。平均が高くても、半分以上の期間で、レバレッジをかけないほうが多く残っていた。この振れ幅をどこまで取るかは、親が決めることです。そして、こうした計算が個人でもすぐにできるようになった、という私の見方のとおり、この表も公開データから誰でも作り直せます。
7-4. 若くしてお金を持たせることの是非(私の考え)
「FIREした状態で社会に出る」という考えには、若くしてお金を持つと人生が狂う、という批判があります。私の考えは、こうです。
「私自身はいうて年平均20%はレバナストリナスで今後も超えていけると考えており、FIREした状態で社会に出る子は机上の空論ではないと考える。もちろん若くしてお金を持つと狂うという批判もあると思うが、それと住みたくもない場所に住みやりたくもない仕事を給料を得るために何十年も続ける人生に何の意味があるのか。それならば収入は低いかもしれないが社会的に重要な仕事に従事させてやったり、アーティスト活動など大半が商用路線に乗らずに経済的に困窮するが本人が心から楽しいと思い時間を忘れて没頭する人生を歩んで幸福を得ている方が、親の立場として嬉しいのではないか。私は自分の子供がブラック企業やインフレに苦しんでいる姿を見て、この子は立派な学歴と就職先を手に入れてよかったなぁとは思えない。親になったことがないのでなったら変わるかもしれないが。」
これは価値観の話で、どちらが正しいかを数字で決めることはできません。お金があることで、収入の低い仕事や、売れるかわからない活動を選べるようになる。一方で、働く理由が薄れることを心配する親もいます。この記事では、私の考えとして書いておきます。
7-5. この考えの弱いところ
- 表の年率は毎年一定の仮定です。実際の相場は、そう動きません。特にレバレッジ型は、大きく下がる年があり、上がって下がるだけでも元より減ります(TQQQはやめとけ、は本当かの記事とレバレッジETFの長期保有の記事に、私が持っている商品で負けた数字も書きました)
- 教育費は、使う時期が決まっているお金です。16〜18歳で売る時期は、相場を選べません。上で計算したとおり、進学の直前に3割下がるだけで、足りる計算が足りなくなります
- 親の収入が途中で下がることも入れておく必要があります。役職定年がある会社では50代で年収が1〜3割下がることが多く、その時期に上の子の大学が重なることがあります(役職定年を社内規定から逆算する記事に、教育費とローンを年ごとに並べる計算機を置きました)
- 生まれたときに100〜500万円を出せる家庭ばかりではありません
- 私はまだ実践していません。「エアプだが子どもが生まれて妻が許してくれたらそうする。」です。教育費をレバレッジ型で作ることを、読む人にすすめるものではありません
8. 進学資金の過不足を計算する
いまある額、毎月の積立、年率、進学までの年数、進学先、受けられそうな給付型と授業料減免を入れると、進学のときに足りるか、余るかを出します。給付型がなかった場合と、進学の直前に3割下がった場合も並べて出します。奨学金に採用されるかどうかを判定するものではありません。
進学資金の過不足を計算する
最初に入っている数字は、生まれたときに100万円を入れ、年率5%で18年運用して、ZEN大学に進む例です。自分の家で考えるときは、いまある額と進学までの年数などに書き換えてから「計算する」を押してください。
(進学先を選ぶと入ります。志望校の額に書き換えもできます)
9. よくある質問
給付型奨学金の資産に、NISAは入りますか?
入ります。JASSOは、NISAによる投資額も資産に含め、有価証券や投資信託は時価で換算するとしています。本人と生計維持者(ふつうは父母)の分を合わせるので、親名義も子ども名義も数えます。基準は合計5,000万円未満です。
学資保険は、資産に入りますか?
満期や解約の前なら入りません。満期や解約で現金にしたら、資産に入ります。イデコも、申込のときに自由に引き出せない状態なら入りません。
資産の申告に、証明書は要りますか?
要りません。資産の額は申告だけです。ただしJASSOは、採用後に虚偽の申告がわかった場合は、支給した額の140%を返してもらう場合があるとしています。
キーエンス財団とJASSOの給付型奨学金は、併用できますか?
できません。両方に申し込むことはできますが、両方に採用されたら、キーエンス財団を受けるにはJASSOの給付型の支援の停止を申請します。国の授業料等減免と、JASSOの貸与型は併用できます。
多子世帯の授業料減免は、上の子が就職したらどうなりますか?
扶養する子が2人になったら、多子世帯としての支援は終わります。扶養の人数は、毎年10月に、前年12月31日時点の税法上の扶養で確かめます。3人以上を同時に扶養している間は、大学などに在学する子は全員が対象です。
日本財団ZEN大学奨学金は、他の奨学金と併用できますか?
できます。ZEN大学は、他の団体の奨学金との併用に制限はないとしています。DAISO財団(4年制の通信制大学も対象)、JASSOの給付奨学金(授業料等減免は日本財団ZEN大学奨学金が優先)、ZEN大学の特待奨学生支援制度と重ねられます。キーエンス財団など、通信制を対象から外している財団とは重ねられません。
奨学金を借りて投資するのは、違反ですか?
JASSOのページに、投資に回すことを禁じる文は見つかりませんでした。ただし、貸与奨学金は経済的理由で修学が困難な人が対象で、在学中は「修学を継続するために引き続き奨学金の貸与が必要と認められること」を確かめられます。計算上は、運用の年率が利率(上限年3.0%)を上回り続ければプラスですが、卒業のころに大きく下がると持ち出しになります(5章)。
ZEN大学から、東京大学などの大学院に進めますか?
進めます。ZEN大学は学校教育法上の大学で、卒業すれば学士なので、大学院の入試を受ける資格があります。東京大学の修士課程は入学料28万2,000円、授業料は2029年4月入学者から年64万2,960円です(2028年度までの入学者は年53万5,800円)。大学院では、キーエンス財団の修士課程向けの給付(月12万円×2年)、JASSOの授業料後払い制度、第一種奨学金の業績による返還免除が使えます。
高校に行かずに、大学に進めますか?
進めます。高卒認定試験に合格すれば大学入学資格が得られ、ZEN大学も合格者の出願を受け付けています。ただし、18歳になるまでは合格者にならず、合格しても最終学歴は高校卒業にはなりません。高卒認定の合格を高校卒業と同じに扱う採用試験や国家資格の一覧は、文部科学省が出しています。
ZEN大学で、キーエンス財団の奨学金は受けられますか?
受けられません。キーエンス財団は、通信教育課程と夜間学部の学生を対象から外しています。ZEN大学で受けられる民間の給付型としては、DAISO財団(4年制の通信制大学も対象)と、日本財団ZEN大学奨学金があります。
所得制限がなく、他の給付型と併用できる奨学金はありますか?
公式の要項で確かめた範囲では、DAISO財団(月5万円)、コカ・コーラ教育・環境財団(月2万円)、山田長満奨学会(月12万円・12か月・首都圏の大学)の3つです。どれも採用は数十人以下です。
親の年収が高いと、給付型奨学金はもらえませんか?
国の給付奨学金には所得の基準があります。子どもが1人か2人なら、出るのはふつう第3区分まで(4人世帯で親の1人だけが給与収入なら、目安で約378万円まで)です。多子世帯なら、所得制限なしで授業料等減免を受けられます。民間には所得制限のない給付型がありますが、所得を選考で見るところが多いです。
10. まとめ
- 給付型奨学金の資産基準は5,000万円未満。NISAは親名義も子ども名義も時価で入り、学資保険(満期・解約前)は入らない。ただ、たいていの家庭はその前に所得の基準で外れる(3章)
- 多子世帯は、所得制限なしで授業料の減免を受けられる。申し込みが要り、3人以上を同時に扶養している間だけ(3章)
- 所得で外れる家庭の受け皿は、所得制限のない民間の給付型。ただし所得を選考で見るところが多く、他の給付型と併用できないところも多い(4章)
- 同時に申し込むのは問題ない。余りが出る計算になるのは、キーエンス財団で国立・自宅、キーエンス財団と多子世帯の授業料減免、などの場合。現金の給付を重ねられるのは、確かめた範囲ではDAISO財団・コカ・コーラ教育・環境財団・山田長満奨学会。どれも採用されればの話(5章)
- 返す奨学金(第二種)を借りて運用に回すのは、年率が利率(上限年3.0%)を上回り続ければプラス。卒業のころの下げで持ち出しにもなる。私自身は借金で投資をしたことはない(5章)
- ZEN大学目線は、私自身の学歴の利回りが悪かったことから来ている。私立の中学・高校の学習費は平均で6年約822万円、社会に出るのが1年遅れると年平均で約700万円。私の見立てでは、一番割を食うのは高校入学時に偏差値60前後の子(6章)
- ZEN大学なら学費は4年で158.6万円。日本財団ZEN大学奨学金を土台に、DAISO財団などを重ねられる。学歴が要ると判断したら、東京大学などの大学院へ(修士2年の学費は、2029年4月以降の入学で156.8万円)。ただし、進学先を決めるのは子ども(6章)
- 私が一番合理的だと考えるのは、公立中学→高卒認定→ZEN大学。私立中・私立高・私立大と比べて約1,060万円、公立中・公立高・私立大と比べても約580万円少ない(6章)
- レバレッジ型で22年回すと、過去のナスダック100では2倍型の平均(期待値)は一番高いが、中央値はレバレッジなしより低く、結果は始めた時期でほぼ決まる。3倍型は半分以上の期間で元本割れ(7章)
- 本線は親の運用。生まれたときの100万円を年率5%で回せば、16歳でZEN大学の学費の4年分を上回る(仮定の計算)。ただし進学直前の下げで足りなくなることもある(7章)
11. 参考にした資料
- 日本学生支援機構「進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準」https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/kyufu/kakei/yoyaku.html
- 日本学生支援機構「生命保険や学資保険、確定拠出年金、民間の個人年金は資産の対象となりますか」https://www.jasso.go.jp/faq/shogakukin/about/kyufu/1205452_2633.html
- 日本学生支援機構「給付奨学金の申込で、預貯金通帳のコピー等、資産に関する証明書は必要ですか」https://www.jasso.go.jp/faq/shogakukin/moshikomi/yoyaku/houhou/1190312_2660.html
- 日本学生支援機構「採用候補者決定通知に、『第4区分』と記載されていた。これはどのような支援が受けられる区分なのか」https://www.jasso.go.jp/faq/shogakukin/moshikomi/yoyaku/kekka/1211648_2672.html
- 日本学生支援機構「多子世帯支援について」https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/kyufu/kakei/r7tashikakudai/index.html
- 日本学生支援機構「給付奨学金の申込みは、いつ、どのようにして行うのですか」https://www.jasso.go.jp/faq/shogakukin/about/kyufu/1190253_2633.html
- 日本学生支援機構「進学資金シミュレーター」https://www.jasso.go.jp/shogakukin/oyakudachi/simulator/shogakukin-simulator.html
- 日本学生支援機構「令和6年度 学生生活調査結果」https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2026/03/25/data24_1_3.pdf
- 文部科学省「高等教育の修学支援新制度」多子世帯支援の資料・FAQ https://www.mext.go.jp/content/20260904-mxt_gakushi01-100001505_6.pdf
- 文部科学省「支援対象校一覧」https://www.mext.go.jp/kyufu/support/index.html
- 文部科学省「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1412031_00006.htm
- キーエンス財団「募集要項」(大学新1年生対象 給付型奨学金)https://www.keyence-foundation.or.jp/scholarship01/application/requirements/
- キーエンス財団「よくある質問」https://www.keyence-foundation.or.jp/scholarship01/application/faq/
- DAISO財団「奨学生募集」と募集要項(2027年度生)https://daiso-zaidan.or.jp/recruiting/
- コカ・コーラ教育・環境財団「奨学金(高校生対象)」と募集要項(2027年度)https://www.cocacola-zaidan.jp/edu-support/scholarship01.html
- 山田長満奨学会「応募について」「よくあるご質問」https://www.yamada-foundation.or.jp/apply/
- 似鳥国際奨学財団「募集要項」(2026年度)https://www.nitori-shougakuzaidan.com/application
- 伊藤謝恩育英財団「奨学生の募集」「よくある質問」https://www.ito-foundation.or.jp/system/application.html
- 樫山奨学財団「奨学生の募集」https://www.kashiyama-sf.com/menu02_1.php
- ZEN大学「授業料・奨学金制度」https://zen.ac.jp/tuition
- ZEN大学「日本財団ZEN大学奨学金」https://zen.ac.jp/tuition/scholarship01
- 金融庁「アクセスFSA」2026年2月号「『令和8年度税制改正の大綱』の概要」https://www.fsa.go.jp/access/r7/270/270_03.pdf
- 財務省「NISAのつみたて投資枠の拡充(令和8年度改正)」https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/income/nisa_2.pdf
- 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査結果のポイント」https://www.mext.go.jp/content/20260116-mxt_chousa01-000039333_1.pdf
- 文部科学省「子供の学習費調査(令和3年度・令和5年度)の公表数値等の訂正」https://www.mext.go.jp/content/20260327-mxt_chousa01-000048552_08.pdf
- 労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2025」21 生涯賃金など生涯に関する指標 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2025/documents/useful2025_21_p307_337.pdf
- 東京大学「入学料・授業料」https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/tuition-fees/e03.html
- 東京大学「授業料改定及び学生支援の拡充について」(2024年9月24日)https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400247772.pdf
- キーエンス財団「募集要項」(大学院・修士課程対象 給付型奨学金)https://www.keyence-foundation.or.jp/scholarship04/application/requirements/
- キーエンス財団「よくある質問」(大学院・修士課程対象)https://www.keyence-foundation.or.jp/scholarship04/application/faq/
- 日本学生支援機構「授業料後払い制度」の案内(大学院修士段階)https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/atobarai/__icsFiles/afieldfile/2025/03/17/atobarai_teiketsukou_1.pdf
- 日本学生支援機構「特に優れた業績による返還免除の概要」https://www.jasso.go.jp/shogakukin/saiyochu/gyosekimenjo/seidogaiyo/index.html
- 日本学生支援機構「認定結果の公表」(特に優れた業績による返還免除)https://www.jasso.go.jp/shogakukin/saiyochu/gyosekimenjo/gaiyo.html
- 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)」https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/index.htm
- 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験とは」(Q&A)https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/mext_01768.html
- 文部科学省「大学入学資格について」https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shikaku/07111314.htm
- ZEN大学「2026年10月入学 学生募集要項」https://img.zen-univ.jp/pamphlet/ZEN_bosyu10_20260410.pdf
- 東京理科大学「工学部第二部|2016年度より募集停止」https://www.tus.ac.jp/academics/faculty/engineering_division2/
- Federal Reserve Bank of St. Louis(FRED)「NASDAQ-100 (NASDAQ100)」https://fred.stlouisfed.org/series/NASDAQ100(2026年10月9日までのデータ)
- ProShares「ProShares UltraPro QQQ(TQQQ)」設定日2010年2月9日 https://www.proshares.com/our-etfs/leveraged-and-inverse/tqqq
- Federal Reserve Bank of St. Louis(FRED)「Federal Funds Effective Rate (DFF)」https://fred.stlouisfed.org/series/DFF
- 国税庁 No.1463「株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1463.htm
- 国税庁 No.4405「贈与税がかからない場合」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4405.htm
- 日本学生支援機構「第二種奨学金の利子と利率の算定方法」https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/taiyo_2shu/riritsu_santei.html
- 日本学生支援機構「貸与利率の推移」https://www.jasso.go.jp/shogakukin/seido/riritsu/riritsu_19ikou.html
- 日本学生支援機構「大学・返還例」https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan/houhou/henkan_hoshiki/kappu/sample/daigaku.html
- 日本学生支援機構「返還を始める皆さんへ」https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan/houhou/flow/index.html
- 日本学生支援機構「進学前(予約採用)の第二種奨学金の家計基準」https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/taiyo_2shu/kakei/yoyaku.html
- 日本学生支援機構「適格認定」(貸与奨学金)https://www.jasso.go.jp/shogakukin/saiyochu/taiyo/tekikaku_nintei.html
- 日本学生支援機構「2026年度在学者用 貸与奨学金案内(通信教育・放送大学全科履修生)」https://www.jasso.go.jp/shogakukin/moshikomi/zaigaku/tebiki/__icsFiles/afieldfile/2026/03/09/annaitusin.pdf
- ZEN大学「2027年度の奨学金制度」(2026年9月1日)https://zen.ac.jp/news/scholarship2027
(いずれも2026年10月10日に確認)
12. あわせて読む
| 記事 | どんなときに |
|---|---|
| 大学院の学費はいくら? | 大学院(修士・博士)の学費の総額、奨学金の返済、博士課程の支援を計算したいとき |
| DIE WITH ZEROは40代にどこまで当てはまるか | 子どもの分を早くから運用する考え方、贈与税、こどもNISAの払出しを知りたいとき |
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| Fラン大学に行く意味はあるか | 通学制と通信制を、学費の利回りで比べたいとき |
| 学歴ロンダリングは正解だった | 偏差値で決まらない進学の道筋を知りたいとき |
| TQQQはやめとけ、は本当か | レバレッジ型がどれだけ下がるかを知りたいとき |
| レバレッジETFの長期保有 | レバレッジ型を長く持つときの考え方を知りたいとき |
13. この記事について
| 書いた人 | 中古品の売買を20年近く続けてきた古物商。私立中学から推薦・単願推薦・短大・編入を経て四大を出た。サブプライムショックの直後から積立投資を続けている。子どもはまだいない |
| 私の経験から書いたこと | 中学から大学までの経路、東京理科大の二部に行けなかったこと、卒業証書が25歳の秋だったこと、学歴フィルター、親が出してくれた短期留学、教育費の利回りの見方 |
| 確かめた日 | 2026年10月10日(JASSOの家計基準・資産のFAQ・第4区分のFAQ・多子世帯支援・申込みのFAQ・学生生活調査、文部科学省の多子世帯支援の資料・支援対象校一覧・学生納付金調査、キーエンス財団・DAISO財団・コカ・コーラ教育・環境財団・山田長満奨学会・似鳥国際奨学財団・伊藤謝恩育英財団・樫山奨学財団の要項、ZEN大学の授業料と奨学金・2027年度の奨学金制度、文部科学省の子供の学習費調査、労働政策研究・研修機構の生涯賃金、東京大学の入学料・授業料、FREDのナスダック100と政策金利、文部科学省の高卒認定試験と大学入学資格、ZEN大学の募集要項、東京理科大学の募集停止学部、キーエンス財団の大学院向け給付、JASSOの授業料後払い制度と業績による返還免除、JASSOの第二種の利率・返還例・家計基準・適格認定・通信教育向けの案内、金融庁・財務省のNISAの改正、国税庁の譲渡益課税と贈与税) |
| 私の考えとして書いたこと | 高校入学時に偏差値60前後の子が一番割を食うという見立て、ZEN大学から名前の通った大学院に進む考え、MBAの値打ちも下がったという見方、公立中学→高卒認定→ZEN大学が一番合理的だという考え、レバレッジ型で22年回せば1億〜2億円を超える可能性があり、そういう子が当たり前に出てくるという見方、年20%は今後も超えていけるという見方、若くしてお金を持たせることについての考え、学資保険の代わりにレバレッジ型で運用する考え、ZEN大学目線、夜間部を使わない理由、給付型を組み合わせて余りを作る考え、返す奨学金を借りて運用に回す考え、生まれたときに100〜500万円を運用する考え(いずれもまだ実践していない。借金をして投資をしたことはない) |
| 書かなかったこと | すでに借りた奨学金を繰り上げて返すかどうか(卒業後の話のため)。大学独自の給付型と、自治体の奨学金(大学・地域ごとに違いすぎるため。進学先の大学のページで確かめてください)。財団ごとの選考の通りやすさ(公表されている数字がないため) |
