「不動産投資は罰ゲームではないか」——そう感じて調べている人が多いようです。
先に、この記事の立場を書きます。
私は不動産投資をやったことがありません。
だから「儲かる」とも「儲からない」とも書けません。書けるのは、公表されている数字と条文と、自分が内見で見たものだけです。
そして、それで足ります。なぜなら——
罰ゲームかどうかは、数え方で決まるからです。
この記事で書けること、書けないこと
| 書けること | 書けないこと |
|---|---|
| 「利回り」から何が引かれるのか(条文と公的資料) | 実際に運用した体験 |
| 国が法律で禁止している勧誘の中身 | 特定の物件や業者の評価 |
| 空室と人口の公的データ | これから儲かるか、損するか |
| 築30年の物件を内見して見たもの | 融資や税務の個別判断 |
右の列は扱いません。この記事は「やめておけ」と言うためのものでも、「やれ」と言うためのものでもありません。判断する前に、何を数え忘れているかを並べるだけです。
1. 「利回り」という言葉が、2つあります
まず、ここが混ざっています。
| 計算 | どこで見るか | |
|---|---|---|
| 表面利回り | 年間の家賃収入 ÷ 購入価格 | 広告に出ているのは、ほぼこちらです |
| 実質利回り | (年間の家賃収入 − 年間の経費)÷(購入価格 + 購入時の費用) | 自分で計算しないと出てきません |
分子から経費が引かれ、分母に購入時の費用が足されます。両方が同じ向きに効くので、差は大きくなります。
「利回り◯%」と言われたとき、それがどちらかを聞いてください。
以下、引かれるものと足されるものを、公的な資料に書いてあるものだけで並べます。
2. 分母に足されるもの(買うときに払う費用)
まず仲介手数料です。上限が国土交通省の告示で決まっています。
| 価格の区分 | 割合 |
|---|---|
| 200万円以下の金額 | 5% |
| 200万円を超え400万円以下の金額 | 4% |
| 400万円を超える金額 | 3% |
3,000万円の物件なら、上限は96万円です。これに消費税が乗ります。
そのほかにも、購入時にはこれだけかかります。
| 買うときにかかるもの |
|---|
| 仲介手数料(上の計算) |
| 登録免許税(所有権移転登記・抵当権設定登記) |
| 不動産取得税 |
| 印紙税(売買契約書・金銭消費貸借契約書) |
| 司法書士への報酬 |
| ローンの事務手数料・保証料 |
| 火災保険・地震保険 |
これが全部、分母に乗ります。そして、どれも戻りません。
3. 分子から引かれるもの(毎年かかる費用)
3-1. 税金は、ローンを払い終わっても終わりません
地方税法 第350条(固定資産税の税率)
「固定資産税の標準税率は、百分の一・四とする。」
地方税法 第702条の4(都市計画税の税率)
「都市計画税の税率は、百分の〇・三を超えることができない。」
これは課税標準額に対する税率です。購入価格に対するものではなく、特例もあるので、金額は物件ごとに違います。ただし、毎年かかり続けます。
3-2. 修繕積立金は、あとから上がります
区分所有のマンションの場合です。国土交通省がガイドラインを出しています。
| 地上階数・建築延床面積 | 事例の3分の2が入る幅 | 平均値 |
|---|---|---|
| 20階未満・5,000㎡未満 | 235〜430円/㎡・月 | 335円 |
| 20階未満・5,000〜10,000㎡ | 170〜320円/㎡・月 | 252円 |
| 20階未満・10,000〜20,000㎡ | 200〜330円/㎡・月 | 271円 |
| 20階未満・20,000㎡以上 | 190〜325円/㎡・月 | 255円 |
| 20階以上 | 240〜410円/㎡・月 | 338円 |
25㎡のワンルームなら、平均値で月6,300円から8,450円です。これは計画期間全体の平均額の目安で、機械式駐車場の分は含みません。
そしてガイドライン自身が、こう書いています。
「マンション購入者は、修繕積立金等に関して必ずしも十分な知識を有しているとは限らず、修繕積立金の当初月額が著しく低く設定される等の例も見られます。」
購入時に見せられる金額と、平均額の目安は、別のものです。
これは営業の批判ではなく、国が構造の説明として書いていることです。買うときの利回り計算に「いまの修繕積立金」を入れると、数年後に前提が崩れます。
3-3. 毎年かかるものの一覧
| 毎年かかるもの |
|---|
| 固定資産税・都市計画税 |
| 管理費 |
| 修繕積立金(上がっていきます) |
| 管理会社への委託料 |
| 火災保険・地震保険 |
| 設備の交換・修繕(給湯器、エアコン、水回り) |
| 入居者が退去するたびの原状回復費用 |
| 入居者を募集するための費用(広告料など) |
| 確定申告の手間、または税理士への報酬 |
3-4. 原状回復には、国のガイドラインがあります
退去のたびにかかる費用です。「全部借主に請求する」ことはできません。
「経年変化や通常損耗に対する修繕業務等を賃借人に負担させる特約は、賃借人に法律上、社会通念上の義務とは別個の新たな義務を課すことになるため、次の要件を満たしていなければ効力を争われることに十分留意すべきである。」
(国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」)
【賃借人に特別の負担を課す特約の要件】
① 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
② 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
③ 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
つまり、通常損耗の分は貸す側が持ちます。そしてこれは、入居者が入れ替わるたびに発生します。利回りの計算に入っているでしょうか。
4. 空室|借り手がいない部屋が、443万戸あります
ここが、いちばん効きます。利回りの計算は、入居していることを前提にしているからです。
総務省の調査です。
| 2018年 | 2023年 | |
|---|---|---|
| 総住宅数 | 6,240万7千戸 | 6,504万7千戸 |
| 空き家 | 848万9千戸(13.6%) | 900万2千戸(13.8%) |
| うち賃貸用の空き家 | 432万7千戸 | 443万6千戸 |
| 賃貸用が空き家全体に占める割合 | 51.0% | 49.3% |
| 賃貸用が総住宅数に占める割合 | 6.9% | 6.8% |
空き家900万2千戸のうち、約半分が「賃貸用の空き家」です。
これは、放置された古民家の話ではありません。貸すために用意されていて、借り手がいない部屋です。それが443万6千戸あって、5年前より増えています。
4-1. そして、これから人が減ります
| 数字 | 出典 | |
|---|---|---|
| 総人口 | 2020年の1億2,615万人が、2070年には8,700万人へ。「総人口は50年後に現在の7割に減少」 | 国立社会保障・人口問題研究所 |
| 1世帯当たり住宅数 | 1.16戸(2023年)。住宅の数が、世帯の数を上回っています | 総務省 |
世帯数で見れば、住宅は足りています。そのうえで、人口は減っていきます。
4-2. だから、空室率0%の利回りは意味がありません
表面利回りは、12か月ぜんぶ埋まっている前提で計算されます。
| 年間の空室 | 家賃収入は |
|---|---|
| 0か月 | 100% |
| 1か月 | 約92% |
| 2か月 | 約83% |
| 3か月 | 75% |
そして空室のあいだも、固定資産税と管理費と修繕積立金は止まりません。ローンも止まりません。
収入だけが止まって、支出は止まらない期間があります。
何か月と見込むかを、自分で決めて計算に入れてください。それをしていない利回りは、単なる希望です。
5. 「家賃保証」については、国が名指しで規制しています
空室が怖いなら、家賃保証を付ければいい。そう説明されることがあります。いわゆるサブリースです。
ここは意見ではなく、法律の話ができます。
| 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 | 内容 |
|---|---|
| 第28条(誇大広告等の禁止) | 家賃の額・支払期日・支払方法などの条件およびその変更に関する事項について、「実際の契約条件よりも良い条件だと一般消費者に誤認させるおそれのあること」を禁止 |
| 第29条(不当な勧誘等の禁止) | 「将来の家賃減額リスクがあること、契約期間中であってもサブリース業者から契約解除の可能性があること」をあえて伝えず、メリットのみ伝えるような勧誘行為を禁止 |
| 第30条(重要事項説明) | 契約締結前に、家賃その他の条件を含む14項目の説明が義務づけられています |
国土交通省は、不実告知に当たる具体例まで挙げています。
「原状回復費用はサブリース会社が全て負担するので、入退去で大家さんが負担することはない」といったことを伝える行為
そして、罰則があります。
6月以下の懲役または50万円以下の罰金(第29条第1号違反)
5-1. 法律で禁止されている、ということの意味
禁止されているということは、実際に起きたということです。
そして、禁止されたのは「家賃保証」という商品ではありません。禁止されたのは「家賃が下がる可能性と、契約を切られる可能性を、伝えないこと」です。
| 確認すること |
|---|
| 家賃の改定はいつ、どういう条件で行われるか |
| 改定の上限はあるか |
| サブリース業者側から解約できる条項はあるか。あるなら、その条件は何か |
| 免責期間(最初の数か月、家賃が入らない期間)はあるか |
| 原状回復と修繕は、どちらがどこまで負担するか |
これは全部、第30条で説明が義務づけられている範囲に入ります。説明されていないなら、その時点で問題があります。
6. 「節税になる」と言われたら
勧誘の場面で、必ず出てくる論理があります。不動産投資は節税になる。
これは、仕組みとしては成立します。根拠は所得税法にあります。
所得税法 第69条(損益通算)第1項
「総所得金額…を計算する場合において、不動産所得の金額…の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する。」
不動産で赤字が出たら、給与などから差し引けるという規定です。
ただし、条文で塞がれている部分が2つあります。
6-1. 土地の分の利子は、なかったことにされます
租税特別措置法 第41条の4(不動産所得に係る損益通算の特例)
「…当該年分の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した金額のうちに不動産所得を生ずべき業務の用に供する土地又は土地の上に存する権利…を取得するために要した負債の利子の額があるときは、当該損失の金額のうち当該負債の利子の額に相当する部分の金額…は、所得税法第六十九条第一項の規定…の適用については、生じなかつたものとみなす。」
「生じなかつたものとみなす」——強い書き方です。
土地を買うために借りた分の利子で作った赤字は、給与と通算できません。
そしてこれは、平成4年分以後の規定です。30年以上前から塞がれています。
6-2. 海外の中古物件は、まるごと塞がれました
もう1つ、比較的新しいものがあります。
租税特別措置法 第41条の4の3(国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例)
「個人が、令和三年以後の各年において、国外中古建物から生ずる不動産所得を有する場合においてその年分の不動産所得の金額の計算上国外不動産所得の損失の金額があるときは、当該国外不動産所得の損失の金額に相当する金額は、…生じなかつたものとみなす。」
これは、実際に使われていたやり方が、法律で止められた例です。海外の中古建物を短い耐用年数で償却して赤字を作り、日本の給与と通算する。それが令和3年から、できなくなりました。
節税の仕組みには、寿命があります。
いま説明されている方法が、10年後も同じとは限りません。そして不動産は、10年で降りられません。
6-3. 節税と、儲けは別のものです
ここは、言葉の問題です。
赤字を出して税金を減らすというのは、赤字を出しているということです。
ただし、例外があります。減価償却です。これは現金が出ていかない費用なので、帳簿は赤字でも現金は残るという状態が起こり得ます。節税の話は、たいていここを指しています。
問題は、それが続かないことです。
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 償却できている間 | 帳簿が赤字になり、税金が減ります |
| 償却が終わったあと | 経費が減るので、税金は増えます |
| 売るとき | 償却したぶん取得費が下がっているので、譲渡所得は大きくなります |
税金が消えたのではなく、後ろにずれただけ、という場合があります。
ここは個別性がとても高い部分です。物件、取得の方法、所得の構成、売る時期で結果が変わります。必ず税理士に確認してください。この記事で書けるのは、「条文にこう書いてある」というところまでです。
そのうえで、確認することを1つだけ挙げます。
節税額を抜いた状態で、その物件は黒字ですか。
節税でようやくプラスになる物件は、税制が変わった瞬間にマイナスになります。そして税制は、6-2のように変わります。
7. 建物は、時間とともに価値を落とします
ここは、私が実際に見てきたものを書きます。
私は自分が住むために、新築のモデルルームを20件以上、中古を5件、賃貸を5部屋回りました。買うつもりで見ていました。
そのうち、築30年前後の物件で見たものです。
| 見たもの |
|---|
| 築30年経っているのに、エレベーターが交換されていません |
| 地下駐車場のシャッターが壊れたまま。直せないので、鎖が前後するだけのゲートに交換されていました |
| 駐車場の機械式パレットが、壊れたまま放置されています |
| 共用の廊下が汚れています |
| 排水まわりの鉄の部品が錆びて、抜け落ちていました |
そして、その部屋には5,000万円を超える値段がついていました。
国土交通省のガイドラインには、こう書かれています。
「既存のマンションでは、経年とともに給排水管、エレベーター、機械式駐車場等の大がかりな修繕工事が増加する一方、2回目・3回目の大規模修繕に向けた適切な長期修繕計画の見直しが行われていない等の例も見られます。その結果、必要な修繕積立金が十分に積み立てられず、修繕工事費が不足するといった問題が生じているとの指摘もあります。」
エレベーターと機械式駐車場は、名指しで挙がっています。そして私が見たのは、まさにその2つが放置されている状態でした。
7-1. 貸す側にとって、これは何を意味するか
| 起きること | 収支への影響 |
|---|---|
| 共用部が劣化する | 入居者が決まりにくくなります |
| 修繕積立金が値上げされる | 毎月の支出が増えます |
| 一時金の徴収が決議される | まとまった支出が発生します |
| 近隣に新しい物件が建つ | 家賃を下げないと埋まらなくなります |
そして、これを直すかどうかを決めるのは、自分ひとりではありません。
区分所有のマンションでは、共用部の工事は管理組合が決めます。自分の部屋の窓すら、標準管理規約では専有部分に含まれていません。
マンション標準管理規約(単棟型)第7条第2項
「三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。」
「古くなったら直せばいい」が、自分の判断ではできません。この構造については別の記事で詳しく書きました。
7-2. 「47年」という数字について
建物の寿命として「47年」という数字が出てくることがあります。これは寿命ではありません。
| 47年の正体 | |
|---|---|
| 正しくは | 減価償却の耐用年数です(鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の「住宅用のもの」) |
| 何を決めるか | 税金の計算です |
| 建物が使えなくなる年数か | 違います |
ただし、投資として見るときには別の意味を持ちます。減価償却が終われば、経費に計上できるものが減ります。そして、中古で買うと耐用年数の残りは短くなります。個別の計算は税理士に確認してください。
8. 出口|売れるかどうかは、予測です
最後に、売るときの話です。
ここは意見を書きません。数字を3つ並べます。
| 公表されている数字 | |
|---|---|
| 人口 | 2070年に8,700万人(現在の7割) |
| 空き家 | 900万2千戸・13.8%。どちらも過去最高 |
| マンションの価格指数 | 219.0(2010年平均=100、令和7年7月・季節調整値)。前年同月は201.6で、上がっています |
3行目を見てください。
人は減ることが分かっていて、住宅は増え続けていて、それでも価格は上がっています。
つまり、価格は人口では説明できていません。だから、次の2つはどちらも予測です。
| よく聞く話 | 実際は |
|---|---|
| 人口が減るから、いずれ下がる | 予測です。いまは上がっています |
| ここまで上がってきたから、これからも上がる | 予測です |
8-1. 売るときにも、費用と時間がかかります
| 売るときにかかるもの |
|---|
| 仲介手数料(買うときと同じ計算式。400万円を超える部分は3%) |
| 譲渡所得への課税(利益が出た場合) |
| 抵当権抹消の登記費用 |
| 売れるまでの期間。その間もローンと税金は止まりません |
| 売値がローン残債を下回った場合、その差額 |
最後の行が、この記事でいちばん重い項目です。売りたくても、残債を下回っていれば差額を用意しないと売れません。
やめたいと思ったときに、やめられるかどうか。
当サイトはどの記事でも利益 ÷ 拘束日数で判断しています。不動産投資は、分子が読みにくく、分母がとても長い形をしています。
9. 「罰ゲーム」かどうかは、埋めてから決まります
ここまでを、1枚の表にします。これを埋めてください。
| 項目 | 自分の場合 |
|---|---|
| 年間の家賃収入(満室の場合) | 円 |
| 見込む空室(年に何か月か) | か月 |
| 空室を引いた家賃収入 | 円 |
| 固定資産税・都市計画税(年額) | − 円 |
| 管理費(年額) | − 円 |
| 修繕積立金(いまの額・年額) | − 円 |
| 修繕積立金(平均額の目安。専有面積×252〜338円×12) | − 円 |
| 管理会社への委託料(年額) | − 円 |
| 火災保険・地震保険(年額) | − 円 |
| 退去1回あたりの原状回復費用 ÷ 想定入居年数 | − 円 |
| 入居者募集の費用 ÷ 想定入居年数 | − 円 |
| 設備の交換費用(給湯器・エアコン等)÷ 使用年数 | − 円 |
| 年間の手取り(A) | 円 |
| 購入価格 | 円 |
| 購入時にかかった費用の合計(仲介手数料・登記・税・保険など) | + 円 |
| 投じた金額の合計(B) | 円 |
| 実質利回り = A ÷ B | % |
ローンを組む場合は、ここから返済の利息分がさらに引かれます。元本の返済は費用ではありませんが、手元の現金からは出ていきます。
この%が、あなたが求めている数字より小さければ、それは罰ゲームです。大きければ、そうではありません。
私はどちらとも書きません。物件によって違うからです。言えるのは1つだけです。
埋めないまま始めると、罰ゲームかどうかも分かりません。
10. 判定表
| 判定 | 状態 |
|---|---|
| ◎ | 9章の表を全部埋めた+空室を何か月で見込んだか言える+売れなかったときにどうするか決めてある |
| ○ | 実質利回りは出したが、修繕積立金は「いまの額」で計算している |
| △ | 費用は数えたが、空室を0か月で計算している |
| × | 広告の「利回り」が表面か実質か、聞いていない |
| × | 購入時の費用を、分母に入れていない |
| × | 退去のたびの原状回復費用を数えていない |
| × | サブリースなのに、家賃改定の条件と、業者側からの解約条項を読んでいない |
| × | 「家賃保証だから空室リスクはない」と説明されて、それを信じている |
| × | その建物の共用部を見ていない(エレベーター、駐車場、廊下、排水まわり) |
| × | 長期修繕計画と、修繕積立金の残高を見ていない |
| × | 売値がローン残債を下回ったときに、差額を出せるか考えていない |
| × | 「値上がりするから」を理由の1つにしている(それは予測に賭けることです) |
11. 明日からの1手
| # | やること | かかる時間 |
|---|---|---|
| 1 | 「その利回りは表面ですか、実質ですか」と聞く | 1分 |
| 2 | 9章の表を、検討中の物件で全部埋める | 1時間 |
| 3 | 修繕積立金を、専有面積×252〜338円でも計算し直す | 3分 |
| 4 | 空室を年2か月で入れて、もう一度計算する | 5分 |
| 5 | 長期修繕計画書と、修繕積立金の現在の残高を見せてもらう | — |
| 6 | 現地に行って、部屋ではなく共用部を見る(エレベーター、駐車場、廊下、排水まわり) | 30分 |
| 7 | サブリースなら、家賃改定の条項と、業者側からの解約条項を声に出して読む | 15分 |
| 8 | いま売ったらいくらになるかを、複数の業者に聞く | — |
| 9 | その額がローン残債を下回っていたら、差額を用意できるか計算する | 5分 |
5番と6番は、営業の場では出てきません。自分から言わないと出ません。そして、この2つで分かることが一番多いです。
すでに買っている人は、8番と9番から始めてください。いま出口がどうなっているかを知らないまま持ち続けるのが、いちばん危ないからです。
12. まとめ
- 私は不動産投資をやったことがありません。書いたのは、公表されている数字と条文と、内見で見たものだけです
- 「利回り」には表面と実質があり、広告に出ているのはほぼ表面です。分子から経費が引かれ、分母に購入時費用が足されるので、差は大きくなります
- 購入時にかかる費用は全部、分母に乗って、戻りません(仲介手数料・登録免許税・不動産取得税・印紙税・司法書士報酬・ローン手数料・保険)
- 固定資産税の標準税率は1.4%、都市計画税は0.3%が上限です。ローンを払い終わっても終わりません
- 修繕積立金は、国のガイドラインで平均額の目安が示されています(20階未満で252〜335円/㎡・月)。そして国自身が「当初月額が著しく低く設定される例も見られる」と書いています
- 原状回復は、通常損耗の分を借主に負わせられません。特約には3つの要件があります(国交省ガイドライン)
- 「節税になる」は仕組みとしては成立します(所得税法69条の損益通算)。ただし条文で塞がれた部分が2つあります
- 土地の取得に要した負債の利子による赤字は「生じなかつたものとみなす」(措置法41条の4)。平成4年分以後です
- 国外中古建物の損失は、令和3年以後まるごと通算できなくなりました(措置法41条の4の3)。実際に使われていたやり方が、法律で止められた例です
- 節税の仕組みには寿命があります。そして不動産は、10年で降りられません
- 税金は消えたのではなく、後ろにずれただけという場合があります。償却が終われば税金は増え、売るときは取得費が下がっているぶん譲渡所得が大きくなります
- 確認は1つです。節税額を抜いた状態で、その物件は黒字ですか
- 空き家900万2千戸のうち、443万6千戸が「賃貸用の空き家」です。約半分で、5年前より増えています
- 1世帯当たり住宅数は1.16戸。世帯数で見れば、住宅はもう足りています
- 総人口は2070年に8,700万人(現在の7割)になります(国立社会保障・人口問題研究所)
- 空室率0%で計算した利回りは、意味がありません。年2か月空けば、収入は約83%になります
- 「家賃保証」については、国が法律で規制しています。禁止されたのは商品ではなく、家賃減額の可能性と業者側からの解約の可能性を伝えないことです(賃貸住宅管理業法28条・29条)
- 「原状回復費用はサブリース会社が全て負担する」は、国交省が不実告知の例として挙げています。罰則は6月以下の懲役または50万円以下の罰金です
- 禁止されているということは、実際に起きたということです
- 私は築30年の物件を内見して、エレベーター未交換・シャッター故障・機械式パレット放置を見ました。その部屋に5,000万円超の値がついていました
- 共用部を直すかどうかは、自分ひとりでは決められません。窓枠と窓ガラスさえ、標準管理規約では専有部分に含まれません
- 「47年」は建物の寿命ではなく、減価償却の耐用年数です。ただし投資では、償却できる年数として別の意味を持ちます
- 人は減り、住宅は増え、それでも価格指数は上がっています(2010年=100で219.0)。価格は人口では説明できていません
- 「下がる」も「上がる」も予測です。買うのは、その予測に賭けることです
- 売値がローン残債を下回れば、差額を用意しないと売れません。やめたいときにやめられるかどうかが、いちばん重い項目です
- 罰ゲームかどうかは、9章の表を埋めた結果で決まります。埋めないまま始めると、罰ゲームかどうかも分かりません
13. あわせて読むもの
| 知りたいこと | 記事 |
|---|---|
| 自分が住む家を、買うか借りるか | 「家賃がもったいない」の計算に入っていないもの |
| 賃貸で、何にいくら払っているのか | 賃貸で本当に高いのは家賃ではありません |
| なぜ「拘束日数」で測るのか | 「続けていれば少しずつ増える」という助言を、撤回します |
14. この記事で参照した情報源
| 内容 | 出典 |
|---|---|
| 空き家900万2千戸・13.8%/賃貸用の空き家443万6千戸/1世帯当たり住宅数1.16戸 | 総務省 令和5年住宅・土地統計調査 基本集計(確報集計)結果 |
| 総人口は2070年に8,700万人(現在の7割)に減少 | 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」 |
| サブリースの誇大広告等の禁止・不当な勧誘等の禁止・重要事項説明・罰則 | 国土交通省 賃貸住宅管理業法ポータルサイト(適正化のための措置) |
| 損益通算(所得税法第69条) | e-Gov法令検索 所得税法 |
| 不動産所得に係る損益通算の特例(第41条の4)/国外中古建物の特例(第41条の4の3) | e-Gov法令検索 租税特別措置法 |
| 売買の媒介に関する報酬の額(200万円以下5%/200〜400万円4%/400万円超3%) | 国土交通省 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額 |
| 固定資産税の標準税率1.4%(第350条)/都市計画税0.3%が上限(第702条の4) | e-Gov法令検索 地方税法 |
| 修繕積立金の平均額の目安/当初月額が低く設定される例/大がかりな修繕工事の増加 | 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定) |
| 原状回復の特約の3要件 | 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」第1章 |
| 窓枠及び窓ガラスは専有部分に含まれないこと(第7条) | 国土交通省 マンション標準管理規約(令和7年10月17日改正・単棟型) |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造「住宅用のもの」の耐用年数47年 | 国税庁 耐用年数(建物/建物附属設備) |
| 不動産価格指数(マンション・区分所有)219.0/2010年平均=100 | 国土交通省 不動産価格指数の公表 |
15. この記事について
私は不動産投資をやったことがありません。本文は、公表されている統計・条文・ガイドラインと、自分が住まいを探すために内見して見たものだけで構成しています。運用の実務については書けません。
この記事は、特定の金融商品や不動産、投資手法を推奨するものでも、否定するものでもありません。当サイトは投資助言・代理業の登録をしていません。
内見について書いた部分は、私が実際に見た数件のことです。特定のエリアや建物の評価ではありません。同じエリアにも、きちんと管理されている建物はあります。
損益通算と減価償却について書いた部分は、条文の内容を示したものです。個別の税額計算や適用可否については書けません。必ず税理士にご確認ください。
税制・制度は改正されます。固定資産税と都市計画税は課税標準額に対してかかり、特例もあります。減価償却の扱いは物件と取得方法で変わります。実行の前に、必ず国税庁・各自治体の最新情報をご確認のうえ、個別の判断については税理士にご相談ください。
本文中の計算例は、上限式や公表されている目安に当てはめたものです。実際の金額は取引ごと・物件ごとに異なります。
本記事は特定の収益や成果を保証するものではありません。

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