シャープレシオとは|計算方法と目安。自分の投資信託3本を並べたら、レバレッジ型がいちばん低かった

シャープレシオとは|計算方法と目安。自分の投資信託3本を並べたら、レバレッジ型がいちばん低かった 資産運用

シャープレシオは、「取ったリスク1つぶんあたり、どれだけのリターンを得たか」を表す数字です。リターンが高くても、値動きがはげしければ、数字は下がります。リターンがそこそこでも、値動きがおだやかなら、数字は上がります。投資信託をくらべるときに、よく使われます。

私は、S&P500と、全世界株式と、ナスダック100の2倍で動く投資信託を、持っています。この記事を書くために、3本のシャープレシオを、並べてみました。いちばんリターンが高い2倍型が、いちばん、数字が低い。レバレッジは、リターンをふやします。シャープレシオは、ふやしません。

この記事では、計算のしかたを先に書いて、私が持っている商品の実際の数字を、並べます。そのあとで、この数字が見のがすものを書きます。私が口座を飛ばしたFXの自動売買は、飛ぶ前の日まで、シャープレシオが、とても高い形でした。特定の商品を、すすめる記事では、ありません。

1. シャープレシオとは

考えたのは、アメリカの経済学者、ウィリアム・シャープです。1966年に発表しました。シャープは、1990年に、ノーベル経済学賞を受けています。

シャープレシオ =(リターン − 安全な資産の利回り)÷ 値動きの大きさ(標準偏差)

  • リターンから、安全な資産(国債や預金)の利回りを引くのは、「リスクを取ったから、増えたぶん」だけを、取り出すためです
  • 値動きの大きさは、標準偏差で、はかります。年に何%くらい、上下にぶれるか、の目安です
  • 数字が大きいほど、少ないぶれで、多く増えた、ということです

一般には、1をこえると良い、2をこえると、とても良い、と言われます。ただし、この目安は、期間と、相場の状況で、大きく変わります。数字を単体で見るより、同じ期間の、似た商品どうしを、くらべるために使います。

2. 私が持っている商品の、実際の数字

投資信託の情報サイト(みんかぶ投信)に出ている数字を、そのまま並べます。基準日は、2026年9月17日です。数字は、毎日、変わります。

商品 期間 リターン(年率) 値動きの大きさ シャープレシオ
S&P500に連動する投資信託 1年 30.44% 15.27 1.95
3年 24.52% 15.92 1.52
5年 21.32% 16.46 1.28
全世界株式に連動する投資信託 1年 33.12% 14.69 2.21
3年 24.29% 14.08 1.70
5年 19.72% 14.43 1.35
ナスダック100の2倍で動く投資信託(為替ヘッジなし) 1年 54.66% 49.83 1.08
(参考。私は持っていません)ナスダック100に、1倍で連動する投資信託 1年 35.28% 23.82 1.45
3年 27.85% 21.36 1.29
5年 22.57% 22.19 1.01

2倍型は、設定から日が浅いので、3年と5年の数字は、まだ、ありません。

2-1. 読み取れること①|レバレッジは、シャープレシオを、上げない

同じナスダック100の、1倍と2倍を、くらべます。どちらも、1年の数字です。

1倍 2倍 2倍は、1倍の何倍か
リターン 35.28% 54.66% 約1.5倍
値動きの大きさ 23.82 49.83 約2.1倍
シャープレシオ 1.45 1.08 約0.7倍

値動きは、きっちり、2倍になっています。リターンは、1.5倍にしか、なっていません。指数が、1年で35%も上がった、強い年の数字です。それでも、こうなります。差のぶんは、お金を借りるコストと、上がり下がりをくり返すことでへるぶんに、消えています。

理屈のうえでは、レバレッジをかけても、シャープレシオは、変わりません。リターンも、値動きも、同じ倍率で、ふえるからです。実際には、コストのぶん、下がります。レバレッジは、「同じ効率のまま、量をふやす」道具であって、「効率を上げる」道具では、ありません。しくみは、TQQQはやめとけ、は本当かの記事と、ケリー基準の記事に書きました。

2-2. 読み取れること②|全世界株式は、リターンが同じくらいで、ぶれが小さかった

この5年では、全世界株式と、S&P500のリターンは、近い数字でした。値動きは、全世界株式のほうが、小さい。だから、シャープレシオは、全世界株式のほうが、高く出ています。広く分けて持つと、リターンを大きく落とさずに、ぶれを小さくできることがある。これが、分散の効き目です。ただし、これは、この5年の結果です。次の5年も、そうなるとは、限りません。

2-3. 読み取れること③|どの数字も、高すぎる

1年で、2.21。5年でも、1.3前後。株式の指数の、長い期間のシャープレシオは、ふつう、0.3から0.5くらいだと、言われています。いまの数字は、この数年の相場が、とても良かったことを、映しているだけです。商品の実力でも、私の腕でも、ありません。高すぎる数字は、いずれ、ふつうの数字に、もどっていきます。平均への回帰の記事に書いたとおりです。

2-4. 計算機

シャープレシオ 1.45

レバレッジをかけたあとの、リターンのめやす 54.86%
レバレッジをかけたあとの、値動きの大きさ 47.64%
レバレッジをかけたあとの、シャープレシオ 1.14

はじめに入っている数字は、上の表の、ナスダック100の1倍の、1年の数字です。安全な資産の利回りの0.7%は、表のシャープレシオと合うように、私が置いた数字です。よけいにかかるコストの15%は、上の表の2倍型の実際のリターンに、近くなるように置いた、目安です。かんたんな足し算の式なので、実際の商品の動きとは、ずれます。コストをゼロにすると、レバレッジをかけても、シャープレシオが変わらないことを、確かめられます。

3. シャープレシオが、見のがすもの

弱点 中身
上へのぶれも、下へのぶれも、同じ「リスク」として数える 大きく上がった月も、数字を下げる。下へのぶれだけを数える、ソルティノレシオという数字もある
期間で、大きく変わる 上の表のとおり、1年と5年で、ちがう。良い時期だけを切り出せば、いくらでも、高く見せられる
めったに起きない、大きな損を、うまく数えられない 値動きが、つり鐘の形に分布している、という前提で、できている。実際の相場では、大きな暴落が、その前提よりも、ずっと多く起きる
過去の数字である これからのリターンも、これからの値動きも、教えてくれない

3-1. 飛ぶ前の日まで、シャープレシオは、最高だった

3つ目の弱点を、私は、自分の口座で、経験しました。

私がFXで口座を飛ばしたのは、下がるたびに買い増して、もどったところで、小さな利益を取る形の、自動売買でした。この形は、ほとんど毎日、小さく勝ちます。成績のグラフは、なめらかな、右肩上がりになります。ぶれが、ほとんど、ありません。シャープレシオで言えば、とても高い数字が、出る形です。

そして、ある日、口座が、なくなります。もどらなかった1回で、それまでの利益と、元手の、ぜんぶを失います。シャープレシオは、その日が来るまで、「この運用は、すばらしい」と、言いつづけます。なめらかすぎる成績は、安全の証拠では、ありません。大きな損が、まだ、来ていないだけかもしれません。くわしくは、破産確率の記事と、正常性バイアスの記事に書きました。

3-2. 数字が出ていないものは、くらべられない

私は、いまも、5万円の小さな口座で、市販のFXの自動売買を、テストしています。その販売ページには、勝率が、書いてあります。損切りの幅も、書いてあります。でも、最大でどこまで資金がへったか、どの期間の成績なのか、利益の合計と損の合計の比は、書いてありません。

これでは、シャープレシオは、計算できません。投資信託と、くらべることも、できません。投資信託は、法律で、決まった形の資料を出すことが、求められています。だから、上の表のように、同じものさしで、並べられます。自動売買のプログラムには、その決まりが、ありません。売る側が、見せたい数字だけを、見せられます。勝率だけを見せる売り方が、なぜあぶないかは、リスクリワードの記事に書きました。

4. では、なぜ、シャープレシオの低い2倍型を、持っているのか

正直に書きます。シャープレシオだけで選ぶなら、私の持ち方は、まちがっています。いちばん効率が良いのは、全世界株式です。2倍型は、いちばん、悪い。

それでも持っているのは、私が、効率ではなく、量を、取りに行っているからです。手もとのお金に限りがあって、取りたいリターンの量が、1倍では、足りない。だから、効率を落としてでも、量をふやしています。これは、計算の結果では、ありません。私の、好みと、見立てです。「これからの10年も、テックは伸びる」に、賭けています。はずれたときに、失うのは、入れた金額までです。借りたお金でも、生活費でも、ありません。

人には、すすめていません。効率を落として、量を取りに行く、という判断は、その人の資金と、暮らしと、見立てで、変わるからです。

5. 仕事にも、シャープレシオがある

この考え方は、事業にも、そのまま使えます。

ブランド品を直して売っていたころ いま(書いて、教える)
月の利益 80万円から200万円。大きく、ぶれる 当時より、小さい
毎月かならず出ていくお金 145万円から150万円 4,400円
悪い月に、起きること 65万円から70万円の、赤字 ほぼ、何も起きない

利益の大きさだけなら、昔のほうが、上でした。でも、ぶれが大きすぎて、その上に、固定費を乗せることが、できませんでした。ぶれの小さい利益には、安心して、暮らしを乗せられます。ぶれの大きい利益には、乗せられません。事業をくらべるときも、「いくら、もうかるか」だけでなく、「そのもうけは、どのくらい、ぶれるか」を、見ます。数字は、パーキンソンの法則の記事と、損益分岐点の記事に書きました。

6. 使い方

  1. 同じ期間の、似た商品どうしを、くらべるために使う。数字を、単体で、良い悪いと、決めない
  2. 長い期間の数字を見る。1年の数字は、その年の相場の良し悪しを、映しているだけです
  3. 高すぎる数字は、うたがう。相場が良かっただけか、まだ来ていない大きな損を、かくしているかの、どちらかです
  4. 成績が、なめらかすぎる運用は、損の出方を、確かめる。小さく勝ちつづけて、まれに、ぜんぶ失う形では、ないか
  5. レバレッジで、シャープレシオは、上がらない。上がるのは、量だけです
  6. 期間、最大でどこまでへったか、が書いていない成績は、くらべる材料にしない。

まとめ

  • シャープレシオは、取ったリスク1つぶんあたりの、リターン。(リターン − 安全な資産の利回り)÷ 値動きの大きさ
  • 私が持っている3本では、いちばんリターンの高い2倍型が、いちばん、シャープレシオが低い
  • ナスダック100の1倍と2倍をくらべると、値動きは約2.1倍、リターンは約1.5倍。レバレッジは、量をふやすが、効率は上げない
  • いまの数字は、どれも、高すぎる。この数年の相場が良かっただけ
  • 小さく勝ちつづけて、まれにぜんぶ失う運用は、飛ぶ前の日まで、シャープレシオが、最高に見える
  • 事業でも、同じ。利益の大きさだけでなく、ぶれの大きさを、見る

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【免責と、利益相反の開示】この記事は、公表されている数字と、筆者自身の取引の記録にもとづく、情報の整理です。特定の金融商品の取得を、すすめるものでは、ありません。筆者は、金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録も、受けていません。筆者は、この記事でふれた投資信託(S&P500、全世界株式、ナスダック100の2倍型)を、自分の口座で保有しています。表の数字は、みんかぶ投信に掲載されていた、2026年9月17日基準のもので、その後、変わっています。過去の成績は、将来の結果を、保証しません。投資の判断は、ご自身の責任で行ってください。

 

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