ランチェスター戦略とは|弱者の戦略と強者の戦略をわかりやすく。ずっと弱者の側で売ってきた私の、場所のえらび方

ランチェスター戦略とは|弱者の戦略と強者の戦略をわかりやすく。ずっと弱者の側で売ってきた私の、場所のえらび方 経済・経営の用語

ランチェスター戦略とは、「兵力の少ない側(弱者)と、多い側(強者)では、たたかい方が、まったくちがう」という考えにもとづいた、経営と販売の戦略です。もとは、戦争の損害を計算する、2つの法則です。それを、日本で、会社の販売の戦略に、作りかえたものが、広く使われています。

先に、書いておきます。私は、ずっと、弱者の側で、商売をしてきました。1人か、数人です。お金のある売り手と同じ商品を、同じ場所で売れば、負けます。だから、相手から見えない商品をあつかい、相手が来ない場所をえらび、相手にはできない近さで、売ってきました。この記事は、法則の説明と、個人の売り手が、それをどう使うかを、書きます。

この記事では、2つの法則を先に書いて、そのあとで、計算機、弱者と強者の戦略、私の例を書きます。

1. ランチェスターの法則とは

1-1. 由来

イギリスの技術者、フレデリック・ランチェスターが、第一次世界大戦のころに、空中戦の損害を調べて、まとめた法則です。1916年の本で、発表されました。日本では、1970年代に、経営コンサルタントの田岡信夫が、これを販売の戦略に体系化して、「ランチェスター戦略」として、広めました。会社の戦略としての形は、日本で育ったものです。

1-2. 2つの法則

第一法則 第二法則
場面 1対1のたたかい。刀や、やりの時代。せまい場所での、接近戦 集団と集団が、はなれて、うち合うたたかい。銃や、大砲の時代。広い場所
戦闘力 武器の性能 × 兵力の数 武器の性能 × 兵力の数の2乗
意味 数の差は、そのまま、結果の差になる 数の差は、2乗で、きいてくる
だれに有利か 弱者。数で負けていても、差は、広がらない 強者。数が多いほど、一方的に、勝てる

第二法則が成り立つのは、全員が、相手の全員を、同時にねらえる場面です。50人と30人なら、50人の側は、1人あたり、受ける攻撃が少なく、あたえる攻撃が多い。だから、差は、たたかうほど、広がります。次の計算機で、たしかめてください。

2. 計算機:同じ兵力の差でも、法則で、結果は、こう変わる

自分(A)の兵力  相手(B)の兵力

自分の武器の性能(相手を1としたとき)

第一法則(1対1の接近戦)の結果:

第二法則(広い場所での集団戦)の結果:

自分が勝つのに必要な、武器の性能(第一 / 第二):

はじめの数字だと、30対50で、武器は同じです。第一法則では、相手の残りは20。こちらは負けますが、相手にも、30の損害を、あたえています。第二法則では、相手の残りは、40です。こちらは全滅して、相手の損害は、10だけです。同じ30対50でも、たたかう場所で、これだけ、ちがいます。

勝つために必要な武器の性能も、見てください。接近戦なら、1.67倍をこえれば、勝てます。集団戦なら、2.78倍をこえないと、勝てません。弱者が、強者と同じ広い場所でたたかうと、商品のよさで埋めなければいけない差が、2乗で、大きくなります。

3. 弱者の戦略、強者の戦略

ここでいう「弱者」「強者」は、会社の大きさでは、ありません。その市場で、シェアが1位の会社だけが、強者です。2位より下は、全部、弱者です。大きな会社でも、新しく入った市場では、弱者です。

弱者の戦略(差別化) 強者の戦略(ミート=まねして、つぶす)
局地戦:せまい地域、せまい客層、せまい商品にしぼる 広域戦:広い市場ぜんたいで、たたかう
一騎討ち:競争相手が少ない場所を、えらぶ 確率戦:商品の種類や、店の数をふやして、数で、おす
接近戦:お客に、直接、近づく 遠隔戦:広告や、代理店を使って、広く、とどける
一点集中:力を、1つに、まとめる 総合戦:持っている力を、全部、使う
陽動:相手の予想の外から、動く 誘導戦:自分に有利な土俵に、相手を、引きこむ

弱者の戦略は、全部、「第一法則の場面に、持ちこむ」ためのものです。せまくして、近づいて、1点に集める。そこなら、数の差は、2乗では、ききません。強者の戦略は、逆に、「第二法則の場面に、引きずり出す」ためのものです。弱者が何か新しいことをしたら、すぐにまねして(ミートして)、ちがいを消し、数の勝負に、もどします。

シェアの目安

ランチェスター戦略では、市場のシェアに、目安の数字が、あります(数学者クープマンのモデルから、みちびかれた、とされています)。

シェア 意味
73.9% 上限の目標。ほぼ、独占
41.7% 安定の目標。ここをこえると、首位が、安定する
26.1% 下限の目標。強者と弱者の、さかい目

個人や、小さな会社にとって大事なのは、「市場を、どこまで小さく切れば、自分が、26%をこえられるか」です。全国では0.01%でも、「この型番の、この修理」まで切れば、1位に、なれます。

4. 私の例:ずっと、弱者の側で

4-1. 局地戦:相手から見えない商品を、あつかう

ネットオークションでは、売れた記録が、だれにでも、見えます。売れている商品は、すぐに、まねされます。資金のある売り手が同じ商品を大量に出せば、値段は、下がります。ここは、第二法則の場面です。

私は、売れた商品の、関連の商品や、上位の型を、自分の仮説でさがして、まだ売れた記録がなくても、出品していました。記録に出ない商品は、まねする側の目に、入りません。回転は、まねで取る。利益は、こちらで、取る。強者のミートがとどかない場所を、自分で、作っていました(くわしくは、レッドオーシャンの記事)。

4-2. 資金の勝負になる場所では、負けた

逆の経験です。業者向けの市場の競りは、最後は、いくらまで出せるかの、勝負です。ある市場では、値段の差がある品を見つけて入札しても、競り負けました。高いブランドの品を確実に落とすには、パソコンの前にはりついて、競りに、参加し続けなければ、なりません。

競りは、全員が、同じ品を、同時にねらう場所です。第二法則が、そのまま、はたらきます。ここで弱者にできるのは、武器の性能を上げること(直して高く売れる腕があれば、その分、高く入札できる)か、強者が見ていない品を、ねらうことだけです。

4-3. 一点集中:自分の「鉄板」を、作る

中古品の修理で、私が大事だと考えているのは、まず、自分の得意な修理、自分の中の「鉄板」を、1つ、作ることです。私の考えでは、何でも少しずつ直せる人より、1つの型を確実に直せる人のほうが、仕入れで、強い。直せると分かっている品には、ほかの人より高く、入札できるからです。これは、計算機の「武器の性能」を、せまい範囲で、上げることです。

4-4. 接近戦:月に2人まで

いま、私が売っているのは、個別の指導です。期間は6か月。通話、対面、添削、チャットで、直接、教えます。受けるのは、月に2人、年に24人までと、決めています。

大きな会社は、これを、やりません。数がさばけないからです。強者は、広く、遠くから、売ります。弱者は、せまく、近くで、売ります。1人1人に近づく売り方は、数の差が、きかない場所です。

4-5. 場所を変えるのも、局地戦

2017年ごろ、私は、名古屋で、自分より若い人に、仕入れを習いました。物を売る仕事を会社にして、大きくしている人でした。強い劣等感を、感じました。

私の見立てでは、名古屋には、東京にない条件が、ありました。物件が、安い。人件費が、安い。人の取り合いが、きびしくない。当時の時給1,500円は、派遣より、よい条件だったはずです。東京では赤字になるやり方が、地方では、赤字に、なりません。強者がひしめく場所をはなれて、自分の費用が小さくなる場所でたたかうのも、局地戦の、1つの形です。

4-6. このブログも、同じやり方で、書いている

検索の世界にも、強者と弱者が、あります。大きな会社のサイトが上位をしめている言葉で、個人のブログが正面からたたかっても、勝てません。私は、言葉ごとに、検索される回数と、競争の強さを調べて、競争の弱い言葉から、書いています。そして、大きなサイトには書けない、自分の経験と数字を、入れています。せまい言葉をえらぶのが、局地戦。自分の経験を入れるのが、武器の性能です。

5. 使い方の、手順

  • 自分が弱者だと、みとめる:ほとんどの人は、ほとんどの市場で、弱者です。強者のやり方(品ぞろえ、広告、値下げ)を、まねしないでください。
  • 市場を、小さく、切る:地域、客層、商品、型番。「ここなら、1位になれる」という大きさまで、切ります。
  • そこに、全部を、入れる:切った市場で1位になるまで、ほかに、手を広げません(選択と集中の記事)。
  • 近づく:直接、会う。直接、答える。名前を、おぼえる。強者が、費用が合わなくて、やらないことを、やります。
  • 1位になったら、となりの市場へ:1つずつ、ふやします。
  • まねされたら、動く:強者は、まねして、きます。ちがいが消えたら、その場所は、第二法則の場面に、もどっています。

6. まとめ

  • ランチェスター戦略とは、弱者と強者で、たたかい方を分ける戦略です。もとは、ランチェスターの2つの法則。販売の戦略としては、田岡信夫が、日本で体系化しました。
  • 第一法則(接近戦)では、数の差は、そのまま。第二法則(集団戦)では、2乗で、ききます。
  • 30対50なら、接近戦で勝つのに必要な性能は、1.67倍。集団戦では、2.78倍です。
  • 弱者の戦略は、局地戦、一騎討ち、接近戦、一点集中、陽動。全部、第一法則の場面に持ちこむためのものです。
  • 私は、記録に出ない商品、得意な修理、月に2人までの個別の指導、競争の弱い検索の言葉、という形で、せまい場所を、えらんできました。

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