バーナム効果は、「だれにでも当てはまる、あいまいな説明を、自分だけに当てはまる、正確な説明だと、感じてしまう」現象です。占い、性格診断、血液型の話が、「当たっている」と感じられる理由の、大きな1つです。
先に、正直に、書いておきます。私は、このサイトに、無料の性格タイプ診断を、置いています。24の質問に答えると、12のタイプのどれかが出る、というものです。その診断にも、この効果は、働きます。この記事は、診断を置いている側の人間が、その「当たった感じ」の正体を、説明する記事です。
この記事では、先に、小さな体験をしてもらって、そのあとで、意味と実験、強く働く条件、身近な例、私の立場、つきあい方を書きます。
1. まず、体験してみる
生まれた月をえらんで、ボタンを、押してください。
2. バーナム効果とは
上の体験は、アメリカの心理学者、バートラム・フォアが、1948年に、自分の授業で行った実験を、まねたものです。フォアは、学生に、性格検査を受けさせました。1週間後、「あなたの検査の結果です」と言って、1人ずつに、紙を、わたしました。学生は、その内容が、自分にどれぐらい当てはまるかを、0から5の点数で、評価しました。平均は、約4.3点でした。
紙に書かれていた文章は、全員、同じでした。フォアが、星占いの本から、ぬき出して、つなげたものです。
この現象は、実験をした人の名前から、フォアラー効果とも、呼ばれます。「バーナム効果」という名前は、1956年に、心理学者のポール・ミールが、つけました。19世紀のアメリカの興行師、P・T・バーナムの、「だれにでも、何かしら、気に入るものがある」という売り文句から、来ています。
2-1. なぜ、当たっていると、感じるのか
| しくみ | 中身 |
|---|---|
| 両方を、言っている | 「外向的な面もあるが、1人でいたいときもある」。どちらに転んでも、当たります。 |
| だれにでも、ある | 「ときどき、自分の決断に、自信がなくなる」。ならない人は、ほとんど、いません。 |
| 当たった所だけを、数える | 読む人は、自分の記憶の中から、当てはまる場面を、さがします。見つかると、「当たった」と数えます。当てはまらない文は、読みとばします。これは、確証バイアスと、同じ形です。 |
| すきまを、自分でうめる | あいまいな文に、自分の具体的な経験を、あてはめます。文を完成させているのは、読む人のほうです。 |
2-2. 強く働く、3つの条件
その後の研究で、この効果が強くなる条件が、整理されています。
- 「あなた専用」だと、信じている:生年月日、名前、検査の答え。何かを入力させたあとに出すと、「自分のために、作られた結果」に、見えます。1章の体験で、生まれた月を聞いたのは、このためです。
- 出す側に、権威がある:専門家、有名な占い師、もっともらしい名前の検査。肩書きの力については、権威性とはに書きました。
- 内容が、おおむね、好意的:「まだ出しきれていない力がある」。人は、うれしいことのほうを、受け入れます。
3. 身近な例
- 星占い、血液型、手相:日本では、血液型と性格の関係が、よく話題になります。大きな調査データを使った国内の研究では、血液型と性格のあいだに、意味のある関係は、見つかっていません。
- ネットの性格診断:タイプ名と、長い説明文が、出ます。説明文の多くは、どのタイプの人が読んでも、うなずける文で、できています。
- 占い師や、霊能者の話術(コールド・リーディング):「さいきん、身近な人のことで、なやんでいませんか」。広く投げて、相手の反応を見て、しぼっていきます。
- 販売ページの「こんな悩み、ありませんか」:「将来が、不安」「いまの収入に、満足していない」。読む人の、ほぼ全員に、当てはまります。読む人は、「自分のことを、分かってくれている」と、感じます。
- 採用や人事の、適性検査の結果の文:点数よりも、文章の部分で、「当たっている」という納得が、作られます。
4. 診断を置いている側としての、私の立場
4-1. 私のサイトの診断にも、この効果は、働く
はじめに書いた診断は、アーキタイプ診断のページに、あります。物語に出てくる人物の「型」を、12に分けたものです。質問に答えて、結果を読むと、多くの人は、「当たっている」と、感じるはずです。その感じの一部は、質問に答えた結果です。残りの一部は、バーナム効果です。どこまでが、どちらなのかは、結果を読んだ本人には、分かりません。
私自身は、この型の理論を、仕事で、あまり意識して、使っていません。物語に登場させる人物の、要素の1つだと、考えています。私の発信の土台は、どれかの型に当てはめて作ったものではなく、自分との対話と、内省から、出てきたものです。型は、考えるきっかけには、なります。自分を説明する、決定版には、なりません。
4-2. 「だれにでも当てはまる言葉」で、集めるのを、やめた
かせぎ方を教える業界では、「かんたんに、だれでも、もうかる」という種類の言葉が、よく使われます。成約しやすい言葉です。だれにでも、当てはまるからです。「いまの収入に、不満がある人へ」と書けば、ほぼ全員が、自分のことだと、感じます。
私は、この種類の言葉で、人を集めることを、やめました。だれにでも当てはまる言葉で集めると、だれでも、来ます。その中には、その方法が、合わない人も、たくさん、ふくまれます。合わない人は、結果が出ません。この話は、「儲け話は人に言わない」は半分正しいと、学習性無力感とはに書きました。
4-3. 占いの枠組みを、調べたことがある
私は、人の性格や、行動のかたよりを、整理する枠組みとして、四柱推命を、調べたことがあります。こういう枠組みを使うときに、気をつける点は、次の章に、まとめました。
5. つきあい方
- 「当てはまらない人は、だれか」と、問う:読んだ文に、当てはまらない人を、3人、思いうかべてみます。思いうかばないなら、その文は、何も、言っていません。
- ほかのタイプの説明も、読む:自分のタイプの説明だけを読むと、かならず、当たります。ほかの11タイプの説明を、自分のものだと思って、読んでみてください。いくつも、当たるはずです。
- 日をあけて、もう1回、受ける:結果が変わるなら、その診断は、あなたの性格ではなく、その日の気分を、はかっています。
- 大きな決断の、根拠に、しない:仕事をえらぶ、人を採用する、お金を入れる。こういう判断を、タイプの名前で、決めません。話のきっかけと、自分を考える材料として、使います。
- 売る側の言葉に、使う:販売ページで、「自分のことだ」と感じたら、1番の問いを、立てます。当てはまらない人がいない文は、あなたのことを、分かって書かれた文では、ありません。
6. 注意点
- 診断や占いが、ぜんぶ、むだ、という話では、ない:研究にもとづいて作られ、くり返し受けても結果が安定する検査も、あります。見分ける点は、「結果が、点数や、ほかの人との比較で、出るか」「日をあけても、結果が、安定するか」です。
- 楽しむことは、問題では、ない:友人との話のたねにする。自分をふり返る、きっかけにする。問題になるのは、それで、人を決めつけたり、大きなお金を、動かしたりするときです。
- 似た言葉との、ちがい:1つの目立つ特徴で、ぜんたいを評価してしまうのは、ハロー効果。「それらしさ」で判断してしまうのは、代表性ヒューリスティックです。
7. まとめ
- バーナム効果は、だれにでも当てはまる説明を、自分だけに当てはまると、感じてしまう現象です。フォアラー効果とも、呼ばれます。
- 1948年の実験では、全員に同じ文章をわたしたのに、「当たっている」の平均は、5点満点で、約4.3点でした。
- 「あなた専用」だと信じている、出す側に権威がある、内容が好意的。この3つで、強く働きます。
- 文を完成させているのは、読む人のほうです。
- 私のサイトの診断にも、この効果は、働きます。型は、考えるきっかけで、決定版では、ありません。
- 見分ける問いは、「当てはまらない人は、だれか」です。

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