破産確率とは|計算機と早見表。勝てる手法でも、賭ける割合を間違えると口座は飛ぶ

破産確率とは|計算機と早見表。勝てる手法でも、賭ける割合を間違えると口座は飛ぶ 資産運用

破産確率は、ある決まりで勝負をくり返したときに、お金が尽きて、続けられなくなる確率のことです。投資やトレードの資金管理で、使われます。

大事なのは、これが、「勝てるかどうか」とは、別の数字だということです。長い目で見て勝てる手法でも、1回に賭ける割合が大きすぎると、勝ちが積み上がる前に、口座が飛びます。私は、FXで、これをやりました。

この記事では、破産確率を決める3つの数字と、早見表と、計算機を先に出します。そのあとで、私が口座を飛ばした話と、事業にも同じ計算が当てはまる話を書きます。特定の商品や手法を、すすめる記事では、ありません。

1. 破産確率とは

もとは、「ギャンブラーの破産問題」という、古い確率の問題です。限りあるお金を持った人が、勝負をくり返す。相手(胴元や市場)のお金は、事実上、無限。このとき、五分五分の勝負でも、続けていれば、いつか、お金の少ないほうが、破産します。

トレードの世界に持ちこんだのは、ナウザー・バルサラです。バルサラは、破産確率が、3つの数字で決まることを、表にしました。

数字 中身
勝率 何回に何回、勝つか
損益比(ペイオフレシオ) 勝ったときの平均の利益 ÷ 負けたときの平均の損
1回に失う割合 負けたとき、資金の何%を失うか

上の2つで、手法の「優位性」が決まります。3つ目は、手法では、ありません。自分で決める、賭け方です。そして、破産確率に、いちばん大きく効くのは、3つ目です。

1-1. 優位性の計算

1回あたりの期待値 = 勝率 × 損益比 −(1 − 勝率)

これがゼロ以下なら、どんな賭け方をしても、続ければ、お金はへります。破産確率を下げる方法は、ありません。やらない、が答えです。プラスのときにだけ、賭け方の話に、意味が出ます。

2. 早見表|同じ手法でも、賭ける割合で、ここまで変わる

私が、乱数で計算した結果です。前提は、次のとおりです。勝負は500回。負けたら、そのときの資金の決まった割合を失う。資金が、はじめの2割まで落ちたら(8割を失ったら)、破産とみなす。それぞれ、2万通りを試しました。

手法 1回に失う割合 1% 2% 5% 10% 25%
勝率50%・損益比1.2(優位性あり) ほぼ0% ほぼ0% 約2% 約26% 約94%
勝率40%・損益比2.0(優位性あり) ほぼ0% ほぼ0% 約1% 約18% 約93%
勝率60%・損益比1.0(優位性あり) ほぼ0% ほぼ0% ほぼ0% 約1% 約35%
勝率50%・損益比1.0(優位性なし) ほぼ0% ほぼ0% 約30% 約81% ほぼ100%

1行目を見てください。長い目で見れば、勝てる手法です。それでも、1回に資金の25%を賭けると、500回のうちに、9割以上の確率で、資金の8割を失います。勝てる手法を持っていることと、生き残ることは、別の話です。

もう1つ。2%までなら、どの行も、ほぼ0%です。「1回の損は、資金の2%まで」という決まりが、昔から言われている理由は、この表のとおりです。ただし、いちばん下の行は、2%でも、時間をかければ、へっていきます。優位性がないからです。500回では、破産の線に届いていないだけです。

2-1. 計算機

数字を入れて、「計算する」を押してください。乱数を使うので、押すたびに、結果は少し変わります。

その線まで落ちる確率 約26%
1回あたりの期待値 0.1(プラス。優位性あり)
ケリー基準の割合(理論上の上限。3章) 8.3%

3. ケリー基準は、目標ではなく、上限

「資金の何%を賭けると、長い目で、いちばん資金がふえるか」を出す式が、ケリー基準です。

ケリーの割合 = 1回あたりの期待値 ÷ 損益比

勝率50%・損益比1.2なら、約8.3%です。ところが、2章の表で、同じ手法に10%を賭けると、約26%の確率で、資金の8割を失います。8.3%でも、途中で、資金が半分以下になることは、ふつうに起きます。

ケリー基準は、「これ以上賭けると、ふえ方が、かえって落ちる」という、上限です。しかも、勝率と損益比が、正確に分かっている、という前提の上限です。実際の勝率は、だれにも、正確には分かりません。高めに見積もっていたら、ケリーの割合は、賭けすぎになります。だから、実務では、その半分や、4分の1にします。くわしい計算と、レバレッジの上限を出す計算機は、ケリー基準の記事に書きました。

4. 私の例①|勝率の高い手法で、口座を飛ばした

私は、2010年から2014年ごろ、FXの自動売買を、集中的にやっていました。海外の業者で、レバレッジは500倍。追加の入金と、仕切り直しを、何度もやっています。損失は、合わせて200万円以上です。

口座を飛ばしたのは、下がるたびに買い増して、もどったところで、まとめて利益を取る形の自動売買でした。この形は、勝率が、とても高くなります。たいていは、もどるからです。毎日のように、小さな利益が、積み上がります。

そのかわり、もどらなかった1回で、口座のすべてを失います。1章の3つの数字でいうと、こうです。

数字 買い下がりの自動売買
勝率 とても高い
損益比 とても低い。勝ちは小さく、負けは、口座ぜんぶ
1回に失う割合 100%

1回に失う割合が100%なら、破産確率は、計算するまでも、ありません。負ける1回が来るまで、続けるかどうか、だけです。私は、勝率の高さを見て、賭け方を、見ていませんでした。ルールは、完ぺきに守りました。守ったから、破綻しました。くわしくは、ギャンブラーの誤謬の記事と、FXで人生終わった人の記事に書きました。

いまも、FXは、5万円の小さな口座で、テストを続けています。5万円は、私の資金全体から見ると、失っても何も変わらない割合です。口座は飛んでも、私は、破産しません。やっていることは、昔と同じです。変えたのは、3つ目の数字だけです。

5. 私の例②|事業にも、破産確率がある

この計算は、相場だけの話では、ありません。

2019年から2022年ごろ、私は、ブランド品を直して売る仕事で、人をやとっていました。月の利益は、80万円から200万円まで動きます。毎月かならず出ていくお金は、145万円から150万円でした。

これを、1章の言葉に直します。毎月が、1回の勝負です。利益が150万円をこえれば勝ち、下回れば負け。負けた月は、手もとの資金が、へります。資金が尽きたら、終わりです。固定費が大きいということは、「1回に失う割合」が、大きいということです。悪い月が何回か続くだけで、破産の線に届きます。

いまの私の仕事は、毎月かならず出ていくお金が、4,400円です。売上がゼロの月が、何か月続いても、破産の線には、届きません。売上の大きさは、昔のほうが、上でした。破産確率は、いまのほうが、ずっと低い。計算は、損益分岐点の記事に書きました。

私が、はじめに教えた仕入れのやり方で、同じように稼げる人が出なかった理由も、ここにあります。売れるまでに時間のかかる商品を、少ない資金で仕入れると、売れる前に、資金が尽きます。手法の優位性は、ありました。教わった人の「1回に失う割合」が、大きすぎました。私が持ちこたえたのは、腕ではなく、家賃のかからない暮らしでした。ロングテールの記事に書いています。

6. 私の例③|口座の破産と、人生の破産を、分ける

FXで200万円以上、仮想通貨で80万円以上を失っても、私の暮らしは、こわれませんでした。理由は、3つです。

  • 借りたお金では、なかった。私は、借金をして投資をしたことが、一度もありません。信用取引も、やっていません
  • 生活費では、なかった。暮らしは、事業の収入で、回っていました
  • 入れた額より多くは、失わない形だった

破産確率の計算で、いちばん先に決めるのは、「何を、資金と呼ぶか」です。口座に入れたお金だけを資金と呼ぶなら、口座が飛んでも、それで終わりです。借りたお金や、来月の家賃が入っているなら、口座の破産が、そのまま、人生の破産になります。この差は、株で人生終わった人の記事に、くわしく書きました。

7. レバレッジ型の商品は、「賭ける割合」を、商品の中で上げている

指数の3倍で動く商品を、資金のぜんぶで買うのは、指数に、資金の3倍を賭けているのと、近い形です。2章の表でいうと、右の列へ、動いています。商品の中で倍率がかかっているので、自分で賭け方を決めている感覚が、うすくなります。

調整する場所は、商品の倍率では、ありません。全体の中で、その商品を、何割にするかです。私がTQQQを積立で買っている経緯と、その考えの弱いところは、TQQQはやめとけ、は本当かの記事に書きました。

8. 使い方

  1. 先に、優位性を確かめる。期待値がゼロ以下なら、賭け方の工夫は、破産を先にのばすだけです
  2. 勝率だけで、手法を見ない。勝率が高い手法ほど、損益比と、1回に失う割合を、先に見ます。「毎日勝てる」は、「1回の負けが、大きい」の、言いかえであることが、多い
  3. 1回に失う割合を、小さくする。2章の表のとおり、2%までなら、優位性のある手法は、ほぼ、生き残ります
  4. 破産の線を、自分で決めておく。ゼロになる前に、続けられなくなります。資金が半分になったら、ふつうの判断は、もうできません。「ここまでへったら、やめる」を、先に書いておきます
  5. 資金と、暮らしのお金を、分ける。借りたお金と、生活費は、資金に入れません
  6. 事業でも、同じ表を使う。毎月かならず出ていくお金は、「1回に失う割合」です。いちばん悪い月が、何か月続いたら、資金が尽きるかを、数えます

まとめ

  • 破産確率は、勝負をくり返したときに、お金が尽きる確率。勝率、損益比、1回に失う割合の、3つで決まる
  • いちばん効くのは、1回に失う割合。優位性のある手法でも、資金の25%を賭ければ、500回のうちに、9割以上の確率で、資金の8割を失う
  • ケリー基準は、賭ける割合の、目標ではなく、上限。実際の勝率は分からないので、その半分以下で使う
  • 私は、勝率の高い買い下がりの自動売買で、口座を飛ばした。1回に失う割合が、100%だった
  • 事業にも、破産確率がある。固定費は、「1回に失う割合」
  • 口座の破産を、人生の破産にしない。借りたお金と、生活費は、資金に入れない

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【免責】この記事は、確率の計算と、筆者自身の取引の記録にもとづく、情報の整理です。特定の金融商品や手法を、すすめるものでは、ありません。筆者は、金融商品取引業者ではなく、投資助言・代理業の登録も、受けていません。表と計算機の数字は、前提を置いた乱数の計算で、実際の相場での結果を、保証するものでは、ありません。投資の判断は、ご自身の責任で行ってください。

 

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