心理的リアクタンスとは、自分で決める自由を、だれかにうばわれそうになったとき、その自由を取りもどそうとして、言われたことと反対の方向に、気持ちが動くことです。「勉強しなさい」と言われると、やる気がなくなる。「今すぐ買ってください」と言われると、買いたくなくなる。この動きです。
この記事では、まず、意味と、ブーメラン効果との関係を、説明します。次に、道具で、自分の売り文句や、頼み方が、反発を生む形になっていないかを、たしかめます。最後に、売る側と教える側で、この力を見てきた、私の例を、書きます。
1. 心理的リアクタンスとは
1-1. 意味
心理学者のジャック・ブレームが、1966年に、この考え方を、発表しました。人は、「自分には、えらぶ自由がある」と、思っています。その自由が、へらされそうになると、不快になり、へらされた自由を、取りもどそうとします。取りもどし方は、主に3つです。
- 禁じられたものが、前より、ほしくなる。
- すすめられたことを、あえて、やらない。
- 自由をうばおうとした相手を、低く見る。
1-2. 強くなる条件
- その自由が、本人にとって、大事なとき。どうでもよい選択なら、うばわれても、気になりません。
- うばわれる度合いが、大きいとき。「これしかない」「今しかない」は、強くはたらきます。
- 相手の意図が、見えすいているとき。「説得しようとしている」と気づくと、反発は、強くなります。
1-3. ブーメラン効果:説得が、逆にはたらく
説得しようとして、かえって、相手の考えを、反対側に強めてしまうことを、ブーメラン効果と、言います。リアクタンスは、その主な原因の1つです。強く押すほど、相手は、押された方向と反対に、動きます。
1-4. 近い言葉
「見るな」と言われると見たくなる、カリギュラ効果も、同じ仕組みです(カリギュラ効果の記事に、書きました)。「残りわずか」で、ほしくなる力と、「急かされている」と感じて、はなれる力は、同じ場面で、同時に、はたらきます。どちらが勝つかは、相手が、それを「情報」と受け取るか、「圧力」と受け取るかで、決まります。
2. 道具:その頼み方は、反発を生むか
自分の売り文句、案内のメール、人への頼み方を、1つ、思いうかべて、当てはまるものに、チェックを入れてください。考えを整理するための道具です。正式な心理検査の尺度では、ありません。
当てはまる数:
見立て:
0、1から2、3以上、という分け方は、私が、この道具のために、決めたものです。研究で決まった数では、ありません。
3. 私の例
3-1. 売る側:値下げの依頼に、応えない
フリマの売り場で、私は、強気の値段で、売っています。値下げの依頼は、基本的に、全部、無視します。個人からの値下げの依頼に応じても、買われなかった経験が、何度もあるからです。「いま、お金がないので、◯日まで取りおきしてください」は、1回も、購入に、いたったことが、ありません。
ここからは、この理論に当てはめた、整理です。値下げの依頼に、売り手が「その値段なら、どうぞ」と応えると、今度は、買い手のほうが、「買う」という1つの道を、せまられる形に、なります。値下げを受けたのに、買わない人がいるのは、そのためかもしれません。私の側では、たしかめていません。
3-2. 売る側:案内は、2回で、やめる
私は、無料のメールの講座を、配信しています。講座の中で、有料の商品を、案内します。あらためて案内するのは、3か月おきに、合計2回です。2回で買わなければ、追いません。この回数は、AIと相談して、決めました。
2章の道具の、4番めを、はずしている形です。同じ案内を何度も送ると、相手は、「押されている」と感じます。すると、買わないことが、相手にとっての、自由の取りもどし方に、なります。
3-3. 売る側:期限は、つけている
いっぽうで、私は、販売ページに、期限を、つけています。講座を読んだ人が、販売ページを開いてから、72時間で、見られなくなるように、プログラムで、制御しています。2章の道具の、2番めには、当てはまります。
売るページの文章を良くしようとすると、表現が大きくなったり、煽りがふえたりしがちです。合う人に、合う形で、届けたい。申しこみも、ふやしたい。この2つのバランスは、むずかしいと、私は、感じています。期限は、「今しか、ない」ではなく、「いつまでに、決めればよいか」が、わかる情報として、書くようにしています。
3-4. 教える側:「準備しましょう」の日に、「やめます」
人に教えていたとき、基本的なこと(相場の読み方や、スマホのアプリの使い方)を、予習してこない相手が、いました。私は、いらだって、「これぐらいは、やるとわかっているのだから、準備しましょう」と、伝えました。その日のうちに、「無理だと思うので、やめます」と、言われました。
この出来事は、セルフハンディキャッピングの記事では、「失敗の理由を、先に残しておく」形として、読みました。リアクタンスで読むと、別の形に、見えます。「やるとわかっているのだから」は、相手に、1つの道しか、残していません。命令の形でも、あります。2章の道具の、1番めと、3番めです。相手に残された自由は、「やめる」だけでした。どちらの読み方が正しいかは、相手の心の中なので、私には、わかりません。
私には、相手が苦戦していると、最後は「気合」という言葉を使う、くせがあります。気合も、道を1つにする言葉です。指示の出し方については、ダブルバインドの記事に、書きました。
4. 反発を、生まない伝え方
- 道を、2つ以上、見せる。「AとB、どちらが合いますか」。「どちらもえらばない」も、書いておきます。
- 「やらなくてもよい」と、はっきり書く。自由があると伝わると、反発は、弱くなります。
- 期限は、理由と、いっしょに書く。理由のない期限は、圧力です。理由のある期限は、情報です。
- 回数の上限を、先に決める。何回で、追うのをやめるか。
- 命令の形を、たのむ形か、理由の説明に、変える。「準備しましょう」より、「次の回で、この画面を使います。10分で入れられます」。
- 残りの数で、ほしくさせる仕組みと、その使い方は、希少性の記事に、書きました。
5. まとめ
- 心理的リアクタンスは、えらぶ自由をうばわれそうになると、それを取りもどそうとして、反対に動く心の働き。ブレームが、1966年に、発表した。
- 説得が逆にはたらくブーメラン効果の、主な原因の1つ。
- 自由が大事なとき、うばわれ方が大きいとき、意図が見えすいているときに、強くなる。
- 私は、案内を2回でやめる。期限はつけているが、情報として書くようにしている。
- 道を2つ以上見せ、「やらなくてもよい」を書き、命令を、理由の説明に変える。

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