先に結論を書きます。コストコせどりは、すでに会員で、倉庫店が生活圏にある人なら、買い物のついでに成立します。せどりのためにこれから入会する人と、遠征して通う人は、年会費と交通費で元が取れないと考えてください。私は中古品の買取・修理・販売を20年ほど続けて店舗仕入れもやってきましたが、コストコは「近場にあれば使う店」であって、わざわざ行く店ではありませんでした。
コストコの難しさは、他の店と逆です。ハードオフやブックオフは、見つける技術がないと買えない店です。コストコは、価格差が誰にでも見えるので買えてしまう店です。痛みは仕入れの日ではなく、仕入れた後の30日に来ます。この記事は、私が実際にコストコで仕入れて、儲かったものと損切りしたものを先に並べ、そこから「拾っていい枠」と「拾わない枠」を分けます。儲かる商品のリストはありません。理由は後述します。
店舗せどり全体の考え方は店舗せどりのやり方に、中古店の選び方はハードオフせどりに分けて書いています。
私の実測:儲かったものと、損切りしたもの
損切り:モバイルバッテリー60個
値札は店舗独自の値下げで、仕入れ1,300円に対してAmazonの相場は3,600円でした。これはいけると思って10個ほど取ろうとしたら、店員に声をかけられ、全部買わないかと言われました。60個ほどありました。この単価差ならと思って全部買いました。
Amazonに出すと売れます。ただし月に1個というレベルでした。60個を月1個で売ると5年です。資金拘束としては成立しないので、一気に半額の1,800円まで下げて、手数料を引いてトントンか少し損するラインで全部現金化しました。
ここから取れる教訓は二つあります。一つは、店舗限定の値下げでも、回転がなければ死ぬこと。値札は入口でしかなく、売れた回数を見ないと判定にならない。もう一つは、店員が「全部買わないか」と言ってくるのは、店がその在庫を処分したいというシグナルだということです。需要があれば店は自分で売ります。声をかけられたら喜ぶ場面ではなく、疑う場面です。
薄利:炊飯器・コーヒーメーカー
家電も仕入れました。炊飯器やコーヒーメーカーは、Amazonに出すと利益がぎりぎりで、売れるラインまで値下げすると赤字になる、というパターンが多かった。差額はあるが、手数料と送料を引いた後に残る幅が、価格競争に耐える厚みを持っていない。これがコストコの家電で一番多く起きたことです。
破綻しなかった型:再販されない一発物
逆に、大量に仕入れても破綻しなかった商材があります。キャリーケース、模型のおもちゃ、レゴのような、瞬間的に登場して、その在庫が消えると再販されない物です。重くてかさばるので他の人が避けるうえ、全国の会員が同時に買っても供給が続かないので、崩れる前に売り切れます。
この型を見極めるには、何度も来店して「前回あった物が消えたか、また入ったか」を見る必要があります。買い物のついでに週1で行く人にはできて、遠方から月1で来る人にはできない。だから、コストコのためにわざわざ遠方から通うなら、その時間を他の店舗に割いたほうがおそらく稼げます。
チート級:突発需要の時期
PS5がどこの店にも売っていなかった時期に、コストコでは買えて、しかも割引価格になっていることがありました。突発需要が発生している最中に在庫があって値引きまでされている、という状態はコストコ以外ではほぼ起きません。この型は狙って作れませんが、会員として通っていれば当たります。ゲーム機の判定基準はゲームせどりと同じです。
ついでにできること:ケーコジ
倉庫店にソフトバンクの出張店舗が来ていることがあり、携帯の乗り換え(ケーコジ)ができます。ただし還元がコストコのギフトカードなので、何かを仕入れて現金化するムーブが必要になります。コストコせどりをしている人ならあり、ケーコジだけのために入会するのはなしです。
在庫の痛みは、FBAで消えた
大容量で部屋が埋まる、と書かれることが多いですが、私の場合それはありませんでした。仕入れた物は段ボールに詰めてFBAに送っていたからです。面倒なのは詰める作業だけで、それは他のせどりでも常に発生します。コストコ固有の痛みは体積ではなく、買えてしまった在庫が回転しないことによる資金拘束です。置き場所の判断はせどり部屋に書きました。
拾っていい枠と、拾わない枠
実測を並べると、線が引けます。
拾わないのは、全国一律の値下げ品です。全国の会員と再販業者が同じ値段で同時に買うので、出品者が増えて崩れます。店舗限定の値下げでも、売れた回数を確認せずに買うと、モバイルバッテリーと同じことになります。店員が全部買わないかと言ってきた在庫も、同じ理由で拾いません。
拾っていいのは、店舗限定の値下げで、かつ実際に売れている物。瞬間的に出て再販されない一発物。突発需要の最中に在庫があって値引きされている物。この三つは、買い物のついでに見える範囲で足ります。会員として月に何度か行く人は、その範囲だけ拾ってください。仕入れ先として通う必要はありません。
「目の前に差額があるのに拾わないのは損ではないか」と感じる人へ。損なのは拾わないことではなく、拾った物が回転しないことです。差額は誰にでも見えます。見えない物だけが残ります。
「入るのに条件がある仕入先」は、すごい仕入先ではない
この記事を残している理由を書きます。初心者は、卸や古物市場、コストコのように入るのに条件がある仕入先を聞くと、そこに入れば稼げるのではないかと思いがちです。私もそうでした。実際には、卸も古物市場も一般の店舗も、攻略の難易度は変わりません。条件があるのは入口だけで、入った後は同じように相場を調べ、同じように利益と回転で判定します。入口の条件は、ライバルを減らしてはくれますが、商品の価格差を増やしてはくれません。
そしてコストコには、他の店にない年会費があります。入口に条件がある仕入先のなかでも、参加費が先に出ていく分だけ不利です。軽い気持ちで入会して仕入れようとしても、大半の人は元が取れません。卸の実測は卸サイトの記事、古物市場は古物市場の記事に書いてあるので、「条件がある仕入先」の期待値を先にそちらで見てください。
なぜ「儲かる商品リスト」が効かないのか
コストコの値下げには、2種類あります。
- 全国一律の値下げ……同じ商品が、同じ時期に、全国の倉庫店で下がります
- 店舗限定・エリア限定の値下げ……その倉庫店だけが下げています
ネットで共有されるリストに載るのは、ほぼ全部が前者です。全国で同じ値段だから、リストとして成立します。
ここで何が起きるか。そのリストを見た人が、全国で同時に同じ商品を買います。そして同時に出品します。出品者が一気に増えるので、価格は短期で崩れます。
つまり「全国で安く買えた」は、「全国で同時に安く買われた」と同じ意味です。
リストは、共有されるほど効かなくなります。そして共有されていないリストは、手に入りません。
崩れたあと、何が起きるか
崩れた価格では売れないので、戻るまで待つことになります。
ここに、いちばん見えにくいコストがあります。待っている間、その資金は次の仕入れに使えません。
「寝かせて高く売る」と説明されることがありますが、値上がりを狙って寝かせているのか、暴落に耐えるために寝かせているだけなのかは、まったく別の話です。後者は戦略ではなく、仕入れの失敗を先送りしている状態です。
この見方は利益を拘束日数で割って検算した記事にまとめました。同じ利益額でも、2週間で戻る資金と半年戻らない資金は別の商売です。
そして、競合は個人だけではありません
全国一律の値下げ品を避ける理由が、もう1つあります。
コストコ商品の再販は、すでに事業として成立しています。スーパーの一角にコストコ商品のコーナーがあったり、コストコ商品を専門に扱う店が各地にあったりします。
つまり、メルカリでコストコ商品を売るとき、並んでいるのは他の個人だけではありません。
そして専業は、個人より強い条件を持っています。
- 仕入れる量が違います……1回で運べる量も、置ける量も
- 回転が違います……店頭で毎日売れていきます
- 1点あたりの手間が違います……撮影も梱包も発送もありません
全国で同じ値段で買えるものは、その専業も同じ値段で買えます。そして彼らのほうが多く買えて、早く売れます。
専業がどのくらいの利幅で回しているかも、参考になります。報道によれば、再販店はコストコの価格より1割から3割ほど高く売っています。
店舗を構えて、人を雇って、1日に何度も仕入れに行って、その利幅です。個人が同じ商品を売る場合、その利幅の中から販売手数料と送料と梱包費を出すことになります。
「利益が出る」と「せどりとして儲かる」が別なのは、こういう理由です。判定表で×の基準を厳しめに置いているのは、ここから来ています。
個人が入れるのは、専業が拾わない場所です。1店舗だけの、単発の値下げ。数が出ないので事業として成立しない代わりに、専業も来ません。
だから狙うのは、その倉庫店だけが下げている値札になります。そして、それを見分けるのが次の話です。
値札から見る「チャンス度」
コストコの値札には、末尾の数字などに読み方があるとされています。
先に断っておきます。これはコストコが公表しているものではありません。
そして、公表されないのは当然です。値札の付け方を公表する小売業はありません。公表した日から、全員が同じ場所を見に来るからです。
公式でないことは、間違っていることを意味しません。ただし、確かめる責任はこちら側にあります。確かめ方は後で書きます。
| 値札・状況 | せどりでの読み方 | チャンス度 |
|---|---|---|
| 66 | 店舗限定の値下げの可能性。地域・店舗間の価格差を狙える | ★★★★★ |
| 97 | 大幅値下げ・売り切り局面を疑う。相場との価格差を確認 | ★★★★☆ |
| 00・88 | 店舗独自の特別価格・在庫処分などを疑う | ★★★★☆ |
| 77 | 全国的な値下げの可能性。他店でも仕入れられる可能性がある | ★★★☆☆ |
| 通常価格 | 値札からの特別なシグナルなし | ★★☆☆☆ |
いちばん上と、上から4番目を見比べてください。66は「その店だけ」、77は「全国」。この差が、そのまま暴落リスクの差になります。
この読み方を、自分で検証する方法
公式でない以上、信じるのではなく確かめてください。方法は1つです。
値札で候補にした商品を記録して、実際の相場と突き合わせる。これを何件か続けると、その読み方が自分の行く店で当たっているかが分かります。
当たらないなら、その読み方は捨ててください。店舗や時期によって運用が違う可能性もあります。他人が書いた読み方を、検証せずに使い続けるのがいちばん危険です。
付け加えます。私のモバイルバッテリーは、この表で言えば★5の店舗限定値下げでした。それでも損切りになっています。値札のチャンス度は「調べる価値」の順位であって、「儲かる順位」ではありません。
4ステップの判定
値札は入口です。ここから先が判定になります。
① 値札を見る
- 66なら、店舗限定値下げの可能性
- 77なら、全国値下げの可能性
- 97・00・88なら、売り切り・在庫処分の可能性
ここでやることは、「調べる対象に入れるかどうか」の判断だけです。買うかどうかはまだ決めません。
② 相場と売れ行きを見る
30日以内に売れているかを確認します。
見るのは出品価格ではなく、実際に売れた価格と、売れた日付です。出品されているだけの価格は、誰も払っていない価格です。
③ 利益を計算する
販売価格 - 販売手数料 - 送料 - 梱包費 - 仕入れ価格
コストコは大容量・重量物が多いので、送料と梱包費を先に引いてください。ここを後回しにすると、利益が出ているつもりの赤字が生まれます。
④ 判定する
| 判定 | 条件 | 値札・店舗状況 | 判断 |
|---|---|---|---|
| ◎ 即仕入れ候補 | 利益2,000円以上+30日以内に売れる見込み | 店舗限定値下げ(66等)・在庫処分など、仕入れ価格に明確な優位性がある | 相場と売れ行きに問題がなければ積極的に仕入れる |
| ○ 仕入れ候補 | 利益1,000円以上+回転良好 | 全国値下げ(77等)でも可 | 他店でも安く買える可能性があるため、出品者増加による相場下落に注意 |
| △ 条件付き | 利益は出るが、30日以内の販売が難しい/利益1,000円未満 | 97・00・88等の売り切り・在庫処分が疑われる場合は慎重に | 安いからという理由だけで仕入れず、保管期間と資金拘束まで考える |
| × 仕入れない | 送料・手数料を引くと利益が薄い/回転が悪い | 大型・重量物、賞味期限が短い商品など | 「利益が出る」と「せどりとして儲かる」は別。原則見送る |
「66だから◎」ではありません
ここを取り違えると、判定が機能しません。
66は「調べる価値がある」というだけの信号です。そこから先が判定です。
- 66 → 仕入れ価格が安い → 実際に売れている → 利益2,000円以上 → 送料も小さい……ここまで揃って◎
- 66 → 安い → でも誰も買っていない……×
安さは条件の1つでしかありません。そして、この判定の中でいちばん多く出る答えは×です。
私のモバイルバッテリーは、①店舗限定→②売れている(月1個)→③利益が出る、まで通って買いました。抜けていたのは「売れている」の中身で、月1個は数量60個に対しては売れていないのと同じです。②は「売れているか」ではなく「自分が持つ数量を、何日で売り切れるか」で見てください。
損切り:見込み利益ではなく、実現利益で評価する
買えてしまった後に効くのは、損切りの速さです。私は仕入れた物の反応を数日で見て、動かなければ赤字でも現金化します。コストコの在庫は、値段を戻せば売れるように見えるので、損切りが遅れやすい。返品できるという逃げ道があるのも同じ方向に効きます。
判断の式は簡単です。いまの価格で売り切るまでの月数と、下げて即現金化したときの損失額を比べ、その資金を別の商材で回したときに何回転できるかを見る。私が60個を半額にしたのは、5年分の資金拘束より、数万円の損失のほうが安かったからです。
損切り判定の計算機
在庫数(個)
1個の仕入れ値(円)
いまの価格での月の販売数(個)
即現金化する価格(円・手数料を引いた手取り)
その資金を他で回したときの月利(%)
初期値は私のモバイルバッテリーです。月利の欄には、自分が他の商材で実際に出している数字を入れてください。出していない人は、そもそも寝かせる資金がない人なので、答えは損切りで固定です。
コストコだけにある固定費:年会費
この仕入れ先には、他店にない性質があります。1円も仕入れる前に、年会費が発生します。
ドン・キホーテもトイザらスも、入店は無料です。コストコだけ、参加費が先に要ります。
| 会員種別 | 年会費(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| ゴールドスター | 5,280円 | 個人会員。無料家族カード1枚 |
| エグゼクティブ・ゴールドスター | 10,560円 | 年間購入金額の最大2%のリワード |
| ビジネス | 5,280円 | 法人会員。追加のビジネス会員カードあり |
| エグゼクティブ・ビジネス | 10,560円 | 上記+最大2%のリワード |
年会費そのものは、思ったより小さいです
年会費を理由に諦める必要はありません。
ゴールドスターは月あたり440円です。利益率10%で回すなら、年商52,800円で回収できます。月にすると4,400円。
必要な月商 =(手元に残したい額 + 月の固定費)÷ 利益率
自分の数字で試せるようにしたものをAmazon刈り取りの損益分岐点を計算した記事に置きました。年会費だけでなく、出品プランやツールの費用も同じ欄に入れてください。そちらのほうが大きくなります。
ただし、もともと会員かどうかで話が変わります
- もともと買い物で会員になっている……年会費はどうせ払っています。せどりのために追加でかかる費用はゼロです
- せどりのために入会する……5,280円は純粋な固定費です。回収の計算が要ります
前者なら、この仕入れ先は試す価値があります。失うものが交通費と時間だけだからです。
買い物ついでに成立するかを、自分の数字で出す
会員かどうか、倉庫店までの距離、月に何回行けるかで答えが変わるので、計算機を置きます。粗利は販売手数料と送料を引いた後の1回分の平均です。時給は本業の時給か、同じ時間を電脳せどりに使ったときに残る額を入れてください。買い物のついでなら交通費は0、時間は仕入れのために追加で店内にいる分だけを入れます。
コストコ仕入れの年間損益計算機
年会費(円)※すでに会員なら0
1回の往復交通費(円)
月の来店回数(回)
1回の平均粗利(手数料・送料を引いた後・円)
1回の往復+滞在時間(時間)
自分の時給(円)
会員でない人が年会費を入れて計算すると、月2回・粗利3,000円の初期値では時間コストの分だけ赤字になります。年会費が小さいことと、元が取れることは別です。元を取るのは年会費ではなく、交通費と時間のほうです。
エグゼクティブ会員の損益分岐は、計算できます
公式の条件は、こうです。
- ゴールドスターとの差額は5,280円(10,560 − 5,280)
- エグゼクティブは年間購入金額の最大2%のリワード
- ただし「リワード付与は年間最大110,000円となります」
差額を2%で回収するには、こうなります。
5,280円 ÷ 2% = 年間264,000円
年に264,000円以上コストコで買うなら、エグゼクティブのほうが得です。月あたり22,000円。それ未満ならゴールドスターで足ります。
上限も出しておきます。110,000円 ÷ 2% = 年間5,500,000円。ここでリワードは頭打ちになります。
注意点が1つ。公式には「追加のビジネス会員は2%エグゼクティブリワード対象外となります」と書かれています。法人会員でカードを追加する場合、そのカードでの購入はリワードの対象になりません。
この計算だけは、他のどの仕入れ先にもありません。会費を払う仕入れ先だからこそ、参加する前に損益が出せます。
この仕入れ先の、本当の制約
年会費が小さいなら、何が難しいのか。3つあります。
1. 倉庫店の数が限られています
近くになければ、1回の仕入れに移動時間と交通費がかかります。
1日の実質 =(仕入れた商品の想定利益の合計)- 交通費 - その他経費
これを、移動を含めた拘束時間で割ってください。片道1時間なら、往復2時間は必ず引かれます。近い人と遠い人では、同じ商品を仕入れても結果が変わります。
2. 1点あたりが大きく、重いです
コストコの強みは大容量です。そして大容量は、そのまま送料と保管体積になります。
- 持ち帰れる量に上限があります……車がないと、そもそも成立しにくい
- 送料が高くなります……大きさと重さで決まるので、利益率を直接削ります
- 置き場所を取ります……売れるまで、その体積を自宅に置くことになります
ただし私自身は、FBAに送っていたので置き場所の問題はありませんでした。体積が効くのは自己発送の人です。判定表で×の欄に「大型・重量物」を置いているのは、単価の安さより、体積のほうが効くことがあります。
3. 決済に制約があります
公式サイトには「オンライン決済は、Mastercard®のみご利用いただけます」と書かれています。
支払いサイクルと仕入れのタイミングが合うかは、先に確認してください。資金が回らなくなる原因は、たいてい利益率ではなく支払いの順番です。
転売は禁止されているのか
ここは、多くの解説が書いていないことがあります。規約を読むと、答えは「禁止」ではありません。
米国コストコの会員規約は、転売を前提にした手続きを定めています
米国コストコの会員特典・規約(Member Privileges and Conditions)には、「売上税および使用税、ならびに再販証明書」という項目があります。英語が原文なので、内容を要約して書きます。
- 転売目的で商品を購入し、免税を希望する場合は、有効な転売許可番号をコストコに登録し、レジで会計する前にその旨を伝える必要があるとされています
- そのように申告した購入は「転売証明書」に記録され、申告した商品だけが購入時に売上税の対象外になるとされています
- 転売目的で免税購入した商品を、その後転売以外の目的で使った場合は、会員が税務当局に申告して納税するとされています
- タバコ製品を転売目的で買うには、ビジネス会員であること、会員証の事業所住所が実際の住所と一致していること、購入をMSAに報告することといった要件があります
- 酒類については、州法で認められている場合を除き、転売は禁止とされています
ここから読めること
禁止する条項ではありません。手続きを定める条項です。
転売を禁じたい会社は、転売のための番号を登録させたり、転売証明書に記録したりしません。コストコにとって、転売は想定内の行為として扱われています。
そして、名指しで制限されているのは特定の品目だけです。タバコには報告の義務があり、酒類は州法次第。裏を返すと、それ以外の一般商品について「転売禁止」とは書かれていません。
「コストコ 転売 禁止」で調べて来た方は、ここで前提を修正してください。論点は禁止かどうかではなく、どの品目にどの手続きが要るか、です。
ただし、これは米国の規約です
重要な但し書きがあります。上の条項は、米国の税制を前提にしています。
米国には売上税(sales tax)があり、転売目的の購入は再販証明書によって免税になる仕組みがあります。日本の消費税に、同じ制度はありません。
つまりこの条項をそのまま日本に持ち込むことはできません。日本の会員規約は別に公開されているので、そちらを読んでください。
日本については、コストコ自身の説明があります
ここがいちばん重要です。
コストコ再販店を取材した報道の中で、コストコホールセールジャパンが次のように説明しています。
「コストコは『卸売業者』にあたるため、再販店が正規のビジネス会員として商品を購入した時点で、購入者に権利が移り、再販は問題ない」
(東海テレビ/2023年12月14日の報道より)
会社が、再販を問題ないと言っています。「コストコ 転売 禁止」で調べて来られた方は、まずここを押さえてください。
ただし、読み飛ばしてはいけない条件があります
もう一度読んでください。「正規のビジネス会員として商品を購入した時点で」と書かれています。
無条件ではありません。ビジネス会員として買った場合の話です。
コストコには個人会員(ゴールドスター)と法人会員(ビジネス)があります。この説明がカバーしているのは、後者です。
そして、ビジネス会員の年会費は個人会員と同額です
ここから、実務的な結論が1つ出ます。
公式サイトの年会費は、ゴールドスター5,280円、ビジネス5,280円。同じです。エグゼクティブも、個人・法人とも10,560円で同額です。
つまり、再販を前提にするなら、ビジネス会員を選ばない理由がありません。金額が変わらないのに、会社の説明が当てはまる側に立てます。
入会の要件は公式サイトで確認してください。ここは「安いほうを選ぶ」の話ではなく、「筋を通す」の話です。
それでも、規約と運用は変わります
1つだけ付け加えます。いま問題ないとされていることが、これからも同じとは限りません。
私はメルカリのハッシュタグについて書いた記事で、同じことを書きました。禁止されていないことと、いつまでも歓迎されることは別です。規約も運用も改定されます。
そのうえで、実務的な話
会員資格は、店の側が判断するものです。条文に何が書かれているかとは別に、購入数量に制限がかかったり、会員資格の扱いが変わったりする可能性は常にあります。
そして規約は改定されます。数年前の解説記事や、この記事の説明で判断しないでください。
この判定は、コストコ以外でも使えます
最後に、いちばん持ち帰ってほしい部分を書きます。
この4ステップは、コストコ専用ではありません。値札の数字が違うだけで、構造は同じです。
どの量販店にも、2種類の値下げがあります。
- チェーン全体で下げているもの……全国で同時に買われて、同時に出品される
- その店だけが下げているもの……同時に買う人が限られるので、崩れにくい
店ごとに違うのは、その2つをどう見分けるかだけです。コストコなら値札の末尾、他の店なら別の印。
トイザらスでの見分け方はトイザらスせどりの値札の見方に書きました。数字は違いますが、やることは同じです。センサーで見つけて、相場で確かめて、利益と回転で判定する。
これを覚えれば、私が行ったことのない店でも、あなたは自分で判定できます。商品リストは、その店のその時期にしか使えません。
よくある質問
コストコせどりで儲かる商品を教えてください
リストは載せていません。全国で共有されるリストに載るのは全国一律で値下げされた商品で、全国で同時に買われて同時に出品され、崩れるからです。私が破綻しなかったのは、瞬間的に出て再販されない一発物と、突発需要の最中の在庫で、どちらもリストにはできません。
値札の数字の意味は、公式の情報ですか
違います。コストコが公表しているものではありません。自分の行く店で当たっているかを、相場と突き合わせて確かめてください。そして当たっていても、儲かるかどうかは別です。私は店舗限定の値下げ品で損切りしています。
店員に「全部買わないか」と言われました
店がその在庫を処分したがっているシグナルです。需要があれば店は自分で売ります。数量を増やす前に、自分が持つ数量を何日で売り切れるかを計算してください。
年会費の元は取れますか
すでに買い物で会員になっているなら、追加の費用はゼロなので、ついでに拾う範囲で成立します。せどりのために入会する場合は、年会費より交通費と時間のほうが大きく、本文の計算機で初期値のまま計算すると赤字になります。
エグゼクティブ会員にすべきですか
年に264,000円以上コストコで買うなら、エグゼクティブのほうが得です。差額5,280円を2%のリワードで割った金額です。それ未満ならゴールドスターで足ります。リワードの付与は年間最大110,000円と公式に明記されています。
大容量商品は小分けにして売っていいですか
食品を小分けして販売する場合、食品衛生法上の許可や表示の問題が出ます。自己判断せず、所轄の保健所に確認してください。
コストコは返品に応じてくれるので、失敗しても大丈夫ですか
その前提で仕入れないでください。返品の運用は店の裁量で、条件も変わります。それ以上に、返品できるという逃げ道は損切りを遅らせます。私は返品ではなく値下げで現金化しました。
寝かせれば値段は戻りますか
戻ることもありますが、戻るまでの日数は自分で決められません。60個を月1個で売ると5年です。損切り判定の計算機で、寝かせる損と切る損を比べてください。
まとめ
コストコは、価格差が誰にでも見えるので買えてしまう店です。痛みは仕入れた後の30日に来ます。私の実測では、店舗限定の値下げ品でも回転がなければ損切りになり(モバイルバッテリー60個を半額で現金化)、家電は売れるラインまで下げると赤字になり、破綻しなかったのは再販されない一発物と突発需要の最中の在庫だけでした。この見極めは何度も来店しないとできないので、会員で生活圏にある人が買い物のついでに拾う範囲でやるのが正解で、入会目的や遠征は年会費より交通費と時間で元が取れません。値札のチャンス度は調べる順位であって儲かる順位ではなく、判定は「自分が持つ数量を何日で売り切れるか」で行い、動かなければ赤字でも現金化します。
Sources:コストコホールセールジャパン公式「会員登録」ページ(会員種別と年会費・エグゼクティブリワードの料率と年間上限・追加ビジネス会員の対象外規定・オンライン決済の制約)/Costco「Member Privileges and Conditions」(売上税および使用税、ならびに再販証明書の項)/東海テレビ 2023年12月14日「小分けで買えて年会費不要…次々オープンする『コストコ再販店』本家より2割ほど高くても人気を呼ぶワケ」(コストコホールセールジャパンの説明・再販店の価格設定)
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