せどり部屋の記事は、棚の選び方と収納テクニックばかりです。この記事はそれを書きません。私は自分の部屋から始めて、月島に1ルームに満たない区画の倉庫を月5万円ほどで3〜4年借り、そこからFBAにシフトして倉庫を解約した。その順番を、いつ・どの水準で部屋の外に出るかという判断として書きます。
結論から書きます。全員が自分の部屋から始めます。最初から倉庫やトランクルームを借りる必要はなく、借りてはいけない。せどりは1年もすれば大半の人がやめて消えていくので、固定費を先に背負うと、やめたときに家賃だけが残ります。部屋の外に出るのは、在庫が居住スペースを侵食して仕入れが止まるときで、その先は「FBAに預ける」か「倉庫を借りる」かの二択です。どちらを選ぶかは商材で決まり、どの水準で出るかは家賃と月利の割り算で決まります。
私の順番|自分の部屋 → 月島の区画倉庫(月5万円・3〜4年) → FBA
私が借りたのは月島の、1ルームに満たない区画借りの倉庫で、家賃は月5万円ほど。月島なので高かったと思いますが、駐車場も使えて、性能としては十分すぎるほどで、不満はありませんでした。契約は3〜4年です。
| 項目 | 実測 |
|---|---|
| 広さ | 1ルームに満たない区画。スチールラックを入れた |
| 在庫 | 書籍1,000〜5,000冊を管理 |
| 回転 | 全盛期は毎日数十冊〜100冊レベルで売れていた |
| 仕入れ頻度 | 週3〜4回 |
| 家賃 | 月5万円ほど(月島、駐車場付き) |
| 期間 | 3〜4年。FBAにシフトしたときに解約 |
| 途中の変化 | ゲーム機とゲーム周辺機器を始め、場所を取るが利益が良く、本の比率が下がっていった |
狭い区画で5,000冊を回せた理由は、面積ではなく回転です。毎日数十冊出ていく在庫は、棚に「置いてある」時間が短い。同じ5,000冊でも、月に100冊しか売れなければ棚は埋まったまま動きません。部屋の広さは在庫点数で決まるのではなく、在庫点数×滞在日数で決まります。
途中でゲーム機を扱い始めると、1点の体積が本の数十倍になり、同じ区画で置ける点数が一気に減りました。それでも続けたのは、1点の利益が本より大きく、面積あたりの利益で見ればゲーム機のほうが良かったからです。本の比率が下がったのは、本が儲からなくなったからではなく、面積の取り合いでゲーム機に負けたからです。この「重くてかさばるほどライバルが少なく利益が残る」構造は家電せどりの記事と同じです。
3段階の大局観|自分の部屋 → FBA → 倉庫
全員が自分の部屋から始めます。部屋の外に出る先は2つあり、順番は商材で変わります。
| 段階 | 誰が | 出る条件 | 固定費 |
|---|---|---|---|
| ①自分の部屋 | 全員 | 最初はここ。固定費ゼロで、やめても何も残らない | 0円 |
| ②FBAに預ける | 新品・型番商品・回転の良いもの | 在庫が居住スペースを侵食し、仕入れを止めざるを得なくなったとき。FBA手数料と保管料を払っても自分の足切り利益率を超える商材だけ | 保管料(点数に比例、固定費ではない) |
| ③倉庫を借りる | 中古・大型・自己発送でしか利益が出ない商材(古本・CDなど) | 家賃が月利に対して十分小さく、通う動線が仕入れの頻度に耐えるとき | 家賃(売れなくても出る) |
②と③の違いは固定費の性質です。FBAの保管料は在庫に比例するので、売れなければ在庫を減らせば下がる。倉庫の家賃は売れなくても出る。だから倉庫は、月利が家賃を安定して上回る規模になってから、が順番です。私が倉庫を先に借りたのは、当時のFBAの条件と、本を毎日数十冊出す自己発送の型だったからで、その型が新品中心に変わったときにFBAへ移して倉庫を解約しました。
いまは逆の流れもあります。FBAの手数料と保管料が上がり、2026年4月以降は長期在庫に1点あたり月20円が乗るようになったので、古本やCDのような低単価品は自己発送でないと利益が出ないモデルが増えました。古本の下限価格は本せどりは稼げない?で計算した通りで、この帯の商材で規模を作るなら、FBAではなく倉庫を持って自己発送で回す、というのが選択肢に戻ってきています。
「いつ出るか」の計算機|家賃を月利で割る
倉庫を借りてよいかは、家賃を月利で割った負担率と、通う時間で決まります。月利・候補の家賃・週の仕入れ回数・家から倉庫までの片道時間・自分の時給を入れると、家賃の負担率と、通う時間の月額換算と、両方を引いた後に残る月利が出ます。初期値は入力例で、すべて入力値です。
倉庫は「作業場」として借りる|私が月島で踏んだ「電波が入らない」
私がトランクルームではなく倉庫を選んだ理由は、倉庫の中に椅子と机を置けばそこが作業場になるからです。仕入れた荷物を倉庫に直送させ、バイトにそこで検品と梱包をやらせれば、自分の手を通らずに回る。置き場所ではなく、工程を自動化する場所として借りました。
ただし、実際に動かすと設計になかった問題が出ました。私の区画は建物の奥にあり、そこに行くと携帯の電波が入らない。注文情報をその場で見られないので、注文票を印刷してから持ち込むか、電波の入る場所まで移動して情報を取りに行くという工程が1つ増えました。バイトに任せて自動化するつもりだった場所で、人が外と中を往復する。都心の建物の奥ならではの問題かもしれないし、いまは電波が改善しているかもしれません。ただ、「置けるか」だけを見て契約すると、「作業できるか」の問題は契約後に出てくる、というのが実測です。
内見で確認すること|置く場所ではなく作業場の条件
- 電波。自分のスマホを持って、自分の区画の一番奥まで歩いて、そこで注文画面を開く。入口で入っても奥で入らない。
- 電源。電波の問題は、ノートパソコンとモバイルルーターを持ち込めばある程度回避できます。ただしそれが成立するのは区画に電源があるときだけです。長時間の作業になるとバッテリーでは不安で、機材を置きっぱなしにしてバイトが自分で作業を始める設計なら、電源は必須になる。プリンター・パソコン・ルーター・照明を同時に使えるコンセントが区画内にあるかを、電波とセットで見る。区画借りの倉庫はここがないことがあり、賃貸の住居や戸建てならまず心配がない。
- 空調。夏に人が作業できるか。在庫だけなら耐えても、バイトは耐えない。
- 車の横付け。仕入れの荷物を降ろす場所から区画までの距離。私は駐車場が使えたのでここは問題にならなかった。
- 直送の受け取り。配送業者が区画まで入れるか、共用部で受け取るのか、不在時にどうなるか。バイトに直送させて回す設計なら、ここが止まると全部止まる。
- トイレと水。人を置くなら要る。
この6つは、置き場所として借りるならどれも要りません。作業場として借りるなら全部要る。家賃の安さで選んだ区画が奥にあるのは偶然ではなく、安い区画は奥にある。安さと電波と電源は、だいたい同じ場所でトレードオフになります。逆に言えば、電波と電源と空調と水回りが最初から揃っているのは人が住むための物件で、次の章で書く「地方の戸建てや部屋数を増やす」選択肢が作業場として強いのは、この6つを確認せずに済むからです。
せどりのために引っ越す|東京は逆ザヤ、地方は部屋数を増やしても家賃が変わらない
専業なら、せどりのために引っ越すのは普通の選択肢です。副業でも、利益の規模が大きければあり得ます。理由は、部屋の問題が「家賃をもう少し払って部屋数を増やす」か「家から倉庫までの距離を縮める」かで解決するからで、どちらも住む場所の問題だからです。
ここで東京と地方の差が出ます。私は月島に倉庫を借りていましたが、同じ中央区で規模の大きい部屋を借りようとすると、家賃だけで40万〜50万円を超えてもおかしくありませんでした。東京で部屋数を増やす手は、利益より家賃が先に増える逆ザヤになります。地方都市は逆で、部屋数を1つ増やしても家賃がほとんど変わらない。戸建てが月5万円で借りられる都市があり、シャッター通りのある町なら、オフィスや店舗の空きを非常に安く持てるはずです。在庫を置く場所として見ると、地方は東京の数分の1の家賃で数倍の床面積が取れる。
ただし、地方に移すと仕入れの動線が変わります。店舗せどりなら店の密度が下がり、電脳せどりなら関係ない。倉庫を地方に置いて自分は都心に住む、という分け方もありますが、通う回数が多いほど上の計算機の「移動の項」が効くので、仕入れ頻度が週3〜4回の型なら、家と倉庫は同じ町に置くのが私の線です。住む場所の選び方そのものは賃貸探しの記事と家賃がもったいないのかに、地方で成立する商売の条件は田舎で儲かるビジネスの境界線に分けています。
倉庫の前に検討する「借りる場所」の相場(2026年9月調べ)
倉庫を借りる前の中間段階として、トランクルームがあります。東京23区の屋内型で0.5帖未満が月5,000〜10,000円、1〜2帖が10,000〜36,000円、3〜4帖が35,000〜70,000円。23区外なら1〜2帖が7,000〜18,000円で、初期費用は1〜2帖で3〜4万円ほど。目黒区の屋内1帖が月19,965円に対して川崎市高津区は11,990円、という例があります(金額は各社サイトの2026年時点の相場で、変わります)。
私がトランクルームを勧めないのは、在庫を「置きに行く」場所であって「作業する」場所ではないからです。せどりの在庫は、検品・撮影・梱包・発送の作業と同じ場所にないと、往復の移動がそのまま時給を削ります。トランクルームが成立するのは、寝かせ型の在庫(おもちゃの年末在庫、廃番の寝かせ)だけを分離する場合で、回転する在庫は作業場所と同じ部屋に置く。私が月島で借りたのが「区画」ではあっても作業できる広さだったのは、この理由です。
結論|部屋の外に出るのは、在庫が仕入れを止めたとき
- 全員が自分の部屋から始める。最初から借りない。1年で大半がやめるので、固定費を先に背負わない。
- 出る条件は「在庫が居住スペースを侵食して仕入れが止まる」。その前に出る必要はない。
- 新品・型番商品はFBA、中古・大型・低単価の自己発送は倉庫。固定費の性質が違う。
- 倉庫は家賃÷月利と、通う時間で決める。私は月5万円で、毎日数十冊が出る回転と週3〜4回通う動線だったので成立した。
- 引っ越しは選択肢。東京は部屋数を増やすと逆ザヤ、地方は増やしても家賃が変わらない。
倉庫を持つ規模になると、次は在庫を簿価ではなく時価で見る管理と、商品を横に広げて工程を縦に積む配分の話になります。せどりでお金が残らない本当の理由と横積みと縦積みの違いに分けています。
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