修理転売は儲からない?ジャンク修理で儲かる人の条件と、時給500円と2,684円を分ける2つの変数(計算機つき)

修理転売は儲からない?腕より数字で決まる|時給500円から3,000円も 修理転売・リペア

「修理転売 儲からない」

この検索をしている方には、一度やって割に合わなかった方も、これから始めようか調べている方もいると思います。どちらにも同じことを言います。儲かるかどうかは、腕ではなく数字で決まります。一度やって割に合わないと感じた方の計算は、おそらく正しいです。私も同じ結論になる条件を知っています。

ただし、その計算には2つの変数が抜けています。そして、その2つを入れると、同じ商材・同じ作業のまま、時給が数倍変わります。

この記事では、私が実際に回していたインクジェットプリンターの再生販売を、仕入れ値・歩留まり・作業時間・販売価格の実数値で開示します。そのうえで、なぜ同じ商材で「時給500円」と「時給3,000円」が両立するのかを、計算で示します。

先に断っておくと、この記事はプリンターを仕入れることを勧めません。私が使っていた歪みは、すでに消えています。再現していただきたいのは商材ではなく、測り方の方です。
「ジャンク修理 儲かる」「ジャンク修理 副業」で来られた方は、「先に:ジャンク修理で儲かる人の条件と、やめていく人の共通点」の章から読んでください。

このジャンルを他のジャンルとどう組み合わせるか(資金別の配分・回転率と利益率の目安)は、親記事のせどりで儲かるジャンルは全部|資金別の逆算表と4象限の配分設計とせどりの利益率と回転率|20年3業態の実測値で出した目安にまとめています。

まず、自分の赤字がどこから来ているか

始める前でも、一度やってみた後でも、最初に見るのはここです。悩みごとに、確認する数字が違います。

困っていること 最初に確認する数字
売れたのに、お金が残らない 失敗した個体まで含めた仕入れ総額と経費
利益は出るが、割に合わない 全工程の実作業時間(後述の専有・共有)
在庫ばかり増える 販売・入金までの日数
修理に失敗して赤字になる 成功率と、失敗したときの回収・処分額
返品で利益が消える 返品率と、1件あたりの損失

この「最初に確認する数字」を、以下で1つずつ計算します。

この記事を書いている人間の立場

私は修理と買取を20年やってきました。古物商許可を保有し、ブランド品、レトロゲーム機、書籍、そして本記事で扱うインクジェットプリンターを、実際に仕入れて直して売っていました。

現在は在庫を持つ販売から離れています。理由は単純で、在庫には保管する面積が必要で、東京でそれをやると家賃と人件費が固定費として乗り、規模を追うほど収支が悪化したからです。私の場合、限界利益は月200万円前後で頭打ちになりました。

つまり私は、この商売で稼いだこともあれば、限界を見て降りたこともある立場です。だから「誰でも稼げる」とも「絶対にやめとけ」とも書きません。書くのは、続けるべきかどうかを判定するための計算式だけです。

先に:ジャンク修理で儲かる人の条件と、やめていく人の共通点

「ジャンク修理 儲かる」「ジャンク修理 副業」で来られた方には、先にこちらを答えます。私自身と、相談を受けてきた人を見てきた範囲で、ジャンク修理・修理転売で儲かった人・続いた人に共通していたのは、次の4つです。人数を数えた統計ではなく、私が見てきた共通点です。

儲かった人・続いた人の条件 中身 くわしく
同じ型番を繰り返す 「これなら確実に直せる」修理を1つ持つ。手順が決まると作業が速くなり、歩留まりも読める 1-3、3-3章
価格差を見つける目 捨て値と、別の場所での需要の差に気づく。私のプリンターの利益の源泉もここだった 2-2章
数字を記録している 作業時間(専有と共有)、歩留まり、拘束日数を数える 3章
受注に移っている 仕入れて直して売る形から、頼まれて直して請求する形に移った。修理転売とは別の商売で、在庫を持たない 修理の受注を始める順番

逆に、儲からずにやめていく人に共通していたのは、次の4つです。

  • 好きでなく、儲けだけでやっている
  • 即決で高く買う。直せなかったときの損が大きくなります
  • 時間を数えていない。儲かっているかどうかを、そもそも判定できません
  • 「動画で見ると簡単に直せると思うのだが実際にやってみると大変で挫折して諦める」

最後の1つは、直せるようになるまでの順番を知らないまま、いきなり売り物を直そうとして起きます。覚え方・道具・安全はジャンク修理の始め方と勉強法に書きました。

ジャンク修理で生計を立てられるか

知恵袋でいちばん上に出てくる質問です。修理と買取を事業でやっていた立場から、私の答えはこうです。

「受注まで進めば可能だがそれでも弱い。コロナの時に家の近くにあるカバンの修理屋が一瞬で潰れた。買取もやらないと厳しい。」

数字で見ます。仮に、手元に月20万円を残したいとします(税金と社会保険料の前の金額です)。2-4章のプリンターの条件では、10台で7,699円〜20,799円、時間は7.75時間でした。20万円に届くには、月に約10〜26ロット、100〜260台を仕入れて、約75〜200時間かかります。しかも、2-7章のとおり、その価格差はもう消えています。仕入れて直して売るだけでは、安全域が薄いままです。頼まれて直す形(受注)に進めば、直せなかった在庫の損はなくなります。それでも、仕事の量は外の事情で一気に減ることがあります。カバンの修理屋は店を構える形の例で、客が来なくなっても家賃は止まりません。自宅で受ける形でも、仕事の量が外の事情で減ることは同じです。だから修理だけでなく、仕入れの入口でもある買取も持つ、というのが私の見方です。買取の考え方は買取ビジネスは儲からないのかに書きました。

副業で、続けるかやめるかの判断

私の判断の基準は、数字だけではありません。

「結果が出なくても没頭できるか。私はPCを何台壊しても辞めなかった。思い通りにはならないけれど楽しいとは思っていたからだ」

3-4章の撤退ラインは、「その商材を続けるか」を決めるための数字です。修理の技術を身につけ続けるかどうかは、没頭できるかで決まります。商材は数字で替え、修理は没頭できるうちは続ける。この2つを分けて考えてください。

ただし、副業としてお金を入れ続けるかは別です。赤字の合計が、最初に決めた損の上限(3-3章)を超えたら、修理が楽しくても、仕入れはいったん止めます。

1. 儲からない理由は、腕ではなく「測り方」と「試行回数」です

1-1. 「時給500円」という計算は、条件付きで正しい

修理転売の収支は、よくこう計算されます。

項目 内容 所要時間 金額
売上 動作確認済み品として販売 — +6,500円
仕入 ジャンクコーナーで購入 1.0h −1,100円
経費 送料・手数料・梱包材 — −2,150円
作業 洗浄・清掃・撮影・出品・梱包 5.5h —
利益 — 6.5h +3,250円
時給 3,250円 ÷ 6.5時間 — 500円

この計算は間違っていません。1台だけ直した人の数字としては、完全に正確です。

問題は、この表を見た人が「修理転売は時給500円のビジネスだ」と結論づけてしまうことです。この表が示しているのは商材の性質ではなく、台数が1台であることの帰結です。

1-2. 拘束時間には「専有時間」と「共有時間」がある

上の表の6.5時間を、性質で分解します。

工程 性質 台数が増えると
リサーチ・相場調査 共有 台数で割れる
仕入れ(移動・選定) 共有 台数で割れる
ヘッド洗浄の浸け置き 共有 並行して進む
分解・部品交換 専有 台数分かかる
清掃 専有 台数分かかる
撮影・出品 専有 台数分かかる
梱包・発送 専有 台数分かかる

ここが分岐点です。

共有時間は、台数で割れます。相場を1時間かけて調べても、1台なら1時間まるごと背負いますが、10台なら1台あたり6分です。浸け置き洗浄の待ち時間も同じで、10台を同時に浸けている間に、別の作業が進みます。

「修理転売は労働集約型だから時給は上がらない」という説明を見かけますが、正確ではありません。労働集約なのは専有時間だけで、共有時間は台数で希釈できます。

そして1台で試した人は、共有時間を1台で背負うので、必ず時給が低く出ます。

1-3. 歩留まり30%のビジネスを、3台で判定してはいけない

もう一つの抜けている変数が、歩留まりです。

ジャンク品を仕入れれば、当然、直らないものが出ます。私が回していたプリンターの場合、10台仕入れて、売り物になったのは3台でした。残り7台は廃棄です。

歩留まり30%。これが実績値です。

ここで確率を計算します。歩留まり30%のとき、n台仕入れて1台も利益商品が出ない確率は以下の通りです。

仕入台数 1台も当たらない確率
1台 70.0%
2台 49.0%
3台 34.3%
5台 16.8%
10台 2.8%
20台 0.1%

3台試して全部ハズレる人は、3人に1人います。

これは腕の問題ではありません。統計的に、そうなる人が一定割合いるというだけです。そしてその人は「修理転売は儲からない」と結論し、検索し、この記事にたどり着きます。

1台や2台で判定するのは、コインを1回投げて「このコインは裏しか出ない」と結論するのと同じです。歩留まりが読めていないビジネスを、少ない試行回数で判定してはいけません。

逆に言えば、10台仕入れれば全滅する確率は2.8%まで下がります。「量を買え」というのは根性論ではなく、分散を潰すための操作です。

ただし、全滅を避けられることと、十分な利益が出ることは別です。歩留まり30%・10台なら、成功0台は2.8%ですが、成功1台以下(この記事の条件では赤字)は約14.9%、2台以下(利益466円まで)は約38.3%あります。全滅は避けられても、割に合う利益に届かない可能性は相応にあります。だから見るべきは「何台買えば全滅しないか」ではなく、「損失の上限を先に決めて、その範囲で何台まで試せるか」です。仕入れ資金と最大損失額も、台数を増やすほど大きくなります。

2. 実例:廃インクが満杯になったインクジェットプリンター

ここからは、私が実際にやっていたことを数字で開示します。

2-1. 何をしていたか

対象は、廃インク吸収パッドが満杯になってエラーで停止したインクジェットプリンターです。

この症状は、機構が壊れているわけではありません。使用済みインクを受けるパッドが規定量に達し、ソフト的に停止しているだけです。したがって工程は以下になります。

  1. 廃インク吸収パッドの交換
  2. カウンターのリセット
  3. 互換インクの投入
  4. ヘッドクリーニング
  5. ノズルチェックパターンの印刷による動作確認
  6. 清掃・撮影・出品

ここまでやって、正常動作品として販売していました。販路はAmazon、ヤフオク、メルカリです。

「廃インクエラーは専用ソフトが必要で時間対効果が悪い」と書いている記事をよく見ますが、工程として確立してしまえば1台30分です。難しいのは1台目だけで、2台目以降は手順の繰り返しになります。

2-2. なぜ成立したのか

正直に書きます。この商売が成立していた理由は、私の技術ではありません。市場の歪みです。

対象はエプソンの6色機でした。IC6CL80L系のインクを使う機種(EP-707A、EP-982A3など)を思い浮かべてください。

当時、海外でこの6色機の需要が上がっていました。改造して使いたいというニーズが生まれ、その結果、10年前の機種でも1万円以上で売れる状態になっていた。

一方、国内のハードオフや古物市場では、壊れたインクジェットプリンターは捨て値で投げ売りされていました。誰も欲しがらないからです。

同じ商品に、国内の捨て値と海外の需要価格という2つの価格が並存していた。私はその歪みに気づいていたので、店や山で出る安値を初動で拾えました。

つまり利益の源泉は「直せること」ではなく、「価格差に気づいていたこと」です。直す技術は、その差を回収するための手段にすぎません。

2-3. 実際の数字

項目 実績値
仕入単価(山・まとめ落札) 1台あたり500〜1,000円
歩留まり 10台中3台
廃棄費用 1台400円(地域により0円)
廃インクエラー解除キー 980円(1台1回分)
互換インク(6色セット) 1,487円
修理作業 30分/台
清掃 10分/台
撮影 5分/台
出品 10分/台
梱包 10分/台
販売価格 12,000〜15,000円

廃棄については補足します。当時の処分費は、当時・当地域の条件です。ここは読者がそのまま真似できない点なので注意してください。事業として出す廃棄物は、家庭ごみとは分けて処理する必要があり、自治体によっては事業系の大型ごみを一般の粗大ごみとして収集しません。歩留まり30%なら7割が処分対象になるので、自分の地域で事業として使える処理方法と、その見積もりを、必ず採算に入れてください。

2-4. 10台ロットで検算する

販売価格12,000円、販売手数料10%、送料1,300円、梱包資材200円で計算します。
1台あたりの手取りは 12,000 × 0.9 − 1,300 − 200 = 9,300円 です。

作業時間は、10台すべてに修理30分を投じ、成功した3台にのみ仕上げ工程35分がかかるものとします。加えてリサーチに60分。

合計 30分×10台 + 35分×3台 + 60分 = 465分 = 7.75時間

部品代は1台あたり2,467円です(解除キー980円+互換インク1,487円)。これを成功した3台分に計上します。

販売価格 仕入単価 利益(10台ロット) 時給
12,000円 1,000円 7,699円 993円
12,000円 500円 12,699円 1,639円
15,000円 1,000円 15,799円 2,039円
15,000円 500円 20,799円 2,684円

時給993円から2,684円。1-1で示した時給500円と、商材も作業も同じです。

ただし正直に書くと、1-1と2-4では台数以外も変えています。1-1は売価6,500円・仕入1,100円の1台、2-4は売価12,000〜15,000円・仕入500〜1,000円の10台ロットです。時給が上がった要因は、台数(共有時間の希釈と歩留まりの分散)だけでなく、売価と仕入の改善も重なっています。台数だけを増やしても、売価が6,500円のままなら、この数字にはなりません。

一方で、最も条件が悪い組み合わせでは時給993円まで落ちます。仕入が1台1,000円で、売価が12,000円のときです。これは「ロットにすれば必ず儲かる」という話ではないことを意味します。

2-5. 解除キーは「1台1回分」です。ここが最大の急所です

廃インクエラーの解除キーは、1台につき1回しか使えません。つまり消耗品です。

ここで、実務上の重大な分岐が発生します。

10台のジャンクを買ったとき、どれが直ってどれが直らないかは、事前には分かりません。では、10台すべてに解除キーを使って検証するのか。それとも、キーを使う前に見極めるのか。

販売価格 仕入単価 A:成功3台にのみキー使用 B:10台すべてにキー使用
12,000円 1,000円 時給 993円 時給 108円
12,000円 500円 時給 1,639円 時給 753円
15,000円 1,000円 時給 2,039円 時給 1,153円
15,000円 500円 時給 2,684円 時給 1,799円

売価12,000円・仕入1,000円の条件で全台にキーを使うと、7.75時間働いて利益839円。時給108円です。事実上ゼロになります。

つまりこの商売の成否を分けているのは、修理の腕ではありません。

解除キーを使う前に、廃インク以外の故障がないかを見極められるかどうかです。

ヘッドの物理的な詰まり、給紙機構の破損、基板の故障。これらが同時にあるなら、廃インクを解除しても売り物になりません。そしてキーは戻ってきません。

「解除ツールを買えば直せる」と書いている記事はありますが、キーが消耗品であることと、それが収支に直結することを書いている記事を私は見たことがありません。

2-6. 損益分岐は10台中2台。ただし2台では利益が出ません

ここは楽観的に書きません。同じ条件で、歩留まりを変えて計算します。

売価12,000円・仕入1,000円/台の条件で、歩留まりだけを動かします。

10台中の成功台数 利益 時給 判定
1台 −6,767円 — 赤字
2台 +466円 65円 実質ゼロ
3台(実績) +7,699円 993円 黒字
4台 +14,932円 1,792円 黒字
5台 +22,165円 2,486円 黒字

計算上の損益分岐点は10台中2台ですが、2台では利益466円、時給65円です。(作業時間は成功台数で変わるため、成功3台の7.75時間ではなく、2台では約7.17時間で割ります。)黒字とは呼べません。

実質的に成立するのは3台以上。私の実績はちょうどその3台でした。

つまり歩留まりが1台ぶれれば、7.75時間働いてほぼゼロになる設計です。「儲かっていた」と言えるのは、歩留まりを把握したうえで台数を確保できていたからであって、この商売の安全域はもともと薄いということです。

売価が15,000円で売れる商品を選べていれば、2台でも5,866円残ります。安全域を作るのは歩留まりではなく、売価の方です。

2-7. 【重要】この歪みは、すでに消えています

ここまで読んで「プリンターを仕入れよう」と思った方には、はっきり止めます。

私はこの6色インク機の歪みを、今は再現できるものとして扱っていません。当時の条件(海外の6色機需要と、国内の捨て値の差)が今も同じように残っているとは、私は確認していません。少なくとも私は、同じ数字が今も出るとは考えていません。

市場の歪みは、気づかれた瞬間から埋まり始めます。私が拾えたのは初動だったからで、記事に書かれた時点で、その商材はもう終わっています。

これは、あらゆる「儲かる商材リスト」に当てはまります。公開された商材が今も儲かるなら、書いた人がまだやっています。

だから、再現すべきなのは商材ではありません。歪みを見つけて、測って、台数を決める手順の方です。

プリンターの修理そのものの手順は、プリンターを自分で修理する方法にまとめてあります。ここで扱っているのは、直せるかどうかではなく、直したときに何分で何円になるかのほうです。

3. 再現すべきは商材ではなく、測り方です

3-1. 利益額ではなく「利益 ÷ 拘束日数」で見る

拘束日数とは、リサーチから入金までの全日数です。仕入れ、到着、検品、修理、清掃、撮影、出品、滞留、梱包、発送、入金。ここまでを1サイクルとして数えます。

利益3,000円の商品が3日で回れば日次1,000円。
同じ利益3,000円でも90日滞留すれば日次33円。

金額が同じでも、資金効率は30倍違います。この2つは、同じ商品ではありません。

より正確には、資金効率は投じた金額も込みで見ます。利益 ÷ 拘束日数だけでなく、いくら投じて何日で戻るか(投入額と回収日数)まで並べると、同じ利益率でも資金の縛られ方の差が見えます。

そして「儲からない」と言っている人の多くは、利益額しか見ていません。だから在庫が積み上がっていることに気づかず、資金が止まり、ある日口座を見て撤退します。メーカーに預ける日数まで拘束日数に入れて、そのまま売る・自分で手入れして売る・メーカーに出して売るを1か月あたりの残りで比べた例は、リールのオーバーホールと直して売るかの記事に計算機つきで置いています。

3-2. 専有時間と共有時間を分けて記録する

次のサイクルから、作業時間を2つに分けて記録してください。

  • 専有時間:台数に比例するもの(分解、部品交換、清掃、撮影、出品、梱包)
  • 共有時間:台数で割れるもの(リサーチ、仕入れ移動、浸け置き待ち、相場調査)

この2つを分けた瞬間に、自分が何台単位で動くべきかが計算できます。

共有時間が長い商材ほど、台数を増やす効果が大きい。逆に共有時間がほぼゼロで専有時間だけの商材は、何台やっても時給は変わりません。それは規模を追っても意味がない商材です。

3-3. 歩留まりを、参入前に見積もる

10台に1台しか直らない商材と、10台に7台直る商材では、同じ仕入単価でも別のビジネスです。

そして歩留まりは、少数の試行では測れません。1-3で見た通り、歩留まり30%でも3台なら34%の確率で全滅します。最初の数台の結果を、歩留まりだと思わないでください。

参入時は、歩留まりが読めるまでを測定期間と割り切ることです。その期間の赤字は、損失ではなくデータ取得の費用です。ただし、いくらまでを測定費用にするかは先に決めておいてください。

3-4. 撤退ラインを、先に決める

2-5で計算した通り、私のケースの損益分岐は10台中2台でした。この数字を先に持っていれば、判定は機械的になります。

  • 歩留まりが2台を割った → その商材から撤退
  • 時給が目標を割った → 台数を増やすか、商材を変える
  • 拘束日数が想定の2倍を超えた → 販路か価格を見直す

感覚で続けるか、数字で撤退するか。この差が、半年後の残高を決めます。

同じ測り方を、商材別に当てはめたものがこちらです。作業時間と単価が商材ごとにまったく違うので、数字は自分の扱う商材で取り直してください。

4. 「儲からない」と言われる商材を、この式で検算する

ここまでの式を使うと、よく地雷と呼ばれる商材が、なぜ地雷なのかを構造で説明できます。「やめとけ」で終わらせず、どの変数が壊れているのかを見てください。

4-1. 大型商材:送料が固定費として効く

プリンターを含む大型商材は、梱包すると120〜140サイズになり、送料が1,200円前後かかります。これは販売価格に比例しない固定費です。

販売価格6,500円なら送料は約20%。販売価格15,000円なら約9%。同じ商材でも、売価が倍になれば送料の重みは半分になります。

私のケースが成立したのは、1万円以上で売れる歪みがあったからです。同じ作業で6,500円でしか売れないなら、送料と手数料に利益を持っていかれて成立しません。

大型商材が地雷なのではなく、大型商材を低単価で売るのが地雷です。

4-2. 再発する修理:期待値がマイナスになる

基板のはんだクラックをヒートガンで温めて一時的に導通させる、といった処置があります。動作確認の時点では直っていますが、これは延命です。

この種の修理が危険なのは、コストが売った後に発生する点です。

  • 返品対応の送料(往復)
  • 返金による利益の消滅
  • 評価の低下
  • 対応にかかる時間

再発率をrとすると、期待利益は「利益 ×(1−r)− 返品コスト × r」です。rが高ければ、この式は簡単にマイナスになります。

判定基準は単純です。「なぜ直ったのか説明できない修理」は売らないこと。説明できないということは、再発率を見積もれないということで、期待値が計算できません。
失敗する分も、同じように見込みで入れられます。うまくいく見込みをpとすると、失敗した分の部品代と時間は(1−p)の割合で効きます。私はGBAの液晶をIPSに替えて売るために数台〜10台作りましたが、赤字でした。1台失敗するとキット1つ分が1台の利益を超える計算は、GBAのIPS液晶化の記事の計算機で試せます。

4-3. 法規制で詰むもの

これは計算以前の問題です。

古物商許可:利益目的で中古品を仕入れて継続的に販売する行為は古物営業にあたり、許可が必要です。無許可営業には罰則が定められています。取得費用は警察署への申請手数料19,000円です。ビジネスとして取り組むなら、最初に取得してください。

PSEマーク(電気用品安全法):リチウムイオンバッテリーやACアダプタは規制対象です。「バッテリー交換済み」として販売する場合、そのバッテリーがPSEマークのないものであれば問題になります。ジャンクのセットに混ざっていたメーカー不明のACアダプタを、そのまま付属させて販売するのも避けてください。

アクティベーションロック:前の所有者のアカウントが残ったままのApple製品は、正規の方法で解除できません。部品取り以外の価値がなく、盗品である可能性も否定できません。

詳細な要件は改正されることがあります。最新の内容は必ず所管の公式情報でご確認ください。

5. 販売時の防御:「ノークレーム・ノーリターン」は機能しません

ジャンク品や再生品を売るとき、多くの人が「NC/NR」と書きます。しかしこれは、書けば免責されるという性質のものではありません。

商品説明と実際の状態が異なる場合、この記載があっても返品・返金の対象になり得ます。プラットフォームの判断も、購入者保護に寄っています。

身を守る方法は一つだけです。壊れている箇所を、具体的に書くこと。

× ○
動作未確認です 通電は確認しましたが、トレーが開かないため再生確認はできていません
ジャンク品です ヘッドクリーニング後もノズルチェックパターンに欠けがあります。部品取り前提でお考えください

欠点は隠すのではなく、晒す。購入者の期待値を下げることが、唯一のリスク管理です。

そして、この作業も拘束時間に含まれます。正確な商品説明を書くには時間がかかる。それを計算に入れずに「出品10分」と見積もると、実際の時給は下がります。

6. 続けるべきか、やめるべきか

6-1. やめた方がいい条件

  • 作業時間を記録していない。儲かっているかどうかを、そもそも判定できません。
  • 1台ずつしか仕入れられず、かつ単価が低い。共有時間が希釈されず、歩留まりの分散も潰せません。ただし、1台あたりの利益が大きい商材(単価の高い修理など)なら、1台ずつでも成立します。低単価で1台ずつが、いちばん時給が上がりません。
  • 保管場所に余裕がない。歩留まり30%なら、7割は在庫でも商品でもなく、処分待ちのごみです。
  • 直らなかったときの処分費を計算していない。私のケースでは10台につき2,800円かかりました。
  • なぜ直ったのか説明できない修理を売っている。再発コストが後から来ます。

6-2. 続ける価値がある条件

  • 共有時間の比率が高い商材を扱っている。台数を増やすほど時給が上がります。
  • 歩留まりを実数で把握している。撤退ラインが機械的に判定できます。
  • 他人が気づいていない価格差を見つけている。これが本体です。技術は回収手段にすぎません。
  • 拘束日数を記録している。資金の回転数が見えていれば、規模の判断ができます。

修理を挟まない仕入れと比べてどうか、という判断が必要なら電脳せどりの記事を見てください。同じ時間で何が起きるかを並べると、続ける理由と辞める理由がはっきりします。

計算機:自分の数字で、利益・時給・赤字になる確率を出す

1章から3章の計算を、自分の商材の数字で出せるようにしました。初めの数字は2-4章のプリンターなので、そのまま押すと、時給993円、10台中2台以上で黒字、2台に届かず赤字になる確率14.9%が出ます。「全台に使う部品代」に解除キーの980円、「直った台だけに使う部品代」にインクの1,487円を入れると、2-5章の「全台にキーを使う」場合(時給108円)になります。

まとめて仕入れたときの利益・時給・全滅の確率を計算する

初めに入っている数字は、2-4章のプリンター(売価12,000円、仕入1,000円、10台、歩留まり30%)です。自分の商材の数字に書き換えて「計算する」を押してください。

7. まとめ:儲からないのは、測っていないからです

整理します。

  • 時給500円という計算は正しい。ただしそれは1台だけ直した人の数字です。
  • 拘束時間には専有時間と共有時間があり、共有時間は台数で割れます。
  • 歩留まり30%のビジネスは、3台試すと3人に1人が全滅します。少ない試行で判定してはいけません。
  • 私の実例では、同じ商材・同じ作業で、10台ロットにすることで時給993〜2,684円になりました。
  • ただし実質的な損益分岐は10台中3台で、安全域は薄い。2台に落ちれば時給65円です。
  • そして廃インク解除キーは1台1回分の消耗品です。全台の検証に使うと時給108円まで落ちます。キーを使う前に見極められるかどうかが、成否を分けます。
  • そして、私が使っていた歪みはすでに消えています。再現すべきは商材ではなく、測り方です。

修理転売が儲からないと言われるのは、技術が足りないからでも、市場が終わったからでもありません。

利益額だけを見て、拘束時間と歩留まりを数えていないからです。

そして、この2つを数えていない状態では、儲かっているのか損しているのかすら判定できません。判定できないまま数ヶ月が過ぎ、在庫が積み上がり、資金が止まる。それが「儲からない」の正体です。

ただし、測れば儲かるわけではありません。測って分かるのは採算で、測るだけで利益は増えません。順番はこうです。①失敗個体まで含めて収支と時間を測る → ②赤字の原因が仕入れ値・売価・成功率・作業時間のどれかを特定する → ③改善できる条件だけ変える → ④改善できないなら、その商材から撤退する。市場は変えられません。変えられるのは、この手順のほうです。

よくある質問

修理転売の時給は本当に500円なのですか?

1台だけ直した場合は、その水準になることがあります。リサーチや仕入れ移動といった「台数で割れる時間」を1台で背負うためです。同じ商材でも台数を増やせば、その時間は希釈されます。私の実例では、10台ロットで時給993〜2,684円でした。

何台から仕入れるべきですか?

扱う商材の歩留まりによります。歩留まり30%の場合、3台では34%の確率で1台も利益商品が出ません。10台なら2.8%まで下がります。まず歩留まりを実測し、そのうえで全滅確率が許容範囲に入る台数を決めてください。

直らなかった商品はどうすればいいですか?

私が当時かけていた処分費は、当時・当地域の条件です。ここは注意が必要で、事業として出す廃棄物は家庭ごみと分けて処理する必要があり、自治体によっては事業系の大型ごみを一般の粗大ごみとして収集しません。歩留まり30%なら7割が処分対象になります。自分の地域で事業として使える処理方法と費用を、参入前に採算へ入れてください。

プリンターの修理転売は今からでも儲かりますか?

私はすすめません。利益を出せていたのは、海外での6色インク機の需要という価格の歪みの初動を拾えたからです。その条件が今も残っているとは、私は確認していません。一般に、記事に書かれて広まった商材のエッジは、薄れていくものと考えてください。

古物商許可は必要ですか?

必要です。利益目的で中古品を仕入れ、継続的に販売する行為は古物営業にあたります。申請手数料は19,000円です。無許可営業には罰則が定められているため、ビジネスとして取り組むなら最初に取得してください。

修理スキルがなくても始められますか?

技術より先に必要なのは、価格差を見つける目です。私のプリンターの件も、利益の源泉は直せることではなく、国内の捨て値と海外の需要価格の差に気づいていたことでした。技術はその差を回収する手段です。ただし、なぜ直ったのか説明できない修理品は販売しないでください。再発コストが後から来ます。直せるようになるまでの覚え方・道具・安全は、ジャンク修理の始め方と勉強法に書きました。

ジャンク修理で生計を立てられますか?

私の答えは「受注まで進めば可能だがそれでも弱い。コロナの時に家の近くにあるカバンの修理屋が一瞬で潰れた。買取もやらないと厳しい。」です。2-4章のプリンターの条件で手元に月20万円を残すには、月に100〜260台を直す計算になります。仕入れて直して売るだけでは安全域が薄く、受注に進んでも仕事の量は外の事情で減ります。くわしくは、この記事の「先に:ジャンク修理で儲かる人の条件と、やめていく人の共通点」の章に書きました。

修理転売のおすすめジャンルは?

儲かる型番や仕入れ先のリストは書きません。2-7章のとおり、公開された価格差は埋まっていくからです。代わりに、私が扱ってきたジャンルで見てきたことを並べます。

ジャンル 私が見てきたこと
プリンター 大型で、送料が固定費として効く(4-1章)。型番が同じなら手順を使い回せる。私が使った価格差は消えている
ゲーム機 身近で、はんだごての練習台になり、失敗してもジャンクで売れる。ただ、やっている人が多く、利益は出にくい。ゲームボーイアドバンスの液晶交換は、部品代が売値の大半を占め、私の数字では赤字か、ほぼ0だった
ノートパソコン 私には簡単だったが、OSの入れ直しやデータの移し替えまで、ほかの人が同じようにできるかは分からない
スマホ 利用制限(いわゆる赤ロム)の個体を読み落として買い、返品を受けてもらえず5万円ほどの損になった。液晶とバッテリーを替えても動かなかった個体もある
ブランド品・革製品 工業用ミシンが要る修理は、外に出すと赤字になる。財布の引手交換のように部品が小さく作業が短い修理は、時給が高い

選ぶときは、ジャンルの名前ではなく、直せなかったときの損が自分の上限に収まるか、型番が読めるか、などの関門で選びます。選び方は修理転売の4台目は何を買うかにまとめました。ゲーム機を例に、自分で直すか、メーカーや修理店に出すか、買い直すかを比べる計算機はゲーム機修理を自分でやる記事に置きました。

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同じせどりでも、ジャンルごとに回転・必要資金・置き場所の条件が違います。近いジャンルの記事をまとめました。

 

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