利益相反(りえきそうはん)とは、ある人が、「相手のために動く」立場にいながら、同時に、「自分や、別のだれかの利益」も持っていて、2つが、ぶつかる状態のことです。相手のためを思えば、自分が損をする。自分の得をえらべば、相手が損をする。この形です。
この記事では、まず、意味と、身近な例を、説明します。次に、計算機で、「正直に言うと、その人はいくら失うか」を、出します。最後に、転売をしながら、転売を教えていた私が、この問題に、どう向き合ったかを、書きます。私は、いま、知識と指導を売る側に、います。利害のある立場であることを、先に、書いておきます。
1. 利益相反とは
1-1. 意味
利益相反は、「悪いことをした」という意味では、ありません。「悪いことをしたくなる位置に、立っている」という、状態の名前です。本人が、どれだけ誠実でも、位置そのものが、判断を、ゆがめる力を、持っています。だから、法律や、業界の決まりは、行動ではなく、位置のほうを、取りしまります。
1-2. 身近な例
| 立場 | 相手のため | ぶつかる利益 |
|---|---|---|
| 保険や、投資商品の販売員 | 客に合う商品を、すすめる | 手数料の高い商品を売ると、自分の報酬がふえる |
| 不動産の仲介(売り手と買い手の、両方を受ける) | 売り手には高く、買い手には安く | 両方から手数料が入るので、とにかく成約させたい |
| 会社の取締役 | 会社の利益を、守る | 自分の別の会社と、取引をさせる |
| 商品を紹介する記事の書き手 | 読み手に合う商品を、すすめる | 紹介料の高い商品を、上にのせたい |
| かせぎ方を教える人 | 教わる人を、かせげるようにする | 同じ市場で、自分もかせいでいる |
1-3. 法律での、あつかい
日本の法律にも、決まりが、あります。会社法は、取締役が、自分のために会社と取引をするとき、株主総会や、取締役会の承認を、もとめています。民法は、同じ人が、取引の両方の代理人になること(双方代理)を、原則として、みとめていません。どちらも、「その人が誠実かどうか」を問わず、位置だけで、歯止めを、かけています。
1-4. ふつうの対処は、3つ
- 開示する。利害があることを、相手に、先に、言う。
- はなれる。その判断から、自分を、はずす。
- やめる。ぶつかっている2つのうち、どちらかを、手ばなす。
2. 計算機:正直に言うと、その人は、いくら失うか
何かをすすめてくる人の立場を、数字にします。相手を、うたがうための道具では、ありません。「この位置に立つと、どのくらいの力が、かかるか」を、見るための道具です。
すすめないほうがよい件数:
全部、正直にことわった場合に、失う報酬(月):
1年では:
はじめに入っている数字は、20件、30%、5万円です。例の数字です。答えは、6件、月に30万円、1年で360万円です。この販売員が、合わない客を、全員、正直にことわると、1年で、360万円を、失います。誠実でいることに、値段が、ついています。報酬が、成約の数だけで決まる仕組みでは、この値段を、個人が、はらいつづけることに、なります。
3. 私の例:転売をしながら、転売を、教えた
3-1. 出せば、自分が損をする。出さなければ、相手が、かせげない
私は、中古のブランド品を売る仕事を、本業の大きさで、やっていました。それと同時に、そのやり方を、人に教えて、売ろうと、しました。
すぐに、ぶつかりました。教えるには、自分の優位性を、ばらす必要が、あります。出し惜しみをすると、教わった人が、かせげません。全部出すと、自分の利益が、守れません。1-2の表の、いちばん下の行です。私は、これが、いやでした。ブランド品の仕事から手を引いた理由の、1つです。
3-2. 私は、「やめる」を、えらんだ
1-4の3つの対処でいえば、私は、「やめる」を、えらびました。いま、私は、在庫を持って売る仕事を、していません。売っているのは、知識と、個別の指導です。教わる人と、同じ商品を、取りあう位置に、いません。だから、仕入れ先の名前も、自分のやり方も、出せます。
ただし、これで、利益相反が、なくなったわけでは、ありません。別の形で、残ります。次の3つです。
3-3. 残っている利益相反と、私の歯止め
| ぶつかる場所 | 私が、やっていること |
|---|---|
| 教える人数をふやすと、私の売上はふえる。けれど、同じ方法をやる人がふえて、1人あたりは、へる | 個別の指導は、月に2人、1年に24人までと、上限を決めている。下の人をやとって、スクールとして広げることを、していない |
| だれにでも売れば、売上はふえる。けれど、合わない人は、結果が出ない | 面談をして、通した人にだけ、売る。泥くさい作業をいやがる人、一発逆転をもとめる人、家族に反対されている人には、売らない。この形にしてから、致命的なクレームが、起きていない |
| サーバーや、配信の道具を紹介すると、紹介料が入る | 記事のはじめに、広告であることと、「1年やって、何も起きなかった場合に、失う金額」を、書く。自分が何年使っているか、やめた上位プランがあることも、書く |
1つめは、合成の誤謬の記事に、くわしく書きました。
3-4. スクールという形が、かかえる利益相反
教える側から、この業界を、見てきました。大きなスクールでは、売る担当の人が、成約の数に応じた報酬で、動いています。2章の計算機の、位置です。すると、表現は、大きくなっていきます。運営する人が、理念や、決まりを持っていても、売る現場までは、とどきません。これは、だれかが悪人だから、では、ありません。報酬の仕組みが、そうさせます。
私が、人をやとって広げない理由の1つは、これです。私は、時間と、ストレスを、へらしたい。合わない人に売ってしまうと、あとで、両方を、うしないます。ここからは、私の整理です。自分で売り、自分で教えるかぎり、「売った結果」は、全部、自分に、もどってきます。売る人と、結果を引き受ける人が、同じであること。これが、歯止めとして、はたらきます。
売る側の仕組みについては、転売コンサルの記事に、書きました。
4. 利益相反を、見やぶる。自分でも、ふせぐ
4-1. すすめられる側のとき
- 「この人は、何で、報酬を得ているか」を、聞く。成約の数か。紹介料か。結果に応じた報酬か。聞いても答えない相手は、さけたほうが、安全です。
- 「私に合わないのは、どんな場合ですか」と、聞く。合わない場合を、具体的に言える人は、ことわった経験が、あります。
- 相手が先に、利害を言ったかを、見る。開示は、いちばん安い対処です。それすらない場合、ほかの歯止めも、ないと、見ます。
- 売る側だけが、品質を知っている市場の問題は、レモン市場の記事に、書きました。
4-2. 自分が、すすめる側のとき
- 先に、書く。「この記事には、広告が入っています」「私は、これを売っている側です」。
- 売らない相手を、先に、決めておく。その場で判断すると、目の前の売上に、負けます。
- 人数や、規模に、上限を、つける。ふやすほど相手が損をする仕組みなら、ふやせない形に、しておきます。
- 成果を、約束しない。約束できないものを約束すると、あとで、守れなくなります。私の契約書で約束しているのは、指導を提供することだけです。
- 相手に見えないところで、手をぬきたくなる問題は、モラルハザードの記事に、書きました。
5. まとめ
- 利益相反は、相手のために動く立場の人が、それとぶつかる自分の利益も、持っている状態。行動ではなく、位置の名前。
- 対処は、開示する、はなれる、やめる、の3つ。
- 月20件のうち3割が「すすめないほうがよい」相手で、報酬が1件5万円なら、正直でいる値段は、1年で360万円。
- 私は、転売をしながら、転売を教えようとして、ぶつかった。「やめる」をえらんで、在庫を持つ仕事から、はなれた。
- それでも、利益相反は、形を変えて、残る。人数の上限、面談、広告の表示で、歯止めを、かけている。

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