内集団バイアスとは、自分が入っている集団(内集団)の人を、外の集団(外集団)の人より、高く評価して、ひいきする、心のかたよりのことです。「内集団びいき」とも、言います。会社、学校、出身地、応援するチーム。集団であれば、どこでも、起こります。
この記事では、まず、意味と、有名な実験を、説明します。次に、道具で、自分の「うちが、いちばん」が、根拠のある自信なのか、かたよりなのかを、分けます。最後に、「自分たちが、絶対にNo.1で、ほかは、アホの極みだ」と考えていた時期のある、私の例を、書きます。
1. 内集団バイアスとは
1-1. 意味
人は、自分を、「どの集団の人間か」で、とらえます。自分の集団が、すぐれていれば、自分も、すぐれていることに、なります。だから、自分の集団を高く、外の集団を低く、見たくなります。社会心理学者のタジフェルと、ターナーは、これを、社会的アイデンティティ理論として、まとめました。
1-2. 有名な実験:意味のない分け方でも、ひいきは起こる
タジフェルは、1970年ごろ、こんな実験を、しました。少年たちに、2人の画家の絵を見せて、「どちらが好きか」で、2つの組に、分けます(実際は、でたらめに、分けていました)。組の仲間とは、会ったことも、話したことも、ありません。そのあとで、ほかの少年に、お金を分ける役を、やらせます。
少年たちは、自分と同じ組の人に、多く、分けました。さらに、「自分の組の取り分が、少しへっても、相手の組との差が、大きくなる分け方」を、えらぶことも、ありました。利害も、つきあいも、ない。ただ、「同じ組」と言われただけで、ひいきが、起こりました。この実験の形は、最小条件集団と、よばれます。
1-3. いっしょに起こりやすいこと
- 外の集団は、みんな同じに見える。自分の集団は、「いろいろな人がいる」と見える。外の集団は、「あの人たちは、ああいう人たち」と、ひとまとめに、なります(外集団同質性効果)。
- 失敗の理由を、使い分ける。身内の失敗は、「運が悪かった」。外の人の失敗は、「能力がない」。成功では、逆になります。
- まわりに合わせる力が、強まる。集団の中で、ちがう意見が、言いにくくなります(同調圧力の記事に、書きました)。
2. 道具:「うちが、いちばん」は、根拠か、かたよりか
自分の集団(会社、チーム、コミュニティ、流派)を、1つ、思いうかべて、当てはまるものに、チェックを入れてください。これは、考えを整理するための道具です。正式な心理検査の尺度では、ありません。
根拠
見下し
数:
見立て:
それぞれ、4つのうち、2つ以上で、「ある」と、数えます。2つという線は、私が、この道具のために、引いた線です。研究で決まった数では、ありません。
この道具で、見てほしいのは、「根拠」と「見下し」が、別のものだ、という点です。根拠があっても、見下しは、まざります。
3. 私の例:「自分たちが、絶対にNo.1。ほかは、アホの極み」
3-1. そう考えていた時期が、あった
私には、「自分たちが、絶対的にNo.1であり、ほかの人たちがやっていることは、アホの極みだ」という立場を、取っていた時期が、あります。身内びいきというより、自己正当化に、近いものでした。
3-2. ただし、独りよがりでは、なかった
ただし、これは、根拠なしに、言っていたわけでは、ありません。達成した人の数が、ありました。ムダを、徹底的にそぎ落とした、自分たちの仕組みが、ありました。競争の上での優位が、はっきりあると、わかっていました。2章の道具でいえば、「根拠」の側に、チェックが、入ります。
3-3. 2つの主張を、分ける
ここからは、この理論に当てはめた、整理です。当時の私の立場には、2つの主張が、入っています。
| 主張 | 根拠で、支えられるか |
|---|---|
| A:自分たちの仕組みは、すぐれている | 支えられる。達成した人の数と、仕組みの中身が、根拠になる |
| B:ほかの人たちがやっていることは、アホの極みだ | Aの根拠からは、出てこない。外の人たちの数字と、事情を、同じものさしで調べて、はじめて、言える |
Aが正しいことは、Bが正しいことの、証明には、なりません。自分たちが80点でも、相手が、70点なのか、20点なのかは、相手を調べないと、わかりません。内集団バイアスは、Aの根拠を、そのまま、Bにも使ってしまうところで、はたらきます。根拠のある集団ほど、この入れかえに、気づきにくい。Aが本当だからです。
見下しには、実害も、あります。外の集団のやり方を、「アホのやること」と決めると、そこにある、使える部分を、調べなくなります。自分に都合のよい情報だけを集める形に、なります(確証バイアスの記事に、書きました)。うまくいった人だけを見て、方法を評価してしまう点は、生存者バイアスの記事に、書きました。
4. 内集団バイアスを、弱める方法
- 「うちが、すぐれている」と、「よそが、おとっている」を、別の文として、書く。それぞれに、根拠を、書きます。2つめの根拠が、1つめと同じなら、2つめは、まだ、わかっていません。
- 外の集団を、ひとまとめによぶ言葉を、やめる。ひとまとめにした時点で、中のちがいが、見えなくなります。
- 外のやり方を、1回、自分で、試す。試していないものは、評価できません。
- 自分たちの弱点を、3つ、書く。書けないなら、見えていないだけです。
ほかの心のかたよりは、認知バイアスの一覧に、まとめています。
5. まとめ
- 内集団バイアスは、自分の集団の人を、外の集団の人より、高く評価して、ひいきする、かたより。
- タジフェルの実験では、でたらめに分けただけの組でも、ひいきが、起こった。
- 私には、「自分たちがNo.1で、ほかはアホの極み」と考えていた時期がある。達成した人の数と、仕組みという、根拠は、あった。
- 「うちが、すぐれている」の根拠は、「よそが、おとっている」の根拠には、ならない。根拠のある集団ほど、この入れかえに、気づきにくい。

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