AliExpressの評判を調べている方に、先に実際のところを書きます。
壊れたものが届いたときは、集荷から返金まで3日ほどでした。佐川が家まで取りに来て、回収の翌日には大阪の拠点に着き、そこで返金されます。届かなかったときは、お届け予想日を過ぎると申請できるようになり、私の場合は申請を押した瞬間に判定されて承認されました。
つまり、お金は返ってきます。
それでも問題は残ります。返ってきたのはお金だけで、商品は手元にないからです。待った日数も戻りません。この記事は、そこを計算したものです。
1. 先に、この記事の前の版を取り下げます
1-1. 事実と違うことを書いていました
このURLには2021年に書いた記事を載せていました。取り下げる箇所を先に挙げます。
| 前の版の記述 | 問題 |
|---|---|
| 「AliExpressは個人向けの小売りサイトなので、他の中国通販サイトと比べると値段は高いです。そのため、せどり向きではありません」 | 私自身の実務と逆です。私は修理部品をAliExpressから直接調達しています(9章) |
| 「AliExpressの商品は粗悪な不良品が多いです」 | 根拠がありません。何件中何件かを数えていません |
| 「特にブランドはほとんどが偽物で、正規品が販売されているほうが珍しいです」 | 同上。割合を確認していません |
| 「サポートは、24時間いつでも対応してくれますよ」 | 確認していません |
| 「PayPalは利用できません」 | 2021年時点の記述です。現在の対応状況を確認できていません(14-2) |
1-2. 評判の根拠が、他人の投稿でした
前の版は、良い評判4つ・悪い評判4つを、それぞれ個人のSNS投稿を引いて示す構成でした。
これは評判の紹介であって、判断材料ではありません。投稿した人がどれくらい使っている人なのか、何を買った話なのかが分からないからです。3章に書きますが、AliExpressは同じ操作をしても人によって結果が変わります。だから他人の投稿を集めても、自分がどうなるかは分かりません。
1-3. 私がこのサイトをどう使っているか
先に立場を書いておきます。
| 内容 | |
|---|---|
| 使い始めた時期 | 2017年頃 |
| 主な用途 | 修理部品の調達。必要になってから1点だけ発注します(個人貿易商の年収に詳細) |
| そのほか | ロボット掃除機の消耗品、車のフィルター、衣類など。日本のAmazonで買っていたものの多くが、こちらに置き換わりました |
| 返金申請 | 複数回あります。壊れていた場合と、届かなかった場合の両方 |
| 使っていないもの | TEMU、SHEIN(11章に理由を書きます) |
| 立場 | 日本のECのほうが得な商品もあります。10章に、私が置き換えなかったものを書きます |
1-4. この記事で答えること
| 問い | どこで答えるか |
|---|---|
| なぜ評判を読んでも決められないのか | 3章 |
| トラブルのとき、実際どうなるのか | 4章 |
| 返金されるなら、何を失うのか | 5章 |
| 偽物はどう考えればいいのか | 6章 |
| なぜ安いのか | 7章 |
| 日本のECとどう使い分けるのか | 8章・9章・10章 |
| TEMUやSHEINとはどう違うのか | 11章 |
| 売る目的で使う場合は | 13章 |
2. 結論:返金は解決します。時間は解決しません
2-1. お金は、ほぼ戻ります
2017年に使い始めた頃と比べて、返品と返金の手続きは明らかに簡単になりました。4章に実際の流れを書きます。
「詐欺で金を取られる」という不安は、少なくとも私の使い方の範囲では現実になっていません。評判記事の多くが中心に置いているリスクは、ここでは主要な問題ではなくなっています。
2-2. 戻らないのは、日数です
ただし、返金されても商品は手に入っていません。
| トラブル | お金 | 商品 | 待った日数 |
|---|---|---|---|
| 壊れたものが届いた | 戻ります(3日ほど) | ありません | 戻りません |
| 届かなかった | 戻ります(即日承認) | ありません | 戻りません |
| 偽物だった | ケースによります | 税関で止まります(6章) | 戻りません |
3つとも、右の2列が同じです。返金という仕組みは、どのケースでも機能します。機能していないのは、商品を手に入れるという目的のほうです。
2-3. だから、判断は「待てるかどうか」から始まります
失うのがお金ではなく日数なら、判断の順番はこうなります。
| 順番 | 確認すること |
|---|---|
| 1 | それが届かなかった場合、待った日数を捨てられるか |
| 2 | 日本のECで買った場合の上乗せは、何に対して払っているのか(8章) |
| 3 | 売る目的なら、返金の外に何が残るか(13章) |
商品カテゴリで分けるのは、この後です。「スマホケースは買っていい、ブランド品は駄目」という分け方をよく見ますが、同じ商品でも使い方が違えば判断は変わります。10章で実例を出します。
3. なぜ、評判を読んでも決められないのか
3-1. 同じ操作でも、結果が人によって違います
ここが、この記事でいちばん伝えたいことです。
私が返金申請を押すと、その場で判定されて承認されます。ただし、これから初めて使う人が同じように押して、同じ結果になるとは限りません。
私は2017年から使い続けていて、注文の履歴があります。その履歴が影響している可能性はありますが、判定の基準は公開されていないので、理由は分かりません。分かるのは、私の場合はそうなった、ということだけです。
3-2. レビューを書く人と、読む人は条件が違います
| レビューを書く人 | 評判を検索している人 | |
|---|---|---|
| 利用回数 | 多い(だから書ける) | ゼロ、または少ない |
| 返金申請の経験 | ある | ない |
| 「返金は簡単でした」 | その人にとっては事実 | 同じになるとは限りません |
評判が役に立たないのは、書いている人が嘘をついているからではありません。書き手の条件が、読み手に移植できないからです。
この記事も同じです。私の返金が3日で済んだことは、次に申請する人の返金が3日で済む保証にはなりません。
3-3. だから、条件に依存しないものだけを見ます
| 見ても意味が薄いもの | 条件に関係なく効くもの |
|---|---|
| 「返金されたので安心」という体験談 | 返金されても日数は戻らない(5章) |
| 「不良品が多い」「偽物が多い」という印象 | 安い理由と、保証がない理由は同じもの(7章) |
| おすすめ商品リスト | 日本のECで払っている上乗せの中身(8章) |
| 「Choiceを選べば安心」 | 売る目的なら残る責任(13章) |
右の列は、利用回数が何回であっても同じように効きます。この記事は右の列だけで組み立てます。
4. トラブルのとき、実際にどうなるか
4-1. 壊れたもの・違うものが届いた場合
実際の流れです。
| 順番 | やること | かかった時間 |
|---|---|---|
| 1 | 返品を申請する | — |
| 2 | 佐川急便が家まで集荷に来る | — |
| 3 | 回収された荷物が大阪の拠点に届く | 回収から1日ほど |
| 4 | 返金される | — |
| 合計 | 3日ほど |
ここで大きいのは、返送のために自分が郵便局や宅配便の窓口へ行く必要がないことです。国内の返品と同じ手順で終わります。2017年頃と比べて、いちばん変わったのはここです。
4-2. そもそも届かなかった場合
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | お届け予想日を過ぎるまで待つ(それまでは申請できません) |
| 2 | 返金申請、または調査依頼ができるようになる |
| 3 | 申請する |
| 4 | 私の場合は、押した瞬間に判定されて承認されました |
3-1に書いたとおり、この即時承認が誰にでも起きるかは分かりません。ただし「お届け予想日を過ぎるまで申請できない」という部分は、誰にとっても同じです。ここが5章の計算に効きます。
4-3. 返金先を選べます
| 返金先 | 向いている場合 |
|---|---|
| アカウント残高 | また同じサイトで買う予定がある場合 |
| クレジットカードへの返金 | もう使わない、または現金で戻したい場合 |
2017年頃はここも選べませんでした。残高で受け取ると再注文がすぐできる一方、そのサイトの外へは出せません。用途で選んでください。
4-4. ここまでは「お金の話」です
4-1から4-3まで、全部お金が戻る話でした。そして3つとも、商品は手元にありません。次章がこの記事の中心です。
5. 返金されても、日数は戻りません
5-1. 失う日数を数えます
商品を手に入れる、という目的で見ると、こうなります。
| 段階 | かかる日数 |
|---|---|
| 1回目の注文から、トラブルが判明するまで | 配送日数(届かない場合はお届け予想日まで) |
| 返金の手続き | 3日以内(4章) |
| 再注文して、届くまで | 配送日数 |
| 合計 | 配送日数 × 2 + 3日以内 |
返金の速さが縮めているのは、真ん中の3日だけです。失う日数の大部分は、配送日数を2回払うことから来ています。ここは、返金がどれだけ速くなっても縮みません。
5-2. 「返金が早いから安心」は、半分しか正しくない
評判記事の多くは「バイヤープロテクションがあるので安心」で終わります。
正確には、お金については安心で、日数については何も解決していません。そして買い物の目的は、お金を返してもらうことではなく、商品を手に入れることです。
5-3. 私の場合、この日数がそのままコストになります
私は修理部品を、必要になってから1点だけ発注します。詳しくは個人貿易商の年収に書きました。
| 起きていること | |
|---|---|
| 部品を注文する | 直す対象の端末は、手元にあります |
| 部品を待っている間 | その端末は売れません。在庫として寝ています |
| 部品が届かず、返金された | お金は戻りますが、端末はまだ売れません |
| 再注文する | また同じ日数、寝ます |
返金は、寝ていた日数を1日も取り戻しません。これは利益率と回転率で書いた、利益を拘束日数で割るという見方をそのまま当てはめた結果です。
5-4. だから、判定は用途で変わります
| その商品を待っている間 | 判定 |
|---|---|
| 何も止まらない(あれば便利、という程度) | 日数を失っても損失は小さい |
| それがないと使えないものがある | 日数がそのままコストです |
| それがないと売れないものがある | 在庫が寝ます |
| 期日が決まっている(贈り物・イベント) | 失敗が取り返せません |
下の3つに当てはまるなら、金額差より日数のほうが大きい可能性があります。安く買えたかどうかは、間に合った場合にだけ意味を持ちます。
6. 偽物は「掴まされる」問題ではありません
6-1. 値段を見れば、たいてい分かります
評判記事では偽物が必ずリスクとして挙がりますが、実務の感覚は少し違います。
偽物を買う人は、偽物でいいから安く買いたいと分かったうえで買っています。本物のつもりで買って偽物だった、というケースは、実際にはそう多くないのではないかと思います。値段を見れば分かるからです。
定価が数万円のものが数百円で出ていれば、それが何であるかは説明を読むまでもありません。
6-2. 立証が難しいので、返金はケースによります
ただし、偽物だったという理由での返金は、壊れていた場合ほど単純ではありません。
偽物であることを立証するのが難しいからです。壊れているかどうかは写真で示せますが、本物かどうかは示しにくい。ここは私も、ケースによるとしか書けません。
6-3. 2022年10月から、届かなくなりました
ここが、古い記事に書かれていない変更点です。
商標法が改正され、2022年10月1日に施行されました。第2条第7項です。
この法律において、輸入する行為には、外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為が含まれるものとする。
出典:商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第二条(e-Gov法令検索)
| 改正前 | 改正後 | |
|---|---|---|
| 海外の事業者が、日本の個人へ模倣品を送る | 個人使用目的なら、規制の対象になりにくかった | 「輸入」に含まれます |
| 結果 | — | 税関で止まります |
知的財産を侵害する物品の取扱いは、税関の「知的財産侵害物品の取締り」にまとめられています。
6-4. だから、偽物の本当のリスクは「来ないこと」です
| よく書かれているリスク | 実際に起きること |
|---|---|
| 偽物を掴まされる | 値段で分かります(6-1) |
| お金を騙し取られる | 返金の仕組みがあります(4章) |
| — | 税関で止まって、商品が永久に来ません |
そして、ここが他のトラブルと決定的に違います。
壊れていた場合や届かなかった場合は、再注文すれば届く可能性があります。偽物は、再注文しても同じ結果になります。止めているのが売り手ではなく制度だからです。
つまり偽物のケースは、5-1で計算した「配送日数×2」を払ったうえで、何度繰り返しても商品が手に入りません。
なお、見分け方そのものはアリエクの偽物の見分け方に別途まとめてあります。
7. なぜ安いのか
7-1. 「人件費が安いから」ではありません
安さの理由としてよく挙がるのは、人件費と粗悪品です。私が部品を買っている実感は、そのどちらでもありません。
中間流通がないからです。
| 日本のECで同じ部品を買う場合 | 直接買う場合 |
|---|---|
| 工場 | 工場 |
| ↓ 輸出業者 | ↓ |
| ↓ 輸入業者 | ↓ |
| ↓ 卸 | ↓ |
| ↓ 出品者 | ↓ |
| 自分 | 自分 |
各段階が利益を乗せています。直接買うと、その分がまとめて消えます。これは商品が粗悪だからではなく、経路が短いからです。
7-2. 消えているのは、マージンだけではありません
ただし、中間流通が乗せていたのは利益だけではありませんでした。
| 中間流通が担っていたこと | 直接買うと |
|---|---|
| 検品 | 自分 |
| 保証・交換対応 | 返金はありますが、商品の保証ではありません(5章) |
| 在庫を持って待つこと | 自分(=配送日数を自分で負担します) |
| 日本の法規への適合確認(PSEなど) | 自分(13章) |
7-3. 安い理由と、注意が要る理由は同じものです
抜けているから安く、抜けているからこれらが付いてきません。2つは別の話ではなく、同じ現象の表と裏です。
だから「安いのに品質が保証されている」という状態は、構造上ありえません。中国輸入の記事でも書きましたが、代替されたものは値段が下がります。中間流通は代替されました。ただし、代替された機能が消えたわけではなく、買い手に移っただけです。
7-4. 逆に言うと、判定はここから出ます
7-2の4つが自分にとって要らないなら、抜けていることは損失になりません。
年に1回交換する消耗品に、保証は要りません。急いでいないなら、待つことも負担になりません。要らないものを買わずに済んでいるだけ、という状態がありえます。
次の章で、この判定を式にします。
8. 日本のECで払っている上乗せは、4種類あります
8-1. 4つに分解します
同じ商品が日本のECで高いとき、その差額は次の4つのどれかに対して払っています。
| 上乗せの中身 | 何に対応しているか | 効かなくなる条件 | |
|---|---|---|---|
| ① | 中間マージン | 何にも対応していません | 直接買えば、常に消えます |
| ② | 保証 | 壊れる確率 | 交換周期のほうが製品寿命より短いなら、効きません |
| ③ | 即納 | 待てない状況 | 待てるなら、効きません |
| ④ | 品質差 | 写真に写らない部分(パッキン、耐久部品など) | 顕在化する前に交換するなら、効きません |
8-2. どれが効くかは、商品ではなく使い方で決まります
| 使い方 | 効く上乗せ | 判定 |
|---|---|---|
| 年1回交換する消耗品 | ①だけ | 直接買う |
| 毎日使って、何年も持たせたい | ①②④ | 日本のEC |
| すぐ必要 | ①③ | 日本のEC |
| 日本にまだ入っていない | 比較対象がありません | 直接買う |
ここが「スマホケースは◎、ブランド品は×」という商品別の分け方と違うところです。同じ車のフィルターでも、年1回の定期交換なら②も④も効きませんが、シビアな使い方をするなら効きます。商品名では決まりません。
8-3. 判定の手順
| 順番 | 問い |
|---|---|
| 1 | 日本のECで同じものが買えるか。買えないなら比較不要です |
| 2 | 日本で売っているのは同じものか、それともメーカー品か |
| 3 | 同じものなら、差額は①です。直接買えば消えます |
| 4 | メーカー品なら、差額に②③④が含まれます。自分の使い方でそれが効くかを見ます |
| 5 | 効かないなら直接買う。効くなら日本で買う |
9. 実際に、日本のECから置き換えたもの
9-1. 消耗品・互換品
| 商品 | 使い方 | 置き換えた理由 |
|---|---|---|
| ロボット掃除機の消耗品 | 年1回交換 | Amazonで買えるノーブランド品と同じものです。差額は①だけでした |
| 車のフィルター | 年1回交換 | 同上。互換品で問題が出ていません |
ここで効いているのは、交換周期が短いことです。年に1回入れ替えるものは、5年目の耐久性に差があっても、その差が現れる前に交換されます。④の品質差が、使い方によって無効化されている状態です。
そして日本のECで売られている同カテゴリのノーブランド品は、多くが同じ経路から来ています。①だけを払っていたことになります。
9-2. 修理部品
これが私の本業側の用途です。詳細は修理転売の記事と個人貿易商の年収に書きました。
必要な部品が確定してから、その1点だけを発注します。代行業者は使っていません。ロット仕入れもしていません。
ここでも効いているのは①です。日本で同じ部品を探すと、輸入業者と出品者のマージンが乗ります。ただし5-3で書いたとおり、待っている間その端末は寝ています。①で浮いた分と、寝た日数を天秤にかけることになります。
9-3. 中国で作られた製品の、本家や改良版
| 内容 | |
|---|---|
| 状況 | 日本で売られている製品の中には、中国の工場で作られたものがあります |
| そこで起きること | その本家や、もっと新しい改良版が、直接買えることがあります |
| 価格 | 中抜きがないぶん安くなります(①) |
| 使う場面 | 今すぐ必要ではなく、より高い性能が欲しいとき |
この構造は中国OEMの記事で扱ったものの裏返しです。日本向けにロゴを変えて作らせた製品があるなら、その元になった製品が、元の値段で売られています。
ここでは③の即納を捨てています。すぐ欲しいなら成立しません。「今すぐ必要ではない」という条件が付いて初めて選択肢になります。
9-4. 衣類
| 内容 | |
|---|---|
| 買ったもの | クラッシュデニム、3Dジーンズ |
| 結果 | 安く入手できて、満足しています |
| 選び方 | レビューが多く入っているものを選びます |
衣類は写真と実物が違いやすい分野です。その差を埋めているのがレビューの件数です。同じ商品を大勢が買っていれば、写真では分からない部分が書かれています。
逆に言うと、レビューが少ない衣類は、写真しか判断材料がありません。この条件を満たさないものは買っていません。
9-5. 置き換えの結果
これらを合わせて、日本のAmazonで買っていたものの多くが置き換わりました。節約の効果は大きいです。
ただし、置き換わったのは①しか乗っていなかった商品群でした。次の章に、置き換えなかったものを書きます。
10. 置き換えなかったもの
10-1. 電動歯ブラシ
これがいちばん分かりやすい例です。
| 直接買った場合(無名メーカー) | 日本のAmazon(Xiaomi) | |
|---|---|---|
| 価格 | 2,000円前後 | 2,500円 |
| 実際の寿命 | 1年ほどで壊れました | — |
| 保証 | — | 1年 |
| 到着 | 待ちます | 翌日 |
私は先に無名メーカーのものを買い、1年ほどで壊れたので、次にAmazonでXiaomiのものを買いました。
10-2. 分岐点は1年3か月でした
| 計算 | |
|---|---|
| 直接買った場合の年あたりコスト | 2,000円 ÷ 1年 = 2,000円/年 |
| 2,500円が同じ年あたりコストになる年数 | 2,500円 ÷ 2,000円 = 1.25年 |
Xiaomiのものが1年3か月以上持てば、年あたりでは安くなります。しかも1年保証が付いているので、1年以内に壊れれば交換され、実質的な使用年数はさらに伸びます。
この計算の前提は、直接買ったものが2,000円で1年もったこと、Amazonのものが2,500円で1年保証付きだったことです。寿命は1台ずつの結果なので、統計ではありません。
10-3. 差額が小さいと、②と③が簡単に勝ちます
ここで効いているのは金額です。
| 値 | |
|---|---|
| 差額 | 500円 |
| 直接買った場合に対する割合 | 25% |
| その500円で買えたもの | 1年保証(②)と、翌日到着(③) |
①の中間マージンが小さい商品では、②と③が簡単に上回ります。ロボット掃除機の消耗品のように差が大きいものとは、判定が変わります。
「海外通販は安い」ではなく、「①がどれだけ乗っているか」で決まります。乗っていない商品では、安くなりません。
10-4. 水出しポッド
| 内容 | |
|---|---|
| 選んだもの | 日本メーカーの製品を、Amazonで購入 |
| 理由 | パッキンなど、写真では判断できない部分で差が出るため |
これは④が効くケースです。写真に写らない部分に品質差がある商品では、レビューを読んでも埋まりません。9-4の衣類はレビュー件数で埋まりましたが、パッキンの耐久性は、買った直後のレビューには出てきません。
| ④が効きやすいもの | 理由 |
|---|---|
| ゴム・樹脂の密閉部品を持つもの | 劣化が時間差で出ます |
| 繰り返し力がかかるもの(ヒンジ・可動部) | 同上 |
| 液体・食品に触れるもの | 差が出たときの影響が大きい |
10-5. 置き換えたものと、しなかったものを並べます
| 商品 | 選んだ側 | 効いた上乗せ |
|---|---|---|
| ロボット掃除機の消耗品 | 直接 | ①だけ |
| 車のフィルター | 直接 | ①だけ |
| 修理部品 | 直接 | ①(ただし③を捨てています) |
| 中国製品の本家・改良版 | 直接 | ①(③を捨てています) |
| 衣類(レビュー多数のもの) | 直接 | ①(④はレビューで補いました) |
| 電動歯ブラシ | 日本 | ②③(①が小さかった) |
| 水出しポッド | 日本 | ④ |
同じ人間が、同じ時期に、逆方向の判断をしています。矛盾ではありません。8-1の①〜④のうち、どれが効くかが商品ごとに違うだけです。
11. TEMUとSHEINを使わない理由
11-1. 先に断っておきます
私はTEMUもSHEINも使っていません。だから、この章に利用体験としての数字はありません。書けるのは、なぜ使っていないかという私の判断だけです。
安全性の比較でもありません。使っていないサービスの安全性は、私には評価できません。
11-2. TEMU:使う理由が見つかりません
| 私の判断 | 内容 |
|---|---|
| 品揃え | TEMUで売られているものは、AliExpressにもあります |
| すでに使っている | 私は2017年から使っていて、注文の履歴があります(3-1) |
| 結論 | 同じものが買えるなら、履歴のある側を使います |
3-1で書いたとおり、返金の通りやすさに履歴が影響している可能性があります。だとすれば、複数のサイトに分散するより、1つに集約したほうが有利になります。
これは「TEMUが劣っている」という話ではありません。私にとって、乗り換える理由がないという話です。
11-3. SHEIN:探し方が合いません
| 私の印象 | 内容 |
|---|---|
| 扱っている商品 | 日本で言えば、既存のファストファッションに近い位置に見えます |
| 気になる点 | 写真の見栄えと実物が離れやすい印象を持っています |
| 当たりの有無 | 当たりもあると思います。ただし探し方が問題です |
当たりを探すのなら、9-4に書いたとおり、レビューが多く入っている服を選ぶほうが確実だと考えています。実際にその方法でクラッシュデニムと3Dジーンズを安く入手して、満足しています。
これは印象であって、検証した結果ではありません。実際に買って比べたわけではないので、そう読んでください。
11-4. 「使わない理由」と「危険」は別です
| 書けること | 書けないこと |
|---|---|
| 私は使っていない | 安全性の比較 |
| 同じものが買えるので、乗り換える理由がない | 「危険だ」という評価 |
| 探し方が自分の基準に合わない | 品質の断定 |
使っていないサービスについて、伝え聞いた被害を根拠に評価を下すことはしません。使う理由がない、というだけで十分だと考えています。
12. Choiceは、選ぶ基準ではありません
12-1. 実際に速いのは確かです
| 内容 | |
|---|---|
| 仕組み | 認定された倉庫から発送されます |
| ものによっては | 日本にすでに在庫があり、すぐ届きます |
| 結果 | 届くのは確かに速いです |
12-2. ただし、Choiceだから選ぶわけではありません
比較記事では「Choiceのマークが付いているものを選べば安心」という書き方をよく見ます。私はそういう選び方をしていません。
自分が欲しくて、必要だから選んでいます。結果としてそれがChoiceだったことはありますが、Choiceだから買ったのではありません。順番が逆です。
12-3. 順番を逆にすると、何が起きるか
| 順番 | 起きること |
|---|---|
| 欲しいもの → 探す → たまたまChoice | 必要なものが手に入ります |
| Choice → その中から選ぶ | 安心して買える範囲の中から、欲しいものを妥協して選ぶことになります |
そして5-4に書いたとおり、速さが効くのは「待てない場合」だけです。待てるなら、③の即納には価値がありません。Choiceを条件にすると、待てる場合にまで選択肢を狭めることになります。
先に決めるのは「ここで買う理由があるか」であって、「安全な買い方」ではありません。理由がないなら、安全な買い方を覚える必要もありません。
13. 売る目的なら、返金の外に責任が残ります
13-1. 返金は購入者を守りますが、輸入者は守りません
ここまでは、自分で使うために買う話でした。売る目的で買う場合、条件がひとつ増えます。
| 自分で使う | 売る | |
|---|---|---|
| 商品が壊れていた | 返金されます | 返金されます |
| 商品が届かない | 返金されます | 返金されます |
| 日本の法規に適合していなかった | — | 返金では解決しません |
プラットフォームの返金は、購入者としての自分を守ります。輸入者としての自分は守りません。ここが、この記事でいちばん見落とされやすい部分だと思います。
13-2. 義務は、売り手ではなく自分に来ます
私は修理でバッテリーを扱っています。リチウムイオン蓄電池は電気用品安全法(PSE)の規制対象に含まれますが、電池単体か機器内蔵か、どういう機器なのかで扱いが変わります。
制度上、押さえておくべき点はここです。
| 内容 | |
|---|---|
| 表示義務・届出義務を負うのは | 製造事業者、または輸入事業者 |
| 海外の売り手がマークを付けていたら | 義務が売り手に移るわけではありません。日本に輸入するのは自分です |
私が調達したバッテリーにはPSEの表記が入っていましたが、それが実際に適切な認証を経たものかどうかは確認できていません。表示があることと、認証実態があることは別です。
この論点は個人貿易商の年収のバッテリーとPSEの項に、経済産業省の解釈例の参照先も含めて詳しく書きました。自分の形態がどこに当たるかは、必ず一次資料で確認してください。記事の説明で済ませていい部分ではありません。
13-3. 偽物を売った場合は、さらに別です
6章で、模倣品は税関で止まると書きました。仮に手元に届いたとしても、それを販売すれば商標権の侵害になります。
6-1で「偽物を買う人は分かって買っている」と書きましたが、それは自分で使う場合の話です。売る目的なら、分かって買ったこと自体が問題になります。
13-4. 仕入れ目的だと、税の計算も変わります
| 個人が自分で使う場合 | 売る目的で買う場合 | |
|---|---|---|
| 課税価格 | 海外小売価格 × 0.6 | 0.6は掛かりません(商品価格+運賃+保険料) |
| 免税 | 課税価格1万円以下は原則として関税・消費税が免除されます | |
出典:税関「少額輸入貨物の簡易税率」
個人使用を前提に書かれた説明を、そのまま仕入れの計算に当てはめないでください。「16,666円までは免税」という説明を見かけますが、これは1万円÷0.6の逆算で、仕入れ目的では成り立ちません。この0.6の特例は廃止が決まっており、施行時期を含めて個人貿易商の年収に整理してあります。
13-5. まとめると、売る側には3つ残ります
| 残るもの | 返金で解決するか |
|---|---|
| 日本の法規への適合(PSEなど) | しません |
| 知的財産の侵害 | しません |
| 課税価格と申告 | しません |
7-2で「中間流通が担っていた法規への適合確認が、買い手に移る」と書きました。売る目的で買うということは、その移ってきたものを引き受けるということです。安さの一部は、そのぶんの対価だったことになります。
14. 分かったことと、分かっていないこと
14-1. 分かったこと
| 問い | 答え |
|---|---|
| トラブルのとき、お金は戻るのか | 戻ります。壊れていた場合は集荷から3日ほど、届かなかった場合は申請がその場で承認されました(私の場合) |
| では、何を失うのか | 日数です。配送日数を2回払うことになり、返金の速さはそのうち3日分しか縮めません |
| 評判を読めば判断できるか | できません。返金の通りやすさが人によって違う可能性があり、書き手の条件が読み手に移植できないからです |
| 偽物のリスクとは何か | 掴まされることではありません。2022年10月から税関で止まるので、再注文しても届きません |
| なぜ安いのか | 中間流通がないからです。そして検品・保証・法適合の確認も、同じ理由で付いてきません |
| 日本のECとどう使い分けるか | 上乗せの中身を①中間マージン ②保証 ③即納 ④品質差に分け、自分の使い方でどれが効くかを見ます |
| 商品カテゴリで分けられるか | 分けられません。同じ商品でも、交換周期や急ぎ具合で判定が変わります |
| 実際に置き換わったもの | 年1交換の消耗品、修理部品、レビューの多い衣類。①しか乗っていなかったものです |
| 置き換えなかったもの | 電動歯ブラシ(差額500円・25%で②③が勝つ)、水出しポッド(④が効く) |
| Choiceは選択基準になるか | なりません。結果であって、条件ではありません |
| 売る目的なら | 返金の外に、法適合・知的財産・課税の3つが残ります |
14-2. 分かっていないこと
| 分かっていないこと | なぜ分からないか |
|---|---|
| 返金がその場で承認された理由 | 判定の基準が公開されていません。利用履歴が影響している可能性はありますが、確認できません。だから「誰でもこうなる」とは書いていません |
| AliExpressの利用規約・返金規定の原文 | この記事を書くにあたって、公開ページを機械的に取得できませんでした。4章は規約の説明ではなく、私の実際の手続きの記録です |
| 支払い方法の現在の選択肢 | 前の版に「PayPalは利用できません」と書いていましたが、現在の対応状況を確認できていません |
| 不良品や偽物に当たる確率 | 数えていません。私は初期不良にほとんど当たっていませんが、統計値ではありません。数量を増やせば確率は上がるはずです |
| TEMU・SHEINの実態 | 使っていません。11章は使わない理由であって、比較や評価ではありません |
| 電動歯ブラシの寿命 | それぞれ1台ずつの結果です。10-2の1年3か月という分岐点は、その1台の実績から計算したものです |
| 調達したバッテリーの認証実態 | PSE表記はありましたが、適切な認証を経たものかは確認できていません(13-2) |
| メーカー純正部品が流通している理由 | 純正品が購入できてしまうケースがありましたが、なぜそうなるのかは分かりません |
14-3. この記事の数字の性質
| 種類 | 該当するもの |
|---|---|
| 法令の条文 | 商標法第2条第7項 |
| 公的機関の公示 | 課税価格の計算方法、知的財産侵害物品の取締り |
| 私が実際に経験したこと | 返品と返金の手続きと日数、2017年からの変化、置き換えた商品と置き換えなかった商品、電動歯ブラシの寿命と価格 |
| 私の判断軸 | 失うのは金ではなく日数だと考えること、上乗せを①〜④に分けること、商品ではなく使い方で判定すること |
| 私の印象であって、検証していないこと | SHEINの商品についての印象(11-3) |
| 私がやっていないこと | TEMU・SHEINの利用 |
サービスの内容も料金も変わります。この記事は2026年9月時点のものです。そして3-2に書いたとおり、私の体験が誰にでも同じように起きる保証はありません。判定に使ってほしいのは体験談ではなく、8章の①〜④です。
14-4. 出典
| 内容 | 出典 |
|---|---|
| 輸入する行為の定義(第2条第7項) | 商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)(e-Gov法令検索) |
| 知的財産を侵害する物品の取締り | 税関「知的財産侵害物品の取締り」 |
| 課税価格の計算方法、1万円以下の免税 | 税関「少額輸入貨物の簡易税率」 |
| 電気用品安全法の対象範囲と義務の所在 | 経済産業省の解釈例。参照先は個人貿易商の年収にまとめています |
いずれも2026年9月に確認したものです。引用は原文のままです。
14-5. 関連する記事
| 知りたいこと | 記事 |
|---|---|
| 偽物かどうかの見分け方 | アリエクの偽物の見分け方 |
| 実際に何を買っているか | AliExpressのおすすめ商品 |
| 修理部品の調達と、PSE・輸入者義務 | 個人貿易商の年収 |
| 部品を輸入して直して売る採算 | 修理転売は儲からない? |
| 日本で売られている中国製品の元をたどる | 中国OEMはオワコンか |
| 中間流通が消えると何が起きるか | 中国輸入は儲からない? |
| 代行業者を使う場合の実質コスト | 中国輸入代行を比較 |
| アメリカから取り寄せる場合の計算 | アメリカ輸入代行 |
| 利益額ではなく拘束日数で割る考え方 | せどりの利益率と回転率 |

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