ジャンク修理の始め方と勉強法|テスターも回路図も使わず、動画を真似て直してきた私が、独学で止まった場所(計算機つき)

初心者でもできる ジャンク修理の入門・勉強法|まずは掃除と部品交換から(掃除・部品交換・はんだ付け・動作確認、AI活用も可) 修理転売・リペア

「ジャンク 修理」「ジャンク修理 入門」「ジャンク修理 勉強」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。

ジャンク修理は、①開けて掃除する、②壊れた部品を替える、③テスターで測って悪いところを探す、④回路図から原因を追う、の4つの段に分かれます。始めるなら①と②からで、勉強のいちばん早い入口は「同じ型番の分解動画や記事を見て、手順を真似る」ことです。いまは写真をAIに見せて、どの部品が悪いかの当たりもつけられます。道具は数千円で始められます。許可が関わってくるのは売るときで、買ったジャンクを直して売るなら古物商許可が要ります。

私は最初に自作のパソコンを直し、その後もプリンター、ゲーム機、オーディオ、掃除機などを直してきました。ただ、私の直し方は②までです。テスターは使っていませんし、回路図も読めません。私自身の言葉では、こうです。

「動画で手順を見て真似した。だからゼロベースで開発できる修理には限界があった」

「多くの分野でそれを試してこれは独学だと限界があると思った」

ただし、いまは事情が変わったとも見ています。

「今はAIが翻訳してくれるので私がやっていた時よりもインフラは飛躍的に良くなっている。天井は読める人には負けるけれども、戦える範囲は広がっている」

そして、これから始める人にいちばん伝えたいのは、これです。

「好きでないと続かない。儲かるからやるだけだとすぐに限界が来る」

知りたいこと 答え 章
ジャンク品は直せるのか 店の保証も返品もない。直せるかは、壊れ方と自分がどの段まで行けるかで決まる 2・3章
何から勉強するか 同じ型番の手順を真似る、壊しながら覚える、本・研修、AIに聞く。私の独学は②までだったが、いまはAIが訳してくれるので、戦える範囲は広がっている 4章
最初に何を直すか 好きな物。そのうえで、分解の記録が多く、電池かACアダプタで動き、直せなくても手放せる物 5章
道具と費用 私は「いうて数千円」で始めた。段が上がるごとに足す 6章
危なくないか やけど、感電・ショート、煙・発火・破裂。私は3つとも経験した。メーカーの注意を守る 7章
基板の修理・コンデンサ交換は自分でできるか 型番と部品がわかる交換まではできる。部品は容量・電圧・大きさを合わせる。原因を回路から追うのは別の段 8章
資格は要るか 調べた決まりは、どれも売るときの決まり。買って直して売るなら古物商許可。電気製品を売る事業ならPSEの決まりもある 9章
趣味になるか、儲かるか 部品代と作業時間で決まる。私の数字では、ゲームボーイアドバンスの液晶交換は赤字か、ほぼ0だった 10章

1. 先に、立場を書きます

私は中古品の売買を20年近く続けている古物商です。ジャンクを直して売ること(修理転売)もしてきました。この記事のために、自分の経験を次のように答えました。

いちばん最初に直した物 「自作PC・パソコン」
修理のやり方をどう覚えたか 「壊しながら試行錯誤」「YouTube・ネット記事」「本・雑誌・研修」「AIに聞く(最近)」
回路図との付き合い方 「動画で手順を見て真似した。だからゼロベースで開発できる修理には限界があった」
その「限界」に当たった例 「多くの分野でそれを試してこれは独学だと限界があると思った」
テスター(回路計)を使っていたか 「使っていない」
最初にそろえた道具の金額 「いうて数千円」
修理中に危ない目にあったこと 「はんだごてでやけど」「感電・ショート」「煙・発火・破裂」

直してきた物と、直せなかった物も書いておきます。

  • パソコン:高校生のときに自作を始め、何台も壊して、作れるようになりました(学習曲線の記事に書きました)。ゲーミングPCはコンデンサの交換で、ノートパソコンはファンのコードの交換で直しました
  • プリンター:ヤフオクで中古のインクヘッドを買って替え、動くようにしました。1台1,000円以下のジャンクを組み合わせて1台にする「ニコイチ」もしました。洗浄だけで直ったことはありません
  • オーディオ:CDプレイヤーは、ベルトのゴムを替えて直しました
  • ゲーム機:修理と改造をしていましたが、やっている人が多く、利益があまり出ないので、いまは引いています。ゲームボーイアドバンスの液晶交換の数字は10章に書きました
  • 家電:ロボット掃除機は部品を替えて直しました。ダイソンの掃除機はニコイチで直し、余った部品を売りました
  • 直せなかった物:液晶とバッテリーを替えても動かなかったスマホ。工業用ミシンが要るブランド品のファスナー(外に出すと赤字になるので、ジャンクのまま売りました)

2. ジャンク品とは、何を買うことか

ハードオフは、公式サイトのジャンクの案内で、こう書いています。

「「ジャンク」とはガラクタを意味する言葉です。このコーナーにはそのままでは商品価値のないもの、製品としての動作はしないもの等を集めてあります。自分で修理したり、パーツや実験の材料としてお使いください。」

同じページの注意とよくある質問を、まとめるとこうです。

  • ジャンク品は、商品の保証も、返品・交換もない
  • 「動作しました」などのコメントがあっても、長い間の動作を保証するものではない
  • 店頭での動作確認は、基本的に受けていない。店によってはセルフチェックコーナーがある
  • ジャンク品は、お客さん自身の責任で使う物で、その結果について店は責任を負わない

つまり、ジャンクを買うとは「直せるかどうか分からない物を、分からないまま買う」ことです。だから買う前に、「直せなかったら、いくらで手放せるか」を決めておきます。私の経験では、もともとジャンクの値段で買っていれば、直せなくても同じくらいの値段で売れたので、損はそこまで出ませんでした。損が出やすいのは、即決の値段で買ったときです。直せなかったときの損の計算は、4台目の選び方の記事に計算機を置いています。

3. ジャンク修理の4つの段と、私が止まった場所

ジャンク修理を、やることで4つの段に分けてみます。これは私の経験を整理した分け方で、技術の難しさの順番とは限りません。実際には、部品を替える前に測ることもありますし、回路図がなくても測って悪いところを絞れることもあります。それでも、自分がいまどこにいて、次に何を覚えるかは見えます。

段 やること 要る道具 回路図 私の例
① 開けて、掃除する ドライバー、ヘラ、ブラシ 要らない プリンターを洗浄だけで直したことはない
② 壊れた部品を替える(ニコイチを含む) ①に加えて、型番に合う部品。物によっては、はんだごて 要らないことが多い(同じ型番の手順を真似る) CDプレイヤーのベルト、ノートパソコンのファンのコード、プリンターのヘッド、ゲーミングPCのコンデンサ、ゲームボーイアドバンスの液晶
③ テスターで測って、悪いところを探す テスター あると速い していない
④ 回路図から原因を追う 測る道具と回路図 要る ここで止まった

私の直し方は②までです。手順を真似る直し方は、誰かが同じ型番の直し方を残している物には強く、記録のない壊れ方には弱い、ということです。「ゼロベースで開発できる修理」とは、記録のない壊れ方を、測って、回路から原因を追う修理で、③と④の段にあたります。

回路図で止まったのは、大学のときが最初です。オーディオ部にいて、真空管アンプは身近なテーマでした。でも私は、回路図が読めず、書けず、その先に進めずに挫折しました。

いまは、ここが変わっています。回路図のように自分では読めなかったものも、AIが訳してくれるからです。冒頭に書いたとおり、天井は、回路図を自分で読める人には負けます。それでも、②の段にいる人が手を伸ばせる範囲は、私がやっていたころより広がっています。

4. 勉強法:真似る、壊す、本と研修、AIに聞く

私が使った覚え方は4つです。それぞれ、身につくものと、弱いところが違います。

覚え方 身につくもの 弱いところ 私の場合
同じ型番の動画・記事を見て真似る 開ける順番、つめやネジの位置、替える部品の型番 記録のない壊れ方は直せない いちばん多く使った
壊しながら覚える どこまで力をかけてよいか、手の感覚 壊した分だけお金がかかる 自作パソコンで何台も壊した
本・雑誌・研修 なぜそうなるか、の筋道 時間と費用がかかる 研修は革製品のリペアで、大阪で二泊三日、費用は10万円と旅費だった
AIに聞く 写真からの当たりづけ、合う部品、外し方、自分では読めない資料の意味 当たりをつけたあと、確かめるのは自分の手 最近は使っている

AIに聞いて直った例は、こうです。

  • CDプレイヤー:ふたを開けて写真を撮り、読み取る部品(ピックアップ)が悪いのか、ゴムが悪いのかを聞きました。AIの答えはベルトのゴムで、合うサイズのゴムを教えてもらい、替えると直りました
  • ゲーミングPC:マザーボードの写真を送ると、コンデンサの交換で直るかもしれないと言われ、交換すると直りました
  • ノートパソコン:ファンが回らず、熱で落ちる個体でした。コードの断線を疑われ、コードを替えるとファンが回り、直りました
  • ロボット掃除機:部品の外し方と、部品の色から、悪いところを見つけました。その写真で画像検索をして、替える部品を見つけました

どれも、AIの答えどおりに替えたら動いた、という結果です。テスターで測って原因を確かめたわけではありません。AIは当たりをつける道具で、答えが正しかったかは、替えて動いたかどうかでしか分かっていません。

聞くときは、型番、症状、写真の3つをそろえます。型番が分かると、同じ型番の分解動画や記事も探せます。AIで当たりをつけ、同じ型番の記録で手順を確かめてから、手を動かします。

同じ型番を何台か続けて直すと、作業は速くなります。どのくらい速くなるかの考え方は、学習曲線の記事に計算機を置いています。

5. 最初の1台は、好きな物から選ぶ

いちばん大事なのは、これです。

「好きでないと続かない。儲かるからやるだけだとすぐに限界が来る」

10章で計算するとおり、私の数字でも、儲けだけで見ると割に合わない修理があります。続けた人だけが速くなり、直せる物が増えていくので、続く物を選ぶことが先です。そのうえで、次の4つを満たす物を選びます。

  1. 好きな物(使ってみたい、触っていて楽しい物)
  2. 同じ型番の分解動画や記事が多い物。真似る手順があるので、②の段で直せます
  3. 電池かACアダプタで動く物。コンセントにじかにつなぐ物は、中にコンセントの電気を変える回路があり、7章のとおり、電気をためる部品(コンデンサ)に電圧が残っていることがあります。ただし、電池で動く物でも、中で電圧を上げる回路がある物は同じように危ないので、電源の種類だけで安全とは決まりません
  4. 直せなくても、ジャンクとして手放せる物

避けたほうがいい物も、私の失敗から書いておきます。

  • 利用制限(いわゆる赤ロム)のあるスマホ。出品説明に利用制限と書かれていたのを読み落として買い、返品を受けてもらえず、5万円ほどの損になりました。これは修理の腕ではなく、買う前に読むことで防げます
  • 大きな専用の道具が要る物。ブランド品のファスナーは工業用ミシンが要り、外に出すと赤字になるので、あきらめました

直した物を売るつもりなら、最初の何台かを「直さずに」進める順番を、修理転売の始め方の記事に書きました。この記事は、直せるようになるための順番です。

6. 道具は数千円から

私が最初にそろえた道具は「いうて数千円」でした。段が上がるごとに足していけば足ります。

段 足す道具 選ぶときに見るところ
① ドライバー、ヘラ、ブラシ ドライバーは、直す物のネジの形と大きさに合うもの
② 替える部品。はんだ付けがあるなら、はんだごて、こて台 はんだごては温度を設定できるもの。白光(HAKKO)は、鉛を含まないはんだを使うときは温度を設定できるこてを使うように書いています
③ テスター 測る場所に合った「測定カテゴリ(CAT)」の表示があるもの(7章)

私はテスターを使わずに直してきました。部品を替えて直す②が中心だったからです。③の段に進むなら、テスターは最初に足す道具になります。

7. 安全:やけど、感電、煙と破裂

私は、はんだごてのやけど、感電・ショート、煙・発火・破裂の3つとも経験しています。細かい状況はここには書きませんが、メーカーが書いている注意を、ここにまとめます。

7-1. はんだごて(白光)

  • 溶けたはんだは300℃以上になる。こぼしたり、肌に触れたりしないように。はんだ付けの直後も触れない
  • 煙を直接、または長い時間吸い続けると、頭痛などの健康被害のおそれがある。換気のよい場所で作業する
  • 作業のあとは、石けんなどで手を洗う
  • こて先を良い状態に保つための案内として、設定温度の基準がないときは330〜350℃を目安に始める。設定温度はできるだけ低く、必要以上に上げない。部品やはんだに決まった温度があるときは、そちらに従う
  • 5分以上使わないときは、電源を切る

7-2. 電解コンデンサ(日本ケミコン)

日本ケミコンの製品ガイド「アルミ電解コンデンサ」(CAT. No. 1001D 2026)の使用上の注意から、修理で関わるところを抜き出します。

  • 逆の向きの電圧や、交流の電圧をかけない。逆向きに付けると、初めから回路がショートしたり、圧力弁が作動したりして壊れることがある。定格電圧を超える電圧もかけない
  • コンデンサには、「再起電圧」(いったん放電しても、端子のあいだに電圧がまた出てくること)が出る場合がある。そのときは、1kΩ前後の抵抗器を通して放電する。これは部品としてのコンデンサの扱いの注意で、機器の電源回路に組み込まれた大きなコンデンサの放電の手順ではない
  • 端子のあいだを、金属などでショートさせない
  • 圧力弁から出るのは煙ではなく、気化した電解液。100℃を超える高温のガスが出るので、顔を近づけない。電源を切るか、プラグをコンセントから抜く
  • 機器に組み込んで電気を通したコンデンサは、再使用しない

7-3. テスター(日置電機)

私は使っていない道具なので、メーカーの取扱説明書の注意をそのまま書きます。日置電機のディジタルハイテスタ3802の取扱説明書(2004年8月、改訂11版)の注意です。機種ごとに取扱説明書の注意は違うので、自分のテスターの説明書を読んでください。

  • 測る前に、切り替えスイッチ(ファンクション)の位置を確かめる。電圧のレンジ以外で電圧を測ると、事故や故障につながる
  • 抵抗、導通、ダイオードのファンクションに電圧を入力しない。測る回路の電源を切ってから測る(電圧は電気が来ている状態で測り、抵抗と導通は電源を切って測る、という違いになります)
  • 電流のレンジに電圧を入力しない
  • 測る場所に合った測定カテゴリ(CAT)の測定器を使う。CATⅠの測定器を、CATⅡ・Ⅲ・Ⅳにあたる場所に使わない
  • テストリードの被覆が破れていないか、使う前に確かめる
  • 電気がたまっていると思われるコンデンサは、放電してから測る

この説明書は放電のしかたとして「短絡(ショート)」と書いていますが、日本ケミコンは7-2のとおり、端子のあいだを導電体でショートさせないこと、放電は抵抗器を通すことを書いています。ドライバーなどの金属で端子をじかにつながないでください。

5章で「電池かACアダプタで動く物から」と書いたのは、この注意があるからです。コンデンサは電気をためる部品なので、電源を抜いたあとでも電圧が残っていることがあります。コンセントにつながる側(電源の一次側)の大きなコンデンサは、初めのうちは触らない、と決めておくのが安全です。

8. 基板の修理・コンデンサの交換は、自分でできるか

「基板 修理 やり方」で調べると、知恵袋のほかは、会社の基板を直す業者のページが並びます。個人が自分の物を直すときに、できることとできないことを分けると、こうです。

  • できる:型番と、替える部品が分かっている交換。私のゲーミングPCは、マザーボードの写真をAIに見せてコンデンサの交換で直る可能性を指摘され、交換して直りました(②の段)
  • 別の段:どの部品が悪いのか分からないときに、測って、回路から原因を追うこと(③と④の段)。私はここで止まっています

コンデンサを替えるときは、7-2の注意がそのまま当てはまります。向き(極性)を確かめる、電圧が残っていないかを考える、外したコンデンサは使い回さない、の3つは、少なくとも守ります。

替える部品は、元の部品と同じ容量と定格電圧、入る大きさのものを選びます。日本ケミコンは、リプル電圧の尖頭値を含めて定格電圧を超えないこと、機器の寿命に合ったコンデンサを選ぶことも書いています。形が同じでも、こうした条件が合わない部品では、動かなかったり、早く壊れたりすることがあります。

9. 資格は要るか。売るなら、古物商許可とPSE

この記事のために調べた決まり(古物営業法、電気用品安全法)は、どちらも、物を売る・事業として扱うときの決まりです。自分の物を直して使うことには触れていません。関わってくるのは、直した物を「売る」ときです。

9-1. 買ったジャンクを直して売るなら、古物商許可

警察庁の古物営業法等の解釈運用基準(令和8年5月14日 丙生企発第51号)は、こう書いています。

「例えば、無償又は引取料を徴収して引き取った古物を修理、再生等して販売する形態のリサイクルショップは、法第2条第2項第1号の『古物を売却すること』のみを行う営業として法の規制の対象から除外されるが、古物の買取りを行っている場合には、古物営業に該当する。」

同じ基準は、営業を「一般に営利の目的をもって同種類の行為を反復継続して行うこと」としています。ジャンクを買い取って、直して売ることを繰り返すなら、古物商許可が要ります。もらった物(または引取料をもらって引き取った物)だけを直して売る形なら、対象から外れます。「臨時的に行う副業、内職等というべき場合においても、それは法にいう営業と認められる」とも書かれています。詳しくはプリンター修理の記事の11章に書きました。

9-2. 電気製品を売る事業なら、PSEの決まり

電気用品安全法の27条は、電気用品の製造・輸入・販売の事業を行う者は、決まった表示(PSEマーク)が付いていない電気用品を、販売したり販売の目的で陳列したりしてはならない、としています。新品と中古の区別は書かれていません。関東経済産業局の「よくあるお問い合わせ」は、「事業者」から「継続的又は反復的に行われない個人売買」を除いています。ACアダプタのように対象の品目になっている物を売るときは、表示を確かめてください。

もう一つ、近畿経済産業局の電気用品安全法FAQ(令和6年8月29日更新)は、「製造」をこう説明しています。

「「製造」とは電気用品を完成させる行為を指します。技術基準の適合に影響のある改造等を行うことを含みます。なお、消費者が所有する電気用品の改造・ 修理行為は「製造」に該当しません。」

自分の物を直すのは「製造」ではありません。一方で、対象の品目の電気用品に、技術基準の適合に影響する改造をして事業として売るなら、表示を確かめるだけでは足りず、製造の決まりがかかってくる場合があります。

9-3. 修理の資格

修理そのものの資格としては、家電製品協会の認定資格に「家電製品エンジニア」があり、「家電のトラブル対応のプロフェッショナル」と紹介されています。調べた範囲(古物営業法、電気用品安全法、家電製品協会の案内)では、自分の物を直すのにこの資格が要る、という決まりはありませんでした。

10. 1台の収支を計算する

ジャンク修理が趣味で終わるか、お金になるかは、部品代と作業時間で決まります。私が出した数字を例に、計算機を置きます。

  • ゲームボーイアドバンスの液晶交換:山(まとめ売り)で買うと1台3,000円から。交換用の液晶はAliExpressで5,000円前後、汚れているときの本体の外装(シェル)が1,500円前後、電池の代わりにType-Cで充電できるバッテリーにする部品(バッテリー化モジュール)が3,500円前後。売値は15,000円から。Type-C化をしないと、売値は12,000円ぐらい(計算機では、部品は液晶とシェルの6,500円、作業時間は同じ3時間で置いています)
  • 作業は、初めての人の目線で3時間。慣れた人は1時間どころか、もっと短くなります。撮影20分、出品20分、梱包10分、発送10分
  • 財布の引手交換:仕入れ3,000円、部品代500円、売値8,500円。交換は10分から。撮影20分、出品15分、梱包10分、発送10分

ジャンク修理1台の収支と時給を計算する

例を選んで「例を入れる」を押すと、私が出した数字が入ります。自分の修理で考えるときは、数字を書き換えてから「計算する」を押してください。

初めの数字(ゲームボーイアドバンス、Type-C化あり)で計算すると、直っても1台あたり約520円の赤字です。Type-C化をしないと約280円の黒字ですが、時給は約70円です。部品代が売値の大半を占めるので、作業が速くなっても、ほとんど増えません。財布の引手交換は、部品代500円、作業10分なので、時給は約2,889円になります。

ゲーム機の修理は、やっている人が多く、利益はあまり出ないと私は見ています。私自身、そこからは引いています。それでもゲーム機を入口に置くのは、身近で、はんだごての練習台になり、失敗してもジャンクで売れるからです。入口のゲーム機で払うのは、儲けではなく、練習の費用です。

  • お金にする道は、部品代の小さい修理を選ぶ、売値の高い物を選ぶ、仕入れて直すのではなく頼まれて直して請求する形(修理の受注)に移る、の3つです。私自身は、ゲーム機や革製品のリペアをやってきた経験から、仕入れて直して売る形では利益が出にくく、受注の形にしないと利益は出ないと見ています。これは計算機の2つの例だけから言っているのではありません。受注の始め方は修理の受注の記事に書きました
  • 「儲からない」と言われる理由と、時給を分けている変数は、修理転売は儲からない?の記事で計算しています

11. 回路図が読める人へ

私が止まったのは、③と④の段です。手順を真似て直せるのは、誰かが同じ壊れ方の直し方を残している物までで、それより先は、独学では限界がありました。いまはAIが訳してくれるので、読めない人でも戦える範囲は広がりました。ただ、天井は、読める人には負けます。

仕事で測定器を使い、回路図を読んでいる人は、③と④の入口に、私より近いところにいます。ただ、回路図が手に入らない物もありますし、分解、部品の調達、組み立て直し、直したあとの確かめ方は、別の経験です。そこは②の段と同じで、手を動かして覚えるしかありません。

そのうえで、記録のない壊れ方を測って切り分けられるようになれば、②までの人が「直せない」と判断して手放したジャンクも、直す対象にできます。この記事は①と②の人に向けて書いたもので、③と④の具体的なやり方は、私には書けません。

12. まとめ

  • ジャンク品は、保証も返品もなく、直せるかは分からないまま買う物。買う前に「直せなかったらいくらで手放せるか」を決める(2章)
  • 修理は、①掃除、②部品交換、③測る、④回路図、の4つの段。私は動画を真似て②まで来て、独学ではそこが限界だった。いまはAIが訳してくれるので、天井は読める人に負けても、戦える範囲は広がっている(3章)
  • 勉強は、同じ型番の手順を真似る、壊しながら覚える、本・研修、AIに聞く、の4つを組み合わせる。AIで当たりをつけ、同じ型番の記録で確かめる(4章)
  • 最初の1台は好きな物。分解の記録が多く、電池かACアダプタで動き、直せなくても手放せる物(5章)
  • 道具は数千円から、段ごとに足す(6章)
  • やけど、感電、破裂は、私も経験した。はんだごて、コンデンサ、テスターのメーカーの注意を守る。コンデンサの端子を金属でじかにつながない(7章)
  • 許可が関わるのは売るとき。買い取って直して売ることを繰り返すなら古物商許可。電気製品を売る事業ならPSEの表示と、改造なら製造の決まり(9章)
  • お金になるかは、部品代と作業時間で決まる。私の数字では、ゲームボーイアドバンスの液晶交換は赤字か、ほぼ0だった(10章)

13. 参考にした資料

(いずれも2026年10月10日に確認)

14. あわせて読む

記事 どんなときに
修理転売の始め方 直した物を売るつもりで、最初の3台の進め方を知りたいとき
修理転売の4台目は何を買うか 直せなかったときの損を、買う前に計算したいとき
修理転売は儲からない? 時給を分けている変数を知りたいとき
プリンター修理は自分でできる? プリンターを直すとき。売るときの法令も
学習曲線とは 何台目でどのくらい速くなるかを考えるとき
修理の受注を始める順番 仕入れて直すのではなく、頼まれて直す形に移るとき
リペア職人はきついのか 修理を仕事にしたときの単価と時給を知りたいとき
ハードオフせどりは禁止? ハードオフでジャンクを買うとき

15. この記事について

書いた人 中古品の売買を20年近く続けてきた古物商。自作パソコンから始めて、プリンター、ゲーム機、オーディオ、掃除機などを直してきた
確かめた日 2026年10月10日(ハードオフのジャンクの案内、白光・日本ケミコン・日置電機の注意、警察庁の解釈運用基準、電気用品安全法、関東・近畿経済産業局のFAQ、家電製品協会の案内、メルカリの手数料と送料)
私の経験から書いたこと 最初に直した物、覚え方、回路図とテスターを使っていないこと、独学の限界、いまはAIが訳してくれるので戦える範囲が広がっているという見方、道具の金額、危ない目にあったこと、直した物と直せなかった物、ゲームボーイアドバンスと財布の数字、好きでないと続かないという見方
書かなかったこと テスターの具体的な使い方と、回路図の読み方(私ができないため)。危ない目にあったときの細かい状況。AIの答えが正しかったかを測って確かめた結果(測っていないため)

 

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