権威性とは|権威を持っていない個人サイトが、どこで負けて、かわりに何を出しているか

権威性とは|権威を持っていない個人サイトが、どこで負けて、かわりに何を出しているか 心理学・バイアス

権威性とは、「この人の言うことなら、信じてよさそうだ」と思わせる力のことです。この言葉は、いま、2つの場面で使われています。1つは、人を動かす心理の話(『影響力の武器』の「権威」の原理)。もう1つは、検索で上に出るための条件の話(GoogleのE-E-A-Tの「A」)です。

この記事では、2つの意味を説明したあとで、権威性を持っていない個人サイトの運営者として、私が実際にどうしているかを書きます。先に正直に言うと、私は自分の権威を使っていません。使わないと決めたのではなく、使えるほどのものを、まだ持っていないからです。本を出していませんし、講演の依頼が来るわけでもありません。そのかわりに何を出しているか、権威がないとどこで負けるのかを、自分のサイトの数字で見せます。

1. 権威性とは|2つの意味

心理の話 検索(SEO)の話
出どころ チャルディーニ『影響力の武器』の「権威」の原理 Googleの検索品質評価ガイドラインのE-E-A-T
中身 人は、肩書き、制服、専門家という目印に、考える前に従いやすい その分野で、頼りにされる情報源として知られているか
目印 肩書き、資格、受賞、著書、メディアへの登場、推薦 ほかのサイトからの言及やリンク、名前での検索、その分野での実績

E-E-A-Tは、経験(Experience)、専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼(Trust)の頭文字です。最初の「経験」は、2022年12月に足されました。4つの中心にあるのは「信頼」で、権威性は、信頼を支える柱の1つ、という位置づけです。

2つの意味は、根が同じです。読む人も、検索エンジンも、中身を1つずつ確かめる時間がないので、「だれが言っているか」を近道に使っています。

2. 権威性がないと、どこで負けるのか|自分のサイトの数字

私のサイトは、個人が運営しています。著書も、メディアへの登場もありません。その状態で、検索結果がどうなっているかを、Search Consoleの数字(2026年9月時点・直近3か月)で見せます。

検索語 平均の順位 その検索結果の上位にいるのは
千の顔を持つ英雄 53位 出版社、書店、事典、大手の書評サイト
千の顔を持つ英雄 要約 4.5位 個人のブログ、小さなメディア
アーキタイプ mbti 3.4位 個人のブログ、小さなメディア
ステップメール 作り方 ほぼ表示されていない メール配信の会社、マーケティング支援の会社

同じ本についての記事でも、本の名前そのものでは53位、「要約」をつけると4.5位です。差を作っているのは、記事の中身ではなく、その検索語で、権威のあるサイトが並んでいるかどうかです。

ここから分かることは、2つあります。

  • 権威のあるサイトが並ぶ検索語では、個人は勝てません。記事を何万字にしても、です。本の名前、商品の名前、会社が本業にしている言葉。ここは、追わないと決めたほうが早い
  • 権威のあるサイトが書かない問いでは、個人でも戦えます。「要約」「古い」「間違い」「実際にやってみた」。会社のサイトは、立場上、「この法則は古いのか」「自分でやったら失敗した」を書きにくい。そこが空いています

3. 権威性のかわりに、私が出しているもの

E-E-A-Tの4つのうち、個人が今日から出せるのは、最初の「経験」です。私のサイトは、ここに全部を寄せています。

出しているもの 具体的には
調べれば確かめられること 法人名、所在地、古物商の許可番号、サイトの開設年(2012年)
自分でやった数字と、その前提 仕入れ値、部品代、売値。いつの相場で、どんな条件だったか
失敗 説明文を読み落として5万円を失った、サイトに侵入されて記事を全部捨てた、最初の教材は達成者が出なかった
やっていないこと 事業の売却と買収は、教材で扱っているが、自分では未経験
使っている理論への、本音 試していない理論を、自己正当化で低く見ていた、と書く

肩書きは、借りてくることも、作ることもできます。失敗の記録と、前提つきの数字は、やった人にしか書けません。権威がない側が出せるもので、いちばん強いのは、これだと考えています。→ 自己紹介

4. 他人の権威を借りる|引用のしかた

自分の権威は使っていませんが、他人の権威は借りています。私の発信の中には、「国の調査では」「メルカリが調査した結果によると」という形で、公的な調査や、大きな会社の調査を引用しています。自分の言葉だけでは信じてもらえない数字を、信じてもらえる出どころに支えてもらう。権威の原理の、いちばんふつうの使い方です。

借りるときの決まりは、3つです。

  • 出どころを、たどれるようにする。「ある調査によると」では、借りたことになりません。だれが、いつ、何を調べたものかを書きます
  • 元の資料を、自分で開く。AIに聞いた出どころは、間違っていることがあります。このサイトのPASBECONAの法則の記事を書いたとき、AIは、2016年の本の副題を別の言葉に置きかえて答えてきました。出版社のページを開いて、2021年の本で初めて公開された、と確かめています
  • 自分の主張の土台にしない。調査は、前提をそろえるために使います。「だから、私の商品を買うべきです」の根拠には使いません。そこは、自分の数字で言います

5. 作られた権威を、見分ける

受け取る側のときのために、書いておきます。私のいる業界では、権威の目印は、お金で買えます。

  • 「〜に掲載されました」は、取材とは限りません。お金を払えば載る枠があります。記事の下に「PR」「広告」の表示がないかを見てください
  • 肩書きは、自分で名乗れます。「〜協会認定」「〜コンサルタント」は、資格を出している団体を調べると、本人か、その知り合いが作った団体だった、ということがあります
  • 実績の数字に、前提がない。「月収100万円」に、いつ、何を、何人で、経費はいくらで、が書かれていなければ、目印だけで中身がありません
  • 推薦文の人が、実在するか分からない。名前と顔写真だけで、その人をほかの場所で確かめられない推薦は、目印として数えないでください

『影響力の武器』が勧めている守り方は、2つの問いです。この人は、本当にその分野の専門家か。この人は、私に本当のことを言うと得をするのか、損をするのか。肩書きを見たら、この2つを聞いてください。7つの原理の全体は『影響力の武器』要約に書きました。

6. 権威性は、いつ使うのか

私は、権威を使うことが悪いとは思っていません。自分の名前や仕事が、よそで引用されるくらいになれば、使うかもしれません。本を出す。講演に呼ばれる。ほかの人の記事で、名前が出る。そうなったら、それは事実なので、書きます。

いまは、ないものを、あるように見せていないだけです。権威性を「高める方法」を探している人に、私が言えるのは1つです。先に、引用されるだけの中身を作ってください。肩書きを先に整えても、中身がなければ、2章の表のとおり、検索でも、読む人の前でも、持ちません。中身の作り方はコンテンツの作り方に、その前の段階は初心者の館に書きました。

7. まとめ

  • 権威性には、2つの意味がある。人を動かす心理としての権威と、検索で評価される条件としての権威性(E-E-A-TのA)
  • 権威のあるサイトが並ぶ検索語では、個人は勝てない。同じ本の記事が、本の名前では53位、「要約」では4.5位
  • 権威がない側が出せるのは、経験。確かめられる事実、前提つきの数字、失敗、やっていないこと
  • 他人の権威は、引用で借りられる。出どころをたどれるようにし、元の資料を自分で開く
  • 肩書きは、買えるし、名乗れる。見るのは、専門家かどうかと、本当のことを言って得をする立場かどうか
  • 権威は、持ってから使う。ないものを、あるように見せない

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