PASONA(パソナ)の法則は、売るための文章を「問題 → 親近感 → 解決策 → 提案 → 絞り込み → 行動」の順に並べる型です。神田昌典さんが作り、日本の販売ページの多くが、この並びを下じきにしています。
この記事では、旧PASONAと新PASONAの違い、6つの要素の書き方を、私の実物の登録ページの文を例にして説明します。そのうえで、正直に書きます。私はこの型を使わずにやってきました。そして、使わなかった理由は、試して効かなかったからではありません。自分のやり方を正しいと思いたい、という偏りです。ところが、この記事を書くために自分の登録ページを当てはめてみたら、使っていないはずのPASONAの順番に、ほぼそのまま並んでいました。
1. PASONAの法則とは|旧と新の違い
| 旧PASONA | 新PASONA | |
|---|---|---|
| P | Problem(問題) | Problem(問題) |
| A | Agitation(あおり) | Affinity(親近感) |
| S | Solution(解決策) | Solution(解決策) |
| O | Offer(提案) | |
| N | Narrow down(絞り込み) | Narrowing down(絞り込み) |
| A | Action(行動) | Action(行動) |
新PASONAは、2016年の『稼ぐ言葉の法則』(ダイヤモンド社)で示されました。変わった点は2つです。2つ目の要素が「あおり」から「親近感」になったこと。解決策と提案が、分けられたこと。
「あおり」が外されたのは、この型が広まるにつれて、不安をあおるだけの文章が増えたからです。問題を大きく見せて、こわがらせて、売る。旧PASONAの名前で出回っている販売ページの多くは、いまもこの形です。これから使うなら、新しいほうを使ってください。
9つの要素に広げたPASBECONAについては、PASBECONAの法則とはに書きました。
2. 6つの要素の書き方|私の登録ページの実物で
例に使うのは、私が動かしている無料メール講座の登録ページです。作り物の例文ではありません。
| 要素 | 書くこと | 私の登録ページの文 |
|---|---|---|
| P 問題 | 読む人の困りごとを、場面で書く | 「研究や開発の現場から離され、調整と承認作業に時間が溶けていくとき。」 |
| A 親近感 | 相手を責めず、同じ側に立つ | 「あなたが日頃、浅い副業ブームに感じている違和感。それは正しい。ズレているのは、あなたではありません。」 |
| S 解決策 | やることを1つにする | 「誰も直さない機器を直して売り、自分の判断にお金を払う第二の買い手を持つ。」 |
| O 提案 | 何を、いくらで、どんな条件で | 全6章・14通の無料メール講座。後半に有料の案内があることも、ここで書く |
| N 絞り込み | だれ向けで、だれ向けでないか | 「向いていない方を、先に書いておきます。」 |
| A 行動 | 次にやることを、1つだけ | 「メールアドレスを入力して送信 → 次の確認画面で完了です。」 |
書くときの要点
- 問題は、広く書かない。「将来が不安ではありませんか」は、だれの問題でもありません。読んだ人が、ある日の会議を思い出すくらいまで狭くします
- 親近感は、あおりの反対です。「このままだと大変なことになります」ではなく、「それは、あなたのせいではありません」
- 絞り込みは、人数でやらない。データを売っているのに「残り3名」と書くのは、うそです。絞るのは、向き不向きと、本当に閉じる期限だけにします
3. 私がPASONAを使ってこなかった、本当の理由
一般の本を読むと、売る文章にはPASONAを使え、と書いてあります。私は、本音では、言うほどのものではないと思ってきました。ただ、その理由を自分で点検してみると、ほめられたものではありません。
試して、効かなかったわけではありません。私は、物語の型(神話の法則、ヒーローズジャーニー)を土台にして発信を作り、それで安定して売れてきました。うまくいっている人間は、ほかのやり方を試す理由がありません。そして、試していないものを、「たいしたことはないはずだ」と思いたくなります。心理学でいう、自己正当化です(→ 認知的不協和とは)。
私の頭の中にあった理屈は、こうです。
- 神話は、何千年も語り継がれてきた。日本の昔話も、神話です。長い時間の中で、つまらない話は消え、残った話の形だけが残った。いちばん長く生き残ってきたしくみが、いちばん丈夫なはずだ
- それに対して、販売の文章の型は、できてからせいぜい数十年。数千年のふるいにかけられたものに、勝てるわけがない
- 私自身、映画でもゲームでも、あとまで覚えているのは、この物語の型で作られた作品ばかりだ
いま読み返すと、この理屈には穴があります。
- 比べているものが違います。神話の法則は「話をどう運ぶか」の型で、PASONAは「販売ページの部品をどう並べるか」の型です。同じ棚に並べて、どちらが上かを決めるものではありません
- 古さの比べ方が、公平ではありません。神話そのものは古くても、それを12のステージに整理したのは20世紀の人です。一方で、「問題を示して、解決を差し出す」という並びそのものは、広告の世界で昔から使われてきました。PASONAだけが新しく、神話の法則だけが古い、とは言えません
- 私は、測っていません。同じ商品を、PASONAで書いたページと、物語の型で書いたページで売り比べたことは、一度もありません
4. 当てはめてみたら、使っていた
2章の表を作っていて、気づいたことがあります。私の登録ページは、上から順に、こう並んでいます。
| 登録ページの上からの順番 | 物語の型で見ると | PASONAで見ると |
|---|---|---|
| 読む人のいまの状態を5つ | 日常の世界 | P 問題 |
| 「これは会社が悪いのではありません」 | — | A 親近感 |
| 第二の買い手を持つ、という答え | 冒険への誘い | S 解決策 |
| 実例、足が止まる質問への答え、失敗談、私の経歴 | 冒険の拒否/賢者との出会い | (証拠) |
| 講座の中身、3つの約束 | — | O 提案 |
| 向いている人・向いていない人 | — | N 絞り込み |
| 登録フォーム | 第一関門の突破 | A 行動 |
P、A、S、O、N、A。順番まで、ほぼそのままです。私は物語の型で作ったつもりでしたが、できあがったものは、新PASONAにも当てはまっていました。
考えてみれば、当たり前です。どちらの型も、「困っている人がいて、だれかが手を差し出し、その人が一歩を踏み出す」という同じ流れを、別の言葉で切り取っているだけだからです。物語の型は、その流れを読む人の気持ちの側から見ています。PASONAは、売る側が置く部品の側から見ています。
だから、いまの私の結論は、こうです。
- PASONAは、効かない型ではありません。私が効かないと思いたかっただけです
- 物語の型と、どちらかを選ぶものでもありません。物語の型で書いて、PASONAで点検する。部品の抜けは、PASONAのほうが見つけやすい
- それでも、私が土台を物語の型から替えることはありません。理由は、優れているからではなく、自分が覚えているのがそちらの型で作られた作品で、自分が書いていて納得できるのがそちらだからです。好みだ、と認めたほうが正確です。→ ヒーローズジャーニー(英雄の旅)とは
書いていて、もう1つ気づきました。この話そのものが、物語の型になっています。自分のやり方を正しいと思いたくて、長いあいだ無視してきた理論がある。それが、組み合わせの中で、実は自分のページの中で働いていたと、あとになって分かる。見落としていたものを持って、元の場所に帰ってくる。ヒーローズジャーニーでいう「宝を持っての帰還」は、こういう小さな形でも起きます。
5. 型よりも先に決まっているもの
型の優劣を気にする前に、1つ、数字を出しておきます。私は、有料の講座を買ってくれた人に、メールで個別の指導を案内しています。無在庫転売を教えていた時期は、およそ30人に1人が申し込みました。修理して売る方法に変えてからは、およそ100人に1人です。文章の作り方は、同じ考え方のままです。変わったのは、商品です。
どの法則で書くかは、だれに、何を売るかが決まったあとの、小さな調整です。PASONAか、神話の法則か、で悩んでいる時間は、私の自己正当化と同じくらい、実りがありません。
6. まとめ
- PASONAの法則は、問題・親近感・解決策・提案・絞り込み・行動の順に並べる型。旧PASONAの「あおり」は、新PASONAで「親近感」に替わった
- 問題は場面で書く。親近感はあおりの反対。絞り込みは、向き不向きと本当の期限だけ
- 私がPASONAを使ってこなかった理由は、試して効かなかったからではなく、自己正当化。売り比べたことは一度もない
- 自分の登録ページを当てはめたら、P・A・S・O・N・Aの順に並んでいた。物語の型とPASONAは、同じ流れを別の側から見ている
- 物語の型で書いて、PASONAで点検する。どちらで書くかより、だれに何を売るかのほうが、ずっと大きい
