「千の顔を持つ英雄」の要約とヒーローズジャーニー(神話の法則)|キャンベルの17の節、ボグラーの12ステージ、私の実話を当てはめた例と書き込み式テンプレート

千の顔をもつ英雄の要約とモノミス。キャンベルの17段階と、ヒーローズジャーニーの12ステージ 情報発信・コンテンツ販売

「千の顔を持つ英雄 要約」「モノミスとは」「ヒーローズジャーニー」「神話の法則」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。

『千の顔をもつ英雄』(1949年)は、神話学者ジョーゼフ・キャンベルが世界中の英雄の神話を比べて、「日常を出る(出立)→試練をくぐる(イニシエーション)→何かを持って帰る(帰還)」という共通の流れ(モノミス)があると論じた本です。よく言う「17段階」は、この3つの章の中の節の数です。この英雄の旅(ヒーローズジャーニー)を、ディズニーで働いていたクリストファー・ボグラーが、書き手向けに12のステージに整理しました。その本の最初の日本語版の題が『神話の法則』です。

呼び名 何のことか
千の顔をもつ英雄 キャンベルの本(1949年)。邦訳の新訳版は早川書房のハヤカワ文庫NF(2015年、上下2冊)。邦題の表記は「もつ」
モノミス(単一神話) キャンベルが、ジェイムズ・ジョイスから借りた言葉。どの文化の英雄の話にも共通する型のこと
17段階 本の第1部「英雄の旅」の、出立(5)・イニシエーション(6)・帰還(6)の節の数
ヒーローズジャーニー(英雄の旅) キャンベルが論じた、英雄がたどる旅の型の呼び名。元の本の中には出てこず、のちにキャンベル自身が使うようになった(キャンベル財団の説明)。ボグラーの12ステージを指して使われることも多い
12ステージ・神話の法則 ボグラーが書き手向けに整理した型。著書『The Writer’s Journey』の第2版の邦訳が『神話の法則』(2002年)、25周年記念版の邦訳が『作家の旅』(2022年)

この記事では、本の要約と12ステージの説明のあとで、私自身が古本の転売を始めた経緯を、この型に当てはめた例を出します。作り話の例ではなく、実際に私の発信で使っている筋です。最後に、ページの中で書き込めるテンプレートを置きました。

先に、正直に書きます。私は『千の顔をもつ英雄』を読み切れていません。読んでほしいのは、ボグラーの『神話の法則』のほうです。いま買うなら、新しい訳の『作家の旅』をすすめます。理由は1章に書きます。

1. 先に、立場を書きます

私は中古品の売買を20年近く続けてきた出品者で、いまは講座や個別指導を売っています。この型は、自己紹介と、メール講座の登録ページを作るときの土台にしています。

1-1. 『千の顔をもつ英雄』は、上巻で投げた

2016年5月29日に、『千の顔をもつ英雄〔新訳版〕上』(ハヤカワ文庫NF)を買いました。実務に使うために、理論の部分の解説を期待していました。ところが、上下2冊の分量で、訳も冗長で、何が言いたいのかを探すのが大変でした。読むのが苦痛なほどで、眠くなって読み進められず、途中で投げました。

だから、この記事の要約は、本文ではなく、早川書房の書籍ページ、大学図書館の目録(CiNii)とアメリカ議会図書館の目次、キャンベル財団(Joseph Campbell Foundation)の説明で書いています(2026年10月9日に確認)。本文の細部は扱っていません。

1-2. 読んでほしいのは『神話の法則』(いまは『作家の旅』)

ボグラーの本は、2002年の『神話の法則』と、2022年の『作家の旅』の両方を読みました。いま本棚に残っているのは『作家の旅』です。こちらのほうが読みやすいので、買うなら『作家の旅』をすすめます。ただ、売る文章や物語づくりの話では、いまも「神話の法則」という呼び名で語られることが多く、2つの呼び名は並んで出てきます。

1-3. 会ったことのない人に、神話の法則だけで売ってきた

私は、スタート地点からゴールまでの一貫した流れを、神話の法則の流れに沿って作ります。登録ページ(LP)も、ステップメールも、全部です。AIがなかったころは、神話の法則だけで、一度も会ったことのない人たちに売ってきました。そのころの規模は、メルマガの登録が月に100人前後、売上は月80万円から150万円ほどで推移していました。

私は、フォトショップもプレミアも使えません。LPには画像をほとんど使わず、文字が中心の2万字から5万字の手紙(セールスレター)です。それが読まれて、買われてきました。デザインや動画の技術が足りない分を、神話の法則で突破してきた、というのが実感です。

いまは神話の法則以外の型も使っていて、全体の組み立てはAIに任せています。それでも、ほかのスキルや知識が足りなくても、神話の法則と、主張を裏付ける経験があれば突破できる、と私は考えています。

2. 『千の顔をもつ英雄』の要約

2-1. どんな本か

キャンベル財団の説明では、『千の顔をもつ英雄』(The Hero with a Thousand Faces)は1949年にボーリンゲン叢書の17番目として出た、キャンベルが1人で書いた初めての長い本です。英雄の神話を研究して、どの文化の英雄の話にも共通する型(モノミス)があると論じました。

日本語の新訳版(早川書房、2015年12月、倉田真木・斎藤静代・関根光宏訳、上下2冊)の目次は、次のとおりです。

部 中身
プロローグ モノミス―神話の原形
第1部 英雄の旅 出立、イニシエーション、帰還、鍵
第2部 宇宙創成の円環 流出、処女出産、英雄の変貌、消滅
エピローグ 神話と社会

よく紹介される「英雄の旅」は第1部で、第2部は世界の始まりと終わりの神話の話です。要約で17段階だけを見ると、本の後半があることが抜け落ちます。

2-2. ひとことで言うと

キャンベル財団が、本の中から引いている一文です(訳は私)。

英雄は、ふだんの世界から、超自然の不思議な領域へ冒険に出る。そこで途方もない力に出会い、決定的な勝利を得る。英雄は、その不思議な冒険から、仲間に恵みを与える力を持って帰ってくる。

2-3. モノミスとは

モノミス(monomyth、単一神話)は、キャンベルが作家ジェイムズ・ジョイスから借りた言葉です。キャンベル財団の説明では、どの文化の英雄の話にも共通する、話の芯になる型を指します。

その芯は、「分離(出立)→イニシエーション→帰還」の3つです。キャンベルはこれを、成人の儀式のような通過儀礼の流れを大きくしたもので、モノミスの核の単位だと書いています。財団は、この3つは英雄の旅に必ずあるが、それぞれの中の細かい段階は、全部がそろうわけではないと説明しています。

2-4. 第1部の17の節(よく言う「17段階」)

アメリカ議会図書館の目次(2008年の版)で、第1部の3つの章の節は、次の17です。日本語は、節の名前を私が訳したもので、新訳版の訳語とは違うことがあります。

章 節(原文) 日本語(訳は私)
出立 1. The Call to Adventure 冒険への呼びかけ
2. Refusal of the Call 呼びかけの拒否
3. Supernatural Aid 超自然の助け
4. The Crossing of the First Threshold 最初の境界を越える
5. The Belly of the Whale 鯨の腹の中
イニシエーション 6. The Road of Trials 試練の道
7. The Meeting with the Goddess 女神との出会い
8. Woman as the Temptress 誘惑する女
9. Atonement with the Father 父との和解
10. Apotheosis 神格化
11. The Ultimate Boon 究極の恵み
帰還 12. Refusal of the Return 帰還の拒否
13. The Magic Flight 魔法の逃走
14. Rescue from Without 外からの救出
15. The Crossing of the Return Threshold 帰りの境界を越える
16. Master of the Two Worlds 2つの世界の主
17. Freedom to Live 生きる自由

第1部には、このあとに第4章「鍵(The Keys)」があります。番号の1〜17は、章をまたいで私が通しで振ったものです。

2-5. 読むときの注意:全部の神話に、この順番で出てくるわけではない

キャンベル財団は、17の節を「すべての英雄神話に、決まった順番で出てくる手順」と読むのは、キャンベルの言いたかったことではない、と説明しています。冒険の山場も、聖なる結婚、父との和解、神格化、霊薬を盗み出す、の4つのどれになるかは話しだいだと書いています。

また、「the hero’s journey(英雄の旅)」という言い方は、元の本の中には出てきません。本では「英雄の探求」「英雄の行い」といった言い方をしていて、のちにキャンベル自身が「英雄の旅」という言い方を使うようになった、と財団は説明しています。

2-6. 『スター・ウォーズ』との関係

キャンベル財団は、ジョージ・ルーカスが1985年に話した言葉を紹介しています。脚本の下書きを何度も書いて、何百ページにもなって行き詰まっていたところで『千の顔をもつ英雄』に出会い、「500ページほどあったものを、これが話だ、と言ってくれた」という内容です(要約は私)。早川書房の書籍ページも、この本を〈スター・ウォーズ〉シリーズ創造のインスピレーションの源と紹介しています。

3. ヒーローズジャーニー(神話の法則)の12ステージ

3-1. ボグラーが、ディズニーで書いたメモから

クリストファー・ボグラーは、ウォルト・ディズニー社で働いていたときに、キャンベルの込み入った体系を、書き手や映画会社の人が物語を良くするために使える「実用の手引き」に書き直した、7ページのメモを書きました。このメモが出発点になって、のちに著書『The Writer’s Journey』になった、と本人がブログに書いています。

日本語版は、原書の第2版を訳した『神話の法則 ライターズ・ジャーニー』(岡田勲監訳、講元美香訳、ストーリーアーツ&サイエンス研究所、2002年)と、25周年記念版を訳した『作家の旅 ライターズ・ジャーニー 神話の法則で読み解く物語の構造』(府川由美恵訳、フィルムアート社、2022年)です。「神話の法則」という呼び名は、この本の題から来ています。ステージの訳語は版で違い、たとえば2022年の訳では「日常世界」「冒険への誘い」「冒険の拒否」「師との出会い」「最初の戸口の通過」です(CiNiiの目次)。

3-2. 12のステージ

ステージの名前は、アメリカ議会図書館の目次(2007年の第3版)のものです。日本語は、2002年の日本語版の「日常の世界」「冒険への誘い」に合わせた私の言い方です。例には、この型でよく分析される映画『スター・ウォーズ』(1977年の第1作)を使いました。当てはめ方は一例です。

ステージ 原文 何が起きるか 『スター・ウォーズ』では(一例)
1 日常の世界 Ordinary World 旅に出る前の暮らし。何かが足りない 辺境の星の農場で働くルーク
2 冒険への誘い Call to Adventure 日常を破る知らせや出来事 ロボットに入っていたレイア姫の伝言
3 冒険の拒否 Refusal of the Call いったん断る 農場の仕事がある、と断る
4 賢者との出会い Meeting with the Mentor 導く人が現れる オビ=ワン・ケノービ
5 第一関門の突破 Crossing the First Threshold 後戻りできない一歩 家族を失い、星を出る
6 試練、仲間、敵 Tests, Allies, Enemies 新しい世界のルールを学ぶ ハン・ソロたちと組む
7 最も危険な場所への接近 Approach to the Inmost Cave いちばん奥の、怖い場所へ近づく デス・スターの内部へ入る
8 最大の試練 Ordeal 死に近い体験。何かを失う オビ=ワンを失う
9 報酬 Reward (Seizing the Sword) 試練の先で、何かを手に入れる 姫を救い出し、設計図の入ったロボットと一緒に脱出する
10 帰路 The Road Back 追われながら戻る 追ってくる戦闘機を振り切って基地へ戻るが、デス・スターも基地に迫る
11 復活 Resurrection 最後の戦いで、別の人間になる 計器を切り、自分の感覚を信じて撃つ
12 宝を持っての帰還 Return with the Elixir 手に入れたものを、元の世界に持ち帰る 仲間のもとへ戻る

大きく分けると、旅立ち(1〜5)、試練(6〜9)、帰還(10〜12)の3つです。

3-3. キャンベルの17段階との違い

  • キャンベルの出立は「冒険への呼びかけ」から始まります。ボグラーは、その前に「日常の世界」を置きました
  • 名前が同じなのは、冒険への呼びかけ(誘い)、呼びかけの拒否、最初の境界を越える(第一関門の突破)の3つです。ほかは、1対1には対応しません
  • キャンベルの17は、神話を比べた本の節です。ボグラーの12は、書き手が物語を組み立てたり直したりするための手引きです
  • ボグラーの本には、英雄、賢者(メンター)、門番、使者、変身する者、影、トリックスターといった登場人物の型(アーキタイプ)の章もあります
  • キャンベルの本の第2部(宇宙創成の円環)は、12ステージには入っていません

どちらも大きな流れは「出る・試される・帰る」で、ボグラーはその中の要素を、書き手が使いやすいように並べ直しています。厳密な対応表があるわけではありません。物語の型として使うなら12ステージのほうが扱いやすく、神話そのものを知りたいならキャンベルの本、という分け方になります。

4. 実例:私が古本の転売を始めた話を、当てはめる

4-1. 4つの場面で書いた話

12は、自分の話を書くには多すぎます。私は、ふだんは4つに絞って書いています。どの出来事をどのステージに置くかは、私の当てはめです。

日常の世界

大学3年生。研究室には受け入れてもらえず、就職活動では面接で落ち続けていました。まわりの、ほかの大学の学生のレベルの高さに圧倒され、ここまで差がついているのかと絶望していました。

冒険への誘い

ある日、就活の帰りに、たまたまブックオフの門前仲町の店に入りました。数日前にAmazonで買ったばかりのロジカルシンキングの本が、100円で売られていました。あまりに安いので買って、Amazonに出してみたら、30分で売れました。これは、同じことを繰り返せるのではないか。

最も危険な場所への接近

内定は取れました。けれど、自分が社会人としてやっていける確信が持てません。頼んでインターンをさせてもらい、任されたのはホームページの更新でした。かんたんな更新なのに、3時間、4時間かけても、まったくできません。隣の席には、1年先に入った、自分より年下の先輩がいて、上司から、仕事ができないことを延々と怒られ続けていました。この場所で、やっていけるのか。

宝を持っての帰還

インターンが終わり、留年も決まったので、内定を辞退しました。もう一度就活をやり直し、今度は証券会社に行きたいと思って、学生団体の勉強会にも通いました。IT業界を志望していたときより、志望動機はすらすら話せて、面接は進みます。それでも、三次面接や最終面接で落とされました。そのかたわら、友人と起業もしましたが、しっくりこなくて辞めました。

行きたい会社がない。それなら、自分が行きたい会社を、自分で作るしかない。そう考えて、並行してうまくいっていた古本の転売でやっていくと決めました。弟子入りした先輩の指導が自分に合っていて、言われたことを全部やったら、月の収入が50万円まで上がり、就職する必要がなくなりました。

4-2. 12ステップに全部当てはめた表

右端の列は、実際に起きた順番です。型の順番とは一致しません。

ステップ 私の場合 実際の順番
1 日常の世界 大学3年生。研究室に受け入れてもらえず、就職活動では面接で落ち続ける。まわりの他大学の学生との差に絶望していた 1
2 冒険への誘い 就活の帰りに入ったブックオフ門前仲町店で、数日前にAmazonで買ったロジカルシンキングの本が100円で売られていた。買ってAmazonに出したら、30分で売れた 2
3 冒険の拒否 それでも就職するつもりで就活を続け、内定を取った 3
4 賢者との出会い 弟子入りした先輩。指導が自分に合っていた 9
5 第一関門の突破 留年が決まり、内定を辞退した 5
6 試練・仲間・敵 証券会社を目指して学生団体の勉強会に通う。友人と起業するが、しっくりこなくて辞める 6
7 最も危険な場所への接近 頼んでさせてもらったインターン。ホームページのかんたんな更新が、3〜4時間かけてもできない。隣では、年下の先輩が上司に怒られ続けていた 4
8 最大の試練 志望動機はすらすら話せるのに、三次面接、最終面接で落とされ続ける 7
9 報酬 「行きたい会社がないなら、自分が行きたい会社を自分で作るしかない」という考え 8
10 帰路 (空欄) ―
11 復活 先輩に言われたことを、全部やった 10
12 宝を持っての帰還 月の収入が50万円になり、就職する必要がなくなった 11

※50万円は、当時の古本の相場での数字です。いま同じことをやって、同じ結果になるわけではありません。

4-3. 当てはめて分かったこと

  • 順番は入れ替わります。型では4番目の「賢者との出会い」が、私の場合は9番目に起きました。7番目の「危険な場所への接近」は、4番目に起きています。現実は、脚本のようには進みません。順番を型に合わせるために、事実を動かしてはいけません
  • 空欄が出ます。10番の「帰路」に当たる出来事は、私にはありませんでした。無理に埋めると、作り話になります
  • 宝は、小さくてかまいません。私の話の宝は「就職する必要がなくなった」です。大金持ちになった、ではありません。読む人が自分の話として読めるのは、手が届く大きさの宝のほうです
  • 省きたくなるのは、試練の場面です。3時間かけてもホームページを更新できなかった話は、書いていて気分のいいものではありません。でも、ここを省くと、残るのはただの成功談です
  • 12の枠に並べると、抜けが見えます。4つの場面だけで書いた話には、3番(本が売れたあとも、就職するつもりだった)が入りません

2-5のキャンベル財団の説明のとおり、この型は、全部の段階が順番どおりに出てくる手順ではありません。私の話で空欄や入れ替わりが出るのも、そのためです。

5. 売る文章での使い方は、2つある

5-1. 自分の話を、この型で語る

4章がそれです。自己紹介や、メール講座の早い回で使います。目的は、信用してもらうことよりも、覚えてもらうことです。私自身、この型で作られた作品は、あとまで覚えています。案内を受け取る側にとっても同じで、「ほかの売り手とは違う何か」として記憶に残ります。いろいろな型を試しましたが、結果がいちばん安定したのは、この型を表現の土台にしたときでした。

5-2. 読む人を、主人公にする

私のメール講座の登録ページは、章がそのまま旅のステージになっています。ページの中の小さな英語の見出しも、THE ORDINARY WORLD(日常の世界)、THE CALL(誘い)、THE THRESHOLD(関門)、CROSSING THE THRESHOLD(関門の突破)と、ステージの名前をそのまま使っています。ただし、主人公は私ではなく、読む人です。

登録ページの章 ステージ 書いてあること
いまの現在地 日常の世界 正しい選択が通らない、承認を3週間待たされる、という読む人の毎日
同じ構造が、別の場所にもある 冒険への誘い 「壊れているから安い」のではない、という知らせ
ここで、たいてい足が止まる 冒険の拒否 「自分に直せるのか」という、断る理由への答え
私は、あなたとは真逆の地点から始めました 賢者との出会い 私の経歴。私は主人公ではなく、案内する側
まず14通、受け取ってください 第一関門の突破 登録

売る側が主人公のままのページは、自慢話になります。読む人を主人公にして、自分は4番目の「賢者」の席に座る。これが、売る文章でのいちばん大事な使い方だと考えています。ページ全体の構成はLPの作り方に書きました。

6. 書き込み式テンプレート

12ステップを、そのまま書き込めるひな形です。各ステップの下には書くことの目安を付けました。実際に起きた順番を入れておくと、型の順番とは別に、起きた順に並べ直した骨組みも出ます。まとめた文はコピーできます。

神話の法則テンプレート(12ステップ・書き込み式)

書けるところだけ書いてください。1ステップにつき、1〜3文で足ります。右の小さな欄には、その出来事が実際に何番目に起きたかを入れます(分からなければ空欄)。入力した内容は、このページの中で使うだけで、どこにも送られません。













 

6-1. 時間がない人のための、4つの問い

12は、自分の話を書くには多すぎます。私がふだん使っているのは、次の4つだけです。上のテンプレートの1・2・7・12番だけを埋めれば、この4つになります。

  • 日常の世界:始める前、どこで、何に行き詰まっていたか。(場所と、年と、具体的な場面)
  • 冒険への誘い:最初の「あれ?」は何だったか。(日付が浮かぶくらいの、小さな出来事)
  • 最も危険な場所への接近:いちばん「自分はだめかもしれない」と思った場面はどこか。
  • 宝を持っての帰還:何を手に入れて、何をしなくてよくなったか。(小さく、正確に)

6-2. AIに文章にしてもらうときの順番

テンプレートを埋めてから、AIに渡してください。「骨組みにまとめる」で出てきた文を、実際に起きた順番も含めてそのまま貼り、出来事と順番は変えないように頼みます。

逆の順番、つまり、何も渡さずに「神話の法則で、感動的な起業ストーリーを書いて」と頼むと、AIは12ステップを全部、もっともらしい出来事で埋めてきます。空欄も、順番の入れ替わりもない、きれいな話です。きれいすぎる話は、誰の話でもありません。4-2の表の「空欄」と「実際の順番」の列は、AIには埋められません。材料と文章の分け方はコンテンツの作り方に書きました。

7. 使うときに守っていることと、この型の限界

7-1. 守っていること

  • 事実を動かさない。型に合わせるために、順番や出来事を作らない
  • 宝を大きく書かない。「あなたもこうなれます」と約束しない。私の50万円は、当時の古本の相場での数字です
  • 試練を省かない。うまくいった場面だけを並べると、型はただの自慢の順番表になります
  • 帰還のあとも書く。私の場合、就職しなくてよくなったあとに、自分の作業時間がそのまま収入の上限になる、という別の壁が来ました。旅は1回で終わりません。続きは自己紹介に書いてあります

7-2. この型の限界

型だけで売れる、ということはありません。1-3に書いたとおり、私は神話の法則だけで売ってきましたが、その裏には、主張を裏付ける経験がありました。私は同じ作り方で、個別指導の案内をしてきました。教える中身が無在庫転売だった時期は、およそ30人に1人が申し込みました。修理して売る方法に変えてからは、およそ100人に1人です。物語は、覚えてもらうためのものです。買う理由そのものは、商品と、相手との相性が決めます。

登場人物の型(アーキタイプ)は、使いにくいので、私はあまり使っていません。物語を作る人には役に立つ道具です。ただ、私の発信の中身は、特定のキャラクターを演じることからではなく、自分との対話と内省から出てきました。12タイプの一覧と診断はアーキタイプ診断に置いてあります。

どの話にも当てはまるわけではありません。キャンベルの型も、キャンベルが神話を比べて論じたもので、すべての物語に当てはまると証明された法則ではありません。旅に出ない主人公、帰ってこない主人公の物語もあります。型は、書き終わったあとに「試練を省いていないか」「宝を盛っていないか」を点検する道具として使うのが、ちょうどよい距離です。

8. よくある質問

『千の顔をもつ英雄』の内容は?

世界中の英雄の神話を比べて、出立・イニシエーション・帰還という共通の流れ(モノミス)があると論じた本です。第1部が英雄の旅、第2部が世界の始まりと終わりの神話(宇宙創成の円環)です(2章)。

モノミスとは、どういう意味ですか?

キャンベルがジェイムズ・ジョイスから借りた言葉で、どの文化の英雄の話にも共通する型のことです。芯は「分離(出立)→イニシエーション→帰還」の3つです(2-3)。

スター・ウォーズと『千の顔をもつ英雄』は関係ありますか?

あります。キャンベル財団は、ルーカスが1985年に、脚本に行き詰まっていたところでこの本に出会い、話の形が決まったと語った言葉を紹介しています。早川書房も、〈スター・ウォーズ〉創造のインスピレーションの源と紹介しています(2-6)。

ヒーローズジャーニーと神話の法則は、違うものですか?

ヒーローズジャーニー(英雄の旅)は、キャンベルが論じた英雄の旅の型の呼び名で、キャンベル自身ものちに使いました。『神話の法則』は、ボグラーがそれを書き手向けに12ステージに整理した本の、2002年の日本語版の題です。12ステージのことを「ヒーローズジャーニー」と呼ぶ説明もよく見かけますが、キャンベルの本の17の節とは区切り方が違います(3章)。

17段階と12ステージ、どちらを使えばいいですか?

自分の話や物語を組み立てるなら、12ステージのほうが扱いやすいです。それでも12は多いので、私は1・2・7・12番の4つで書いています(6-1)。神話そのものを知りたいなら、キャンベルの本です。

「千の顔を持つ英雄」と「千の顔をもつ英雄」、どちらが正しい表記ですか?

早川書房の新訳版の題は「千の顔をもつ英雄」(ひらがなの「もつ」)です。検索では「持つ」と漢字で書かれることも多く、同じ本を指しています。

『千の顔をもつ英雄』と『神話の法則』、読むならどちらですか?

私は『神話の法則』をすすめます。いま買うなら、新しい訳の『作家の旅』(フィルムアート社、2022年)です。『千の顔をもつ英雄』は、新訳版の上巻を買いましたが、訳が冗長で読み切れませんでした(1-1)。

『神話の法則』と『作家の旅』は、同じ本ですか?

同じボグラーの『The Writer’s Journey』の日本語版です。『神話の法則』(2002年)は原書の第2版の訳、『作家の旅』(2022年)は25周年記念版の訳です(3-1)。

9. まとめ

  • 読むなら『神話の法則』。いま買うなら新しい訳の『作家の旅』。『千の顔をもつ英雄』は、私は訳が読みにくく、読み切れなかった
  • 『千の顔をもつ英雄』は、英雄の神話に共通の型(モノミス)があると論じた、1949年のキャンベルの本。芯は出立・イニシエーション・帰還の3つ
  • 「17段階」は、第1部の3つの章の節の数。全部の神話に順番どおり出てくる手順ではない
  • ヒーローズジャーニー(英雄の旅)は、キャンベルの型の呼び名。ボグラーが書き手向けに12ステージに整理し、その本の邦訳の題が『神話の法則』
  • 自分の話を書くなら、日常・誘い・接近・帰還の4つで足りる。現実の出来事は、型の順番どおりには起きない
  • 売る文章では、読む人を主人公にして、自分は「賢者」の席に座る。物語は覚えてもらうためのもので、売れるかどうかは商品と相手が決める

10. 出典

(いずれも2026年10月9日に確認)

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12. この記事について

書いた人 中古品の売買を20年近く続けてきた出品者。自己紹介とメール講座の登録ページを、この型を土台に作っている
確かめた日 2026年10月9日(キャンベル財団の説明、早川書房の書籍ページ、CiNiiとアメリカ議会図書館の目次、ボグラー本人のブログ)。2026年11月1日(フィルムアート社の『作家の旅』の書誌)
私の経験から書いたこと 古本の転売を始めた経緯と、その12ステップへの当てはめ。メール講座の登録ページの構成。個別指導の申し込みの割合(30人に1人、のちに100人に1人)。使うときに守っていること。『千の顔をもつ英雄』を上巻で投げたこと。『神話の法則』と『作家の旅』を読んだこと。神話の法則だけで売っていたころの規模(登録が月100人前後、売上が月80万〜150万円)。LPが文字中心の2万〜5万字であること
確かめられなかったこと 原書と新訳版の本文、各節の新訳版での訳語、ボグラーの日本語版の各ステージの訳語。本の中身は、目次とキャンベル財団の説明の範囲で書いている
この記事にまとめた記事 「ヒーローズジャーニー(英雄の旅)とは」と「神話の法則テンプレート」は、この記事にまとめました

 

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