「教授 言い方 きつい」「教授 メール 返信こない」「研究室 教授 合わない」「指導教員 合わない」「教授 怖い」「博士課程 指導教員 合わない」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。
教授の言い方がきつい・メールの返信が来ないことが「指導」か「アカデミック・ハラスメント(アカハラ)」かを、言葉や日数で一律に決める基準は、大学の公式のガイドラインにもありません。7大学(東京大学・名古屋大学・広島大学・岡山大学・東京理科大学・法政大学・早稲田大学)のガイドラインの例示を並べると、指導の放棄・拒否・放置は7大学すべて、人格を否定する言葉・侮辱・暴言は5大学が例に挙げています。一方で名古屋大学は「客観的にみて,教育又は研究上必要かつ相当な範囲で行われる適正な指示や指導等については,アカデミック・ハラスメントには該当しません。」と書いていて、厳しい指導そのものをハラスメントとはしていません。当たるかどうかは、大学の相談窓口と委員会の手続きで扱われます。例示している大学の数から、あなたのケースが当たるかどうかは推定できません。
返信が来ないときは、何日待てばよいかを書いた大学の公式案内は見つかりませんでした(学生向けのメールの書き方の案内5件のどれにも、返信の期限・催促のしかたは書かれていません)。1通のメールに返信がないことと、論文原稿や研究指導が続けて放置されていることは、別のことです。ガイドラインの例示は後者の書き方で(「数ヶ月経っても添削指導をしない」(名古屋大学)、「長期間放置」(東京大学・岡山大学))、日数の線はありません。この記事では、締切から逆算して確認・催促する日を決める方法と文面を計算機で出します(日数はこの記事の目安です)。
指導教員と合わないときの道は、伝え方と頻度を決めて続ける、副指導教員・ほかの教員・学生相談に相談する、指導教員を変える(通常の変更は新旧の指導教員の承認を求める例が多い一方、承認が得られない場合に委員会が判断できると書く大学(会津大学)もあり、承認が得られそうになくても教務や相談窓口に相談できる。ハラスメントなどを理由とする変更は、相談・申立ての手続きの中で大学が取る措置として行われる例がある)、休学する、の4つです。ハラスメントに当たると感じる言動があるときは、記録を残して大学のハラスメント相談窓口に相談できます。相談したことを理由にした不利益な取扱いを禁じる文は、名古屋大学・東京理科大学・法政大学・早稲田大学・山形大学の資料にあります。
私は大学で研究室に所属したことがなく、指導教員との関係を経験していません。この記事は、大学のガイドライン・規程・案内と、公的な調査だけで書きます。
| 知りたいこと | 答え | 章 |
|---|---|---|
| 教授の言い方がきついのはアカハラか | 言葉で一律には決まらない。人格を否定する言葉・侮辱は7大学中5大学が例示。研究への厳しい指摘そのものを例示した大学はないが、研究内容への指摘という分類だけでは判断できず、必要性・指摘の仕方・頻度・研究や修学への影響を踏まえて考える。例示の数から個別のケースは推定できない。判断は大学の窓口・委員会の手続き | 2章 |
| 教授からメールの返信が来ない | 待つ日数を書いた公式案内はない。届いていない可能性(迷惑メール判定など)を先に疑い、締切から逆算して確認する。日程と文面は計算機2 | 3章 |
| 返信がないのはアカハラか | 1通のメールに返信がないことと、論文原稿・研究指導が続けて放置されることは別。例示は後者の書き方(「数ヶ月」「長期間」)で7大学すべてにあるが、日数の基準はない。例示の数から個別のケースは推定できない | 2章・3章 |
| 教授が怖い・詰められる | 怒鳴る・人前で無視するなどは東京大学の相談所の例にある。厳しい質疑そのものとは分けて考える | 2章 |
| 指導教員と合わない | 「合わない」(相性)そのものを例示した大学はない。続ける・相談する・変える・休学するを比べる(計算機3) | 4章 |
| 博士課程で指導教員と合わない | 主指導教員1人・副指導教員2人の体制を定めた博士課程の例がある。変更は新旧の承認を求める例が多いが、承認が得られない場合に委員会が判断できる大学(会津大学)もあり、承認が得られそうになくても相談できる | 4章 |
| 相談先と記録 | ハラスメント相談窓口・学生相談室・教務・学外の人権相談。記録は「いつ,どこで,誰から,どのようなこと」(法政大学) | 5章 |
| 大学教員は仕事にどう時間を使っているか | 大学教員の年間の職務時間は、教育30.4%・研究32.2%・学内事務等19.7%(令和5年度の調査、全国の推計)。個別の教員の忙しさは、この数字からは判断できない。返信の遅さの理由を調べた調査でもない | 6章 |
| 自分の場合 | 指導かハラスメントかの切り分け(判定はしない)、催促の日程と文面、選択肢の比較、状況別の相談先を計算機で | 8章 |
1. 先に、この記事の数字と、書いている人について
私は大学で研究室に所属したことがなく、指導教員との関係で悩んだ経験もありません。ここで書くのは、大学が公表しているハラスメント防止のガイドライン・相談の案内・規程と、文部科学省・厚生労働省・日本学生支援機構などの公的な資料から取った内容です。民間のQ&Aサイト・個人のブログ・転職や就活のメディアは使っていません。
ガイドラインは、国立4大学(東京大学・名古屋大学・広島大学・岡山大学)と私立3大学(東京理科大学・法政大学・早稲田大学)の公開資料を、取れた最新版で並べました。東京理科大学と早稲田大学は2026年10月1日の改訂版です。7大学は検索で公式資料が取れた大学で、全国の大学から選んだ標本ではありません。「7大学中5大学」は全国の割合ではなく、この7大学の中での数です。
この記事も計算機も、ある言動がハラスメントに当たるかどうかを判定しません。判断は、大学の相談窓口・委員会の手続きの中で行われます。記事で「当てはめ」と書いた部分は、公式資料の文を組み合わせたこの記事の読み取りで、そう書いた公式文はありません。「計算」と書いた数字は、出典の数字を割り算・足し算しただけのものです。
2. 教授の言い方がきつい・怖い:指導かアカハラか
2-1. 指導との境界を書いた文
7大学のガイドラインの多くは、指導との境界を「必要かつ相当(適切)な範囲」という言葉で書いています。
- 名古屋大学:「なお,客観的にみて,教育又は研究上必要かつ相当な範囲で行われる適正な指示や指導等については,アカデミック・ハラスメントには該当しません。」
- 法政大学:「教育・研究,修学等の環境における優越的な関係を背景に,教育・研究,修学上必要かつ適切な範囲を超えて他の構成員に対して不当な言動を行うこと」
- 早稲田大学:「教育研究上必要かつ相当な範囲を超えて、その指導等を受ける者の研究意欲および研究環境を著しく阻害したり、」「精神的・身体的な苦痛を与える不適切な言動、指導または待遇を指します。」。あわせて「教育研究上の指導においては、指導のあり方が多様であり、また指導を受ける側の個々人の感じ方や微妙なニュアンスの違いもあって判断がむずかしいケースもあることは事実であり、」とも書いています。
- 岡山大学:「職務,教育又は研究の適切な範囲を超える言動」
- 東京大学(アカデミックハラスメント防止宣言):「教育には厳しさが必要だが、それは学生を対等な人格として認め、その人格を尊重することが前提である。」
どの大学も、厳しい指導そのものをハラスメントとは書いていません。早稲田大学はパワー・ハラスメントの項で「職務上・就学上厳しい指摘がなされることがありますが、これらは、このパワー・ハラスメントとは区別されねばなりません。」とも書いています。
2-2. 7大学の例示を並べると
7大学のガイドラインがアカデミック・ハラスメントの例として挙げている言動を、項目ごとに数えました(○=例示・定義にある。近いが別の書き方・別の区分のものは数えていません)。
| 項目 | 例示している大学(7大学中) | 原文の例 |
|---|---|---|
| 指導の放棄・拒否・放置 | 7(東大・名大・広島・岡山・東京理科・法政・早稲田) | 「学生の論文原稿を受け取ってから数ヶ月経っても添削指導をしない等,必要な教育上の指導を実施しない。」(名古屋大学) |
| 研究の妨害(機器・文献・発表・出入り) | 6 | 「正当な理由なく研究室の出入りを禁止する。」(岡山大学) |
| 進路・就職・推薦書の妨害 | 6 | 「合理的な理由なく奨学金,学術振興会特別研究員等の申請に必要な推薦書を書かない。」(名古屋大学) |
| 卒業・修了・学位の妨害、退学・留年の示唆 | 5 | 「指導教員からの退学・留年勧奨」「学位の取得妨害」(早稲田大学) |
| 人格否定・侮辱・暴言 | 5 | 「みんなの前で『無能だな』と人格を否定することを言われる」(東京大学の相談所の例) |
| 成果・著者の搾取 | 4 | 「正当な理由なく論文著者の削除・追加又は執筆者の順序を変更する。」(名古屋大学) |
| 過大な要求・長時間の拘束 | 4 | 「必要のない徹夜実験や休日の実験を強要する。」(岡山大学) |
| 不公正な評価・差別的な扱い | 4 | 「学位や単位取得に関して不当な評価を行う等、不公正な取り扱いをすること。」(東京理科大学) |
| 不正への巻き込み | 4 | 「教授が望む実験結果が出なかった場合に『どうしたらいいかわかるでしょ?』と不正を示唆される」(東京大学の相談所の例) |
| 研究テーマを与えない・押しつける | 3 | 「本人の希望に反する学習・研究計画や研究テーマを押しつける。」(岡山大学) |
| 指導教員の変更・異動への干渉 | 3 | 「指導教員の変更を申し出た学生に、「私の指導が気に入らないなら退学しろ。」などといって、正当な手続きをさせない。」(岡山大学) |
| 私的な用事・雑用の強要 | 1 | 「教育・研究に無関係な雑務又は私用を強要すること。」(法政大学) |
7大学ごとの対応は次のとおりです(○=例示・定義にあり数えた、△=近いが別の書き方・別の区分にあり数えていない、—=取れた範囲の資料にない)。
| 項目 | 東京大学 | 名古屋大学 | 広島大学 | 岡山大学 | 東京理科大学 | 法政大学 | 早稲田大学 | ○の数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 指導の放棄・拒否・放置 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 7 |
| 研究の妨害(機器・文献・発表・出入り) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | 6 |
| 進路・就職・推薦書の妨害 | ○ | ○ | — | ○ | ○ | ○ | ○ | 6 |
| 卒業・修了・学位の妨害、退学・留年の示唆 | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | — | ○ | 5 |
| 人格否定・侮辱・暴言 | ○ | ○ | △ | ○ | — | ○ | ○ | 5 |
| 成果・著者の搾取 | ○ | ○ | △ | ○ | ○ | — | — | 4 |
| 過大な要求・長時間の拘束 | △ | ○ | △ | ○ | ○ | — | ○ | 4 |
| 不公正な評価・差別的な扱い | — | ○ | — | ○ | ○ | — | ○ | 4 |
| 不正への巻き込み | ○ | ○ | ○ | ○ | — | — | — | 4 |
| 研究テーマを与えない・押しつける | — | ○ | — | ○ | ○ | — | — | 3 |
| 指導教員の変更・異動への干渉 | — | — | ○ | ○ | ○ | — | — | 3 |
| 私的な用事・雑用の強要 | — | △ | △ | — | — | ○ | — | 1 |
数え方の基準です。
- 区分はこの記事が原文の例示を読んで分けたもので、大学の見出しとは一致しません。同じ例示や同じ見出しの中の文を、複数の区分に数えることがあります(東京大学の相談所の例「教育指導上の妥当な説明なく学位取得や卒業、就職を諦めるよう言われる」は進路と卒業の両方、岡山大学の見出し「3 選択する権利の侵害」の中の文は進路・テーマ・指導教員の変更の3つの区分)。
- 例の文がなく見出しだけにある場合は、見出しの言葉が区分とそのまま重なるときだけ○にしました(広島大学の見出し「攻撃、追い詰め、知見や労働の搾取、不正行為への巻き込み」の「不正行為への巻き込み」、岡山大学の見出し「就職・進学の妨害」)。同じ広島大学の見出しの「知見や労働の搾取」は、論文の著者や成果の扱いの例がないので△にしました。
- 名古屋大学の見出し「2)研究の妨害」には、6つの例(順に、過度な成果の要求/研究発表の制限・研究チームからの排除/研究費の使途の制限・不合理な配分/機器・設備を使わせない/研究課題の強制/論文著者の削除・追加・順序の変更)が入っています。この記事では、発表の制限・排除と機器・設備を「研究の妨害」、過度な成果の要求を「過大な要求」、研究課題の強制を「テーマ」、論文著者の変更を「成果・著者の搾取」に数え、研究費はどの区分にも入れていません。
- 東京大学は、宣言に具体例の列挙がないため、ハラスメント相談所の「相談できること」の例(9例)で数えました。
- 広島大学の△は、パワー・ハラスメントの項にある例や、見出しが近いだけのものです。早稲田大学の研究の妨害は教員間の例として書かれているので△にしました。東京理科大学の「指導教員の変更・異動への干渉」は、他の研究教育組織への不当な異動の強制の例です。
この表は7大学の例示の書き方を並べたもので、例示している大学の数から、ある言動が当たるかどうかは推定できません。
2-3. 「言い方がきつい」「教授が怖い」はどこに当たるか
言い方がきつい・怖いと感じる言動のうち、ガイドラインの例に近いのは「人格否定・侮辱・暴言」(7大学中5大学)です。原文の例は次のとおりです。
- 東京大学(相談所の例):「教員や先輩に怒鳴られたり、無視されたりする」「みんなの前で『無能だな』と人格を否定することを言われる」
- 名古屋大学:「教育研究に関連して,学生や教職員の能力又は人格を否定するような発言をする。」
- 岡山大学:「相手方の人格を故意に損なうような(たとえば以下のような)発言をする。」の例に「君のような者はセミナーに出る資格がない。出て行け。」
- 法政大学:「こんなことも知らないのに,よく大学院に入れたな」「研究者としての資質に欠ける」という事例を「学生を劣等者扱いするような侮辱的な対応」としています。
- 早稲田大学:「指導を超えて人格を否定するような言動を繰り返すこと」
研究の内容・方法への厳しい指摘や、発表での強い質疑そのものを例示に挙げた大学は、7大学にはありませんでした(当てはめ)。ただし、研究内容への指摘という分類だけで判断できるわけではなく、指摘の必要性、指摘の仕方、頻度、研究・修学への影響などを踏まえて考えることになります(当てはめ)。早稲田大学のガイドラインは、指導のあり方が多様で判断がむずかしいケースもあるとしたうえで、「また指導する側が無意識的に行っていることが少なくありません。」と書いています。「言い方がきつい」と感じる言動が、研究の中身への指摘なのか、人格や能力全体を否定する言葉なのかで、ガイドラインの上での位置は変わります。研究室の発表での質疑がつらいときの対処は、研究室の発表がつらいときの記事に書きました。言われた言葉で自分を責めてしまうときは、研究室で「無能だ」と感じてつらいときの記事もあわせて読んでみてください。
回数については、広島大学のガイドラインがパワー・ハラスメントの項で「些細なことでも繰り返し行うことにより相手の心身に苦痛を与えたりするときは、ハラスメントとみなされることがあります。」と書いています。1回の強い言葉と、繰り返される言葉では、相談するときに伝える内容が違ってきます。
2-4. 厚生労働省のパワハラの6類型と学生
会社のパワーハラスメントには、厚生労働省の指針(令和2年厚生労働省告示第5号)があります。定義は3つの要素(優越的な関係を背景とした言動/業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの/労働者の就業環境が害されるもの)からなり、6つの類型(身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害)が示されています。
ただし、この法律(労働施策総合推進法)と指針は、「事業主が雇用する労働者」に対する職場のパワーハラスメントについて、事業主に防止の措置を求めるものです。大学に雇用されていない学部生・大学院生は、この職場のパワハラ防止措置義務の直接の対象ではなく、指導教員から受ける言動は、主に各大学の規程・ガイドラインで扱われます(当てはめ)。事案によっては、大学の規程のほかに一般の法令が問題になる場合もあります。TA・RAは、雇用契約の内容と実際の業務によって扱いが変わりえます。この記事は、個別の事案が法律上どう扱われるかを判断しません。静岡大学のガイドラインは、構成員を「本学に雇用されている教員,職員(常勤,非常勤を問わない),TA,RA」と「学部学生,大学院生…」に分けて書いています。
2-5. 判断するのは誰か
ガイドラインには「判断がむずかしいケースもある」(早稲田大学)と書かれていて、当たるかどうかは相談と手続きの中で扱われます。名古屋大学は、相談→環境の調整→申立て→調停または事実調査→救済の勧告という流れを書いています。この記事の計算機1は、言われたこと・されたことに近い例示と、記録の取り方・相談先を並べるだけで、ハラスメントに当たるかどうかは判定しません。
3. メールの返信が来ない:何日待つか
3-1. 待つ日数を書いた公式案内はない
大学が学生向けに出している「教員へのメールの書き方」の案内を5件見ました(東京工業大学(現・東京科学大学)の学生支援センターの「Tokyo Tech Study Tips」、聖隷クリストファー大学、東北大学 理学部・理学研究科の地学系の教務案内、神田外語大学の学生課、東京大学 情報基盤センターの教材)。件名・宛名・名乗り・署名の書き方はありますが、返信の期限・何日待つか・催促のしかたを書いたものはありませんでした。
7大学のガイドラインも、指導の放置を例に挙げながら、日数の基準は書いていません。例示は、論文原稿や研究指導が続けて放置されることの書き方で、1通のメールに返信がないことと同じではありません。名古屋大学は「数ヶ月経っても添削指導をしない」、東京大学の相談所の例は「論文指導を希望しても『忙しい』と言われ、長期間放置される」、岡山大学は「提出された論文原稿を理由もなく長期間放置する。」という書き方です。
3-2. 先に、届いていない可能性を疑う
東京大学 情報基盤センターの教材は「宛先が間違っていても、必ずしもエラーメッセージが届くわけではない」「宛先が正しくても、メールの内容やメールサーバーのセキュリティの設定によっては、迷惑メールとして振り分けられてしまう場合もあります。」と書いています。同じ大学のメールアカウントから送ったメールは迷惑メールと判定される可能性が低いとも書いています。大学以外のメールアドレスから送っていたなら、大学のメールで送り直すのが先です。
大学の案内にある書き方の要点は次のとおりです。
- 件名を必ず書く:「必ず件名を書きましょう!件名なしのメールは読まれずに削除されてしまう可能性があります。」(Tokyo Tech Study Tips)
- 宛名と名乗り:「メールの最初には必ず、メールを送る相手の名前を書きます。」(同)、「必ず自分が誰なのかを名乗りましょう。」(聖隷クリストファー大学)
- 署名:「メールの最後に大学名、学部、学籍番号、氏名、メールアドレスを書きましょう。」(聖隷クリストファー大学)
- 結び:「ご多忙のところ恐縮ですが、ご返事いただければ幸いです」(Tokyo Tech Study Tips)、「お手すきの時にご返信いただければ幸いです。」(聖隷クリストファー大学)
3-3. 締切から逆算して、確認する日を決める
公式の日数がないので、この記事では締切から逆算して確認の日を決めます。計算機2の目安は次のとおりで、どれもこの記事の置き方です。大学の決まりではありません。
- 締切がない用件:送ってから7日たっても返信がなければ、届いているかを確認するメールを1回送る。さらに7日たったら、対面や研究室で決まっている連絡手段、副指導教員など、別の経路で一言伝える。
- 締切がある用件:送ってから7日後と、締切の7日前の、早いほうの日に確認のメールを送る(送った翌日より前にはしない)。その3日後か締切の前日の早いほうで、別の経路と、副指導教員・専攻の教務への相談に進む。確認のメールに書く「○日ごろまでに」は、別の経路に進む日の前日にして、同じ日にならないようにする。
- 締切が過ぎてしまった用件:その日のうちに、専攻・学科の教務(事務)に手続きの扱いを確かめる。
- 教務や相談窓口に行く日は、開いている日を大学の案内で確かめる。土日・祝日や大学の休業日に当たるときは、その前の開いている日に動く(計算機2は土日に当たる日を知らせますが、祝日・休業日は見ていません)。
推薦書・署名・届出のように、締切が手続きで決まっている用件は、指導教員の返信を待つだけでなく、教務に「締切までに書類がそろわないときの扱い」を先に聞いておくと、選べる手が増えます(当てはめ)。名古屋大学のガイドラインは「合理的な理由なく奨学金,学術振興会特別研究員等の申請に必要な推薦書を書かない。」をアカハラの例に挙げていますが、返信が遅いことがすぐこれに当たるわけではありません。
3-4. 長い期間になっているとき
返信や添削が長い期間なく、研究や締切に支障が出ているなら、ハラスメント相談窓口や学生相談室で、状況として話せます(5章)。そのとき役に立つのは、送った日・用件・催促した日・相手の反応を並べた記録です。日数が何日なら相談してよい、という決まりはありません。
4. 指導教員・教授と合わないとき:4つの道
4-1. 「合わない」そのものを例示した大学はない
7大学のガイドラインに、話し方・考え方・研究の進め方が「合わない」(相性)こと自体を例示した大学はありませんでした(当てはめ)。合わないと感じる理由が、2章の例示(人格否定・指導の放棄・過大な要求など)に近いのか、進め方の違いなのかで、選ぶ道が変わります。指導が気に入らないなら退学するよう迫ることは、広島大学・岡山大学のガイドラインが例示していて(名城大学にも同じ例)、岡山大学は指導教員の変更を申し出た学生への例として書いています。変更を申し出ること自体は、各大学の手続きとして書かれています(当てはめ)。合わないと感じているのが指導教員ではなく研究そのものかもしれないときは、研究に向いてないと感じたときの記事に、研究を続ける人・離れる人の統計をまとめています。
4-2. 続ける:指導の計画と頻度を確かめる
大学院設置基準14条の2第1項は「大学院は、学生に対して、授業及び研究指導の方法及び内容並びに一年間の授業及び研究指導の計画をあらかじめ明示するものとする。」と定めています。研究科が明示している研究指導の方法・計画(面談の頻度、進捗の報告のしかたなど)を確かめ、それに沿って面談の頻度や連絡の方法を相談するのは、続けるときの手がかりになります(当てはめ)。学部の卒業研究は、学科の履修要項・卒業研究の案内が手がかりです。指導が少ない研究室で、自分から進め方を組み立てる考え方は、放置系研究室の記事に書きました。
4-3. 相談する:副指導教員・ほかの教員・学生相談
主指導教員のほかに副指導教員を置く体制を定めた例があります。
- 広島大学 大学院医系科学研究科(博士課程 医歯薬学専攻):「研究指導グループは、主指導教員1名、副指導教員2名の合計3名により構成される。」「副指導教員は…研究計画、研究進捗状況及び学位論文についての助言などの指導を、主指導教員と協力して行う。」
- 東京学芸大学大学院 連合学校教育学研究科(博士課程):主指導教員1名と副指導教員2名の「3名の指導教員」
- 東京農工大学 連合農学研究科(博士課程):副指導教員2名のうち1名は主指導教員と別の研究科の教員
- 島根大学 大学院自然科学研究科(博士前期課程):「副指導教員は,各々「研究計画」及び「プログレスレポート」を学生ごとの指導カルテとして管理・活用し,主指導教員と連携して当該学生の体系的・組織的な研究指導を行うものとする。」
見つかった例は博士課程が中心で、学部の卒業研究で副指導教員を置くと定めた公式の例は、今回は見ていません。広島大学のガイドラインは、相談例に「自分が副指導教員となっている学生が、主指導教員との関係で悩んでいる」を挙げています。副指導教員がいない、またはいるか分からないときは、専攻・学科の教務や学生相談室が入口になります。京都大学の学生相談センターの案内は、相談例に「指導教員との関係に悩んでいる」を挙げています。
4-4. 変える:指導教員の変更
指導教員の変更には、本人が申し出る通常の手続きと、ハラスメントなどを理由に大学が取る措置としての変更があり、別のものとして書かれています。
通常の変更の手続き
手続きは大学ごとに違います。研究室配属の記事で見た公式資料では、正式に配属された後の変更を書いている大学が7(会津大学・東京科学大学・同志社大学・早稲田大学・岡山大学・東京大学・大阪大学。見つかった公式資料の範囲)ありました。新旧の指導教員の承認・署名(了承のサイン・押印・合意を含む)を求める例は7つ(会津大学、同志社大学 神学部、東京科学大学 大学院、岡山大学 大学院社会文化科学研究科、東京大学 大学院教育学研究科、早稲田大学 大学院経済学研究科、早稲田大学 大学院情報生産システム研究科の仮配属の研究室の変更)です。大阪大学 大学院理学研究科 生物科学専攻は「入学後に研究室を変わることも可能です。」と可否だけを書いています。一方で会津大学は、教員の承認が得られない場合に教務委員会で判断できると書いています。承認が得られそうにないときも、教務や学生相談室、ハラスメント相談窓口に相談できます。
- 会津大学(学部の卒業論文):「新旧指導教員のそれぞれが承認し、新指導教員の配属人数に余裕がある場合、教務委員会の承認を経て許可されます。なお、教員の承認が得られない場合は、教務委員会で変更の判断をすることができます。」「変更後卒業までに少なくとも1年を要することになります。」(会津大学の決まりで、ほかの大学に当てはまるとは限りません)
- 同志社大学 神学部(卒業論文):「新旧指導教員名を記入し、各教員から了承のサインをもらったうえで提出してください。」「指導教員は神学部教授会の承認で確定します。」
- 東京科学大学(大学院):大学院学修規程2条2項「学修上の理由があるときは、許可を得て、指導教員を変更することができる。」。様式「指導教員変更願」には理由と旧・新の指導教員の自署、コース主任の承認の欄があります。
- 岡山大学 大学院社会文化科学研究科:「変更前の指導教員・副指導教員についても自書による署名を得ること。」(教員が在籍していない等の特別な場合の例外あり)
- 東京大学 大学院教育学研究科:旧指導教員・新指導教員の押印を得たうえで届を出す(2025年1月24日の案内)
- 早稲田大学 大学院経済学研究科:「必ずご自身の主指導教員および変更先の主(副)指導教員から承認を得てから、申請を行ってください。」
ハラスメントなどを理由とする変更・救済
ハラスメントの相談・申立ての手続きの中で、大学の措置として指導教員が変わる例があります。上の通常の手続き(新旧の承認)とは別の流れです(当てはめ)。文部科学省が周知した広島大学の事例には「研究科長は主指導教員を他の教授に変更したうえで、前の主指導教員と接触しなくてよい別の場所を確保した」「指導教員が変更され、学生は卒業することができた」とあります。法政大学は、緊急・仮の措置の勧告の例に「指導教員の変更」を挙げています。この流れに進むかどうかや措置の中身は、各大学の手続きで決まります(5章)。
修士課程の標準修業年限は2年なので、変更が遅いほど新しい指導教員のもとで研究する時間は短くなります(当てはめ)。博士課程で指導教員と合わないときは、学位論文の審査までの年数も考える必要があります。博士課程の修了・満期退学の統計は博士課程の記事にまとめました。
4-5. 休む・離れる:休学と中退
研究室に行くのがつらい状態が続くときの休学・留年の学費と手続きは研究室に行きたくないときの記事に、大学院をやめる場合の就職と手続きは大学院中退の記事にまとめました。休学の条件・学費の扱い・在学年限は大学の規程で決まっています。
5. 相談先と、記録の残し方
5-1. 大学のハラスメント相談の流れ
| 大学 | 流れ(公式資料の段階) | 匿名・秘密 |
|---|---|---|
| 名古屋大学 | 相談→環境調整(本人の同意の下で)→申立て→調停または事実調査→救済の勧告 | 記載なし |
| 東京理科大学 | 相談→調整(相談者の同意を得て相手方にヒアリング)→申立→調査→救済措置の要請 | 申立ての事実を行為者に伝えるときなどに、申立人・被行為者の名前を原則として伏せる(「原則として「匿名」」)。相談そのものを匿名にする定めはなく、調査で事情を聴く過程などで特定されうる(当てはめ) |
| 法政大学 | 相談→申立て→審査委員会の審査(調査)→防止・対策委員会の承認→総長の措置(緊急・仮の措置あり) | 「面談を基本としています」 |
| 早稲田大学 | 相談窓口→申立て→受理の検討→調査等担当委員(原則2名)→結果(「概ね2か月以上」) | 「相談者の同意や承諾がない限り、一切口外しません。」 |
| 東京大学 | ハラスメント相談所での相談(通報窓口ではなく、事実認定は行わない。要旨) | 匿名の相談は電話・メールに限られる(要旨) |
| 山形大学(相談員マニュアル) | 相談→相談記録→申立て→注意・調停・分離・調整(要旨) | 「名前を名乗ることを強制してはなりません。」 |
相談したからといって必ず申立てや調査に進むわけではなく、相談者の希望は尊重されます。ただし、申立ての受理や、調査・措置の決定は、大学の定める手続きによります。早稲田大学は、委員会が申立てを調査等の対象とするかを検討し、「申立て内容によっては、申立が受理されない場合もあります」と書いています。
5-2. 記録の残し方
記録の項目を学生向けに書いていたのは、東京理科大学と法政大学です。
- 東京理科大学:「あなたが受けたハラスメントと思われる行為について、それが起こった日時や場所や受けた言葉などの詳細を、なるべく詳しく記録しておいてください。」「相手からのメールやインターネット上の書き込み等があれば、削除せずに保存しておいてください。」
- 法政大学:「あなたが受けた言動について,「いつ,どこで,誰から,どのようなこと」かがわかる記録(自筆のメモ・メール・録音等)を残しておくと,相談や申立ての際に役立ちます。」
山形大学の相談員マニュアルは、相談記録について「相談者が事実として述べたことと、相談者の感情、解釈、意見等とを区別して記載することが重要です。」と書いています。自分で記録を残すときも、起きたこと(日時・場所・言葉)と、そのとき感じたことを分けて書くと、相談のときに伝えやすくなります(当てはめ)。
5-3. 相談したことによる不利益の禁止
- 名古屋大学:「センターに相談したことや下記に定める問題解決のための手続きを利用したことを理由として,不利益な取扱いを受けることはありません。」
- 東京理科大学:相談者・申立人や調査に協力した人に対して「そのことを理由に不利益な取扱(嫌がらせ、差別的対応及び報復行為を含む。)を行ってはなりません。」
- 法政大学:「ハラスメント相談をしたことによる不利益な取り扱いを禁止し,二次被害の防止に努めます」
- 早稲田大学:申立てをしたことで「報復その他の不利益な取扱いを受けることがあってはなりません。」
- 山形大学(相談員マニュアル):「相談者が相談したことに対して、行為者や第三者が、相談者に何らかの報復をしたり不利益な扱いをすることは、規程で厳に禁じられており、」
5-4. 学内・学外の相談先
- 学生相談室:京都大学の学生相談センターは「学修・研究上あるいは学生生活上の悩み、さまざまな人間関係の悩みなど、どのような悩みや苦しみについての相談にも」応じるとし、相談例に「指導教員との関係に悩んでいる」を挙げています。早稲田大学の学生相談センターの案内は「学生相談センターでの相談は全て無料です」としています。
- 保健管理センター・学生のメンタルヘルスの窓口:京都大学の学生メンタルヘルスセンターは「こころの不調に対して専門医が診断と初期対応を行います。」と案内しています。
- 教務(学部・研究科の事務):指導教員の変更・休学など手続きの相談先です。早稲田大学は所属学部・研究科事務所を「学業に関する悩み」の窓口としています。
- 法務省「みんなの人権110番」:0570-003-110(平日午前8時30分から午後5時15分まで)。「差別や虐待、ハラスメントなど、様々な人権問題についての相談を受け付ける相談電話です。」「秘密は厳守します。」
- 厚生労働省「総合労働相談コーナー」:全国378か所、予約不要・無料で「学生、就活生からの相談もお受けします。」。TA・RA・アルバイトとして雇われた範囲の問題(勤務・賃金・雇用先でのいじめや嫌がらせ)の相談先です。雇用されていない学生としての指導の問題は、まず大学の窓口が中心になります(当てはめ)。
- 厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」:0570-064-556。電話をかけた地域の公的な相談機関につながります。
6. 数字で見る:学生の悩みと、教員の時間
6-1. 大学院生の「教職員との関係」の不安
日本学生支援機構の「令和6年度 学生生活調査」(大学院各課程は試行)で、不安や悩みの「教職員との関係」に「大いにある」「少しある」と答えた割合は、修士課程が25.0%(6.7%+18.3%、計算)、博士課程が30.5%(8.5%+22.0%、計算)でした。同じ調査の「勉学・研究」は修士71.6%・博士79.4%(計算)です。有効回答は修士4,567人(22.4%)、博士4,117人(23.5%)で、試行の調査です。「指導教員」を名指しした項目はありません。
学生のアカデミック・ハラスメントの被害経験の割合を示す全国の公的統計は、見つかりませんでした。
6-2. 大学教員の職務時間の内訳
文部科学省の「大学等におけるフルタイム換算データに関する調査」(令和5年度、令和4年度の活動)で、大学教員の年間の職務時間の内訳は次のとおりです(第8表、推定母集団196,305人、年間の総職務時間2,521時間)。
| 区分 | 教育活動 | 研究活動 | 社会サービス活動(教育関連・研究関連・診療等) | その他の職務活動(学内事務等) |
|---|---|---|---|---|
| 全体 | 30.4% | 32.2% | 4.3%・4.5%・9.0% | 19.7% |
| 国立 | 23.3% | 39.5% | 3.5%・4.8%・10.3% | 18.6% |
| 私立 | 34.9% | 27.6% | 4.6%・4.3%・8.3% | 20.3% |
研究活動の割合は、平成30年度の32.9%から0.7ポイント下がっています。学内事務等が約2割を占めますが、この調査は教員の時間の使い方を調べたもので、メールの返信の遅さの理由を調べたものではありません。全国の推計の平均なので、個別の教員の忙しさは、この数字からは判断できません。返信が来ないことを「忙しいから仕方ない」と片づける根拠にもなりません。
学校基本調査(令和7年度)の大学の本務教員192,823人に対して、学部学生は2,645,837人、大学院学生は277,132人です。割ると、教員1人あたり学部学生13.7人・大学院学生1.44人です(計算)。本務教員には大学院を担当しない教員も入るので、1人の教授が何人を指導しているかの数ではなく、全国の平均の目安です。
7. 研究室の先輩・秘書との関係
東京大学のハラスメント相談所の例には「教員や先輩に怒鳴られたり、無視されたりする」があり、指導教員以外からの言動も相談の対象になっています。研究室の秘書(事務補佐員など)との関係を扱った公的資料や大学の公式資料は、今回は見つからなかったので、この記事では詳しく扱いません。困っていることがあれば、学生相談室や教務に相談できます。
8. 計算機:指導かハラスメントかの切り分け/返信が来ないときの催促/合わないときの選択肢/状況別の相談先
4つは別々に使えます。
- 1. 指導かハラスメントかの切り分け:言われた・された内容、回数、相手、研究や修学への支障を選ぶと、7大学のガイドラインの例示で近いもの(原文の引用と、例示している大学の数)と、名古屋大学の境界の文、記録の取り方、相談先を出します。ハラスメントに当たるかどうかは判定しません
- 2. 返信が来ないときの催促の目安と文面:送った日、用件、締切、送った方法、相手の呼び方を入れると、確認のメールを送る日と別の経路に進む日(3-3の、この記事の目安)、届いていない可能性、確認のメールの文面を出します。日程が土日に当たるときは知らせます(祝日・大学の休業日は見ていないので、開いている日を確かめてください)。日付が読めないときは日程を出さず、入力の修正を求めます。今日の日付が空欄のときは、使っている端末の日付を使います
- 3. 合わないときの選択肢の比較:学部か大学院か、いまの時期、合わない理由、副指導教員がいるかを選ぶと、続ける・相談する・変える・休む(休学・中退)を、時期・負担・確かめることで並べます
- 4. 状況別の相談先:状況を選ぶと、学内と学外の相談先と、相談の前に用意しておくものを出します
日数の目安(7日・3日など)はこの記事の置き方で、大学の決まりではありません。結果は入れた値と、この記事で見た公式資料の例だけによる目安です。
指導かハラスメントかの切り分け/返信が来ないときの催促/合わないときの選択肢/状況別の相談先
入れた値は、このページの中で使うだけで、どこにも送られません。初めから入っている値は入力の例です。4つは別々に使えます。
1. 指導かハラスメントかの切り分け(判定はしません)
2. 返信が来ないときの催促の目安と文面
3. 合わないときの選択肢の比較
4. 状況別の相談先
初めから入っている例は、研究の内容への厳しい指摘を何度か受けた修士の学生と、6日前に原稿の添削を頼み、締切が20日後の場合です(計算機2の日付は、ページを開いた日の端末の日付から入れています)。計算機2は、明日に確認のメール、4日後に別の経路と出ます。
9. よくある質問
教授の言い方がきついのはアカハラですか?
言葉で一律には決まりません。7大学のガイドラインでは、人格を否定する言葉・侮辱・暴言を5大学が例示していますが、名古屋大学は「客観的にみて,教育又は研究上必要かつ相当な範囲で行われる適正な指示や指導等については,アカデミック・ハラスメントには該当しません。」と書いています。研究への厳しい指摘そのものを例示した大学はありませんでしたが、研究内容への指摘という分類だけでは判断できず、指摘の必要性、指摘の仕方、頻度、研究・修学への影響などを踏まえて考えることになります。例示している大学の数から、個別のケースが当たるかどうかは推定できません。当たるかどうかは大学の相談窓口・委員会の手続きで扱われます(2章)。
教授からメールの返信が来ないとき、何日待てばいいですか?
何日待つかを書いた大学の公式案内は見つかりませんでした。まず大学のメールで送ったか、件名・宛名・名乗りがあるかを確かめ、届いていない可能性を疑ってください。締切がある用件は、締切から逆算して確認の日を決めます。この記事の目安は、送ってから7日後と締切の7日前の早いほうで確認のメール、その3日後か締切の前日の早いほうで別の経路と副指導教員・教務です。教務に行く日は、開いている日を確かめてください(3章、計算機2)。
返信が来ないのはアカハラですか?
1通のメールに返信がないことと、論文原稿や研究指導が続けて放置されていることは別のことです。指導の放棄・放置は7大学すべてが例に挙げていますが、後者の書き方で、日数の基準はありません(名古屋大学「数ヶ月経っても添削指導をしない」、東京大学・岡山大学「長期間放置」)。例示の数から個別のケースは推定できません。研究や締切に支障が出ているなら、日数にかかわらず、相談窓口で状況として話せます(3-4)。
教授が怖い・詰められるときは?
東京大学の相談所の例には「教員や先輩に怒鳴られたり、無視されたりする」があります。発表での強い質疑や研究の中身への指摘と、人格・能力全体を否定する言葉とを分けて記録しておくと、相談するときに伝えやすくなります(2-3・5-2)。
指導教員と合わないとき、変えられますか?
大学ごとの手続きで変えられる例があります。通常の変更は新旧の指導教員の承認・署名を求める例が多く、会津大学は承認が得られない場合に教務委員会が判断できると書いています。承認が得られそうになくても、教務や相談窓口に相談できます。ハラスメントなどを理由とする変更は、相談・申立ての手続きの中の措置として行われた事例があります(4-4)。手続きは自分の大学の規程・教務で確かめてください。
博士課程で指導教員と合わないときは?
主指導教員1人と副指導教員2人の体制を定めた博士課程の例があり、副指導教員は主指導教員と協力して指導する立場です(4-3)。変更する場合は、学位論文の審査までの年数も考えてください(4-4)。
相談したら教授にばれますか?不利益はありませんか?
早稲田大学は「相談者の同意や承諾がない限り、一切口外しません。」と書き、名古屋大学・東京理科大学・法政大学・早稲田大学・山形大学の資料は、相談したことを理由にした不利益な取扱いを禁じています。相談者の希望は尊重されますが、申立ての受理や調査・措置の決定は大学の定める手続きによります。東京理科大学の「原則として匿名」は、申立ての事実を行為者に伝えるときなどの扱いで、調査の過程で特定されうることもあります。匿名や秘密の扱いは大学ごとに違うので(5-1の表)、話す前に窓口で確かめてください(5章)。
パワハラ防止法は学生にも適用されますか?
雇用されていない学生は、職場のパワハラ防止措置義務(労働施策総合推進法と厚生労働省の指針)の直接の対象ではなく、主に大学の規程・ガイドラインで扱われます(当てはめ)。事案によっては、一般の法令が問題になる場合もあります。TA・RAは、雇用契約の内容と実際の業務によって扱いが変わりえます。この記事は法律上の判断はしません(2-4)。
研究室の秘書がうざいときは?
研究室の秘書との関係を扱った公的資料・大学の公式資料は見つからなかったので、この記事では扱っていません。困っていることがあれば、学生相談室や教務に相談できます(7章)。
10. まとめ
- 指導かアカハラかを、言葉や日数で一律に決める基準は、大学の公式のガイドラインにもない。例示している大学の数から個別のケースは推定できず、判断は大学の相談窓口・委員会の手続きで扱われる
- 7大学のガイドラインでは、指導の放棄・拒否・放置は7大学、人格否定・侮辱・暴言は5大学が例示。名古屋大学は適正な指導はアカハラに当たらないと明記している
- 返信を待つ日数・催促のしかたを書いた公式案内はない。1通のメールに返信がないことと、原稿・指導が続けて放置されることは別。届いていない可能性を先に疑い、締切から逆算して確認する(日数はこの記事の目安)
- 合わないときは、続ける・副指導教員や学生相談に相談する・指導教員を変える・休学するの4つ。通常の変更は新旧の指導教員の承認を求める例が多いが、承認が得られない場合に委員会が判断できる大学(会津大学)もあり、承認が得られそうになくても相談できる。ハラスメントなどを理由とする変更は、相談・申立ての手続きの中の措置として行われる例がある
- 記録は「いつ,どこで,誰から,どのようなこと」。相談したことを理由にした不利益な取扱いは、5つの大学の資料が禁じている
- 大学教員の職務時間は教育30.4%・研究32.2%・学内事務等19.7%(令和5年度)。返信の遅さの理由を調べた調査ではない
11. 出典
- 東京大学「東京大学アカデミックハラスメント防止宣言」https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400285295.pdf
- 東京大学 ハラスメント相談所「相談できること」https://har.u-tokyo.ac.jp/contents/
- 東京大学「ハラスメント防止」https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/rules/harassment_prevention.html
- 名古屋大学「名古屋大学ハラスメント防止対策ガイドライン」https://www.sh-help.provost.nagoya-u.ac.jp/pdf/guideline.pdf
- 文部科学省「大学等におけるハラスメント防止に向けた取組の好事例等について(周知)」(令和5年4月28日、別添:広島大学におけるハラスメントの防止等に関するガイドライン)https://www.mext.go.jp/content/20250410-mxt_daigakuc01-000041661_107.pdf
- 文部科学省「大学におけるハラスメント防止に向けて」https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/250410_00001.htm
- 岡山大学「教員等がアカデミック・ハラスメントの防止等のために認識すべき事項についての指針(教育・研究編)」https://www.okayama-u.ac.jp/user/sex-hara/pdf/acahara_guide.pdf
- 東京理科大学「ハラスメント防止ガイドライン」(2026年10月1日 第2版)https://www.tus.ac.jp/harass/guideline.pdf
- 法政大学「ハラスメント防止・対策に関するガイドライン」https://www.hosei.ac.jp/hosei/daigakugaiyo/rinen/hoshin/torikumi/harassment/guide/
- 早稲田大学 ハラスメント防止委員会「ハラスメント防止ガイドライン」(2026年10月1日改訂)https://www.waseda.jp/inst/harassment/about/guideline
- 早稲田大学 ハラスメント防止委員会「FAQ」https://www.waseda.jp/inst/harassment/about/faq
- 名城大学「名城大学におけるハラスメントの防止等に関するガイドライン」https://www.meijo-u.ac.jp/campus/life/pdf/harassment.pdf
- 静岡大学「静岡大学におけるハラスメント防止等に関するガイドライン」https://www.shizuoka.ac.jp/outline/info/soudan/harassment/document/hrssm_guide.pdf
- 山形大学「山形大学キャンパス・ハラスメント 相談員マニュアル」https://www.yamagata-u.ac.jp/jp/files/4317/5219/9476/R070401.pdf
- 京都大学『Campus Life Information 2026』https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/inline-files/H-campus-life-information-2026-9d5a1cb975ddb4088cf842be11bc4778.pdf
- 早稲田大学 学生相談センター「利用案内」https://www.waseda.jp/inst/scc/?p=35
- 早稲田大学 学生生活課「各種学生相談について」https://www.waseda.jp/inst/student/support/consultation
- 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/
- 厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号)https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000584512.pdf
- 厚生労働省 あかるい職場応援団「パワーハラスメントとは」https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/harassment_list/power-hara/
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html
- 厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/kokoro_dial.html
- 法務省「常設相談所(法務局・地方法務局・支局内)」(みんなの人権110番)https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken20
- e-Gov法令検索「大学院設置基準」(14条の2)https://laws.e-gov.go.jp/law/349M50000080028
- 広島大学 大学院医系科学研究科「博士課程 医歯薬学専攻の研究指導体制及び学位請求手続き」https://www.hiroshima-u.ac.jp/node/62467
- 東京学芸大学大学院 連合学校教育学研究科の研究指導体制https://www.u-gakugei.ac.jp/jouhou/02/pdf/6_1_4.pdf
- 東京農工大学 連合農学研究科「指導教員等の任用についての原則」https://www.tuat.ac.jp/documents/uni-grad/kisoku/sidoukyouinninyougensoku.pdf
- 島根大学「大学院自然科学研究科博士前期課程における研究指導の方法及び内容に関する取扱要項」https://www.natural.shimane-u.ac.jp/_files/00377300/R7Mtoriatukaiyoukou.pdf
- 会津大学「卒業論文」https://u-aizu.ac.jp/curriculum/undergraduate/thesis/
- 東京科学大学「東京科学大学大学院学修規程」https://www.titech.ac.jp/guide/guide_2026/graduate/pdf/12-02.pdf
- 岡山大学 大学院社会文化科学研究科「社会文化科学研究科指導教員変更願」https://shabun.ccsv.okayama-u.ac.jp/wp-content/uploads/kyouinhenko.pdf
- 東京大学 大学院教育学研究科「指導教員変更届の提出について」(2025年1月24日)https://www.p.u-tokyo.ac.jp/students/wp/wp-content/uploads/2025/01/20250124-1.pdf
- 同志社大学 神学部「卒業論文 指導教員 変更届」https://theo.doshisha.ac.jp/file/sotsuron_sidoukyouinkenkou.pdf
- 早稲田大学 大学院情報生産システム研究科「修士課程学生 研究室配属」(2026年9月)https://www.waseda.jp/fsci/gips/assets/uploads/2026/08/Excerpt-Guidance-for-Master-course-students-Sep.2026_J.pdf
- 大阪大学 大学院理学研究科 生物科学専攻「研究室選択・配属について」https://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/qa/assignment/
- 早稲田大学 大学院経済学研究科「各種規定・申請書」https://www.waseda.jp/fpse/gse/students/rule/
- 東京工業大学(現・東京科学大学)学生支援センター「Tokyo Tech Study Tips vol.6 東工大共通メールシステムの使い方・メールの書き方」(2021年4月)https://www.titech.ac.jp/student-support/pdf/studytipsvol6-3.pdf
- 聖隷クリストファー大学「メールの基本的な書き方」https://www.seirei.ac.jp/media/20211116_email_rules.pdf
- 東北大学 理学部・理学研究科(地学系)「電子メールの使用についての留意事項」https://www.es.tohoku.ac.jp/JP/private/academic_affairs/guidance/pdf/es004.pdf
- 神田外語大学 学生課「メールの書き方について」https://www.kandagaigo.ac.jp/kuis/cms/wp-content/uploads/2020/04/c7fa5f7a72fa9eb5d79262912a336d08.pdf
- 東京大学 情報基盤センター 教材「電子メールの作法」https://www.itc.u-tokyo.ac.jp/education/wp-content/uploads/sites/3/2021/11/r7_17.pdf
- 日本学生支援機構「令和6年度 学生生活調査」大学院各課程(試行)https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2026/03/24/daiin24_1.pdf
- 文部科学省「令和5年度大学等におけるフルタイム換算データに関する調査(概要)」https://www.mext.go.jp/content/20250418-mxt_chousei01-000040124.pdf
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「大学等におけるフルタイム換算データに関する調査 令和5年度」第8表 年間総職務時間の活動内容別内訳(割合)https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00400502&tstat=000001032299&cycle=0&tclass1=000001219063&layout=datalist&tclass2val=0
- 文部科学省「令和7年度学校基本統計(学校基本調査の結果)確定値について公表します」https://www.mext.go.jp/content/20251226-mxt_chousa01-000044291_01.pdf
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