NCNR・3Nは書けない|代わりにプロフィールへ書く文面と、その理由

3NNCNR 物販

NCNRや3Nについて調べて来られた方に、先に結論を書きます。

NCNRは、もう書けません。主要なフリマアプリでは明確な禁止行為に指定されていて、書いた場所を問わず措置の対象になります。

ただし、NCNRで本当にやりたかったことは、規約の中で実現できます。

あの一文の役目は、実は「免責」ではありませんでした。面倒な取引相手を、買われる前に降ろすことです。そしてそれは、書く場所と書き方を変えれば、いまでも成立します。

私は出品者としてその形に切り替えていて、面倒な相手からの連絡が実際に激減しました。その中身を後半に全部書きます。

NCNR・3Nとは何か

定義だけ先に済ませます。

  • NCNR……No Claim(苦情を言わない)/No Return(返品しない)
  • 3N……上記にNo Cancel(キャンセルしない)を足したもの
  • 4N・3N+S……さらにNo Support(使い方などのサポートをしない)を足したもの。ジャンク品やPCパーツで見られます
  • NRNC……NCNRの語順違い。意味は同じです

いずれも出品者が「取引後の責任を負わない」と宣言するための、ネット取引のスラングです。オークション黎明期には一種のマナーとして機能していました。

いまは、書いた瞬間に規約違反になります。

なぜ規約違反なのか——書く場所を問いません

メルカリの公式ヘルプは、禁止されている行為として「商品に問題があっても返品に応じないという記載をすること」を挙げています。該当する表記として、次のものが名指しされています。

  • 返品不可
  • ノークレーム(NC)
  • ノーリターン(NR)
  • ノーキャンセル(NC)
  • 3N
  • その他、商品に問題があっても返品に応じないことを記載しているもの

そして重要なのがこの一文です。「記載箇所、投稿箇所にかかわらず」

商品説明だけでなく、プロフィール欄も対象です。「商品説明には書いていないから大丈夫」は通りません。措置としては、取引キャンセル・商品削除・利用制限が挙げられています。

Yahoo!フリマ(旧PayPayフリマ)も、ガイドライン細則で同趣旨の禁止を定めています。フリマ形式のサービスでは、原則として書けないと考えてください。

ヤフオク!は少し事情が違います

ヤフオク!は入札制で、当事者間の取り決めを一定程度尊重する立て付けです。そのため、不具合を明確に開示したうえでのNCNRは、フリマアプリほど厳しく扱われません。

ただしこれは「書けば守られる」という意味ではありません。次章のとおり、法的な効力は別の話です。

法律ではどう扱われるか

規約と法律は別なので、両方を分けて理解しておく必要があります。

個人同士なら、原則として有効

契約自由の原則があるので、当事者が合意していれば、契約不適合の責任を負わないという特約自体は成り立ちます。

ただし出品者が「事業者」なら、無効になり得る

出品者が事業者で買主が消費者にあたる場合、消費者契約法8条により、事業者の責任を全部免除する条項は無効とされます。

継続的に仕入れて売っている人は、事業者側にいる可能性が高いです。不用品を処分している個人と同じ感覚で貼っていると、前提が違います。

知っていて書かなかった不具合は、そもそも免れない

民法572条により、担保責任を負わない特約をしていても、知りながら告げなかった事実については責任を免れません。「常識的に考えれば出品者は気づいたはず」という程度の事情があれば、知っていたと判断され得ます。

整理すると

規約では書けない。法律でも、隠しごとがある場合は守ってくれない。そして守ってくれるのは「不具合を全部開示したうえで、個人として売った場合」だけです。

——その条件を満たしているなら、そもそもNCNRと書く必要がありません。開示が済んでいるからです。

本当にやりたかったのは、免責ではなく選別です

ここからが本題です。

NCNRを書いていた人は、トラブルが起きた後に守られたかったわけではないと思います。そもそも面倒な相手と取引したくなかったはずです。

そして実務上、これは正しい感覚です。クレームは、起きてから処理するより、起こす相手を最初に降ろすほうが圧倒的に安く済みます。1件の返品対応にかかる時間と送料と消耗を考えれば、購入者が数人減ることは損失になりません。

問題は、その目的に対してNCNRという手段が間違っていたことです。書けないうえに、書いても守ってくれない。

では、どうするか。

選別は、商品説明ではなくプロフィールでやります

これが私のやり方です。商品説明とプロフィールで役割を分けます。

プロフィール 商品説明
読まれるタイミング 買う前 買う直前
役割 取引の条件を宣言する 商品の状態を開示する
効果 合わない相手が離脱する 認識のズレをなくす
書けること 取引全体の運用方針 その商品固有の情報

商品説明は、買おうとしている人が最後に読む場所です。ここで牽制しても遅い。すでに買う気になっている人に対して、条件を後出しする形になります。

プロフィールは違います。相手を確認する段階で読まれるので、ここで条件が合わない人は、コメントすら送ってきません。

私はプロフィールを整えてから、面倒な相手からの連絡が実際に激減しました。商品説明を何度書き直しても起きなかった変化です。

プロフィールに書けること(規約の範囲で)

実際に使っている型を、考え方とセットで出します。

1. 禁止ではなく、誘導の形にする

「〜お断り」ではなく「〜の方には〜をおすすめします」と書きます。

神経質な方、完品をお求めの方は、
新品または店頭でのご購入をおすすめします。

これは相手を排除しているのではなく、より適した選択肢を案内している形です。規約に触れませんし、読んだ側は自分で降ります。

お急ぎの方は、即日配送に対応しているネットショップで
新品をご購入いただくほうが確実です。

納期を急かしてくる相手は、これで最初から来なくなります。

2. 独自ルールを「作らない」ことを、あえて明示する

ここが逆説的ですが、いちばん効いていると感じている部分です。

購入前のコメントは不要です。そのままご購入ください。
先に購入手続きをされた方を優先します。

「プロフ必読」「即購入禁止」「コメント必須」「〇〇様専用」——これらはどれも運営が認めていない独自ルールであり、しかもトラブルの発生源です。読んでいないことを理由にキャンセルすればペナルティになり、専用にしても横取りされたら運営は介入しません。

持っていても守ってもらえないルールを、最初から捨てる。そして捨てたことを明示する。これで「ルールを読んだかどうか」をめぐる摩擦が丸ごと消えます。

3. 支払いの条件を先に出す

価格交渉には対応しておりません。
お取り置きも承っておりません。
お支払いは即日でお願いいたします。

取り置き依頼が購入に至らないことは、経験上はっきりしています。決済手段があるなら取り置きは要らないので、求めてくる時点で支払いの目処が立っていません。そしてその期間、商品は他の人に売れなくなります。

値下げ依頼の扱いについては値下げ依頼は無視していい記事に判断基準を書きました。

4. 保管環境を書く

商品は空調の効いた清潔な場所で保管しています。
非喫煙環境で、ペットは飼っておりません。

これは選別ではなく、後から言われがちな項目を先に潰すためのものです。においや保管状態は写真に写らないので、書いていないと想像で埋められます。

5. 連絡についての期待値を調整する

特別な事情がなければ、購入後にこちらからメッセージは送りません。
ご購入者様からのご挨拶メッセージも不要です。
土日祝日は発送しておりません。

「連絡がない」というクレームの多くは、相手の期待値と実際の運用がずれているだけです。先に書いておけば、ずれません。

6. NCNRの代わりに、これを書く

この一文が、NCNRの正当な代替です。

少しでもご納得いただけない点がある場合は、
ご購入・ご入札をお控えください。
不明点は購入前に必ずご確認ください。

「返品しません」ではなく「納得できないなら買わないでください」。言っていることの実質は近いのに、前者は禁止行為で、後者は問題ありません。

そして機能としては、後者のほうが上です。前者は買われた後に効かせようとする言葉ですが、後者は買われる前に効きます。

すり替え対策は、「返品しません」ではなく記録でやる

高額商品を扱っていると、すり替えや中抜きを警戒したくなります。ここで「購入後の返品は対応しません」と書くと、規約違反です。目的が正当でも、その手段は使えません。

代わりに、事実を書きます。

発送前に動作確認と梱包の様子を記録しています。
シリアル番号も控えておりますので、
万一相違があった場合は、配送業者への調査依頼にて対応いたします。

「返品しません」は宣言ですが、これは事実の告知です。規約に触れず、しかも抑止力としては強い。虚偽のクレームを入れようとしている相手は、記録があると分かった時点で引きます。

実際の運用としては、高額商品の発送時に、動作確認から梱包・封をするまでを一本の動画で撮っておくだけです。数万円以上のものを送るときの保険として。

商品説明側でやること

プロフィールで条件を宣言したら、商品説明はその商品固有の情報に集中します。

  • ダメージは隠さず、写真で示して本文から誘導する……「画像◯枚目のとおり、角に傷があります」と書いておけば、後から指摘されても説明済みの事項として扱われます
  • 良い点と悪い点をセットで書く……「発色は良好ですが、右下に2mm程度の傷があります(画像◯枚目)。その分、相場より安く設定しています」。納得して買った人は、届いてから連絡してきません
  • 「素人検品のため見落としはご容赦ください」と書かない……免責のつもりでも、説明を尽くしていない証拠として読まれる側に回ります。代わりに「気になる箇所があれば、購入前に写真を追加しますのでコメントください」と書くほうが機能します

出品文面の作り方は出品用テンプレート集にまとめてあります。

購入者として、NCNRの商品を見つけたら

逆の立場でも書いておきます。

NCNRと書いてあること自体が、リスクの目印です。いま規約で禁止されていることを知らないか、知っていて書いているかのどちらかだからです。

特に避けるべきなのは、説明文が極端に短いのにNCNRだけ書いてある出品です。「画像で判断してください。3Nで」の2行は、不都合な情報を書いていないか、検品していないかのどちらかです。

評価欄も見てください。悪い評価に対して「NCNRと書いてあるのに文句を言われた」と反論している出品者は、トラブル時に話が通じません。

それでも欲しい場合は、購入前に質問を送ってください。

説明文や写真にない破損・動作不良があった場合のみ、
ご相談は可能でしょうか。

「対応します」と回答があれば、その回答自体が記録として残ります。回答が拒否か無視なら、買わないほうがいいという判断材料になります。

そして不良品が届いた場合、受取評価をする前に運営へ報告してください。評価をすると取引が完了扱いになり、対応が難しくなります。「商品が説明と異なる」「出品者が独自ルールを理由に協議を拒否している」という形で報告すれば、事務局が介入します。

よくある質問

プロフィールに書けばNCNRは大丈夫ですか?

だめです。メルカリの公式ヘルプは「記載箇所、投稿箇所にかかわらず」禁止としています。プロフィール欄も対象です。

ヤフオク!なら書いていいですか?

フリマアプリほど厳しくは扱われませんが、法的な効力は別です。出品者が事業者にあたれば消費者契約法8条で無効になり得ますし、不具合を知りながら書かなかった場合は民法572条により免れません。書いて守られるのは、不具合を全部開示したうえで個人として売った場合だけで、その条件を満たしているならNCNRと書く必要がありません。

ジャンク品ならNCNRは有効ですか?

「電源が入りません。部品取り用です」と明記して売るなら、壊れた商品が届いても契約内容に適合しています。この場合、そもそもNCNRという言葉に頼る必要がありません。効力を持たせているのは「不具合を書いたこと」であって、NCNRという表記ではないからです。

面倒な購入者を避けたいのですが、何を書けばいいですか?

禁止ではなく誘導の形にしてください。「神経質な方はお断り」ではなく「完品をお求めの方は新品をおすすめします」。そして書く場所はプロフィールです。商品説明は買う直前に読まれるので、牽制には遅すぎます。

「プロフ必読」と書いてもいいですか?

おすすめしません。読んでいないことを理由にキャンセルすればペナルティの対象になりますし、守ってもらえないルールを持つこと自体が摩擦の原因になります。むしろ「事前のコメントは不要です」と明示したほうが、トラブルは減ります。

まとめ

  • NCNR・3Nは、主要フリマアプリで明確な禁止行為。「記載箇所、投稿箇所にかかわらず」なので、プロフィールも対象
  • 法的にも、事業者にあたれば消費者契約法8条で無効になり得るし、知っていて書かなかった不具合は民法572条により免れない
  • 守られるのは「不具合を全部開示して個人として売った場合」だけで、その条件を満たしているならNCNRと書く必要がない
  • NCNRで本当にやりたかったのは免責ではなく選別。目的は正しく、手段が間違っていただけ
  • 選別はプロフィールでやる。商品説明は買う直前に読まれるので、牽制には遅い
  • 書き方は「禁止」ではなく「誘導」。そして持てないルールは最初から捨て、捨てたことを明示する
  • NCNRの代替は「少しでも納得できない点があれば、購入・入札をお控えください」
  • すり替え対策は「返品しません」ではなく、記録があるという事実の告知で行う

面倒な相手を避けたいという動機は、まったく正しいです。間違っていたのは、それを買われた後の言葉でやろうとしたことだけです。買われる前に、合わない人が自分で降りる場所を用意してください。

Sources:メルカリ公式ヘルプ「商品に問題があっても返品に応じないという記載をすること」

 

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