ハードオフでせどりが禁止されているかより先に、答えを一つ書きます。ハードオフで取れるかどうかは、値札の読み方でもジャンルでもなく、その店の買取カウンターが機能しているかで決まります。私は横浜の東戸塚にあったハードオフに週1回以上通って月に数万円を取り続け、その後に引っ越した今の生活圏では、店を一通り回ったうえで仕入れに行くのをやめました。同じチェーンで、同じ人間が、同じ目で見ているのに結果が違う。その差がどこから来るのかを、仕入れ側ではなく売り手側の実体験から書きます。
この記事は店舗せどりのやり方の店舗別各論で、ジャンル別の判断はせどりで儲かるジャンルにまとめています。
ハードオフでせどりは禁止されているか
ハードオフの利用規約に「せどり禁止」の文言はありません。ただし店舗単位で、バーコードリーダーでのリサーチや長時間の滞在を断る掲示を出しているところはあります。同じグループのブックオフで一部店舗がビームせどりを禁止したのと同じ構図で、店が嫌がっているのは転売そのものではなく、他の客の邪魔になる行動です。
私の場合、後述する通り神店舗ではビームも値札も使わずに仕入れていたので、この問題とはほぼ無縁でした。差分だけを見てスマホで数点調べて会計する客は、店から見ればただの常連です。
なお、ハードオフの商品は「新品」と札に書いてあっても古物営業法上は古物です。反復継続して転売するなら古物商許可が要ります。要否の3条件と費用は古物商許可はせどりに必要かに書きました。
神店舗と塩店舗は、仕入れ側からは見えない
店舗せどりをやれば、同じチェーンに神店舗と塩店舗があることはすぐ分かります。分からないのは「なぜその店が神なのか」で、これは棚を見ていても分かりません。私が分かったのは、自分が売り手として買取カウンターに立ったときでした。
東戸塚:何を持ち込んでも値段をつけようとする店
東戸塚の店には、相続で大量に抱えた皿を持ち込んだことがあります。金が欲しかったのではなく、まだ使える物を捨てるのが嫌だっただけです。店員は嫌な顔をせず一生懸命に値段をつけ、5,000円になりました。持ち帰れと言われたのは体温計やハサミのような、そもそも扱えない品だけです。私はこの店のファンになりました。
今の生活圏:買い取ってやっている、という顔をする店
引っ越した先で同じように売りに行くと、服1着1円、新品で5,000円のスマホケースに300円、皿は買い取れないので持ち帰れ。持ち込むなという顔をされます。これは1店の話ではなく、このエリアの店を一通り回って、引っ越す前に狩場として来ていた頃から一度も取れなかった、という経験則の上にあります。店名は書きません。特定の店を批判したいのではなく、構造の話だからです。
買取が渋い店は、値札も高くなる
因果は一本です。買取が渋い→持ち込みが減る→在庫が入れ替わらない→値下げして売り切る必要がない→値札が高いまま→客が来ない→店に活気がない。逆に東戸塚は、買取に努力する→持ち込みが集中する→在庫が溢れる→値下げして次々に売り切る→棚が毎週変わる、という回転になっていました。中古せどりで買える店は買取の量が多い店で、量が多い店は在庫に困らないから値下げを惜しまない。値札の高さは、その店の買取カウンターの態度の写しです。
住民層の話をすると誤解されるので補足します。今の生活圏は引退した世代の持ち込みが中心で現役世代が売りに来る気配がありませんが、引退した層の持ち込みにお宝がないわけではありません。月島に住んでいた頃に通った門前仲町の店は、近隣に文化人が多く住んでいて、高齢の方の持ち込みでも本の質が高く、私はあの店の本で起業できたと言えるほど取れました。買取にも不満を持ったことが一度もない。持ち込む側にとって「ちゃんと値段をつけてくれる」ことが、捨てずに持ち込むインセンティブになっていたのだと思います。量を決めているのは客層ではなく、店側の買取姿勢です。
塩エリアの裏付け:店に行くはずの物が路上に出ている
今の生活圏で、買取が機能していないことを示す事実があります。不燃ごみや回収の日に、3DS、PS3、ニンテンドー64、ギターケース、マランツのアンプといった、売れば1万円を超える物が捨ててあるのを見かけます。数千円クラスならPCパーツ(メモリ・CPU・マザーボード)、BOSEのCDプレイヤー、ルンバが珍しくありません。
断っておくと、集積所からの持ち去りは多くの自治体で条例により禁止されています。ここで言いたいのは拾えという話ではなく、本来なら店の買取カウンターに向かうはずの物が、路上に出ているという事実です。持ち込んでも1円にしかならない、持ち帰れと言われる、という経験が住民に蓄積すると、まだ売れる物が店を経由せずに捨てられる。店は在庫が入らず、棚は古いまま高い。買取の姿勢は、その店の棚だけでなく、エリアのゴミの中身まで変えます。
神店舗では、値札もビームも使わなかった
東戸塚での仕入れは、いま流通しているハードオフせどりのノウハウとはかなり違います。週1回以上来店するので、もはや値札を見ていません。前回なかった物で気になる物をスマホで調べる、それだけです。露骨に駄目な物、つまり単価が低くて古い物は最初から見ません。販売経験が積み上がると、見る棚と見ない棚が先に決まります。
仕入れ値の2〜3倍で売れる物だけを買う
取っていた単価は、1,000円で仕入れて3,000円、3,000円で仕入れて6,000円のように、仕入れ値の2倍から3倍で売れる物です。赤字になった商品が記憶にないくらい、ほぼ全部で利益が出ていました。派手な一発ではなく、この単価帯を毎週数点積む形です。
本も取れました。あの店は一番安い本が300円で、100円本はありません。それでも300円の本が3,000円、300円が2,000円という個体を何度も取っています。きっかけは、私自身が実務で使っているロングセラーの本が、通常棚では値段が高すぎて売れ残り、それがまとまって単C(最安棚)に落ちてきたことです。同じ本が並んでいるのはおかしいと思って手に取り、メルカリで調べたら高く売れていた。ここでもビームも値札も使っていません。
ジャンルは本・家電・ゲーム・おもちゃ・テニスラケット
東戸塚で取っていたのは本、家電、ゲーム、おもちゃ、そしてテニスラケットです。テニスラケットはこの店に来てから開発した商材で、店がガットの張り替えをやっていたので、ガットが切れて安くなっている個体を買い、その場で張り替えを頼んで直してから売りました。店のサービスを修理工程として使った形です。おもちゃは部品欠品の大型玩具を複数買って揃える、いわゆるニコイチで、これはおもちゃせどりに書いた通りです。
取れないこともあります。いい狩場なのでライバルもいました。それでも週1回、買い物のついでに寄るだけで月に数万円は残っていた。プレイヤーを引退した後の私にとっては、それで十分でした。
買い物のついでに寄れる立地が、週1を成立させる
あの店は1階がスーパー、2階が当時オリンピックのホームセンター、3階がブックオフという建物に入っていました。食品の買い出しで必ず来る建物の上にある。だから週1回以上の来店を、意志の力なしでルーティンに組めました。横浜を2か月で出ると決めていたのに1年延ばしたのは、この店があったからです。坂の多い街で時間をかけて他の店に行っても大して取れないので、店舗せどりはここ1店でいいと思っていました。
ここが一番の持ち帰りです。会社から家に帰る途中に神店舗を1つ見つけられたら、店舗せどりはルーティンになる。何店も車で回る必要はない。これはハードオフやブックオフに限らず、どのチェーンでも同じ構造です。
スマホがなかった頃の話
私はスマホがない時代から店舗せどりをしています。当時はガラケーでAmazonのランキングだけを見て、仕入れるか仕入れないかを決めていました。数字は順位一つだけで、価格推移も出品者数も見えない。その環境でリスクを取ってきたので、Keepaで売れた回数まで見える今の体制で失敗する理由が、私にはあまり想像できません。ビームに依存せず裁量で取れるのは、才能ではなく、道具のない時期に目を鍛えざるを得なかったからです。
値札の読み方は「店を選んだ後」の技術
ハードオフの値札攻略として広まっているのは「日付が新しい物を見る」です。新しい物はまだ他のせどらーがリサーチしていない、という代理指標として使う。これは中古せどりのどのチェーンでも共通の考え方で、私はこれ以上の更新余地はないと思っていました。
ただ、東戸塚の話を前提にすると、読み方が店によって反転します。買取量が多い神店舗では在庫が溢れて値下げが速いので、古い日付の物ほど値下げ済みで狙い目になる。買取が渋い塩店舗では、日付を読んでも値付けが高いままなので、新旧どちらを見ても取れない。値札の日付は個体の年齢を示すだけで、それに意味を与えるのは店の代謝速度です。だから順番は「店を選ぶ→値札を読む」で、逆ではありません。
ジャンク札の区分
ハードオフのジャンク品には、品名・メーカー・型番と「動作未確認/電源は入りました/動作確認」のチェック欄がある白と緑の札と、値段だけが書かれた小さな札の2種類があります。白緑の札には「買い取り時の動作確認のため目安であり保証するものではありません」「ジャンク品の商品保証及び返品・交換はできません」と印字されています。小さい札の物はほぼ動作未確認です。赤い札はセール品に見えますが、私の経験では利益商品が出てくることはほとんどなく、見なくて構いません。値札の実物写真は近いうちに差し替えます。
ジャンクは返品できませんが、多くの店に動作確認コーナーがあり、電源を入れてから買えます。ないときは、その店のジャンクは修理前提の人だけが買う棚だと考えてください。
ジャンク札は「店がどこまで保証責任を負うか」の表示
ジャンク札が貼られている理由は「壊れているから」だけではありません。動作確認に時間と手間がかかる物、大きくて置き場所を早く空けたい物、売れ残った物が、検品コストをかけずにジャンク棚に移されます。つまりジャンク札は「店はこの個体の動作に責任を負わない」という宣言で、その分だけ価格に検品コストと保証リスクが乗っていない。この差額は、横流しの人には見えず、直して売れる人にだけ見えます。
私が家電で20年残ったのはこの棚です。プリンターはジャンクで1,000〜3,000円の個体を、ヘッドの洗浄や交換で30〜60分かけて直し、Amazonの中古で8,000〜15,000円で売っていました。レトロゲーム機は1,000円で仕入れて光学ドライブのクリーニングだけで直ることが多く、20分の作業で5,000円です。ノートPCはSSD化とメモリ増設で1台1〜5万円残ります。数字の前提と工程は家電せどり、パソコン転売、修理転売は儲からない?に分けて書いてあります。
ハードオフの棚にいるライバルの大半は横流しです。修理前提だと見る棚が違うので、同じ店にいても競合しません。これが、店舗せどりは電脳より非効率だと言いながら、私がハードオフを捨てなかった理由です。
私の盲点:苦手なジャンルは、いまでも時間がかかる
正直に書くと、私にも取れない棚があります。戦隊モノで遊ばない世代なので、ニコイチに必要な知識(どのパーツが欠けているといくら下がるか、どの型番と互換があるか)を組み立てるのに今でも非常に時間がかかります。興味がないからです。シルバニアファミリーやレゴでも同じことができるのは分かっていますが、時間がかかりすぎるので、現役プレイヤーでなくなった今は積極的に開拓しようとは思いません。現役の頃なら、興味がなくても一生懸命覚えていたと思います。
読者への含意は二つです。自分の世代や趣味と重なる棚から始めたほうが、知識の構築コストが桁で違うこと。そして、稼働時間を出せる現役のうちに苦手棚を開拓しておかないと、後からは取り返せないことです。
遠征は逆ザヤになる:高速代と時間で計算する
塩エリアに住んでいる人が次に考えるのは「隣の県の神店舗まで遠征する」です。私は行きません。現役を引退して仕入れの規模が小さい以上、高速代と時間を払って行くと逆ザヤになるリスクがあるからです。経験則として、塩店舗のエリアは近隣の他の店も同じように買えないので、エリアごと捨てる判断になります。
行くかどうかは気合ではなく、この式で決めてください。1回の純益=その店で見込める粗利−往復の高速代−燃料代−(移動時間+滞在時間)×自分の時給。時給は本業の時給か、電脳せどりで同じ時間を使ったときに残る額です。
遠征の損益計算機
往復の高速代(円)
燃料代(円)
往復の移動時間(時間)
店での滞在時間(時間)
自分の時給(円)
その店で1回に見込める粗利(円)
粗利の欄に入れる数字は、希望ではなく直近3回の平均にしてください。一度も行ったことがない店なら、まず1個売りに行って買取の態度を見るほうが安く済みます。
オフハウス併設店は、ニコイチの棚
ハードオフはオフハウスやホビーオフと併設されている店が多く、オフハウス側の玩具棚は別の技術で取れます。アンパンマンのジャングルジムのような子どものいる家庭が買う大型玩具や戦隊もののベルトが、部品欠品で1,000円ほどに投げ売りされている。複数買って足りない部品を揃え、組み立ててメルカリやAmazonに出すと1万円以上で即売れします。付属品の有無で相場が変わるので、その差だけを見て仕入れる棚です。詳細はおもちゃせどりに書きました。オフハウスの単独記事は、必要になれば分けます。
仕入れに行かない店の基準
最後に、私が店を切る基準です。
一つ目は、買取カウンターで不快な思いをした店には仕入れにも行かない。何を持ち込んでも値段をつけようとする店は在庫が入り続け、値下げして売り切るので棚が変わります。買い取ってやっているという顔をする店は在庫が入らず、棚が古いまま高い。不用品を1個持ち込むだけで判定できるので、その店で値札を読む前にやってください。
二つ目は、遠征の式が負の店には行かない。エリアごと駄目なら、そのエリアの店舗せどりは捨てて、電脳せどりに時間を回すほうが残ります。
三つ目は、興味のない棚を無理に開拓しない。知識の構築に時間がかかる棚は、現役で時間を出せる人のものです。
ハードオフは全国にありますが、あなたに関係があるのは生活動線上の1〜2店だけです。その店が神か塩かは、棚ではなく買取カウンターが教えてくれます。
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