中国輸入は儲からない?|消えた非対称性と、残った1つ

中国輸入儲からない 中国輸入

中国輸入が儲からなくなった理由を、私は「ライバルが増えたから」だとは思っていません。

それだと、なぜ2010年代には少ないライバルで儲かっていたのかが説明できません。当時のほうが道具も情報も少なかったのに、儲かっていました。

私の答えはこうです。中国輸入の利益は、情報の非対称性から出ていました。それが消えました。

そして消えたのは非対称性の全部ではありません。2つ消えて、1つ残っています。残った1つで、私はいまも中国から仕入れています。この記事は、その切り分けの話です。

1. 先に、この記事の前の版を取り下げます

1-1. 事実として誤っていた記述があります

このURLには以前、別の内容を載せていました。その中に、次の記述がありました。

わかりやすく説明すると、円安なら原価が安くなり、円高なら高くなります。

逆です。円安になると、同じ外貨建ての商品を買うのに多くの円が必要になるので、原価は高くなります。円高ならその逆です。

おかしなことに、その直後の文では「2010年頃は1元13円程度でしたが、2021年9月現在では約17円です。つまり、以前よりも仕入れ原価は高くなっています」と、正しい結論が書かれていました。定義の一文だけが逆になっていた形です。

間違いは間違いなので、取り下げます。為替の正しい話は5章に書き直しました。

1-2. 中身のなかった部分

前の版の構成 取り下げる理由
儲からない理由5つ(ライバルが多い/届くのが遅い/品質/為替/アカウント停止) どれも本当ですが、これらは10年前からありました。「なぜ以前は儲かったのか」を説明できません
儲からない人の特徴9選(リサーチ不足/諦めるのが早い、など) 読んだ人が自分に当てはめても、何をすればいいかが出てきません
儲けるためのポイント7つ(理解を深める/正しいノウハウを学ぶ/継続する) 中国輸入でなくても成り立つ文章です。この商材について何も言っていません

1-3. この記事で答えること

問い どこで答えるか
なぜ以前は儲かって、いまは儲からないのか 2章(情報の非対称性を3つに分けます)
同じことが他の業種でも起きているのか 3章(リユース市場の統計で確認します)
買う側から見ると、どう見えているのか 4章
数字でも条件は悪くなっているのか 5章(税関の公示レート)
それでも成立する型はあるのか 6章・7章・8章(私がいまもやっている2つ)
その2つに共通する構造は何か 9章
自分の商品はどちらなのか 10章(判定手順)
やめたほうがいいのはどんな場合か 12章

2. 結論:消えたのは、情報の非対称性で稼いでいた部分です

2-1. 中国輸入の利益は、どこから出ていたのか

中国輸入で利益が出るのは、中国の価格と日本の価格に差があるからです。ではなぜ差が残るのか。買う人が、中国の価格を知らないか、知っていても買えなかったからです。

これを情報の非対称性と呼びます。売る側だけが知っていて、買う側が知らない。その差額が利益になります。

2-2. 非対称性を3つに分けます

内容 2010年代 現在
第1層 どこで買えるか そういう商品が中国にあること、買える場所があることを知っているか 知らない人がほとんど 消えました
第2層 いくらで買えるか 中国側の価格を知っているか 知らない人がほとんど 消えました
第3層 買った後どうするか 買った商品を、実際に使える状態にできるか 売り手も買い手も、あまり意識していなかった 消えていません

2-3. 第1層と第2層が、なぜ消えたのか

消えた理由
第1層 中国の販売事業者が、日本の消費者に直接売るようになりました。クレジットカードがあれば、日本のECサイトで買うのと同じ感覚で買えます
第2層 画像検索で、その商品が中国のどこでいくらで売られているかを、買う側も調べられるようになりました

どちらも、こちらが何かを間違えたから消えたのではありません。前提が変わりました。

2-4. 残った第3層が、この記事の答えです

買えるようになったからといって、買った人がそれを使えるとは限りません。

取り付けが要る商品は、取り付けられる場所を知らないと使えません。修理用の部品は、直す技術がないと使えません。適合の判断が要る商品は、どれを買えばいいかが分からないと買えません。

ここには、まだ非対称性が残っています。そして、この非対称性は情報が広まっても消えません。「部品はここで買える」と知られても、直せない人は直せないからです。

私がいまも中国から仕入れているのは、この第3層に関わる2つの型だけです。7章と8章に、実際にやったことを書きます。

3. リサイクルショップに起きたことと、同じ形です

3-1. メルカリ以前のリサイクルショップ

リサイクルショップは、売りたい人と買いたい人の間にいました。売りたい人は誰に売ればいいか分からず、買いたい人はどこにあるか分からない。その間をつなぐことで利益が出ていました。

これも情報の非対称性です。個人同士が直接つながる手段がなかったから、間に人が要りました。

3-2. 市場そのものは、大きくなっています

環境省の令和6年度リユース市場規模調査に、市場規模の推移が引用されています。

リユース市場規模
2009年 1兆1,274億円
2015年 1兆6,517億円
2020年 2兆4,169億円
2023年 3兆1,227億円

出典:環境省「令和6年度 リユース市場規模調査 報告書」(同報告書が引用しているリユース経済新聞『リユース市場データブック2024』の数字です)

14年で2.77倍です。市場は縮んでいません。

3-3. しかし、チャネルが逆転しています

2023年の販売チャネル 金額 構成比
店頭販売(BtoC) 1兆1,442億円 36.6%
ネット販売(CtoC) 1兆3,284億円 42.5%
ネット販売(BtoC) 6,029億円 19.3%
その他 472億円 1.5%

出典は前項と同じです。構成比は私が計算しました。

個人間の取引が、店頭を上回っています。1兆3,284億円 ÷ 1兆1,442億円で1.16倍です。ネット販売の合計は1兆9,313億円で、市場の61.8%を占めています。

3-4. 「オワコン化したが、業績は悪くない」の正体

リサイクルショップが以前ほど強く見えなくなった一方で、業績そのものが崩れたわけではありません。この一見矛盾する状態は、次のように分解できます。

リサイクルショップの機能 どうなったか
売りたい人と買いたい人をつなぐ 失いました。個人が直接つながれます
相場を知っていて、値段をつける 弱くなりました。相場は誰でも調べられます
持ち込めば、その場で現金にする 残りました。出品・梱包・発送・トラブル対応を引き受けています
持ち込まれたものを、検品して並べる 残りました

残ったのは、モノを動かす機能ではなく、面倒を引き受ける機能のほうでした。相場を知っていることでは稼げなくなり、手間を代わりにやることで稼いでいます。

3-5. これを中国輸入に当てはめます

リサイクルショップ 中国輸入
売り手と買い手をつなぐ機能 → 失った 中国の商品を日本に持ってくる機能 → 失った
相場を知っている優位 → 弱くなった 中国の価格を知っている優位 → 弱くなった
面倒を引き受ける機能 → 残った 買った後の面倒を引き受ける機能 → 残っている

同じ形です。だから中国輸入も、モノを運ぶ部分では稼げなくなり、買った人が困る部分で稼ぐことになります。

4. 買う側から見ると、転売から買う理由がありません

4-1. クレジットカードがあれば、買えます

いまの買い手は、中国の販売事業者から直接買えます。日本語の画面があり、日本円で表示され、クレジットカードで決済でき、日本の住所に届きます。日本のECサイトで買うのと、手順としてはほとんど変わりません。

この状態で、同じ商品を仕入れて日本で売っている人から、わざわざ高い値段で買う理由がありません。

4-2. 売っている私自身が、そう思います

これは立場を離れて考えても同じです。私が買う側なら、直接買います。

売る側にいると、「うちは検品しているから」「すぐ届くから」という理由を並べたくなります。それが価値でないとは言いませんが、その価値の分だけ高く払ってもらえるかは別の話です。多くの商品では、払ってもらえません。

4-3. 昔は、何を売っていたのか

買い手が払っていたもの いまも払うか
そういう商品が存在することを知っている、という情報 払いません。検索すれば出てきます
どこで買えるかを知っている、という情報 払いません。直接買えます
中国語のやり取りを代わりにやること 払いません。やり取りが要りません
決済と配送を代わりにやること 払いません。カードで買えます
届くまでの日数を短くすること 商品によっては払います
不良品を弾いておくこと 商品によっては払います

上の4つが、2010年代の中国輸入の利益源でした。全部消えています。残った下2つは、値段の差を正当化できるほど大きくありません。

4-4. 「認知されていなかった」というのが正確です

私はこれを、能力の問題だとは思っていません。当時は普及も認知もされていなかったから売れた、というだけです。

「昔のほうが甘かった」という話でもありません。当時の利益は、当時の情報環境が生んでいたものでした。環境が変われば消えます。そこに個人の努力は関係ありません。

5. 数字の面でも、条件は悪くなっています

5-1. 人民元のレート(税関の公示値)

税関は、輸入申告に使う外国為替相場を毎週公示しています。公的な数字なので、これで確認します。各年の9月第1週の公示値です。

適用開始 人民元(CNY)
2021年9月5日 16.96円
2022年9月4日 20.03円
2023年9月3日 20.00円
2024年9月1日 20.47円
2025年9月7日 20.61円
2026年9月6日 23.68円

出典:税関「外国為替相場(課税価格の換算)」。この相場は、輸入申告の日の属する週の前々週の実勢相場の週間平均値です。

5-2. 5年で39.6%上がりました

16.96円 から 23.68円 で、39.6%の上昇です。直近1年(20.61円 → 23.68円)だけでも14.9%上がっています。

前の版が「2021年9月現在では約17円」と書いていたのは、この公示値と一致しています。数字は合っていました。合っていなかったのは、その手前の説明のほうです。

5-3. 1個あたりで何が起きるか

同じ商品を、同じ元の価格で仕入れた場合の比較です。

仕入れ価格 2021年9月の円換算 2026年9月の円換算
100元 1,696円 2,368円 +672円
500元 8,480円 11,840円 +3,360円
800元 13,568円 18,944円 +5,376円

換算は上の公示値を使った計算です。実際には代行手数料や送料にもレートがかかるので、負担はこれより大きくなります。

5-4. 粗利がどうなるか

売価を変えられないと仮定して、粗利を出します。

条件 2021年9月 2026年9月 粗利の変化
売価3,000円・仕入れ100元 粗利1,304円 粗利632円 −51.5%
売価5,980円・仕入れ200元 粗利2,588円 粗利1,244円 −51.9%

ここでいう粗利は、売価から仕入れの円換算額だけを引いたものです。販売手数料・送料・広告費は入れていません。それらを入れると、残りはさらに小さくなります。

同じことをやっていて、粗利が半分になります。作業の量も、判断の質も変わっていません。レートが変わっただけです。

5-5. 売価は上げられません

ここが痛いところです。原価が上がったぶん売価を上げればいい、とはなりません。

売価を上げようとすると 何が起きるか
同じ商品を出している他の出品者がいる 安いほうが売れます
買い手が中国から直接買える その価格が上限になります。上限は為替では動きません(買い手も同じレートで買うため)

2番目が効いています。買い手も同じ為替で買っているので、円安になっても「直接買った場合の価格」との差は縮まりません。こちらの原価だけが上がり、比較される相手の価格も同じだけ上がる。差額は変わらないのに、その差額から引かれる手数料や送料は円建てで増えていきます。

6. それでも成立している中国輸入が、2つあります

6-1. 私がいまもやっていること

内容 現状
型① 提案とセットで売る 商品だけでなく、買った後に必要になるものを一緒に渡す 過去にやりました(7章)
型② 修理部品の仕入先として使う 売るためではなく、直すために仕入れる 現在も続いています(8章)

6-2. どちらも「モノを運ぶ」で稼いでいません

型①は、商品の値段ではなく、取り付けられる場所を知っていることで売れています。型②は、部品を売っているのではなく、直したものを売っています。

どちらも第3層(買った後どうするか)の非対称性を使っています。次の2章で、それぞれ具体的に書きます。

7. 型①:提案とセットで売る

7-1. 何を売っていたか

中国製のアンドロイドナビです。車のダッシュボードに取り付ける、アンドロイドが動くカーナビゲーションです。

この商品自体は、誰でも中国から買えます。値段も調べればすぐ分かります。第1層も第2層も、非対称性はありません。

7-2. 買う人が抱える問題

買っても、取り付けられません。

自分で取り付けられる人は限られています。では業者に頼めばいいかというと、これが難しい。持ち込んだ商品の取り付けを引き受けてくれる業者を、自分で探さなければなりません。

買った人が直面すること
近所の店に問い合わせても、持ち込み品は断られることがある
引き受けてもらえるかどうか、事前には分からない
何軒か当たる時間がかかる
取り付けられなければ、商品は使えないまま残る

つまり、この商品は買った時点では、まだ使えるものになっていないのです。

7-3. やったこと

順番 やったこと
1 自分で営業をかけて、取り付けを引き受けてくれる業者を探しました
2 引き受けてくれる業者を、地域ごとに控えておきました
3 購入者が出たら、その人の住む地域にある業者を紹介しました
4 紹介は無料です。紹介料は取っていません

やっているのは、買った人が自分でやると何軒も当たることになる作業を、先にやっておくことだけです。特別な技術は要りません。要るのは、電話をかける手間だけです。

7-4. なぜこれが効くのか

買う人の判断 紹介がない場合 紹介がある場合
取り付けられるか 買ってみないと分からない 買う前に分かる
使えなかった場合の損 商品代が丸ごと無駄になる その可能性が下がる
だから 安くても買いにくい 多少高くても買える

ここが本質です。安い商品を売っているのではなく、買った後に失敗する確率を下げているのです。

直接中国から買う選択肢と比べたとき、値段では負けます。しかし直接買った人は、取り付け業者を自分で探すことになります。比較されているのは値段ではなく、買った後にかかる手間です。

7-5. コストがほとんどかかりません

提案の性質 在庫との違い
1回作れば、何回でも使える 在庫は売れたら減ります。業者のリストは減りません
資金が要らない 在庫は買うのに金が要ります。リストは電話代だけです
売れ残らない 在庫は売れ残ります。リストは売れ残りません
為替の影響を受けない 原価が円建てなので、レートが動いても変わりません

5章で見たとおり、商品の粗利は為替で半分になりました。しかし提案の部分は、為替では減りません。利益の構成のうち提案が占める割合が大きいほど、為替の影響を受けにくくなります。

7-6. 取り付け業者が見つけにくいことには、制度上の背景もあります

2020年4月から、自動車の整備に「特定整備」という制度が始まっています。従来の「分解整備」に加えて、取り外しを伴わなくても装置の作動に影響を及ぼす整備(電子制御装置整備)が対象に加わりました。

国土交通省の説明では、電子制御装置整備の例として「自動ブレーキなどに使用される前方を監視するカメラやレーダーなどの調整」が挙げられています。この整備を行うには、作業場・従業員・スキャンツールなどの要件を満たした認証が必要で、整備主任者は資格取得講習の修了が要ります。

出典:国土交通省「自動車特定整備事業について

すべての取り付けがこれに該当するわけではありません。該当するかどうかは、車種と作業の内容で決まります。ただし「引き受けられる業者と、引き受けられない業者がいる」という状態そのものが、買う人にとっての壁になっているのは確かです。

この壁は制度から来ているので、情報が広まっても消えません。だから、この提案は真似されても価値が落ちにくくなります。

8. 型②:修理部品の仕入先として使う

8-1. これは現在も続いています

私が中国輸入をいまも使っているのは、こちらです。売るために仕入れているのではなく、直すために仕入れています。

壊れた商品を安く買い、部品を交換して、動く状態にして売ります。その部品の調達先として中国を使っています。修理転売そのものの話は修理転売は儲からない?にまとめてあるので、ここでは仕入先としての話に絞ります。

8-2. なぜ真似されないのか

ここが型②の核心です。

「その部品は中国で買える」という情報が広まっても、この優位性は消えません。部品を買えると知っても、直す技術がなければ何もできないからです。

知られたときに何が起きるか 単純転売 修理部品
「これは中国でいくらで買える」と知られる 売れなくなります。買い手が直接買います 何も起きません。買っても使えません
「どこで買えるか」を教える 競合が増えます 競合は増えません。技術のほうが壁です
仕入先を公開する そのまま真似されます 真似されても、直せる人しか使えません

これは、私が中国輸入の記事で仕入先を書いても困らない理由でもあります。書いて困る情報と、書いても困らない情報の差がここにあります。

8-3. 参入障壁の分類でいうと

地味に儲かる副業で使った分類を当てはめます。

主な参入障壁 情報が広まると
単純転売(中国で買って日本で売る) 作業量 障壁が消えます。作業量は誰でも払えます
提案とセットで売る(型①) 関係・信用(業者との関係) 障壁は残ります。関係は作るのに時間がかかります
修理部品として使う(型②) 技能 障壁は残ります。技能は情報では伝わりません

単純転売の障壁が「作業量」だけだったことが、いま効いています。作業量は、代行会社が肩代わりできる種類の障壁です。だから代行会社が普及した時点で、この障壁は実質的になくなりました。

8-4. だから、この優位性は今後も続くと考えています

技能は、記事を読んでも身につきません。動画を見ても、手を動かさなければできるようになりません。情報が流通しても縮まらない差というのは、この種類のものだけです。

私が「代替されるものは下がる」と考えているのは、この観察からです。単純転売は代替されました。修理は、いまのところされていません。

9. 2つに共通する構造

9-1. 「買えない」と「使えない」は別の問題です

ここまでを1行にまとめます。

「買えない」を解消するビジネスは終わりました。「買っても使えない」を解消するビジネスは残っています。

解消していた問題 いまも問題か
2010年代の中国輸入 買えない(どこで買うか分からない、買う手段がない) 問題ではなくなりました
型① 提案とセットで売る 買っても取り付けられない いまも問題です
型② 修理部品として使う 買っても直せない いまも問題です

9-2. 「使うために要るもの」を5つに分けます

使うために要るもの 提案として渡せるもの
取り付け・設置 カーナビ、車載機器、住宅設備 引き受けてくれる業者のリスト
技術 修理用の部品、交換パーツ 渡せません。自分で使う側に回ります
適合の判断 どの型番・どの年式に合うか 適合表、確認の手順
組み合わせ 単品では機能しない部材 必要なものを揃えたセット
使い方の情報 説明書が中国語、設定が複雑 日本語の手順

2番目だけ、提案として渡せません。技術は渡せないので、自分が使う側になります。これが型①と型②の違いです。

9-3. 提案は、比較されません

商品の値段は比較されます。同じ商品なら、安いほうが選ばれます。

提案は比較されません。「この商品を買ったら、あなたの地域のこの業者が取り付けてくれます」という情報は、他の出品者が持っていないからです。比較の土俵が違うので、価格競争になりません。

比較されるか 価格競争になるか 在庫になるか
商品そのもの されます なります なります
提案 されません なりません なりません

9-4. ただし、提案には限界もあります

限界 内容
作るのに手間がかかる 業者を探すのは、電話をかけ続ける作業です。自動化できません
商品を選べない 提案が作れる商品しか扱えません。扱える範囲が狭くなります
維持が要る 紹介先が廃業したり、方針を変えたりします。定期的な確認が要ります
スケールしにくい 紹介は1件ずつです。人を雇っても、判断の部分は任せにくい

だから、この型は規模を追う人には向きません。扱う点数は少ないが、1点あたりの利益は守れるという形になります。

10. 自分の商品を判定する手順

10-1. 質問は1つです

その商品は、届いた日に使えますか。

答え 意味 この商材での見通し
使えます 第3層の非対称性がありません 価格でしか差がつきません。直接買われます
何かが要ります そこに非対称性があります 提案を作れる可能性があります

10-2. 判定表

状態 判定 理由
箱を開けたらすぐ使える × 買い手が直接買います
同じ商品を出している人が他にもいる × 価格競争になります
中国の事業者が日本で直接売っている × その価格が上限になります
取り付けや設置が要る 引き受け先を用意できれば差がつきます
買う人が自分では適合を判断できない 適合表を作れます
単品では機能せず、組み合わせが要る セットにできます
使うのに技術が要る 技術を持つ側に回れば、真似されません
使うのに制度上の要件がある 情報が広まっても壁が消えません

10-3. ×だった商品を、どうするか

選択肢 見込み
そのまま続ける 5章のとおり、粗利は為替で削られていきます
値段を下げて数で勝負する 相手も同じことをします。同じ工場から買っているので下限も同じです
OEMで差別化する できますが、拘束日数が伸びます。計算は中国OEMの記事に置いてあります
提案を作れる商品に移る 扱う点数は減りますが、価格競争から外れます

10-4. 提案を作れるかを確認する手順

順番 やること 分かること
1 その商品のレビューや質問を読む 買った人が何で困っているか
2 困りごとが「使えない」系かどうか見る 第3層の非対称性があるか
3 その困りごとを、自分が電話や調査で解消できるか考える 提案として渡せるか
4 実際に1件、解消先を探してみる 手間の量が分かります
5 その手間を、何件の販売で回収できるか計算する 成立するかどうか

4番目を必ずやってください。「業者を探せばいい」と考えるのと、実際に電話をかけて断られるのとでは、必要な手間の見積もりが変わります。私の場合も、引き受けてくれる業者に当たるまでに何軒もかけました。

11. 提案型に切り替えるときの注意

11-1. 提案には責任がついてきます

業者を紹介するということは、その業者の仕事についても、買った人からこちらに話が来るということです。

起きうること こちらの立場
紹介した業者に断られた 別の業者を探すことになります
紹介した業者の作業に不満があった 直接の責任はありませんが、連絡は来ます
取り付け費用が想定より高かった 事前に伝えていないと、こちらへの不信になります
紹介した業者が廃業していた リストの鮮度の問題です

だから、紹介するときは「取り付けを保証するものではない」ことを最初に伝えます。引き受けてもらえる可能性が高い先を知っている、という以上のことは言いません。

11-2. 紹介先の選び方

確認すること 理由
持ち込み品を扱うか ここで断られることが一番多いです
その商品の種類を扱った実績があるか 初めてだと、想定外の時間がかかります
費用の目安を教えてもらえるか 買う人に事前に伝えるために要ります
紹介してよいか、明示的に確認したか 勝手に紹介すると、先方に迷惑がかかります

最後の1つを飛ばさないでください。紹介先の許可を取らずに名前を出すのは、こちらの都合だけで相手の業務を増やす行為です。

11-3. 紹介料を取らない理由

私は紹介料を取っていません。理由は3つあります。

理由 内容
金額が小さい 取り付け費用の数%では、手間に見合いません
紹介先との関係が変わる 金銭が入ると、業者側にも義務が生まれます。断りにくくなり、無理な受注につながります
買う人への説明が複雑になる 紹介料を取っていると、「この業者を勧める理由は金か」という疑いが立ちます

紹介料を取らなくても、この提案は商品の販売で回収できています。提案そのものを収益源にせず、商品が売れる確率を上げるために使うという位置づけです。

11-4. 書いてはいけないこと

書かないこと 理由
「取り付けまで込みで安心」といった保証めいた表現 保証していません。断られる可能性は残ります
紹介先の名前を、許可なく出品ページに載せる 先方の業務に影響します
取り付け費用の断定的な金額 車種と作業で変わります。目安であることを明示します
制度上の要件についての自分の解釈 7-6のとおり、該当するかは車種と作業で決まります。判断は業者と、必要なら所管の窓口に任せます

12. やめたほうがいい場合

12-1. 条件

条件 理由
扱っている商品が全部「届いた日に使える」もの 第3層の非対称性がありません。値段でしか差がつかず、直接買われます
規模を大きくしたい 提案型は1件ずつなので、規模に向きません
作業を人に任せて自分は関わりたくない 提案の部分は判断なので、任せにくいです
短期で結果を出したい 業者を探すのも、技術を身につけるのも時間がかかります

12-2. やめる場合、何をやるか

中国輸入をやめること自体は、悪い判断ではありません。第3層に手が届かないなら、この商材で続ける理由が薄いからです。

移り先 何が違うか
国内の中古を扱う 1点ずつ状態が違うので、同じ商品を誰でも買えるという状況になりません
店舗で仕入れる その店に行った人しか買えないので、独占日数が生まれます
修理を覚える 技能が障壁になるので、情報が広まっても縮みません

どれも、共通しているのは「誰でも同じものを同じ値段で買える」状態から離れることです。判断の材料はせどりで儲かるジャンル電脳せどりにまとめてあります。

12-3. 逆に、続けたほうがいい場合

条件 理由
すでに何かを直せる 部品の調達先として、いまでも有効です(8章)
特定の分野に詳しい 適合の判断が提案になります
業者や職人との付き合いがある 紹介先がすでにあります
扱う点数が少なくてもいい 提案型の性質に合います

13. AIが増やしたものと、減らしたもの

13-1. 商品を探す作業は、代替されました

画像から中国側の販売ページを探すことも、価格を比べることも、翻訳することも、いまは道具がやります。

これは第1層と第2層の非対称性を、さらに薄くしました。探す能力そのものが、優位性ではなくなっています。

作業 代替されたか
中国側の販売ページを探す されました
価格を比べる されました
中国語のページを読む されました
相場を調べる されました

13-2. 提案は、まだ代替されていません

作業 代替されたか なぜ
取り付けを引き受ける業者を探す 一部だけ 候補は出せますが、実際に引き受けるかは電話しないと分かりません
その業者と話をつける されていません 相手が人だからです
実際に直す されていません 手を動かす必要があります

候補を出すところまでは道具がやってくれます。その先の「実際に引き受けてもらえるか」は、電話をかけるまで分かりません。この部分が残っている限り、提案には価値があります。

13-3. これが今後の分かれ目です

私は「代替されるものは下がる」と考えています。中国輸入で起きたことは、その典型でした。

代替された 結果
中国の商品を見つける 誰でもできるので、値段が下がりました
中国から日本へ運ぶ 代行会社と直販が引き受けたので、値段が下がりました
中国語のやり取り 翻訳で足りるので、値段が下がりました
代替されていない 結果
人と話をつける 値段は下がっていません
手を動かして直す 値段は下がっていません
責任を引き受ける 値段は下がっていません

次に何をやるかを決めるときは、この2つの表のどちらに入るかで判断しています。上の表に入る作業は、いま利益が出ていても、いずれ出なくなります。

14. 分かったことと、分かっていないこと

14-1. 分かったこと

問い 答え
なぜ以前は儲かったのか 情報の非対称性があったからです。商品の存在も、中国側の価格も、買う人が知りませんでした
なぜいま儲からないのか その2つが消えたからです。クレジットカードがあれば直接買え、価格も調べられます
それは中国輸入だけの話か 違います。リユース市場では、ネット販売のCtoCが1兆3,284億円で、店頭販売の1兆1,442億円を上回っています(2023年)
市場が縮んだのか 縮んでいません。リユース市場は2009年の1兆1,274億円から2023年の3兆1,227億円へ2.77倍になりました。変わったのは経路です
数字の面ではどうか 人民元は税関公示値で2021年9月16.96円から2026年9月23.68円へ39.6%上がりました。同じ商品でも粗利は半分近くになります
売価を上げれば解決するか しません。買い手も同じ為替で直接買えるので、上限が動きません
それでも成立する型はあるか 2つあります。提案とセットで売る型と、修理部品の仕入先として使う型です
2つに共通するのは何か 「買えない」ではなく「買っても使えない」を解消していることです
なぜそれは真似されないのか 提案は関係が壁になり、修理は技能が壁になるからです。どちらも情報が広まっても縮みません

14-2. 分かっていないこと

分かっていないこと なぜ分からないか
アンドロイドナビで、提案があった場合となかった場合の成約率の差 比較の記録を取っていません。7-4に書いたのは、私がそう判断していたという話です
業者探しにかかった総時間 記録していません。10-4で「必ず1件やってみてください」と書いたのは、私が自分の手間を数字で言えないからです
日本の消費者が中国から直接いくら買っているか 経済産業省の市場調査には、日本の消費者による中国からの越境EC購入額の記載を見つけられませんでした。4章は私の観察です
修理部品の調達で、中国以外の選択肢とどれだけ差があるか 比較していません。中国から買うのが習慣になっています
提案型が、どのくらいの規模まで伸ばせるか 私は伸ばそうとしていません。9-4で「規模を追う人には向かない」と書いたのは、試していないという意味も含みます
取り付け業者が断る理由の内訳 断られた回数は覚えていますが、理由の分類はしていません。7-6の制度上の背景は、あくまで一因です

14-3. この記事の数字の性質

種類 該当するもの
私が実際にやったこと アンドロイドナビの販売と業者の紹介(7章)、修理部品の調達(8章)。どちらも自分でやりました
公的な統計・公示値 リユース市場規模、税関の外国為替相場、特定整備制度の内容。すべて出典を示しています
私が計算したもの 構成比、上昇率、円換算額、粗利の変化。計算の前提は本文に書いてあります
私の判断軸 情報の非対称性を3層に分けること、「買えない」と「使えない」を分けること、代替されるものは下がるという見方
私の観察(実測ではないもの) 4章の「買う側から見ると転売から買う理由がない」は、私が売る側として感じていることです

14-4. 出典

内容 出典
リユース市場規模の推移(2009年・2015年・2020年・2023年)、2023年の販売チャネル別内訳 環境省「令和6年度 リユース市場規模調査 報告書」(PDF)。同報告書が引用しているリユース経済新聞『リユース市場データブック2024』の数字です
人民元の公示為替相場(2021〜2026年の各9月第1週) 税関「外国為替相場(課税価格の換算)
特定整備制度、電子制御装置整備の範囲と認証要件 国土交通省「自動車特定整備事業について
CtoC-EC市場規模、BtoC-EC市場規模 経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました

為替相場は毎週変わります。この記事の数字は、各年9月第1週の公示値です。実際の計算には、そのときの公示値を使ってください。

特定整備に該当するかどうかは、車種と作業の内容によって決まります。個別の判断は、作業を行う業者と、必要に応じて所管の運輸支局にご確認ください。

14-5. 関連する記事

知りたいこと 記事
OEMという型の損益を最後まで計算したもの 中国OEMはオワコンか
代行会社に実質いくら払うことになるか 中国輸入代行を比較
修理転売そのものの時給 修理転売は儲からない?
新品・中古・修理の力関係 電脳せどり
参入障壁の6分類 地味に儲かる副業
独占日数という考え方 トップセラーで儲からない理由
どのジャンルに資金を配分するか せどりで儲かるジャンル
個人での輸入と事業での輸入の違い 個人貿易商の年収
利益率と回転率のどちらを見るか せどりの利益率と回転率

 

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